JP2006117123A - エアバッグ、エアバッグ装置、エアバッグ収納方法 - Google Patents

エアバッグ、エアバッグ装置、エアバッグ収納方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 エアバッグを折り畳んだり、巻き取ったりして収納する際のエアバッグ収納性を高めるのに有効な技術を提供する。
【解決手段】 本発明のエアバッグ装置において、基布121の織り構造に関連する経糸122の延在方向にしたがってエアバッグ120の折り畳み方向を規定する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、エアバッグ装置の製造方法に係り、詳しくは自動車などに搭載される乗員保護手段としてのエアバッグを、エアバッグ装置内に収納する際のエアバッグ収納性向上に資する技術に関するものである。
従来、自動車などに搭載されるエアバッグは、エアバッグ装置内にコンパクトに収納するべく、幾段にも蛇腹様式に細かく折り畳んだり、或いはロール状に巻き取られるように構成される。例えば、下記の特許文献1には、エアバッグを、その製造過程において蛇腹様式に折り畳んでエアバッグ装置内に収納する技術が開示されている。この特許文献1においては、エアバッグに予め予備の折り目を設けたうえで当該エアバッグを折り畳み、折り畳んだ当該エアバッグがエアバッグ装置内に収納されるようになっている。
特開2000−103308号公報
上記特許文献1には、エアバッグに予め予備の折り目を設けたうえで当該エアバッグを折り畳むことによって、エアバッグの折り崩れを防止しようとする技術が提示されているが、この種のエアバッグ収納技術においては、エアバッグを蛇腹様式に折り畳んだり、ロール状に巻き取る際のエアバッグ収納性を、簡便な方法によって確実に向上させる技術に対する要請がある。また、特にエアバッグを収納するスペースが限られた構成のエアバッグ装置においては、エアバッグをコンパクトに収容することによってエアバッグ収納性向上を図る要請が高い。
このような目的を達成するべく、繊維の材質自体を改良することによって、エアバッグを構成する基布の柔軟性を向上させ、エアバッグ収納性向上を図ることも考えられるが、繊維の材質自体を改良する方法によって基布の柔軟性を向上させるのには限界がある。そこで、本発明者は、エアバッグを構成する基布の織り構造を十分に勘案したうえで、エアバッグの折り畳み方向や巻き取り方向を工夫することによって、簡便な方法によりエアバッグ収納性を向上させることを見出すことに成功した。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、エアバッグを折り畳んだり、巻き取ったりして収納する際のエアバッグ収納性を高めるのに有効な技術を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明が構成される。なお、本発明は、自動車をはじめとする車両において乗員保護手段として用いられるエアバッグの構築技術、及びエアバッグ収納技術に適用され得る。
(本発明の第1発明)
前記課題を解決する本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりのエアバッグである。本発明のエアバッグは、合成繊維からなる基布によって袋状に構成されたエアバッグである。このエアバッグは、エアバッグ収納の際、エアバッグ装置内に予め収容される。本発明では、このエアバッグを構成する基布において、エアバッグ収納の際、経糸の延在方向がエアバッグ折り畳み方向又はエアバッグ巻き取り方向として規定される。
合成繊維からなる基布は、一般的に経糸及び緯糸が互いに直交して延在するように織り込まれた織布として構成され、断面構造に関しては、直線状に延在する緯糸に対し、経糸は、いわゆる「クリンプ(なみうち現象)」を形成するようにして延在する。これは、経糸を交互に開合させた部位へ緯糸を打ち込むことによって織り上げるという、織物の織り方法(織り構造)に起因する特有の現象である。
そこで、本発明者は、合成繊維からなる基布のこの織り方法(織り構造)に着目し、これがエアバッグ収納性に与える影響について鋭意検討した。その検討の結果、基布における経糸及び緯糸の延在方向に基づいて、エアバッグを折り畳む方向や折り返す方向を規定することによって、簡便な方法によってエアバッグ収納性を確実に向上させることが可能となった。具体的には、経糸の延在方向に関する基布の剛軟度(曲げ変形に対する抵抗の度合い)は、緯糸の延在方向に関する基布の剛軟度よりも20%程度低いため、本発明の如く経糸の延在方向をエアバッグ折り畳み又はエアバッグ巻き取り方向として規定することによって、エアバッグの折り畳みや巻き取りが容易で、また収納後の大きさがコンパクト化され、しかも一旦収納したエアバッグが、エアバッグ収納前の状態に戻りにくいという作用効果を奏する。
従って、請求項1に記載のエアバッグによれば、基布の織り構造に関連する経糸の延在方向にしたがってエアバッグを蛇腹様式で折り畳んだり、ロール状に巻き取る方向を規定する構成によって、エアバッグ収納性を簡便な方法によって確実に向上させることが可能とされる。
(本発明の第2発明)
前記課題を解決する本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりのエアバッグである。本発明のエアバッグは、請求項1に記載の構成において、更に基布の外周面に経糸の延在方向を示す目印(マーキング)を備える。これにより、経糸の延在方向が、基布の外周面の目印によって示されることとなる。
従って、請求項2に記載のエアバッグによれば、目印の使用によって所望の方向にエアバッグを確実に折り畳んだり、巻き込んだりすることが可能とされる。
なお、本発明における「目印」の構成に関しては、経糸の延在方向を示す線や点を連続状ないし非連続状に配置したものを、必要に応じて適宜用いることができる。このとき、本発明は目印が経糸の延在方向を示す基準となる機能を有していれば足り、目印の延在方向が経糸の延在方向と合致する態様のみならず、目印の延在方向が経糸の延在方向と交差する態様が本発明に包含される。また、本発明における「目印」の形成方法に関しては、基布の表面に塗料などを塗布することによって目印を形成する態様、基布に糸などの素材を縫い込むことによって目印を形成する態様、基布自体に目印の形状に対応した成形部位を設ける態様等を用いることができる。典型的には、基布の表面に経糸の延在方向と合致するように延在する目印線(線状の目印)を塗料などの塗布によって形成する。
(本発明の第3発明)
前記課題を解決する本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりのエアバッグである。本発明のエアバッグでは、請求項2に記載の目印は、導電性を有する素材を用いて構成される。典型的には、導電性を有する糸(例えば、着色すると共に炭化物を含有する制電糸を10−3[Ω-cm]の抵抗値を示す経糸材料と同等デニールの導電繊維)を基布自体に縫い込んだり、導電性を有するテープ状の素材を基布の外周面に接着したり、また導電性を有する塗料を基布の外周面に塗布することによって、本発明の目印が形成される。
請求項3に記載のエアバッグによれば、導電性を有する素材を用いて目印を形成することで、エアバッグ自体の摩擦によって発生した静電気は、導電性を有する素材の作用によって積極的な自然放電が促され、当該静電気がエアバッグに溜まらないようにすることができるという更なる作用効果が得られる。通常、車両走行中の振動により、収納状態のエアバッグ同士の摩擦が発生するとエアバッグに静電気が溜り易くなるが、本発明のように導電性の素材を用いて目印を形成することによって、当該静電気が車両に搭載されたセンサや電子機器、更にはエアバッグ展開膨張時に車両乗員に流れるのを回避することが可能とされる。
(本発明の第4発明)
前記課題を解決する本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりのエアバッグである。本発明のエアバッグは、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の構成において、基布の通気特性値、具体的には基布の両面側の圧力差を一定にしたときに、当該基布を通過する空気量が0.1[cc/cm/sec]を下回る構成になっている。このような通気特性の基布は高密度で織り上げられた基布であり、その分、低密度で織り上げられた基布よりも基布全体としての剛軟度が上がるため、エアバッグ収納性向上に対する要請が高い。そこで、本発明の如く経糸の延在方向をエアバッグ折り畳み又はエアバッグ巻き取り方向として規定することによって、特に高密度で織り上げられた基布からなるエアバッグを収納する際、エアバッグを収納し易くなり、また一旦収納したエアバッグが、収納前の状態に戻りにくいという作用効果を奏する。
従って、請求項4に記載のエアバッグによれば、高密度で織り上げられた基布からなるエアバッグを折り畳んだり、巻き込んだりして収納する際の収納性を簡便な方法によって確実に高めることが可能とされる。
(本発明の第5発明)
前記課題を解決する本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりのエアバッグ装置である。本発明のエアバッグ装置は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のエアバッグと、エアバッグ収納状態のエアバッグに展開膨張用のガスを供給するガス供給手段とを少なくとも備える。このエアバッグは、車両事故の際、ガス供給手段からのガスの供給によって乗員保護領域に展開膨張して乗員を保護するように構成されている。
従って、請求項5に記載の発明によれば、エアバッグ収納性向上が図られたエアバッグ装置が提供される。
(本発明の第6発明)
前記課題を解決する本発明の第6発明は、請求項6に記載されたとおりのエアバッグ装置である。本発明のエアバッグ装置では、請求項6に記載のエアバッグ収納状態のエアバッグが、車両側壁部の上方に装着されるとともに、車両事故の際、乗員と車両側壁部との間の乗員保護領域に下向きに展開膨張して当該乗員を保護するように構成されている。ここでいう「車両側壁部」とは、乗員の側方(右方ないし左方)に位置する車両構成部材を広く含む主旨であり、典型的はサイドウインドウやドアなどによって車両側壁部が構成される。本発明のエアバッグは、典型的には車両側壁部の上方であるサイドルーフパネルと天井パネルとの境界部分に装着される。当該エアバッグは、車両事故の際、乗員と車両側壁部との間の乗員保護領域に下向きに展開膨張して、車両の前席から後席までの広範囲にわたって乗員を一括して保護するべくカーテン形状を形成する、いわゆる「カーテンエアバッグ」と称呼される。このようなカーテン式のエアバッグは、細かく幾段にも折り畳みを繰り返した状態で、サイドルーフパネルと天井パネルとの間の大きさが制限された領域に収納されるため、特にエアバッグ収納性向上の要請が高い。そこで、本発明のような、折り畳みが容易で、また収納後の大きさがコンパクト化され、しかも一旦収納されると収納前の状態に戻りにくいというエアバッグ収納性を備えたアバッグを、カーテン式のエアバッグとして用いるのが特に効果的である。
従って、請求項6に記載の発明によれば、カーテン式のエアバッグに好適なエアバッグ収納性を備えたエアバッグ装置が提供される。
(本発明の第7発明)
前記課題を解決する本発明の第7発明は、請求項7に記載されたとおりのエアバッグ収納方法である。本発明のエアバッグ収納方法は、合成繊維からなる基布によって袋状に構成されたエアバッグをエアバッグ装置内に収納する方法であり、エアバッグを、基布における経糸の延在方向に沿って折り畳み又は巻き込んで、エアバッグ装置内に収納するエアバッグ収納ステップを少なくとも有する。通常、経糸の延在方向に関する基布の剛軟度(曲げ変形に対する抵抗の度合い)は、緯糸の延在方向に関する基布の剛軟度よりも20%程度低く、本発明の如く経糸の延在方向をエアバッグ折り畳み又はエアバッグ巻き取り方向として規定することによって、エアバッグを収納し易くなり、また一旦収納したエアバッグが、エアバッグ収納前の状態に戻りにくいという作用効果を奏する。
従って、請求項7に記載の発明によれば、基布の織り構造に対応してエアバッグを蛇腹様式で折り畳んだり、ロール状に巻き取る方向を規定するという簡便な方法によって、エアバッグ収納性を確実に高めることが可能とされる。
(本発明の第8発明)
前記課題を解決する本発明の第8発明は、請求項8に記載されたとおりのエアバッグ収納方法である。本発明のエアバッグ収納方法では、請求項7に記載のエアバッグ収納ステップにおいて、エアバッグの折り畳み又は巻き取りを、基布の外周面に形成された、経糸の延在方向を示す目印(マーキング)にしたがって行う。これにより、経糸の延在方向が、基布の外周面の目印によって示されることとなる。
従って、請求項8に記載のエアバッグ収容方法によれば、目印の使用によって所望の方向にエアバッグを確実に折り畳んだり、巻き込んだりすることが可能とされる。
以上のように、本発明によれば、特に合成繊維からなる基布によって袋状に構成されたエアバッグを、エアバッグ収納の際、基布における経糸の延在方向に沿って折り畳む又は巻き込むようにすることによって、エアバッグを折り畳んだり、巻き込んだりして収納する際の収納性を、簡便な方法によって確実に向上させることが可能とされる。
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図1〜図3を参照しながら、本発明の「エアバッグ装置」の一実施の形態であるエアバッグ装置100の構成を説明する。なお、これらの図では、自動車の車体の右側、すなわち車両右側に着座した乗員を保護するべく設置されるエアバッグ装置100が例示される。
なお、本実施の形態のエアバッグ装置100が車体に設置された様子が図1に模式的に示され、図1中のA−A線断面矢視図であって、エアバッグ装置100が作動前の状態(初期状態)におけるBピラー14部の断面構造が図2に示される。図3は、図2中のエアバッグ120の展開状態を示す図である。なお、図1及び図3では、左側が車両前方を示し右側が車両後方を示している。また、図2は車両の右側壁部に関するものであり、図中右側が室内側を、図中左側が室外側を示している。
図1に示すように、エアバッグ装置100が装着される本実施の形態の自動車(車両)は、3列のシート配列を形成可能な構成を有する。すなわち、室内の車両前方側から順に、第1列シート(ファーストシート)S1、第2列シート(セカンドシート)S2、第3列シート(サードシート)S3が配置される。これら各列のシートには、1または複数の乗員Cの着座が可能とされる。このような3列のシート配列は、常時形成されるものであってもよいし、シートアレンジの変更によって必要時に適宜形成されるものであってもよい。
図1及び図2に示すように、エアバッグ装置100は、サイドウインドウ10の上方であって天井パネル15と右側サイドルーフレール(車体パネル)19とによって区画される空間20に配置されるとともに、Aピラー12からBピラー(前方の中間ピラー)14及びCピラー(後方の中間ピラー)16を通ってDピラー18までの間を右側サイドルーフレール19の延在方向に沿って延在する構成になっている。すなわち、このエアバッグ装置100は、第1列シートS1に対応した領域であるAピラー12からBピラー14及びCピラー16を通って第3列シートS3に対応した領域であるDピラー18までの間に連続状に延在して配置される。
エアバッグ装置100は、車両の側面衝突時や横転時のような車両事故の際、乗員を迅速かつ確実に保護する機能を有する装置である。このエアバッグ装置100は、その基本的な構成要素として、予め所定の折り畳み形状に折り畳まれた状態で収容されるエアバッグ(図2中のエアバッグ120)、展開膨張用のガスを発生させて当該車両用エアバッグの内部空間に供給可能なインフレータ(図2中のインフレータ110(本発明におけるガス供給手段))を少なくとも備える。
本実施の形態のエアバッグ120は、図3に示すように、裁断された1または複数の基布121を袋状に縫製することによって形成されており、その上端部分が複数のブラケット125を介して右側サイドルーフレール(図2中の右側サイドルーフレール19)に取り付け固定される。このエアバッグ120が、本発明における「エアバッグ」に対応している。このエアバッグ120を構成する基布121は、後述するように例えばウォータージェットルーム型織機によって高密度(通気特性値が例えば0.1[cc/cm/sec]を下回るよう)に織り上げられた合成繊維製の基布(例えば、ナイロン66)を、裁断することによって形成される。
本実施の形態では、エアバッグ120の車室側及び車外側に向かう基布121において、図3中の上下方向に経糸122が延在し、当該経糸122に直交する図3中の左右方向に緯糸123が延在するように構成される。すなわち、エアバッグ120の車室側の面と車外側の面とで経糸の延在方向が合致するようになっている。また、車室側及び車外側に向かう少なくとも一方の基布121の外周面には、経糸122の延在方向と合致する方向に連続状の目印線(マーキングライン)124が形成されている。図3に示す実施の形態では、基布121の外周面の3箇所に目印線124が形成されている。この目印線124が本発明における「経糸の延在方向を示す目印」に相当する。この目印線124は、マーキング材料を塗布することによって形成されたり、導電性を有する糸(例えば、着色すると共に炭化物を含有する制電糸を10−3[Ω-cm]の抵抗値を示す経糸材料と同等デニールの導電繊維)を基布121自体に縫い込むことによって形成される。これにより、経糸122の延在方向が目印線124によって明確に示される。
なお、導電性を有する糸の縫い込みによって目印線124を形成すると、エアバッグ自体の摩擦によって発生した静電気は、導電性の糸の作用によって積極的な自然放電が促され、当該静電気がエアバッグに溜まらないようにすることができるという更なる作用効果が得られる。通常、車両走行中の振動により、収納状態のエアバッグ同士の摩擦が発生するとエアバッグに静電気が溜り易くなるが、本構成のように導電性の糸を用いて目印線を形成することによって、当該静電気が車両に搭載されたセンサや電子機器、更にはエアバッグ展開膨張時に車両乗員に流れるのを回避することが可能とされる。なお、導電性を有する糸を縫い込む代わりに、導電性を有するテープ状の素材を基布の外周面に接着したり、導電性を有する塗料を基布の外周面に塗布するようにしてもよい。
上記構成のエアバッグ120は、車両衝突時に下方に向けて作動し、第1列シート(図1中の第1列シートS1)に着座する乗員Cの乗員保護領域P1、第2列シート(図1中の第2列シートS2)に着座する乗員Cの乗員保護領域P2、第3列シート(図1中の第3列シートS3)に着座する乗員Cの乗員保護領域P3をカバーするようにカーテン状に展開膨張する。従って、このエアバッグ120は、いわゆる「カーテンエアバッグ」と称呼される。乗員保護領域P1,P2,P3は、乗員Cと車両側壁部との間に形成され、各シートに着座した乗員Cの少なくとも頭部を保護可能な保護領域として規定される領域であり、本発明における「乗員保護領域」に対応している。
次に、上記構成のエアバッグ120をエアバッグ装置100内に収納する際の折り畳み方法を、図4及び図5を参照しながら説明する。ここで、図4には、エアバッグ120を構成する基布121の断面における構造が模式的に示され、図5には、エアバッグ120を蛇腹様式に折り畳む過程が模式的に示される。この折り畳み方法は、特にエアバッグ装置100の製造過程において使用される。
なお、本発明者はエアバッグ120の折り畳み方法に関し、当該エアバッグ120を構成する基布121の織り構造に着目した。図4に示すように、基布121の断面における構造に関しては、直線状に延在する緯糸123に対し、経糸122は、いわゆる「クリンプ(なみうち現象)」を形成するようにして延在する。これは、ウォータージェットルーム織りをはじめ、経糸122を交互に開合させた部位へ緯糸123を打ち込むことによって織り上げるという、織物の織り方法(織り構造)に起因する特有の現象である。
そこで、本発明者は、基布121のこのような織り構造を勘案し、この構造をエアバッグ120の折り畳み方法に反映させることによって、簡便な方法によってエアバッグ120の収納性を確実に向上させる方法を見出すことに成功した。具体的には、既に図3において説明したように、エアバッグ120の車室側及び車外側において、図3中の上下方向に経糸122が延在し、当該経糸122に直交する図3中の左右方向に緯糸123が延在するように、基布121を使用することとした。
そして、図5に示すように、袋状のエアバッグ120をエアバッグ装置100内に収納する際は、平面状に広げられたエアバッグ120を、クリンプ(なみうち現象)を形成している経糸122の延在方向に沿って幾段にも蛇腹様式に細かく折り畳んでいく。これにより、エアバッグ120を折り畳む際の抵抗が抑えられ、当該エアバッグ120が折り畳み易くなるとともに、一旦折り畳んだ状態が維持され易くなるという、エアバッグ収納性向上の作用効果を奏することとなる。なお、このとき、経糸122の延在方向と合致する方向に形成された目印線124を目印にすることによって、より確実に経糸122の延在方向に沿って折り畳むことが可能となる。その後、折り畳みが完了したエアバッグ120がエアバッグ装置100内に収納される。このようにエアバッグ120を折り畳んで収納する一連の工程が、本発明における「エアバッグ収納ステップ」に対応している。
また、本発明者は上記折り畳み方法によるエアバッグ収納性向上の作用効果を定量的に説明するべく、下記の評価対象及び評価試験による評価を実施した。
[評価対象]
評価対象として、実施例−1、実施例−2、実施例−3、比較例として示す4種類の供試体を用いた。これら供試体は、いずれもウォータージェットルーム型織機を使用し、カーテンエアバッグ用基布に用いる合成繊維(ナイロン66)により作製した織物(基布)として構成される。
「実施例−1」では、ウォータージェットルーム型織機での基布打ち込みに際し、経糸方向において総張力に寄与するウエイトを基準値よりも1kg小さく設定して織り上げ、通常の乾燥工程と熱収縮安定化処理を施したものを用いた。また、基布の表面にコーティング処理が施されている。
「実施例−2」では、ウォータージェットルーム型織機での基布打ち込みに際し、経糸方向において総張力に寄与するウエイトを基準値よりも1kg大きく設定して織り上げ、通常の乾燥工程と熱収縮安定化処理を施したものを用いた。また、基布の表面にコーティング処理が施されている。
「実施例−3」では、ウォータージェットルーム型織機での基布打ち込みに際し、経糸方向において総張力に寄与するウエイトを基準値よりも3kg大きく設定して高密度に織り上げ、通常の乾燥工程と熱収縮安定化処理を施したものを用いた。また、基布の表面にコーティング処理が施されている。
「比較例」では、ウォータージェットルームでの基布打ち込みに際し、経糸方向において総張力に寄与するウエイトを基準値に設定して織り上げ、通常の乾燥工程と熱収縮安定化処理を施したものを用いた。
[評価試験項目及び評価試験方法]
評価試験項目として、上記4種類の評価対象に関し、剛軟度、通気特性値及び収納性として示す3項目の評価試験を実施した。また、剛軟度の評価試験から得られた測定値から、剛軟度差を算出した。
「剛軟度」は、評価対象の曲げ変形に対する抵抗の度合いを長さによって示すものである。この剛軟度は、JIS L 1096のカンチレバー法に準拠した大きさの試験片を用い、当該試験片を所定の恒温・恒湿条件(20℃、60%RH)で、静置後に60分以上経過させた後に測定した測定値[mm]としてあらわすことができる。すなわち、この剛軟度の値が低いほど柔軟性が良いことが示される。本実施の形態では、この剛軟度の測定に際し、再現性を確認するべく、各評価対象を経糸の延在方向に折り畳む場合と、緯糸の延在方向に折り畳む場合とで各々5検体ずつを準備し、5検体の平均値を採用した。例えば、実施例−1の評価対象に関しては、当該評価対象の5検体を経糸の延在方向に折り畳んだときの平均値を求めて剛軟度測定値(経糸)とし、当該評価対象の5検体を緯糸の延在方向に折り畳んだときの平均値を求めて剛軟度測定値(緯糸)とした。
「剛軟度差」は、評価対象を緯糸の延在方向に折り畳んだ場合の剛軟度(A2)に対し、当該評価対象を経糸の延在方向に折り畳んだ場合の剛軟度(A1)が低下した割合を示すものであり、本実施の形態では、算出式:((A2−A1)/A2)×100[%]によって算出した。
「通気特性値」は、評価対象の両面側の圧力差を一定にしたときに、当該評価対象を通過する空気量として示すものである。この通気特性は、例えば150mm×150mmに裁断した試験片を用い、当該試験片を通気性試験機(カトーテック(株)社製KES−F8−AP1)のセットしたうえで、所定の恒温・恒湿条件(20℃、60%RH)で測定した空気量の測定値[cc/cm/sec]としてあらわすことができる。本実施の形態では、この通気特性値の測定に際し、再現性を確認するべく各評価対象において5検体の平均値を採用した。
「収納性」は、評価対象の折り畳み後の形状変化に関して評価を行なうものである。この収納性評価に際し、例えば300mm×300mmに裁断した2片の試験片を重ね合わせた縫合を準備する。そして、図6に示すように、この縫合体を、経糸の延在方向あるいは緯糸の延在方向に略25mm間隔で折り畳み、端部を基盤上に瞬間接着剤にて固定した後、60秒経過後の厚み(図6中の厚みa)をノギス等によって測長する。このとき、実施例−1、実施例−2、実施例−3の評価対象に関しては、縫合体を経糸の延在方向に折り畳む場合を基準とし、比較例の評価対象に関しては、縫合体を従来の通り緯糸の延在方向に折り畳む場合を基準とする。そして、基準の折り畳み方による厚みが、もう一方の折り畳み方による厚みよりも10mm以上小さい値となるとき、収納性評価を「◎」とし、基準の折り畳み方による厚みが、もう一方の折り畳み方による厚みよりも大きい値となるとき、収納性評価を「×」とした。
上記の評価試験の結果、図7に示すような評価結果を得た。図7には、エアバッグを構成する基布となる各評価対象の評価結果及びその関連情報が一覧表として示されている。
図7に示すように、剛軟度に関しては、全ての評価対象において経糸の延在方向に折り畳む方が、緯糸の延在方向に折り畳むよりも剛軟度が低下し、しかも剛軟度差が20[%]を上回ることが確認された。これにより、エアバッグを経糸の延在方向に折り畳むことで、折り畳みの際の抵抗が抑えられ折り畳み易くなるということが定量的に裏付けられることとなった。
また、収納性に関しては、実施例−1、実施例−2、実施例−3の評価対象において経糸の延在方向に折り畳む方が、緯糸の延在方向に折り畳むよりも折り畳み後の形状変化が少ないことが確認された。これにより、経糸の延在方向に折り畳んで収納したエアバッグは、一旦収納されると収納前の状態に戻りにくいということが裏付けられることとなった。
以上のように、本実施の形態によれば、基布の織り構造に関連する経糸の延在方向にしたがってエアバッグ120の折り畳み方向を規定することによって、エアバッグ収納性を簡便な方法によって確実に向上させることが可能とされる。具体的には、エアバッグ120を折り畳む際の抵抗が抑えられ、当該エアバッグ120が折り畳み易くなるとともに、一旦折り畳んだ状態が維持され易くなるという作用効果を奏する。このような作用効果は、通気特性値が0.1[cc/cm/sec]を下回るような高密度な基布及び樹脂コート基布を用いる場合においても、同様に得られることとなる。また、このとき、本実施の形態では、基布121の外周面に経糸122の延在方向と合致する目印線124を設けているため、所望の方向にエアバッグ120を確実に折り畳むことが可能となる。
なお、図7に示すようなエアバッグ収納性向上の作用効果は、上記実施の形態において説明したようなエアバッグを蛇腹様式で折り畳む場合のみならず、ロール状に巻き取る場合においても同様に得られることとなる。
(他の実施の形態)
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上記各実施の形態では、基布121の外周面に、経糸122の延在方向と合致する方向に連続状の目印線124を設ける場合について記載したが、本発明では、経糸の延在方向を示す線や点を連続状ないし非連続状に配置したものを目印として用いることができる。本発明では、目印は経糸の延在方向を示す基準となる機能を有していれば足り、経糸122の延在方向と合致する方向に目印線に設けるのにかえて、例えば経糸122の延在方向と交差する折り畳み線に沿って目印線を設けるようにしてもよい。
また、上記各実施の形態では、エアバッグ120の車室側の面(一方の面)と車外側の面(他方の面)とで経糸の延在方向が合致する場合について記載したが、本発明では、エアバッグの一方の面と他方の面とで経糸の延在方向が必ずしも合致する必要はない。エアバッグの少なくとも一方の面に関し、経糸の延在方向を折り畳み又は巻き取り方向として規定すれば、経糸の延在方向自体に着目せずに収納を行なうような従来技術に比して、エアバッグ収納性向上の効果が得られることとなる。
また、上記各実施の形態では、ウォータージェットルーム織りの基布によって構成されたエアバッグについて記載したが、ウォータージェットルーム織り以外の他の方法、例えばエアージェットルーム織りやレピア織りなどによって形成された基布を用いて形成されたエアバッグに、本発明を適用することもできる。
また、上記各実施の形態では、自動車の車両側壁部の上方に装着されるエアバッグ装置について記載したが、本発明は車両のその他の部位、例えばステアリングホイール、トリム、シートなどの装着されるエアバッグ装置の構成に、本発明を適用することも可能である。
また、上記各実施の形態では、3列シート配列の自動車に装着されるエアバッグ装置について記載したが、3列を下回るシート配列や、3列を上回るシート配列の自動車に装着されるエアバッグ装置の構成に、本発明を適用することも可能である。
本実施の形態のエアバッグ装置100が車体に設置された様子を示す図である。 図1中のA−A線断面矢視図であって、エアバッグ装置100が作動前の状態(初期状態)におけるBピラー14部の断面構造を示す図である。 図2中のエアバッグ120の展開状態を示す図である。 エアバッグ120を構成する基布121の断面における構造を模式的に示す図である。 エアバッグ120を蛇腹様式に折り畳む過程を模式的に示す図である。 エアバッグの収納性評価の様子を模式的に示す図である。 エアバッグを構成する基布となる各評価対象の評価結果及びその関連情報を示す一覧表である。
符号の説明
100 エアバッグ装置
110 インフレータ
120 エアバッグ
121 基布
122 経糸
123 経糸
124 目印線
125 ブラケット

Claims (8)

  1. 合成繊維からなる基布によって袋状に構成されたエアバッグであって、
    エアバッグ収納の際、前記基布における経糸の延在方向がエアバッグ折り畳み方向又はエアバッグ巻き取り方向として規定されることを特徴とするエアバッグ。
  2. 請求項1に記載のエアバッグであって、
    前記基布の外周面に前記経糸の延在方向を示す目印を備える構成であることを特徴とするエアバッグ。
  3. 請求項2に記載のエアバッグであって、
    前記目印は、導電性を有する素材を用いて構成されることを特徴とするエアバッグ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のエアバッグであって、
    前記基布の通気特性値が0.1[cc/cm/sec]を下回る構成であることを特徴とするエアバッグ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のエアバッグと、エアバッグ収納状態の前記エアバッグに展開膨張用のガスを供給するガス供給手段とを有し、車両事故の際、前記エアバッグは、前記ガス供給手段からのガスの供給によって乗員保護領域に展開膨張して乗員を保護するように構成されている、エアバッグ装置。
  6. 請求項5に記載のエアバッグ装置であって、
    エアバッグ収納状態の前記エアバッグは、車両側壁部の上方に装着されるとともに、車両事故の際、乗員と車両側壁部との間の乗員保護領域に下向きに展開膨張して当該乗員を保護するように構成されている、エアバッグ装置。
  7. 合成繊維からなる基布によって袋状に構成されたエアバッグをエアバッグ装置内に収納するエアバッグ収納方法であって、
    前記エアバッグを、前記基布における経糸の延在方向に沿って折り畳み又は巻き込んで、エアバッグ装置内に収納するエアバッグ収納ステップを有することを特徴とするエアバッグ収納方法。
  8. 請求項7に記載のエアバッグ収納方法であって、
    前記エアバッグ収納ステップでは、前記エアバッグの折り畳み又は巻き取りを、前記基布の外周面に形成された、前記経糸の延在方向を示す目印にしたがって行うことを特徴とするエアバッグ収納方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US11285908B2 (en) 2019-09-27 2022-03-29 Toyoda Gosei Co., Ltd. Airbag package
WO2022189336A1 (de) * 2021-03-12 2022-09-15 Dalphi Metal Espana, S.A. Gassackgewebe, gassack sowie verfahren zum zusammenlegen eines gassacks

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