JP2006117856A - アクリル系多孔質基材および接着シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 製膜が容易であり、また厚さの設計の自由度が高いアクリル系多孔質基材の製造方法を提供する。
【解決手段】 (メタ)アクリル酸アルキルエステル60〜99.99重量%、官能基を有する重合性単量体0.01〜10重量%および他の重合性単量体0〜39.99重量%を、水分散した状態で重合させて、アクリル系共重合体の水分散液を得、この水分散液を流延して、凍結乾燥により水媒体を除去すると共に、アクリル系共重合体に含まれる上記官能基を利用して架橋反応させることを特徴とするアクリル系多孔質基材の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、アクリル系共重合体の水分散液を使用したアクリル系多孔質基材の製造方法に関するものであり、またこの方法で得られるアクリル系多孔質基材に接着性を付与した接着シートの製造方法に関するものである。
自動車、車両、船舶、航空機、建築、建材、家電(電化製品)、OA機器、ディスプレイ(看板等)、機械部品、一般市販用等、種々の分野において、以前には、機械的接合が行われていた部分に接着剤が使用されることが多くなってきた。
接着剤は、一般に、異なる物性を有する被着物を相互に接着するため、接着強度が高いことはもちろん、接着剤自体の剪断強度が高く、しかも形態追随性が良いことが必要とされている。接着剤の使用形態には、無定形の液状接着剤のほか、定形の接着剤として、シート状、フィルム状、テープ状、ラベル状等の種々の形態とされた接着シートがあるが、この接着シートに上記した性能が強く求められている。
接着剤は、一般に、異なる物性を有する被着物を相互に接着するため、接着強度が高いことはもちろん、接着剤自体の剪断強度が高く、しかも形態追随性が良いことが必要とされている。接着剤の使用形態には、無定形の液状接着剤のほか、定形の接着剤として、シート状、フィルム状、テープ状、ラベル状等の種々の形態とされた接着シートがあるが、この接着シートに上記した性能が強く求められている。
このような接着シートとして、アクリル系共重合体を架橋構造化した、実質的に気泡を含まない樹脂マトリックス中に中空粒子を分散させてなるアクリル系シートを基材とし、その両面に接着剤層を設けたものが提案されている(特許文献1参照)。
ここで、基材であるアクリル系シートは、アクリル系単量体と官能基を有する単量体を乳化重合してアクリル系共重合体の水分散液を得、これに上記の官能基に対して反応性を有する多官能化合物と中空粒子を混合分散させ、脱泡後、剥離性支持体上に塗布し、加熱乾燥して架橋構造化する方法により、作製される。
特許第3505583号公報
ここで、基材であるアクリル系シートは、アクリル系単量体と官能基を有する単量体を乳化重合してアクリル系共重合体の水分散液を得、これに上記の官能基に対して反応性を有する多官能化合物と中空粒子を混合分散させ、脱泡後、剥離性支持体上に塗布し、加熱乾燥して架橋構造化する方法により、作製される。
上記の提案方法で得られる接着シートは、基材であるアクリル系シートが、アクリル系共重合体を架橋構造化してなる樹脂マトリックスへの中空粒子の充填効果により、応力分散の向上に寄与して、被着体に対する追従性にすぐれたものとなり、接着力、剪断力等、良好な接着性能を発揮するものとされている。
しかしながら、上記アクリル系シートの作製にあたり、アクリル系共重合体の水分散液中に多量の中空粒子を混合分散させる必要があり、その均一分散には手間がかかり、均質性能の製膜を行いにくいという難点がある。また、膜厚が中空粒子の大きさなどによって規制されるため、薄手の製膜が難しく、特に剥離性支持体上に上記分散液を薄く塗工するとはじかれてしまい、薄手の製膜を難しくしている。
本発明は、このような事情に照らして、製膜が容易であり、また厚さの設計の自由度が高いアクリル系多孔質基材の製造方法を提供すること、さらにこの多孔質基材を使用した接着シートの製造方法を提供することを課題としている。
しかしながら、上記アクリル系シートの作製にあたり、アクリル系共重合体の水分散液中に多量の中空粒子を混合分散させる必要があり、その均一分散には手間がかかり、均質性能の製膜を行いにくいという難点がある。また、膜厚が中空粒子の大きさなどによって規制されるため、薄手の製膜が難しく、特に剥離性支持体上に上記分散液を薄く塗工するとはじかれてしまい、薄手の製膜を難しくしている。
本発明は、このような事情に照らして、製膜が容易であり、また厚さの設計の自由度が高いアクリル系多孔質基材の製造方法を提供すること、さらにこの多孔質基材を使用した接着シートの製造方法を提供することを課題としている。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意検討した結果、アクリル系単量体と官能基を有する単量体を乳化重合してアクリル系共重合体の水分散液を得、この水分散液を流延し、凍結乾燥により水媒体を除去すると共に、アクリル系共重合体に含まれる上記の官能基を利用して架橋反応させることにより、均質性能のアクリル系多孔質基材として、上記の凍結乾燥による水媒体の除去で均一に多孔質化しかつ架橋構造化したアクリル系共重合体からなる膜が得られることがわかった。
この方法によると、前記提案方法のように中空粒子を多量混合分散させる必要がなく、均一分散のための煩わしさがないので、製膜が容易であり、また膜厚が中空粒子の大きさ等によって規制されないため、厚手から薄手まで任意の厚さの製膜が可能となり、特に、アクリル系共重合体の水分散液の流延、凍結乾燥による水媒体の除去、架橋反応の一連の操作を、支持体や剥離性支持体上で行うだけでなく、剥離性支持体上に設けられた接着剤層面上で行うこともでき、この場合、薄く塗工したときのはじきの問題も回避でき、薄手の製膜がさらに容易となることがわかった。
この方法によると、前記提案方法のように中空粒子を多量混合分散させる必要がなく、均一分散のための煩わしさがないので、製膜が容易であり、また膜厚が中空粒子の大きさ等によって規制されないため、厚手から薄手まで任意の厚さの製膜が可能となり、特に、アクリル系共重合体の水分散液の流延、凍結乾燥による水媒体の除去、架橋反応の一連の操作を、支持体や剥離性支持体上で行うだけでなく、剥離性支持体上に設けられた接着剤層面上で行うこともでき、この場合、薄く塗工したときのはじきの問題も回避でき、薄手の製膜がさらに容易となることがわかった。
このように、本発明者らは、上記の方法により、製膜が容易で、厚さの設計の自由度が高いアクリル系多孔質基材を得ることができ、この基材は、中空粒子の添加を特に必要としないため、弾性率が低く、その片面または両面に接着剤層を設けることで、被着体に対する追随性にすぐれ、剥離力、剪断力に対する抵抗性を有して、180度剥離接着力、耐クリープ接着力(保持力)、定荷重剥離力を満足し、特に基材の厚さを自由に設計できるので、基材の厚さに応じた上記接着性能、中でも、所望の定荷重剥離力を有する接着シートを製造できることがわかり、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル60〜99.99重量%、官能基を有する重合性単量体0.01〜10重量%および他の重合性単量体0〜39.99重量%を、水分散した状態で重合させて、アクリル系共重合体の水分散液を得、この水分散液を流延して、凍結乾燥により水媒体を除去すると共に、アクリル系共重合体に含まれる上記の官能基を利用して架橋反応させることを特徴とするアクリル系多孔質基材の製造方法に係るものである。
特に、本発明は、上記の架橋反応に際し、水分散液中にアクリル系共重合体に含まれる官能基に対して反応性を有する多官能化合物を混合しておき、これと上記官能基との間で架橋反応させる上記構成のアクリル系多孔質基材の製造方法、中でも、官能基を有する重合性単量体がα,β−不飽和カルボン酸で、多官能化合物が多官能エポキシ化合物である上記構成のアクリル系多孔質基材の製造方法を提供できるものである。
また、本発明は、官能基を有する重合性単量体が自己反応性の官能基を有し、この官能基の自己反応性により架橋反応させる上記構成のアクリル系多孔質基材の製造方法、中でも、自己反応性の官能基を有する重合性単量体が上記官能基としてアルコキシシリル基を有する上記構成のアクリル系多孔質基材の製造方法を提供できるものである。
特に、本発明は、上記の架橋反応に際し、水分散液中にアクリル系共重合体に含まれる官能基に対して反応性を有する多官能化合物を混合しておき、これと上記官能基との間で架橋反応させる上記構成のアクリル系多孔質基材の製造方法、中でも、官能基を有する重合性単量体がα,β−不飽和カルボン酸で、多官能化合物が多官能エポキシ化合物である上記構成のアクリル系多孔質基材の製造方法を提供できるものである。
また、本発明は、官能基を有する重合性単量体が自己反応性の官能基を有し、この官能基の自己反応性により架橋反応させる上記構成のアクリル系多孔質基材の製造方法、中でも、自己反応性の官能基を有する重合性単量体が上記官能基としてアルコキシシリル基を有する上記構成のアクリル系多孔質基材の製造方法を提供できるものである。
さらに、本発明は、上記いずれかの方法で得られたアクリル系多孔質基材と、このアクリル系多孔質基材の片面もしくは両面に接着剤層を有することを特徴とする接着シート、特に、アクリル系多孔質基材と接着剤層とが架橋反応により一体化されている上記構成の接着シートを提供できるものである。ここで、上記の接着シートには、シート状のほか、フィルム状、テープ状、ラベル状等の種々の形態が含まれる。
また、本発明は、このような接着シートの製造方法として、支持体または剥離性支持体上で、前記いずれかの方法により、アクリル系共重合体の水分散液の流延、凍結乾燥による水媒体の除去および架橋反応の一連の工程を行って、アクリル系多孔質基材を得、このアクリル系多孔質基材の片面または両面に接着剤層を設けることを特徴とする接着シートの製造方法を提供できるものである。
さらに、本発明は、上記接着シートの別の製造方法として、剥離性支持体上に設けられた接着剤層面上で、前記いずれかの方法により、アクリル系共重合体の水分散液の流延、凍結乾燥による水媒体の除去および架橋反応の一連の工程を行って、片面に接着剤層を持つアクリル系多孔質基材を得ることを特徴とする接着シートの製造方法と、またこの方法により得られた片面に接着剤層を持つアクリル系多孔質基材の反対面に別の接着剤層を設けることを特徴とする接着シートの製造方法とを提供できるものである。
また、本発明は、このような接着シートの製造方法として、支持体または剥離性支持体上で、前記いずれかの方法により、アクリル系共重合体の水分散液の流延、凍結乾燥による水媒体の除去および架橋反応の一連の工程を行って、アクリル系多孔質基材を得、このアクリル系多孔質基材の片面または両面に接着剤層を設けることを特徴とする接着シートの製造方法を提供できるものである。
さらに、本発明は、上記接着シートの別の製造方法として、剥離性支持体上に設けられた接着剤層面上で、前記いずれかの方法により、アクリル系共重合体の水分散液の流延、凍結乾燥による水媒体の除去および架橋反応の一連の工程を行って、片面に接着剤層を持つアクリル系多孔質基材を得ることを特徴とする接着シートの製造方法と、またこの方法により得られた片面に接着剤層を持つアクリル系多孔質基材の反対面に別の接着剤層を設けることを特徴とする接着シートの製造方法とを提供できるものである。
このように、本発明の方法では、アクリル系共重合体の水分散液の流延、凍結乾燥による水媒体の除去、架橋反応からなる一連の工程により、厚手から薄手まで、任意の厚さのアクリル系多孔質基材を製造容易に作製できる。
一般に、剥離性支持体上にチキソトロピーな流動性の水分散液を流延すると、その粘度を上げてもミクロン単位の薄層でははじきやすくなり、均一流延が難しい。これに対し、本発明の方法では、剥離性支持体上に設けられた接着剤層面上に上記流動性の水分散液を流延することもでき、この場合、上記はじきの問題を生じず、薄層の均一流延が可能となって、多孔質基材の薄層化を容易に実現でき、しかも多孔質基材作製用の剥離性支持体が不要となるため、経済性の面等でも有利となる。
また、本発明においては、このように製造容易に作製できるアクリル系多孔質基材の片面または両面に接着剤層を設けることにより、被着体に対する追随性にすぐれ、剥離力、剪断力に対する抵抗性を有し、180度剥離接着力、耐クリープ接着力(保持力)、定荷重剥離力等の接着性能を高度に満足する接着シートを作製できる。
一般に、剥離性支持体上にチキソトロピーな流動性の水分散液を流延すると、その粘度を上げてもミクロン単位の薄層でははじきやすくなり、均一流延が難しい。これに対し、本発明の方法では、剥離性支持体上に設けられた接着剤層面上に上記流動性の水分散液を流延することもでき、この場合、上記はじきの問題を生じず、薄層の均一流延が可能となって、多孔質基材の薄層化を容易に実現でき、しかも多孔質基材作製用の剥離性支持体が不要となるため、経済性の面等でも有利となる。
また、本発明においては、このように製造容易に作製できるアクリル系多孔質基材の片面または両面に接着剤層を設けることにより、被着体に対する追随性にすぐれ、剥離力、剪断力に対する抵抗性を有し、180度剥離接着力、耐クリープ接着力(保持力)、定荷重剥離力等の接着性能を高度に満足する接着シートを作製できる。
本発明のアクリル系多孔質基材の製造方法においては、まず、アクリル系単量体として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用し、これに官能基を有する重合性単量体と必要により他の重合性単量体を加えた単量体混合物を、水分散した状態で重合させることにより、アクリル系共重合体の水分散液を調製する。
ここで、上記の単量体混合物中、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは60〜99.99重量%、好ましくは70〜99.9重量%、官能基を有する重合性単量体は0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%で、他の重合性単量体は0〜39.99重量%、好ましくは0〜29.5重量%であるのがよい。
ここで、上記の単量体混合物中、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは60〜99.99重量%、好ましくは70〜99.9重量%、官能基を有する重合性単量体は0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%で、他の重合性単量体は0〜39.99重量%、好ましくは0〜29.5重量%であるのがよい。
上記の単量体混合物中、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが60重量%に満たないと、アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)が高くなり、低温での柔軟性が低下する。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが99.99重量%を超え、官能基を有する重合性単量体が0.01重量%に満たないと、アクリル系共重合体の凝集力が極端に低下してポリマー物性が悪くなり、さらに官能基を有する重合性単量体が10重量%を超えると、アクリル系共重合体の耐水性や柔軟性が低下する。
また、他の重合性単量体が39.99重量%を超えると、(メタ)アクリル酸アルキルエステルや官能基を有する重合性単量体の量が相対的に減少してくるため、アクリル系共重合体の柔軟性や耐久性等の面で好結果が得られにくい。
また、他の重合性単量体が39.99重量%を超えると、(メタ)アクリル酸アルキルエステルや官能基を有する重合性単量体の量が相対的に減少してくるため、アクリル系共重合体の柔軟性や耐久性等の面で好結果が得られにくい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜18、特に1〜12であるものが好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ノルマルブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノルマルオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中から、その1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
官能基を有する重合性単量体には、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なエチレン性二重結合を有し、かつカルボキシル基、アミド基、水酸基、グリシジル基等、多官能化合物と反応する官能基を有する化合物が用いられる。
カルボキシル基を有する重合性単量体としては、通常1〜2個のカルボキシル基を有するα,β−不飽和カルボン酸が用いられる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、α−メチルクロトン酸、α−エチルクロトン酸、イソクロトン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸等が挙げられ、その1種または2種以上が用いられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
カルボキシル基を有する重合性単量体としては、通常1〜2個のカルボキシル基を有するα,β−不飽和カルボン酸が用いられる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、α−メチルクロトン酸、α−エチルクロトン酸、イソクロトン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸等が挙げられ、その1種または2種以上が用いられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
また、アミド基を有する重合性単量体としては、(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。さらに、水酸基を有する重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル等が挙げられる。また、グリシジル基を有する重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
官能基を有する重合性単量体としては、官能基として上記のような多官能化合物と反応する官能基を有する化合物のほかに、自己反応性の官能基を有する化合物を用いることもできる。このような化合物を共重合成分としたアクリル系共重合体は、官能基の自己反応性を利用して架橋反応させることができるので、多官能化合物をあえて後添加しなくてもアクリル系多孔質基材としての凝集力を高めることができる。
このような自己反応性の官能基を有する重合性単量体としては、アルコキシシリル基を有する重合性単量体が特に好ましく用いられる。具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。その他、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブチロール(メタ)アクリルアミド等のN−アルキロール基を有する重合性単量体、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−メトキシアルキル基を有する重合性単量体を使用することもできる。
このような自己反応性の官能基を有する重合性単量体としては、アルコキシシリル基を有する重合性単量体が特に好ましく用いられる。具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。その他、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブチロール(メタ)アクリルアミド等のN−アルキロール基を有する重合性単量体、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−メトキシアルキル基を有する重合性単量体を使用することもできる。
必要により使用される他の重合性単量体は、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび官能基を有する重合性単量体と共重合可能な単量体であればよく、この単量体の使用により、得られるアクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)を高くしたり、弾性率を変化させる等、ポリマーの特性を改質することができる。
具体的には、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基を有する重合性単量体、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等のフェニル基を有する重合性単量体、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシ基を有する重合性単量体が挙げられる。そのほか、ノルボルネン基やハロゲン原子を有する重合性単量体も使用でき、さらに酢酸ビニル等の公知の各種の重合性単量体を使用することができる。
具体的には、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基を有する重合性単量体、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等のフェニル基を有する重合性単量体、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシ基を有する重合性単量体が挙げられる。そのほか、ノルボルネン基やハロゲン原子を有する重合性単量体も使用でき、さらに酢酸ビニル等の公知の各種の重合性単量体を使用することができる。
本発明では、上記の単量体混合物を水分散した状態で重合させる、つまり、水媒体中で乳化重合させることにより、アクリル系共重合体の水分散液を調製する。
乳化重合に際し、適宜の界面活性剤が用いられる。この界面活性剤は、アニオン性、ノニオン性またはカチオン性のいずれでもよく、アニオン性または/およびノニオン性の界面活性剤を複数種併用してもよい。また、単量体と共重合性を有する反応性界面活性剤も必要により用いられる。界面活性剤は、単量体混合物100重量部あたり、通常0.1〜10重量部の割合で使用される。界面活性剤が過少では、重合時の液の安定性を十分に確保できないことがあり、また過多となると、重合後の液の粘度が上がりすぎたり、接着剤層の基材に対する投錨性が十分に確保できないことがある。
乳化重合に際し、適宜の界面活性剤が用いられる。この界面活性剤は、アニオン性、ノニオン性またはカチオン性のいずれでもよく、アニオン性または/およびノニオン性の界面活性剤を複数種併用してもよい。また、単量体と共重合性を有する反応性界面活性剤も必要により用いられる。界面活性剤は、単量体混合物100重量部あたり、通常0.1〜10重量部の割合で使用される。界面活性剤が過少では、重合時の液の安定性を十分に確保できないことがあり、また過多となると、重合後の液の粘度が上がりすぎたり、接着剤層の基材に対する投錨性が十分に確保できないことがある。
また、乳化重合に際し、適宜の重合開始剤が用いられる。この重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤、アゾビスイミダゾリニルプロパン、アゾビスシアノバレリアン酸またはその塩等のアゾビス系開始剤、水溶性の過酸化物、レドックス系等の公知の開始剤を使用できる。このような重合開始剤は、反応条件や物性を考慮して、その種類や添加量を適宜決定することができる。
乳化重合の方式は、窒素等の不活性ガス雰囲気下、蒸留水やイオン交換水を使用して、単量体、界面活性剤、重合開始剤等を反応容器内にすべて投入して重合させる、一括仕込み方式を採用してもよいし、上記重合原料のどれか1種または多種を重合反応経過と共に反応容器内に添加していく、滴下方式を採用してもよい。また、これらを適宜組み合わせた方式でもよく、さらに水媒体を用いた他の方式でもよい。
乳化重合は、反応温度を通常40〜85℃、反応時間を通常3〜12時間とするのがよい。重合後のアクリル系共重合体の水分散液は、アンモニア水等の揮発性アルカリ性物質を加えてpH値を調整し、粘度調節や液の安定化を図ってもよい。
乳化重合は、反応温度を通常40〜85℃、反応時間を通常3〜12時間とするのがよい。重合後のアクリル系共重合体の水分散液は、アンモニア水等の揮発性アルカリ性物質を加えてpH値を調整し、粘度調節や液の安定化を図ってもよい。
このようにして得られるアクリル系共重合体の水分散液は、重合体粒子の平均粒子径が通常0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下に調整されているのがよい。このように重合体粒子の粒子径の小さい水分散液は、粘度が高くかつチキソトロピー性があり、シート形成用の水分散液として特に好ましい。また、この水分散液の不揮発分(固形分)は、通常30〜65重量%であるのが望ましい。不揮発分が30重量%未満となると、水分散液の粘度が低くなる傾向があり、流延塗工時に塗面が不均一になりやすい。また、不揮発分が65%重量を超えると、水分散液の調整が困難となる。
本発明において、上記したアクリル系共重合体の水分散液中に、アクリル系共重合体の分子内に含まれる官能基(官能基を有する重合性単量体に由来する官能基)に対して反応性を有する多官能化合物を混合する。ただし、上記官能基が自己反応性を有するものではこのような多官能化合物をあえて混合しなくてもよい。
多官能化合物の使用量は、その種類により異なるが、アクリル系共重合体100重量部あたり、通常0.01〜10重量部とするのがよい。多官能化合物の水分散液への溶解性が低いものでは、必要によりトルエン、キシレン、酢酸エチル、アルコール等の有機溶剤で希釈し、通常1重量%以上の溶液として混合してもよい。
多官能化合物の使用量は、その種類により異なるが、アクリル系共重合体100重量部あたり、通常0.01〜10重量部とするのがよい。多官能化合物の水分散液への溶解性が低いものでは、必要によりトルエン、キシレン、酢酸エチル、アルコール等の有機溶剤で希釈し、通常1重量%以上の溶液として混合してもよい。
多官能化合物としては、アクリル系共重合体に含まれる官能基の種類に応じて、各種の化合物が用いられる。たとえば、上記官能基がカルボキシル基の場合、多官能エポキシ化合物、金属キレート化合物、多官能イソシアネート化合物等が用いられ、またアミド基や水酸基の場合、多官能イソシアネート化合物等が用いられ、さらにグリシジル基の場合、酸無水物、金属キレート化合物、アミン化合物、ヒドラジン誘導体、イミダゾール誘導体等が用いられる。特に、官能基を有する重合性単量体としてα,β−不飽和カルボン酸を用いて、アクリル系共重合体にカルボキシル基を導入し、これと反応させる多官能化合物として多官能エポキシ化合物を用いる組み合わせが最も望ましい。
なお、上記官能基がN−アルキロール基の場合、自己反応性を有するため、多官能化合物をあえて使用しなくても、架橋反応させることができる。しかし、N−アルキロール基と反応する多官能化合物を用いて、架橋反応を行わせてよく、この場合の多官能化合物には、多価カルボン酸、酸無水物、金属キレート化合物等が用いられる。
なお、上記官能基がN−アルキロール基の場合、自己反応性を有するため、多官能化合物をあえて使用しなくても、架橋反応させることができる。しかし、N−アルキロール基と反応する多官能化合物を用いて、架橋反応を行わせてよく、この場合の多官能化合物には、多価カルボン酸、酸無水物、金属キレート化合物等が用いられる。
本発明において、アクリル系共重合体の水分散液中には、上記の多官能化合物のほか、アクリル系多孔質基材に所望の機能を付与するために、必要に応じて、中空粒子を配合したり、無機質充填剤や有機質充填剤等の充填剤を配合することができる。また、その他、滑り剤、着色剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤等の各種の添加剤を配合することもできる。
中空粒子には、非晶質無機材料、結晶質無機材料、高分子材料等、種々の材料で形成した粒子を使用できる。具体的には、代表的な非晶質中空粒子であるガラスバルーン、天然物から合成されるシラスバルーン、結晶性成分を有するセラミックバルーン、ポリマー粒子バルーン、有機質バルーン、カーボンバルーン等が挙げられる。また、これらのバルーンを芯材として、このバルーンの表面を各種の無機質材料、有機質材料、金属材料またはセラミック材料等で改質した複合中空粒子であってもよい。
中空粒子の形状は、不定形であってもよいが、アクリル系多孔質基材に応力がかかった場合の3次元方向への応力分散性能を考慮すると、球状であるのが好ましい。また、多数の微細孔が形成されたシラスバルーンをアクリル系共重合体の水分散液中に配合すると、水分散液の粘度が高くなると共に、この水分散液に良好なチキソトロピー性が付与され、流延塗工適性を極めて良好となるため、望ましい。
中空粒子の形状は、不定形であってもよいが、アクリル系多孔質基材に応力がかかった場合の3次元方向への応力分散性能を考慮すると、球状であるのが好ましい。また、多数の微細孔が形成されたシラスバルーンをアクリル系共重合体の水分散液中に配合すると、水分散液の粘度が高くなると共に、この水分散液に良好なチキソトロピー性が付与され、流延塗工適性を極めて良好となるため、望ましい。
無機質充填剤には、シリカ、ケイ藻土、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、酸化バリウム、軽石、アルミナ繊維等の酸化物、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリナイト、ベントナイト等のケイ酸塩、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維等の炭素類が用いられる。
他の無機質充填剤として、硫化モリブデン、ボロン繊維、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、炭化ケイ素繊維、黄銅繊維、単結晶チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛等も使用できる。
有機質充填剤には、モミ殻、木炭、ジュート、木綿、木粉、紙細片、セロハン片、芳香族ポリアミド繊維、セルロース繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、各種ポリマー微粒子材料等が挙げられる。これらの有機質充填剤は、単独でまたは組み合わせて使用してもよく、無機質充填剤と併用してもよい。
他の無機質充填剤として、硫化モリブデン、ボロン繊維、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、炭化ケイ素繊維、黄銅繊維、単結晶チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛等も使用できる。
有機質充填剤には、モミ殻、木炭、ジュート、木綿、木粉、紙細片、セロハン片、芳香族ポリアミド繊維、セルロース繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、各種ポリマー微粒子材料等が挙げられる。これらの有機質充填剤は、単独でまたは組み合わせて使用してもよく、無機質充填剤と併用してもよい。
このように多官能化合物や各種の配合剤を混合して調製される水分散液において、その固形分濃度は、アクリル系共重合体の粒子径等により異なるが、通常30〜65重量%、好ましくは40〜60重量%であるのがよい。30重量%未満では、粘度が低すぎて流延塗工が不均一になりやすく、また乾燥速度が遅く、アクリル系多孔質基材の強度も弱くなりすい。65重量%は、乳化重合で水分散液を合成する濃度として上限に近い。この水分散液の粘度としては、通常70〜500ポイズ程度であるのがよい。
アクリル系共重合体の水分散液において、粘度の調節が必要な場合は、乳化重合段階でのアクリル系共重合体の粒子径の調節、重合後の増粘剤の添加やアルカリ増粘等により、適宜調節することができる。また、粘度増加や、チキソトロピー性付与、さらには弾性増加の目的で、アクリル系共重合体の水分散液中に微粒子シリカ、有機系微粒子、ミクロゲル等の架橋ポリマーゲル微粒子等を添加してもよい。
アクリル系共重合体の水分散液において、粘度の調節が必要な場合は、乳化重合段階でのアクリル系共重合体の粒子径の調節、重合後の増粘剤の添加やアルカリ増粘等により、適宜調節することができる。また、粘度増加や、チキソトロピー性付与、さらには弾性増加の目的で、アクリル系共重合体の水分散液中に微粒子シリカ、有機系微粒子、ミクロゲル等の架橋ポリマーゲル微粒子等を添加してもよい。
本発明においては、このように調製されるアクリル系共重合体の水分散液を使用して、これを、支持体または剥離性支持体上に流延する。この流延は、ダイコーター(Tダイ)等の適宜の塗布装置を用いて、行うことができる。流延時の厚さとしては、特に限定されないが、通常は、0.01〜10mm程度であるのがよい。
支持体には、プラスチックフィルム、金属薄葉体、布などが用いられる。プラスチックフィルムでは、表面にコロナ処理や下塗り処理したものを用いると、この上に形成されるアクリル系多孔質基材が良好に密着一体化するため、望ましい。
剥離性支持体には、剥離処理した剥離紙やプラスチックフィルム、具体的には、フッ素系ポリマーやシリコーン系ポリマー等で剥離処理したグラシン紙、上記と同様に剥離処理したポリオレフィン、ポリエステル等のプラスチックフィルムが用いられる。
支持体には、プラスチックフィルム、金属薄葉体、布などが用いられる。プラスチックフィルムでは、表面にコロナ処理や下塗り処理したものを用いると、この上に形成されるアクリル系多孔質基材が良好に密着一体化するため、望ましい。
剥離性支持体には、剥離処理した剥離紙やプラスチックフィルム、具体的には、フッ素系ポリマーやシリコーン系ポリマー等で剥離処理したグラシン紙、上記と同様に剥離処理したポリオレフィン、ポリエステル等のプラスチックフィルムが用いられる。
このように流延したのち、直ちに凍結し、この凍結状態で減圧乾燥する。凍結操作は、流延した水分散液を均一に凍結させるため、極めて短時間に凍結させるのがよい。通常は−10℃以下で凍結させるのが好ましく、より好ましくは−20℃以下、さらに好ましくは−30℃以下で凍結させるのがよい。このように凍結した状態で減圧乾燥し、水分散液中に含まれる水分や揮発性物を除去すると、アクリル系共重合体からなる重合体粒子が相互に融着して一体化しかつ多孔質化した膜を形成する。
つぎに、通常は、この多孔質化した膜を構成するアクリル系共重合体に含まれる官能基(官能基を有する重合性単量体に由来する)を利用して架橋反応させ、つまり上記官能基と多官能化合物とを架橋反応させたり、上記官能基の自己反応性を利用して架橋反応させ、多孔質化した膜の架橋構造化を進め、アクリル系多孔質基材を作製する。
ただし、自己反応性の官能基を有する重合性単量体としてアルコキシシリル基を有する重合性単量体を使用したものでは、前記の減圧乾燥時に架橋することがあり、この場合、上記した架橋反応のための工程を省くことができる。
つぎに、通常は、この多孔質化した膜を構成するアクリル系共重合体に含まれる官能基(官能基を有する重合性単量体に由来する)を利用して架橋反応させ、つまり上記官能基と多官能化合物とを架橋反応させたり、上記官能基の自己反応性を利用して架橋反応させ、多孔質化した膜の架橋構造化を進め、アクリル系多孔質基材を作製する。
ただし、自己反応性の官能基を有する重合性単量体としてアルコキシシリル基を有する重合性単量体を使用したものでは、前記の減圧乾燥時に架橋することがあり、この場合、上記した架橋反応のための工程を省くことができる。
このように作製されるアクリル系多孔質基材は、剥離性支持体から剥離された単品の基材として、または支持体と一体化された支持体付き基材として、利用される。アクリル系多孔質基材の厚さは、特に限定されないが、通常0.01〜10mmであり、またこの多孔質基材中の気泡含有率は、通常35〜70容量%である。
このような単品または支持体付きのアクリル系多孔質基材に対し、その片面または両面に接着剤層を設けて、接着性を付与することにより、シート状、フィルム状、テープ状、ラベル状等の種々の形態の接着シートを作製する。ここで、接着剤層の厚さは、特に限定されないが、通常10〜100μmとするのが望ましく、また接着シート全体の厚さは、通常0.05〜10mmとするのが望ましい。
このような単品または支持体付きのアクリル系多孔質基材に対し、その片面または両面に接着剤層を設けて、接着性を付与することにより、シート状、フィルム状、テープ状、ラベル状等の種々の形態の接着シートを作製する。ここで、接着剤層の厚さは、特に限定されないが、通常10〜100μmとするのが望ましく、また接着シート全体の厚さは、通常0.05〜10mmとするのが望ましい。
接着剤には、接着シートの用途、被着体の種類等に応じて、溶剤型、水分散型、紫外線硬化型等の種々のタイプの接着剤、特に感圧接着剤が用いられる。
接着剤として、アクリル系共重合体等の接着性ポリマー中に官能基(自己反応性の官能基を含む)を導入したり、上記官能基に対して反応性を有する多官能化合物を含ませた接着剤を使用し、この接着剤層とアクリル系多孔質基材に残存する官能基や多官能化合物と架橋反応させて一体化するのが望ましい。これにより、接着シートの耐熱接着性、耐高荷重保持性等を向上させることができるので、望ましい。
接着剤は、アクリル系多孔質基材の表面に直接塗布する方法で設けてもよいし、また、剥離性支持体上に塗布した接着剤層をアクリル系多孔質基材上に貼り付けて転写する方法で設けてもよく、その設け方は任意であり、特に限定されない。
接着剤として、アクリル系共重合体等の接着性ポリマー中に官能基(自己反応性の官能基を含む)を導入したり、上記官能基に対して反応性を有する多官能化合物を含ませた接着剤を使用し、この接着剤層とアクリル系多孔質基材に残存する官能基や多官能化合物と架橋反応させて一体化するのが望ましい。これにより、接着シートの耐熱接着性、耐高荷重保持性等を向上させることができるので、望ましい。
接着剤は、アクリル系多孔質基材の表面に直接塗布する方法で設けてもよいし、また、剥離性支持体上に塗布した接着剤層をアクリル系多孔質基材上に貼り付けて転写する方法で設けてもよく、その設け方は任意であり、特に限定されない。
本発明の接着シートは、上記とは異なる方法により作製することもできる。すなわち、この方法は、剥離性支持体上に設けられた接着剤層上に、アクリル系多孔質基材作製用のアクリル系共重合体の水分散体を流延し、これを前記同様に凍結乾燥し、さらに架橋反応させることにより、アクリル系多孔質基材の作製と同時に、その片面に接着剤層を持つ接着シートを作製するものである。
また、この片面に接着剤層を持つ接着シートの反対面に別の接着剤層を直接塗布したり貼り付けて転写することにより、両面接着シートを作製することもできる。これらの方法においても、片面または両面の接着剤層とアクリル系多孔質基材との間で架橋反応による一体化を、前記と同様にはかることもできる。
また、この片面に接着剤層を持つ接着シートの反対面に別の接着剤層を直接塗布したり貼り付けて転写することにより、両面接着シートを作製することもできる。これらの方法においても、片面または両面の接着剤層とアクリル系多孔質基材との間で架橋反応による一体化を、前記と同様にはかることもできる。
このように剥離性支持体上に設けられた接着剤層上でアクリル系多孔質基材を作製する方法は、アクリル系多孔質基材の厚さを可及的に薄くし、接着シート全体の厚さを薄く設計する方法として、特に適した方法である。
すなわち、剥離性支持体上にアクリル系共重合体の水分散液を液厚さで例えば10μm以下と薄く流延する場合は、上記水分散液の粘度を上げたとしても、水分散液がはじきやすくなり、流延塗工が難しくなるという問題がある。
これに対して、剥離性支持体上に設けられた接着剤層上に流延すると、上記水分散液のはじきの発生がほとんどなくなり、薄層のアクリル系多孔質基材を容易に作製でき、接着シート全体の薄層化にも貢献できる。また、アクリル系多孔質基材作製用の剥離性支持体を省けるため、コスト低減等の面でも好結果が得られる。
すなわち、剥離性支持体上にアクリル系共重合体の水分散液を液厚さで例えば10μm以下と薄く流延する場合は、上記水分散液の粘度を上げたとしても、水分散液がはじきやすくなり、流延塗工が難しくなるという問題がある。
これに対して、剥離性支持体上に設けられた接着剤層上に流延すると、上記水分散液のはじきの発生がほとんどなくなり、薄層のアクリル系多孔質基材を容易に作製でき、接着シート全体の薄層化にも貢献できる。また、アクリル系多孔質基材作製用の剥離性支持体を省けるため、コスト低減等の面でも好結果が得られる。
つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例にのみ限定されるものではない。なお、以下の記載において、部とあるのは重量部を意味するものとする。
<アクリル系共重合体の水分散液(A1)の合成>
脱イオン水40部にポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム3部を溶解させた乳化剤水溶液に、アクリル酸エチル86部、アクリロニトリル10部、メタクリル酸2部およびメタクリル酸2−ヒドロキシエチル2部からなる単量体混合物を、撹拌下に分散させて滴下用水分散液153部を調製した。
これとは別に、撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却装置を備えたガラス製反応器に、脱イオン水40部を入れ、さらに過硫酸アンモニウム0.3部を加えて、開始剤水溶液を調製した。
このガラス製反応器内に窒素ガスを導入し、反応器内の空気を窒素ガスで置換したのち開始剤水溶液を65℃に加熱し、滴下ロートから上記の滴下用水分散液153部を180分かけて滴下し、乳化重合を行った。この間、反応液の温度を65℃に5時間保持した。その後、脱イオン水5部に過硫酸アンモニウム0.1部を溶かした開始剤水溶液を加えて反応液の温度を80℃に2時間維持して、重合反応を完結させた。
冷却後、得られたエマルジョンにアンモニア水を添加し、pH値を8.0に調整して、アクリル系共重合体の水分散液(A1)を調製した。この水分散液(A1)は、不揮発分が55重量%で、ポリマー粒子の平均粒子径が0.12μmであった。また、B型粘度計による粘度測定(No5ローター使用)の結果、30rpmでは240ポイズ/30℃、300rpmでは80ポイズ/30℃であった。
脱イオン水40部にポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム3部を溶解させた乳化剤水溶液に、アクリル酸エチル86部、アクリロニトリル10部、メタクリル酸2部およびメタクリル酸2−ヒドロキシエチル2部からなる単量体混合物を、撹拌下に分散させて滴下用水分散液153部を調製した。
これとは別に、撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却装置を備えたガラス製反応器に、脱イオン水40部を入れ、さらに過硫酸アンモニウム0.3部を加えて、開始剤水溶液を調製した。
このガラス製反応器内に窒素ガスを導入し、反応器内の空気を窒素ガスで置換したのち開始剤水溶液を65℃に加熱し、滴下ロートから上記の滴下用水分散液153部を180分かけて滴下し、乳化重合を行った。この間、反応液の温度を65℃に5時間保持した。その後、脱イオン水5部に過硫酸アンモニウム0.1部を溶かした開始剤水溶液を加えて反応液の温度を80℃に2時間維持して、重合反応を完結させた。
冷却後、得られたエマルジョンにアンモニア水を添加し、pH値を8.0に調整して、アクリル系共重合体の水分散液(A1)を調製した。この水分散液(A1)は、不揮発分が55重量%で、ポリマー粒子の平均粒子径が0.12μmであった。また、B型粘度計による粘度測定(No5ローター使用)の結果、30rpmでは240ポイズ/30℃、300rpmでは80ポイズ/30℃であった。
<アクリル系多孔質基材および接着シートの作製>
アクリル系共重合体の水分散液(A1)40部に対して、4官能エポキシ化合物(N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、三菱瓦斯化学社製の「TETRAD−X」)の10重量%トルエン溶液を1部配合し、撹拌混合して、アクリル系多孔質基材形成用の水分散液(B1−1)を調製した。この水分散液(B1−1)は、不揮発分濃度が55重量%であった。
この水分散液(B1−1)を、シリコーンで剥離処理した厚さが38μmのポリエステルフィルムからなる剥離性支持体の上に、アプリケータで塗布流延し、直ちに−60℃の冷凍庫に入れて凍結した。これを減圧乾燥機に入れて凍結した状態で減圧乾操した。その後、40℃で7日キュアして、アクリル系多孔質基材を作製した。この基材の厚さは、200μm、空隙率は0.40であった。上記の空隙率は、アクリル系多孔質基材の真比重をρ、アクリル系多孔質基材の体積v(cc)の重量をw(g)としたとき、空隙率xは、x=1−〔w/(vρ)〕として、求めることができる。
これとは別に、上記の水分散液(B1−1)を、下記の方法で剥離性支持体上に作製した接着剤層(C1)の上に、アプリケータで塗布流延し、直ちに−60℃の冷凍庫に入れて凍結した。これを減圧乾燥機に入れて凍結した状態で減圧乾操した。その後、40℃で7日キュアして、片面に接着剤層を持つアクリル系多孔質基材を作製した。その際、基材の厚さと空隙率は、前記と同じ値となるように調整した。つぎに、このアクリル系多孔質基材の反対面に、別の接着剤層(C1)を貼り合わせ、40℃で7日キュアして、両面側に接着剤層を有する両面接着シートを作製した。
アクリル系共重合体の水分散液(A1)40部に対して、4官能エポキシ化合物(N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、三菱瓦斯化学社製の「TETRAD−X」)の10重量%トルエン溶液を1部配合し、撹拌混合して、アクリル系多孔質基材形成用の水分散液(B1−1)を調製した。この水分散液(B1−1)は、不揮発分濃度が55重量%であった。
この水分散液(B1−1)を、シリコーンで剥離処理した厚さが38μmのポリエステルフィルムからなる剥離性支持体の上に、アプリケータで塗布流延し、直ちに−60℃の冷凍庫に入れて凍結した。これを減圧乾燥機に入れて凍結した状態で減圧乾操した。その後、40℃で7日キュアして、アクリル系多孔質基材を作製した。この基材の厚さは、200μm、空隙率は0.40であった。上記の空隙率は、アクリル系多孔質基材の真比重をρ、アクリル系多孔質基材の体積v(cc)の重量をw(g)としたとき、空隙率xは、x=1−〔w/(vρ)〕として、求めることができる。
これとは別に、上記の水分散液(B1−1)を、下記の方法で剥離性支持体上に作製した接着剤層(C1)の上に、アプリケータで塗布流延し、直ちに−60℃の冷凍庫に入れて凍結した。これを減圧乾燥機に入れて凍結した状態で減圧乾操した。その後、40℃で7日キュアして、片面に接着剤層を持つアクリル系多孔質基材を作製した。その際、基材の厚さと空隙率は、前記と同じ値となるように調整した。つぎに、このアクリル系多孔質基材の反対面に、別の接着剤層(C1)を貼り合わせ、40℃で7日キュアして、両面側に接着剤層を有する両面接着シートを作製した。
<接着剤層(C1)の作製>
アクリル酸ブチル88部とアクリロニトリル5部と酢酸ビニル5部とアクリル酸2部とのアクリル系共重合体の酢酸エチル溶液(ポリマー濃度30重量%)100部に、4官能エポキシ化合物(三菱瓦斯化学社製の「TETRAD−X」)の10重量%トルエン溶液を0.3部配合し、撹拌混合して、アクリル系感圧接着剤溶液を調製した。
このアクリル系感圧接着剤溶液を、シリコーンで剥離処理した厚さが38μmのポリエステルフィルムからなる剥離性支持体の上に、アプリケータで塗布し、100℃で3分間乾燥して、膜厚が30μmの接着剤層(C1)を作製した。
アクリル酸ブチル88部とアクリロニトリル5部と酢酸ビニル5部とアクリル酸2部とのアクリル系共重合体の酢酸エチル溶液(ポリマー濃度30重量%)100部に、4官能エポキシ化合物(三菱瓦斯化学社製の「TETRAD−X」)の10重量%トルエン溶液を0.3部配合し、撹拌混合して、アクリル系感圧接着剤溶液を調製した。
このアクリル系感圧接着剤溶液を、シリコーンで剥離処理した厚さが38μmのポリエステルフィルムからなる剥離性支持体の上に、アプリケータで塗布し、100℃で3分間乾燥して、膜厚が30μmの接着剤層(C1)を作製した。
<アクリル系多孔質基材および接着シートの作製>
アクリル系共重合体の水分散液(A1)40部に、4官能エポキシ化合物(三菱瓦斯化学社製の「TETRAD−X」)の10重量%トルエン溶液を1部と蒸留水10部とを配合し、撹拌混合して、アクリル系多孔質基材形成用の水分散液(B1−2)を調製した。この水分散液(B1−2)は、不揮発分濃度が44重量%であった。
この水分散液(B1−2)を、水分散液(B1−1)に代えて使用した以外は、実施例1と同様にして、剥離性支持体上にアクリル系多孔質基材を作製した。この基材の厚さは200μm、空隙率は0.50であった。また、実施例1と同様にして、アクリル系多孔質基材の厚さおよび空隙率が上記と同じ値となる両面接着シートを作製した。
アクリル系共重合体の水分散液(A1)40部に、4官能エポキシ化合物(三菱瓦斯化学社製の「TETRAD−X」)の10重量%トルエン溶液を1部と蒸留水10部とを配合し、撹拌混合して、アクリル系多孔質基材形成用の水分散液(B1−2)を調製した。この水分散液(B1−2)は、不揮発分濃度が44重量%であった。
この水分散液(B1−2)を、水分散液(B1−1)に代えて使用した以外は、実施例1と同様にして、剥離性支持体上にアクリル系多孔質基材を作製した。この基材の厚さは200μm、空隙率は0.50であった。また、実施例1と同様にして、アクリル系多孔質基材の厚さおよび空隙率が上記と同じ値となる両面接着シートを作製した。
<アクリル系多孔質基材および接着シートの作製>
アクリル系共重合体の水分散液(A1)40部に、4官能エポキシ化合物(三菱瓦斯化学社製の「TETRAD−X」)の10重量%トルエン溶液を1部と蒸留水20部とを配合し、撹拌混合して、アクリル系多孔質基材形成用の水分散液(B1−3)を調製した。この水分散液(B1−3)は、不揮発分濃度が33重量%であった。
この水分散液(B1−3)を、水分散液(B1−1)に代えて使用した以外は、実施例1と同様にして、剥離性支持体上にアクリル系多孔質基材を作製した。この基材の厚さは190μm、空隙率は0.55であった。また、実施例1と同様にして、アクリル系多孔質基材の厚さおよび空隙率が上記と同じ値となる両面接着シートを作製した。
アクリル系共重合体の水分散液(A1)40部に、4官能エポキシ化合物(三菱瓦斯化学社製の「TETRAD−X」)の10重量%トルエン溶液を1部と蒸留水20部とを配合し、撹拌混合して、アクリル系多孔質基材形成用の水分散液(B1−3)を調製した。この水分散液(B1−3)は、不揮発分濃度が33重量%であった。
この水分散液(B1−3)を、水分散液(B1−1)に代えて使用した以外は、実施例1と同様にして、剥離性支持体上にアクリル系多孔質基材を作製した。この基材の厚さは190μm、空隙率は0.55であった。また、実施例1と同様にして、アクリル系多孔質基材の厚さおよび空隙率が上記と同じ値となる両面接着シートを作製した。
<アクリル系多孔質基材および接着シートの作製>
実施例2で調製した水分散液(B1−2)を、水分散液(B1−1)に代えて使用した以外は、実施例1と同様にして、剥離性支持体上に厚さが10μmとなる薄層のアクリル系多孔質基材を作製してみた。しかし、剥離性支持体への塗布流延時に著しくはじきが発生して、上記薄層のアクリル系多孔質基材を作製できなかった。
一方、上記の水分散液(B1−2)を、実施例1と同様にして、剥離性支持体上に作製された接着剤層(C1)の上に塗布流延し、厚さが上記と同じ10μmの薄層のアクリル系多孔質基材を作製してみた。この場合、上記のようなはじきが発生せず、片面に接着剤層を持つ薄層のアクリル系多孔質基材を作製できた。
このアクリル系多孔質基材の空隙率は0.50であった。つぎに、この片面に接着剤層を持つアクリル系多孔質基材の反対面に、実施例1と同様にして、別の接着剤層(C1)を貼り合わせて、両面接着シートを作製した。
実施例2で調製した水分散液(B1−2)を、水分散液(B1−1)に代えて使用した以外は、実施例1と同様にして、剥離性支持体上に厚さが10μmとなる薄層のアクリル系多孔質基材を作製してみた。しかし、剥離性支持体への塗布流延時に著しくはじきが発生して、上記薄層のアクリル系多孔質基材を作製できなかった。
一方、上記の水分散液(B1−2)を、実施例1と同様にして、剥離性支持体上に作製された接着剤層(C1)の上に塗布流延し、厚さが上記と同じ10μmの薄層のアクリル系多孔質基材を作製してみた。この場合、上記のようなはじきが発生せず、片面に接着剤層を持つ薄層のアクリル系多孔質基材を作製できた。
このアクリル系多孔質基材の空隙率は0.50であった。つぎに、この片面に接着剤層を持つアクリル系多孔質基材の反対面に、実施例1と同様にして、別の接着剤層(C1)を貼り合わせて、両面接着シートを作製した。
実施例2で調製した水分散液(B1−2)を、水分散液(B1−1)に代えて使用した以外は、実施例1と同様にして、剥離性支持体上に厚さが180μm、空隙率が0.45であるアクリル系多孔質基材を作製した。
つぎに、このアクリル系多孔質基材の両面に、それぞれ、実施例1で剥離性支持体上に作製した接着剤層(C1)を貼り合わせ、40℃で7日キュアすることにより、両面側に接着剤層を有する両面接着シートを作製した。
つぎに、このアクリル系多孔質基材の両面に、それぞれ、実施例1で剥離性支持体上に作製した接着剤層(C1)を貼り合わせ、40℃で7日キュアすることにより、両面側に接着剤層を有する両面接着シートを作製した。
<アクリル系共重合体の水分散液(A2)の合成>
脱イオン水40部にポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル3部を溶解させた乳化剤水溶液に、アクリル酸ブチル30部、アクリル酸エチル53部、アクリロニトリル15部およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2部からなる混合物を、撹拌下に分散させて滴下用水分散液153部を調製した。
この滴下用水分散液153部を使用した以外は、実施例1と同様にして、重合反応を行った。冷却後、得られたエマルジョンにアンモニア水を添加し、pH値を8.0に調整して、アクリル系共重合体の水分散液(A2)を調製した。この水分散液(A2)は、不揮発分が55重量%で、ポリマー粒子の平均粒子径が0.18μmであった。また、B型粘度計による粘度測定(No5ローター使用)の結果、30rpmでは20ポイズ/30℃、300rpmでは70ポイズ/30℃であった。
脱イオン水40部にポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル3部を溶解させた乳化剤水溶液に、アクリル酸ブチル30部、アクリル酸エチル53部、アクリロニトリル15部およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2部からなる混合物を、撹拌下に分散させて滴下用水分散液153部を調製した。
この滴下用水分散液153部を使用した以外は、実施例1と同様にして、重合反応を行った。冷却後、得られたエマルジョンにアンモニア水を添加し、pH値を8.0に調整して、アクリル系共重合体の水分散液(A2)を調製した。この水分散液(A2)は、不揮発分が55重量%で、ポリマー粒子の平均粒子径が0.18μmであった。また、B型粘度計による粘度測定(No5ローター使用)の結果、30rpmでは20ポイズ/30℃、300rpmでは70ポイズ/30℃であった。
<アクリル系多孔質基材および接着シートの作製>
アクリル系共重合体の水分散液(A2)40部に、蒸留水10部を配合し、撹拌混合して、アクリル系多孔質基材形成用の水分散液(B2)を調製した。この水分散液(B2)は、不揮発分濃度が55重量%であった。
この水分散液(B2)を、コロナ処理した厚さが25μmのポリプロピレンフィルムからなる支持体の上に、アプリケータで塗布流延し、直ちに−60℃の冷凍庫に入れて凍結した。これを減圧乾燥機に入れて凍結した状態で減圧乾操した。その後、40℃で7日キュアして、支持体付きのアクリル系多孔質基材を作製した。このアクリル系多孔質基材の厚さは200μm、空隙率は0.50であった。
これとは別に、上記の水分散液(B2)を、下記の方法で剥離性支持体上に作製した接着剤層(C2)の上に、アプリケータで塗布流延し、直ちに−60℃の冷凍庫に入れて凍結した。これを減圧乾燥機に入れて凍結した状態で減圧乾操した。その後、40℃で7日キュアして、片面に接着剤層を持つアクリル系多孔質基材を作製した。その際、基材の厚さと空隙率は、前記と同じ値となるように調整した。つぎに、このアクリル系多孔質基材の反対面に、別の接着剤層(C2)を貼り合わせ、40℃で7日キュアして、両面側に接着剤層を有する両面接着シートを作製した。
アクリル系共重合体の水分散液(A2)40部に、蒸留水10部を配合し、撹拌混合して、アクリル系多孔質基材形成用の水分散液(B2)を調製した。この水分散液(B2)は、不揮発分濃度が55重量%であった。
この水分散液(B2)を、コロナ処理した厚さが25μmのポリプロピレンフィルムからなる支持体の上に、アプリケータで塗布流延し、直ちに−60℃の冷凍庫に入れて凍結した。これを減圧乾燥機に入れて凍結した状態で減圧乾操した。その後、40℃で7日キュアして、支持体付きのアクリル系多孔質基材を作製した。このアクリル系多孔質基材の厚さは200μm、空隙率は0.50であった。
これとは別に、上記の水分散液(B2)を、下記の方法で剥離性支持体上に作製した接着剤層(C2)の上に、アプリケータで塗布流延し、直ちに−60℃の冷凍庫に入れて凍結した。これを減圧乾燥機に入れて凍結した状態で減圧乾操した。その後、40℃で7日キュアして、片面に接着剤層を持つアクリル系多孔質基材を作製した。その際、基材の厚さと空隙率は、前記と同じ値となるように調整した。つぎに、このアクリル系多孔質基材の反対面に、別の接着剤層(C2)を貼り合わせ、40℃で7日キュアして、両面側に接着剤層を有する両面接着シートを作製した。
<接着剤層(C2)の作製>
アクリル酸ブチル93部とアクリロニトリル5部とメタクリル酸2部とγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.2部とのアクリル系共重合体の酢酸エチル溶液(ポリマー濃度30重量%)からなるアクリル系感圧接着剤溶液を調製した。
つぎに、このアクリル系感圧接着剤溶液を、ポリテトラフルオロエチレン処理紙からなる剥離性支持体の上に、アプリケータで塗布したのち、100℃で3分間乾燥して、膜厚が30μmの接着剤層(C2)を作製した。
アクリル酸ブチル93部とアクリロニトリル5部とメタクリル酸2部とγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.2部とのアクリル系共重合体の酢酸エチル溶液(ポリマー濃度30重量%)からなるアクリル系感圧接着剤溶液を調製した。
つぎに、このアクリル系感圧接着剤溶液を、ポリテトラフルオロエチレン処理紙からなる剥離性支持体の上に、アプリケータで塗布したのち、100℃で3分間乾燥して、膜厚が30μmの接着剤層(C2)を作製した。
比較例1
アクリル系共重合体の水分散液(A1)に4官能エポキシ化合物(三菱瓦斯化学社製の「TETRAD−X」)の10重量%トルエン溶液を配合せず、上記の水分散液(A1)をそのままアクリル系多孔質基材形成用の水分散液とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル系多孔質基材を作製した。この基材の厚さは200μm、空隙率は0.40であった。また、上記の水分散液(A1)を用いて、実施例1と同様にして、アクリル系多孔質基材の厚さおよび空隙率が上記と同じ値となる両面接着シートを作製した。
アクリル系共重合体の水分散液(A1)に4官能エポキシ化合物(三菱瓦斯化学社製の「TETRAD−X」)の10重量%トルエン溶液を配合せず、上記の水分散液(A1)をそのままアクリル系多孔質基材形成用の水分散液とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル系多孔質基材を作製した。この基材の厚さは200μm、空隙率は0.40であった。また、上記の水分散液(A1)を用いて、実施例1と同様にして、アクリル系多孔質基材の厚さおよび空隙率が上記と同じ値となる両面接着シートを作製した。
上記の実施例1〜6および比較例1で作製した両面接着シートについて、下記の方法により、90度定荷重剥離力を測定した。結果は、表1に示されるとおりであった。なお、表1には、参考のため、アクリル系多孔質基材形成用の水分散液の濃度、作製されたアクリル系多孔質基材の厚さおよび空隙率を、併記した。
<90度定荷重剥離力>
両面接着シートを、コロナ放電処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に貼り合わせ、1kgローラーで2往復圧着して、常態(23℃、65%RH)で24時間保持した試料を作製した。
この試料を20mm×20mm角にカットし、これを304ステンレス板に20mm×100mmの長さだけ貼り合わせ、1kgローラーにて2往復圧着した。このステンレス板の試料を常態に3日間保持したのち、40℃にて水平に置いたステンレス板と直角(鉛直)になるように両面接着シートの一端に500gの荷重をかけ、6時間後にこの両面接着シートがステンレス板から剥がれた距離(mm)を測定した。
両面接着シートを、コロナ放電処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に貼り合わせ、1kgローラーで2往復圧着して、常態(23℃、65%RH)で24時間保持した試料を作製した。
この試料を20mm×20mm角にカットし、これを304ステンレス板に20mm×100mmの長さだけ貼り合わせ、1kgローラーにて2往復圧着した。このステンレス板の試料を常態に3日間保持したのち、40℃にて水平に置いたステンレス板と直角(鉛直)になるように両面接着シートの一端に500gの荷重をかけ、6時間後にこの両面接着シートがステンレス板から剥がれた距離(mm)を測定した。
表1
┌────┬────────┬─────────────┬─────────┐
│ │多孔質基材形成用│ アクリル系多孔質基材 │90度定荷重剥離力│
│ │の水分散液 ├──────┬──────┤ 〔剥離長さ〕 │
│ │ 濃度(重量%)│厚さ(μm)│ 空隙率 │ (mm) │
├────┼────────┼──────┼──────┼─────────┤
│ │ │ │ │ │
│実施例1│ 55 │ 200 │ 0.40 │ 10 │
│ │ │ │ │ │
│実施例2│ 44 │ 200 │ 0.50 │ 15 │
│ │ │ │ │ │
│実施例3│ 33 │ 190 │ 0.55 │ 30 │
│ │ │ │ │ │
│実施例4│ 44 │ 10 │ 0.50 │ 50 │
│ │ │ │ │ │
│実施例5│ 44 │ 180 │ 0.45 │ 20 │
│ │ │ │ │ │
│実施例6│ 50 │ 200 │ 0.50 │ 15 │
│ │ │ │ │ │
├────┼────────┼──────┼──────┼─────────┤
│ │ │ │ │ │
│比較例1│ 44 │ 200 │ 0.40 │ 落下(>100)│
│ │ │ │ │ │
└────┴────────┴──────┴──────┴─────────┘
┌────┬────────┬─────────────┬─────────┐
│ │多孔質基材形成用│ アクリル系多孔質基材 │90度定荷重剥離力│
│ │の水分散液 ├──────┬──────┤ 〔剥離長さ〕 │
│ │ 濃度(重量%)│厚さ(μm)│ 空隙率 │ (mm) │
├────┼────────┼──────┼──────┼─────────┤
│ │ │ │ │ │
│実施例1│ 55 │ 200 │ 0.40 │ 10 │
│ │ │ │ │ │
│実施例2│ 44 │ 200 │ 0.50 │ 15 │
│ │ │ │ │ │
│実施例3│ 33 │ 190 │ 0.55 │ 30 │
│ │ │ │ │ │
│実施例4│ 44 │ 10 │ 0.50 │ 50 │
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│実施例5│ 44 │ 180 │ 0.45 │ 20 │
│ │ │ │ │ │
│実施例6│ 50 │ 200 │ 0.50 │ 15 │
│ │ │ │ │ │
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│ │ │ │ │ │
│比較例1│ 44 │ 200 │ 0.40 │ 落下(>100)│
│ │ │ │ │ │
└────┴────────┴──────┴──────┴─────────┘
上記の表1から明らかなように、本発明の実施例1〜6の方法によれば、厚さの自由度の高いアクリル系多孔質基材を製造容易に作製できると共に、このアクリル系多孔質基材の厚さに応じた所望の90度定荷重剥離力を示す、接着性能に格段にすぐれた接着シートを製造容易に作製できるものであることがわかる。
Claims (11)
- (メタ)アクリル酸アルキルエステル60〜99.99重量%、官能基を有する重合性単量体0.01〜10重量%および他の重合性単量体0〜39.99重量%を、水分散した状態で重合させて、アクリル系共重合体の水分散液を得、この水分散液を流延して、凍結乾燥により水媒体を除去すると共に、アクリル系共重合体に含まれる上記の官能基を利用して架橋反応させることを特徴とするアクリル系多孔質基材の製造方法。
- 架橋反応に際し、水分散液中にアクリル系共重合体に含まれる官能基に対して反応性を有する多官能化合物を混合しておき、これと上記官能基との間で架橋反応させる請求項1に記載のアクリル系多孔質基材の製造方法。
- 官能基を有する重合性単量体がα,β−不飽和カルボン酸で、多官能化合物が多官能エポキシ化合物である請求項2に記載のアクリル系多孔質基材の製造方法。
- 官能基を有する重合性単量体が自己反応性の官能基を有し、この官能基の自己反応性により架橋反応させる請求項1に記載のアクリル系多孔質基材の製造方法。
- 自己反応性の官能基を有する重合性単量体が上記官能基としてアルコキシシリル基を有する請求項4に記載のアクリル系多孔質基材の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかの方法で得られたアクリル系多孔質基材。
- 請求項6に記載のアクリル系多孔質基材の片面もしくは両面に接着剤層を有することを特徴とする接着シート。
- アクリル系多孔質基材と接着剤層とが架橋反応により一体化されている請求項7に記載の接着シート。
- 支持体または剥離性支持体上で、請求項1〜5のいずれかの方法により、アクリル系共重合体の水分散液の流延、凍結乾燥による水媒体の除去および架橋反応の一連の工程を行って、アクリル系多孔質基材を得、このアクリル系多孔質基材の片面または両面に接着剤層を設けることを特徴とする接着シートの製造方法。
- 剥離性支持体上に設けられた接着剤層面上で、請求項1〜5のいずれかの方法により、アクリル系共重合体の水分散液の流延、凍結乾燥による水媒体の除去および架橋反応の一連の工程を行って、片面に接着剤層を持つアクリル系多孔質基材を得ることを特徴とする接着シートの製造方法。
- 請求項10の方法により得られた片面に接着剤層を持つアクリル系多孔質基材の反対面に別の接着剤層を設けることを特徴とする接着シートの製造方法。
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JP2004309020A JP2006117856A (ja) | 2004-10-25 | 2004-10-25 | アクリル系多孔質基材および接着シートの製造方法 |
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JP2017179132A (ja) * | 2016-03-30 | 2017-10-05 | 積水化学工業株式会社 | 両面粘着テープ |
-
2004
- 2004-10-25 JP JP2004309020A patent/JP2006117856A/ja active Pending
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