JP2006117875A - 蛍光体ペースト及びプラズマディスプレイパネル - Google Patents

蛍光体ペースト及びプラズマディスプレイパネル Download PDF

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Abstract

【課題】焼成処理やその後の経時的変化を受けても発光輝度が低下するのを確実に抑制する。
【解決手段】本発明に係るプラズマディスプレイパネル8は、放電現象が惹起される放電セル31と、放電セル31での放電現象に伴い励起して蛍光を発する蛍光体膜31とを備え、蛍光体膜31が、無機蛍光体、バインダ樹脂及び溶剤を含有する蛍光体ペーストであって、前記バインダ樹脂を前記溶剤に溶解させたバインダ組成物の表面張力が0.5×10-2〜15×10-2Nm-1で、かつ、前記無機蛍光体と前記バインダ組成物との接触角が10〜30°である蛍光体ペーストから構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、真空紫外線励起発光素子としての蛍光体を構成する蛍光体ペースト及びそれを用いたプラズマディスプレイパネルに関する。
近年、紫外線の発生で励起して発光する「紫外線励起発光素子」の開発が盛んに行われており、それを利用した一例として「プラズマディスプレイパネル」が挙げられる。プラズマディスプレイパネルは、電極を備えた2枚の基板と基板間に立設された隔壁とによって形成された多数の微小放電空間(放電セル)を備え、各放電セルの内側に紫外線の照射で蛍光を発する蛍光体膜が配された構成を有している。当該プラズマディスプレイパネルにおいては、各放電セル内に希ガスを封入してその希ガスに電圧を印加することで紫外線が放出され、その紫外線が蛍光体膜に入射すると、当該蛍光体膜が励起して発光するようになっている。
上記紫外線励起発光素子としての蛍光体膜は、放電セルに配される前の状態ではペースト状を呈しており、その製造過程において、放電セルを構成する基板と隔壁との内側に塗布され、その後焼成処理が施されることで所望の機能を発揮するようになっている。ここで、当該蛍光体膜は、プラズマディスプレイパネルの一構成要素として組み込まれる場合に、焼成処理前の状態で蛍光体粒子がペースト組成物中に十分に分散していないときには、発光しない部分(ピンホール)が多数形成され、プラズマディスプレイパネルを実用化するうえで必要な発光輝度を十分に確保できない。
そこで、特許文献1では、焼成処理前の蛍光体膜(すなわち蛍光体ペースト)の粘度や表面張力を規定して当該蛍光体ペースト中における蛍光体粒子の分散性を向上させ、焼成処理後の蛍光体ペースト(すなわち蛍光体膜)のピンホールの数を著しく減少させている。
特開2003−327960号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、蛍光体ペーストが焼成処理前後で発光輝度をどの程度維持しているかが開示されておらず、焼成処理により蛍光体ペーストの発光輝度が著しく低下している可能性がある。更に特許文献1に開示された技術では、焼成処理後の蛍光体ペースト(すなわち蛍光体膜)がその後発光輝度をどの程度維持するかが開示されておらず、経時的変化を伴った場合に蛍光体膜の発光輝度が著しく低下する可能性がある。
本発明の目的は、焼成処理やその後の経時的変化を受けても発光輝度が低下するのを確実に抑制することができる蛍光体ペーストを提供することである。
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、
無機蛍光体、バインダ樹脂及び溶剤を含有する蛍光体ペーストにおいて、
前記バインダ樹脂を前記溶剤に溶解させたバインダ組成物の表面張力が0.5×10-2〜15×10-2Nm-1で、かつ、前記無機蛍光体と前記バインダ組成物との接触角が10〜30°であることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の蛍光体ペーストにおいて、
前記無機蛍光体が、液相法を用いて合成されていることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の蛍光体ペーストにおいて、
前記無機蛍光体が、
マンガンを付活したケイ酸亜鉛系蛍光体で、かつ、表面から深さ10nmの部位までの表層の組成比Zn/Siが1.5〜2.2であることを特徴としている。
請求項4に記載の発明のプラズマディスプレイパネルは、
放電現象が惹起される放電セルと、
前記放電セルでの放電現象に伴い励起して蛍光を発する蛍光体膜と、
を備え、
前記蛍光体膜が、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光体ペーストから構成されていることを特徴としている。
請求項1〜3の発明では、焼成処理やその後の経時的変化を受けても発光輝度が低下するのを確実に抑制することができる(下記実施例参照)。
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光体ペーストから蛍光体膜が構成されているため、蛍光体膜が経時的変化を受けても当該蛍光体膜の発光輝度が低下するのを確実に抑制することができる(下記実施例参照)。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
始めに、本発明に係る蛍光体ペーストについて説明する。
蛍光体ペーストは、バインダ樹脂を含む溶剤中に、液相法で合成した無機蛍光体の粒子を分散したペースト状のものである。当該蛍光体ペーストは、その特性として、バインダ樹脂を溶剤に溶解させたバインダ組成物の表面張力が0.5×10-2〜15×10-2Nm-1で、かつ、無機蛍光体とバインダ組成物との接触角が10〜30°となっている。
下記に、蛍光体ペーストを構成する各成分について説明する。
(1)バインダ樹脂
バインダ樹脂としては、エチルセルロース又はポリエチレンオキサイド(エチレンオキサイドのポリマー)が挙げられ、特にエトキシ基(−OC25)の含有率が49〜54%のエチルセルロースを用いるのが好ましい。また、バインダ樹脂として光感光性樹脂を用いてもよいし、乳酸の単独重合体を用いてもよい。樹脂バインダの含有量としては0.15〜10質量%の範囲内が好ましい。なお、隔壁間に塗布される蛍光体ペーストの形状を整えるため、樹脂バインダの含有量はペースト粘度が高くなり過ぎない範囲内で多い方に設定するのが好ましい。
(2)溶剤
溶剤は、バインダ樹脂との相溶性が良好なものであれば、特に限定されるものではない。このような溶剤の具体例としては、酢酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、カルビトール等のジエチレングリコールアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸メチル(酪酸メチル)、ブタン酸エチル(酪酸エチル)、ブタン酸プロピル(酪酸プロピル)、ブタン酸イソプロピル(酪酸イソプロピル)等の脂肪族カルボン酸のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等のエステル類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、テルピネオール等のモノテルペンアルコール類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
溶剤の含有割合は、蛍光体ペーストの可塑性又は流動性(粘度)が後述のプラズマディスプレイパネルの製造過程における成形処理又は塗布処理に適したものとなる範囲で適宜調製することができる。
(3)無機蛍光体
無機蛍光体として以下のものを使用するのが好ましく、無機蛍光体を作製する際には、その作製しようとしている無機蛍光体を得ることができる蛍光体原料を用いることが好ましい。
赤色の無機蛍光体として、例えば、(Y1-xEux23(0.025≦x≦0.060),(Y1-xEux)BO3(0.025≦x≦0.060),Y2SiO4Eu,(Y,Gd,Eu)BO3,Y(P,V)O4:Eu,GdBO3:Eu,ScBO3:Eu,一般式Lm23:R(「Lm」はGd,Y,La,Luのうち少なくとも1種であり、「R」はEu,Tb,Pr,Dy,Tm,Ce,Ybのうち少なくとも1種である。)で表される群から選ばれた少なくとも1種を挙げることができる。
緑色の無機蛍光体として、例えば、Zn2SiO4:0.7〜7Mn,BaMgAl1219:Mn,BaAl1219:Mn,YBO3:Tb,(Ba,Sr,Mg)O・5Al23:Mn,BaMgAl1626:Eu,Mn、一般式(1−a)(bMO・6Al23)・a(MMg1-cMncAl1017)(「M」はBa,Srのうち少なくとも1種であり、「a,b,c」はそれぞれ0.05≦a≦1.0,0.64≦b≦0.86,0.05≦c≦1.0,0.05≦a・c≦0.3の条件を満たす数)のMn付活アルミン酸塩、一般式(MxCeyTbz)PO4(「M」はLa,Y,Cdのうち少なくとも1種であり、「x,y,z」はそれぞれ0.50≦x≦0.90,0≦y≦0.3,0.04≦z≦0.16)の群から選ばれた少なくとも1種を挙げることができる。
青色の無機蛍光体としては、例えば、BaMgAl1423:Eu,Ba1-xEuxAl1017(0.045≦x≦0.25),Ba1-x-ySrxEuyMgAl1017(0.1≦x+y≦0.6),3(Ba,Mg)O・8Al23:Eu,CaWO4:Pb,Y2SiO5:Ce,YPVO4の群から選ばれた少なくとも1種を挙げることができる。
また、上記の無機蛍光体以外に、mM1O・nM2O・(M32-2XxAlx)O4(「M1」はCa,Sr,Baのうち少なくとも1種であり、「M2」はMg,Znのうち少なくとも1種であり、「M3」はSi,Geのうち少なくとも1種であり、「m,n,x」はそれぞれ0.5≦m≦3.5,0.5≦n≦2.5,0<x≦0.2)で表される化合物を、付活剤として挙げられるCe,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Mnからなる群から選ばれた少なくとも1種で付活したものを挙げることができる。
本発明に係る蛍光体ペーストにおいては、無機蛍光体として、特にMnを付活したケイ酸亜鉛系蛍光体で、かつ、表面から深さ10nmの部位までの表層の組成比が1.5〜2.2であるものを適用するのがよい。
(4)その他
蛍光体ペーストには、上記無機蛍光体及びバインダ樹脂並びに溶剤の他に、任意成分として各種の添加剤を配合・含有させてもよい。このような添加剤としては、例えば界面活性剤、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、低融点ガラス、顔料、染料等を挙げることができる。更に、蛍光体ペーストには、光重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂、多官能(メタ)アクリレート等を組み合わせて配合・含有させてもよく、この場合当該蛍光体ペーストに対し感光性を付与することができる。
続いて、蛍光体ペーストの製造方法について説明する。
蛍光体ペーストは、(A)無機蛍光体の構成金属元素を含む溶液を混合して無機蛍光体の前駆体を形成する前駆体形成工程と、(B)前駆体形成工程の後に当該前駆体形成工程により得られた前駆体を乾燥する乾燥工程と、(C)乾燥工程の後に乾燥済みの前駆体を焼成して無機蛍光体を形成する無機蛍光体形成工程と、(D)無機蛍光体形成工程の後に当該無機蛍光体形成工程で得られた無機蛍光体を溶剤(バインダ樹脂を含む。)中に分散させて蛍光体ペーストを調製する蛍光体ペースト調製工程と、を含む製造方法により得られる。
下記に、蛍光体ペーストの製造方法を構成する各工程について説明する。
(A)前駆体形成工程
前駆体形成工程では、液相法(液相合成法)により前駆体を形成する。適用可能な液相法に特に限定はないが、無機蛍光体の種類・用途に応じて共沈法を用いてもよいし、ゾルゲル法や反応晶析法を用いてもよい。その中でも共沈法や反応晶析法を用いることが好ましく、特に反応晶析法を用いるのが好ましい。
「共沈法」を適用する場合は、2液以上の蛍光体原料の溶液を溶媒中に添加するという態様が、微小で粒度分布の狭い無機蛍光体を製造するのに適している。この場合、作製しようとする無機蛍光体の種類やその無機蛍光体に発揮させようとする性能に合わせて、蛍光体原料の溶液の添加速度や添加位置、蛍光体原料の溶液と溶媒との攪拌条件(pHを含む。)等の諸物性値を調整するのが好ましい。
「反応晶析法」とは、液相中又は固相中で原料溶液又は原料ガスを混合することで無機蛍光体の前駆体を合成する製法である。前駆体形成工程では、液相中で原料溶液を混合させるのがよい。反応晶析法による前駆体形成工程では、冷却、蒸発、pH調節、濃縮等による物理的又は化学的な環境の変化を生じる場合や、化学反応によって混合系の状態に変化を生じる場合等に液相中から固相が析出し(晶析現象)、当該前駆体形成工程は、晶析現象を誘発する物理的・化学的操作による工程となっている。
反応晶析法を適用する際の溶媒は反応原料が溶解すれば何を用いてもよいが、過飽和度制御のしやすさの観点から水を当該溶媒として用いるのが好ましい。複数の反応原料を用いる場合は、原料の添加順序は同時でもよいし、異なっていてもよく、活性によって適切な順序を適宜組み立てることができる。
反応晶析法を用いて前駆体を形成する場合には、いずれの工程においても、反応原料の添加速度、攪拌速度、反応液の温度、pH等を調整してもよいし、反応中に超音波を照射してもよいし、粒径制御のために界面活性剤やポリマー等を添加してもよい。さらに、原料を添加し終えたら、必要に応じて溶液を濃縮又は熟成のうちどちらか一方又は両方の操作を行ってもよい。
前駆体形成工程で形成される前駆体は無機蛍光体の中間生成物であり、当該前駆体の結晶を所定温度で焼成することで無機蛍光体が形成されるようになっている。
無機蛍光体の特性(焼成後に得られる粒子の径分布や発光特性等)は、前駆体の性状に大きく左右されるため、前駆体形成工程では前駆体を十分小さくする必要があり、また、前駆体形成工程では前駆体同士の凝集を防止する必要もある。そのため、保護コロイドの存在下で当該前駆体形成工程の処理をおこなってもよい。具体的には、原料溶液の1つ以上又は全部に保護コロイドを混合する。この場合、前駆体の粒子径分布の制御や副塩等の不純物の排除に十分に配慮しなければならない。
前駆体形成工程で適用可能な保護コロイドとしては、天然、人工を問わず各種高分子化合物を使用することができ、特にタンパク質を使用するのが好ましく、その中でもゼラチンを使用するのが好ましい。その際の保護コロイドとして、平均分子量が10,000以上、好ましくは10,000以上300,000以下、より好ましくは10,000以上30,000以下のものであるのがよい。
なお、前駆体形成工程では、上記した液相法によりケイ酸亜鉛系蛍光体の前駆体を形成するのが好ましい。この場合、ケイ素系材料を液体に分散させたケイ素系液状物と、亜鉛を含む亜鉛系液状物とを、混合してケイ酸亜鉛系蛍光体の前駆体を形成する。ケイ素系液状物と亜鉛系液状物との混合方法は、いかなる方法を適用してもよいが、攪拌による混合方法が混合状態を制御しやすくて低コストであるため当該攪拌による混合方法を適用するのが好ましいが、バッチ式、連続式、外部循環式等の混合方法を適用してよい。
(B)乾燥工程
乾燥工程では、前駆体形成工程で得られた前駆体を所定の乾燥温度で乾燥させる。乾燥温度としては、20〜300℃の範囲とするのが好ましく、90〜200℃の範囲とするのが更に好ましい。乾燥工程では前駆体を直接的に乾燥させてもよく、そのような乾燥方法としては、エバポレーション又は顆粒化しながら乾燥させるスプレードライ方式の方法を適用することができる。
なお、乾燥工程の前に、必要に応じて不要な塩類を濾過・洗浄や膜分離等の既存の方法で除去することが好ましく、更に濾過や遠心分離等の方法で前駆体を液体から分離することが好ましい。
(C)無機蛍光体形成工程
無機蛍光体形成工程では、上記乾燥工程で乾燥済みの前駆体を焼成処理することにより無機蛍光体を形成させる。
例えば、乾燥済みの前駆体をアルミナポートに充填して所定のガス雰囲気中で当該前駆体を所定の温度で焼成することで、所望の無機蛍光体を形成することができる。無機蛍光体形成工程では、焼成温度を1000〜1700℃の範囲とし、焼成時間を0.5〜40時間とし、焼成回数を1回とするのがよい。焼成時間は無機蛍光体の種類に合わせて適宜調整してもよい。焼成中のガス雰囲気は、必要に応じて不活性ガス雰囲気(窒素雰囲気等)としてもよいし、大気ガス雰囲気としてよいし、酸素ガス雰囲気としてよいし、還元ガス雰囲気としてもよいし、これらガス雰囲気を組み合わせた雰囲気としてもよい。焼成装置については特に限定はしないが、箱型炉、坩堝炉、ロータリーキルン等の装置を当該焼成装置として用いるのが好ましい。
なお、焼成処理を終了したら、得られた焼成物に対し分散、水洗、乾燥、篩い分け等の処理を施してもよい。
(D)蛍光体ペースト調製工程
蛍光体ペースト調製工程では、バインダ樹脂を溶剤に溶解させてバインダ組成物を作製し、その後無機蛍光体形成工程により得られた焼成物(無機蛍光体)を上記バインダ組成物中に分散処理し、蛍光体ペーストを調製する。
ここで、バインダ組成物の作製においては、バインダ組成物の表面張力が0.5×10-2〜15×10-2Nm-1(好ましくは0.5×10-2〜5×10-2Nm-1)となるようにバインダ樹脂と溶剤とを調製する。
この場合、バインダ樹脂と溶剤との添加量を適宜調整して所望の表面張力を得るようにしてもよいし、必要に応じてバインダ組成物に表面張力調整剤を添加してもよい。使用可能な表面張力調整剤に特に限定はないが、例えば、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルからなる群から選択される1種又は2種以上の混合物を表面張力調整剤として用いることができる。表面張力調整剤の添加量は、適宜調整可能であるが、バインダ組成物と表面張力調整剤とを足し合わせた全重量に対し3〜30重量%であるのが好ましく、特に5〜10重量%であるのがより好ましい。
なお、バインダ組成物の作製では、上記した表面張力調整剤がグリコールエーテル類であってその一部が水溶性に劣ることから、その他のグリコールエーテル類や、チオグリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1,4−ブタンジオール等のジオール類、公知の界面活性剤をバインダ組成物に添加してその表面張力を調整してもよい。
バインダ組成物の作製後は、無機蛍光体をバインダ組成物(バインダ樹脂が含有されている溶剤)に混練し、本発明に係る蛍光体ペーストを得ることができる。この際、必要に応じて添加剤を添加してもよい。
なお、無機蛍光体の形成方法としての「固相法」は、焼成処理と解砕処理との繰り返しで無機蛍光体の構成成分を拡散させて均一組成へと導く製法であるため、その粒子の表面が粒子間で不均一であり、粒子内であってもその表面が一律に平滑であるとは言えず、当該無機蛍光体は表面が不均一な形態を呈している。そのため、固相法で形成された無機蛍光体は、表面エネルギーが高くてバインダ樹脂に馴染みにくく、バインダ組成物に対し分散させるのが困難となる。当該無機蛍光体をバインダ組成物に分散させた場合には凝集物が生成され易く、その結果、バインダ樹脂の組成選択と無機蛍光体及びバインダ樹脂の調製に時間を要し、安定な分散液を得にくい。
他方、無機蛍光体(の前駆体)の形成方法として「液相法」を適用した場合には、元々の前駆体が均一な成分で粒子が形成されるため、その前駆体から形成された無機蛍光体は、粒子間及び粒子内のいずれでも表面状態の均一性が固相法で形成された無機蛍光体より優れている。そのため、液相法で形成された無機蛍光体は、表面エネルギーが低くてバインダ樹脂に馴染み易く、バインダ樹脂に対し分散させるのが容易である。以上から、液相法を用いて、本発明に係る蛍光体ペーストの一成分としての無機蛍光体を合成するのがよい。
また、上記の前駆体形成工程から蛍光体ペースト調整工程までの工程では、無機蛍光体とバインダ組成物との接触角が10〜30°(好ましくは15〜25°)となるように各処理を施して、無機蛍光体とバインダ組成物との間の濡れ性を制御する。当該接触角は、無機蛍光体とバインダ組成物との双方の組成、表面物性、表面形状等で調整可能であるが、無機蛍光体の前駆体が液相法により合成されているため、無機蛍光体の表面物性、表面形状等から、無機蛍光体とバインダ組成物との接触角を上記範囲に容易に収めることができる。またバインダ組成物の表面張力を上記範囲内に収めながら、表面張力調整剤として適用可能な上記非/水溶性アルコール類(グリコール類を含む。)や公知の界面活性剤をバインダ組成物に添加することも当該接触角の調整に有効である。
以上の前駆体形成工程から蛍光体ペースト調製工程までの各処理をおこなうことで、本発明に係る蛍光体ペーストを製造することができる。当該蛍光体ペーストでは、バインダ組成物の表面張力と、無機蛍光体とバインダ組成物との接触角が所定の値に規定されているため、当該蛍光体ペーストが焼成処理やその後の経時的変化を受けても、当該蛍光体ペースト自体の発光輝度が低下するのを確実に抑制することができる。
次に、図1を参照しながら本発明に係るプラズマディスプレイパネルについて説明する。ただし、電極の構造及び動作モードから大別すると、プラズマディスプレイパネルには、直流電圧を印加する「DC型」と交流電圧を印加する「AC型」とがあるが、図1にはAC型プラズマディスプレイパネルの概略構成の一例を示した。
プラズマディスプレイパネル8は、表示側に配置される前面板10と前面板10に対向する背面板20とを備えている。
前面板10は、可視光を透過する性質を具備し、その基板上に各種の情報表示を行うものである。当該前面板10はプラズマディスプレイパネル1の表示画面として機能するものであり、ソーダライムガラス(青板ガラス)等の可視光を透過する材料で構成されている。前面板10の厚さは1〜8mmの範囲であることが好ましく、2mmの範囲であることが更に好ましい。
前面板10には表示電極11、誘電体層12、保護層13等が設けられている。
表示電極11は前面板10の背面板20と対向する面に複数設けられており、各表示電極11は規則正しく配置されている。表示電極11は、幅広の帯状に形成された透明電極11aと、同じく帯状に形成されたバス電極11bとを備えており、透明電極11a上にバス電極11bが積層された構造を有している。バス電極11bはその幅が透明電極11aよりも狭く形成されている。表示電極11については、2つの表示電極11,11で組が構成されており、各表示電極11は所定の放電ギャップがあけられた状態で対向配置されている。
透明電極11aとしてはネサ膜等の透明電極を使用することができ、そのシート抵抗が100Ω以下であることが好ましい。透明電極11aは10〜200μmの範囲の幅を有しているのが好ましい。
バス電極11bは抵抗を下げるためのものであり、Cr/Cu/Crのスパッタリング等により形成されている。バス電極11bは5〜50μmの範囲の幅を有しているのが好ましい。
誘電体層12は前面板10の表示電極11が配された表面全体を覆っている。誘電体層12は低融点ガラス等の誘電物質から形成されている。誘電体層12は20〜30μmの範囲の厚さを有しているのが好ましい。誘電体層12の表面は保護層13により全体的に覆われている。保護層13としてはMgO膜を使用することができる。保護層13は0.5〜50μmの範囲の厚さを有しているのが好ましい。
背面板20にはアドレス電極21、誘電体層22、隔壁30、蛍光体膜35(35R,35G,35B)等が設けられている。
背面板20は、前面板10と同様に、ソーダライムガラス等で構成されている。背面板20の厚さは1〜8mmの範囲であることが好ましく、2mm程度であることが更に好ましい。
アドレス電極21は、背面板20上で前面板20と対向する面上に複数設けられている。アドレス電極21も、透明電極11aやバス電極11bと同様に帯状に形成されている。アドレス電極21は、表示電極11と直交した状態で複数設けられており、各アドレス電極21が互いに平行に等間隔をあけて配置されている。
アドレス電極21はAg厚膜電極等の金属電極で構成されている。アドレス電極21の幅は100〜200μmの範囲であることが好ましい。
誘電体層22は、背面板20のアドレス電極21が配された表面全体を覆っている。誘電体層22は低融点ガラス等の誘電物質から形成されている。誘電体層22は厚さが20〜30μmの範囲であることが好ましい。
誘電体層22上のアドレス電極21の両側方には、長尺に形成された隔壁30が配されている。隔壁30は背面板20側から前面板10側に立設されており、表示電極11と直交している。隔壁30は低融点ガラス等の誘電物質から形成されている。隔壁30の幅は10〜500μmの範囲であることが好ましく、100μm程度であることがより好ましい。隔壁30の高さ(厚み)は、通常、10〜100μmの範囲であり、50μm程度であることが好ましい。
上記隔壁30は、背面板20と前面板10との間をストライプ状に区画した複数の微少放電空間31(以下「放電セル31」という。)を形成しており、各放電セル31の内側には、Ar,Xe,He,Ne,Xe−Ne等の希ガスを主体とする放電ガスが封入されている。
放電セル31には、赤(R),緑(G),青(B)のいずれかに発光する蛍光体から構成された蛍光体膜35R,35G,35Bのいずれかが規則正しい順序で設けられている。1つの放電セル31内には、平面視において表示電極11とアドレス電極21が交差する点が多数存在するようになっており、これら1つ1つの交点を最小の発光単位として、左右方向に連続するR,G,Bの3つの発光単位により1画素を構成している。各蛍光体膜35R,35G,35Bの厚さは特に限定されないが、5〜50μmの範囲であることが好ましい。
蛍光体膜35G,35R,35Bは本発明に係る上記蛍光体ペーストから構成されており、その形成に当たっては、当該蛍光体ペーストを、放電セル31の側面と底面とに塗布するか又は放電セル31の内部に充填してその後乾燥及び焼成することにより、放電セル31の側面と底面とに蛍光体膜35G,35R,35Bを形成することができる。
なお、蛍光体ペーストを放電セル31(31R,31G,31B)に塗布又は充填する際には、スクリーン印刷法、フォトリソグラフィー法、フォトレジストフィルム法、インクジェット法等種々の方法を適用することができる。例えばスクリーン印刷法によって蛍光体ペーストをガラス基板の表面に所定のパターンに印刷し、形成された塗布膜を乾燥させることにより、本発明の蛍光体ペーストによるパターン層を形成することができる。このスクリーン印刷法は、蛍光体やガラスフリットが無機物質として含有されている組成物において特に有用な塗布法である。また、印刷形成された塗布膜の乾燥条件としては、例えば、加熱温度を60〜100℃とし、加熱時間を5〜30分とするのがよい。また、乾燥後におけるパターン層の厚さは例えば5〜200μmとされる。
また、インクジェット法は、隔壁30のピッチが狭く、放電セル31が微細に形成されている場合であっても、隔壁30間に低コストで容易に精度良く均一に蛍光体ペーストを塗布又は充填できるので、特に好ましい。
このようにして、所定の形状に成形された蛍光体ペースト又は当該蛍光体ペーストにより形成されたパターン層は、焼成されることによりバインダ樹脂、残留溶剤、有機系添加物等の有機物質が熱分解されて除去される。
なお、バインダ樹脂として含有されている乳酸系(共)重合体は400℃〜600℃の温度で完全に熱分解されるため、焼成温度が比較的低い温度であっても得られる蛍光体膜35R,35G,35B中にバインダ樹脂に由来する有機物質が残留することがない。また、焼成時の発熱量を少なくさせることができ、蛍光体膜35R,35G,35Bにバインダ樹脂の発熱による欠陥を生じさせることもない。
以上のプラズマディスプレイパネル8において、表示の際には、アドレス電極21と、1組の表示電極11,11のうちいずれか一方の表示電極11との間で、選択的にトリガー放電を行わせることにより、表示を行う放電セル31が選択される。その後、選択された放電セル31内において、1組の表示電極11,11間でサステイン放電を行わせることにより、放電ガスに起因する紫外線が生じ、蛍光体膜35R,35G,35Bから可視光が発生するようになっている。
以上のプラズマディスプレイパネル8では、蛍光体膜35R,35G,35Bが上記蛍光体ペーストから構成されているため、蛍光体膜35R,35G,35Bが経時的変化を受けても当該蛍光体膜35R,35G,35Bの発光輝度が低下するのを確実に抑制することができる。
(1)無機蛍光体
(1.1)無機蛍光体の作製
(1.1.1)無機蛍光体1の作製
ここでは、液相法を用いて無機蛍光体1を作製した。
具体的には、始めに、水1000mlを「A液」とし、シリコンのイオン濃度が0.50mol/lとなるようにメタケイ酸ナトリウムを水500mlに溶解させてこれを「B液」とし、亜鉛のイオン濃度が0.950mol/lでマンガンのイオン濃度が0.050mol/lとなるように塩化亜鉛と塩化マンガン四水和物とを水500mlに溶解させてこれを「C液」とした。
A液、B液及びC液を調製したら、図2に示すダブルジェット式反応装置1を用いて無機蛍光体1の前駆体を得た(前駆体形成工程)。
ダブルジェット式反応装置1について詳しく説明すると、当該ダブルジェット式反応装置1は、2種類以上の液体を同時に等速添加し、分散することができるものである。ダブルジェット式反応装置1は、液体を混合させる反応容器2と、反応容器2の内部を攪拌する攪拌翼3とを備えており、反応容器2の底部に、反応容器2の内部と連通可能な2本のパイプ4,5の一端部が接続されている。各パイプ4,5にはノズル6,7が設けられている。このような構成を具備するダブルジェット式反応装置1では、液体を貯留したタンクが各パイプ4,5の他端部に接続されており、各タンクから2本のパイプ4,5を通じて反応容器2の内部に液体を同時に等速で流入させ、当該反応容器2の内部で液体を混練できるようになっている。
当該前駆体形成工程では、具体的に、ダブルジェット式反応装置1の反応容器2にA液を入れて当該A液を40℃に保ちながら当該A液を攪拌翼3で攪拌した。その状態で、40℃に保ったB液及びC液をそれぞれパイプ4,5から100ml/minの添加速度で反応容器2中に等速添加・流入させ、A液、B液及びC液からなる混合液を10分間攪拌し続け、無機蛍光体1の前駆体を得た。
上記前駆体形成工程の処理を終えたら、当該前駆体形成工程で得た前駆体を濾過・乾燥した(乾燥工程)。その後、乾燥済みの前駆体を1200℃の窒素ガス雰囲気下で2時間焼成して「無機蛍光体1」を得た(無機蛍光体形成工程)。
(1.1.2)無機蛍光体2の作製
ここでは、固相法を用いて無機蛍光体2を作製した。
具体的には、始めに、原料としての酸化亜鉛(ZnO)と酸化ケイ素(SiO2)とを2対1のモル比で配合・混合し、その混合物に対し所定量の酸化マンガン(Mn23)を添加した。その後、酸化マンガンを含む酸化亜鉛と酸化ケイ素との混合物をボールミルで混合し、その第2の混合物を1200℃の窒素ガス雰囲気下で2時間焼成して「無機蛍光体2」を得た。
(1.2)無機蛍光体1,2の特性
(1.2.1)無機蛍光体1,2の単分散度の測定
レーザ回折散乱法を利用した粒度分布計(マイクロトラックHRA粒度分析計Model No.9320-X100)を用いて、各無機蛍光体1,2の粒度分布を測定し、その測定結果から各無機蛍光体1,2の平均粒径を導出し、その導出結果から所定の式に基づき各無機蛍光体1,2の単分散度(%)を算出した。その算出結果を下記表1に示した。
(1.2.2)無機蛍光体1,2の表層の組成比Zn/Siの測定
日東電工(株)製X線光電子分光分析装置(XPS)を用いて、各無機蛍光体1,2の表面から深さ10nmの部位までの表層をアルゴンイオンでエッチングしながら、当該表層のZn,Si量の分析をおこない、各無機蛍光体1,2の表層の組成比Zn/Siを算出した。その算出結果を下記表1に示した。
(2)バインダ組成物
(2.1)バインダ組成物の作製
下記各種添加剤を下記組成比で調合してバインダ組成物1〜5を得た。
(2.1.1)バインダ組成物1
エチルセルロール(エトキシ基の含有率50%) … 0.55質量%
ターピネオール … 94.55質量%
ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル … 4.9質量%
(2.1.2)バインダ組成物2
エチルセルロール(エトキシ基の含有率50%) … 0.55質量%
ターピネオール … 94.55質量%
ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル … 2.9質量%
ポリオキシエチレンアルキルエーテル … 2.0質量%
(2.1.3)バインダ組成物3
エチルセルロール(エトキシ基の含有率50%) … 0.55質量%
ターピネオール … 92.55質量%
ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル … 2.9質量%
ポリオキシエチレンアルキルエーテル … 4.0質量%
(2.1.4)バインダ組成物4
エチルセルロール(エトキシ基の含有率50%) … 0.7質量%
ターピネオール … 99.3質量%
(2.1.5)バインダ組成物5
エチルセルロール(エトキシ基の含有率50%) … 0.55質量%
ターピネオール … 91.00質量%
ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル … 3.45質量%
ポリオキシエチレンアルキルエーテル … 5.0質量%
(2.2)バインダ組成物1〜5の表面張力の測定
各バインダ組成物1〜5の適当量を採取し、それら採取物の表面張力を懸濁法により測定した。その測定結果を下記表1に示した。
(3)蛍光体ペースト
(3.1)蛍光体ペースト1〜10の作製
上記で作製した無機蛍光体1,2とバインダ組成物1〜5とを、下記表1に示した組み合わせで45:55の比で混合・懸濁し、その懸濁液をTHINKER社製泡とり練太郎MX-201で分散処理し、蛍光体ペースト1〜10を得た。
(3.2)蛍光体ペースト1〜10における接触角の測定
三ツ和理化学工業(株)製の固液界面解析装置を用いてバインダ組成物1〜5に対する無機蛍光体1,2の粉体100粒子の接触角を1粒子ごとに測定し、その平均値を蛍光体ペースト1〜10における無機蛍光体1,2とバインダ組成物1〜5との接触角とした。その結果(接触角)を下記表1に示した。
(4)プラズマディスプレイパネル
(4.1)プラズマディスプレイパネル1〜10の作製
蛍光体ペースト1〜10を用いて図1に示すものと同様のプラズマディスプレイパネル1〜10を作製した。下記表1に示す通り、プラズマディスプレイ1〜10の番号は、用いた蛍光体ペースト1〜10の番号に対応するものである。
具体的には、アドレス電極とその両側に隔壁とを備える背面板に対し、蛍光体ペースト1〜10をスクリーン塗布した。その後、当該蛍光体ペースト1〜10を120℃で乾燥させ、更に乾燥済みの蛍光体ペースト1〜10を500℃で1時間焼成し、背面板上の隔壁間に蛍光体層を形成した。
その後、蛍光体層を形成した背面板と、表示電極、誘電体層及びMgO保護層を備える前面板とを張り合わせるように対向させ、それら基板の周辺をシールガラスで封止した。このとき、背面板と前面板との間には約1mmのギャップをあけた。その後、背面板と前面板との間に、キセノン(Xe)とネオン(Ne)との混合ガスを封入し、それら基板間を気密密閉した状態でエージングをおこない、蛍光体ペースト1〜10に対応するプラズマディスプレイパネル1〜10を作製した。
Figure 2006117875
(5)蛍光体ペースト1〜10,プラズマディスプレイパネル1〜10の評価
(5.1)蛍光体ペースト1〜10の初期輝度
蛍光体ペースト1〜10について、プラズマディスプレイパネル1〜10の製造過程における焼成処理前の輝度(初期輝度)を測定した。具体的には、背面板に対しスクリーン印刷された状態の蛍光体ペースト1〜10を真空チャンバ内に設置して当該真空チャンバ内を0.1torrの真空度に保ち、その状態で一定の距離から146nmの励起光(光源としてウシオ電機製エキシマランプを使用した。)を蛍光体ペースト1〜10に照射し、当該蛍光体ペースト1〜10の発光輝度を測定してその測定値を初期輝度とした。各蛍光体ペースト1〜10の初期輝度を下記表2に示した。ただし、表2に示す初期輝度は、蛍光体ペースト10の測定値を「100%」とした相対値である。
(5.2)焼成処理に伴う蛍光体ペースト1〜10の輝度維持率の測定
蛍光体ペースト1〜10について、プラズマディスプレイパネル1〜10の製造過程における焼成処理に伴う輝度維持率を測定した。具体的には、蛍光体ペースト1〜10について焼成処理後の発光輝度を上記(5.1)と同様にして測定し、上記(5.1)で測定した蛍光体ペースト1〜10の発光輝度を100%としてその輝度維持率(%)(=(焼成処理後の発光輝度)/(焼成処理前の発光輝度))を算出した。その算出結果を下記表2に示した。
(5.3)経時的変化を伴うプラズマディスプレイパネル1〜10の輝度維持率の測定
プラズマディスプレイパネル1〜10について、電極に同等維持電圧(170Vの交流電圧)を印加した。そして、印加直後のプラズマディスプレイパネル1〜10の発光輝度と、10000時間印加し続けた後のプラズマディスプレイパネル1〜10の発光輝度とを測定し、プラズマディスプレイパネル1〜10ごとに、印加直後の発光輝度に対する10000時間経過後の発光輝度、すなわち輝度維持率(%)(=(10000時間経過後の発光輝度)/(印加直後の発光輝度))を算出した。その算出結果を下記表2に示した。
Figure 2006117875
表2に示す通り、蛍光体ペースト1〜3,6〜8はそれ以外の蛍光体ペーストより初期輝度及び輝度維持率が高く、それに対応するプラズマディスプレイパネル1〜3,6〜8もそれ以外のプラズマディスプレイパネルより輝度維持率が高い。このことから、蛍光体ペーストが、バインダ組成物の表面張力が0.5×10-2〜15×10-2Nm-1で、かつ、無機蛍光体とバインダ組成物との接触角が10〜30°であれば、発光輝度の低下を確実に抑制するのに有用であることがわかる。
また、蛍光体ペースト1〜3,6〜8の中でも、蛍光体ペースト1〜3は初期輝度及び及び輝度維持率が高く、それに対応するプラズマディスプレイパネル1〜3も輝度維持率が高い。このことから、液相法を用いて無機蛍光体を合成することが、発光輝度の低下を確実に抑制するのに有用であることがわかる。
プラズマディスプレイの一例を示した斜視図である。 ダブルジェット反応装置の概略構成図である。
符号の説明
1 ダブルジェット式反応装置
8 プラズマディスプレイパネル
31(31R,31B,35G) 放電セル
35(35R,35B,35G) 蛍光体膜

Claims (4)

  1. 無機蛍光体、バインダ樹脂及び溶剤を含有する蛍光体ペーストにおいて、
    前記バインダ樹脂を前記溶剤に溶解させたバインダ組成物の表面張力が0.5×10-2〜15×10-2Nm-1で、かつ、前記無機蛍光体と前記バインダ組成物との接触角が10〜30°であることを特徴とする蛍光体ペースト。
  2. 請求項1に記載の蛍光体ペーストにおいて、
    前記無機蛍光体が、液相法を用いて合成されていることを特徴とする蛍光体ペースト。
  3. 請求項1又は2に記載の蛍光体ペーストにおいて、
    前記無機蛍光体が、
    マンガンを付活したケイ酸亜鉛系蛍光体で、かつ、表面から深さ10nmの部位までの表層の組成比Zn/Siが1.5〜2.2であることを特徴とする蛍光体ペースト。
  4. 放電現象が惹起される放電セルと、
    前記放電セルでの放電現象に伴い励起して蛍光を発する蛍光体膜と、
    を備え、
    前記蛍光体膜が、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光体ペーストから構成されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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