JP2006117652A - 高分子修飾剤及びタンパク質を含有する医薬組成物 - Google Patents

高分子修飾剤及びタンパク質を含有する医薬組成物 Download PDF

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裕司 粕谷
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Abstract

【課題】
新規な共重合体及びタンパク質を含有する、タンパク質の血中滞留性を顕著に促進させることが可能な医薬組成物を創生すること。
【解決手段】
下記一般式(I)
【化1】
Figure 2006117652

(上記式中、mは整数、Alk、RおよびRは、独立してC‐Cアルキル基等を示す。)で表される互いに異なる1以上の構造単位、及び、式(II)
【化2】
Figure 2006117652

(上記式中、Rは、水酸基等を示す。)で表される互いに異なる1以上の構造単位を構成単位とする共重合体又はその薬理上許容される塩、並びに、タンパク質を含有する医薬組成物。

【選択図】なし

Description

本発明は、新規共重合体又は化合物、並びに、それらを用いた医薬組成物、タンパク質修飾剤、及び、タンパク質との複合体等に関する。
タンパク質の高分子修飾は、安定性の向上、血中滞留性の向上、および抗原性の低下などを目的として、盛んに行われてきた。(例えば、非特許文献1等参照)。
上記の高分子修飾では、通常、化学的な修飾、すなわち、タンパク質と高分子性修飾剤とを共有結合で結合させる方法がとられる(例えば、特許文献1等参照)。一方、薬物の高分子による修飾方法としては、非共有結合による修飾ができ得ることが知られている(特許文献2)。即ち、特許文献2では非イオン性高分子をグラフト鎖とし、負電荷を有する高分子を主鎖とするグラフト共重合体が、生理的条件下で正に帯電し得る物質、例えば、正電荷を有するリポソームやポリ-L-リジンと包摂複合体を形成し、血中滞留性を向上させることが開示されている。なお、特許文献3には、タンパク質と水溶性高分子を有機溶媒の存在下、特定条件において混合すると、徐放性の微粒子が得られることが記載されている。これらの高分子の内、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物を構成単位とするポリマレイン酸化合物系共重合体(例えば、特許文献4、特許文献5等参照)は結合力に優れるが、無水マレイン酸部分とタンパク質との非特異的結合のため、結合反応条件に依存して均一性の劣悪な高分子−タンパク質複合体が生成するという問題があった。特に、共重合体とタンパク質との間の無秩序な架橋構造の形成によって薬理学上好ましくない粗大な複合体が形成されることは深刻な問題であった。また、このような共重合体とタンパク質との複合体を動物に投与した場合の、目的とするタンパク質の血中滞留性の改善は不十分であった。
従って、タンパク質との間に形成される複合体の均一性が高く(すなわち該タンパク質との無秩序な架橋形成が抑制され)、且つ、該タンパク質の活性を良好に保持し、且つ、該複合体を投与した時の該タンパク質の血中滞留性の優れるような高分子修飾剤が期待されていた。
F. M. VeroneseとJ. M. Harris編、「Peptide and Protein Pegylation」、Advanced Drug Delivery Reviews, 54(4)、2002年 国際公開WO97/23614号パンフレット 特開平11−302199号公報 国際公開WO99/02131号パンフレット 日本特許第3035675号公報 日本特許第3271265号公報
本発明者らは、各種タンパク質修飾剤について鋭意検討した。その結果、タンパク質との間に形成される複合体の均一性が高く(すなわち該タンパク質との無秩序な架橋形成が抑制され)、該タンパク質の活性を良好に保持し、且つ、該複合体を投与した時の該タンパク質の血中滞留性を顕著に促進させることが可能な新規な共重合体又は化合物を創製することに成功し、本発明を完成した。
本発明は、

すなわち本発明は、
(1)下記式(I)
Figure 2006117652
(上記式中、mは3乃至100の整数、Alkは、C−Cアルキレン基を示し、RおよびRは、独立してA)水素原子、B)C−Cアルキル基又はC)次に挙げる基から選択される少なくともひとつで置換されたC−Cアルキル基(水酸基、ハロゲン原子、C−C14アリール基(該アリール基は置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されていてもよい))を示す。)で表される互いに同じか、又は、互いに異なる1以上の構造単位、及び、式(II)
Figure 2006117652
(上記式中、Rは、A)水酸基、B)C−Cアルコキシ基、C)以下から選択される少なくともひとつで置換されたC−Cアルコキシ基(水酸基、ハロゲン原子、C−C14アリール基及び置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されたC−C14アリール基)、D)置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されてもよいC−C14アリールオキシ基、又は、E)式‐NR(式中、R及びRは独立してa)水素原子、b)C−Cアルキル基、又は、c)以下から選択される少なくともひとつで置換されたC−Cアルキル基(水酸基、ハロゲン原子、C−C14アリール基及び置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されたC−C14アリール基))を示す。)で表される基を示す)で表される互いに同じか又は互いに異なる1以上の構造単位を構成単位とする共重合体又はその薬理上許容される塩、
(置換基群Aは、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基及びカルボキシル基からなる群である。)
である。

上記共重合体又はその薬理上許容される塩のうち、好適には、
(2)式(I)の構造単位及び式(II)の構造単位が頭−頭構造、頭−尾構造、又は、その組み合わせで交互共重合している共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(3)式(I)の構造単位及び式(II)の構造単位がランダム共重合している共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(4)Alkがエチレン又はトリメチレン基である(1)乃至(3)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(5)Alkがエチレン基である(4)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(6)mが3乃至50である(1)乃至(5)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(7)mが3乃至40である(6)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(8)mが6乃至16又は28乃至38である(7)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(9)mが6乃至16である(8)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(10)Rが水素原子又はC−Cアルキル基である(1)乃至(9)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(11)Rが水素原子又はメチル基である(10)に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(12)Rが水素原子である(11)に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(13)Rが水素原子又はC−Cアルキル基である(1)乃至(12)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(14)Rが水素原子又はメチル基である(13)に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(15)Rがメチル基である(14)に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(16)Rが水酸基、C−Cアルコキシ基、水酸基で1置換されたC−Cアルコキシ基、又は、‐NR(式中、R及びRは独立して水素原子、C−Cアルキル基、又は、水酸基で1置換されたC−Cアルキル基を示す。)で表される基である(1)乃至(15)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(17)Rが水酸基、C−Cアルコキシ基、又は、‐NR(式中、R及びRは独立して水素原子、又は、C−Cアルキル基を示す)で表される基である(16)に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(18)Rが水酸基、又は、C−Cアルコキシ基である(17)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(19)Rが水酸基である式(II)の構造単位とRがC−Cアルコキシ基である式(II)の構造単位の比率が4:6乃至0:10である(18)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(20)RがC−Cアルコキシ基である(18)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(21)アルコキシ基がエトキシ基である(18)乃至(20)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(22)Rが水酸基、又は、式‐NR(式中、R及びRは独立して水素原子、又は、C−Cアルキル基を示す。)で表される基である(17)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(23)Rが水酸基である式(II)の構造単位とRが式‐NR(式中、R及びRは独立して水素原子、又は、C−Cアルキル基を示す)で表される基である式(II)の構造単位の比率が5:5乃至0:10である(22)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(24)Rが水酸基である式(II)の構造単位とRが式‐NR(式中、R及びRは独立して水素原子、又は、C−Cアルキル基を示す)で表される基である式(II)の構造単位の比率が4:6乃至0:10である(23)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(25)Rが式‐NR(式中、R及びRは独立して水素原子、又は、C−Cアルキル基を示す)で表される基である(22)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(26)式‐NR(式中、R及びRは独立して水素原子、又は、C−Cアルキル基を示す)で表される基がアミノ基、メチルアミノ基、又は、ジメチルアミノ基である(22)乃至(25)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(27)式‐NR(式中、R及びRは独立して水素原子、又は、C−Cアルキル基を示す。)で表される基がアミノ基である(26)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(28)式‐NR(式中、R及びRは独立して水素原子、又は、C−Cアルキル基を示す。)で表される基がジメチルアミノ基である(26)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(29)Rが水酸基である(16)の共重合体又はその薬理学上許容される塩であり、

(30)Rが1−アミノー2−プロパノール基である(16)の共重合体又はその薬理学上許容される塩であり、

(31)式(I)の構造単位と式(II)の構造単位との比率が10:1乃至1:10である(1)乃至(30)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(32)式(I)の構造単位と式(II)の構造単位との比率が3:1乃至1:8である(31)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(33)式(I)の構造単位と式(II)の構造単位との比率が2:1乃至1:2又は1:2乃至1:6である(32)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(34)式(I)の構造単位と式(II)の構造単位との比率が1:1又は1:2乃至1:4である(33)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(35)平均重合度が5乃至200である(1)乃至(34)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(36)平均重合度が5乃至50である(35)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(37)平均重合度が5乃至20である(36)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(38)平均重合度が20乃至30である(36)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(39)平均重合度が30乃至40である(36)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(40)ストークス半径が9.3nm以下である(1)乃至(39)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(41)ストークス半径が7.3nm以下である(40)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(42)ストークス半径が6.2nm以下である(41)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(43)ストークス半径が4.7nm以下である(42)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(44)ストークス半径が3.1nm以下である(43)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(45)ストークス半径が1.5nm乃至4.7nmである(43)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(46)ストークス半径が3.1nm乃至6.2nmである(42)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(47)AlKがエチレン基、Rが水素原子、Rがメチル基であり、m、R、式(I)の構造単位と式(II)の構造単位との比率(組成比という)、Rが水酸基である式(II)の構造単位とRが水酸基以外である式(II)の構造単位の比率(加水分解率という)、及び、ストークス半径が下記の何れかの組み合わせである、(1)の共重合体又はその薬理上許容される塩、

(i)mが6乃至16、Rが水酸基、組成比が1:1、平均重合度が30乃至40、

(ii)mが28乃至38、Rが水酸基、組成比が1:1、平均重合度が10乃至15、

(iii)mが6乃至16、Rがアミノ基、組成比が1:1、平均重合度が30乃至40、

(iv)mが6乃至16、Rがジメチルアミノ基、組成比が1:1、平均重合度が30乃至40、

(v)mが6乃至16、Rが1−アミノ‐2‐プロパノール基、組成比が1:1、平均重合度が30乃至40、

(vi)mが6乃至16、Rがエトキシ基及び水酸基、組成比が1:1、平均重合度が30乃至40、加水分解率が4:6、

(vii)mが28乃至38、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:1、平均重合度が10乃至15、加水分解率が4:6、

(viii)mが28乃至38、Rがジメチルアミノ基及び水酸基、組成比が1:1、平均重合度が30乃至40、加水分解率が4:6、

(ix)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:1、平均重合度が30乃至40、加水分解率が3.1:6.9、ナトリウム塩、

(x)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:1、平均重合度が30乃至40、加水分解率が1.4:8.6、

(xi)mが6乃至16、Rがジメチルアミノ基及び水酸基、組成比が1:1、平均重合度が30乃至40、加水分解率が2.9:7.1、ナトリウム塩、

(xii)mが6乃至16、Rがアミノ基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、


(xiii)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が0.4:9.6、

(xiv)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が2.9:7.1、

(xv)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が0.9:9.1、

(xvi)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が0.5:9.5、

(xvii)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が1.3:8.7、

(xviii)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が1.9:8.1、

(xix)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が1.0:9.0、

(xx)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が0.8:9.2、

(xxi)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が4.6:5.4、

(xxii)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が1.2:8.8、

(xxiii)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が2:8、

(xxiv)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が1.1:8.9、

(xxv)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が2.4:7.6、

(xxvi)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が0.9:9.1、

(xxvii)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が1.5:8.5、

(xxviii)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が0.7:9.3、

(xxix)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が4.5:5.5、

(xxx)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が1.4:8.5、

(xxxi)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が0.7:9.3、

(xxxii)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が0.8:9.2、

(xxxiii)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が1.4:8.6、

(xxxiv)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:3.1、平均重合度が20乃至30、加水分解率が0.7:9.3、

(xxxv)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が0.9:9.1、

(xxxvi)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:2.4、平均重合度が20乃至30、加水分解率が1.9:8.1、

(xxxvii)mが6乃至16、Rがエトキシ基及び水酸基、組成比が1:3、平均重合度が20乃至30、加水分解率が3.1:6.9、

(xxxviii)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:1、加水分解率が1.4:8.6、ストークス半径が9.3nm以下、

(xxxix)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:1、加水分解率が1.4:8.6、ストークス半径が3.1nm乃至6.2nm、

(xl)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:1、加水分解率が1.4:8.6、ストークス半径が1.5nm乃至4.7nm、

(xli)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:1、加水分解率が1.4:8.6、ストークス半径が3.1nm以下、

(xlii)
)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:1、加水分解率が1.4:8.6、ストークス半径が7.8nm以下、

(xliii)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:1、加水分解率が1.4:8.6、ストークス半径が6.2nm以下、

(xliv)mが6乃至16、Rがアミノ基及び水酸基、組成比が1:1、加水分解率が1.4:8.6、ストークス半径が4.7nm以下、

また、本発明の別の態様は、
(48)下記式(I)
Figure 2006117652
(上記式中、mは3乃至100の整数、Alkは、C−Cアルキレン基を示し、RおよびRは、独立してA)水素原子、B)C−Cアルキル基又はC)次に挙げる基から選択される少なくともひとつで置換されたC−Cアルキル基(水酸基、ハロゲン原子、C−C14アリール基(該アリール基は置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されていてもよい))を示す。)で表される互いに同じか、又は、互いに異なる1以上の構造単位、及び、式(III)
Figure 2006117652
で表される構造単位を構成単位とする共重合体の無水カルボン酸部分構造に対して、
a)加水分解、b)アンモノリシス、c)アミノリシス、d)アルコリシス、又は、e)任意にa)からd)のうち2以上の反応を組み合わせた反応
を行うことにより得られる共重合体又はその薬理上許容される塩、
(置換基群Aは、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基及びカルボキシル基からなる群である。)
である。

上記共重合体のうち、好適には、
(49)式(I)の構造単位及び式(III)の構造単位が頭−頭構造、頭−尾構造、又は、その組み合わせで交互共重合している(48)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(50)式(I)の構造単位及び式(III)の構造単位がランダム共重合している(48)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(51)Alkがエチレン又はトリメチレン基である(48)乃至(50)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(52)Alkがエチレン基である(51)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(53)mが3乃至50である(48)乃至(52)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(54)mが3乃至40である(53)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(55)mが6乃至16又は28乃至38である(54)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(56)mが6乃至16である(55)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(57)Rが水素原子又はC−Cアルキル基である(48)乃至(56)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(58)Rが水素原子又はメチル基である(57)に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(59)Rが水素原子である(58)に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(60)Rが水素原子又はC−Cアルキル基である(48)乃至(59)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(61)Rが水素原子又はメチル基である(60)に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(62)Rがメチル基である(61)に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(63)式(I)の構造単位と
式(III)の構造に対して、
a)加水分解、b)アンモノリシス、c)アミノリシス、d)アルコリシス、又は、e)任意にa)からd)のうち2以上の反応を組み合わせた反応
を行うことにより得られる構造単位との比率が10:1乃至1:10である(48)乃至(62)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(64)式(I)の構造単位と
式(III)の構造に対して、
a)加水分解、b)アンモノリシス、c)アミノリシス、d)アルコリシス、又は、e)任意にa)からd)のうち2以上の反応を組み合わせた反応
を行うことにより得られる構造単位との比率が3:1乃至1:8である(63)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(65)式(I)の構造単位と
式(III)の構造に対して、
a)加水分解、b)アンモノリシス、c)アミノリシス、d)アルコリシス、又は、e)任意にa)からd)のうち2以上の反応を組み合わせた反応
を行うことにより得られる構造単位との比率が2:1乃至1:2又は1:2乃至1:6である(64)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(66)式(I)の構造単位と
式(III)の構造に対して、
a)加水分解、b)アンモノリシス、c)アミノリシス、d)アルコリシス、又は、e)任意にa)からd)のうち2以上の反応を組み合わせた反応
を行うことにより得られる構造単位との比率が1:1又は1:2乃至1:4である(65)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(67)平均重合度が5乃至200である(48)乃至(66)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(68)平均重合度が5乃至50である(67)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(69)平均重合度が5乃至20である(68)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(70)平均重合度が20乃至30である(68)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(71)平均重合度が30乃至40である(68)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(72)ストークス半径が9.3nm以下である(48)乃至(71)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(73)ストークス半径が7.3nm以下である(72)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(74)ストークス半径が6.2nm以下である(73)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(75)ストークス半径が4.7nm以下である(74)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(76)ストークス半径が3.1nm以下である(75)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(77)ストークス半径が1.5nm乃至4.7nmである(75)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(78)ストークス半径が3.1nm乃至6.2nmである(74)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(79)式(III)の構造単位の無水カルボン酸部分構造に対して、アンモノリシスを行う(48)乃至(78)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(80)アンモニア水を用いてアンモノリシスを行う(79)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(81)式(III)の構造単位の無水カルボン酸部分構造に対して、アミノリシスを行う(48)乃至(78)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(82)ジメチルアミン水溶液を用いてアミノリシスを行う(81)の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(83)式(III)の構造単位の無水カルボン酸部分構造に対して、アルコリシスを行う(48)乃至(78)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩であり、

(84)エタノールを用いてアルコリシスを行う(83)の共重合体又はその薬理上許容される塩である。

さらに、本発明の共重合体又はその薬理上許容される塩を用いた医薬組成物、タンパク質修飾剤、複合体、タンパク質の血中滞留性を向上させる方法、及び、疾患の治療方法は、
(85)(1)乃至(84)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩を含有する医薬組成物であり、

(86)(1)乃至(84)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩及びタンパク質を含有する(85)の医薬組成物であり、

(87)タンパク質が、塩基性タンパク質である(86)の医薬組成物であり、

(88)塩基性タンパク質が、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、表皮細胞成長因子(EGF)、破骨細胞形成抑制因子(OCIF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経細胞成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(HGH)、肝細胞増殖因子(HGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)又はそれらの類縁体若しくは変異体である(87)の医薬組成物であり、

(89)塩基性タンパク質が、破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体である(88)の医薬組成物であり、

(90)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、天然型OCIF又はその類縁体若しくは変異体、あるいは、組換え型OCIF又はその類縁体若しくは変異体である(89)の医薬組成物であり、

(91)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、単量体OCIF又はその類縁体若しくは変異体、あるいは、ニ量体OCIF又はその類縁体若しくは変異体である(89)の医薬組成物であり、

(92)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、非還元SDS電気泳動により約60000の分子量を示す単量体ヒトOCIF又はその類縁体若しくは変異体、あるいは、非還元SDS電気泳動により約120000の分子量を示すニ量体ヒトOCIF又はその類縁体若しくは変異体である(89)の医薬組成物であり、

(93)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、配列表の配列番号1の‐21乃至+380からなるアミノ酸配列を含むタンパク質である(89)の医薬組成物であり、

(94)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、配列表の配列番号1の+1乃至+380からなるアミノ酸配列を含むタンパク質である(93)の医薬組成物であり、

(95)骨代謝異常症の予防及び/又は治療剤であることを特徴とする、(89)乃至(94)の何れか1項に記載の医薬組成物であり、

(96)(1)乃至(84)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩を含有し、且つ、タンパク質を修飾することができるタンパク質修飾剤であり、

(97)タンパク質が、塩基性タンパク質である(96)のタンパク質修飾剤であり、

(98)塩基性タンパク質が、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、表皮細胞成長因子(EGF)、破骨細胞形成抑制因子(OCIF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経細胞成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(HGH)、肝細胞増殖因子(HGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)又はそれらの類縁体若しくは変異体である(97)のタンパク質修飾剤であり、

(99)塩基性タンパク質が、破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体である(98)のタンパク質修飾剤であり、

(100)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、天然型OCIF又はその類縁体若しくは変異体、あるいは、組換え型OCIF又はその類縁体若しくは変異体である(99)のタンパク質修飾剤であり、

(101)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、単量体OCIF又はその類縁体若しくは変異体、あるいは、ニ量体OCIF又はその類縁体若しくは変異体である(99)のタンパク質修飾剤であり、

(102)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、非還元SDS電気泳動により約60000の分子量を示す単量体ヒトOCIF又はその類縁体若しくは変異体、あるいは、非還元SDS電気泳動により約120000の分子量を示すニ量体ヒトOCIF又はその類縁体若しくは変異体である(99)のタンパク質修飾剤であり、

(103)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、配列表の配列番号1の‐21乃至+380からなるアミノ酸配列を含むタンパク質である(99)のタンパク質修飾剤であり、

(104)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、配列表の配列番号1の+1乃至+380からなるアミノ酸配列を含むタンパク質である(103)のタンパク質修飾剤であり、

(105)(1)乃至(84)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩が少なくとも一つ結合したタンパク質を含有する複合体であり、

(106)タンパク質が、塩基性タンパク質である(105)の複合体であり、

(107)塩基性タンパク質が、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、表皮細胞成長因子(EGF)、破骨細胞形成抑制因子(OCIF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経細胞成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(HGH)、肝細胞増殖因子(HGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)又はそれらの類縁体若しくは変異体である(106)の複合体であり、

(108)塩基性タンパク質が、破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体である(107)の複合体であり、

(109)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、天然型OCIF又はその類縁体若しくは変異体、あるいは、組換え型OCIF又はその類縁体若しくは変異体である(108)の複合体であり、

(110)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、単量体OCIF又はその類縁体若しくは変異体、あるいは、ニ量体OCIF又はその類縁体若しくは変異体である(108)の複合体であり、

(111)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、非還元SDS電気泳動により約60000の分子量を示す単量体ヒトOCIF又はその類縁体若しくは変異体、あるいは、非還元SDS電気泳動により約120000の分子量を示すニ量体ヒトOCIF又はその類縁体若しくは変異体である(108)の複合体であり、

(112)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、配列表の配列番号1の‐21乃至+380からなるアミノ酸配列を含むタンパク質である(108)の複合体であり、

(113)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、配列表の配列番号1の+1乃至+380からなるアミノ酸配列を含むタンパク質である(112)の複合体であり、

(114)(105)乃至(113)の何れか1項記載の複合体を有効成分として含有する医薬組成物であり、

(115)(108)乃至(113)の何れか1項記載の複合体を有効成分として含有する医薬組成物であり、

(116)骨代謝異常症の予防及び/又は治療剤である、(115)の医薬組成物であり、

(117)下記式(I)
Figure 2006117652
(上記式中、mは3乃至100の整数、Alkは、C−Cアルキレン基を示し、RおよびRは、独立してA)水素原子、B)C−Cアルキル基又はC)次に挙げる基から選択される少なくともひとつで置換されたC−Cアルキル基(水酸基、ハロゲン原子、C−C14アリール基(該アリール基は置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されていてもよい))を示す。)で表される互いに同じか、又は、互いに異なる1以上の構造単位、及び、式(III)
Figure 2006117652
で表される構造単位を構成単位とする共重合体に対して、
a)加水分解、b)アンモノリシス、c)アミノリシス、d)アルコリシス、又は、e)任意にa)からd)のうち2以上の反応を組み合わせた反応
を行い、該反応液から(1)乃至(84)に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩を単離・精製することを特徴とする、(1)乃至(84)に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩の製造方法、
(置換基群Aは、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基及び炭酸基からなる群である)
であり、

(118)(1)乃至(84)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩とタンパク質を複合体形成に適した条件下で混合することを特徴とする(105)乃至(113)の何れか1項に記載の複合体の製造方法であり、

(119)(1)乃至(84)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩が少なくとも一つ結合したタンパク質を含有する複合体を投与することにより、該タンパク質又はその類縁体若しくは変異体の血中滞留性を向上させる方法であり、

(120)タンパク質が、塩基性タンパク質である(119)の方法であり、

(121)塩基性タンパク質が、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、表皮細胞成長因子(EGF)、破骨細胞形成抑制因子(OCIF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経細胞成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(HGH)、肝細胞増殖因子(HGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)又はそれらの類縁体若しくは変異体である(120)の方法であり、

(122)塩基性タンパク質が、破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体である(121)の方法であり、

(123)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、天然型OCIF又はその類縁体若しくは変異体、あるいは、組換え型OCIF又はその類縁体若しくは変異体である(122)の方法であり、

(124)(1)乃至(84)の何れか1項に記載の共重合体又はその薬理上許容される塩が少なくとも一つ結合したタンパク質を含有する複合体を投与することにより、該タンパク質の異常に起因する疾患、又は、該タンパク質の血中量が増大することにより治療又は予防効果が期待される疾患を予防及び/又は治療する方法であり、

(125)タンパク質が、塩基性タンパク質である(124)の方法であり、

(126)塩基性タンパク質が、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、表皮細胞成長因子(EGF)、破骨細胞形成抑制因子(OCIF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経細胞成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(HGH)、肝細胞増殖因子(HGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)又はそれらの類縁体若しくは変異体である(125)の方法であり、

(127)塩基性タンパク質が、破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体である(126)の方法であり、

(128)破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、天然型OCIF又は組換え型OCIFである(127)の方法であり、

(129)疾患が、骨代謝異常症である(128)の方法である。
上記式(I)中Alkの定義における「C−Cアルキレン基」としては、例えば、メチレン、メチルメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、1−メチルトリメチレン、2−メチルトリメチレン、3−メチルトリメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンのような炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝鎖アルキレン基を挙げることができ、好適には、炭素数1乃至4個の直鎖又は分枝鎖アルキレン基であり、更に好適には、エチレン又はトリメチレンであり、最も好適にはエチレンである。
式(I)及び(II)中のR、R、R、R並びに置換基群Aにおける「C−Cアルキル基」とは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、2−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2−エチルブチルのような炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝鎖アルキル基を挙げることができ、好適には炭素数1乃至4個の直鎖又は分枝鎖アルキル基であり、更に好適にはメチル基である。
式(I)、(II)中のR及び置換基群Aにおける「C−Cアルコキシ基」とは、前記「C−Cアルキル基」が酸素原子に結合した基をいい、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、2−メチルブトキシ、ネオペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、4−メチルペンチルオキシ、3−メチルペンチルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、3,3−ジメチルブトキシ、2,2−ジメチルブトキシ、1,1−ジメチルブトキシ、1,2−ジメチルブトキシ、1,3−ジメチルブトキシ、2,3−ジメチルブトキシのような炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基を示し、好適には炭素数1乃至4個の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基であり、更に好適にはエトキシ基である。
上記における「ハロゲン原子」とは、例えば、フッ素原子、塩素原子、ホウ素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、好適にはフッ素原子又は塩素原子である。
上記における「C−C14アリール基」とは、、例えば、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基のような炭素数1乃至6の芳香族炭化水素基をいい、好適にはフェニル基である。
上記における「C−C14アリールオキシ基」とは、前記「C−C14アリール基」が酸素原子に結合した基をいい、例えば、フェニルオキシ基、インデニルオキシ基、ナフチルオキシ基、フェナントリルオキシ基、アントリルオキシ基のような炭素数6乃至14のアリールオキシ基を示し、好適にはフェニルオキシ基である。
、R、R、及び、Rにおいて、C−Cアルキル基は少なくとも一つのハロゲン原子で置換されても良い。このようなハロゲン原子で置換されたC−Cアルキル基としては、例えば、トリフロロメチル基、トリクロロメチル基、ジフロロメチル機、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、フロロメチル基、2,2,2‐トリフロロエチル基、2,2,2‐トリクロロエチル基、2‐ブロモエチル基、2‐クロロエチル基、2‐フロロエチル基、2‐ヨードエチル基、3‐クロロプロピル基、4‐フロロブチル基、6‐ヨードヘキシル基、2,2−ジブロモエチル基、ペンタフロロエチル基などを挙げることができるが、好適にはトリフロロメチル基、トリクロロメチル基、ジフロロメチル基又はペンタフロロエチル基であり、更に好適にはトリフロロメチル基である。
、R、R、及び、Rにおいて、C−Cアルキル基は少なくとも一つの水酸基で置換されても良い。このような水酸基で置換されたC−Cアルキル基としては、例えば、水酸化メチル基、1−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基などを挙げることができる。
において、C−Cアルコキシ基は少なくとも一つのハロゲン原子で置換されても良い。このようなハロゲン原子で置換されたC−Cアルコキシ基としては、例えば、トリフロロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、ジフロロメトキシ機、ジクロロメトキシ基、ジブロモメトキシ基、フロロメトキシ基、2,2,2‐トリフロロエトキシ基、2,2,2‐トリクロロエトキシ基、2‐ブロモエトキシ基、2‐クロロエトキシ基、2‐フロロエトキシ基、2‐ヨードエトキシ基、3‐クロロプロポキシ基、4‐フロロブトキシ基、6‐ヨードヘキソキシ基、2,2−ジブロモエトキシ基、ペンタフロロエトキシ基などを挙げることができるが、好適にはトリフロロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、ジフロロメトキシ基又はペンタフロロエトキシ基であり、更に好適にはトリフロロメトキシ基である。
において、C−Cアルコキシ基は少なくとも一つの水酸基で置換されても良い。このような水酸基で置換されたC−Cアルコキシ基としては、例えば、水酸化メチトキシ基、1−ヒドロキシエトキシ基、1−ヒドロキシプロポキシ基、2−ヒドロキシプロポキシ基などを挙げることができる。
、R、R、及び、Rにおいて、C−Cアルキル基は少なくとも一つのアリール基(該アリール基は置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されていてもよい)で置換されても良い。このようなアリール基で置換されたC−Cアルキル基としては、例えば、ベンジル基、1‐ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、インデニルメチル基、1‐フェニルエチル基、2‐フェニルエチル基、1‐ナフチルエチル基、2‐ナフチルエチル基、1‐フェニルプロピル基、2‐フェニルプロピル基、3‐フェニルプロピル基、1‐ナフチルプロピル基、2‐ナフチルプロピル基、3‐ナフチルプロピル基、1‐フェニルブチル基、2‐フェニルブチル基、3‐フェニルブチル基、4−フェニルブチル基、1‐ナフチルブチル基、2‐ナフチルブチル基、3‐ナフチルブチル基、4−ナフチルブチル基、1‐フェニルペンチル基、2‐フェニルペンチル基、3‐フェニルペンチル基、4−フェニルペンチル基、5−フェニルペンチル基、1‐フェニルヘキシル基、2‐フェニルヘキシル基、3‐フェニルヘキシル基、4−フェニルヘキシル基、5−フェニルヘキシル基、6‐フェニルヘキシル基等を挙げることができるが、好適にはベンジル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1‐フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1‐ナフチルエチル基又は2‐ナフチルエチル基であり、より好適にはベンジル基である。
において、C−Cアルコキシ基は少なくとも一つのアリール基(該アリール基は置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されていてもよい)で置換されても良い。このようなアリール基で置換されたC−Cアルコキシ基としては、例えば、ベンゾキシ基、1‐ナフチルメトキシ基、2−ナフチルメトキシ基、インデニルメトキシ基、1‐フェニルエトキシ基、2‐フェニルエトキシ基、1‐ナフチルエトキシ基、2‐ナフチルエトキシ基、1‐フェニルプロポキシ基、2‐フェニルプロポキシ基、3‐フェニルプロポキシ基、1‐ナフチルプロポキシ基、2‐ナフチルプロポキシ基、3‐ナフチルプロポキシ基、1‐フェニルブトキシ基、2‐フェニルブトキシ基、3‐フェニルブトキシ基、4−フェニルブトキシ基、1‐ナフチルブトキシ基、2‐ナフチルブトキシ基、3‐ナフチルブトキシ基、4−ナフチルブトキシ基、1‐フェニルペントキシ基、2‐フェニルペントキシ基、3‐フェニルペントキシ基、4−フェニルペントキシ基、5−フェニルペントキシ基、1‐フェニルヘキソキシ基、2‐フェニルヘキソキシ基、3‐フェニルヘキソキシ基、4−フェニルヘキソキシ基、5−フェニルヘキソキシ基、6‐フェニルヘキソキシ基等を挙げることができるが、好適にはベンゾキシ基、1−ナフチルメトキシ基、2−ナフチルメトキシ基、1‐フェニルエトキシ基、2−フェニルエトキシ基、1‐ナフチルエトキシ基又は2‐ナフチルエトキシ基であり、より好適にはベンゾキシ基である。
上記において、「置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されてもよいC−C14アリールオキシ基」とは、好適には、置換基群Aから選択される1乃至3の置換基で置換された炭素数6乃至10のアリールオキシ基であり、より好適には置換基群Aから選択される1乃至3の置換基で置換されたフェノキシ基であり、更により好適にはハロゲン原子、C‐Cアルキル基、水酸基及びニトロ基から選択される1乃至3の置換基で置換されたフェノキシ基であり、より一層好適にはフェノキシ基、又は、p−ニトロフェノキシ基である。
上記における「その薬理上許容される塩」とは、本発明の共重合体及び化合物は複数のカルボン酸基を有し、その一部又は全部を塩にすることができるので、その塩をいい、そのような塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩等の金属塩;アンモニウム塩のような無機塩、t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−ベンジル−フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機塩等のアミン塩;及び、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩を挙げることができ、好適には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアミン塩であり、更に好適には、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩である。
本発明の共重合体が、塩基性基を有する場合、該塩基性基のいくつかまたは全部を酸と反応させることにより、本発明の共重合体を薬理上許容される塩に変換することができる。そのような塩としては、例えば、弗化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルカンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩のようなアリ−ルスルホン酸塩、酢酸、りんご酸、フマ−ル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;及び、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩を挙げることができる。
上記における「構造単位」とは、高分子化合物である本発明の共重合体の最小構成単位をいい、上記式(I)又は(II)で表される構造からなる単位をいう(以下、其々「構造単位(I)」、「構造単位(II)」と呼ぶことがある)。従って、「構造単位」は共重合体の構造を示すものであり、合成原料を示す単量体単位とは異なる。
上記における「頭−頭構造」とは、式(I)と式(II)の構造単位が下記の関係
Figure 2006117652
にあることをいい、「頭−尾構造」とは、式(I)と式(II)の構造単位が下記の関係
Figure 2006117652
にあることを言う。
本発明の共重合体は、交互共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。交互共重合体においては、共重合体1分子中に構造単位(I)及び構造単位(II)がほぼ1:1の比率で含有され、且つ、構造単位(I)と構造単位(II)が、a)頭−頭構造で交互に配置されているか、b)頭−尾構造で交互に配置されているか、又は、c)頭−頭構造と頭−尾構造が混在して交互に配置されている。ランダム共重合体においては、構造単位(I)と構造単位(II)は不規則に配置され、その含有比率(組成比)は様々である。
本発明において、「組成比」とは、共重合体中に含まれる構造単位(I)と構造単位(II)との比率の平均値をいう。本発明の共重合体が実質的に交互共重合体である場合、その組成比は1:1に近い値を示し、ランダム共重合体である場合、その組成比はさまざまな値を取り得る。本発明の共重合体が取り得る組成比の範囲は、特に限定されないが、好適には10:1乃至1:10であり、より好適には3:1乃至1:8であり、さらに好適には2:1乃至1:2又は1:2乃至1:6であり、さらにより好適には1:1又は1:2乃至1:4である。
本発明の共重合体の組成比は、周知の分析方法を用いて同定することができる。例えば、加水分解により製造された共重合体1g中のカルボキシル基含有量(C,mmol/g)は、電気伝導度滴定法(実施例及び試験例1参照)により求めることができる。この値と、当該共重合体の各構造単位の式量を用いて、本発明の共重合体の組成比は次のような式(式1)により算出される。
[式1]
Rii/Ri = (C×FWi)/(2000‐C×FWii)
(式中、Riは共重合体1分子中の構造単位(I)、Riiは共重合体1分子中の構造単位(II)にそれぞれ対応してRi:Riiとして組成比を表し、Cは共重合体1g中のカルボキシル基含有量(mmol/g)、FWiは構造単位(I)の式量、FWiiは構造単位(II)の式量を其々表す。)
組成比の同定においては加水分解により製造された共重合体又はその塩を用いる必要があるが、このような共重合体は、後述のように出発物質を加水分解して製造することもできるし、本発明の共重合体を周知の方法により加水分解して製造することもできる。
なお、本発明の共重合体組成比は、わずかな条件の違い(例えば出発物質の重合条件、該共重合体に含まれるカルボキシル基量の測定条件等)により不可避的に変化する値であり、本明細書においては近似値として示される値であり、前後30%の違いはその組成比の範囲に含まれるものとみなすことができる。
高分子の分子量は、一般的に、絶対的な値のほかに、構造が類似して分子量が既知である汎用高分子を標準物質とした相対値で表すことがある。このような評価法は、本発明の共重合体のような新規な高分子の分子量を推定する際に通常用いられる手法である。
本発明の共重合体の平均分子量は、絶対分子量が既知の高分子を標準物質としたゲルろ過クロマトグラフィー法により測定される値である。このような分子量測定に用いられるゲルろ過カラム、溶出条件、標準物質は当業者であれば適切に選択することができる(「Comprehensive Polymer Science」 Pergamon Press(Oxford)1989年)。ここで用いる標準物質は、分子量を測定する対象の高分子と構造及び性質が類似した物質であることが好ましい。本発明の共重合体においては、構造単位(I)の側鎖部分が特徴的な構造を有することから、標準物質として好適には当該側鎖部分と類似の構造を有する高分子であり、より好適にはポリエチレングリコールである。
本発明において「平均重合度」とは、共重合体中に含まれる構造単位の重合度の平均値を表す値であり、共重合体中に含まれる構造単位の総数の平均値ということができる。本発明の共重合体の平均重合度は、共重合体の平均分子量、当該共重合体の各構造単位の式量及び組成比を元にして下記の式(式2)により算出される。
[式2]
平均重合度=(Mc×Ri)/(FWi×Ri+FWii×Rii)
(式中、Mcは共重合体の分子量、FWiは構造単位(I)の式量、FWiiは構造単位(II)の式量、Ri、Riiは組成比(Ri:Rii(Ri + Rii = 1となるよう調整))を其々表す。)。
本発明の共重合体の平均重合度を求めるのに必要な、共重合体の分子量、各構造単位の式量及び組成比は前述の方法により求めることができる。平均重合度を求める際には、加水分解により製造された本発明の共重合体、又は、完全にa)アンモノリシス、b)アミノリシス、若しくは、c)アルコリシスすることにより製造された本発明の共重合体について上記各種値を求める必要がある。「完全にアンモノリシス、アミノリシス、又は、アルコリシスすることにより製造された本発明の共重合体」とは、出発物質に対する各反応において、加水分解が起こらない条件で製造された、加水分解率(後述)が0:10である共重合体を意味する。このとき用いる共重合体として好ましくは、加水分解により製造された共重合体である。本発明の共重合体における平均重合度の範囲は、特に限定されないが、好適には5乃至200であり、より好適には5乃至50であり、さらにより好適には5乃至20、20乃至30又は30乃至40である。
本発明の共重合体の組成比、分子量、各構造単位の式量又は平均重合度の値は、本発明の共重合体を上記のような当業者周知の方法により分析することによって求めることができるし、本発明の共重合体を製造する際の出発物質に関する情報を元に同定することもできる。
本発明の共重合体において、RがC−Cアルコキシ基、C−C14アリルオキシ基又は‐NRである構造単位(II)、及び、Rが水酸基である構造単位(II)が同一共重合体中に含まれていてもよい。本発明において、このような共重合体における、Rが水酸基である構造単位(II)とRがアルコキシ基、アリルオキシ基又は‐NRである構造単位(II)の比率を「加水分解率」と呼ぶ。本発明の共重合体の加水分解率は、電気伝導度滴定法により求められる本発明の共重合体1g中のカルボキシル基含有量(C,mmol/g)、当該共重合体の各構造単位の式量、組成比を用いて、次のような式(式3)により求めることができる。
[式3]
A 2000×(Rii/Ri)‐C×(FWi+FWii×(Rii/Ri)
-------- = -----------------------------------------
H+A (Rii/Ri)×(C×(FW(A)ii‐FWii)+1000)
(式中、H、Aは加水分解率(H:A)、FWiは構造単位(I)の式量、FWiiはRが水酸基である構造単位(II)の式量、FW(A)iiはRがアルコキシ基、アリルオキシ基又はNRである構造単位(II)の式量、Ri、Riiは組成比(Ri:Rii)、を其々表す。)
本発明の共重合体は、様々な加水分解率を有する共重合体が含まれ、加水分解率によって特に限定されるものではないが、本発明の共重合体の加水分解率の範囲として好適にはは、5:5乃至0:10、4:6乃至0:10、3:7乃至0:10、2:8乃至0:10及び1:9乃至0:10である。なお、加水分解により製造された共重合体は加水分解率が10:0であり、このような共重合体も好適な例としてあげることができる。
なお、本発明の共重合体の加水分解率は、わずかな条件の違い(例えば出発物質の重合条件、反応条件、該共重合体に含まれるカルボキシル基量の測定条件等)により不可避的に変化する値であり、本明細書においては近似値として示される値であり、当該値の前後30%はその加水分解率の範囲に含まれるものとみなすことができる。
本発明の共重合体の分子サイズは、分子サイズが既知の標準タンパク質を用いたサイズ排除クロマトグラフィーのような周知の分析法により測定することができる。該サイズ排除クロマトグラフィーによる分子サイズ測定の例は、実施例15及び16に示されている。該方法において、本発明の共重合体の分子サイズは、ストークス半径として求められる。本発明の共重合体のストークス半径は、特に限定されないが、通常、9.3nm以下であり、好適には7.3nm以下であり、より好適には6.2nm以下、4.7nm以下、3.1nm以下、3.1乃至6.2nm又は1.5乃至4.7nmである。
本発明において、「加水分解」とは、出発物質中の式(III)であらわされる無水マレイン酸構造を水により開環させ、Rが水酸基である構造単位(II)を含有する本発明の共重合体へ変換することを意味する。加水分解の方法としては、当業者が通常用いる方法であれば特に限定は無いが、例えば次のように行われる。
即ち、使用される溶媒としては、水;ジエチルエ−テル、ジイソプロピルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエ−テル類;又は;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類を挙げることができるが、好適には水又はジオキサンである。
使用される試薬としては、水が挙げられるが、溶媒として用いた場合には特に追加する必要は無い。
反応を促進させる目的で、塩基を加えることもできる。そのような塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムのようなアルカリ金属炭酸塩類;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウムのようなアルカリ金属炭酸水素塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物類;弗化ナトリウム、弗化カリウムのようなアルカリ金属弗化物類等の無機塩基類;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、リチウムメトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類;N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジン、4−ピロリジノピリジン、ピコリン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルピリジン、キノリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)のような有機塩基類を挙げることができ、好適には有機塩基類であり、更に好適にはピリジンである。なお、塩基の非存在下で反応が良好に進行する場合には塩基を加える必要は無い。
反応温度は、原料化合物、反応試薬によって異なるが、0℃乃至100℃で行なわれ、好適には、20℃乃至60℃である。
反応時間は、反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常、10分間乃至3日間で、好適には、6時間乃至24時間である。
反応終了後、本反応の目的化合物は、例えば、限外ろ過膜にて反応混合物を濃縮し、更に凍結乾燥することで得られる。また、本発明の化合物は、濃縮、精製の過程を経ずに水溶液の状態で所望の用途に供することもできる。
得られた化合物は必要であれば、例えば、ゲルろ過カラムを使用して更に精製できる
又、所望の平均重合度又は分子量を有する化合物を得るために、さらにゲルろ過クロマトグラフィーを用いて分画しても良い。
本発明において、「アンモノリシス」とは、出発物質中の式(III)であらわされる無水マレイン酸構造をアンモニアにより開環させ、Rがアミノ基である構造単位(II)を含有する本発明の共重合体へ変換することを意味する。アンモノリシスの方法としては、当業者が通常用いる方法であれば特に限定は無いが、例えば次のように行われる。
即ち、使用される溶媒としては、水;ジエチルエ−テル、ジイソプロピルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエ−テル類;又は;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類を挙げることができるが、好適には水又はジオキサンである。なお、使用される試薬を溶媒として用いる場合がある。
使用される試薬としては、アンモニアガス又はアンモニア水を挙げることができるが、好適にはアンモニアである。
反応温度は、原料化合物、反応試薬によって異なるが、0℃乃至100℃で行なわれ、好適には、10℃乃至40℃である。
反応時間は、反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常、10分間乃至3日間で、好適には、6時間乃至24時間である。
反応終了後、本反応の目的化合物は、例えば、
1)半透膜及び酢酸水溶液などの酸を用いた透析により過剰のアンモニアを除き(但し、適宜水で透析するなど反応液が酸性とならないような条件下で行う)、限外ろ過膜にて反応混合物を濃縮し、更に凍結乾燥するか、又は、
2)水酸化ナトリウム水溶液とジエチルエーテルのような混和しない有機溶媒を加え、振とう後、目的化合物を含む水層を分離し(必要に応じて振とうは複数回行っても良い)凍結乾燥すること、
で得られる。また、本発明の化合物は、濃縮、精製の過程を経ずに水溶液の状態で所望の用途に供することもできる。
得られた化合物は必要であれば、例えば、ゲルろ過カラムを使用して更に精製できる。
又、所望の平均重合度又は分子量を有する化合物を得るために、さらにゲルろ過クロマトグラフィーを用いて分画しても良い。
なお、本反応の目的化合物には、溶媒又は試薬中に存在する水による加水分解を受けたものも含まれる。又、保存の際には塩基を加えても良い。
アンモノリシス反応により得られる本発明の共重合体中の構造単位(II)の一部が、反応液中又は保存液中に含まれる水によって、Rが水酸基である構造単位(II)に加水分解される場合がある。このように、アンモノリシス反応により製造され、一部の構造単位(II)のRが水酸基となっている共重合体も本発明に含まれる。このような、アンモノリシス反応中の加水分解は反応液中、又は保存液中に例えば塩基を加えるなどして、酸性に偏らせないことにより防ぐことができる。
本発明において、「アミノリシス」とは、出発物質中の式(III)であらわされる無水マレイン酸構造をアミンにより開環させ、Rが‐NRである構造単位(II)を含有する本発明の共重合体へ変換することを意味する。アミノリシスの方法としては、当業者が通常用いる方法であれば特に限定は無いが、例えば次のように行われる。
即ち、使用される溶媒としては、水;ジエチルエ−テル、ジイソプロピルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエ−テル類;又は;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類を挙げることができるが、好適には水又はジオキサンである。なお、使用される試薬を溶媒として用いる場合がある。
使用される試薬としては、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、2-ヒドロキシエチルアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルアミン、n-プロピルアミン、ジ-n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、1-アミノ−2−プロパノール、2−ヒドロキシイソプロピルアミン及びそれらの水溶液を挙げることができるが、好適にはジメチルアミン水溶液及び1−アミノ−2−プロパノールであり、更に好適にはジメチルアミン水溶液である。
反応温度は、原料化合物、反応試薬によって異なるが、0℃乃至100℃で行なわれ、好適には、10℃乃至40℃である。
反応時間は、反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常、10分間乃至3日間で、好適には、6時間乃至36時間である。
反応終了後、本反応の目的化合物は、例えば、
1)半透膜及び酢酸水溶液などの酸を用いた透析により過剰のアンモニアを除き(但し、適宜水で透析するなど反応液が酸性とならないような条件下で行う)、限外ろ過膜にて反応混合物を濃縮し、更に凍結乾燥するか、又は、
2)水酸化ナトリウム水溶液とジエチルエーテルのような混和しない有機溶媒を加え、振とう後、目的化合物を含む水層を分離し(必要に応じて振とうは複数回行っても良い)凍結乾燥すること、
で得られる。また、本発明の化合物は、濃縮、精製の過程を経ずに水溶液の状態で所望の用途に供することもできる。
得られた化合物は必要であれば、例えば、ゲルろ過カラムを使用して更に精製できる。又、所望の平均重合度又は分子量を有する化合物を得るために、さらにゲルろ過クロマトグラフィーを用いて分画しても良い。
なお、本反応の目的化合物には、溶媒又は試薬中に存在する水による加水分解を受けたものも含まれる。又、保存の際には塩基を加えても良い。
アミノリシス反応により得られる本発明の共重合体中の構造単位(II)の一部が、反応液中又は保存液中に含まれる水によって、Rが水酸基である構造単位(II)に加水分解される場合がある。このように、アミノリシス反応により製造され、一部の構造単位(II)のRが水酸基となっている共重合体も本発明に含まれる。このような、アミノリシス反応中の加水分解は反応液中、又は保存液中に例えば塩基を加えるなどして、酸性に偏らせないことにより防ぐことができる。
本発明において、「アルコリシス」とは、出発物質中の式(III)であらわされる無水マレイン酸構造をアルコール又はアリールアルコールにより開環させ、Rがアルコキシ基又はアリールオキシ基である構造単位(II)を含有する本発明の共重合体へ変換することを意味するが、一般に当業者に用いられるアルコリシスの概念を排除するものではない。アルコリシスの方法としては、当業者が通常用いる方法であれば特に限定は無いが、例えば次のように行われる。
即ち、使用される溶媒としては、水;又は;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類を挙げることができるが、好適には水である。なお、使用される試薬を溶媒として用いる場合がある。
がアルコキシ基である本発明の化合物の製造のために使用される試薬の例としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、n-プロパノール、プロピレングリコール、2-ヒドロキシ-n-プロパノール、iso-プロパノール、及びそれらの水溶液を挙げることができ、好適にはエタノールである。また、Rがアリールオキシ基である本発明の化合物の製造のために使用される試薬の例としては、フェノール、p‐ニトロフェノール及びそれらの水溶液を挙げることができる。
反応温度は、原料化合物、反応試薬によって異なるが、0℃乃至100℃で行なわれ、好適には、10℃乃至40℃である。
反応時間は、反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常、10分間乃至3日間で、好適には、6時間乃至36時間である。
反応終了後、本反応の目的化合物は、例えば、限外ろ過膜にて反応混合物を濃縮しその後水を加えて更に限外ろ過膜による濃縮を繰り返すことにより、過剰のアルコールを除き濃縮した後、更に凍結乾燥することで得られる。また、本発明の化合物は、濃縮、精製の過程を経ずに水溶液の状態で所望の用途に供することもできる。
得られた化合物は必要であれば、例えば、ゲルろ過カラムを使用して更に精製できる。又、所望の平均重合度又は分子量を有する化合物を得るために、さらにゲルろ過クロマトグラフィーを用いて分画しても良い。
なお、本反応の目的化合物には、溶媒又は試薬中に存在する水による加水分解を受けたものも含まれる。又、保存の際には塩基を加えても良い。アルコリシス反応により得られる本発明の共重合体中の構造単位(II)の一部が、反応液中又は保存液中に含まれる水によって、Rが水酸基である構造単位(II)に加水分解される場合がある。このように、アルコリシス反応により製造され、一部の構造単位(II)のRが水酸基となっている共重合体も本発明に含まれる。このような、アルコリシス反応中の加水分解は反応液中、又は保存液中に例えば塩基を加えるなどして、酸性に偏らせないことにより防ぐことができる。
本発明の共重合体及び化合物又はその薬理上許容される塩がタンパク質とともに、医薬成分として用いられる場合、共重合体及び化合物のタンパク質に対する比率は、通常用いられるものであれば特に限定は無いが、一例としては、重量比でタンパク質1に対して0.01乃至100であり、好適にはタンパク質1に対して0.1乃至50であり、更に好適にはタンパク質1に対して1乃至10であり、更により好適には蛋白質1に対して1乃至1.5である。
本発明の共重合体及び化合物が、タンパク質とともに医薬成分として用いられる場合、例えば、I)タンパク質溶液中に存在するか、II)タンパク質とともに凍結乾燥されているものを用時溶解するか、又は、III)使用時にタンパク質と混合するキットなどとして用いられるが、好適には、II)タンパク質とともに凍結乾燥されているものを用時溶解して用いられる。
本発明の共重合体及び化合物をタンパク質修飾剤として用いる場合、共重合体及び化合物のタンパク質に対する比率は、通常用いられるものであれば特に限定は無いが、一例としては、重量比でタンパク質1に対して0.01乃至100であり、好適にはタンパク質1に対して0.1乃至50であり、更に好適にはタンパク質1に対して1乃至10であり、更により好適には蛋白質1に対して1乃至1.5である。
本発明において、タンパク質とは、タンパク質、その類縁体及び変異体包含し、その中から選択される一つ又は二つ以上を意味する場合がある。
タンパク質の類縁体とは、当該タンパク質のcDNAに対してストリンジェンドな条件下(60乃至70℃、6×SSC)におけるハイブリダイゼーションにより、動物細胞、体液又は組織由来のcDNAライブラリーよりクローニングされ得るcDNAにコードされたタンパク質である。
タンパク質の変異体とは、1又は2以上のアミノ酸が置換、欠失、付加又は挿入され且つ原タンパク質活性の少なくとも一部を検出され得る程度に保持しているタンパク質を意味する。
本発明の共重合体又はその塩は、多様なタンパク質を修飾することができ、修飾されるタンパク質は特に限定されないが、好適には塩基性タンパク質又はそれらの類縁体若しくは変異体である。塩基性タンパク質の例としては、例えば、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、表皮細胞成長因子(EGF)、破骨細胞形成抑制因子(OCIF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経細胞成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(HGH)、肝細胞増殖因子(HGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)又はそれらの類縁体若しくは変異体を上げることができる。
本発明の共重合体又はその塩により修飾され得るタンパク質の好適な例として破骨細胞形成抑制因子(osteoclastgenesis inhibitory factor:本明細書では「OCIF」という)、その類縁体又は変異体を挙げることができる。本発明において使用されるOCIF、その類縁体又はその変異体は、WO96/26217号公報若しくはWO97/23614号公報に記載された方法により、動物の組織、動物の体液若しくは動物細胞の培養液等からタンパク質として抽出精製された天然型として、又はOCIF、その類縁体若しくはその変異体をコードするポリヌクレオチドを含有するベクターで形質転換された動物細胞や大腸菌等の宿主細胞が生産する遺伝子組換え型として、取得することができる。
本発明において使用されるOCIF、その類縁体及びその変異体の起源は特に限定されないが、好適にはヒト、ラット、マウス、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等の哺乳動物又はニワトリ、ガチョウ、シチメンチョウ等の鳥類由来であり、より好適にはヒトである。
また、本発明のOCIF及びその類縁体は、一本鎖のポリペプチドとして生産されるが、非還元条件下におけるSDS−PAGEによる分子量は約60000又は約120000であり(WO96/26217号公報参照)、好適には、非還元条件下におけるSDS−PAGEによる分子量が約60000のヒトOCIF単量体および分子量約120000のヒトOCIF2量体であり、より好適には、非還元条件下におけるSDS−PAGEによる分子量が約120000のヒトOCIF2量体である。
さらに、本発明において使用されるOCIF、その類縁体又はその変異体は、シグナルペプチドを含む前駆体型ポリペプチド及びその成熟体の両方を包含する。シグナルペプチドを含む前駆体OCIFのうち好適なものは、配列表の配列番号1のアミノ酸配列の全長すなわちアミノ酸番号第−21番乃至第380番からなるヒト前駆体OCIFである。シグナルペプチドを含まないヒト成熟体OCIFのうち好適なものは、配列表の配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸番号第1番乃至第380番からなるヒト成熟体OCIFである。これらのうち、ヒト成熟体OCIFがより好適である。
また、成熟型OCIF、その類縁体又はその変異体を宿主細胞(特に、大腸菌のような原核細胞)内において組換タンパク質として発現させる場合、そのような成熟体のアミノ末端にメチオニンを付加することができる(WO97/23614)。メチオニンが付加された成熟型OCIF、その類縁体又はその変異体は、成熟型OCIF、その類縁体又はその変異体をコードするポリヌクレオチドの5’−末端にATG(AUG)配列からなるトリプレット・ヌクレオチドを付加せしめたヌクレオチドを適当な発現ベクターに挿入し、得られた組換発現ベクターで適当な宿主細胞を形質転換すれば、該形質転換宿主細胞の培養物より常法に従って精製単離することができる。加えて、アミノ末端にメチオニンを有する成熟体OCIF、その類縁体又はその変異体には、該メチオニンに隣接する位置であり且つ該メチオニンよりカルボキシ末端側に1つ又は2つ以上のアミノ酸が挿入されてもいてもよい。
本発明において、OCIF類縁体とは、ヒトOCIFcDNAをプローブとする、ストリンジェントな条件(60乃至70℃、6×SSC)下におけるハイブリダイゼーションにより、動物細胞、体液又は組織由来のcDNAライブラリーよりクローニングされ得るcDNAにコードされたタンパク質であり、そのようなOCIF類縁体としてOCIF2、OCIF3、OCIF4、OCIF5(いずれも、WO96/26217号公報参照)、ヒト以外の動物由来のOCIF等を例示することができる。そのようなOCIF類縁体は、該OCIF類縁体をコードするcDNAを含有する発現ベクターで形質転換された宿主細胞の培養物から、当業者に周知の方法に従って抽出、精製及び/又は単離することができる(WO96/26217号公報参照)。本発明における好適なOCIF類縁体は、OCIFの有する生物活性の少なくとも一部を検出され得る程度に保持している。
本発明において、OCIF変異体とは、ヒトOCIFと1又は2以上のアミノ酸が置換、欠失、付加又は挿入され且つOCIF活性の少なくとも一部を検出され得る程度に保持しているタンパク質を意味する。そのようなOCIF変異体は、OCIF又はその類縁体をコードするヌクレオチドに、PCR法、遺伝子組換え法、又は、制限酵素等のエキソ型ヌクレアーゼ若しくはエンド型ヌクレア−ゼを用いた切断法により、1又は2以上のヌクレオチドの置換、欠失、付加及び/又は挿入を行い、次いで得られたヌクレオチド変異体を挿入した発現ベクターで動物細胞又は大腸菌等の宿主細胞を形質転換し、次いで該宿主細胞の発現するタンパク質画分から常法に従って精製することにより、得ることができる。
また、ヒトOCIFのアミノ酸配列のカルボキシ末端から相当部分を欠失させた、短鎖型OCIFにもOCIF本来の生物活性を保持している分子が知られている(WO96/26217号公報及びWO97/23614号公報参照)。本発明において使用されるOCIF変異体には、OCIF活性の少なくとも一部を有する短鎖型OCIFも包含される。
さらに、OCIFは免疫グロブリンのFcドメイン等との融合タンパク質としても活性を保持している例が知られており(WO97/23614号公報参照)、本発明において使用されるOCIF変異体にはそのようなOCIFの融合タンパク質も包含される(WO97/23614号公報、WO2001/17543号公報及びWO2001/18203号公報参照)。
本発明のOCIF、その類縁体又はその変異体は翻訳後修飾を受けていてもよく、例えば糖鎖が付加していてもよい。糖鎖が付加したOCIF、その類縁体又はその変異体としては、動物細胞が生産する組換え型OCIF、その類縁体又はその変異体、動物組織等から単離された天然型のOCIF又はその類縁体を例示することができる。糖鎖が付加した組換型OCIF、その類縁体及びその変異体の生産に適した動物細胞としては、チャイニーズ・ハムスター・オヴァリー(Chinese Hamster Ovary:以下、「CHO」という。)、COS細胞等の哺乳動物細胞を例示することができる(Yasuda, H., et al., Endocrinology, 139, 1329-1337(1998))。このようなOCIF、その類縁体又はその変異体に付加した糖鎖は、更に、人工的に(特に酵素によって)高分子、多糖類、又は修飾多糖類などで修飾されていてもよい。また、糖鎖が付加していない、遺伝子組換え型のOCIF、その類縁体及びその変異体の生産に適した細胞としては、大腸菌等の原核細胞等を例示することができる。
本発明の共重合体及び化合物は、医薬成分(特に、主成分がタンパク質であるもの)として、又、タンパク質の医薬としての性質改善のための修飾剤として有用である。
本発明の共重合体は、下記に示す化学式(IV)及び(V)の単量体単位
Figure 2006117652
(上記式中、m、Alk、及び、R乃至Rは、前述と同意義を示す。)
を用いた当業者周知の共重合反応(例えば、「Comprehensive Polymer Science」、Pergamon Press(Oxford)(1989年)等)によって得ることができる。なお、所望の平均重合度、分子量又は分子サイズを有する共重合体を得るために、さらにゲルろ過クロマトグラフィーを用いて分画しても良い。
上記単量体単位は、公知であるか、当業者周知の方法(例えば、J. M. Harris、「Laboratory synthesis of polyethylene glycol derivatives」、Rev. Macromol. Chem. Phys. C25, 326-373 (1985)、日本特許第2621308号等)に従って容易に得ることができる。特に式(V)の単量体単位については、無水マレイン酸をa)加水分解、b)アンモノリシス、c)アミノリシス、d)アルコリシス、又は、e)任意にa)からd)のうち2以上の反応を組み合わせた反応をすることによっても容易に得ることができる。
本発明の化合物を得るための出発物質として用いられる式(I)
Figure 2006117652
(上記式中、m、Alk、RおよびRは、前述と同意義を示す。)で表される同一か又は互いに異なる1以上の構造単位、及び、式(III)
Figure 2006117652
で表される構造単位を構成単位とする共重合体は、公知であるか、当業者周知の方法(例えば、Yoshimotoら、Polyethylene glycol derivative-modified cholesterol oxidase soluble and active in benzene, Biochem. Biophys. Res. Comm. 148, 876-882 (1987)、特開2003−105040、特開2003−105003、特許第2621308号等)に従って容易に得ることができる。このような本発明の化合物の出発物質として用いられる共重合体の例として、AM−0530K、AM−1510K等を挙げることができ、これらは日本油脂(株)より購入することができる。なお、所望の平均重合度又は分子量を有する共重合体を得るために、これらの出発物質をゲルろ過クロマトグラフィーを用いて分画しても良い。
又、本発明の共重合体は、上記に従って製造された共重合体に対して、a)加水分解、b)アンモノリシス、c)アミノリシス、d)アルコリシス、又は、e)任意にa)からd)のうち2以上の反応を組み合わせた反応を行うことによっても得ることができる。なお、所望の平均重合度又は分子量を有する共重合体を得るために、さらにゲルろ過クロマトグラフィーを用いて分画しても良い。
本発明の共重合体の平均分子量、重合形態の交互性、及び、組成比を制御する為の方法としては様々な方法を用いることができる。
無水マレイン酸単量体は例えばポリオキシエチレンアリルメチルジエーテル等の他の単量体との重合反応時に、交互共重合体を形成しやすい事が知られている(例えば、G. C. Eastmondら著「Comprehensive Polymer Science, Vol.4, Chain polymerization Part II」, pp.377-422, Pergamon Press(1989年)、T. Yoshimotoら著「Biochemical Biophysical Research Communication」Vol.148, pp.876-882(1987年)等参照)。このような共重合体の平均分子量及び重合様式を制御する方法は当業者に周知である(例えば、T. Ohtsu, M. Kinoshita著「高分子合成の実験法」pp.125-154、化学同人刊、(1972年)等参照)。更に,マレイン酸無水物が組成比として50モル%以上含まれた共重合体は当業者に周知である(日本特許第2621308号、日本特許第27101295号、日本特許第2803265号、日本特許第3271265号、日本特許第3035675号、日本特許第3106265号、特開2003−105040号及び特開2003−105003号等参照)。
一般に、高分子量で交互性の高い重合体を得るためには、重合反応は緩和な条件(例えば低温、低濃度の重合開始剤存在下)で行う必要がある。単量体が高濃度であったり、溶媒が低濃度である場合も、相対的に重合開始剤の濃度が低くなることから、高分子量で交互性の高い重合体が得られる。
逆に、低分子量で交互性の低い重合体を得るためには、高温、高濃度の重合開始剤存在下、低濃度の単量体存在下、及び/または、高濃度の溶媒存在下で重合反応を行うことが望ましい。また、そのような過酷な重合反応条件下で、無水マレイン酸量を単量体の総数に対して50モル%以上とすることにより、共重合体中のマレイン酸の含有量が50モル%以上の共重合体を得ることができよう。
ポリオキシエチレンアリルメチルジエーテルと無水マレイン酸の重合反応条件のいくつかはT. Yoshimotoら著「Biochemical Biophysical Research Communication」Vol.148, pp.876-882(1987年)に開示されている。該文献によると、ポリオキシエチレンアリルメチルジエーテル、無水マレイン酸、トルエン、及び、過酸化ベンゾイル(重合開始剤)を混合し、80℃で7時間重合反応を行い、分子量13kD、8個のPEG側鎖、8このマレイン酸残基を有する共重合体が得られたという。組成比が1:1であること、および無水マレイン酸が他の単量体と交互共重合体を形成する傾向があることから、本重合条件では交互共重合体が生成されたことが示唆された。低分子量で交互性の低い重合体を作製する場合、高濃度の重合開始剤、低濃度の単量体及び/又は高濃度の溶媒という条件を適用するべきである。例えば、溶媒としてトルエンを使用し、重合反応が一気圧で行われる場合、重合反応はトルエンの沸点である110℃以下で行うことができる。また、トルエンよりも高い沸点を有する別の溶媒を用いて、更に高温で反応させることが好ましい。このような場合、其々の重合開始剤は異なった特異的な分解速度定数(すなわち重合の開始点となり得るラジカルの生成速度)を有し、いくつかの重合開始剤はこのような高温で分解することから、適切な重合開始剤を選択する必要がある。多くの、異なった分解速度定数を有する重合開始剤が、当該分野で知られている。J. Brandup, E. Immergut著「Polymer Handbook」Third Edition, pp.II/1-II/65、 John Wiley & Sons (1989年)。
ポリオキシエチレンアリルメチルジエーテルと無水マレイン酸の共重合反応において、得られる共重合体の組成比、分子量又は交互性を変更する為の様々な溶媒、重合開始剤、反応温度等は特開2003−105003号などの先行技術文献に開示されている。例えば,キシレンは1気圧下で140℃という、トルエンよりも高い沸点を有する。また、溶媒を用いずに共重合反応を行うことができるという例も知られており、この場合溶媒の沸点による共重合反応温度の限定は無くなる。現在、過酸化ベンゾイル、diーtert−butylperoxide、tert−butylperoxizobutyl等の重合開始剤、azobisisobutyronitrileなどのアゾ基を含む重合開始剤、など様々な重合開始剤が知られている。また、連鎖移動剤を用いることによっても共重合体の分子量を小さくすることができる。 共重合体に含まれる総単量体数に対する無水マレイン酸残基の含有比率が、50%以上の共重合体を作製するためには、重合反応液中に加える無水マレイン酸単量体の量を50%以上に増やす必要がある。
本発明の共重合体及び化合物の薬理上許容される塩を得る場合には、通常用いられる方法であれば特に限定は無いが、例えば、共重合体又は化合物を有機溶媒に溶解し、そこに塩基を加えた後に沈殿する塩を回収することにより得ることができる。
本発明の共重合体及び化合物をタンパク質修飾剤として用いる場合、その修飾法は、通常タンパク質の修飾に用いる方法であれば特に限定は無いが、例えば以下のように行われる。
即ち、用いられる溶媒は、通常タンパク質の溶解に用いる電解質を含む水溶液であり、そのpHは、タンパク質修飾剤のカルボキシル基が少なくとも部分的に解離することにより該高分子が負に帯電し、且つ、タンパク質が正に帯電し得る範囲であれば限定は無いが、一例として、3〜タンパク質の等電点の範囲を挙げることができ、好適には4〜8の範囲である。なお、タンパク質の等電点は、電気泳動法により求めることができる。
本方法は、タンパク質修飾剤を上記溶媒に溶解し、これをタンパク質水溶液に加えることにより行われる。必要に応じて振とうすることにより、反応を促進しても良い。必要であれば、この段階で酸又は塩基を用いてpHを所望の値に調整してもよい。
使用されるタンパク質修飾剤のタンパク質に対する比率は、通常用いられるものであれば特に限定は無いが、一例としては、重量比で0.01乃至100であり、好適には0.1乃至50であり、更に好適には1乃至10であり、更により好適には蛋白質1に対して1乃至1.5である。
反応温度は、原料化合物、反応試薬によって異なるが、0℃乃至100℃で行なわれ、好適には、4℃乃至40℃であり、より好適には30℃乃至40℃である。
反応時間は、反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常、5分間乃至14日間で、好適には、1時間乃至12日間であり、より好適には、5日間乃至10日間である。
上記のタンパク質の修飾に用いられる反応条件は、反応に用いた本発明の共重合体に含まれる構造単位(II)が別の構造へ変換されるような条件であることがある。例えば、Rが水酸基では無い構造単位(II)を含む共重合体を用いて、構造単位(II)のRが加水分解を受ける条件下で修飾反応を行った場合、Rが水酸基である構造単位(II)を含む共重合体形成されることがある。
本発明の共重合体又は化合物及びタンパク質を含む医薬は、上記に従って調製した溶液であるか、或いは当該溶液を凍結乾燥したものであるか、或いは、その他の方法に従ってタンパク質及び本発明の共重合体又は化合物を含む形で製剤化されたもの又は使用時に混合するキットの形でであってもよい。
本発明の共重合体又は薬理上許容される塩とタンパク質との複合体は、上記修飾法と同様の方法に従って調製される。このような複合体において、タンパク質、その類縁体又は変異体と本発明の共重合体又はその医薬的に許容される塩とは、化学的又は非化学的に結合している。化学的な結合の例としては、例えばシッフ塩基形成、アミド結合、エステル結合のような共有結合、イオン結合、配位結合等を挙げることができ、非化学的結合の例としては、例えば疎水的相互作用、水素結合、静電的相互作用、親和性結合を挙げることができる。
本発明の複合体は、好適には、当該複合体をサイズ排除クロマトグラフィー、又は、非還元条件下SDS−PAGEに供した場合に、タンパク質と本発明の共重合体又はその薬理上許容される塩が顕著に解離しないものとして検出されるものであり、より好適には、サイズ排除クロマトグラフィー、及び、非還元条件下SDS−PAGEに供した場合に、タンパク質と本発明の共重合体又はその薬理上許容される塩が顕著に解離しないものとして検出されるものであり、更により好適には、上記のような複合体において、さらに、複合体に含まれるタンパク質のELISAによる検出活性の損失が、非常に少ない(好適には損失率20%以下であり、より好適には損失率15%以下である)ものである。
本発明の共重合体又はその薬理上許容される塩とタンパク質を含むことからなる本発明の医薬組成物は、上述のように水溶液として得ることができるし、当該水溶液を凍結乾燥することにより得ることもできる。このような医薬組成物は、様々な方法により製剤化することができるし、キットの形態をとることもできる。後者の場合には、本発明の共重合体又はその薬理上許容される塩とタンパク質、その類縁体又は変異体は別の容器に保存され、使用する直前に混合し、本発明の医薬組成物を調製することができる。
本発明の医薬組成物は、更に塩基を含んでいてもよい。用いられる塩基は医薬成分として通常用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムのようなアルカリ金属炭酸塩類;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウムのようなアルカリ金属炭酸水素塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物類;弗化ナトリウム、弗化カリウムのようなアルカリ金属弗化物類等の無機塩基類;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、リチウムメトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類;N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジン、4−ピロリジノピリジン、ピコリン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルピリジン、キノリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)のような有機塩基類を挙げることができ、好適には水酸化アルカリ金属であり、より好適には水酸化ナトリウムである。ここに上げた塩基の一部又は全部は、本発明の共重合体と塩を作ることができる。
本発明の提供する医薬組成物の用途は、複合体に含まれるタンパク質の種類に依存して様々な用途が考えられる。例えば、タンパク質としてbFGF、その類縁体又は変異体を用いた場合、本発明の医薬組成物は虚血性動脈疾患、難治性皮膚潰瘍などの治療に用いることができ、タンパク質としてEGF、その類縁体又は変異体を用いた場合、本発明の医薬組成物は潰瘍性大腸炎等の潰瘍性疾患、遷延性角膜上皮障害等の治療に用いることができ、タンパク質としてPDGF、その類縁体又は変異体を用いた場合、本発明の医薬組成物は創傷等の治療に用いることができ、タンパク質としてBDNF、その類縁体又は変異体或いはNGF、その類縁体又は変異体を用いた場合、本発明の医薬組成物はパーキンソン病、アルツハイマー病などの中枢神経系疾患の治療に用いることができ、タンパク質、その類縁体又は変異体としてHGHを用いた場合、本発明の医薬組成物は成長ホルモン欠乏症、成長ホルモン分泌不全性症候群(下垂体性小人症)、ターナー症候群、軟骨異栄養症などの治療に用いることができ、タンパク質としてHGF、その類縁体又は変異体を用いた場合、本発明の医薬組成物は肝繊維化、糖尿病、脳梗塞等の動脈硬化症等の治療に用いることができ、タンパク質としてVEGF、その類縁体又は変異体を用いた場合、本発明の医薬組成物は虚血性動脈疾患、抹消動脈閉塞疾患、虚血性心疾患などの治療に用いることができる。
本発明の提供する医薬組成物は、好適には、破骨細胞形成抑制因子(osteoclastogenesis inhibitory factor:OCIF)その類縁体及びその変異体からなる群から選択される1又は2以上の物質(OCIF物質)、及び、本発明の共重合体及びその薬理上許容される塩から選択される1又は2以上の物質(高分子物質)が結合してなる、OCIF物質及び高分子物質の複合体を含有し、それらは骨代謝異常症の予防又は治療に有用である。本発明において、骨代謝異常症とは、実質的な骨量の減少を特徴とするあらゆる疾患であり、それを治療するかあるいは予防するためには骨吸収又は骨吸収速度を抑制する必要がある疾患を意味する。
本発明の医薬組成物を用いて治療又は予防される骨代謝異常症には、一次性骨粗鬆症(老人性骨粗鬆症、閉経後骨粗鬆症及び特発性若年性骨粗鬆症)、内分泌骨粗鬆症(甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群及び末端肥大症)、性機能低下に伴う骨粗鬆症(下垂体機能低下症、Klinefelter症候群及びTurner症候群)、遺伝性及び先天性形態の骨粗鬆症(骨形成不全、ホモシスチン尿症、メンケス症、ライリー−デイ症候群並びにOCIF遺伝子の欠損に起因する若年性パジェット病及び高リン血症)、重力負荷軽減又は四肢の固定や不動化による骨減少症、骨パジェット病、骨髄炎、骨喪失による感染性病巣、固形腫瘍(乳癌、肺癌、腎臓癌、前立腺癌等)に起因する高カルシウム血症、血液学的悪性疾患(多発性骨髄腫、リンパ腫及び白血病)、特発性高カルシウム血症、甲状腺機能亢進症又は腎臓機能不全に伴う高カルシウム血症、ステロイド投与に起因する骨減少症、他の薬物(メトトレキセート及びシクロスポリンA等の免疫抑制剤、リューブリンなどの抗アンドロジェン剤、ヘパリン及び抗てんかん薬)投与に起因する骨減少症、腎臓機能不全に伴う骨減少症、外科手術、内臓器疾患(小腸障害、大腸障害、慢性肝炎、胃切除、原発性胆汁性肝硬変及び肝硬変)に伴う骨減少症、関節リウマチ等の各種リウマチによる骨減少症、ムチランス型を含む関節リウマチ等の各種リウマチによる骨破壊及び関節破壊、変形性関節症、歯周骨喪失、癌の骨転移(骨溶解性転移)、人工関節のゆるみ(人工関節周囲における骨溶解)、動脈の石灰化、歯周病などの感染症に伴う骨減少症、外傷性負傷、ゴシェ病、鎌状赤血球貧血、全身性紅性狼創若しくは非外傷性負傷に伴う骨壊死又は骨細胞死、腎性骨異栄養症等の骨異栄養症、低アルカリフォスファターゼ血症、糖尿病に伴う骨減少症、栄養障害又は摂食障害に伴う骨減少症、その他の骨減少症等が包含される。また、本発明における骨代謝異常症は、前記固形腫瘍、癌の骨転移(骨溶解性転移)、又は血液学的悪性疾患による悪液質をも包含する(特開2000−178200号公報参照)。
本発明の提供する上述のような医薬組成物は、ヒト又はヒト以外の動物に対し、経口又は非経口により安全に投与され得る。医薬組成物としての投与形態は、疾患の種類、疾患の程度、症状、年齢、性別、体重等に応じて適宜選択することができる。例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤は経口投与され、注射剤は単独で若しくはブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与されるか又は単独で筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、腹腔内投与され、貼付剤は経皮投与され、点鼻剤は経鼻投与され、粘膜適用剤は経粘膜投与若しくは口腔内投与され、坐剤は直腸内投与される。これらの製剤は、常法に従い、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、着色剤、pH緩衝剤、防腐剤、ゲル化剤、界面活性剤、コーティング剤等、医薬の製剤分野において通常使用し得る公知の補助剤を用いて製剤化することができる。
錠剤の形態に成形するには、担体として当該分野で公知のものを広く使用できる。そのような担体としては、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤;乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン、澱粉等の保湿剤;澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、硼酸末、ポリエチレングリコール等の潤沢剤等を挙げることができる。また、錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠、二重錠、多層錠等とすることができる。
丸剤の形態に成形するには、担体として当該分野で公知のものを広く使用できる。そのような担体としては、例えば、ブドウ糖、乳糖、カカオバター、澱粉、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤;ラミナラン寒天等の崩壊剤等を挙げることができる。
坐剤の形態に成形するには、担体として当該分野で公知のものを広く使用できる。そのような担体としては、例えば、ポリエチレングリコール、カカオバター、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセリド等を挙げることができる。
注射剤として調製される場合には、液剤及び懸濁剤は殺菌され、且つ血液と等張であることが好ましい。これら液剤、乳剤および懸濁剤の形態に成形するには、希釈剤として当該分野で公知のものを広く使用でき、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を挙げることができる。なお、この場合、血液との等張性を保つのに十分な量の食塩、ブドウ糖、グリセリン等を医薬組成物中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤、pH調整剤、安定化剤、可溶化剤等を添加してもよい。注射剤は凍結乾燥品であってもよい。
また、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤、他の医薬等を含有せしめてもよい。
これらの医薬組成物中に含まれるOCIF物質及び高分子物質の複合体の量は、特に限定されるものではないが、通常0.1乃至70重量%であり、好適には1乃至30重量%である。
本発明において、医薬組成物中のOCIF物質及び本発明の共重合体又はその塩の複合体の投与量は、症状、年齢、投与形態、剤形等に依存するが、通常成人に対して1回の投与当たり、投与量の上限が1乃至50mg/kg、下限が0.001乃至0.1mg/kgであり、好適な範囲は0.01乃至1mg/kgであり、より好適な範囲は0.1乃至1mg/kgである。
本発明の提供する医薬組成物の投与回数は、該医薬組成物に含有される成分の種類、投与形態、剤形等に依存するが、数ヶ月に1回、2ヶ月に1回、1ヶ月に1回、数日に1回、1日1回、又は1日数回である。本発明の提供する骨代謝異常症予防又は治療剤の投与回数は、該骨代謝異常症予防又は治療剤に含有される有効成分の種類、投与形態、剤形等に依存するが、数ヶ月に1回、2ヶ月に1回、1ヶ月に1回、数日に1回、1日1回、又は1日数回である。
以下実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれらに限定されることはない。実施例中、m、Alk、及びR乃至Rは前述と同意義を示す。また、組成比、平均重合度、加水分解率等も前述と同意義を示す。
(実施例1)poly(PEG500-MA)加水分解物(poly(PEG500-MA)h)[m=6乃至16、R=水酸基、組成比=約1:1、平均重合度=30乃至40、加水分解率=約10:0(以下、「化合物1」という)]の製造

側鎖を構成するポリオキシエチレン鎖の平均分子量が約500であり、主鎖の平均重合度が30乃至40である、ポリオキシエチレンアリルメチルジエーテル−無水マレイン酸共重合体(m=6乃至16、R=水素原子、R=メチル基、Alk=エチレン基:カタログ番号:AM-0530K、日本油脂(株)製)以下、「poly(PEG500-MA)」とする)3gに対し、蒸留水50mLを加えて溶解し、40℃で15時間撹拌した。この溶液を、ポリエーテルスルホン製限外ろ過膜(分画分子量:10000、型番:PBGC07610、Millipore社製)を使用して濃縮した後、凍結乾燥することにより、油状のpoly(PEG500-MA)h(化合物1) 1.3gを得た。
poly(PEG500-MA)h(化合物1)は、以下のようにゲルろ過法により精製した。100mgのpoly(PEG500-MA)h(化合物1)を4mLの0.001N水酸化ナトリウム溶液に溶解し、該溶液を4バッチに分け、各バッチから1mLずつをゲルろ過カラム(PD−10、アマシャムファルマシア製)に供した。最初の溶出液1mLを廃棄し、1.5mLの0.001N水酸化ナトリウム溶液をカラムに流し、溶出液1.5mLを廃棄した。次に、2.5mLの0.001N水酸化ナトリウム溶液をカラムに流し、溶出液2.5mLを回収した。当該溶出液4バッチ分を合わせて、10mLのpoly(PEG500-MA)h(化合物1)精製溶液を得た。精製前後の共重合体溶液の、210nmにおけるpoly(PEG500-MA)h(化合物1)の吸光度を測定した結果、精製による収率は80%(80mg)と求められ、精製溶液中の共重合体濃度は8mg/mlであった。
poly(PEG500-MA)hに含まれるカルボキシル基量は次のようにして、電導度滴定法により求めた。上記の精製により得られたpoly(PEG500-MA)h精製溶液7.5mL(共重合体含量60mg)を蒸留水50mLに溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液を加えて、水溶液のpHを12とした。この溶液に0.1M塩酸を0.1mLずつ滴下して混和し、滴下ごとにpHおよび電導度を測定した。電気伝導度の緩衝領域(すなわち、電気伝導度と塩酸添加量をプロットしたグラフにおいて、共重合体に含まれるカルボキシル基が電気伝導度緩衝作用を示す領域:pH域として10.5乃至3付近に相当)に対応する0.1M塩酸の添加モル量は共重合体中に含まれるカルボキシル基のモル量と等しいことから、共重合体に含まれるカルボキシル基量を算出した。その結果、poly(PEG500-MA)h(化合物1) 1gあたりのカルボキシル基量は、3.22mmolと求められた。この値と組成比の算出式をもちいて、poly(PEG500-MA)h(化合物1)の組成比は1:1.07と求められた。この組成比は、本化合物と同一の出発物質を用いた実施例で製造された共重合体にも適用される。
(実施例2)poly(PEG1500-MA)加水分解物(poly(PEG1500-MA)h) [m=28乃至38、R=水酸基、組成比=約1:1、平均重合度=10乃至15、加水分解率=約10:0(以下、「化合物2」という)]の製造

側鎖を構成するポリオキシエチレン鎖の平均分子量が約1500であり、主鎖の平均重合度が10乃至15である共重合体である、ポリオキシエチレンアリルメチルジエーテル−無水マレイン酸共重合体(m=28乃至38、R=水素原子、R=メチル基、Alk=エチレン基、カタログ番号:AM−1510K、日本油脂(株)製)、以下、「poly(PEG1500-MA)」とする)を出発物質として用いた。1.5gの前記poly(PEG1500-MA)に対し蒸留水25mLを加えて溶解し、室温で20時間撹拌した。この溶液を、実施例1で示した方法で濃縮した後、凍結乾燥することにより、油状のpoly(PEG1500-MA)h(化合物2)0.8gを得た。
poly(PEG1500-MA)h(化合物2)に含まれるカルボキシル基量は実施例1と同様に測定し、1gあたりのカルボキシル基量は1.63mmolと求められた。この値と組成比の算出式を用いて、poly(PEG1500-MA)h(化合物2)の組成比は1:1.38と求められた。この組成比は、本化合物と同一の出発物質を用いた実施例で製造された共重合体にも適用される。
(実施例3)poly(PEG500-MA)アンモノリシス反応物(poly(PEG500-MA)a) [m=6乃至16、R=NH、組成比=約1:1、平均重合度=30乃至40、加水分解率=約0:10(以下、「化合物3」という)]の製造

poly(PEG500-MA)(AM−0530K、日本油脂(株)製)1gに対し、アンモニア水(アンモニアの重量濃度28%)9.5gを加えて溶解し、室温で16時間撹拌した。この反応液を、再生セルロース膜(分画分子量:12000乃至14000、型番:UC36−32−100、三光純薬(株)製)を使用して、0.1重量%の酢酸水溶液1Lに対して1日透析し、更に水1Lに対して1日透析した後、水1Lを入れ替えた後更に1日透析することで過剰のアンモニアを除去した。この透析後溶液を、ポリエーテルスルホン製限外ろ過膜(分画分子量:10000、型番:PBGC07610、Millipore社製)を使用して濃縮した後、凍結乾燥することにより、油状のpoly(PEG500-MA)a(化合物3)を得た。
poly(PEG500-MA)a(化合物3) 1gあたりに含まれるカルボキシル基量は、実施例1と同様にして電導度滴定法により、1.55mmolと求められた。
この反応系においては、無水マレイン酸残基はアンモノリシスによる開環のほか、共存する水による加水分解を受けることが推測される。そこで、アンモノリシスと加水分解を受けた割合を、次のようにして算出した。
実施例1において、1gのpoly(PEG500-MA)h(化合物1)中のカルボキシル基が3.22mmolと定量された。この値は共重合体中の全てのマレイン酸残基が加水分解された場合のカルボキシル基量を示す。その値より、カルボキシル基1molあたりのpoly(PEG500-MA)h重量は、311g、開環されたマレイン酸残基1molあたりのpoly(PEG500-MA)h重量は、621gと算出される。この値から、加水分解前の重合体であるpoly(PEG500-MA)、およびpoly(PEG500-MA)にアンモニアが付加されたpoly(PEG500-MA)a(化合物3)の官能基1gあたりの重量が順次求まる。すなわち、無水マレイン酸残基1molあたりのpoly(PEG500-MA)(すなわち加水分解前の共重合体)重量は、加水分解後の値から水分子の分子量(18g)を差し引いた603gである。さらに、このpoly(PEG500-MA)にアンモニアが付加されたpoly(PEG500-MA)aについて、カルボキシル基1molあたりの共重合体重量は、poly(PEG500-MA)の値にアンモニア分子の分子量(17g)を加えた620gと求められる。この値より、poly(PEG500-MA)の全ての無水マレイン酸残基がアンモノリシスされた場合、poly(PEG500-MA)a 1gあたりのカルボキシル基量は、1.61mmolと算出される。以上、全ての無水マレイン酸残基が加水分解されたpoly(PEG500-MA)h、すべての無水マレイン酸残基がアンモノリシスされたpoly(PEG500-MA)a、それぞれ1gあたりのカルボキシル基量と本実施例で得られたカルボキシル基の定量値より、本実施例の反応においてアンモノリシスを受けたマレイン酸残基の割合は、1.0と算出された。すなわち、化合物3において、出発物質であるpoly(PEG500-MA)に含まれる実質的に全ての無水マレイン酸残基がアンモノリシスを受けたことが確認された。
(実施例4)poly(PEG500-MA)アミノリシス反応物(poly(PEG500-MA)dma) [m=6乃至16、R=N(CH、組成比=約1:1、平均重合度=30乃至40、加水分解率=約0:10(以下、「化合物4」という)]の製造

poly(PEG500-MA)(AM−0530K、日本油脂(株)製)10gに対し、ジメチルアミン水溶液(ジメチルアミンの重量濃度50%) 71gを加えて溶解し、室温で20時間撹拌した。この反応液を、再生セルロース膜(分画分子量:12000乃至14000、型番:UC36−32−100、三光純薬(株)製)を使用して、0.1重量%の酢酸水溶液10Lに対して1日透析し、更に水10Lに対して1日透析し、水10Lを入れ替えた後更に1日透析することで過剰のアンモニアを除去した。この透析後溶液を、ポリエーテルスルホン製限外ろ過膜(分画分子量:10000、型番:PBGC07610、Millipore社製)を使用して濃縮した後、凍結乾燥することにより、油状のpoly(PEG500-MA)dma(化合物4)6.3gを得た。
poly(PEG500-MA)dma(化合物4)1gあたりに含まれるカルボキシル基量は、実施例1と同様にして、1.53mmolと求められた。一方、poly(PEG500-MA)の全ての無水マレイン酸残基がアミノリシスされた場合のpoly(PEG500-MA)dma1gあたりに含まれるカルボキシル基量は1.54mmolと算出される。これらより、本実施例の開環反応により無水マレイン酸がアミノリシスされた割合は、1.0と算出された。すなわち、化合物4において、出発物質であるpoly(PEG500-MA)に含まれる実質的に全ての無水マレイン酸残基がジメチルアミンによりアミノリシスを受けたことが確認された。
(実施例5)poly(PEG500-MA)アミノリシス反応物(poly(PEG500-MA)ipa) [m=6乃至16、R=NH(CHCH(OH)CH、組成比=約1:1、平均重合度=30乃至40、加水分解率=約0:10(以下、「化合物5」という)]の製造

poly(PEG500-MA)(AM-0530K、日本油脂(株)製)1.5gに対し、1−アミノ−2−プロパノール14gを加えて溶解し、室温で16時間撹拌した。この反応液に蒸留水300mLを加え、さらに氷酢酸を加えることにより中和した。この溶液を、ポリエーテルスルホン製限外ろ過膜(分画分子量:10000、型番;PBGC07610、Millipore社製)を使用して50mLに濃縮した。この濃縮液に蒸留水300mLを加えて、再び同様に濃縮した。この「蒸留水による濃縮液の希釈−濃縮」を5回繰り返すことにより、過剰の1−アミノ−2−プロパノールを除去した。この濃縮液を凍結乾燥することにより、油状のpoly(PEG500-MA)ipa(化合物5)1.3gを得た。
poly(PEG500-MA)ipa(化合物5)1gあたりに含まれるカルボキシル基量は、実施例1と同様にして、1.55mmolと求められた。一方、poly(PEG500-MA)の全ての無水マレイン酸残基がアミノリシスされた場合のpoly(PEG500-MA)ipa 1gあたりに含まれるカルボキシル基量は1.47mmolと算出される。これらより、本実施例の反応で無水マレイン酸がアミノリシスされた割合は、1.0と算出された。すなわち、化合物5において、出発物質であるpoly(PEG500-MA)に含まれる実質的に全ての無水マレイン酸残基が1−アミノ−2−プロパノールによりアミノリシスを受けたことが確認された。
(実施例6)poly(PEG500-MA)アルコリシス反応物(poly(PEG500-MA)ea) [m=6乃至16、R=OCHCH、組成比=約1:1、平均重合度=30乃至40、加水分解率=約4:6(以下、「化合物6」という)]の製造

poly(PEG500-MA)(AM−0530K、日本油脂(株)製) 1.5gに対し、25gの100%エタノールを加えて溶解し、室温で16時間撹拌した。この反応液に水300mLを加え、ポリエーテルスルホン製限外ろ過膜(分画分子量:10000、型番:PBGC07610、Millipore社製)を使用して50mLに濃縮した。この濃縮液に蒸留水300mLを加えて、再び同様に濃縮した。この「蒸留水による濃縮液の希釈−濃縮」を5回繰り返すことにより、過剰のエタノールを除去した。この濃縮液を凍結乾燥することにより、油状のpoly(PEG500-MA)ea(化合物6) 0.8gを得た。
poly(PEG500-MA)ea(化合物6) 1gあたりに含まれるカルボキシル基量は、実施例1と同様にして、2.16mmolと求められた。一方、実施例3と同様にして、poly(PEG500-MA)の全ての無水マレイン酸残基がアルコリシスされた場合のpoly(PEG500-MA)ea 1gあたりに含まれるカルボキシル基量は1.47mmolと算出される。これらより、本実施例の反応で無水マレイン酸がアミノリシスされた割合は、0.6と算出された。すなわち、p化合物6において、出発物質であるoly(PEG500-MA)に含まれる無水マレイン酸残基の60%がアルコリシスを受け、残りの40%が加水分解を受けたことが確認された。
(実施例7)poly(PEG1500-MA)アンモノリシス反応物(poly(PEG1500-MA)a)[m=28乃至38、R=NH、組成比=約1:1、平均重合度=10乃至15、加水分解率=約4:6(以下、「化合物7」という)]の製造

poly(PEG1500-MA)(AM−1510K、日本油脂(株)製)1.5gに対し、アンモニア水(アンモニアの重量濃度28%)14.5gを加えて溶解し、室温で20時間撹拌した。この溶液に蒸留水300mLを加え、さらに氷酢酸を使用して中和した後、ポリエーテルスルホン製限外ろ過膜(分画分子量:10000、型番:PBGC07610、Millipore社製)を使用して50mLまで濃縮した。この濃縮液に蒸留水300mLを加えて、再び同様に濃縮した。この「蒸留水による濃縮液の希釈−濃縮」を5回繰り返すことにより、過剰のアンモニアを除去した。その後、凍結乾燥することにより、油状のpoly(PEG1500-MA)a(化合物7) 0.7gを得た。
poly(PEG1500-MA)a(化合物7) 1gあたりに含まれるカルボキシル基量は、実施例1と同様にして1.12mmolと求められた。このpoly(PEG1500-MA)aにおいても、実施例3のpoly(PEG500-MA)aと同様に、無水マレイン酸残基はアンモノリシスと加水分解を受ける得る。そこで、アンモノリシスと加水分解を受けた割合を算出した。
実施例2において、1gのpoly(PEG1500-MA)h(化合物2)中のカルボキシル基が1.63mmolと定量された。この値は共重合体中の全てのマレイン酸残基が加水分解された場合のカルボキシル基量を示す。この値より、カルボキシル基1molあたりのpoly(PEG1500-MA)h重量は613g、開環されたマレイン酸残基1molあたりのpoly(PEG1500-MA)h重量は1227gと算出される。このpoly(PEG500-MA)hの値から、全ての無水マレイン酸残基がアンモノリシスされたpoly(PEG500-MA)a 1gあたりのカルボキシル基量は0.82mmolと求められる。これらの値を使用して、本実施例で得られたカルボキシル基の定量値より、化合物7においてマレイン酸残基がアンモノリシスされた割合は、0.6と算出された。すなわち、化合物7の出発物質であるpoly(PEG1500-MA)に含まれる無水マレイン酸残基の約60%がアンモノリシスを受け、残りの40%が加水分解を受けたことが確認された。
(実施例8)poly(PEG1500-MA)アミノリシス反応物(poly(PEG1500-MA)dma)[m=28乃至38、R=N(CH、組成比=約1:1、平均重合度=10乃至15、加水分解率=約0:10(以下、「化合物8」という)]の製造

poly(PEG1500-MA)(AM−1510K、日本油脂(株)製) 1gに対し、ジメチルアミン水溶液(重量濃度50%)11gを加えて溶解し、室温で20時間撹拌した。この溶液に蒸留水300mLを加え、さらに氷酢酸を使用して中和した後、ポリエーテルスルホン製限外ろ過膜(分画分子量:10000、型番:PBGC07610、Millipore社製)を使用して50mLまで濃縮した。この濃縮液に蒸留水300mLを加えて、再び同様に濃縮した。この「蒸留水による濃縮液の希釈−濃縮」を5回繰り返すことにより、過剰のジメチルアミンを除去した。その後、凍結乾燥することにより、油状のpoly(PEG1500-MA)dma(化合物8)を得た。
poly(PEG1500-MA)dma 1gあたりに含まれるカルボキシル基量は、実施例1と同様にして、0.82mmolと求められた。一方、poly(PEG1500-MA)の全ての無水マレイン酸残基がアミノリシスされた場合のpoly(PEG1500-MA)dma 1gあたりに含まれるカルボキシル基量は0.80mmolと算出される。これらより、化合物8においてマレイン酸がアミノリシスされた割合は、1.0と算出された。すなわち、化合物8に含まれる実質的に全ての無水マレイン酸残基がジメチルアミンによりアミノリシスを受けたことが確認された。
(実施例9)複合体の製造

実施例1乃至8で製造した高分子修飾剤(化合物1乃至8)をそれぞれリン酸緩衝生理食塩液(PBS(pH6.0)10mMのリン酸水素二ナトリウムと150mM塩化ナトリウムからなる水溶液、10mMのリン酸二水素ナトリウムと150mM塩化ナトリウムからなる水溶液を一定の体積比で混合して得られるpH6.0の緩衝液)に溶解し、修飾剤濃度が1mg/mL乃至20mg/mLである水溶液を調製した。この高分子修飾剤水溶液0.625mLに、ヒト成熟体OCIFタンパク質(WO96/26217に記載の方法により作製した。以下実施例において単に「OCIF」ということもある)の水溶液(タンパク質濃度2mg/mL、媒体PBS(pH6.0))0.625mLを加えて混和し4℃乃至37℃で1時間以上放置することにより、媒体をPBS(pH6.0)とする高分子修飾OCIF(以下「複合体」と呼ぶこともある、各種修飾剤(化合物1乃至8のいずれか)とOCIFの比率は、高分子修飾剤水溶液の濃度から求められる)の水溶液を得た。本実施例で得られた複合体中の修飾剤とOCIFの比率、及び混合条件の一例は、試験例2の表6に記載ざれている。本実施例で製造されたいくつかの複合体のストークス半径は試験例11に記載されている。本実施例で製造された複合体における、OCIFのELISA検出活性は試験例3に記載されている。
同様にして、媒体をPBS(pH7.4)として各種高分子修飾剤−OCIF複合体水溶液を製造した。
(実施例10)poly(PEG500-MA)アンモニア分解物(poly(PEG500-MA)a-Na)[m=6乃至16、R=NH、組成比=約1:1、平均重合度=30乃至40、加水分解率=約3.1:6.9(以下、「化合物9」という)]の製造

側鎖を構成するポリオキシエチレン鎖の平均分子量が約500であり、主鎖の平均重合度が30乃至40であるポリオキシエチレンアリルメチルジエーテル−無水マレイン酸共重合体(m=6乃至16、R=水素原子、R=メチル基、Alk=エチレン基:カタログ番号:AM-0530K(ロット番号:M34529)、日本油脂(株)製)以下、「poly(PEG500-MA)」とする)を出発物質とし、当該出発物質10.1gに対し、0.5Mアンモニア/1,4−ジオキサン溶液61mLを加え、25℃で20時間撹拌した。その後、この溶液に、ジエチルエーテル 200mLおよび0.2M水酸化ナトリウム水溶液 100mLを加え、激しく振とう後、下層を回収した。この下層に対し、ジエチルエーテル 200mLおよび1,4−ジオキサン 60mLを加えて、激しく振とうし、再び下層を回収した。この下層を凍結乾燥することにより、固体(黄色)のpoly(PEG500-MA)aナトリウム塩(化合物9) 10.1gを得た。
当該化合物のカルボキシル基含有量及び加水分解率は後述の試験例1で同定した。
(実施例11)poly(PEG500-MA)アンモニア分解物(poly(PEG500-MA)a)[m=6乃至16、R=NH、組成比=約1:1、平均重合度=30乃至40、加水分解率=約1.4:8.6(以下、「化合物10」という)]の製造

poly(PEG500-MA)(AM−0530K(ロット番号:M34529)日本油脂(株)製) 1gに対し、28重量%アンモニア水 9.5gを加えて溶解し、25℃で4時間撹拌した。この溶液に0.28%アンモニア水 250mLを加えてからポリエーテルスルホン製限外ろ過膜(分画分子量:10000、型番:PBGC07610、Millipore社製)を使用して濃縮し、凍結乾燥することにより油状のpoly(PEG500-MA)a(化合物10) 0.8gを得た。
当該化合物のカルボキシル基含有量及び加水分解率は後述の試験例1で同定した。
(実施例12)poly(PEG500-MA)ジメチルアミン分解物(poly(PEG500-MA)dma)[m=6乃至16、R=N(CH、組成比=約1:1、平均重合度=30乃至40、加水分解率=約1.4:8.6(以下、「化合物11」という)]の製造

poly(PEG500-MA)(AM−0530K(ロット番号:M34529)日本油脂(株)製) 5gに対し、50重量%ジメチルアミン水溶液 35gを加えて溶解し、25℃で3時間、4℃で16時間撹拌した。この溶液に0.1M 水酸化ナトリウム水溶液 100mLを加え、凍結乾燥することにより固体状(黄色)のpoly(PEG500-MA)dma(化合物11) 5.4gを得た。
当該化合物のカルボキシル基含有量及び加水分解率は後述の試験例1で同定した。
(実施例13)poly(PEG500-MA)加水分解物(poly(PEG500-MA)h)[m=6乃至16、R=水酸基、組成比=約1:1、平均重合度=30乃至40、加水分解率=約10:0(以下、「化合物12」という)]の製造

poly(PEG500-MA)(AM−0530K(ロット番号:M34529)日本油脂(株)製) 1gに対し、蒸留水17mLを加えて溶解し、40℃で4時間撹拌した。この溶液に0.28重量%アンモニア水 250mLを加えてからポリエーテルスルホン製限外ろ過膜(分画分子量:10000、型番:PBGC07610、Millipore社製)を使用して濃縮し、凍結乾燥することにより油状のpoly(PEG500-MA)h(化合物12) 0.7gを得た。
当該化合物のカルボキシル基含有量及び加水分解率は後述の試験例1で同定した。
(実施例14)複合体の製造

実施例10乃至13で製造した高分子修飾剤(化合物9乃至12)をそれぞれリン酸緩衝生理食塩液(PBS(pH7.0):10mMリン酸水素二ナトリウムと150mM塩化ナトリウムからなる水溶液、10mMのリン酸二水素ナトリウムと150mM塩化ナトリウムからなる水溶液を所定の割合で混合して得られるpH7.0の水溶液)に溶解し、修飾剤濃度が1.25乃至105mg/mLの所定値である水溶液を調製した。この各種高分子修飾剤水溶液とヒト成熟体OCIF(実施例9と同様の方法で作製)の水溶液(タンパク質濃度:0.25乃至14mg/mLの所定値、媒体:PBS(pH6.0))とを1:1の体積比で混和することにより、修飾剤/OCIF重量比率が異なる種々の複合体水溶液を調製した。このように調製した水溶液の一部に対し、1M塩酸水溶液又は1M水酸化ナトリウム水溶液を適宜加えることにより、pH5.0、5.5、6.0、6.5、7.0及び7.4の水溶液を其々調製した。これら水溶液を25℃で12時間乃至1週間放置することにより、本発明の高分子修飾剤−OCIF複合体を水溶液として得た。この水溶液は、4℃で保存した。本実施例で製造された複合体の分子サイズは、試験例6及び11において同定された。また、当該複合体におけるOCIFのELISA検出活性の結果は試験例8に示す。
(実施例15)分子サイズの制御されたpoly(PEG500-MA)アンモニア分解物ナトリウム塩(poly(PEG500-MA)a-Na)[m=6乃至16、R=NH、組成比=約1:1、分子サイズ(ストークス半径)=7.8nm以下、(化合物13−19)]の製造

実施例10で得たpoly(PEG500-MA)aナトリウム塩(化合物9) 100mgをリン酸緩衝生理食塩液(PBS(pH7.4)10mMリン酸水素二ナトリウムと150mM塩化ナトリウムからなる水溶液、10mMリン酸二水素ナトリウムと150mM塩化ナトリウムからなる水溶液を所定の割合で混合して得られるpH7.4の水溶液) 1mLに溶解した。この試料をゲルろ過クロマトグラフィーにより分画した。2種類のゲルろ過クロマトグラフィーの条件を下に示す。

(i) Superose 6による分画法(以下、「SRF法」という)
カラム :Superose 6 HR 10/30 Amersham Bioscience
カラム温度 :8 ℃
移動相 :PBS(pH 7.4)
検出波長 :280nm
流速 :0.3mL/min
注入量 :100 μL

(ii) Superdex 200による分画(以下、「SDF法」という)
カラム :Superdex 200 HR 16/60 Amersham Bioscience
カラム温度 :室温
移動相 :PBS(pH7.4)
検出波長 :280nm
流速 :2mL/min
注入量 :5mL

これらの分画法で、溶出時間x分乃至y分で溶出された画分に含まれる修飾剤を、それぞれpoly(PEG500-MA)a-Na(SRFx-y)および、poly(PEG500-MA)a-Na(SDFx-y)とする。各々の画分(水溶液)中の修飾剤濃度は、高速液体クロマトグラフィーで求めた。その条件を次に示す。
カラム :Shodex OHpak SB-806M HQ(昭和電工(株)製)
ガードカラム:Shodex OHpak SB-G(昭和電工(株)製)
カラム温度 :40℃
移動相 :1M塩酸でpH7.0とした50mMリン酸水素二ナトリウム水溶液
検出波長 :210nm
流速 :0.5mL/min
注入量 :50μL

SRF法およびSDF法での分画により得られたpoly(PEG500-MA)a(SRFx-y)および、poly(PEG500-MA)a(SDFx-y)を再度ゲルろ過クロマトグラフィー(SRF法)で分析することにより、分画後の試料の分子サイズを評価した。ここで標準物質としては分子サイズ既知のタンパク質(Amersham Bioscience社、分子量および分子サイズはカタログに記載。)を使用した。
分子サイズの評価結果を表1に示す。
[表1]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
分子量 ストークス半径(nm) 保持時間(min)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
標準タンパク質
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Thyroglobulin 669k 8.50 38.48
Ferritin 440k 6.10 44.85
Catalase 232k 5.22 48.77
Aldolase 158k 4.81 50.11
Albumin 67k 3.55 51.85
Ovalbumin 43k 3.05 53.95
Chymotripsinogen A 25k 2.09 59.26
Ribonuclease A 13.7k 1.64 60.23
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
高分子修飾剤 化合物番号
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
poly(PEG500-MA)a-Na(非分画) 9.3以下** 35−65* 9
poly(PEG500-MA)a-Na
(SRF50-55)収率23% 3.1−6.2** 45−55* 13
poly(PEG500-MA)a-Na
(SRF55-60)収率29% 1.5−4.7** 50−60* 14
poly(PEG500-MA)a-Na
(SRF60-65)収率12% 3.1以下** 55−65* 15
poly(PEG500-MA)a-Na
(SDF46-52)収率22% 7.8以下** 40−65* 16
poly(PEG500-MA)a-Na
(SDF52-58)収率22% 6.2以下** 45−65* 17
poly(PEG500-MA)a-Na
(SDF58-64)収率13% 3.1以下** 55−65* 18
poly(PEG500-MA)a-Na
(SDF60-70)収率13% 3.1以下** 55−65* 19
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
*保持時間に幅があることは、当該画分に含まれる高分子が分子量分布を有することを示す。
**標準タンパク質の分子サイズと保持時間を使用して作成された検量線を使用して算出された値。「XX以下」のように下限が示されていない場合には、本ゲルろ過クロマトグラフィー条件で評価不可能な低分子成分を含むことを意味する。

以上のように、分子サイズが異なる種々のpoly(PEG500-MA)a-Naが化合物13乃至19として製造された。これら分画された共重合体の平均重合度は、分子サイズが小さいほど小さな値をとると考えられる為、化合物13の平均重合度は30以下であり、化合物14の平均重合度は化合物13の平均重合度よりも小さい値であり、化合物15の平均重合度は化合物14の平均重合度よりも小さい値であり、化合物16の平均重合度は30以下であり、化合物17の平均重合度は化合物16の平均重合度よりも小さい値であり、化合物18の平均重合度は化合物17の平均重合度よりも小さい値であり、及び、化合物19の平均重合度は化合物17の平均重合度よりも小さい値であると推定された。
(実施例16)分子サイズの制御されたpoly(PEG1500-MA)アンモニア分解物(poly(PEG1500-MA)a)[m=28乃至38、R=NH、組成比=約1:1(化合物20−22)]の製造

実施例7で製造された化合物7を出発物質とし、実施例15と同様の方法によりpoly(PEG1500-MA)a(SRFx-y)を製造した。溶出条件は実施例15と同様であり、その収率を表2に示した。
[表2]
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高分子修飾剤 化合物番号
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
poly(PEG1500-MA)a(非分画) 7
poly(PEG1500-MA)a
(SRF50-55)収率12.2% 20
poly(PEG1500-MA)a
(SRF55-60)収率13.1% 21
poly(PEG1500-MA)a
(SRF60-65)収率16.4% 22
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以上のように、分子サイズが異なる種々のpoly(PEG1500-MA)aが化合物20乃至22として製造された。これら分画された共重合体の平均重合度は、分子サイズが小さいほど小さな値をとり、保持時間ゲルろ過クロマトグラフィにおいて保持時間が長いほど分子サイズは小さいので、化合物20の平均重合度は10以下であり、化合物21の平均重合度は化合物20の平均重合度よりも小さい値であり、及び、化合物22の平均重合度は化合物21の平均重合度よりも小さい値であると推定された。
(実施例17)複合体の製造

実施例15及び16で水溶液として得られた其々の高分子修飾剤(poly(PEG500-MA)a-Na(SRFx-y)(化合物13−15)、poly(PEG500-MA)a-Na(SDFx-y)(化合物16−19)、及び、poly(PEG1500-MA)a(SRFx-y)(化合物20−22)(媒体:PBS(pH7.4)))とヒト成熟体OCIF水溶液(OCIFは実施例9と同様の方法で作製、媒体:PBS(pH6.0))を使用して、実施例14と同様の方法により、本発明の各種高分子修飾剤とOCIFの複合体を水溶液として得た。pH7.4のPBSを用いて其々の高分子修飾剤の0.5mg/mL溶液を調製し、0.5mg/mL OCIF溶液(媒体:PBS(pH6.0))と体積比1:1で混合し、得られた混合液を25℃で7日間放置した。製造された各種複合体の分子サイズは試験例11において測定された。
(実施例18)分子サイズの制御されたpoly(PEG500-MA)のアンモニア分解物(poly(PEG500-MA)a-Na):(a)[m=6乃至16、R=NH、組成比=約1:2、平均重合度=20乃至30(以下、「化合物27」という)],(b)[m=6乃至16、R=NH、組成比=約1:1、平均重合度=20乃至30(以下、「化合物28」という)]の製造

2種類の本発明のpoly(PEG500-MA)a-Na(化合物27及び化合物28)を以下のように製造した。化合物27の出発物質としては、側鎖を構成するポリオキシエチレン鎖の平均分子量が約500であり、主鎖の平均重合度が20乃至30である、ポリオキシエチレンアリルメチルジエーテル−無水マレイン酸共重合体(m=6乃至16、R=水素原子、R=メチル基、Alk=エチレン基、ポリオキシエチレンアリルメチルジエーテル単位と無水マレイン酸単位の組成比=約1:2、分子量=約6000[数平均分子量約6000、分子量分布指数(Mw/Mn)=約1.25、AM−0510K、日本特許第2621308号、特開2003−105040、特開2003−1050032等に記載の方法に準じて製造)を用いた。また、化合物28の出発物質としては、側鎖を構成するポリオキシエチレン鎖の平均分子量が約500であり、主鎖の平均重合度が約15である、ポリオキシエチレンアリルメチルジエーテル−無水マレイン酸共重合体(m=6乃至16、R=水素原子、R=メチル基、Alk=エチレン基、ポリオキシエチレンアリルメチルジエーテル単位と無水マレイン酸単位の組成比=約1:1、分子量=約10000、AM−0515K、日本特許第2621308号、特開2003−105040、特開2003−1050032等に記載の方法に準じて製造)を用いた。
これらの出発物質を実施例10と同様の方法によりアンモニア分解させ、化合物27及び化合物28を得た。これら化合物のカルボキシル基含有量は、試験例1と同様の方法により測定した結果、化合物27 1g中に2.73mmol、化合物28 1g中に2.05mmolと求められた。
(実施例19)高分子修飾剤(化合物27,28)とOCIFの複合体の製造

実施例18で製造した化合物27及び28を出発物質とし、実施例14と同様の方法により、本発明の高分子修飾剤とヒト成熟体OCIFの複合体を水溶液として得た。pH7.4のPBSを用いて其々の高分子修飾剤の5mg/mL溶液を調製し、5mg/mLのOCIF溶液(媒体:PBS(pH6.0))と体積比1:1で混合し、1M塩酸により得られた混合液のpHを5.5に調整した。この混合液を25℃で7日間放置して複合体を作製した。製造された各種複合体の分子サイズは試験例11において測定された。
(実施例20)poly(PEG500-MA)の特性評価および種々の反応条件によるpoly(PEG500-MA)a-Na(化合物29−53)の製造

1)poly(PEG500-MA)の組成比の決定
poly(PEG500-MA)に含まれるポリオキシエチレンアリルメチルジエーテル単位と無水マレイン酸単位の比率(組成比)を下記の通り同定した。poly(PEG500-MA)としてはAM−0510Kのいくつかの製造ロット(側鎖を構成するポリオキシエチレン鎖の平均分子量が約500であり、主鎖の平均重合度が20乃至30である、ポリオキシエチレンアリルメチルジエーテル−無水マレイン酸共重合体(m=6乃至16、R=水素原子、R=メチル基、Alk=エチレン基、ポリオキシエチレンアリルメチルジエーテル単位と無水マレイン酸単位の組成比=約1:2、分子量=約6000[数平均分子量約6000、分子量分布係数(Mw/Mn)=約1.25、日本特許第2621308号、特開2003−105040及び特開2003−1050032記載の方法に準じて製造)を用いた。これらの各ロット中の高分子の数平均分子量Mnおよび分子量分布指数(Mw/Mn)を下に示す。ただし、これらの分子量は、当業者周知のゲルろ過クロマトグラフィー法により、分子量既知のポリエチレングリコール(PEG)を標準物質として決定された値であり、下記のpoly(PEG500-MA)の分子量は絶対分子量ではなく、PEGを標準物質とする相対的な分子量である。
M3O538 Mn=6431;Mw/Mn=1.27
M3N549 Mn=6360;Mw/Mn=1.23
M3N550 Mn=5891;Mw/Mn=1.28
M3N569 Mn=5897;Mw/Mn=1.25

組成比を決定する為には、其々のpoly(PEG500-MA)を加水分解し、該加水分解体のカルボキシル基を定量する。加水分解体ナトリウム塩の製造は以下の通り行った。
poly(PEG500-MA)(ロットM3O538) 1gに1,4‐ジオキサン 25mL、エーテル 100mLおよび0.1N 水酸化ナトリウム水溶液42mLを加え、激しく振とうした後、水相を回収した。この水相をろ紙(704×40m/m、日本理化学機器(株)製)でろ過してから40℃で2時間撹拌し、凍結乾燥することにより、poly(PEG500-MA)加水分解物のナトリウム塩、すなわちpoly(PEG500-MA)hナトリウム塩(ロットM3O538)を黄色の固体として得た(収率100%)。
poly(PEG500-MA)(ロットM3N549) 1gに1,4‐ジオキサン 12mLおよび1N水酸化ナトリウム水溶液 9mLを加え、室温で24時間撹拌した。さらに、1N水酸化ナトリウム水溶液 1mLを加えてから凍結乾燥することにより、poly(PEG500-MA)hナトリウム塩(M3N549)を黄色の固体として得た(収率100%)。
poly(PEG500-MA)(M3N550) 2gに1,4−ジオキサン 5mLおよび1N水酸化ナトリウム水溶液 9mLを加え、40℃で23時間撹拌した。この反応液を凍結乾燥することにより、poly(PEG500-MA)hナトリウム塩(M3N550)を黄色固体として得た(収率100%)。
poly(PEG500-MA)(ロットM3N569) 2gに1,4−ジオキサン 5mLおよび1N水酸化ナトリウム水溶液 9mLを加え、40℃で23時間撹拌した。これを凍結乾燥することにより、poly(PEG500-MA)hナトリウム塩(M3N569)を黄色固体として得た(収率100%)。
これらのpoly(PEG500-MA)hナトリウム塩に含まれるカルボキシル基量を電導度滴定法により測定した。
poly(PEG500-MA)hナトリウム塩は、次の化18中のPEGアリルメチルジエーテル部分及びマレイン酸ナトリウム塩部分であらわされる2種類のモノマー単位からなる。(以下、PEGアリルメチルジエーテル部分の式量を「FW(P)」、マレイン酸ナトリウム塩部分の式量を「FW(M)」と其々表す。)
Figure 2006117652

ここでPEGアリルメチルジエーテル1単位あたりのマレイン酸ナトリウム塩の単位数を「a」とし、poly(PEG500-MA)hナトリウム塩の最小構成単位を仮想的にPEGアリルメチルジエーテル1単位、マレイン酸ナトリウム塩a単位とみなした場合、この最小構成単位の式量は、次の式(式4)で表される。
[式4]
FW((PEGアリルメチルジエーテル)+(マレイン酸ナトリウム塩))
=FW(P)+a(FW(M))
=541+160a

このpoly(PEG500-MA)hナトリウム塩最小構成単位に含まれるカルボキシル基数は「2a」であるから、そのナトリウム塩最小構成単位1g中のカルボキシル基量(C,mmol/g)は、下記の式(式5)で表される。
[式5]
C=2a/(541+160a)×1000

実際のpoly(PEG500-MA)hナトリウム塩における組成比は、poly(PEG500-MA)hナトリウム塩最小構成単位における組成比(すなわち1:a)と同一であるから、電導度滴定法により求められたpoly(PEG500-MA)hナトリウム塩のカルボキシル基量は式5におけるCと等しいので、式5を利用してaを求めることができ、poly(PEG500-MA)hの組成比を求めることができる。
表3に其々のロットpoly(PEG500−MA)から作製したpoly(PEG500-MA)hナトリウム塩1gに含まれるカルボキシル基量(mmol/g)及び上記の式によって求められた組成比を示す。
[表3] 共重合体1g中のカルボキシル基含有量及び組成比
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poly(PEG500-MA) カルボキシル基 組成比
ロット番号 含有量 (マレイン酸ナトリウム塩/
(mmol/g) PEGアリルメチルジエーテル)
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poly(PEG500-MA)h #1 M3O538 4.66 2.01
-ナトリウム塩 #2 M3N549 5.21 2.42
#3 M3N550 5.98 3.10
#4 M3N569 6.14 3.26
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

これらのpoly(PEG500-MA)hナトリウムの組成比は、PEGアリルメチルジエーテル部分:マレイン酸ナトリウム塩部分=1:2乃至1:3.3であることが確認された。なお、poly(PEG500-MA)とpoly(PEG500-MA)hナトリウム塩との間では、組成比が同一であることは自明であり、poly(PEG500-MA)の組成比は、PEGアリルメチルジエーテル:無水マレイン酸=1:2乃至1:3.3であることが確認された。

2)様々な反応条件下におけるpoly(PEG500−MA)のアンモノリシス反応によるpoly(PEG500−MA)a(化合物29−53)の製造及び当該化合物の加水分解率の同定
上記で求めたpoly(PEG500-MA)の組成比およびpoly(PEG500-MA)hナトリウム塩のカルボキシル基量を使用して、poly(PEG500-MA)のアンモノリシス体(poly(PEG500-MA)a)の加水分解率(アンモノリシス反応中に、加水分解を受けたマレイン酸単位とアンモノリシスを受けたマレイン酸単位との比率)を求めることができる。無水マレイン酸に対するアンモノリシス反応により生成するアミド化されたマレイン酸単位ナトリウム塩(「マレアミン酸ナトリウム塩」という)の構造を次に示す。(マレアミン酸ナトリウム塩の式量を以下「FW(Ma)」と表記する。)
Figure 2006117652

共重合体のマレイン酸に由来する構造単位中のマレアミン酸ナトリウム塩の比率をx、マレイン酸ナトリウム塩の比率を1−xとすると、poly(PEG500-MA)hナトリウム塩の場合と同様に、poly(PEG500-MA)aナトリウム塩の最小構成単位をPEGアリルメチルジエーテル1単位に対して、マレアミン酸ナトリウム塩「ax」単位およびマレイン酸ナトリウム塩「a(1‐x)」単位とみなした場合、poly(PEG500-MA)aナトリウム塩最小構成単位の式量は、次の式(式6)で表される。
[式6]
FW((PEGアリルメチルジエーテル)1+(マレアミン酸ナトリウム塩)ax+(マレイン酸ナトリウム塩)a(1-x))
=FW(P)+ax(FW(Ma)+a(1‐x)FW(M)
=541+137ax+160a(1−x)
=541+160a‐23ax

このpoly(PEG500-MA)aナトリウム塩最小構成単位に含まれるカルボキシル基数はax+2a(1‐x)=2a‐axであるから、poly(PEG500-MA)aナトリウム塩最小構成単位のカルボキシル基量(C, mmol/g)は、下記式(式7)で表される。
[式7]
C=(2a‐ax)/(541+160a‐23ax)×1000
ここで、電導度滴定法により求められたpoly(PEG500-MA)aナトリウム塩のカルボキシル基量Cと、既に上記1)で求められた「a」を式7に代入することにより、加水分解率((1−x):x)を求めることができる。
poly(PEG500-MA)aナトリウム塩のいくつかの製造例および得られたpoly(PEG500-MA)aナトリウム塩の加水分解率の算出値を下に示す。
(イ)poly(PEG500-MA) 100mgに、窒素雰囲気下で0.6mL乃至3.8mLの所定の各量の0.5Mアンモニア/1, 4-ジオキサン溶液を加え、15℃乃至37℃の所定の各温度で、1時間から24時間の所定の各時間撹拌した。この反応の後、約400μLの1M水酸化ナトリウム水溶液を加えてから凍結乾燥することにより、固体状態のpoly(PEG500-MA)aナトリウム塩を得た。
これらの種々の反応条件にて製造されたpoly(PEG500-MA)aナトリウム塩における加水分解率(アミン成分反応率として示すが、これは上記xをパーセント表記したものであり、加水分解率は「(1−x):x」として求められる)を表4に示す。
[表4]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
poly(PEG500-MA) 0.5MNH3 反応条件 カルボキシル アミン成分
ロット番号 添加量 温度 時間 基含有量 反応率(%)
(mL/g) (℃) (h) (mmol/g)
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poly(PEG500-MA)h #8 M3N549 38 25 20 2.79 99.5
-ナトリウム塩 #9 M3N549 17.5 25 20 2.87 96.4
#10 M3N549 6 25 24 3.26 80.9
#11 M3N549 10 25 24 3.01 90.9
#12 M3N549 15 25 24 2.91 94.6
#13 M3N549 20 25 24 3.11 86.9
#14 M3N549 11 25 24 3.26 81.1
#15 M3N549 12 25 24 3.02 90.3
#16 M3N549 13 25 24 2.98 92.1
#17 M3N549 7 25 24 3.94 53.8
#18 M3N549 8 25 24 3.08 88.1
#19 M3N549 9 25 24 3.29 80.0
#25 M3N549 9 15 24 3.05 89.4
#27 M3N549 9 25 24 3.40 75.6
#28 M3N549 9 30 24 3.02 90.6
#29 M3N549 9 37 24 3.16 85.0
#30 M3N549 9 25 16 3.00 91.3
#31 M3N549 9 25 1 2.96 93.2
#32 M3N549 9 25 5 3.25 81.3
#33 M3N549 9 25 4day 3.92 54.8
#34 M3N549 9 25 21 3.13 86.2
#35 M3N549 9 25 21 2.95 93.3
#36 M3N549 9 25 21 2.98 91.9
#37 M3N549 9 25 21 3.15 85.5
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#41 M3N550* ‐ ‐ ‐ 3.26 85.5
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*反応試薬:アンモニアガス、溶媒:DMF(N,N−ジメチルフォルムアミドを用いて反応(下記(ロ)参照)。

表4中、#8乃至19、#25、#27乃至37の共重合体はpoly(PEG500-MA)a(化合物29乃至52)である。其々の共重合体は、m=6乃至16、R=NH、組成比=1:2.4、平均重合度=20乃至30、であるランダム共重合体である。
表4に示すように、アンモニアを溶解した1,4-ジオキサンを使用することにより、幅広い条件下で100%に近い高いアミン成分反応率(すなわち加水分解率がほぼ0:10)のpoly(PEG500-MA)aがナトリウム塩として製造可能なことが示された。
さらに、上記とは異なるpoly(PEG500-MA)aナトリウム塩の製造の数例を次に示す。
(ロ)poly(PEG500-MA) 0.44gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)9mLに溶解し、‐50℃にてアンモニアガス0.67gを導入した。反応系を封管として室温にて24時間攪拌した後、封管を開けアンモニアを減圧下において溜去した。次いで反応液をエチルエーテル90mLに滴下した。生成する沈殿を集めて減圧下にて乾燥し、黄色粉末のpoly(PEG500-MA)aアンモニウム塩0.28gを得た(化合物53:表4において#41として示される化合物)。化合物53は、m=6乃至16、R=NH、組成比=1:3.1、平均重合度=20乃至30、であるランダム共重合体である。
(ハ)(ロ)におけるジメチルホルムアミドをトルエンに変え、同様にして黄色粉末のpoly(PEG500-MA)aアンモニウム塩を得た。
(ニ)(ロ)におけるN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を1,4-ジオキサンに変え、同様にして黄色粉末のpoly(PEG500-MA)aアンモニウム塩を得た。
(実施例21)Poly(PEG500-MA)のアルコリシス分解物(poly(PEG500-MA)ea)[m=6乃至16、R=OCHCH、組成比=約1:3、平均重合度=20乃至30、加水分解率=約3.1:6.9(以下、「化合物54」という)]の製造

側鎖を構成するポリオキシエチレン鎖の平均分子量が約500であり、主鎖の平均重合度が20乃至30である、ポリオキシエチレンアリルメチルジエーテル−無水マレイン酸共重合体(m=6乃至16、R=水素原子、R=メチル基、Alk=エチレン基、ポリオキシエチレンアリルメチルジエーテル単位と無水マレイン酸単位の組成比=約1:3、数平均分子量=約5891、分子量分布係数(Mw/Mn)=約1.28であるpoly(PEG500-MA)(AM−0510K、ロット番号:M3N550、日本特許第2621308号、特開2003−105040、特開2003−1050032等に記載の方法に準じて製造)を出発物質として用いた。該出発物質 100mgに、エタノール1mLを加えて、40℃で16時間放置した。この溶液に、2.5N 水酸化ナトリウムのエタノール溶液52μLを加え混和した。35℃で減圧濃縮した後、真空乾燥することにより、poly(PEG500-MA)eaのナトリウム塩(化合物54)を油状物質として得た。上記の方法により加水分解率を算出した。すなわち、電導度滴定法により測定されたpoly(PEG500-MA)eaナトリウム塩(化合物54)のカルボキシル基量およびpoly(PEG500-MA)hナトリウム塩のカルボキシル基量(実施例20)化合物54に含まれる総マレイン酸残基中、アルコリシスを受けたマレイン酸残基の割合は0.69と算出された。その結果、化合物54の加水分解率は、約3.1:6.9と同定された。
(実施例22)複合体の製造

OCIFと実施例21で作製された化合物54との複合体は実施例14と同様の方法により、水溶液として製造された。すなわち、0.472mLの化合物54の水溶液(高分子濃度 17.2mg/mL、溶媒:PBS pH7.4(10mMリン酸水素二ナトリウムと150mM塩化ナトリウムからなる水溶液、10mMのリン酸二水素ナトリウムと150mM塩化ナトリウムからなる水溶液を所定の割合で混合して得られるpH7.4の水溶液))を、1.328mLのヒト成熟体OCIF水溶液(実施例9、14と同様の方法で作製、OCIF濃度 4mg/mL、溶媒:10mM リン酸イオンおよび150mM塩化ナトリウムを含む緩衝液、pH6.0)に加え、4.5mg/mLの化合物54と3mg/mLのヒト成熟体OCIFのを含む混合溶液を作製した。この混合溶液を4℃、10℃または25℃で3日間放置することにより、本発明の複合体の水溶液を得た。ここで得られた複合体の分子サイズは試験例13において測定した。
(実施例23)Poly(PEG500-MA)のエタノールによるアルコリシス分解物(poly(PEG500-MA)ea)[m=6乃至16、R=OCHCH、組成比=約1:3、平均重合度=20乃至30(以下、「化合物55」という)]の製造

側鎖を構成するポリオキシエチレン鎖の平均分子量が約500であり、主鎖の平均重合度が20乃至30である、ポリオキシエチレンアリルメチルジエーテル−無水マレイン酸共重合体(m=6乃至16、R=水素原子、R=メチル基、Alk=エチレン基、ポリオキシエチレンアリルメチルジエーテル単位と無水マレイン酸単位の組成比=約1:3、数平均分子量=約5891、分子量分布指数(Mw/Mn)=約1.28であるpoly(PEG500-MA)(AM−0510K、ロット番号:M3N550、日本特許第2621308号、特開2003−105040、特開2003−1050032等に記載の方法に準じて製造)を出発物質として用いた。該出発物質 50mgに100%エタノール 0.5mLを加えて、37℃で24時間放置することにより、poly(PEG500-MA)ea(化合物55)のエタノール溶液を得た(poly(PEG500-MA)ea(化合物55)濃度:100mg/mL)。
(実施例24)複合体の製造

OCIFと実施例23で作製された化合物55との複合体は実施例14と同様の方法により、水溶液として製造された。
すなわち、実施例23で得られた化合物55のエタノール溶液 37.5μLを、0.5mLのヒト成熟体OCIF水溶液(実施例9及び14と同様の方法で作製した。OCIF濃度 5mg/mL、溶媒:10mM リン酸イオンおよび150mM塩化ナトリウムを含む緩衝液、pH6.0)に加え、この混合溶液を25℃で3日間放置することにより、本発明の複合体の水溶液を得た。ここで得られた複合体の分子サイズは試験例13において測定した。
(比較例1)モノメトキシポリエチレングリコール‐メチルビニルエーテルとマレイン酸の共重合体(PEG‐PMVMA)の製造

グラフト共重合体であるモノメトキシポリエチレングリコール‐メチルビニルエーテルとマレイン酸の共重合体(PEG−PMVMA)を特開平11‐302199の実施例2に記載されている方法に従い製造した。
(比較例2)PEG‐PMVMAとOCIFタンパク質とを構成成分とする複合体の製造

実施例9と同様にして、PEG-PMVMAで修飾したヒト成熟体OCIFを水溶液(媒体:PBS(pH6.0))として得た。1mLのヒト成熟体OCIF溶液(OCIF濃度 2mg/mL、媒体:PBS(pH6.0))を1mLのPEG−PMVMA溶液(高分子濃度 2又は20mg/mL、媒体:PBS(pH6.0)と混合し、該混合溶液を25℃で24時間放置することにより、目的の複合体を得た。
(比較例3)poly(PEG500-MA)を高分子修飾剤として使用した高分子−OCIFタンパク質複合体の製造

28.4μLのヒト成熟体OCIF水溶液(タンパク質濃度 3.5mg/mL、媒体:0.5M NaHPO水溶液(5M 水酸化ナトリウム水溶液でpH7.6に調整))に対し、2.2μLのpoly(PEG500-MA)(AM−0530、日本油脂(株)製)ジメチルスルホキシド溶液(高分子濃度:35乃至350mg/mLの所定値)を加え、25℃で40時間振とうした。得られた混合溶液(OCIF濃度:3.2mg/mL、poly(PEG500-MA)濃度:2.5mg/mLまたは6.3mg/mL)をPBS(pH7.0)で希釈することにより、OCIF濃度が0.25mg/mLである高分子修飾OCIFを水溶液として得た。この水溶液は、4℃で保存した。
(試験例1)カルボキシキル基量の滴定


実施例10乃至13で製造した高分子(poly(PEG500-MA)a-Na(化合物9)、poly(PEG500-MA)a(化合物10)、poly(PEG500-MA)dma(化合物11)、およびpoly(PEG500-MA)h(化合物12))に含まれるカルボキシル基量は次のようにして、電導度滴定法により求めた。
各高分子は、以下のようにゲルろ過法により精製した。100mgの高分子を4mLの0.001N水酸化ナトリウム溶液に溶解し、該溶液を4バッチに分け、各バッチから1mLずつをゲルろ過カラム(PD−10、アマシャムファルマシア製)に供した。最初の溶出液1mLを廃棄し、1.5mLの0.001N水酸化ナトリウム溶液をカラムに流し、溶出液1.5mLを廃棄した。次に、2.5mLの0.001N水酸化ナトリウム溶液をカラムに流し、溶出液2.5mLを回収した。当該溶出液4バッチ分を合わせて、10mLの高分子精製溶液を得た。精製前後の共重合体溶液の、210nmにおける高分子の吸光度を測定した結果、精製による収率は80%と求められ、精製溶液中の共重合体濃度は8mg/mlであった。
上記の通り精製された各高分子の画分(2.5乃至7.5mL)を蒸留水50mLまたは0.001M 水酸化ナトリウム50mLに溶解し、該溶液に1M 水酸化ナトリウム水溶液を加えて、水溶液のpHを12とした。この溶液に0.1M 塩酸を0.1mLずつ断続的に、または、0.1mL/分の速度で連続的に滴下して混和し、それぞれ滴下ごと、または、15秒おきにpHおよび電導度を測定した。電気伝導度の緩衝領域(pH域として10乃至5.5付近の緩衝領域)に対応する0.1M 塩酸の滴下量から、系内に含まれるカルボキシル基量を算出した。その結果を表5に示す。
[表5]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
実施例 高分子種類 カルボキシル基量 アミン成分 加水分解率
番号 (化合物番号) (mmol / g高分子) 反応率
(%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10 poly(PEG500-MA)a-Na(9) 2.10 69% 3.1:6.9
11 poly(PEG500-MA)a(10) 1.83 86% 1.4:8.6
12 poly(PEG500-MA)dma(11) 2.02 71% 2.9:7.1
13 poly(PEG500-MA)h(12) 3.21 − 10:0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
実施例10乃至12で製造された共重合体において、出発物質の無水マレイン酸部分がアンモノリシス又はアミノリシスを受けた量と加水分解を受けた量との割合は、次のようにして算出した。表5に示すように、poly(PEG500-MA)h(化合物12) 1gあたりのカルボキシル基量は、3.21mmolと求められた。この値より、カルボキシル基1molあたりのpoly(PEG500-MA)h重量は、312g、開環されたマレイン酸残基1molあたりのpoly(PEG500-MA)h重量は、623gと算出される。この値から、加水分解前の重合体であるpoly(PEG500-MA)、およびpoly(PEG500-MA)にアンモニアが付加されたpoly(PEG500-MA)aの官能基1gあたりの重量が順次求まる。すなわち、無水マレイン酸残基1molあたりのpoly(PEG500-MA)(すなわち加水分解前の共重合体)重量は、加水分解後の値から水分子の分子量を差し引いた605gである。さらに、このpoly(PEG500-MA)にアンモニアが付加されたpoly(PEG500-MA)aについて、カルボキシル基1molあたりの共重合体重量は、poly(PEG500-MA)の値にアンモニア分子の分子量を加えた622gと求められる。この値より、poly(PEG500-MA)の全ての無水マレイン酸残基がアンモノリシスされた場合、poly(PEG500-MA)a 1gあたりのカルボキシル基量は、1.61mmolと算出される。同様にして、poly(PEG500-MA)にジメチルアミンが付加されたpoly(PEG500-MA)dmaについて、カルボキシル基1molあたりの共重合体重量は、poly(PEG500-MA)の値にジメチルアミン分子の分子量を加えた650gと求められる。この値より、poly(PEG500-MA)の全ての無水マレイン酸残基がジメチルアミンで分解された場合、poly(PEG500-MA)dma 1gあたりのカルボキシル基量は、1.54mmolと算出される。
以上、全ての無水マレイン酸残基が加水分解されたpoly(PEG500-MA)h、すべての無水マレイン酸残基がアンモノリシスされたpoly(PEG500-MA)a、すべての無水マレイン酸残基がジメチルアミン分解されたpoly(PEG500-MA)dma、それぞれ1gあたりのカルボキシル基量と本実施例で得られたカルボキシル基の定量値より、アンモノリシスまたはアミノリシスされた割合(アミン成分反応率とする。)及び加水分解率が求められた。結果は表5に示す。
(試験例2)ラットにおける高分子−OCIF複合体の血中滞留性の評価

実施例9および比較例2において製造した各種の試料、および非修飾ヒト成熟体OCIF(WO96/26217に記載の方法と同様に製造)をPBS(pH6.0)で適宜希釈し、OCIF濃度を0.25mg/mLとした。Wistarラット(メス、5週齢、体重100g前後、投与前日より絶食)に対し、OCIF投与量として0.5mg/kg(投与体積として2mL/kg)となるように上記希釈検体を、尾静脈より投与した。検体投与6時間後に心臓より200μL採血し、血清中のOCIF濃度を試験例3に記載と同様の方法で測定した。
測定した各種試料投与後の血清中OCIF濃度を表6に示す。
[表6]各種のOCIF試料を静脈内投与した後の血清中OCIF濃度
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
修飾剤 修飾剤/OCIF 投与6時間後の 混合条件*
(化合物番号) (重量比) 血清中OCIF濃度
(ng/mL)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(非修飾OCIF) − 25±19
PEG-PMVMA 1 101±26
10 361±33
poly(PEG1500-MA)h(2) 10 502±70
poly(PEG1500-MA)a(7) 10 1029±30
poly(PEG1500-MA)dma(8) 1 2145±721
poly(PEG500-MA)h(1) 10 750±80
2.5 434±92
poly(PEG500-MA)a(3) 10 3416±440
10 2445±195 37℃
2.5 3428±27
2.5 484±92 1時間
1 3004±158
1 2275±130 pH7.4
1 3786±461 40時間
1 777±153 4℃
0.5 2951±512
poly(PEG500-MA)dma(4) 1 1014±331
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
*混合の際の基本条件は、OCIF濃度1mg/mL、pH6.0、16時間、25℃とし、これらと異なる条件で混合した場合には、その条件を記載した。

このように、本発明で製造した高分子修飾剤−タンパク質複合体は、構成成分とするタンパク質の血中滞留性を、該タンパク質を単独で投与した場合と比べて著しく向上させることが確認された。さらに、同一の修飾剤/タンパク質重量比(10または1)である場合に、本発明の高分子修飾剤−タンパク質複合体と比較例2で製造した特開平11-302199記載のPEG‐PMVMAを用いたタンパク質複合体の血中滞留性向上効果とを比較すると、本発明の高分子修飾剤−タンパク質複合体は、PEG‐PMVMA−タンパク質複合体と比べ顕著な血中滞留性の向上効果を有することが判明した。
(試験例3)ELISA検出度の評価

公知のタンパク質修飾剤における問題の一つとして、修飾剤がタンパク質と結合する際過剰な架橋構造が形成され、粗大な複合体を形成してしまうことが挙げられる。本発明の修飾剤とOCIFの複合体を用いてこの点について検討するため、実施例9及び比較例2で作製した其々の複合体のELISA検出度を非修飾のOCIFと比較した。ELISAは以下に示す手順で行った。
抗ヒトOCIFモノクローナル抗体であるOI‐19(EP0974671公報に記載の方法に従って製造)を10μg/mLになるように0.1M 重曹溶液(pH9.6)に溶解し、96穴イムノプレート(Nunc社製)の各ウエル当り100μLづつそれぞれ分注し、4℃で一晩放置した。次いで各々のプレートを50%ブロックエース(雪印乳業社製)でブロックし、0.1% Tween20を含むPBS(洗浄バッファー)で3回洗浄した。各濃度のOCIFを第一次反応バッファー(40%ブロックエース、0.1% Tween20、10μg/mLマウスIgGを含む0.2M トリス塩酸緩衝液、pH7.4)で調製した。調製した各濃度のOCIF溶液100μLづつ各ウエルに加え、室温で2時間振とうし、次いで洗浄バッファーで6回洗浄した。POD‐OI‐4(パーオキシダーゼで標識した、OCIFを認識する抗体、EP0974671に記載の方法により作製)を第2次反応バッファー(25%ブロックエース、0.1% Tween20、10μg/mLマウスIgGを含む0.1M トリス塩酸緩衝液、pH7.4)で10000倍に希釈し、その各々100μLずつを各ウエルに加え、室温で2時間振とうし、次いで6回洗浄した。更に基質溶液(TMB soluble reagent:Scytek社製)100μLを各ウエルに添加し、室温で10から15分間振とう後、反応停止液(TMB stop buffer:Scytek社製)各ウエルに100μLを添加し、軽く振とうした。マイクロプレートリーダー(MEML 001:Molecular Devices社)を用いて波長450nmにおける各ウエルの吸光度を測定した。濃度既知のOCIF溶液を用いて作成した検量線を作製した。
ついで、各種高分子修飾剤とOCIFの複合体について、同様に試験した。100μLの複合体溶液を各ウェルに加え上記と同様にPOD−OI−4と反応させ、各ウェルの450nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。得られた吸光度を検量線に照らし合わせて、各々のOCIF濃度を算出した。測定した各種試料のELISA検出度の損失率を算出し、結果を表7に示した。
ELISA検出度の損失率は下記の式(式8)により算出される。
[式8]
損失率=(1‐(ELISAにより測定されたOCIF濃度)/(ローリー法により測定されたOCIF
濃度)×100
式8におけるローリー法とは、特願2002−190407に記載されている。この方法により、複合体に含まれる全OCIF料が測定される。ELISAによるOCIF検出度の損失率は、修飾剤との結合に伴うOCIFの非認識性の変化およびOCIFの構造の変化の指標となる。損失率が低いということは、複合体中のOCIFがOI−19及びOI−4(抗OCIF抗体)と結合できる状態にあることを意味し、複合体中のOCIFの被認識性および構造がほとんど又は全く変化しないことが示唆される。すなわち、OCIFの薬理活性がほとんど又はまったく低下しないことが示唆される。また、損失率が低い、すなわちELISA法による測定感度が高いということは、それ自体、生体内挙動等を評価する上で大きな長所である。
[表7]各種のOCIF試料のELISA検出度の損失率
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
修飾剤 修飾剤/OCIF ELISA検出度の損失率
(化合物番号) (重量比) (非修飾OCIF比、%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
非修飾OCIF − −
PEG-PMVMA 1 25
10 39
poly(PEG1500-MA)h(2) 10 13
poly(PEG1500-MA)a(7) 10 15
poly(PEG1500-MA)dma(8) 10 0
poly(PEG500-MA)h(1) 10 17
poly(PEG500-MA)a(3) 10 0
2.5 0
poly(PEG500-MA)dma(4) 1 12
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
表7の結果より、本発明の高分子修飾剤−タンパク質複合体は、修飾に伴うタンパク質のELISA検出度の損失が著しく軽減されることが判明した。これに対し、比較例2で製造したPEG‐PMVMA−タンパク質複合体においてはELISA検出度の損失は大きかった。
試験例2と試験例3の結果より、本発明の高分子修飾剤−タンパク質複合体は、構成成分とするタンパク質の血中滞留性を著しく向上させるとともに、タンパク質の薬理活性の発現に必要な抗体による認識性および構造を維持するという特長を有することが判明した。さらに、過剰な被覆に伴う測定感度の低下が極めて少ないという特長を有することが同時に判明した。
(試験例4)OCIF血中濃度の測定

実施例9に記載の試料と同様にして製造した各種の試料およびヒト成熟体OCIFをPBS(pH6.0乃至7.4)で適宜希釈し、OCIF濃度を0.1mg/mL乃至1mg/mLとする。カニクイザル(メス、6または7歳、体重2乃至4kg、投与前日より絶食)に対し、OCIF投与量として0.1乃至1mg/kg(投与体積として1mL/kg)となるように上記希釈検体を、後肢伏在静脈または背部皮下より投与する。検体投与5分乃至1ヵ月後の所定の時間後に大腿部血管より500μL採血し、血清中のOCIF濃度を試験例3に記載のELISA法に従って測定する。本発明の共重合体及び化合物は優れた血中濃度維持特性を示す。
(試験例5)骨密度測定

実施例9に記載の試料と同様にして製造した各種の試料およびヒト成熟体OCIFをPBS(pH6.0乃至7.4)で適宜希釈し、OCIF濃度を0.7mg/mL乃至3.5mg/mLとする。Mycobacterium butyricumの死菌および流動パラフィンより調製したアジュバントを、Lewisラット(メス、5乃至10週齢、体重100乃至300g)の尾根部皮内に投与することにより、関節炎を惹起させる。アジュバント投与2週間後に、OCIF投与量として1.4mg/kg乃至7mg/kg(投与体積として2mL/kg)となるように上記検体を、尾静脈または背部皮下より投与する。アジュバント投与3週間後に解剖を行い、左右の大腿骨を採取し、骨密度を測定する。本発明の共重合体及び化合物は優れた骨密度改善作用を示す。
(試験例6)非還元条件下SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)による分子サイズの評価

実施例14および比較例3で製造した各種の高分子修飾OCIFと非修飾OCIFの分子サイズを、次の方法により非還元条件下SDS−PAGEで評価した。
被験試料(必要に応じて、リン酸緩衝生理食塩液(PBS(pH7.0)10mM リン酸水素二ナトリウムと150mM 塩化ナトリウムからなる水溶液、10mM リン酸二水素ナトリウムと150mM 塩化ナトリウムからなる水溶液を所定の割合で混合して得られるpH7.0の水溶液)によりタンパク質濃度が250μg/mLとなるよう希釈した)10μLに、NuPAGE(登録商標)LDSサンプルバッファー(4x)(Invitrogen life technology社製)5μL、および精製水5μLを加え、95℃で7分間加熱した。この溶液全量をSDS‐ポリアクリルアミド電気泳動ゲル(3−8% トリス-酢酸ゲル、ゲルの厚さ1mm、NOVEX製) に添加し、電源装置(PhoreStar Pro、アナテック社製)にて150Vの電圧を印加した。電気泳動終了後、ゲルを当業者周知の方法に従いクーマシーブルーを使用して、ゲル上のタンパク質を染色した。
図1乃至2に示すように、本発明の高分子修飾剤poly(PEG500-MA)a-Na(化合物9)で修飾されたOCIFは、全ての混合比で安定して非修飾OCIF(120kD)より高分子量(分子量マーカーを基準として130‐150kDの主バンドおよび180‐200kDの副バンド)の物質として検出され、210kDを超えるような複合体は検出されなかった。本発明の他の高分子修飾剤(アミノリシス反応、アルコリシス反応により製造された修飾剤)についても、同様の結果が得られた。
一方、図3に示すように比較例3で製造した、通常の高分子修飾剤poly(PEG500-MA)(AM−0530K)で修飾されたOCIFでは、修飾剤の比率を増加させることにより該粗大複合体の形成量が顕著に増大してしまうことが確認された。
以上の結果より、本発明の高分子修飾剤では、従来の類似の高分子修飾剤と比較して医薬上好ましくない粗大な複合体の形成を劇的に抑制し、高分子修飾剤とタンパク質との混合比率に依存せず安定した複合体を製造できることが示された。
(試験例7)poly(PEG500-MA)aの共有結合形成活性の評価
アミノ基を有する蛍光物質であるtetramethylrhodamine cadaverine(分子量514.62、Molecular Probes社製、以下「Rho-NH2」とする)に対する、高分子修飾剤poly(PEG500-MA)a-Na(化合物9)およびpoly(PEG500-MA)h(化合物12)との反応性を次のように比較し、poly(PEG500-MA)aの共有結合形成活性を評価した。
1.08mg/mLのRho-NH2を含むPBS(pH6.0)18.9μLに、poly(PEG500-MA)h(実施例13に従って製造、化合物12)またはpoly(PEG500-MA)a-Na(高分子濃度21mg/mL、媒体:PBS(pH9.5、1M 水酸化ナトリウムによりpH調整))3.8μL(実施例10に従って製造、化合物9)を加え、25℃で3日間放置した。この反応液を、下記の通り、ゲルろ過クロマトグラフィー(カラム:PD-10(Amersham Biotech社製)、移動相:精製水)で分画した。反応液0.5mLをゲルろ過カラムに載せ、溶出液0.5mLを廃棄した。次に、2mLの蒸留水をカラムに添加し、さらに2mLを溶出させ該溶出液を廃棄した。さらに、2mLの蒸留水をカラムに添加し、2mLを溶出させ、該溶出液を回収した(当該画分に高分子画分が含まれる)。該高分子画分に含まれるRho-NH2を、蛍光光度法(励起波長:544nm、蛍光波長:571nm、媒体:pH3に調整した精製水)により定量し、反応系内に含まれる全Rho-NH2量に対する比率、すなわち、高分子へのRho-NH2結合率を算出した。その結果を表8に示す。
[表8]高分子修飾剤の反応性
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
高分子へのRho-NH2 結合率*(%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Rho-NH2+poly(PEG500-MA)a-Na 11.5、12.6
Rho-NH2+poly(PEG500-MA)h 0.8、1.6
Rho-NH2単独 0、0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
*2回の実験結果を併記した。

このように、Rho-NH2とpoly(PEG500-MA)a-Na(化合物9)の混合液においては、高分子画分で高レベルのRho-NH2が検出された。対照的に、poly(PEG500-MA)h(化合物12)とRho-NH2の混合液においては高分子画分に低レベルのRho-NH2しか検出されなかった。また、Rho-NH2単独条件では、高分子画分にはRho-NH2は全く検出されなかった。これらの結果から、本発明の高分子修飾剤poly(PEG500-MA)a-Na(化合物9)は、アミノ基に対する強い結合性を有していることが示唆された。一方、本発明の高分子修飾剤poly(PEG500-MA)h(化合物12)は、アミノ基に対する強い結合性を有していないことが示唆された。
(試験例8)ELISA検出度の評価

実施例14および比較例3で製造した、高分子修飾OCIFのELISA検出度を、非修飾OCIFと比較した。ELISAは以下に示す手順で行った。
OI‐19(OCIFを認識する抗体)を10μg/mLになるように0.1 M重曹溶液(pH 9.6)に溶解し、96穴イムノプレート(Nunc社製)の各ウエル当り100μLづつそれぞれ分注し、4℃で一晩放置した。次いで各々のプレートを50%ブロックエース(雪印乳業社製)でブロックし、0.1% Tween20を含むPBS(洗浄バッファー)で3回洗浄した。各濃度の標準OCIF溶液を第一次反応バッファー(40% 0.1% Tween20、10μg/mLマウスIgGを含む0.2M トリス塩酸緩衝液、pH7.4)で調製した。調製した各濃度の標準OCIF溶液を100μLづつ各ウエルに加え、室温で2時間振とうし、次いで洗浄バッファーで6回洗浄した。POD-OI−4(パーオキシダーゼで標識した、OCIFを認識する抗体OI−4、EP0974671に記載の方法で作製)を第2次反応バッファー(25% ブロックエース、0.1% Tween20、10μg/mLマウスIgGを含む0.1M トリス塩酸緩衝液、pH7.4)で10000倍に希釈し、その各々100μLずつを各ウエルに加え、室温で2時間振とうし、次いで6回洗浄した。更に基質溶液(TMB soluble reagent:Scytek社製)100μLを各ウエルに添加し、室温で10から15分間振とう後、反応停止液(TMB stop buffer:Scytek社製)を各ウエルに100μLずつ添加し、軽く振とうした。マイクロプレートリーダー(MEML 001:Molecular Devices社製)を用いて波長450nmにおける各ウエルの吸光度を測定し、検量線を作成した。濃度既知のOCIF溶液の吸光度を上記の様に測定し、検量線よりOCIF濃度を求めた。
各被験複合体溶液の吸光度を同様に測定し、検量線から、上記ELISA法で検出されるOCIF濃度、及びELISA検出度の損失率を試験例3と同様に算出した。
測定した各種試料のELISA検出度の損失率を表9に示す。
[表9]各種のOCIF試料のELISA検出度の損失率
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
修飾剤 修飾剤/OCIF ELISA検出度の損失率
(化合物番号) (重量比) (非修飾OCIF比、%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(非修飾OCIF単独) − −
poly(PEG500-MA)h(12) 1 8
poly(PEG500-MA)a-Na(9) 1 0
0.75 0
0.5 0
0.25 0
poly(PEG500-MA) 7.8 98
1.9 89
0.78 60
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
これらの結果より、実施例14で製造した本発明の高分子修飾剤−タンパク質複合体は、修飾に伴うタンパク質のELISA検出度の損失が著しく軽減されることが判明した。これに対し、比較例3で製造した既存の高分子−タンパク質複合体においてはELISA検出度の損失は大きかった。
以上の結果より、本発明の高分子修飾剤−タンパク質複合体は、タンパク質の過剰な被覆および/または粗大な複合体形成に伴う測定感度の低下が極めて少ないという特長を有することが判明した。
(試験例9)ラットにおける血中滞留性の評価

実施例14において製造した各種の試料、および非修飾OCIFをPBS(pH7.0)で適宜希釈し、OCIF濃度を0.25mg/mLまたは0.025mg/mLとした。Wistarラット(メス、5週齢、体重100g前後、投与前日より絶食)に対し、OCIF投与量として0.5mg/kgまたは0.05mg/kg(投与体積として2mL/kg)となるように上記検体を、大腿静脈より投与した。検体投与6時間後に頚静脈より200μL採血し、血清中のOCIF濃度を上記のELISA法により測定した。
測定した各種試料投与後の血清中OCIF濃度を表10に示す。
[表10]各種のOCIF試料を静脈内投与した後の血清中OCIF濃度
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
修飾剤 修飾剤/OCIF 投与量 投与6時間後の血清中
[化合物番号) (重量比) (mg/kg) OCIF濃度(ng/mL)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(非修飾OCIF単独) − 0.5 18
Poly(PEG500-MA)h(12) 1 0.05 127
Poly(PEG500-MA)a-Na(9) 1 0.05 603
1 0.5 5549
0.75 0.5 4770
0.5 0.5 4292
0.25 0.5 3020
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
このように、本発明で製造した高分子修飾剤−タンパク質複合体は、構成成分とするタンパク質の血中滞留性を著しく向上させることが確認された。

本発明の高分子修飾剤−タンパク質複合体は、幅広い条件下で安定した製造が可能であり、タンパク質の血中滞留性を著しく向上させることができ、医薬分野および生化学分野で有用性が高い。
(試験例10)ラットにおける血中滞留性の評価

実施例17および実施例19において製造した各種の試料を試験例9と同様にして評価した。測定した各種試料投与後の血清中OCIF濃度を表11に示す。
[表11]各種のOCIF試料を静脈内投与した後の血清中OCIF濃度
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
実施例 修飾剤 分画 修飾剤/OCIF 投与量 投与6時間後の
番号 (化合物番号) (重量比) (mg/kg) 血清中OCIF濃度
(ng/mL)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
17 Poly(PEG500-MA)a-Na
(14) SRF55-60 1 0.05 437
(14) 2.5 0.05 460
(15) SRF60-65 1 0.05 478
(19) SDF60-70 1 0.5 4255
17 Poly(PEG1500-MA)a
(21) SRF55-60 1 0.5 256
(21) 2.5 0.05 334
19 Poly(PEG500-MA)a-Na
(27) 非分画 1 0.5 6138
(28) 非分画 1 0.5 6713
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
このように、種々の分子サイズを有する本発明の高分子修飾剤は、いずれもタンパク質の血中滞留性を著しく向上させることが確認された。
(試験例11)サイズ排除クロマトグラフィーによる分子サイズの確認

実施例9、実施例14、実施例17及び実施例19で製造した高分子修飾剤‐OCIF複合体の分子サイズをサイズ排除クロマトグラフィーにより評価した。試験条件は表12に示す通りである。
[表12]サイズ排除クロマトグラフィーの条件
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
クロマトグラフィー装置:Explorer 10S(Amersham Biotech社製)
カラム:Superdex 200 HR10/30 (Amersham Biotech社製)
移動相:リン酸緩衝生理食塩液
(8mM Na2HPO4、15mM KH2PO4、145mM NaCl、0.5g/L NaN3
分析温度:4℃
検出波長:280nm
移動相流速:0.6mL/min
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
上記条件下での標準タンパク質保持時間を表13に示す。
[表13]標準タンパク質の保持時間
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
タンパク質 分子量 ストークス半径 保持時間
(kD) (nm) (min)
Ferritin 440 6.10 18.41
Aldose 158 4.81 22.48
Ovalbumin 43 3.05 25.19
Ribonuclease 13.7 1.64 29.56
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

上記のサイズ排除クロマトグラフィーの結果、非修飾OCIFのストークス半径は5.63nmであり、本発明の各種高分子修飾剤とOCIFの複合体のストークス半径は以下に示す値であった。
a)実施例9で作製された複合体
poly(PEG500-MA)h(化合物1)−OCIF複合体(ストークス半径6.13乃至7.32nm)
poly(PEG500-MA)a(化合物3)−OCIF複合体(同6.12乃至6.54nm)
poly(PEG500-MA)dma(化合物4)−OCIF複合体(同6.39nm)
poly(PEG500-MA)ipa(化合物5)−OCIF複合体(同6.26nm)
poly(PEG500-MA)ea(化合物6)−OCIF複合体(同6.44nm)
poly(PEG1500-MA)h(化合物2)−OCIF複合体(同6.44乃至6.71nm)
poly(PEG1500-MA)a(化合物7)−OCIF複合体(6.40乃至6.47nm)
poly(PEG1500-MA)dma(化合物8)−OCIF複合体(6.55nm)
いずれの複合体も移動相として使用したリン酸緩衝生理食塩液中で、非修飾OCIF(同5。63nm)と比較して1nm前後大きなストークス半径を有していることが確認された。また、いずれの試料においても、非修飾OCIFに帰属されるピークは検出されなかった。
その他の複合体のストークス半径も上記と類似の条件下で決定した。
b)実施例14で作製された複合体
実施例14で製造した、複合化のためのインキュベーション条件が、OCIF濃度:5mg/mL、高分子修飾剤濃度:1.25乃至5mg/mL、pH7.4、25℃、36時間、媒体リン酸緩衝生理食塩液(リン酸濃度:10mM、塩化ナトリウム濃度:150mM)である複合体は、いずれもストークス半径6.2乃至6.5nmを有していた。また、非修飾OCIF(ストークス半径約5.6nm)に帰属されるピークは検出されなかった。
c)実施例17で作製された複合体
実施例17で製造した、複合化のためのインキュベーション条件が、OCIF濃度:0.5mg/mL、高分子修飾剤濃度:0.5mg/mL、pH6.0、25℃、168時間、媒体リン酸緩衝生理食塩液(リン酸濃度:10mM、塩化ナトリウム濃度:150mM)である複合体は、いずれも6.1乃至6.7nmのストークス半径を有しており、非修飾のOCIF(ストークス半径約5.6nm)に帰属されるピークは検出されなかった。
d)実施例19で作製された複合体
実施例19で製造した、複合化のためのインキュベーション条件が、OCIF濃度:5mg/mL、高分子修飾剤濃度:5mg/mL、pH5.5、25℃、168時間、媒体リン酸緩衝生理食塩液(リン酸濃度:10mM、塩化ナトリウム濃度:150mM)である複合体は、いずれも6.3乃至6.8nmの範囲のストークス半径を有しており、非修飾OCIF(ストークス半径約5.6nm)に相当するピークは検出されなかった。
非修飾OCIFに対する高分子修飾剤−OCIF複合体のストークス半径の増大は、本発明の高分子修飾剤によるOCIFの修飾に起因する。
(試験例12) 血中滞留性およびELISA検出率の評価

試験例2及び試験例3と同様にして、実施例22で製造した複合体(化合物54とOCIFの複合体、インキュベーション温度:25℃)の血中滞留性およびELISA反応性を評価した。なお、本試験ではOCIF換算投与量を0.1mg/kgとした。当該複合体投与後6時間の血清中OCIF濃度は、189ng/mLであった。すなわち、poly(PEG500-MA)ea(化合物54)を使用して製造された複合体が高い血中滞留性を有することが確認された。また、当該複合体のELISA検出度の損失率が、非常に低い値であったことも確認された。
(試験例13)複合体の分子サイズの評価

実施例22および24で製造した複合体(実施例22:化合物54とOCIFの複合体、実施例24:化合物55とOCIFの複合体)の分子サイズを試験例11と同様にして、サイズ排除クロマトグラフィーで評価した。
その結果、これらの複合体は均一性が高く、実施例22で4℃、10℃及び25℃で複合体化した複合体のストークス半径は、それぞれ、6.0nm、6.0nm、6.0nmであった。また、実施例24で製造した化合物55とOCIFの複合体のストークス半径は6.4nmであった。
実施例22及び24で製造された複合体は共に非修飾OCIF(ストークス半径5.63nm)よりも大きいストークス半径であることが示された。
(製剤例)
滅菌条件下、実施例14、実施例17、実施例19等に記載の方法に従って得た複合体を含む溶液を凍結乾燥して凍結乾燥製剤を得る。
(試験例14)骨密度測定

実施例10にて製造したpoly(PEG500-MA)a-Na水溶液(poly(PEG500-MA)a-Na濃度:9.68 mg/mL、媒体:リン酸緩衝生理食塩液(PBS(pH7.0):10mMリン酸水素二ナトリウムと150mM塩化ナトリウムからなる水溶液と10mMリン酸二水素ナトリウムと150mM塩化ナトリウムからなる水溶液を所定の割合で混合して得られるpH7.0の水溶液)7.91 mLと、ヒト成熟体OCIFタンパク質水溶液(OCIF濃度:14.42 mg/mL、媒体:PBS(pH7.0))4.2mLとを混合し、得られた水溶液を25℃で40時間放置することにより、OCIF濃度5.00 mg/mL、修飾剤濃度5.00 mg/mLの複合体を水溶液として得た。また、該水溶液の一部をPBS(pH7.0)で適宜希釈し、OCIF濃度を1.5 mg/mLに調整した。
Mycobacterium butyricumの死菌および流動パラフィンより調製したアジュバントを、Lewisラット(メス、5乃至10週齢、体重100乃至300g)の尾根部皮内に投与することにより、関節炎を惹起させる。アジュバント投与2週間後に、上記検体を投与体積として2mL/kg(5.00 mg/mL検体の投与量:10 mg/kg、1.5 mg/mL検体の投与量:3 mg/kg)となるように、尾静脈または背部皮下より投与した。投与量3 mg/kg、尾静脈投与の群を投与群1、投与量10 mg/kg、尾静脈投与の群を投与群2、投与量3 mg/kg、背部皮下投与の群を投与群3、投与量10 mg/kg、背部皮下投与の群を投与群4とした。また、対象として、何の処置もしていない正常群、及び、関節炎を惹起したが投与を行なわなかった非投与群を設定した。各群の個体数は*匹とした。各群について、アジュバント投与3週間後に解剖を行い、左右の大腿骨を採取し、骨密度を測定した。
[表14]複合体の薬理効果
大腿骨骨密度(mg/cm2
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
正常群 145 ± 1*
非投与群 126 ± 1
投与群1 132 ± 2*
投与群2 141 ± 1*
投与群3 133 ± 3*
投与群4 137 ± 3*
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
表中、*印を付した値は無治療群の値に対して有意に大きいことを示す。
表14の結果は、アジュバントの投与により惹起された関節炎に伴い骨密度が有意に減少し、本発明の複合体の投与により、この関節炎に伴う骨密度減少が有意に抑制されたことを意味する。すなわち、本発明の複合体が顕著な薬理効果を有することが示された。
非還元条件下SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動結果(1)分子量マーカー(2)poly(PEG500-MA)a-Na(化合物9)−OCIF複合体(OCIF:高分子修飾剤=1:1(重量比))(3)poly(PEG500-MA)a-Na(化合物9)−OCIF複合体(OCIF:高分子修飾剤=1:2(重量比))(4)poly(PEG500-MA)a-Na(化合物9)−OCIF複合体(OCIF:高分子修飾剤=1:3(重量比))(5)poly(PEG500-MA)a-Na(化合物9)−OCIF複合体(OCIF:高分子修飾剤=1:4(重量比))(6)poly(PEG500-MA)a-Na(化合物9)−OCIF複合体(OCIF:高分子修飾剤=1:5(重量比))(7)非修飾OCIF 非還元条件下SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動結果(1)分子量マーカー(2)poly(PEG500-MA)a-Na(化合物9)−OCIF複合体(OCIF:高分子修飾剤=1:1(重量比)、インキュベーション時OCIF濃度3.5mg/mL)(3)poly(PEG500-MA)a-Na(化合物9)−OCIF複合体(OCIF:高分子修飾剤=1:1(重量比)、インキュベーション時OCIF濃度1.75mg/mL)(4)poly(PEG500-MA)a-Na(化合物9)−OCIF複合体(OCIF:高分子修飾剤=1:1(重量比)、インキュベーション時OCIF濃度0.875mg/mL)(5)poly(PEG500-MA)a-Na(化合物9)−OCIF複合体(OCIF:高分子修飾剤=1:2(重量比)、インキュベーション時OCIF濃度1.75mg/mL)(6)poly(PEG500-MA)a-Na(化合物9)−OCIF複合体(OCIF:高分子修飾剤=1:4(重量比)、インキュベーション時OCIF濃度0.875mg/mL)(7)非修飾OCIF 非還元条件下SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動結果(1)分子量マーカー(2)poly(PEG500-MA)(AM−0530K)−OCIF複合体(OCIF:高分子修飾剤=1:10(重量比))(3)poly(PEG500-MA)(AM−0530K)−OCIF複合体(OCIF:高分子修飾剤=1:2.5(重量比))(4)poly(PEG500-MA)−OCIF複合体(OCIF:高分子修飾剤=1:1(重量比))(10)非修飾OCIF

Claims (22)

  1. 下記式(I)
    Figure 2006117652

    (上記式中、mは3乃至100の整数、Alkは、C−Cアルキレン基を示し、RおよびRは、独立してA)水素原子、B)C−Cアルキル基又はC)次に挙げる基から選択される少なくともひとつで置換されたC−Cアルキル基(水酸基、ハロゲン原子、C−C14アリール基(該アリール基は置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されていてもよい))を示す。)で表される互いに同じか、又は、互いに異なる1以上の構造単位、及び、式(II)
    Figure 2006117652

    (上記式中、Rは、A)水酸基、B)C−Cアルコキシ基、C)以下から選択される少なくともひとつで置換されたC−Cアルコキシ基(水酸基、ハロゲン原子、C−C14アリール基及び置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されたC−C14アリール基)、D)置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されてもよいC−C14アリールオキシ基、又は、E)式‐NR(式中、R及びRは独立してa)水素原子、b)C−Cアルキル基、又は、c)以下から選択される少なくともひとつで置換されたC−Cアルキル基(水酸基、ハロゲン原子、C−C14アリール基及び置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されたC−C14アリール基))を示す。)で表される基を示す)で表される互いに同じか又は互いに異なる1以上の構造単位を構成単位とする共重合体又はその薬理上許容される塩、並びに、タンパク質を含有する医薬組成物。
    (置換基群Aは、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基及びカルボキシル基からなる群である。)
  2. 下記式(I)
    Figure 2006117652

    (上記式中、mは3乃至100の整数、Alkは、C−Cアルキレン基を示し、RおよびRは、独立してA)水素原子、B)C−Cアルキル基又はC)次に挙げる基から選択される少なくともひとつで置換されたC−Cアルキル基(水酸基、ハロゲン原子、C−C14アリール基(該アリール基は置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されていてもよい))を示す。)で表される互いに同じか、又は、互いに異なる1以上の構造単位、及び、式(III)
    Figure 2006117652

    で表される構造単位を構成単位とする共重合体の無水カルボン酸部分構造に対して、
    a)加水分解、b)アンモノリシス、c)アミノリシス、d)アルコリシス、又は、e)任意にa)からd)のうち2以上の反応を組み合わせた反応
    を行うことにより得られる共重合体又はその薬理上許容される塩及びタンパク質を含有する医薬組成物。
    (置換基群Aは、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基及びカルボキシル基からなる群である。)
  3. タンパク質が、塩基性タンパク質である請求項1又は2の医薬組成物。
  4. 塩基性タンパク質が、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、表皮細胞成長因子(EGF)、破骨細胞形成抑制因子(OCIF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経細胞成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(HGH)、肝細胞増殖因子(HGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)又はそれらの類縁体若しくは変異体である請求項3の医薬組成物。
  5. 塩基性タンパク質が、破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体である請求項4の医薬組成物。
  6. 破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、天然型OCIF又はその類縁体若しくは変異体、あるいは、組換え型OCIF又はその類縁体若しくは変異体である請求項5の医薬組成物。
  7. 破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、単量体OCIF又はその類縁体若しくは変異体、あるいは、ニ量体OCIF又はその類縁体若しくは変異体である請求項6の医薬組成物。
  8. 破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、非還元SDS電気泳動により約60000の分子量を示す単量体ヒトOCIF又はその類縁体若しくは変異体、あるいは、非還元SDS電気泳動により約120000の分子量を示すニ量体ヒトOCIF又はその類縁体若しくは変異体である請求項7の医薬組成物。
  9. 破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、配列表の配列番号1の‐21乃至+380からなるアミノ酸配列を含むタンパク質である請求項8の医薬組成物。
  10. 破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、配列表の配列番号1の+1乃至+380からなるアミノ酸配列を含むタンパク質である請求項9の医薬組成物。
  11. 骨代謝異常症の予防及び/又は治療剤であることを特徴とする、請求項1乃至10の何れか1項に記載の医薬組成物。
  12. 下記式(I)
    Figure 2006117652

    (上記式中、mは3乃至100の整数、Alkは、C−Cアルキレン基を示し、RおよびRは、独立してA)水素原子、B)C−Cアルキル基又はC)次に挙げる基から選択される少なくともひとつで置換されたC−Cアルキル基(水酸基、ハロゲン原子、C−C14アリール基(該アリール基は置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されていてもよい))を示す。)で表される互いに同じか、又は、互いに異なる1以上の構造単位、及び、式(II)
    Figure 2006117652

    (上記式中、Rは、A)水酸基、B)C−Cアルコキシ基、C)以下から選択される少なくともひとつで置換されたC−Cアルコキシ基(水酸基、ハロゲン原子、C−C14アリール基及び置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されたC−C14アリール基)、D)置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されてもよいC−C14アリールオキシ基、又は、E)式‐NR(式中、R及びRは独立してa)水素原子、b)C−Cアルキル基、又は、c)以下から選択される少なくともひとつで置換されたC−Cアルキル基(水酸基、ハロゲン原子、C−C14アリール基及び置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されたC−C14アリール基))を示す。)で表される基を示す)で表される互いに同じか又は互いに異なる1以上の構造単位を構成単位とする共重合体又はその薬理上許容される塩が少なくとも一つ結合したタンパク質を含有する複合体を有効成分として含有する医薬組成物。
    (置換基群Aは、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基及びカルボキシル基からなる群である。)
  13. 下記式(I)
    Figure 2006117652

    (上記式中、mは3乃至100の整数、Alkは、C−Cアルキレン基を示し、RおよびRは、独立してA)水素原子、B)C−Cアルキル基又はC)次に挙げる基から選択される少なくともひとつで置換されたC−Cアルキル基(水酸基、ハロゲン原子、C−C14アリール基(該アリール基は置換基群Aから選択される1乃至5個の置換基で置換されていてもよい))を示す。)で表される互いに同じか、又は、互いに異なる1以上の構造単位、及び、式(III)
    Figure 2006117652

    で表される構造単位を構成単位とする共重合体の無水カルボン酸部分構造に対して、
    a)加水分解、b)アンモノリシス、c)アミノリシス、d)アルコリシス、又は、e)任意にa)からd)のうち2以上の反応を組み合わせた反応
    を行うことにより得られる共重合体又はその薬理上許容される塩が少なくとも一つ結合したタンパク質を含有する複合体を有効成分として含有する医薬組成物。
    (置換基群Aは、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基及びカルボキシル基からなる群である。)
  14. タンパク質が、塩基性タンパク質である請求項12又は13の医薬組成物。
  15. 塩基性タンパク質が、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、表皮細胞成長因子(EGF)、破骨細胞形成抑制因子(OCIF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経細胞成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(HGH)、肝細胞増殖因子(HGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)又はそれらの類縁体若しくは変異体である請求項14の医薬組成物。
  16. 塩基性タンパク質が、破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体である請求項15の医薬組成物。
  17. 破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、天然型OCIF又はその類縁体若しくは変異体、あるいは、組換え型OCIF又はその類縁体若しくは変異体である請求項16の医薬組成物。
  18. 破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、単量体OCIF又はその類縁体若しくは変異体、あるいは、ニ量体OCIF又はその類縁体若しくは変異体である請求項17の医薬組成物。
  19. 破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、非還元SDS電気泳動により約60000の分子量を示す単量体ヒトOCIF又はその類縁体若しくは変異体、あるいは、非還元SDS電気泳動により約120000の分子量を示すニ量体ヒトOCIF又はその類縁体若しくは変異体である請求項18の医薬組成物。
  20. 破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、配列表の配列番号1の‐21乃至+380からなるアミノ酸配列を含むタンパク質である請求項19の医薬組成物。
  21. 破骨細胞形成抑制因子(OCIF)又はその類縁体若しくは変異体が、配列表の配列番号1の+1乃至+380からなるアミノ酸配列を含むタンパク質である請求項20の医薬組成物。
  22. 骨代謝異常症の予防及び/又は治療剤であることを特徴とする、請求項12乃至21の何れか1項に記載の医薬組成物。
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