JP2006115887A - マスカラ付与装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】まつ毛のカールアップとまつ毛へのマスカラ剤の付与とを同時に且つ簡便に行うことができ、まつ毛に付与されたマスカラ剤を滲み難く、ダマになり難く、しかもカールアップ効果を長続きさせると共に、マスカラ付与装置の使用性を向上させること。
【解決手段】まつ毛にマスカラ剤を熱転写又は熱融着により付着させるマスカラ付着手段と、該マスカラ付着手段にマスカラ剤を供給するマスカラ供給手段とを具備するマスカラ付与装置1であって、前記マスカラ付着手段は、使用時にまつ毛を確認する確認鏡4を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、まつ毛にマスカラ剤を付与するマスカラ付与装置に関する。
従来、まつ毛を形よく美麗に見せるためのマスカラ製品としては、液状ないしクリーム状のマスカラ剤をブラシ等でまつ毛に付与するものが主流であり、マスカラ剤のまつ毛への付与は、挟み込み式のカーラー(ビューラー)でまつ毛を挟んで物理的にカールアップ(くせ付け)するか又は電熱式のカーラーでまつ毛を熱整形してカールアップした後、マスカラ剤をまつ毛にブラシで塗布することにより行なわれている。前記挟み込み式のカーラーは、例えば、特開平9−173130号公報に開示されており、また、前記電熱式のカーラーは、例えば、特開2002−28020号公報、特開平10−192037号公報に開示されている。
更に、電熱式カーラーにおいて、使用者がまつ毛を視認できる鏡を取りつけたものが、実開昭63−95502号公報に開示されている。
特開平9−173130号公報 特開2002−28020号公報 特開平10−192037号公報 実開昭63−95502号公報
しかし、挟み込み式のカーラーにより、まつ毛を物理的にカールアップしようとしても、特に寝起きや雨の日等の湿度の高い状態では、なかなかカールアップせず、また、施術を重ねることによりまつ毛が傷付いたり、切れたり、抜けたりする問題もあった。また、電熱式のカーラーでは、カールアップ自体は比較的容易に行うことができるものの、その後に、マスカラ剤をまつ毛にブラシで塗布する必要があり、施術が煩雑である点は改善されていない。
このように、従来は、カールアップ作業の後、別途マスカラ剤の付与を行っており、しかも何回も塗布作業を行う必要があるため、作業が煩雑である。また、マスカラ剤の塗布後に更にカーラーでまつ毛の形を整えることがあるが、その場合、まつ毛上に形成された被膜を傷付けることになり、まつ毛に塗布されたマスカラ剤が経時的に涙等で流れ易くなる。更に、ブラシ等を用いてマスカラ剤を塗布するため、均一な塗布が難しく、ダマになり易い。また、ボリュームアップ効果を狙って、何度も重ね塗りが行われるが、反面、マスカラ剤の自重によりカールダウンを起こし易く、その結果、マスカラ塗布後のカールアップ効果も長続きしない。
従って、本発明の目的は、まつ毛のカールアップとまつ毛へのマスカラ剤の付与とを同時に且つ簡便に行うことができ、まつ毛に付与されたマスカラ剤を滲み難く、ダマになり難く、しかもカールアップ効果を長続きさせると共に、マスカラ付与装置の使用性を向上させることにある。
本発明は、まつ毛にマスカラ剤を熱転写又は熱融着により付着させるマスカラ付着手段と、該マスカラ付着手段にマスカラ剤を供給するマスカラ供給手段とを具備するマスカラ付与装置であって、前記マスカラ付着手段は、使用時にまつ毛を確認する確認鏡を備えているマスカラ付与装置を提供することにより、上記目的を達成したものである。
本発明のマスカラ付与装置によれば、まつ毛のカールアップとまつ毛へのマスカラの付与とを同時に且つ簡便に行うことができ、まつ毛に付与されたマスカラ剤が滲み難く、ダマになり難く、カールアップ効果が長続きし、使用者が使用時に自らのまつ毛を視認し、マスカラ付与の作業を快適に行うことができる。
以下、本発明のマスカラ付与装置を、その好ましい一実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態のマスカラ付与装置1は、図1〜図6に示すように、まつ毛Cにマスカラ剤Mを熱転写又は熱融着により付着させるマスカラ付着手段と、該マスカラ付着手段にマスカラ剤Mを供給するマスカラ供給手段とを具備するマスカラ付与装置1であって、前記マスカラ付着手段は、使用時にまつ毛Cを確認する確認鏡4を備えている。前記マスカラ付着手段は、まつ毛Cを挟んで所定形状にカールアップするカールアップ手段を兼ねている。
本実施形態のマスカラ付与装置1について詳述する。前記マスカラ付着手段及び前記カールアップ手段は、図1〜図5に示すように、主として、上アーム部材2、下アーム部材3及び確認鏡4により構成されている。
上アーム部材2及び下アーム部材3は、それらの基端部21,31で連結され且つそれらの先端部22,32が密接離反自在に対向して設けられている。確認鏡4は、上アーム部材2と下アーム部材3との間に設けられている。
また、下アーム部材3の先端部32に、加熱面51を有する加熱ヘッド5が設けられ、上アーム部材2の先端部22に、加熱ヘッド5の加熱面51に対応する形状の当接面61を有するヘッド受け部6が設けられている。加熱ヘッド5の加熱面51とヘッド受け部6の当接面61とは、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32との密接離反により、密接離反するようになされている。
また、前記マスカラ供給手段により、加熱ヘッド5の加熱面51にマスカラ剤Mを供給するようになされている。
先ず、下アーム部材3について更に詳述する。下アーム部材3は、図1〜図5に示すように、基端部31から先端部32に向けて延びる略板状の形状を有しており、合成樹脂からなる。
基端部31は、上アーム部材2の基端部21が回動自在に連結される部分であり、基端部31には、雌ヒンジ部34(図5参照)が設けられている。雌ヒンジ部34は、上アーム部材2の基端部21に設けられた雄ヒンジ部24に係合するもので、雌ヒンジ部34には、下アーム部材3の両側面に軸孔34Aが設けられている。
先端部32は、マスカラ付与作業時における使用者の顔(まつ毛)に対する部分で、先端部32の前面形状は、図5に示すように、一般的なまつ毛の生え際の形状(平面視で緩やかに湾曲した形状)に合わせて、平面視で背面に向けて凹んだ湾曲形状を有している。
尚、本発明において、マスカラ付与装置及びその構成要素における「前面」及び「背面」とは、それぞれ、マスカラ付与作業時における使用者の顔(まつ毛)に対する面及びその反対面を意味する。
先端部32の上面には、加熱ヘッド5が設けられている。加熱ヘッド5は、その前面形状が下アーム部材3の先端部32の前面形状と同様に、平面視で背面に向けて凹んだ湾曲形状を有しており、加熱ヘッド5の前面と下アーム部材3の前面とが略面一になるように配置されている。加熱ヘッド5は、その全体又は一部が金属等の電気抵抗物からなり、発熱可能となっている。加熱ヘッド5の上面が加熱面51となっている。
加熱ヘッド5の幅(平面視における幅)は、1回の施術で片方のまつ毛のカールアップ及びマスカラ付与を完了させることを重視するならば、まつ毛の生え際の幅と同等ないしはより広く、例えば30mm〜40mmとする。
加熱ヘッド5の奥行き(側面視における長さ)は、まつ毛の長さよりも長くすることが好ましく、例えば10mm〜15mmとする。
加熱ヘッド5の前面の平面方向の凹みの大きさは、一般的なまつ毛の生え際の形状に合わせて、例えば1mm〜10mmとする。
下アーム部材3における加熱ヘッド5の背面側には、確認鏡4が収納される凹部として、鏡収納部33が設けられている。
下アーム部材3における鏡収納部33の背面側には、電池収納部36が設けられている。電池収納部36には、図4に示すように、加熱ヘッド5の加熱面51の加熱用の電源として、乾電池Bが収納されている。また、加熱面51の加熱温度をまつ毛のカールアップ及びマスカラ組成物の熱転写に適した温度に調節する温度調節機能(図示せず)及び加熱面51の加熱時間を調節するタイマー回路(図示せず)を備えている。
下アーム部材3における基端部31近傍には、図5に示すように、バネ下収納部35が設けられている。バネ下収納部35は、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32とを離反する向きに付勢するためのアーム付勢バネ(図示せず、詳細は後述)の下側延出部分を収納するための凹部である。
次に、上アーム部材2について更に詳述する。上アーム部材2は、図1〜図4に示すように、基端部21から先端部22に向けて延びる略板状で、平面視で下アーム部材3と同様の形状を有しており、合成樹脂からなる。
基端部21は、下アーム部材3の基端部31が回動自在に連結される部分であり、基端部21には、雄ヒンジ部24が設けられている。雄ヒンジ部24は、下アーム部材3の基端部31に設けられた雌ヒンジ部34に係合するものである。
先端部22は、マスカラ付与作業時における使用者の顔(まつ毛)に対する部分で、先端部22の前面形状は、図3に示すように、一般的なまつ毛の生え際の形状に合わせて、平面視で背面に向けて凹んだ湾曲形状を有している。
先端部22の下面には、図1(b)及び図2に示すように、ヘッド受け部6が設けられている。ヘッド受け部6の下面が当接面61となっている。
ヘッド受け部6は、その前面形状が上アーム部材2の先端部22の前面形状と同様に、平面視で背面に向けて凹んだ湾曲形状を有しており、ヘッド受け部6の前面と上アーム部材2の前面とが略面一になるように配置されている。
ヘッド受け部6は、合成樹脂等からなり、ヘッド受け部6の当接面61は、加熱ヘッド5の加熱面51に対応する形状及び大きさを有している。前述した加熱部5についての好ましい形状及び大きさの範囲は、ヘッド受け部6にも適用される。
上アーム部材2におけるヘッド受け部6の背面側には、図4に示すように、確認鏡4の上端部を係止するための突起として、係止突起23が設けられている。
上アーム部材2における基端部21近傍には、バネ上収納部(図示せず)が設けられている。該バネ上収納部は、前記アーム付勢バネ(図示せず)の上側延出部分を収納するための凹部である。
雌ヒンジ部34の軸孔34Aは、上アーム部材2の雄ヒンジ部24に係合し、回動自在となっている。
前記アーム付勢バネ(図示せず)は、ねじりバネ構造を有しており、その上側延出部分が上アーム部材2の前記バネ上収納部(図示せず)に収納されており、その下側延出部分が下アーム部材3のバネ下収納部35に収納されている。そのため、上アーム部材2と下アーム部材3とは、それらの先端部22,32同士が離反する向きに付勢されている。
本実施形態のマスカラ付与装置1においては、上アーム部材2及び下アーム部材3が前述の構成を有しているため、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32とを密接させると、加熱ヘッド5の加熱面51とヘッド受け部6の当接面61とが密接し、その状態から上アーム部材2又は下アーム部材3への力の付与をやめると、前記アーム付勢バネの付勢力により、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32とが離反するようになっており、加熱ヘッド5の加熱面51とヘッド受け部6の当接面61とが離反する。
ここで、加熱ヘッド5の加熱面51とヘッド受け部6の当接面61とが密接することには、加熱面51と当接面61とが直接密接する場合の他、図6に示すように、加熱面51と当接面61とがフィルム状マスカラ剤M及びまつ毛Cを介在させて間接的に密接する場合も含まれる。
また、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32とが密接することには、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32とが直接密接する場合の他、例えば、加熱ヘッド5とヘッド受け部6とが直接密接した場合のように、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32とが、それ以上接近できない状態まで近接する場合も含まれる。
次に、確認鏡4について更に詳述する。下アーム部材3の鏡収納部33には、確認鏡4が設けられている。確認鏡4は、本発明のマスカラ付与装置を使用する時に、使用者がまつ毛を確認するためのものである。該確認鏡は、平面鏡でもよいし、使用者の目の位置との関係で適切な焦点距離が設定された凹面鏡でもよい。
確認鏡4は、鏡面41と、鏡面41を支持する鏡支持体42と、鏡支持体42を起立させるための鏡付勢バネ43とからなる。
鏡面41は、矩形形状を有する鏡であって、マスカラ付与装置1の前面側、換言すると上アーム部材2及び下アーム部材3の前面側を向いている。
鏡支持体42は、鏡面41を支持するもので、鏡面41の上縁、下縁、左縁及び右縁並びに背面を支持している。鏡支持体42の下縁部は、鏡収納部33の底面33Aに回動自在に連結されている。
鏡付勢バネ43は、ねじりバネ構造を有しており、図1及び図2に示すように、鏡支持体42の右側縁部に配置されている。鏡付勢バネ43の上側延出部分が鏡支持体42の側縁部に固定されており、鏡付勢バネ43の下側延出部分が下アーム部材3の鏡収納部33の底面33Aに固定されている。そのため、確認鏡4は、確認鏡4の下縁部と鏡収納部33の底面33Aとの連結部分を回動軸として、確認鏡4の上縁部が鏡収納部33の底面33Aから離反する向きに付勢されており、図4に示すように、確認鏡4の上縁部が上アーム部材2の係止突起23に係止するまで、鏡収納部33の底面33Aから起立するようになっている。また、上アーム部材2を下アーム部材3に近接させると、確認鏡4は、その上縁部が上アーム部材2の下面で押圧され、確認鏡4の下縁部を回動軸として回動して平伏し、鏡収納部33内に収納されるようになされている。
従って、本実施形態のマスカラ付与装置1においては、確認鏡4は、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32との密接状態において下アーム部材3の上面に沿って平伏しており、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32とを離反させると、確認鏡4の鏡面41が下アーム部材3の先端部32と対向するように起立するようになされている。
下アーム部材3の先端部32に設けられた加熱ヘッド5と、上アーム部材2の先端部22に設けられたヘッド受け部6との間には、フィルム状マスカラ剤Mが載置されるようになされている。フィルム状マスカラ剤Mとは、マスカラ組成物がフィルム材の表面に塗工されてなるものである。
フィルム状マスカラ剤Mは、加熱ヘッド5の加熱面51の表面形状又はヘッド受け部6の当接面61の表面形状に倣った表面形状を有していることが好ましい。
本実施形態における前記マスカラ供給手段は、1枚ずつのフィルム状マスカラ剤Mを、1回のマスカラ付与操作ごとに、加熱ヘッド5の加熱面51に載置するものである。また、多数枚のフィルム状マスカラ剤が収納された専用容器からフィルム状マスカラ剤を1枚ずつ繰り出して加熱ヘッド5の加熱面51に載置することもできる。
本実施形態のマスカラ付与装置1には、スイッチ(図示せず)が設けられており、該スイッチは、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32との密接離反に連動するようになっている。具体的には、加熱ヘッド5の加熱面51とヘッド受け部6の当接面61とが密接するまで上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32とを密接させると、加熱ヘッド5の加熱がオンとなり、上アーム部材2又は下アーム部材3への力の付与をやめて、前記アーム付勢バネの付勢力により上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32とを離反させて、加熱ヘッド5の加熱面5Aとヘッド受け部6の当接面61とを離反させると、加熱がオフとなるようになっている。
そのため、本実施形態のマスカラ付与装置1においては、加熱ヘッド5は、まつ毛Cを、フィルム状マスカラ剤Mと共に、加熱ヘッド5の加熱面51とヘッド受け部6の当接面61との間で挟み付けた状態下〔図6(b)参照〕に、加熱がオンとなり、加熱ヘッド5とヘッド受け部6とを離反させた状態下〔図6(a)参照〕に、加熱がオフとなるようになっている。
また、加熱がオンになると、加熱面51は、前記温度調節機能により、まつ毛のカールアップ及びマスカラ組成物の熱転写又は熱融着に適した温度に調節されるようになっており、また、加熱時間が過多になると、前記タイマー回路により、加熱面51の加熱が停止するようになっている。
本実施形態のマスカラ付与装置1においては、図6に示すように、フィルム状マスカラ剤Mを、加熱ヘッド5とヘッド受け部6との間における加熱ヘッド5の加熱面51側に、フィルム状マスカラ剤Mの塗工面をヘッド受け部6の当接面61に向けた状態で配し、まつ毛Cを、フィルム状マスカラ剤Mの塗工面とヘッド受け部6の当接面61との間に位置するように挿入する。そして、まつ毛Cを、フィルム状マスカラ剤Mと共に、加熱ヘッド5の加熱面51とヘッド受け部6の当接面61との間で挟み付けて、加熱ヘッド5の加熱面51を加熱することにより、まつ毛Cを加熱ヘッド5の加熱面51とヘッド受け部6の当接面61との間で所定形状にカールアップすると共に、フィルム状マスカラ剤Mのマスカラ組成物をまつ毛Cに熱転写又は熱融着するようになされている。
本実施形態におけるフィルム状マスカラ剤Mの構成について詳述する。フィルム状マスカラ剤Mは、図7に示すように、下層から、ベースフィルムb、アンダー層c及びマスカラ剤層dの順に積層された3層積層体であり、ベースフィルムb側に熱が加わると、主にアンダー層c中で溶融剥離が起こり、マスカラ剤層dがアンダー層cの一部と共に、まつ毛に転写されるようになっている。
フィルム状マスカラ剤Mは、手で摘む等して、加熱ヘッド5に装填されるため、適度な曲げ弾性率を有していることが好ましい。フィルム状マスカラ剤Mの曲げ弾性率は、好ましくは100MPa〜5000MPa、更に好ましくは1000MPa〜3000MPaとする。かかる曲げ弾性率は、ASTM(米国材料試験協会規格)測定法 D790にて規定される。
ベースフィルムbは、フィルム状マスカラ剤Mの基材であり、熱に強く転写層の特性を引き出す物性を有するものが用いられる。ベースフィルムbの素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン等の合成高分子フィルム、コンデンサー紙等が挙げられる。ベースフィルムbの膜厚は、好ましくは10μm〜200μm、更に好ましくは20μm〜100μmとする。本実施形態におけるベースフィルムbは、25μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)からなる。
アンダー層cは、図7に示すように、ベースフィルムbとマスカラ剤層dとの介在層であり、造膜性があり、熱溶融時の凝集力が小さいものが用いられる。
アンダー層cは、その一部(例えば50重量%〜95重量%)が溶融剥離してマスカラ剤層dと共に、好ましくは膜厚1μm〜30μm、更に好ましくは膜厚1μm〜10μmでマスカラ剤を被覆するように、まつ毛に熱転写される。そのためには、転写前のアンダー層cの膜厚を、好ましくは1μm〜50μm、更に好ましくは1μm〜20μmとする。アンダー層cの形成剤としては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス等のワックス成分、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール等の樹脂材料等が挙げられる。
アンダー層cのより好ましい組成は、その一部をマスカラ剤層dと共にまつ毛に転写する上で、上記ワックス成分100重量部に対して、上記樹脂材料0重量部〜20重量部である。
本実施形態におけるアンダー層cは、10μmの厚みであって、低分子ポリエチレンワックス及びエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる。
マスカラ剤層dは、図7に示すように、アンダー層cの上層に形成され、まつ毛に熱転写される層であり、造膜性、着色性、熱応答性のほか、耐水性、付着性、カール保持性及び安全性に優れたものが用いられる。
マスカラ剤層dを構成するマスカラ組成物は、まつ毛表面に付着した被覆膜として、好ましくは膜厚10μm〜200μm、更に好ましくは膜厚20μm〜100μmとなるように、まつ毛に熱転写される。そのためには、熱転写前のマスカラ剤層dの膜厚を、好ましくは20μm〜300μm、更に好ましくは50μm〜200μmとする。
マスカラ剤層dの形成剤としては、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアミド、アクリル樹脂、石油樹脂等の樹脂材料、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックス、カルナウバワックス、ラノリンワックス、モンタンワックス等のワックス成分、無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤が挙げられる。
マスカラ剤層dのより好ましい組成は、前記実施形態のマスカラ付与装置1を用いて前記フィルム状マスカラ剤Mのマスカラ剤層dをまつ毛に転写する上で、上記樹脂材料100重量部に対して、上記ワックス成分0重量部〜10重量部、及び上記着色剤1重量部〜20重量部である。
本実施形態におけるマスカラ剤層dは、70μmの厚みであって、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ウレタン変性ラノリンワックス及び黒酸化鉄からなる。
フィルム状マスカラ剤におけるマスカラ組成物は、形状記憶ポリマーを含有していてもよい。形状記憶ポリマーとしては、ポリウレタン系(三菱重工社製ダイアリイ)、ポリイソプレン系、スチレンブタジエン系、ポリエチレン系のもの等が挙げられる。本実施形態においては、ポリウレタン系形状記憶ポリマー(ポリシス社製)を含有している。
また、耐熱性を上げるためにベースフィルムの下層、即ちマスカラ剤を塗布した面と反対の面に耐熱層を設けてもよい。耐熱層としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が用いられ、具体的にはシリコーン変性ブチラール樹脂が例示される。
また、マスカラ剤としては、まつ毛に熱融着させるようにしたマスカラ剤を用いることもできる。このようなマスカラ剤としては、例えば、ベースフィルム上にマスカラ剤層が積層された2層積層体が挙げられる。このマスカラ剤は、ベースフィルムの下面に熱が加わると、マスカラ剤層がベースフィルム上で溶融又は軟化し、まつ毛に熱融着されるようになっている。
次に、本実施形態のマスカラ付与装置1の好ましい一使用態様について説明する。本実施形態のマスカラ付与装置1においては、前記アーム付勢バネの付勢力により、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32とが離反している。この状態下に、フィルム状マスカラ剤Mを手で摘み、フィルム状マスカラ剤Mを加熱ヘッド5の加熱面51に載置する。次に、マスカラ付与装置1を手で持ち、図6(a)に示すように、フィルム状マスカラ剤Mの塗工面と、上アーム部材2の先端部22に設けられたヘッド受け部6の当接面61との間に、まつ毛Cを配置する。そして、この状態で、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32とを密接させて、図6(b)に示すように、まつ毛Cを、フィルム状マスカラ剤Mと共に、加熱ヘッド5の加熱面51とヘッド受け部6の当接面61との間で挟み付ける。
このようなまつ毛Cの配置操作及びまつ毛Cの挟み付け操作においては、確認鏡4を利用して、まつ毛Cと加熱ヘッド5、ヘッド受け部6及びフィルム状マスカラ剤Mとの相対位置を確認しながら、まつ毛Cの配置操作及びまつ毛Cの挟み付け操作を行うことができる。
ここで、まつ毛Cは、加熱ヘッド5の加熱面51とヘッド受け部6の当接面61との間で所定形状にカールアップされる。同時に、加熱ヘッド5の加熱がオンとなり、加熱面51が加熱される。その結果、まつ毛のカールアップ形状が固定されると共に、フィルム状マスカラ剤Mのマスカラ剤層dがまつ毛Cに熱転写又は熱融着される。
このように、本実施形態のマスカラ付与装置1によれば、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部22とを密接させるだけで、まつ毛Cが、加熱ヘッド5の加熱面51とヘッド受け部6の当接面61との間で所定形状にカールアップされると共に、フィルム状マスカラ剤Mのマスカラ組成物がまつ毛Cに熱転写又は熱融着される。この際、まつ毛に傷を付けることなく、マスカラ剤がまつ毛Cに均一に付着する。従って、本実施形態のマスカラ付与装置1によれば、まつ毛のカールアップとまつ毛へのマスカラ剤の付与とを同時に且つ簡便に行うことができると共に、まつ毛に付与されたマスカラ剤が滲み難く、ダマになり難く、カールアップ効果が長続きする。
そして、本実施形態のマスカラ付与装置1によれば、マスカラ剤付着中のまつ毛Cを確認する確認鏡4を備えているため、確認鏡4を利用して、まつ毛Cと加熱ヘッド5、ヘッド受け部6及びフィルム状マスカラ剤Mとの相対位置を確認しながら、まつ毛Cの配置操作及びまつ毛Cの挟み付け操作を行うことができ、まつ毛Cの配置操作及びまつ毛Cの挟み付け操作が極めて容易である。
加熱ヘッド5の加熱面51とヘッド受け部6の当接面61とが、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32との密接離反により、密接離反するようになされているため、上アーム部材2又は下アーム部材3への力の付与をやめると、加熱ヘッド5の加熱面51とヘッド受け部6の当接面61とを離反させることができ、マスカラ付与操作が容易である。
確認鏡4は、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32との密接状態において下アーム部材2の上面に沿って平伏しており、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32とを離反させると、確認鏡4の鏡面41が、離反した上アーム部材2の先端部22及び下アーム部材3の先端部32と対向するように起立するようになされている。従って、使用開始時においては確認鏡4が起立しているので、使用者はそれを見ながらまつ毛等を確認することができ、上下のアーム部材2,3を挟持してマスカラ剤の付与を行う際には、該アーム部材2,3の動きに連動して確認鏡4が平伏し、上アーム部材2の先端部22と下アーム部材3の先端部32とが密接状態に至るまでの動作がスムーズに行われる。
本発明のマスカラ付与装置は、前記実施形態及びその使用態様に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更が可能である。
マスカラ付着手段は、まつ毛にマスカラ剤を熱転写又は熱融着により付着させることができるものでれば、種々の構成を採用することができ、マスカラ供給手段は、前記マスカラ付着手段にマスカラ剤を供給することができるものであれば、種々の構成を採用することができる。
確認鏡の個数、配置、構造等については、種々の構成を採用することができる。
加熱ヘッドとヘッド受け部とが密接離反自在な構成としては、種々の構成を採用することができる。
前記実施形態においては、加熱ヘッドとヘッド受け部とを密接させると、加熱ヘッドの加熱がオンになる構成であるが、両者を密接させる前に予め加熱ヘッドを加熱可能な構成を採用してもよい。このような構成からなるマスカラ付着手段によれば、加熱ヘッドとヘッド受け部との間でまつ毛を挟み込む前から加熱ヘッドを加熱しておき、その状態下に、加熱ヘッドとヘッド受け部との間でまつ毛を挟み込むことができる。
マスカラ剤としては、フィルム状マスカラ剤以外に、例えばペースト状のマスカラ剤を用いることができる。
図1は、本発明のマスカラ付与装置の一実施形態について、上アーム部材と下アーム部材とが離反した状態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は側面図である。 図2は、本発明のマスカラ付与装置の一実施形態について、上アーム部材と下アーム部材とが離反した状態を示す正面図である。 図3は、本発明のマスカラ付与装置の一実施形態について、上アーム部材と下アーム部材とが密接した状態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は平面図である。 図4は、図3(b)に示すIV−IV断面図である。 図5は、図1に示すマスカラ付与装置における下アーム部材を分離して示す斜視図である。 図6は、図1に示すマスカラ付与装置の一使用態様における加熱ヘッドとヘッド受け部との位置関係を示す模式的断面図で、(a)は加熱ヘッドとヘッド受け部とが離反した状態を示す図、(b)は加熱ヘッドとヘッド受け部とが密接した状態を示す図である。 図7は、フィルム状マスカラ剤の積層構造を示す模式的断面図である。
符号の説明
1 マスカラ付与装置
2 上アーム部材
21 基端部
22 先端部
23 係止突起
24 雄ヒンジ部
3 下アーム部材
31 基端部
32 先端部
33 鏡収納部
34 雌ヒンジ部
35 バネ下収納部
36 電池収納部
4 確認鏡
41 鏡面
42 鏡支持体
43 鏡付勢バネ
5 加熱ヘッド
51 加熱面
6 ヘッド受け部
61 当接面
B 乾電池
C まつ毛
M フィルム状マスカラ剤


Claims (5)

  1. まつ毛にマスカラ剤を熱転写又は熱融着により付着させるマスカラ付着手段と、該マスカラ付着手段にマスカラ剤を供給するマスカラ供給手段とを具備するマスカラ付与装置であって、
    前記マスカラ付着手段は、使用時にまつ毛を確認する確認鏡を備えているマスカラ付与装置。
  2. 前記マスカラ付着手段は、上アーム部材、下アーム部材及び前記確認鏡により構成されており、
    前記上アーム部材及び前記下アーム部材は、それらの基端部で連結され且つそれらの先端部が密接離反自在に対向して設けられており、
    前記確認鏡は、前記上アーム部材と前記下アーム部材との間に設けられており、
    前記下アーム部材の先端部に、加熱面を有する加熱ヘッドが設けられ、前記上アーム部材の先端部に、該加熱ヘッドの該加熱面に対応する形状の当接面を有するヘッド受け部が設けられており、該加熱ヘッドの該加熱面と該ヘッド受け部の該当接面とは、前記上アーム部材の先端部と前記下アーム部材の先端部との密接離反により、密接離反するようになされており、
    前記マスカラ供給手段により、前記加熱ヘッドの前記加熱面に前記マスカラ剤を供給するようになされている請求項1記載のマスカラ付与装置。
  3. 前記確認鏡は、前記上アーム部材の先端部と前記下アーム部材の先端部との密接状態において該下アーム部材の上面に沿って平伏しており、該上アーム部材の先端部と該下アーム部材の先端部とを離反させると、該確認鏡の鏡面が、該下アーム部材の先端部と対向するように起立するようになされている請求項2記載のマスカラ付与装置。
  4. 前記上アーム部材と前記下アーム部材とはそれらの先端部同士が離反する向きに付勢されている請求項2又は3に記載のマスカラ付与装置。
  5. 前記マスカラ剤は、マスカラ組成物がフィルム材の表面に塗工されてなるフィルム状マスカラ剤である請求項1〜4の何れかに記載のマスカラ付与装置。

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