ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、大がかりで且つ高価な付帯設備が有利に省略されて、設置コストの低下が効果的に図られ得、以て、クランプ状態で加工される物品の1個当たりの加工コストを可及的に低く抑え得るように改良されたクランプ装置の構造を提供することにある。
そして、かかる課題を解決するために、本発明の第一の態様とするところは、(a)所定のベース上に立設して固定される筒状ハウジングと、(b)該筒状ハウジング内から、軸方向一方側の部位を外部に突出させた状態で、軸心回りに回転可能に、且つ該筒状ハウジング内からの突出部位を、該筒状ハウジング内に引込移動せしめ得るように、更にはかかる引込状態から突出移動せしめ得るように、該筒状ハウジング内に挿入されると共に、該筒状ハウジング内への挿入部位に第一のねじ部が設けられた移動ロッドと、(c)前記筒状ハウジングの内側に位置固定に設けられて、前記移動ロッドの第一のねじ部と螺合せしめられる第二のねじ部を有し、それら第一のねじ部と第二のねじ部との間で構成されるねじ送り機構により、該移動ロッドの軸心回りの回転に伴って、該移動ロッドの前記引込移動と前記突出移動を行なわしめる移動機構部と、(d)前記移動ロッドの前記突出部位から軸直角方向に延び出すように位置せしめられたアーム部材からなり、該突出部位からの延出方向と軸方向の両方向に対して直交する回動軸回りにおいて該移動ロッドの前記引込/突出移動方向に回動可能とされた状態で、該移動ロッドに対して、一体移動可能に且つ軸心回りに相対回転せしめられ得るように設けられたクランプアームと、(e)該クランプアームと前記筒状ハウジングとを連結するリンクを有し、該リンクを含んで構成されるリンク機構により、前記移動ロッドの前記引込移動に伴って、該クランプアームを、該移動ロッドの前記突出移動方向に回動させる一方、該移動ロッドの前記突出移動に伴って、該クランプアームを、該移動ロッドの前記引込移動方向に回動させる回動機構部とを含み、前記移動ロッドの回転による突出移動に伴って、前記クランプアームが、前記回動機構部にて該移動ロッドの前記引込移動方向に回動せしめられることにより、該クランプアームと前記ベースとの間で、所定の物品をクランプし得るように構成したことを特徴とするクランプ装置にある。
要するに、この第一の態様にあっては、移動ロッドの突出部位が筒状ハウジング内に引込移動せしめられた状態下において、移動ロッドを軸心回りの一方向に回転させて、移動機構部により、移動ロッドの突出部位を筒状ハウジング内から突出移動せしめる操作を行うことで、移動ロッドに回動可能に設けられたクランプアームが移動ロッドの引込移動方向に回動せしめられるようになっている。そして、それによって、ベース上に位置せしめられた所定の物品が、クランプアームとベースとの間でクランプされて、固定されるようになっている。
更に換言すれば、かかる第一の態様においては、油圧機構や空気圧機構等の複雑な機構を利用することなく、単純なねじおくり機構を利用して、単に、移動ロッドに設けられた第一のねじ部と筒状ハウジング内に設けられた第二のねじ部との螺合状態の弛緩操作を行うだけで、所定の物品が、極めて容易に且つ迅速にクランプされて、固定され得るようになっているのである。
それ故、かくの如き本発明に従うクランプ装置の第一の態様では、油圧機構や空気圧機構を利用した際と同等の操作性が十分に確保される一方で、所定のベース上への設置に際して、油圧機構や空気圧機構を構成する配管やマニホールド、カップリング、ポンプ等の大がかりで且つ高価な付帯設備が、完全に省略され得るといった優れた特徴が、極めて有利に発揮され得ることとなる。
なお、このような本発明に従うクランプ装置の第二の態様では、前記移動ロッドにおける前記突出部位の先端に、所定の工具を用いて該移動ロッドを回転操作するための操作部が設けられる。
この第二の態様によれば、工具として、例えば、空気圧式や電動式のインパクトレンチやナットランナ等のねじ締付け装置を用いた自動回転方式によって、操作部に対する回転操作を行うことが出来る。そして、それによって、第一のねじ部と第二のねじ部との締緩操作を、より容易に且つ迅速に行うことが可能となるといった特徴が発揮される。
しかも、かかる第二の態様では、上述の如く、ねじ締付け装置を用いて、移動ロッドを自動回転操作することが出来るところから、移動ロッドを突出移動させる回転操作を行う際に、かかる移動ロッドの突出移動により、所定の物品がクランプアームとベースとの間で挟持されてから、それを強固に固定するために、移動ロッドを更に回転させるときに、移動ロッドに対して、可及的に一定の大きさの作用力が入力される。その結果、クランプされる物品に対するクランプ力が、より安定した大きさにおいて発揮され得るようになるといった特徴をも発揮されることとなる。
そしてまた、前記せる課題を解決するために、本発明の第三の態様とするところは、(a)所定のベース上に立設して固定される筒状ハウジングと、(b)該筒状ハウジングの内部に、軸方向に延びるようにして、位置固定に設けられた雄ねじ部材と、(c)前記筒状ハウジング内から、軸方向一方側の部位を外部に突出させた状態で、軸心回りに回転可能に、且つ該筒状ハウジング内からの突出部位を、該筒状ハウジング内に引込移動せしめ得るように、更にはかかる引込状態から突出移動せしめ得るように、該筒状ハウジング内に挿入されると共に、該筒状ハウジング内への挿入部位に、該筒状ハウジング内の前記雄ねじ部材が挿入されて、螺合せしめられる雌ねじ穴が設けられて、軸心回りの回転による該雌ねじ穴に対する該雄ねじ部材の締緩に伴って、該筒状ハウジング内の前記突出部位が前記引込移動乃至は前記突出移動せしめられる移動ロッドと、(d)該移動ロッドの前記突出部位から軸直角方向に延び出すように位置せしめられたアーム部材からなり、該突出部位からの延出方向と軸方向の両方向に対して直交する回動軸回りにおいて該移動ロッドの前記引込/突出移動方向に回動可能とされた状態で、該移動ロッドに対して、一体移動可能に且つ軸心回りに相対回転せしめられ得るように設けられたクランプアームと、(e)該クランプアームと前記筒状ハウジングとを連結するリンクを有し、該リンクを含んで構成されるリンク機構により、前記移動ロッドの前記引込移動に伴って、該クランプアームを、該移動ロッドの前記突出移動方向に回動させる一方、該移動ロッドの前記突出移動に伴って、該クランプアームを、該移動ロッドの前記引込移動方向に回動させる回動機構部とを含み、前記移動ロッドの回転による突出移動に伴って、前記クランプアームが、前記回動機構部にて該移動ロッドの前記引込移動方向に回動せしめられることにより、該クランプアームと前記ベースとの間で、所定の物品をクランプし得るように構成したことを特徴とするクランプ装置にある。
このような第三の態様においては、油圧機構や空気圧機構等の複雑な機構を利用することなく、筒状ハウジング内に設けられた雄ねじ部材と、移動ロッドに設けられた雌ねじ穴とにて構成される単純なねじおくり機構を利用して、移動ロッドが、筒状ハウジングに対して引込/突出移動せしめられ、それに伴って、クランプアームが回動せしめられることで、ベース上に位置せしめられた物品が、クランプアームとベースとの間で、極めて容易に且つ迅速にクランプされて、固定され、或いはそのようなクランプ状態が解消され得るようになっているのである。
それ故、かくの如き本発明に従うクランプ装置の第三の態様あっても、前記せる第一の態様と同様に、油圧機構や空気圧機構を利用した際と同等の操作性が十分に確保される一方で、所定のベース上への設置に際して、油圧機構や空気圧機構を構成する配管やマニホールド、カップリング、ポンプ等の大がかりで且つ高価な付帯設備が、完全に省略され得るといった優れた特徴が、極めて有利に発揮され得ることとなる。
また、本発明に従うクランプ装置の第四の態様では、上述せる第三の態様における特徴的な構成を採用した上で、前記移動ロッドにおける前記突出部位の先端に、所定の工具を用いて該移動ロッドを回転操作するための操作部が設けられることとなる。
この第四の態様においても、工具の一種として、空気圧式や電動式等のねじ締め付け装置を用いて、操作部に対する自動回転操作を行うことにより、第一のねじ部と第二のねじ部との締緩操作を、より容易に且つ迅速に行うことが可能となるといった特徴が発揮される。また、そのような操作部の自動回転操作を可能と為すねじ締付け装置等を用いることで、安定したクランプ力をもって、物品がクランプされ得ることとなる。
さらに、本発明に従うクランプ装置の第五の態様においては、前記移動ロッドの前記雌ねじ穴内に、前記雄ねじ部材の該雌ねじ穴への螺入により、該雌ねじ穴の底面と該雄ねじ部材の先端面との間に挟まれて、それら底面と先端面とにそれぞれ当接せしめられるスペーサ部材が配置されると共に、該スペーサ部材における該雄ねじ部材の先端面との当接面が、該雌ねじ穴の底面よりも滑らかな面にて構成される。
このような第五の態様では、移動ロッドの軸心回りの回転により、雄ねじ部材が、雌ねじ穴内に、その螺入限度位置までねじ込まれた際に、雄ねじ部材の先端面が、雌ねじ穴の底面よりも滑らかな面からなる、スペーサ部材の雄ねじ部材との当接面と当接せしめられるようになる。そのため、例えば、雄ねじ部材が雌ねじ穴内への螺入限度位置に位置せしめられた状態から、移動ロッドが更に回転操作せしめられて、雄ねじ部材が過剰に締め付けられる場合にあっても、雄ねじ部材の先端面とスペーサ部材の当接面とがスムーズに摺動せしめられる。
それ故、かかる第五の態様においては、例えば、一般的に表面性状が比較的に粗くされて、微細な突起や凹部が数多く形成された雌ねじ穴の底面に対して、雄ねじ部材の先端面が直接に当接せしめられた状態で、雄ねじ部材が過剰に締め付けられる場合とは異なって、雌ねじ穴の底面上の突起が、雄ねじ部材の先端面に係合乃至は噛み込んでしまい、そのために、そのような雄ねじ部材の雌ねじ穴に対する締付け状態からの弛緩操作が困難となってしまうようなことが、効果的に回避され得る。
従って、このような第五の態様によれば、移動ロッドの回転操作に基づく雄ねじ部材の雌ねじ穴に対する締緩操作が、よりスムーズに行われ得るようになるといった極めて優れた特徴が発揮される。
さらに、本発明に従うクランプ装置の第六の態様では、前記スペーサ部材が、前記雄ねじ部材を形成する金属材料よりも硬度の高い金属材料にて形成されることとなる。
このような第六の態様によれば、雄ねじ部材の先端面とスペーサ部材の当接面とのスムーズな摺動特性が、より長期に亘って安定的に発揮せしめられるようになる。
更にまた、本発明に従うクランプ装置の第七の態様においては、前記雄ねじ部材の先端部が、雄ねじが形成されていない平滑な外周面を有する平滑部とされる。
かかる第七の態様では、雄ねじ部材が雌ねじ穴内への螺入限度位置に位置せしめられた状態下において、雄ねじ部材の外周面に設けられる雄ねじの先端縁と、雌ねじ穴の内周面に設けられる雌ねじの基端縁とが、平滑部の長さに応じた距離の分だけ離間せしめられるようになる。そのため、例えば、雄ねじ部材が雌ねじ穴内への螺入限度位置に位置せしめられた状態から、移動ロッドが更に回転操作せしめられても、雄ねじ部材の外周面に設けられる雄ねじの先端縁と、雌ねじ穴の内周面に設けられる雌ねじの基端縁とが互いに噛み合わされた状態において、雄ねじ部材が過剰に締め付けられるようなことがなく、それ故に、そのような過剰な締付けによって、雄ねじの先端縁部位と雌ねじの基端縁部位とが損傷せしめられることも、効果的に回避され得る。
従って、このような第七の態様によれば、移動ロッドの回転操作に基づく雄ねじ部材の雌ねじ穴に対するスムーズな締緩操作が、安定的に維持せしめられ得るようになるといった優れた特徴が発揮される。
また、本発明に従うクランプ装置の第八の態様では、前記雄ねじ部材が、前記筒状ハウジングの内部に、着脱可能な状態で位置固定に設けられると共に、前記移動ロッドを形成する金属材料よりも硬度の低い金属材料にて形成されることとなる。
このような第八の態様においては、雄ねじ部材が、筒状ハウジングの内部に着脱可能に固定されているところから、雄ねじ部材の交換が容易とされる。
そして、かかる第八の態様では、雄ねじ部材が、移動ロッドよりの低硬度の金属材料にて形成されているため、移動ロッドに設けられる雌ねじ穴に対する雄ねじ部材の締付け操作と締付け状態からの弛緩操作とが繰り返し行われる場合において、交換が容易な雄ねじ部材の雄ねじの摩耗量が、雌ねじ穴の雌ねじの摩耗量よりも大きくされ、それによって、そのような雌ねじ穴を有する移動ロッドの使用耐久性が、雄ねじ部材に比して有利に高められ得る。
それ故、このような第八の態様によれば、雄ねじ部材と移動ロッドの両方を交換することなく、単に、交換が容易な雄ねじ部材を適当な時期に交換するだけで、雄ねじ部材の雌ねじ穴に対する締付け及び弛緩操作におけるスムーズな操作性が、より長期に亘って安定的に且つ確実に維持せしめられ得るようになる。
そして、本発明に従うスイングクランプ装置の第一の態様にあっては、前述せる如き優れた特徴が発揮されることにより、例えば、油圧機構や空気圧機構を利用した従来装置に比して、設置コストが、極めて有利に低減せしめられ得る。
従って、このような本発明に従うクランプ装置を用いれば、比較的に少量の物品の一つずつを順次クランプして、加工を行う際に、油圧機構や空気圧機構を利用した従来装置を使用する場合に比して、加工される物品の1個当たりの加工コストが、可及的に低く抑えられ得ることとなる。そして、その結果として、目的物品の機械加工による少量生産での作業効率の向上と低コスト化とが、極めて有利に達成され得るのである。
また、本発明に従うスイングクランプ装置の第二の態様によれば、前記せる特徴が発揮されることで、所定の物品のクランプ操作が、より容易に且つ迅速に行われ得る。しかも、クランプされた物品に対するクランプ力の不足によって各種の弊害が生ずるようなことが確実に防止され得て、クランプされた物品に対する加工作業等が、より安定的に実施され得ることとなる。
そして、本発明に従うクランプ装置の第三の態様によれば、前記第一の態様と同様に、クランプされた状態で加工される物品が少ない数であっても、かかる物品の1個当たりの加工コストが、可及的に低く抑えられ得る。従って、目的物品の機械加工による少量生産での作業効率の向上と低コスト化とが、極めて有利に達成され得るのである。
また、本発明に従うスイングクランプ装置の第四の態様によれば、前記第二の態様と同様に、所定の物品が、より容易に且つ迅速にクランプされ得ると共に、クランプされた物品に対する加工作業等が、より安定的に実施され得ることとなる。
さらに、本発明に従うクランプ装置の第五の態様によれば、前記せる優れた特徴が発揮されることで、移動ロッドの引込/突出移動に伴うクランプアームの回動操作、ひいては所定の物品のクランプ乃至はアンクランプ操作が、更に一層円滑に且つ容易に実施され得、以て、優れた使用性が効果的に確保され得ることとなる。
更にまた、本発明に従うクランプ装置の第六の態様によれば、所定の物品をクランプ乃至はアンクランプする際の操作性の向上によって得られる優れた使用性が、より長期に亘って安定的に維持せしめられる。
また、本発明に従うクランプ装置の第七の態様にあっては、所定の物品のクランプ乃至はアンクランプする際のスムーズな操作性が安定的に確保され得、その結果として、使用性の向上が、より有利に実現され得ることとなる。
さらに、本発明に従うクランプ装置の第八の態様によれば、交換が容易な雄ねじ部材を交換する簡単な作業を行うだけで、スムーズなクランプ操作が、より長期に亘って安定的に且つ確実に維持せしめられ得るのであり、その結果として、クランプ装置全体の使用寿命の長期化が、極めて有利に図られ得るのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係るクランプ装置の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1乃至図3には、本発明に従う構造を有するクランプ装置の一実施形態が、その正面形態と側面形態と縦断面形態とにおいて、それぞれ概略的に示されている。それらの図から明らかなように、本実施形態のクランプ装置10は、筒状ハウジング12と移動ロッド14とを有して、構成されている。
より具体的には、筒状ハウジング12は、上側開口部16と下側開口部18とを通じて上下方向に開口する内孔20を備えた、全体として円筒形状を呈している。また、この筒状ハウジング12の内周面には、高さ方向中央よりも所定寸法下側の部位に、径方向内方に所定寸法突出し、且つ周方向に連続して延びる内側突部22が一体的に設けられている。そして、かかる内側突部22の内周面に雌ねじが設けられており、また、その下端面が、円環面形状を呈する内側段差面24とされている。一方、筒状ハウジング12の外周面における高さ方向中央よりも所定寸法上側の部位には、径方向外方に所定寸法突出し且つ周方向に連続して延びる外側突部26が設けられ、この外側突部26の上端面が、円環面形状を呈する外側段差面28とされている。
そして、そのような筒状ハウジング12の内孔20内には、かかる内孔20の長さ(筒状ハウジング12の高さ)よりも短い長さを有する、雄ねじ部材としてのスクリュボルト30が、同軸的に挿入位置せしめられている。このスクリュボルト30は、比較的に硬度の低い、例えば銅合金等の金属材料からなり、略円柱状の頭部32と、この頭部32から一体的に延び出して、外周面に雄ねじ34部が形成された脚部36とを有して、構成されている。
また、かかるスクリュボルト30の頭部32は、筒状ハウジング12の内周面に設けられた内側突部22の内側段差面22から下端面までの高さと略同じ高さを有している。そして、この頭部32の外周面には、テーパ面状の内周面を有する横穴40が、形成されている。一方、脚部36の先端側には、雄ねじ部34が所定長さに亘って形成されることなく、外周面が平滑な円筒面形状を呈する部分が形成され、かかる部分が、平滑な外周面を有する平滑部42とされている。
そして、このようなスクリュボルト30が、筒状ハウジング12の下側開口部18を通じて、筒状ハウジング12の内孔20内に、脚部36の平滑部42側から挿入されて、同軸上に延びるように位置せしめられている。また、そのような挿入状態下で、頭部32の脚部36側の端面が、筒状ハウジング12における内側突部22の内側段差面24に当接せしめられていると共に、脚部36に設けられた雄ねじ部34が、頭部32側部位において、内側突部22の内周面に設けられた雌ねじに螺合せしめられている。更に、筒状ハウジング12の筒壁部の下端部に形成されたねじ孔44内に螺合された止めねじ46の先端のとがり先が、スクリュボルト30の頭部32の外周面に設けられた横穴40内に突入位置せしめられている。なお、図3中、38は、スクリュボルト30を回転操作するための操作穴である。
かくして、スクリュボルト30が、上下方向に移動不能に且つ軸心回りの回転が阻止せしめられた状態で、筒状ハウジング12の内孔28内に、挿入配置されている。そして、それによって、筒状ハウジング12内に、軸方向に延びる雄ねじ部34が、同軸上において位置固定に形成されるようになっている。しかも、単に、止めねじ46のねじ孔44に対する螺合状態を弛緩せしめて、止めねじの先端部位を横穴40内からねじ孔44内に引込移動せしめて、内側突部22の雌ねじに対する脚部36の螺合を弛緩せしめるだけで、スクリュボルト30が、筒状ハウジング12の内孔28内から容易に取り出され得るようになっており、以て、その交換が容易とされている。
また、筒状ハウジング12の上側部位には、支持ブロック48が、外挿固定されている。この支持ブロック48は、全体として、略矩形形状を呈しており、長さ方向の一端部に、厚さ方向に貫通する挿通孔50が、形成されている。また、この挿通孔50は、筒状ハウジング12の前記外側突部26を含む上部部位の外周面形状に対応した段付円筒面状の内周面を有し、かかる内周面の中間部に、その上部部位を下部部位よりも所定寸法小径化せしめる円環面状の段付面52が設けられて、構成されている。更に、支持ブロック48の側面には、ねじ孔54が設けられ、このねじ孔54には、止めねじ56が螺入せしめられている。
そして、このような支持ブロック48の挿通孔50内に、筒状ハウジング12が、その上端側から挿入されることにより、支持ブロック48が、挿通孔50において、筒状ハウジング12の上側部位に外挿されている。また、かかる外挿状態下で、挿通孔50の内周面に設けられた段付面52が、筒状ハウジング12の上部に設けられた外側突部26の外側段差面28に接触して、係合せしめられている。更に、支持ブロック48の側面のねじ孔54に螺入された止めねじ56の先端部位が、筒状ハウジング12の上部外周面に設けられた図示しない横穴に突入せしめられている。これによって、支持ブロック48が、筒状ハウジング12の上側部位に対して、軸直角方向に延び出す状態で、軸方向と周方向とに何れも移動不能に取り付けられている。
また、そのようにして筒状ハウジング12の上側部位に取り付けられた支持ブロック48にあっては、筒状ハウジング12から軸直角方向に延び出した先端部位に、互いに所定距離を隔てて対向して、上方に向かって平行に延びる平板状の二つの軸受け部58,58が、一体的に形成されている。更に、そのような二つの軸受け部58,58には、ピン状の回動軸60が、それらに跨って、水平方向に延びるように架設されている。
そして、この回動軸60に対して、リンク62が、回動可能に軸支されている。このリンク62は、全体として、略長手矩形形状を呈する厚肉の平板にて、構成されている。そして、かかるリンク62が、その長さ方向の一端部を、二つの軸受け部58,58の対向面間に突入させて、かかる一端部に設けられた軸孔64内に、回動軸60が遊挿せしめられている。これによって、リンク62が、二つの軸受け部58,58の対向面間から、その対向方向に対して直角な方向に延び出すように位置せしめられた状態で、支持ブロック48に対して、上下方向に回動可能に取り付けられているのである。
一方、かくの如き筒状ハウジング12と共にクランプ装置10を構成する移動ロッド14は、スクリュボルト30よりも硬度が高い、例えば鉄材料からなり、全体として、筒状ハウジング12の内孔20内に挿入可能な大きさの外径を有する円柱形状を呈している。そして、かかる移動ロッド14の下側部位の内部には、その下端面において開口する雌ねじ穴66が、設けられている。この雌ねじ穴66は、筒状ハウジング12の内孔20内に挿入固定されたスクリュボルト30の脚部36の長さよりも所定寸法大きな深さを有しており、その内周面の開口側部位が、雌ねじが所定長さにわたって形成された雌ねじ部68とされている。また、かかる内周面の底部側部位は、雌ねじが形成されていない平滑な円筒面からなり、かかる平滑円筒面と底面とにて囲まれてなる雌ねじ穴66の底部側部位が、収容穴部70とされている。
そして、ここでは、特に、そのような移動ロッド14の雌ねじ穴66の収容穴部70内に、スペーサ部材72が、収容位置せしめられている。このスペーサ部材72は、スクリュボルト30よりも硬度が高い、例えば鉄材料からなり、全体として、略円柱形状を呈している。そして、上端面を、雌ねじ穴66(収容穴部70)の底面に接触させた状態で、配置されている。また、かかるスペーサ部材72にあっては、その下端面が、雌ねじ穴66の底面よりも十分に滑らかになるように研磨されて、微細な凹凸がないか極力小さくされた研磨面74とされている。
さらに、移動ロッド14においては、その上側先端部の外周面に、かかる上側先端部を所定寸法小径化せしめる段付面76が、周設されており、また、この段付面76よりも上側の先端部が小径部78とされている。更に、この小径部78には、ピン挿通孔80が、径方向に貫通して延びるように形成されている。そして、かかる小径部78に対して、操作ナット82が、取り付けられている。
この操作ナット82は、その上部側部位が、六角形状の横断面を有し、所定の工具等にて回転操作せしめられ得る形状とされた操作部84とされている。また、その下部側部位は、下端面において開口して、移動ロッド14の小径部78に嵌合可能な嵌合穴86を備えた嵌合部88とされている。更に、かかる嵌合部88には、嵌合穴86の周壁部の径方向に対応する二つの部位に、ピン挿通孔90が、それぞれ形成されている。
そして、このような操作ナット82が、嵌合部88の嵌合穴86において、移動ロッド14の小径部78に外嵌せしめられている。また、そのような外嵌状態下で、嵌合部88の下端面が、移動ロッド14の段付面76に接触して係合せしめられている。更に、嵌合部88の二つのピン挿通孔90,90と小径部78のピン挿通孔80が対応位置せしめられると共に、それらのピン挿通孔90,90内に、ピン92が、挿通せしめられている。これによって、操作ナット82が、移動ロッド14の上側先端部に対して、軸方向に移動不能で且つ相対回転不能に固定されており、以て、所定の工具等を用いて、操作ナット82の操作部84を回転操作することで、移動ロッド14の全体が回転せしめられ得るようになっている。
また、このような移動ロッド14の上側部位における前記段付面76の形成部位よりも所定寸法下方に位置する部位の外周面には、径方向外方に突出し、且つ周方向に連続して延びる外フランジ部94が、一体的に形成されている。そして、この外フランジ部94と段付面76形成部位との間の部位に対して、ジョイントブロック96が外挿されている。
このジョイントブロック96は、図3及び図4から明らかなように、高さの低い矩形のブロック体にて、構成されている。そして、その中心部には、移動ロッド14の上端部が遊挿可能な大きさの径を有する円形の貫通孔98が、設けられている。また、互いに対向する二つの側面には、ピン状突起100が、それぞれ一つずつ、一体形成されている。それら各ピン状突起100は、所定長さを有する円柱形状を呈し、ジョイントブロック96の高さ方向に対して直角な方向に延出せしめられている。
そして、このようなジョイントブロック96の貫通孔98内に、移動ロッド14の上側部位が、その先端側から遊挿されることにより、ジョイントブロック96が、貫通孔98において、移動ロッド14の上側部位に対して相対回転可能に外挿されている。また、かかる外挿状態下で、ジョイントブロック96は、その上端面において、移動ロッド14の上側先端部からなる小径部78に外嵌固定された操作ナット82の下端面に接触して、係合せしめられている一方、その下端面において、移動ロッド14に一体形成された外フランジ部94の上端面に接触して、係合せしめられている。
かくして、ジョイントブロック96が、移動ロッド14の上側部位に対して、一体移動可能で、且つ軸心回りに相対回転せしめられ得るように、取り付けられている。また、それによって、ジョイントブロック96に一体形成された二つのピン状突起100,100が、移動ロッド14の上側部位の外周面から径方向両側に突出位置せしめられ、更に、移動ロッド14に対して相対回転が許容された状態で、移動ロッド14からの突出位置が変化せしめられることなく、移動ロッド14と一体移動せしめられ得るようになっている。
そして、本実施形態においては、そのような構造とされた移動ロッド14が、ジョイントブロック78が外挿された上側部位を、筒状ハウジング12の内孔20内から上方に向かって突出させた状態で、内部に雌ねじ穴66が設けられた下側部位において、筒状ハウジング12の内孔20内に、上側開口部16を通じて、同軸的に挿入せしめられている。また、そのような挿入状態下で、筒状ハウジング12の内孔20内に挿入固定されたスクリュボルト30の脚部36が移動ロッド14の雌ねじ穴66内に突入せしめられて、かかる脚部36の雄ねじ部34が、雌ねじ穴66の雌ねじ部68に対して螺合せしめられている。
これによって、ここでは、スクリュボルト30の雄ねじ部34と移動ロッド14の雌ねじ部68との間で、移動ロッド14を軸方向に移動させるねじ送り機構が構成され、以て、上述せる如く、移動ロッド14の先端に固定された操作ナット82の操作部84を、レンチ等を用いた手動回転操作や、空気圧式や電動式のインパクトレンチやナットランナ等のねじ締め装置を用いた自動回転操作等により、時計回りに回転せしめることで、筒状ハウジング12の内孔20から上方に突出せしめられる移動ロッド14の突出部分の一部が、かかる内孔20内に引込移動せしめられるようになっている。また、そのような引込状態から、移動ロッド14の操作部84が、反時計回りに手動乃至は自動回転操作せしめられることにより、筒状ハウジング12の内孔20に挿入された挿入部位の上部側部分が、その内孔20内から突出移動せしめられるようになっている(図5及び図6参照)。
なお、図3中、101は、筒状ハウジング12の内孔20内への異物の侵入を阻止するためのダストシールである。また、上述の記載から明らかなように、本実施形態では、第一のねじ部が、移動ロッド14の雌ねじ部68にて構成される一方、第二のねじ部が、スクリュボルト30の雄ねじ部34にて構成されている。更に、移動機構部が、スクリュボルト30にて構成されている。
そしてまた、本実施形態のクランプ装置10においては、移動ロッド14の上側部位に対して、クランプアーム102が、ジョイントブロック96を介して取り付けられている。このクランプアーム102は、クランププレート104と、二つの支持プレート106,106とを一体的に有して、構成されている。即ち、クランププレート104は、略長手矩形形状を呈する厚肉平板にて構成されている。そして、その長さ方向の一端部には、押しボルト108が螺入せしめられている。
一方、二つの支持プレート106,106も、略長手矩形形状を呈する厚肉平板にて構成されている。そして、それら二つの支持プレート106,106にあっては、クランププレート104の長さ方向における押しボルト108側とは反対側の端部の幅方向両端部位から、互いに所定距離を隔てて相互に対向する状態で、長さ方向において平行に延び出すように位置せしめられて、クランププレート104に対して一体形成されている。
また、かかる二つの支持プレート106,106の各先端側部位において互いに対応する位置には、下方に向かって開口する略U字形状を呈し、ジョイントブロック96のピン状突起100が挿入可能な切欠部110が、それぞれ設けられている。更に、各支持プレート106の基部側の互いに対応する部位には、各支持プレート106の互いの対向方向に延びるようにして、それらの対応部位を貫通する軸穴112が、それぞれ形成されている。
そして、このようなクランプアーム102が、二つの支持プレート106,106の先端側部位同士の間において、ジョイントブロック96が外挿された移動ロッド14の上側部位を、その径方向両側から挟み、且つ筒状ハウジング12に固定される支持ブロック48に回動可能に支持されたリンク62の支持ブロック48への支持側とは反対側の端部を、二つの支持プレート106,106の基部側部位同士の間に挟んだ状態で、配置されている。
また、そのような配置状態下で、ジョイントブロック96に一体形成されて、移動ロッド14の上側部位に一体移動可能に且つ相対回転可能に取り付けられたピン状突起100が、各支持プレート106の先端側部位に設けられた切欠部110内に、それぞれ挿入せしめられている。更に、リンク62の支持ブロック48への支持側とは反対側の端部に設けられた軸挿通孔114に挿通せしめられた回動軸116が、長さ方向の両端部において、各支持プレート106の軸穴112内に遊挿されて、抜け出し不能に固定されている。なお、このリンク62に設けられた回動軸116は、支持ブロック48に対して、リンク62を回動可能に軸支せしめる回動軸60と平行に延びるように位置せしめられている。
これによって、クランプアーム102が、クランププレート104を、移動ロッド14の上側部位から軸直角方向に延び出させた状態で、移動ロッド14の上側部位に外挿されたジョイントブロック96に対して、二つのピン状突起100,100回りに上下方向に回動可能に取り付けられており、また、支持ブロック48に対して、上下方向に回動可能に支持されたリンク62を介して、連結されている。更に、そのような連結状態下で、支持ブロック48の回動軸60に平行に延びるようにして、リンク62に設けられた回動軸116回りに上下方向に回動可能とされている。一方、かかるクランプアーム104が取り付けられるジョイントブロック96は、軸心回りの回転が阻止せしめられるようになっている。
従って、このような本実施形態のクランプ装置10にあっては、クランプアーム104が、長さ方向の一方側において、上下方向に回動可能に支持されると共に、上下方向に移動可能とされた移動ロッド14と、筒状ハウジング12に固定された支持ブロック48と、この支持ブロック48に対して上下方向に回動可能に支持されると共に、クランプアーム104の長さ方向の他方側に対しても上下方向に回動可能に取り付けられて、それら支持ブロック48とクランプアーム104とを連結するリンク62とにより、移動ロッド14の上下方向への直線運動を、クランプアーム104の回動運動に変換させるリンク機構が構成されている。
そして、かかるリンク機構により、移動ロッド14の下方への移動(筒状ハウジング12の内孔20内への引込移動)に伴って、クランプアーム104が上方に回動せしめられる一方、移動ロッド14の上方への移動(筒状ハウジング102の内孔20からの突出移動)に伴って、クランプアーム104が下方に回動せしめられるようになっている(図5及び図6参照)。このことから明らかなように、ここでは、移動ロッド14とジョイントブロック96と支持ブロック48とリンク62とにて、回動機構部が構成されている。
而して、かくの如き構造とされた本実施形態のクランプ装置10を用いて、所定のワークをクランプして、固定する際には、例えば、以下の如き作業が行われることとなる。
すなわち、先ず、図5に示されるように、工作機械のテーブル等のベース118に設けられた貫通孔内に、筒状ハウジング12の下側部位が挿入せしめられて、支持ブロック48がベース118上に載置されるように位置せしめられる。そして、その状態下で、支持ブロック48に設けられた図示しないボルト挿通孔に挿通されたボルトにて、支持ブロック48がベース118にボルト固定される。これによって、筒状ハウジング12が、ベース118上に立設されるようにして、クランプ装置10が、ベース118に固定される。
また、このとき、移動ロッド14が、時計回りの方向に回転せしめられて、筒状ハウジング12の内孔20内からの突出部分が、内孔20内に、限度位置まで引込移動せしめられる。これによって、クランプアーム104が、上方への回動限度位置に位置せしめられる。そして、かかるクランプアーム104の下方において、クランプされるべきワーク120が、ベース118上に載置される。
なお、本工程での移動ロッド14の回転操作は、例えば、空気圧式や電動式のインパクトレンチやナットランナ等の公知のせるねじ締付け装置(図示せず)用いた、移動ロッド14の操作部84に対する自動回転操作によって、実施される。それによって、移動ロッド14の回転操作が、極めて迅速に且つ容易に行われ得ることとなる。
また、本実施形態では、図5から明らかな如く、移動ロッド14の雌ねじ穴66における収容穴部70内に、下端面が平滑に研磨されて、微細な凹凸がないか若しくは極めて小さくされた研磨面74とされたスペーサ部材72が収容位置せしめられている。そのため、上述の如く、締付け装置を用いた自動回転操作により、移動ロッド14の雌ねじ穴66に対して、スクリュボルト30が過剰な締付け力をもって締め付けられても、スペーサ部材72の研磨面74が、スクリュボルト30の脚部36の先端面に対してスムーズに摺動せしめられるようになる。
しかも、スペーサ部材72が、スクリュボルト30よりも高硬度の金属材料にて形成されているため、スクリュボルト30の脚部36の先端面の摺動によって、研磨面74の平滑度が低下せしめられるようなことが有利に防止され、以て、それらの先端面と研磨面74との間でのスムーズな摺動特性が安定的に維持せしめられ得るようになっている
それ故、ここでは、締付け装置を用いた自動回転操作時に、移動ロッド14に大きなトルクが加えられて、スクリュボルト30の脚部36の先端面とスペーサ部材72の研磨面74とが噛み合うことにより、スクリュボルト30の雄ねじ部34と雌ねじ穴66の雌ねじ部68との螺合状態からの弛緩操作が困難となってしまうようなことが、有利に解消され得るようになる。
また、本実施形態のクランプ装置10においては、スクリュボルト30の脚部36の先端部位が、外周面に雄ねじ部34が形成されていない平滑部42とされている。そのため、スクリュボルト30の雄ねじ部34の先端縁と、雌ねじ穴66の雌ねじ部68の基端縁とが、平滑部42の長さに応じた距離の分だけ離間せしめられるようになる。それ故、スクリュボルト30の雄ねじ部34の先端縁と雌ねじ穴66の雌ねじ部68の基端縁とが互いに噛み合わされた状態において、雄ねじ部34が、雌ねじ部68に対して過度に締め付けられるようなことがあっても、それら雄ねじ部34の先端縁部位と雌ねじ部68の基端縁部位とが損傷せしめられることが、効果的に回避され得る。
これによっても、スクリュボルト30の雄ねじ部34と雌ねじ穴66の雌ねじ部68との螺合状態からの弛緩操作、更には再度の締付け操作が困難となってしまうようなことが、効果的に防止され得るようになる。
次に、移動ロッド14が、反時計回りの方向に回転せしめられて、筒状ハウジング12の内孔20内への挿入部分が、内孔20内から突出移動せしめられる。これによって、クランプアーム104が、下方(図5中、矢印方向)に回動せしめられて、図6に示されるように、クランプアーム104とベース118の上面との間で、ワーク120がクランプされて、固定される。
なお、本工程での移動ロッド14の回転操作も、ねじ締付け装置(図示せず)用いた、移動ロッド14の操作部84に対する自動回転操作によって、実施される。また、そのようなねじ締付け装置を用いた自動回転操作による移動ロッド14の回転量は、クランプされるべきワーク120の大きさが変わらない限り、常に同一の回転量とされていることが、望ましい。それによって、ワーク120に対するクランプ力が一定の大きさとされるといった利点が得られることとなる。そして、このワーク120のクランプ状態は、移動ロッド14が、例えば、図示しないねじ締付け装置等を用いた自動回転操作により、時計回りに再び回転せしめられて、クランプアーム104が上方(図6中、矢印方向)に回動せしめられることで、容易に解消される。
このように、本実施形態のクランプ装置10にあっては、移動ロッド14の雌ねじ穴66に対する筒状ハウジング12内のスクリュボルト30の締付け力を利用して、ワーク120が、クランプされて、固定されるようになっている。それ故、例えば、空気圧機構や油圧機構等を利用して、ワーク120のクランプ力を得るようにした従来装置とは異なって、それら空気圧機構や油圧機構を構成する配管やマニホールド、カップリング、ポンプ等の大がかりで且つ高価な付帯設備が全く不要とされている。そして、そのため、かかるクランプ装置10においては、そのような付帯設備が不要とされる分だけ、設置に要するコストが、極めて有利に低減せしめられ得るのである。
従って、かくの如き本実施形態に係るクランプ装置10を用いれば、ワーク120が少量生産によって得られるものであっても、それら少量のワーク120の1個当たりの加工コストが、クランプ装置10の設置コストやランニングコストによって高騰するようなことが、極めて有利に抑制乃至は解消され得る。そして、その結果として、少量生産で得られるワーク120の加工作業における作業効率の向上と低コスト化とが、効果的に実現され得ることとなるのである。
また、かかる本実施形態においては、ねじ締付け装置等を用いて、一定の回転量により、移動ロッド14の自動回転操作を行うようにすれば、ワーク120を、一定のクランプ力をもってクランプすることが出来るところから、ワーク120のクランプ操作が、より容易に且つ迅速に行われ得るばかりでなく、ワーク120に対するクランプ力のバラツキによって各種の弊害が生ずるようなことが確実に防止され得て、クランプされたワーク120に対する加工作業等が、より安定的に実施され得る。
さらに、本実施形態のクランプ装置10にあっては、雌ねじ穴66の収容穴部70内に収容位置せしめられたスペーサ部材72の存在や、スクリュボルト30の脚部36の先端部位に設けられた平滑部42の存在により、スクリュボルト30の雄ねじ部34と雌ねじ穴66の雌ねじ部68との締緩操作がスムーズに行われ得る。そして、その結果として、ワーク120のクランプ操作時における優れた操作性乃至は使用性が、極めて有利に発揮され得ることとなる。
しかも、かかるクランプ装置10においては、スペーサ部材72が、スクリュボルト30よりも硬度の高い金属材料にて形成されて、スペーサ部材72の研磨面74とスクリュボルト30の先端面との間のでのスムーズな摺動特性が安定的に維持せしめられ得るようになっていることで、上記の如き優れた優れた操作性乃至は使用性が、より長期に亘って安定的に維持せしめられ得る。
更にまた、本実施形態のクランプ装置10では、スクリュボルト30が、その雄ねじ部34において螺合される雌ねじ部68を有する移動ロッド14よりも硬度の低い銅合金等の金属材料にて形成されており、その上、筒状ハウジング12の下端部のねじ孔46に螺入された止めねじ44を緩めるだけの簡単な操作で、スクリュボルト30が容易に交換可能とされている。
それ故、このようなクランプ装置10においては、ねじ締付け装置等の使用によって、スクリュボルト30の雄ねじ部34と移動ロッド14の雌ねじ穴66の雌ねじ部68との間に大きな負荷が繰り返し加えられる場合にあっても、交換が容易なスクリュボルト30の摩耗量が、雌ねじ部32の摩耗量よりも大きくされ、それによって、移動ロッド14の使用耐久性が有利に高められ得る。
従って、かかる本実施形態のクランプ装置10によれば、単に、交換が容易なスクリュボルト30を適当な時期に交換するだけで、装置10全体の使用寿命の長期化が有利に図られ得るのである。また、その結果として、スムーズなクランプ操作が、より長期に亘って安定的に且つ確実に維持せしめられ得ることとなる。
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
例えば、筒状ハウジング12のベース118に対する固定構造や、雄ねじ部材たるスクリュボルト30の筒状ハウジング12内への固定構造等は、前記実施形態に示されるものに、何等限定されるものではない。
また、前記実施形態では、雄ねじ部材としてのスクリュボルト30の雄ねじ部34と移動ロッド14の雌ねじ穴66の雌ねじ部68とにて、移動ロッド14を、その回転に伴って、筒状ハウジング12に対して引込/突出移動せしめるねじ送り機構が構成され、更に、かかるスクリュボルト30にて、移動機構部が構成されていたが、それらねじ送り機構や移動機構部の構造は、何等これに限定されるものではない。
例えば、筒状ハウジング12内に雌ねじ部68を位置固定に設ける一方、移動ロッド14に雄ねじ部34を設けて、それらの雄ねじ部34と雌ねじ部68とにてねじ送り機構を構成すると共に、雌ねじ部68にて移動機構部を構成することも、勿論可能である。
さらに、移動ロッド14の筒状ハウジング12に対する引込/突出移動に伴って、クランプアーム104を回動させるリンク機構、更にはそれを有する回動機構部の構造も、前記実施形態に示されるものに、特に限定されるものではなく、公知の構造が採用され得ることは、言うまでもないところである。
更にまた、雌ねじ穴66内において、その底面と雄ねじ部材たるスクリュボルト30の先端面との間に位置せしめられるスペーサ部材72の形状や配設個数、材質等も、例示のものに、何等限定されるものではない。
加えて、前記実施形態では、ワークをクランプして、ベースに固定するためのクランプ装置に対して、本発明を適用したものの具体例が示されていたが、本発明は、その他、ジグプレート等のワーク以外の物品をクランプして、ベースに固定するクランプ装置の何れに対しても有利に適用され得るものであることは、勿論である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。