以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(3)項および(4)項を併せたものが請求項3に、(5)項が請求項4に、(7)項が請求項5に、(8)項が請求項6に、(12)項,(13)項および(14)項を併せたものが請求項7に、(17)項が請求項8にそれぞれ相当する。
以下、請求可能発明のいくつかの実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
本実施例の電子回路部品装着システムの電子回路部品装着機は、図5に示すように、液晶パネル28(図1参照)を構成する透明なガラス基板30に液晶駆動回路部品としてのチップ部品92をACFテープ8を用いて仮接合する装着機であり、請求可能発明の一実施例である装着位置関連データ変換装置と共に、対部品装着基板作業システムの一種である電子回路部品装着システムを構成する。
チップ部品92は電子回路部品の一種であり、例えば、図4に示すフリップチップ等、種々の部品がある。チップ部品92は、本体94の裏面(ガラス基板30に装着される側の面(被装着面)であって、後述する装着ヘッドにより保持される側とは反対側の面)に複数、本実施例においては2個の基準マーク96が設けられている。これら基準マーク96は、本実施例においては不透明なマークとされており、本体94の対角線上において互いに隔たった位置に、チップ部品92の中心に対して対称に設けられ、その中心に対するX軸,Y軸の各方向における距離が等しい。以後、基準マーク96を部品マーク96と称する。チップ部品92がフリップチップの場合、図4に示すように、本体94の裏面側に多数のバンプ98が設けられ、部品マーク96は、それらバンプ98が設けられた領域から外れた部分に設けられている。バンプ98は、例えば、金により作られている。
ガラス基板30は、別のガラス基板130(図1参照)が組み付けられ、それらの間に液晶が封入されるとともに、電極端子上にACFテープ8(図5参照)が貼付された状態で電子回路部品装着機に搬入される。ガラス基板30はガラス基板130より大きく、ガラス基板30のガラス基板130から突出した縁部にチップ部品92が少なくとも1つ、装着される。ガラス基板30,130にはそれぞれ電極(図示省略)が設けられ、ガラス基板30の縁部には多数の電極の各々に接続された多数の電極端子たるパッド(図示省略)および入力端子(図示省略)等が設けられ、チップ部品92が接合される。
ガラス基板30のチップ部品92が装着される部品装着面には、図3に示すように、基準マーク82が設けられている。この基準マーク82はローカルマークと称されるものであり、図2に示すように、ガラス基板30の1つの部品装着位置について複数個ずつ、本実施例においては2個ずつ設けられている。これら2個の基準マーク82は、チップ部品92がガラス基板30に装着された状態においてチップ部品92から外れた状態となり、部品装着位置を通る直線であって、装着されたチップ部品92の対角線上に位置する位置に設けられ、部品装着位置に対して対称であって、部品装着位置に対するX軸,Y軸の各方向における距離が等しい。基準マーク82は、本実施例では、不透明なものとされている。以後、基準マーク82を基板マーク82と称する。
ACFテープ8は接続材の一種である異方性導電膜製のテープであり、本実施例では、熱可塑性樹脂フィルムの中に導電粒子、例えば、金粒の表面がニッケルによりめっきされた粒子が混入されたものとされている。ガラス基板30には少なくとも1つの部品装着位置が設定され、それら部品装着位置の各々に複数のパッドが設けられており、ACFテープ8は隣接する複数の部品装着位置の各パッドにわたって連続して貼り付けられる。ACFテープ8は、多数のパッドの他、図5に示すように、基板マーク82も覆い、ガラス基板30の、チップ部品92が装着された状態において部品マーク96に対応する状態となる部分も覆う状態で貼付される。
電子回路部品装着機は、図1および図2に概略的に示すように、基台10,基台10上に設けられた基板位置決め装置12,圧着台14,部品装着装置16,部品供給装置18および撮像システム22,これら装置12等を制御する制御装置24(図6参照)等を備えている。基板位置決め装置12は、基板保持部材としてのテーブル34およびテーブル移動装置36を備えている。テーブル移動装置36は、本実施例では、テーブル34を、水平面内において互いに直交する2方向であるX軸方向およびY軸方向と、それらX軸,Y軸方向と直交する鉛直方向であるZ軸方向とにそれぞれ移動させるとともに、Z軸方向に平行な軸線まわりに回転させる装置とされている。なお、これらX軸,Y軸方向は、本電子回路部品装着機について基準座標面として設定されたXY座標面上における方向である。
テーブル移動装置36は、図2に示すように、テーブルX軸方向移動装置40,テーブルY軸方向移動装置42,テーブルZ軸方向移動装置44およびテーブル回転装置46を含む。テーブルY軸方向移動装置42は、基台10上にY軸方向に移動可能に設けられたY軸スライダ48およびY軸スライダ48をY軸方向に移動させるY軸スライダ移動装置を含む。テーブルX軸方向移動装置40は、Y軸スライダ48上にX軸方向に移動可能に設けられたX軸スライダ50と、X軸スライダ50をX軸方向に移動させるX軸スライダ移動装置とを含む。テーブルZ軸方向移動装置44は、X軸スライダ50上に上下方向に移動可能に設けられたZ軸スライダ52と、Z軸スライダ52を昇降させるZ軸方向移動装置とを含む。これらX軸方向,Y軸方向およびZ軸方向の各移動装置はそれぞれ、サーボモータ54,56,58(図6参照)を駆動源として構成されており、X軸,Y軸,Z軸の各移動部材としてのスライダ50,48,52をそれぞれ、各軸方向において任意の位置へ移動させる。駆動源を構成するサーボモータ54,56,58はアクチュエータの一種であり、電動モータの一種である電動回転モータであって、回転角度の精度の良い制御が可能なモータである。サーボモータに代えてステップモータを用いてもよい。リニアモータを駆動源としてもよい。
Z軸スライダ52上にテーブル34が鉛直軸線まわりに回転可能に設けられており、テーブル回転装置46により回転させられる。本実施例では、テーブル回転装置46は、テーブル34を鉛直軸線まわりに設定角度ずつ、例えば、90度ずつ割り出し回転させる装置とされている。テーブル34は、上向きの基板支持面62および基板吸着装置(図示省略)を備えている。基板吸着装置は、基板支持面62に開口させられた複数の吸着穴を備えており、それら吸着穴は切換弁を介して負圧源と大気とに選択的に連通させられ、負圧の供給により液晶パネル28を基板支持面62に吸着して保持し、大気に連通させられることにより液晶パネル28を開放する。
部品装着装置16は、図1および図2に示すように、装着ヘッド350,装着ヘッド移動装置352,加熱装置354および加圧装置356を含む。装着ヘッド移動装置352は、本実施例では、それぞれサーボモータを駆動源とするヘッドY軸方向移動装置,ヘッドZ軸方向移動装置およびヘッド回転装置を備え、装着ヘッド350を、Y軸およびZ軸の各方向において任意の位置へ移動させるとともに、Z軸方向に平行な軸線まわりに正逆両方向に任意の角度回転させる装置とされている。
装着ヘッド350は、ヘッドZ軸方向移動装置のZ軸方向に移動させられるZ軸スライダにZ軸方向に平行な回転軸線まわりに回転可能に設けられ、Z軸スライダから下方へ突出させられたヘッド本体360と、ヘッド本体360によりZ軸方向に相対移動可能に保持された部品保持具362とを含む。ヘッド本体360内にはエアシリンダ364が下向きにかつ相対回転不能に設けられ、そのピストンロッドの下端部に部品保持具362が保持されて、ヘッド本体360に対してZ軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能である。エア源からエアシリンダ364へ供給されるエアの圧力は減圧弁(図示省略)により制御され、後述するように、チップ部品92が予め設定された圧力で加圧されるようにされる。
部品保持具362は、ヘッド本体360から突出させられた下端部に部品保持部366を備えている。部品保持部366は、負圧によりチップ部品92を吸着して保持するものとされており、切換弁の切換えにより、負圧源と大気とに選択的に連通させられる。部品保持部366は、負圧源に連通させられ、負圧が供給されることによりチップ部品92を吸着し、大気に開放されることによりチップ部品92を開放する。部品保持部366に加熱装置354が設けられている。加熱装置354は、本実施例においてはヒータを含む。
前記部品供給装置18は、図1に示すように、基板位置決め装置12に対してY軸方向に離れた位置に設けられている。部品供給装置18は、本実施例では、トレイによって前記チップ部品92を供給するものとされている。チップ部品92は、本実施例では、図示を省略する部品取出装置によってトレイから取り出されるとともに仮置台(図示省略)上に置かれ、そのチップ部品92を装着ヘッド350が受け取る。また、前記圧着台14は基台10に、Y軸方向において基板位置決め装置12に隣接して設けられている。圧着台14は、基板支持部材であり、本実施例では透明材料の一種である石英ガラスにより作られ、光の透過を許容し、X軸方向に長く、Y軸方向から見た形状がコの字形を成し、水平な基板支持面370を備えている。
前記撮像システム22は、本実施例では、図2に示すように、部品撮像ユニット380,基板撮像ユニット382および撮像ユニット移動装置384(図6参照)を備えている。部品撮像ユニット380は、部品撮像装置386および照明装置388(図6参照)を備え、Z軸方向において装着ヘッド350と圧着台14との間に位置させられ、装着ヘッド350により保持されたチップ部品92を下方から照明し、撮像する。基板撮像ユニット382は、基板撮像装置392および照明装置394(図6参照)を備え、前記圧着台14の下方に位置させられ、透明な圧着台14を通してガラス基板30を下方から撮像する。撮像装置386,392は、本実施例では、CCDカメラにより撮像を行う装置とされており、照明装置388,394はいずれも可視光を照射する装置とされている。撮像ユニット380,382は一体的に設けられ、共通の移動装置である撮像ユニット移動装置384によりX軸,Y軸およびZ軸の各方向に移動させられる。そのため、撮像ユニット移動装置384は、それぞれサーボモータを駆動源とするX軸,Y軸およびZ軸方向の各移動装置を備え、部品撮像ユニット380および基板撮像ユニット382を各軸方向において任意の位置へ移動させる。
前記制御装置24は、図6に示すように、CPU100,ROM102,RAM104およびそれらを接続するバスを有する装着制御コンピュータ106を主体とするものである。バスには入出力インタフェース108が接続されており、撮像装置386,392により得られた画像データを処理する画像処理コンピュータ110,撮像ユニット380,382,入力装置114,データ読取・書込装置116等が接続されている。入力装置114は、例えば、マウス等のポインティングデバイスおよびキーボードを含む。
入出力インタフェース108にはまた、駆動回路120を介してサーボモータ54等、電子回路部品装着機を構成する各種装置の駆動源を構成する各種アクチュエータおよびプリンタ126等が接続され、制御回路122を介して表示画面124を制御するようにされている。表示画面124および制御装置24の表示画面124を制御する部分が表示装置を構成している。
ROM102およびRAM104には、本電子回路部品装着機の基本動作プログラム,作業対象となるガラス基板30に応じた部品装着作業のプログラム(以後、部品装着プログラムと称する),部品装着位置関連データ修正作業のプログラム等、種々のプログラムおよびデータ等が記憶させられている。部品装着プログラムには、チップ部品92を供給する部品供給装置18およびその部品供給部に関するデータ,チップ部品92をガラス基板30に装着すべき位置である部品装着位置の座標データ,基板マーク82の位置の座標データ,電子回路部品の装着順序を規定するデータ,部品装着位置に装着される部品のデータ,および図示しないPDG(パーツデータジェネレータ)から供給された各部品の部品情報等が含まれている。装着順序は、複数の装着位置の各々について設定される。プログラムが基本動作プログラムによって実行されることにより、装着ヘッド350が装着ヘッド移動装置352により部品取出位置へ移動させられてチップ部品92を部品供給装置18から取り出し、ガラス基板30に設定された部品装着位置へ移動させられて装着する。
部品装着プログラムに含まれる部品装着位置データは設計データであり、本実施例では、ガラス基板30上に予め設定された1点を基準点として作成されている。例えば、図1に示すガラス基板30は、互いに直交する2つの縁部がそれぞれガラス基板130から外方へ突出させられ、その長辺に平行な突出部である長辺側装着部250および短辺に平行な突出部である短辺側装着部252にそれぞれ、チップ部品92が装着されるものであるが、4つの頂点のうちの1つ、例えば、2つの装着部250,252の一方である長辺側装着部250の、他方である短辺側装着部252側とは反対側の頂点を基準点とし、その基準点がXY座標面である設計座標面の原点に位置し、長辺がX軸方向に平行になり、短辺がY軸方向に平行になるとともに、全部の部品装着位置の各座標値がX軸,Y軸共に負の値となる姿勢で設計データが作成される。ガラス基板30に装着される全部のチップ部品92の装着位置について、この姿勢で設計データが作成される。本電子回路部品装着機について設定された基準座標面は、ガラス基板30がテーブル34に支持されて長辺側装着部250にチップ92が装着される姿勢に位置決めされた状態において、X軸,Y軸がそれぞれ、設計座標面のX軸,Y軸に平行となり、X軸,Y軸の正負の向きが設計座標面のX軸,Y軸の正負の向きと同じになるように設定されている。設計座標面と電子回路部品装着機の基準座標面とは、ガラス基板30が、長辺側装着部250にチップ部品92が装着される姿勢に位置決めされた状態においてX軸とY軸とが互いに平行となるとともに、それらの正負の向きが一致する。基準座標面内における基準点の位置および装着位置座標データに基づいて、部品装着位置の電子回路部品装着機の基準座標面における位置が得られる。ガラス基板30の電子回路部品装着機において長辺側装着部250にチップ部品92が装着される状態での姿勢を基準姿勢とする。なお、本電子回路部品装着機においてチップ部品92が装着されるガラス基板が、その互いに直交する2辺の他、例えば、1辺,3辺あるいは4辺にチップ部品92が装着されるものである場合にも同様に基準点が設定され、全部の部品装着位置の各座標値がX軸,Y軸共に負の値となり、長辺がX軸方向に平行となる姿勢で設計データが作成される。これらガラス基板は、端点に基準点を有する長辺側装着部にチップ部品92が装着される状態での姿勢が基準姿勢となる。
本電子回路部品装着機は、ガラス基板30にチップ部品92を接続材としてのACFテープ8を用いて接続し、電子回路を形成する電子回路組立ラインを構成するものであり、図示は省略するが、基板搬送方向において電子回路部品装着機の上流側には、ガラス基板30にACFテープ8を貼付するACF貼付機が設けられ、下流側には、ガラス基板30に装着されて仮接続されたチップ部品92を加熱,加圧し、ガラス基板30とチップ部品92とにそれぞれ設けられた電極を電気的に接合する接合機ないし本圧着機が設けられている。ガラス基板30のACFテープ貼付機からの搬出および電子回路部品装着機への搬送,搬入と、ガラス基板30の電子回路部品装着機からの搬出および本圧着機への搬送,搬入とはそれぞれ、図示を省略するガラス基板搬送装置により行われる。
前記本圧着機は、例えば、基板保持装置,加熱装置および加圧装置を備えている。加圧装置は、ACFテープ8を挟んで仮接合されたガラス基板30とチップ部品92とを上下から挟み、チップ部品92を、電子回路部品装着機において装着ヘッド350により行われる加圧より高い圧力で加圧し、加熱装置は装着ヘッド350により行われる加熱より高い温度で加熱する。これら加圧および加熱により、ACFテープ8は、チップ部品92の電極とガラス基板30の電極パッドとの間で貼り付けられ、チップ部品92がガラス基板30に固定されるとともに、ACFテープ8中の導電粒子によって両電極が電気的に接続される。
ガラス基板30に装着されるチップ部品92がフリップチップ(以後、チップと略称する)である場合を例に取り、そのチップ92のガラス基板30への装着,装着状態の検査および装着位置関連データの修正を説明する。電子回路部品装着機には、液晶パネル28は、ガラス基板30の電極パッド上にACFテープ8が貼付された状態でACFテープ貼付機から搬入され、テーブル34の基板支持面62上に載置され、吸着されて保持される。この際、液晶パネル28は、図1および図2に示すように、長辺側装着部250および短辺側装着部252がテーブル34から外方へ突出した状態となるように保持される。また、テーブル34は、その基板支持面62が圧着台14の基板支持面370より高い位置に位置させられており、圧着台14に対して水平方向に移動することができる。
そして、まず、テーブル34がガラス基板30を、長辺側装着部250がX軸方向に平行となり、かつ、圧着台14上に位置する姿勢で保持してテーブル移動装置36により移動させられ、長辺側装着部250の複数の部品装着位置のうちの1つが水平面内において予め設定された圧着位置(本実施例ではX軸方向に長い圧着台14の長手方向の中央位置)の上方に位置させられる。
装着ヘッド350は装着ヘッド移動装置352によりY軸方向に移動させられ、部品供給装置18へ移動させられるとともに、ヘッドZ軸移動装置により下降させられ、部品保持部366が仮置台上に置かれたチップ92に当接させられるとともに、負圧の供給によりチップ92を吸着する。そして、装着ヘッド移動装置352により、装着ヘッド350が上昇させられるとともに、Y軸方向に移動させられて圧着位置へ移動させられ、ガラス基板30の圧着位置に位置決めされた部品装着位置の上方に位置させられる。
ガラス基板30およびチップ92の移動後、部品マーク96および基板マーク82が撮像される。撮像時には、部品撮像ユニット380および基板撮像ユニット382が撮像ユニット移動装置384により、退避位置から撮像位置へ移動させられる。撮像位置は、部品撮像ユニット380については、部品保持具362に保持されたチップ92の下方に位置し、部品マーク96を撮像する位置であり、基板撮像ユニット382についてはガラス基板30の部品装着位置の下方に位置し、基板マーク82を撮像する位置である。部品撮像ユニット380は撮像ユニット移動装置384によりX軸,Y軸方向に移動させられて、チップ92に設けられた2個の部品マーク96を1個ずつ撮像するようにされるとともに、上下方向に移動させられて部品マーク96に焦点が合わされる。基板撮像ユニット382も同様に、撮像ユニット移動装置384により移動させられ、焦点を合わされて部品装着位置に設けられた2個の基板マーク82を1個ずつ撮像する。ガラス基板30のZ軸方向の位置(高さ)も必要に応じてテーブル34の昇降により調節される。基板撮像ユニット382は圧着台14の下方に配置されているが、圧着台14は透明であり、透明な圧着台14および透明なガラス基板30を通して基板マーク82を撮像することができる。撮像後、撮像ユニット380,382は退避位置へ退避させられる。退避位置は、例えば、X軸,Y軸方向において圧着位置から離れて装着ヘッド350によるチップ装着を妨げない位置である。
マーク82,96の撮像データに基づいて、チップ92とガラス基板30とのX軸,Y軸方向の位置誤差である水平位置誤差およびZ軸まわりの位置誤差である回転位置誤差が求められる。2個の基板マーク82の各位置を求めるとともに、それらの平均位置を求め、2個の部品マーク96の各位置を求めるとともに、それらの平均位置を求め、それら平均位置のずれを求めることにより水平位置誤差が得られる。また、2個の基板マーク82の各中心を通る直線と、2個の部品マーク96の各中心を通る直線とを求め、それらの直線の回転方向のずれを求めることにより回転位置誤差が得られる。
チップ92とガラス基板30との水平位置誤差は、テーブル移動装置36によりテーブル34を移動させ、ガラス基板30のX軸,Y軸の各位置を水平位置誤差が打ち消されるように修正することにより修正される。回転位置誤差の修正により生ずるチップ92とガラス基板30とのX軸,Y軸方向の位置ずれも合わせて修正される。また、チップ92とガラス基板30との回転位置誤差は、装着ヘッド350をヘッド回転装置によりZ軸まわりに回転させることにより修正されて打ち消され、チップ92とガラス基板30との位置が合わされる。その状態でテーブル34が下降させられて、基板支持面62が基板支面370と同一水平面内に位置させられ、ガラス基板30の長辺側装着部250が圧着台14上に載置される。そして、装着ヘッド350がヘッドZ軸移動装置により下降させられてチップ92がガラス基板30上に載置される。チップ92は、図5に示すように、2つの部品マーク96がそれぞれ基板マーク82に近接した状態となる姿勢でガラス基板30に装着される。この際、部品保持具362はエアシリンダ364によりヘッド本体360に対して下降端位置に下降させられており、チップ92がガラス基板30に接触させられた状態から更にZ軸スライダが下降させられてチップ92がガラス基板30に圧着される。このZ軸スライダの下降は、ヘッド本体360と部品保持具362との相対移動により許容され、それに伴ってエアシリンダ364の圧力室内の圧力が増大し、所定値以上になれば減圧弁により減圧され、部品保持具362がヘッド本体360に対して後退し、チップ92が予め設定された圧力でガラス基板30に圧着される。また、チップ92は部品保持部に設けられた加熱装置354によって加熱されており、ACFテープ8は加圧されるとともに加熱され、チップ92がガラス基板30に仮に接合される。本実施例においては、ヘッドZ軸移動装置およびエアシリンダ364が加圧装置356を構成している。
チップ92の装着後、装着ヘッド350はチップ92を開放するとともに上昇させられ、チップ92から離間させられる。また、テーブル350が上昇させられてガラス基板30が圧着台14から離間させられる。ガラス基板30の長辺側装着部250にチップ92が複数装着される場合には、テーブル34の移動によりガラス基板30が移動させられ、次にチップ92が装着される部品装着位置が圧着位置の上方へ移動させられ、マーク82,96の撮像および位置誤差の修正が行われた後、テーブル34が下降させられて長辺側装着部250が圧着台14の基板支持面370上に載置され、チップ92の装着が行われる。
長辺側装着部250に予定されたチップ92の全部が装着されたならば、テーブル350が上昇させられてガラス基板30が圧着台14から離間させられるとともに、90度右旋回(ガラス基板30を上方から見て時計方向)させられ、短辺側装着部252が、その長手方向が電子回路部品装着機の基準座標のX軸方向に平行な姿勢とされる。そして、長辺側装着部250へのチップ92の装着と同様にして、短辺側装着部252にチップ92が装着される。なお、設計データの設計装着位置座標データはガラス基板30が基準姿勢にある状態でのデータであり、短辺側装着部252へのチップ92の装着時には装着位置座標データが座標変換される。
ガラス基板30の全部の部品装着位置にそれぞれチップ92が装着され、仮接合されたならば、テーブル34がテーブル移動装置36により上昇させられ、ガラス基板30を圧着台14から離間させるとともに水平方向に移動させられ、液晶パネル28を本圧着機へ搬出する搬出位置へ移動させられる。そして、液晶パネル28は本圧着機へ搬出され、本圧着機においてチップ92およびACFテープ8が加熱,加圧され、バンプ98がACFテープ8内の導電粒子を介してパッドに電気的に接合される。
このようにガラス基板30に接合されたチップ92について、部品装着検査機150(図7参照)により装着状態が検査される。検査は、本実施例では、本圧着機による本加熱および本加圧が終了し、チップ92がガラス基板30に電気的に接合され、固定された状態で行われ、本実施例では、基板マーク82および部品マーク96を同時に撮像することにより行われる。チップ92がACFテープ8を介してガラス基板30に仮接合され、仮固定された状態においてチップ92がずれる恐れがなければ、その仮止め状態において検査を行ってもよい。
上記のようにチップ92のガラス基板30への装着時には、装着ヘッド350に保持されたチップ92とガラス基板30との水平位置誤差および回転位置誤差が修正されるが、それでもなお、装着位置にずれが生ずることがある。この装着位置ずれは、装着ヘッド350によるチップ92の保持位置誤差やテーブル34によるガラス基板30の保持位置誤差のように、チップ92およびガラス基板30に個々に生ずるずれではなく、例えば、撮像ユニット移動装置384の構成部材の熱膨張等による撮像ユニット380,382の位置決め誤差やテーブル移動装置36や装着ヘッド移動装置352のボールねじ等の熱膨張等、異なるチップ92およびガラス基板30について共通の原因により生ずるずれであると考えられる。そのため、チップ92の装着後、部品装着状態を検査し、その検査結果に基づいて装着位置座標データが変更される。
部品装着検査機150を図7ないし図9に基づいて説明する。部品装着検査機150は電子回路部品装着機とは独立して設けられているが、本実施例においては全体が移動可能に設けられ、装着検査が行われるガラス基板30についてチップ92の装着を行った電子回路部品装着機に近接する位置へ移動させることができるようにされている。部品装着検査機150は、本実施例においては、光学式のデジタイザとされており、図7に示すように、検査台152,装着検査ヘッド(以後、検査ヘッドと略称する)154,検査ヘッド移動装置156,入力装置158,表示装置160(図12参照)および制御装置162(図9参照)を含む。
検査台152は、大きさが異なる複数種類のガラス基板30を、縦長の姿勢でも横長の姿勢でもセットすることができる形状,寸法を有し、ガラス基板30は検査台152上に、水平に、かつ、基準点において直交する2辺がそれぞれ、検査座標面のX軸およびY軸に平行な姿勢で固定装置(図示省略)により固定される。検査ヘッド移動装置156は、検査台152に平行な一平面であって、水平な検査座標面内において互いに直交するX軸とY軸とにそれぞれ平行な方向に検査ヘッド154を移動させる。そのため、検査ヘッド移動装置156は、図7に概略的に示すように、X軸移動装置およびY軸移動装置を含む。X軸移動装置はX軸スライド170およびX軸スライド移動装置を含み、Y軸移動装置はY軸スライド172およびY軸スライド移動装置を含む。X軸スライド移動装置およびY軸スライド移動装置はそれぞれ、X軸スライド移動用モータ176およびY軸スライド移動用モータ178(図9参照)を駆動源とし、ボールねじおよびナットを含み、X軸スライド170およびY軸スライド172をそれぞれ、X軸方向およびY軸方向において任意の位置へ移動させる。
検査ヘッド154は検査ヘッド移動装置156によって検査座標面内の任意の位置へ移動させられ、検査台152にセットされたガラス基板30に装着されたチップ92を上方から撮像する。
検査ヘッド154は、図8に示すように、検査撮像装置400,照明装置402および導光装置404を含み、箱状のフレーム410に設けられている。検査撮像装置400は、本実施例ではCCDカメラにより撮像を行うものとされ、光軸が水平に設けられている。このCCDカメラは、可視光および波長の長い近赤外光を感応可能なものとされている。照明装置402は、可視光源412および近赤外光源414を備え、導光装置404は、プリズム416およびハーフミラー418を備えている。
プリズム416は、基板マーク82および部品マーク96等、撮像対象物からの反射光である像形成光を90度水平に屈曲させて撮像装置400に入光させる。この光路の途中にハーフミラー418が設けられており、可視光源412が照射する可視光は、ハーフミラー418およびプリズム416の各々により90度ずつ屈曲させられ、撮像対象物に照射される。近赤外光源414は、フレーム410にプリズム416と並び、プリズム416の横から斜め下方に近赤外光を照射するように設けられている。
制御装置162は、図9に示すように、CPU200,ROM202,RAM204およびそれらを接続するバスを含むコンピュータ(以後、検査コンピュータと称する)210を主体として構成されている。バスには入出力インタフェース212が接続されており、検査撮像装置400の撮像により得られる画像データを処理する画像処理コンピュータ218,検査撮像装置400,照明装置402,入力装置158およびデータ読取・書込装置220が接続されている。入力装置158は、前記入力装置114と同様に構成されるとともに、X軸スライド移動用モータ176およびY軸スライド移動用モータ178をそれぞれインチング操作する機能を有する。モータ操作装置ないし検査ヘッド移動操作装置が設けられているのである。入出力インタフェース212にはまた、駆動回路226を介してX軸スライド移動用モータ176およびY軸スライド移動用モータ178が接続されるとともに、制御回路230を介して表示画面232を制御するようにされている。表示画面232および制御装置162の表示画面232を制御する部分が表示装置160を構成している。上記モータ176,178は、本実施例では、サーボモータにより構成されている。
チップ92の装着検査時には、装着検査機150は電子回路部品装着機近く、ここでは、作業者が、電子回路部品装着機の表示画面124と装着検査機150の表示画面232との両方を容易に見比べることができる位置に位置させられる。そして、ガラス基板30が検査台152にセットされる。検査台152には、ガラス基板30等、検査対象基板を複数の検査姿勢、例えば、横長姿勢,右旋回姿勢および左旋回姿勢と、部品既装着面を上向きにした部品既装着面上向き姿勢および部品既装着面を下向きにした部品既装着面下向き姿勢との組合わせによる6つの姿勢のうちのいずれかでセットすることができる。
図10に二点鎖線で示すように、ガラス基板30の横長姿勢は、長さ方向が検査座標面のX軸に平行となる姿勢である。検査台152および固定装置は、ガラス基板30が横長姿勢であって、部品既装着面が上向きの姿勢でセットされる際、前記設計座標面のX軸およびY軸の方向および正負の向きが、検査座標面のX軸およびY軸の方向および正負の向きと同じになるようにガラス基板30がセットされるように構成されており、横長かつ上向きの姿勢で検査台152にセットされたガラス基板30の姿勢は前記基準姿勢と同じであって、長辺側装着部250にチップ92が装着される際の姿勢と同じであることとなる。設計座標面上にデータ設計時の姿勢で位置するガラス基板30を検査台152上においたとき、設計座標面のX軸,Y軸と検査座標面のX軸,Y軸とがそれぞれ互いに平行となり、正負の向きも同じになるように検査台152(検査座標面)および固定装置が設けられているのである。また、右旋回姿勢は、ガラス基板30が横長の姿勢で検査台152にセットされた状態から正方向(ガラス基板30を上方から見た場合、時計方向)に90度回転させられた姿勢であり、左旋回姿勢は逆方向(ガラス基板30を上方から見た場合、反時計方向)に90度回転させられた姿勢である。
部品既装着面下向き姿勢は、図11に示すように、ガラス基板30を表裏反転させることにより得られる。ガラス基板30は透明であり、また、ACFテープ8は、金粒の表面にニッケルがメッキされた導電粒子を含むものとされており、照明光および像形成光の透過量を減少させるが、マーク96を認識可能な光透過性を有するテープに導電粒子が光の散乱,透過を許容する分散密度で含まれるものとされており、ACFテープ8を介して部品マーク96を撮像可能である。したがって、ガラス基板30を表裏反転させ、部品既装着面を下向きにした状態において、ガラス基板30の上側から(部品既装着面とは反対側の面側から)基板マーク82および部品マーク96の両方を透かして見ることができ、撮像して検査を行うことができる。本実施例では、表裏反転は、ガラス基板30の、検査座標面のY軸まわりの回転により行われることとする。
装着検査は、作業者が検査ヘッド移動装置156を操作して検査ヘッド154を移動させ、基板マーク82および部品マーク96を撮像させ、それらの位置データを取得することにより行われる。ガラス基板30は透明であり、ガラス基板30のチップ92が装着される部分から外れた位置に設けられた基板マーク82はガラス基板30の表側からでも裏側からでも見ることができるが、チップ92の本体94は不透明であり、チップ92のガラス基板30に装着される側の面側からしか部品マーク96を見ることができず、チップ92がガラス基板30に装着された状態では、ガラス基板30の裏側(部品装着面とは反対側)からガラス基板30およびACFテープ8を通して部品マーク96を見ることとなる。そのため、検査時には、液晶パネル28は表裏反転させられて検査台152にセットされる。
また、本実施例では、装着検査は、ガラス基板30を表裏反転させるとともに、縦横の向きがX軸,Y軸に対してチップ装着時と同じ向きで行われることとする。そのため、長辺側装着部250に装着されたチップ92の検査時には、ガラス基板30は基準姿勢に対応する横長姿勢から表裏反転させられた姿勢で検査台152にセットされ、短辺側装着部252に装着されたチップ92の検査時には、例えば、ガラス基板30は基準姿勢に対応する横長姿勢から右旋回させられるとともに、表裏反転させられた姿勢で検査台152にセットされる。
装着検査は予め設定された順序、例えば、部品装着順序と同じ順序で行われる。電子回路部品装着機においては前記部品装着プログラムにより部品装着順序が設定されている。そのため、作業者は、図13(a)に示すように、電子回路部品装着機の表示画面124に、部品装着のシーケンス番号,部品名,装着位置座標データおよび装着位置ずれデータを表示させ、装着位置座標データに従って検査ヘッド154を移動させる。
本実施例では、位置関連データである装着位置関連データは、装着位置座標データおよび装着位置ずれデータを含み、部品装着状態の検査に基づいて、本実施例では、後述するように、装着位置ずれデータが修正される。表示画面124に表示される装着位置座標データは、前記設計座標面上において作成された装着位置データである設計装着位置座標データであり、装着位置ずれデータは修正された修正装着位置ずれデータであり、チップ92のガラス基板30への装着時には、設計装着位置座標データおよび修正装着位置ずれデータに基づいて、チップ92を装着位置ずれを打ち消して装着し得る装着位置座標データが得られる。本実施例では、装着位置修正データは設計装着位置座標データおよび修正装着位置ずれデータを含む。表示画面124に表示されるデータは、装着位置ずれデータを除いて部品装着プログラムに基づいて作成され、修正装着位置ずれデータも含めてコンピュータ106のRAM104に記憶されており、これらデータは、装着状態検査および装着位置修正のために表示される表示データであって、装着位置ずれが打ち消された装着位置座標データを得るためのずれ解消装着位置座標データ取得データでもあり、修正装着位置ずれデータは更新される。
表示画面124には、まず、初期表示として、図13(a)に示すように、表示データそのもの、すなわち前記設計座標面上において作成された装着位置座標データである設計装着位置座標データのX,Y座標値等が表示される。また、複数のガラス基板30へのチップ92の装着開始後、装着検査が初めて行われるとき、装着位置ずれは0であり、そのX,Y座標値として0が表示される。図13(a)においては、装着位置ずれが既に取得されて入力された状態が図示されている。
表示画面124にはまた、ガラス基板30,130およびチップ92の像も表示される。これらも初期表示として、基準姿勢でのガラス基板30,130の像およびガラス基板30に装着されたチップ92の像が表示される。ガラス基板30の基準姿勢は、前述のように、長辺側装着部250にチップ92が装着される際の姿勢であって、前記設計座標面上における姿勢と同じ姿勢であり、横長姿勢(長さ方向が電子回路部品装着機のX軸に平行となる姿勢)であって、表裏反転させられない姿勢(部品既装着面が上向きとされた姿勢)である。チップ92の像には、装着順序が付される。表示画面124には更に、例えばガラス基板30の角に設定された基準点と、X軸およびY軸とも表示される。表示画面124をスクロールさせることにより、複数の表示データがチップ装着順に順次、表示される。
まず、ガラス基板30の長辺側装着部250に装着されたチップ92の装着検査を説明する。この検査時には、液晶パネル28が上向きかつ横長姿勢からY軸まわりに表裏反転させられ、部品既装着面が下向きの姿勢で検査台152にセットされる。そのため、作業者は表示画面124に、ガラス基板30を基準姿勢から表裏反転させた状態での装着位置関連データおよびガラス基板30等の像を表示させる。この場合、作業者は、表示画面124をスクロールさせつつ、全部の装着位置関連データのうち、長辺側装着部250について設定された装着位置関連データ、すなわちシーケンス番号1から4のデータを指定し、装着位置関連データおよびガラス基板30等の像の表裏反転を指示する。表示画面124には、図13(a)に示すように、装着位置関連データ等と共に、全部の座標変換の種類が表示される。本実施例では、座標変換の種類は、裏返し(Y軸まわりの回転による表裏反転),右旋回および左旋回の3種類であり、旋回角度の絶対値は、本実施例では90度である。作業者は、表示された座標変換の種類のうち、検査台152にセットされたガラス基板30の姿勢と一致する装着位置関連データが得られる種類の座標変換を入力装置114により選択し、実行を指示する。ここでは裏返しの実行が指示され、図13(b)に示すように、装着位置関連データのY軸まわりの回転による表裏反転の座標変換が行われるとともに、ガラス基板30等の像が表裏反転させられて表示される。
本実施例では、装着位置座標データが作成される前記設計座標面が第一座標面を構成し、第一座標面と、第一座標面上におけるデータについて座標変換が為された座標変換データが得られる第二座標面とは、本実施例では、共にX軸同士とY軸同士とが互いに平行であり、かつ、X軸とY軸とのそれぞれについて正負の向きが同じである。また、座標変換は、表裏反転させられたガラス基板30の基準点と第二座標面の原点とが一致するように行われる。そのため、装着位置座標データは、座標変換により、Y座標値はそのままであるが、X座標値は正負の符号が逆にされた値とされる。
表示画面124には、表裏反転させられたガラス基板30に合わせて基準点およびX軸,Y軸が表示される。これらX軸,Y軸は第二座標面のX軸,Y軸であるが、第一座標面のX軸,Y軸と平行であり、正負の向きも同じであるため、第二座標面と検査座標面とは同じ座標面となり、表示画面124に表示されたガラス基板30等の像の姿勢と、検査台152にセットされたガラス基板30の姿勢とが一致し、作業者は、表示画面124の表示を見ながら装着順序に従って容易に検査ヘッド154を移動させ、検査撮像装置400にチップ92を撮像させることができる。本実施例では設計座標面が第一座標面を構成しており、前述のように、設計座標面と検査座標面とは、X軸,Y軸が互いに平行であり、正負の向きも同じであるため、第二座標面と検査座標面とが同じ座標面となるのであり、第二座標面においてガラス基板30は、検査座標面上での姿勢と同じ姿勢で位置させられる。
本実施例では、作業者が入力装置158によりモータ176,178をインチング操作してX軸スライド170およびY軸スライド172を移動させ、検査ヘッド154を検査対象であるチップ92上へ移動させる。撮像は、互いに近接する1つずつの基板マーク82および部品マーク96を検査撮像装置400により同時に撮像することにより行われる。この際、可視光源412および近赤外光源414からそれぞれ可視光および近赤外光が照射される。可視光は、透明なガラス基板30を透過して、基板マーク82に照射され、基板マーク82からの反射光はガラス基板30を透過し、プリズム416により水平に屈曲させられ、ハーフミラー418を透過して検査撮像装置400に入射される。可視光源412による照明は検査撮像装置400の光軸と同軸に為され、基板マーク82には可視光が垂直に照射されるため、同軸落射照明による照明光によって基板マーク82の像が形成され、基板マーク82は検査撮像装置400により鮮明に撮像される。
近赤外光源414から照射される近赤外光は、ガラス基板30およびACFテープ8を透過して部品マーク96に照射され、部品マーク96により反射された像形成光は、ACFテープ8,ガラス基板30を透過し、プリズム416により屈曲させられ、ハーフミラー418を透過して検査撮像装置400に入射させられる。部品マーク96には可視光も照射されて像が形成される。部品マーク96に照射される光はACFテープ8を透過して部品マーク96に至り、光量が減少させられるが、近赤外光源414から発せられた波長の長い近赤外光はACFテープ8を透過して部品マーク96を十分照射することができる。像形成光の光量もACFテープ8により減少させられるが、部品マーク96には可視光と合わせて近赤外光が照射され、両光によって像が形成されるため、可視光および近赤外線光の相乗効果により部品マーク96が鮮明に撮像される。
撮像データは画像処理コンピュータ218により処理され、図12(a)に示すように、マーク82,96の像が表示画面232に表示される。なお、ガラス基板30に設けられたパッド等も撮像されるが、図示は省略する。図12(a)には、基板マーク82の像と部品マーク96の像との関係の理解を容易にするために、2つずつの基板マーク82および部品マーク96が撮像されて表示画面232に表示された状態が図示されているが、実際に検査撮像装置400によって同時に撮像され、表示されるのは、図12(b)に示すように、チップ92の一部であって、1個の基板マーク82およびその近傍の1個の部品マーク96のみである。
表示画面232には、図12(b)に示すように、チップ92の像等と共に4本のカーソルCX1,CX2,CY1,CY2が表示される。カーソルCX1,CX2はそれぞれY軸に平行な直線であり、カーソルCY1,CY2はそれぞれX軸に平行な直線であって、表示画面232いっぱいに表示される。作業者は入力装置158を用いた操作により、カーソルCX1,CX2をそれぞれX軸方向において任意の位置へ、カーソルCY1,CY2をそれぞY軸方向において任意の位置へ移動させることができる。
作業者は、カーソルCX1,CX2をそれぞれ、図12(b)に示すように、基板マーク82の中心と部品マーク96の中心とに合わせ、位置の取得を指示する。表示画面232には2本のカーソルと共に、それらを区別する表示、例えば、カーソル名としてCX1,CX2が表示されるとともに、カーソルCX1,CX2のいずれを基板マーク82に合わせ、部品マーク96に合わせるかが予め設定され、作業者に指示されている。ここでは、カーソルCX1を基板マーク82に合わせ、カーソルCX2を部品マーク96に合わせることとする。また、作業者は、カーソルCY1,CY2をそれぞれ、基板マーク82の中心と部品マーク96の中心とに合わせ、位置の取得を指示する。カーソルCY1は基板マーク82に合わせ、カーソルCY2は部品マーク96に合わせることとする。カーソルの位置がマークの位置であり、検査コンピュータ210は、カーソルCX1,CX2,CY1,CY2の位置を、基板マーク82および部品マーク96の各X軸,Y軸方向の位置(検査座標面上における座標値)として、チップ92を特定するデータ、例えば、装着のシーケンス番号と対応付けてRAM204に記憶する。シーケンス番号は、作業者の入力により得られる。本実施例では、撮像は装着順に行われるため、撮像順が装着順でもあり、撮像順と対応付けて位置データを記憶してもよい。また、2つずつのX軸,Y軸方向の各位置データは、基板マーク82と部品マーク96とのいずれの位置データであるかを表すマーク識別データを付して記憶される。
一方の組の基板マーク82および部品マーク96について位置が取得されたならば、作業者はモータ176,178のインチング操作により検査ヘッド154を移動させ、図12(c)に示すように、他方の組の基板マーク82および部品マーク96を検査撮像装置400に撮像させ、表示画面232に表示させる。そして、カーソルCX1,CX2,CY1,CY2を基板マーク82および部品マーク96に合わせ、位置の取得を指示し、取得された基板マーク82および部品マーク96の各位置データは、一方の組の基板マーク82および部品マーク96の各位置データと共にRAM204に記憶される。
作業者は、装着順序に従って順次、検査ヘッド154を移動させてチップ92を撮像させ、基板マーク82および部品マーク96の位置を取得させる。長辺側装着部250に装着された全部のチップ92についてマーク82,96の位置が取得されたならば、RAM204に記憶されている位置データがデータ読取・書込装置220により記録媒体としての光磁気ディスクに書き込まれ、装着制御コンピュータ106に入力されるようにされる。
ガラス基板30の短辺側装着部252に装着されたチップ92の装着検査を説明する。
この場合、例えば、作業者はガラス基板30を上向きかつ横長の姿勢から右旋回させた後、Y軸まわりに表裏反転させた状態で検査台152上にセットする。そして、作業者は、電子回路部品装着機の表示画面124に、ガラス基板30を、図14(a)に示す初期表示姿勢から右旋回させるとともに表裏反転させた状態での装着位置関連データおよびガラス基板30等の像を表示させ、その表示画面124を見ながらモータ176,178のインチング操作を行って検査ヘッド154を移動させ、検査撮像装置400に基板マーク82および部品マーク96をチップ92の装着順に撮像させる。
この場合、作業者は、表示画面124において「右旋回」を選択し、実行を指示した後、更に「裏返し」を選択し、実行を指示する。作業者は、表示画面124をスクロールさせ、図14(a)に示すように、短辺側装着部252に装着されるチップ92について設定された装着位置関連データであって、シーケンス番号5,6の装着位置関連データ等を表示させる。そして、それら装着位置関連データを指定するとともに、「右旋回」を選択し、実行を指示する。それにより、図14(b)に示すように、装着位置関連データについて右旋回の座標変換が行われて表示されるとともに、ガラス基板30等の像も右旋回させられて表示される。この場合にも、第一座標面と第二座標面とは、X軸同士とY軸同士とが互いに平行であり、かつ、X軸とY軸とのそれぞれについて正負の向きが同じであり、右旋回させられたガラス基板30の基準点と第二座標面の原点とが一致するように座標変換が行われる。そのため、右旋回前のY座標値が旋回後のX座標値となり、右旋回前のX座標値の正負の符号を反転させた値(旋回前のX座標値に−1を掛けることにより得られる値)が右旋回後のY座標値となる座標変換が行われる。
更に、シーケンス番号5,6の装着位置関連データを指定した状態で、「裏返し」の選択,実行指示が行われる。それにより、図15に示すように、右旋回に加えて表裏反転の座標変換が行われた装着位置関連データが表示画面124に表示されるとともに、ガラス基板30等の像が表示される。この場合にも、第一,第二座標面は、X軸同士とY軸同士とが互いに平行であり、かつ、X軸とY軸とのそれぞれについて正負の向きが同じであり、また、ガラス基板30の基準点が第二座標面の原点と一致するように座標変換が行われる。図14(b)に示す右旋回させられた装着位置関連データに対しては、Y座標値は変わらず、X座標値の正負が反転する座標変換が行われ、図14(a)に示す初期状態での装着位置関連データに対しては、そのY座標値の正負の符号を反転した値が右旋回および表裏反転後のX座標値となり、X座標値の正負の符号を反転させた値が右旋回および表裏反転後のY座標値となるように座標変換が行われる。なお、座標変換は、右旋回および裏返しを選択した後、まとめて実行を指示してもよく、また、途中の装着関連位置データおよび像、すなわち右旋回の座標変換による装着位置関連データおよび像は表示されず、最終の装着位置関連データ等、すなわち右旋回後、表裏反転させられた装着位置関連データおよび像のみが表示画面124に表示されてもよい。
このように表示画面124に、右旋回および表裏反転の座標変換が行われた装着位置関連データおよびガラス基板30等の像を表示させた状態で、それら表示を見ながら作業者は検査ヘッド154を移動させ、短辺側装着部252に装着されたチップ92の部品マーク96および基板マーク82を検査撮像装置400に撮像させ、位置を取得させる。取得された位置は、シーケンス番号およびマーク識別データと対応付けてRAM204に記憶され、検査終了後、光磁気ディスクに書き込まれる。
ガラス基板30に装着された全部のチップ92について装着検査が行われたならば、作業者は、位置データが書き込まれた光磁気ディスクを装着制御コンピュータ106のデータ読取・書込装置116に読み取らせ、装着制御コンピュータ106にマーク82,96の位置データを入力するとともに、ガラス基板30に装着される複数のチップ92の各々についての装着位置ずれの演算を指示する。1つのチップ92について、2つずつの基板マーク82および部品マーク96の各X軸,Y軸座標値が記憶されており、装着制御コンピュータ106では、2つの基板マーク82の各X座標値の平均値および各Y座標値の平均値が演算され、部品装着位置のX,Y座標値が求められる。また、2つの部品マーク96の各X座標値の平均値および各Y座標値の平均値が演算され、チップ92の中心位置のX,Y座標値が求められる。そして、チップ92の中心位置の部品装着位置に対するずれが求められ、装着位置ずれが得られる。なお、回転位置誤差を求め、修正するようにしてもよい。
全部のチップ92について装着位置ずれが演算されたならば、作業者は、装着位置ずれデータをプリンタ126により印刷する。上記基板マーク82等の位置は、装着シーケンス番号と対応付けて記憶されており、装着位置ずれデータと共に装着シーケンス番号が印刷され、作業者はそれを見ながら装着位置関連データの装着位置ずれデータを修正する。検査時に作業者が検査姿勢を入力し、マーク82,96の位置と共に記憶されて印刷され、作業者に表示されるようにしてもよい。
この修正は電子回路部品装着機において行われる。作業者は、表示画面124に装着シーケンス番号,部品名,装着位置座標データ,装着位置ずれデータおよびガラス基板30,130,チップ92の像を表示させ、装着位置ずれデータを修正する。装着検査は、長辺側装着部250については、ガラス基板30を上向きかつ横長の姿勢から表裏反転させることにより行われ、装着位置ずれデータは、その状態で得られたデータである。そのため、作業者は、長辺側装着部250について設定された装着位置関連データについて修正を行う場合には、シーケンス番号1から4の装着位置関連データを選択し、表示画面124に表示された座標変換の種類のうち、裏返しを選択して、その実行を指示する。それにより、図13(b)に示すように表示画面124が切り換わり、装着位置関連データである装着位置座標データおよび装着位置ずれデータが座標変換されて表示されるとともに、ガラス基板30の像等が表裏反転させられて表示される。
そして、作業者は、印刷された装着位置ずれを見ながら、入力装置114により装着位置ずれを修正する。ここにおいて装着位置ずれの修正は、装着位置ずれを打ち消すことではなく、設計上の装着位置座標に対するずれであって、現に生じている最新の装着位置ずれに更新することである。修正時には、検査により得られた装着位置ずれの値をそのまま使用することができ、検査時におけるガラス基板30の姿勢を考えることなく、迅速に修正を行うことができる。前述のように、第二座標面と検査座標面とは同じ座標面であって、X軸およびY軸が共に平行であり、かつ、X軸,Y軸の正負の向きが同じであり、また、いずれの座標面においてもガラス基板30が表裏反転させられているからである。これら座標面における装着位置ずれは、ガラス基板30が基準姿勢にある状態でのずれではなく、電子回路部品装着機について設定された基準座標面におけるずれではないが、修正後、逆座標変換が行われることにより、自動的にガラス基板30が基準姿勢にある状態でのずれであって、長辺側装着部250については部品装着時のずれにされるため、作業者が、ガラス基板30が基準姿勢にある状態での装着位置ずれに換算しなくてよく、容易にかつミスなく修正を行うことができる。なお、装着検査が初めて行われ、装着位置座標データが初めて修正される場合には、作業者は取得された装着位置ずれをそのまま入力すればよい。装着検査が2回目以降の場合には、作業者は取得された装着位置ずれを、既に入力されて表示されている装着位置ずれに加算した値を入力する。この演算も、表示された値に、取得された値をそのまま加えることにより行えばよく、容易である。初回の装着位置ずれの入力は、0の装着位置ずれの修正である。図13(b)では、装着位置ずれが入力された状態が図示されている。
装着位置ずれの修正が終了したならば、作業者は逆座標変換の実行を指示する。本実施例では、実行した座標変換の種類を再度、選択し、実行を指示することにより、その座標変換の逆座標変換の実行が指示される。それにより設計装着位置座標データおよび修正された装着位置ずれデータである修正装着位置ずれデータが逆座標変換され、図13(a)に示すように、初期表示データ、すなわちガラス基板30が基準姿勢にある状態でのデータであって、長辺側装着部250については部品装着時のデータとされて表示される。また、この修正されて逆変換された装着位置修正データを含むずれ解消装着位置座標データ取得データは、装着位置ずれ修正前のずれ解消装着位置座標データ取得データと置き換えられてRAM104に記憶され、部品装着時に使用される。
短辺側装着部252について設定された装着位置関連データも同様にして作業者により修正される。この場合、作業者は、シーケンス番号5,6の装着位置関連データを指定するとともに、装着検査時と同様に、まず、「右旋回」を選択し、実行を指示して右旋回の座標変換を行わせる。その後、更に、シーケンス番号5,6の装着位置関連データを指定した状態で「裏返し」を選択し、実行を指示して、右旋回の座標変換後、裏返しの座標変換が行われた装着位置関連データおよびガラス基板30等の像を表示させ、座標変換された装着位置ずれデータを修正する。この場合にも、第二座標面と検査座標面とが同じ座標面とされ、装着位置関連データおよびガラス基板30の像等が表示画面124に検査時と同じ状態で表示されるため、作業者は印刷された装着位置ずれであって、検査により得られた装着位置ずれをそのまま使用して装着位置ずれを修正することができる。
修正後、逆座標変換の実行を指示すれば、装着位置座標データおよび装着位置ずれデータは、図14(a)に示すように、右旋回および表裏反転による座標変換が行われないデータに自動的に逆変換され、第一座標面上における装着位置座標データおよび修正装着位置ずれデータに自動的に変換される。逆座標変換は、裏返しおよび右旋回をそれぞれ再度、座標変換時とは逆の順序で選択し、実行を指示することにより行われる。そして、修正されて逆変換された装着位置関連データを含むずれ解消装着位置座標データ取得データは、修正前のデータと置き換えられてRAM104に記憶され、部品装着時に使用される。
部品装着時には、部品装着のシーケンス番号から、現に装着作業を行っているチップ92についてのずれ解消装着位置座標データ取得データが読み出され、設計装着位置座標データが修正装着位置ずれデータに基づいて修正され、その修正データに従って装着ヘッド350が装着ヘッド移動装置352により移動させられてチップ92の装着を行う。部品装着後の検査により取得された位置ずれは、前述のように、チップ92およびガラス基板30が異なっていても共通に生じる位置ずれであり、その位置ずれが打ち消されるように設計装着位置座標データが修正されて装着が行われることにより、チップ92が精度良くガラス基板30に装着される。
この場合、長辺側装着部250について取得されたずれ解消装着位置座標データ取得データはそのまま使用されるが、短辺側装着部252について取得されたデータは、90度右旋回の座標変換が行われて使用される。短辺側装着部252についてチップ92が装着される場合には、ガラス基板30が90度、右旋回させられて短辺側装着部252が電子回路部品装着機の基準座標面のX軸方向と平行となるようにされるからである。
このように、設計データは、ガラス基板30に装着される全部のチップ92について同じ姿勢で作成されるのに対し、装着検査およびデータ修正は、縦横の姿勢が、設計時とは異なる向きおよび姿勢で行われるが、修正後、逆座標変換により、設計座標面上でのデータに戻されるため、設計データを、装着時のガラス基板30の姿勢によって区別しなくてもよく、データ管理が容易である。
また、部品装着時と装着検査時とにおいてガラス基板30の縦横の向きを同じにすることは不可欠ではなく、例えば、短辺側装着部252に装着されたチップ92の装着検査を、長辺側装着部250に装着されたチップ92の装着検査と同様に、液晶パネル28を上向きかつ横長の姿勢から表裏反転させた姿勢で行ってもよい。装着位置ずれ取得時のガラス基板30の姿勢がいかなる姿勢であっても、取得時と同じ姿勢で修正が行われるとともに、修正後、逆変換されたデータが、装着位置ずれを生じさせた装着姿勢と同じ姿勢での部品装着に使用されれば、装着位置ずれを修正することができるからである。検査対象基板の上下(表裏)の向きについても同様である。
ガラス基板30を左旋回させるとともに表裏反転させた状態で検査および装着位置ずれの修正を行ってもよいが、それらは、ガラス基板30を右旋回させるとともに表裏反転させた状態で検査,修正を行う場合と、X座標値およびY座標値の正負の符号が逆になる点を除いて同様に行われるため、図示および説明を省略する。
また、検査台152にセットされたガラス基板30の姿勢によっては、右旋回あるいは左旋回の座標変換が複数回行われることもある。
以上、装着検査に基づいて装着位置ずれデータを修正し、それにより装着位置座標データが修正される場合を説明したが、本電子回路部品装着システムにおいては、装着位置座標データの変更および装着位置関連データの追加も行うことができる。例えば、装着検査により取得されたチップ92の装着位置ずれが、X軸方向とY軸方向との少なくとも一方において、ずれの範囲を超えて大きい場合、例えば、設計データが間違っていると考えられる。この場合には、装着位置ずれに基づいて設計上の装着位置座標データそのものを変更する。表示画面124に表示される装着位置座標データを変更するのであり、ずれ解消装着位置座標データ取得データの装着位置座標データが変更される。この変更は、検査時のガラス基板30の姿勢に合わせて装着位置関連データが座標変換され、表示された状態で行われることは、装着位置ずれの修正時と同じである。なお、取得されたずれの大きさが小数点以下の値を含む場合、例えば、整数部分を用いて装着位置座標を変更し、小数点以下の部分は装着位置ずれとすればよい。部品装着プログラムの設計装着位置座標データも変更されてもよい。
また、例えば、チップ92の実装が済んだガラス基板30を作業者が見て、チップ92が装着されるべき箇所に装着されていないのであれば、装着位置関連データを追加し、チップ92が装着されるようにする。追加時には、ガラス基板30が基準姿勢にある状態での装着位置関連データを表示画面124に表示させ、作業者は、表示画面124に表示されている「データ追加」を選択し、実行を指示する。それにより、例えば、表示画面124に、シーケンス番号,部品名および装着位置関連データの入力欄が表示され、作業者は入力装置114を用いてデータを入力する。この際、作業者は、表示画面124に表示されたガラス基板30等の像を参考にしてデータを入力することができる。短辺側装着部252について装着位置関連データを追加する場合には、装着位置関連データ等について右旋回の座標変換を行ったデータ等を表示させて追加を行わせ、追加後、逆座標変換させて設計上の装着位置関連データとするようにしてもよい。装着位置関連データ等の追加により、その追加されたデータと同じシーケンス番号以降の装着位置関連データについてシーケンス番号が自動的にずらされる。追加されたチップ92の装着順は、その装着位置関連データを含むすべての装着位置関連データに基づいて自動的に設定されるようにしてもよい。また、データの追加は、修正と共に行われてもよい。部品装着プログラムについても装着位置関連データが追加され、追加された装着位置にチップ92が装着されるようにされる。
以上の説明から明らかなように、本実施例においては、装着制御コンピュータ106のRAM104の、設計装着位置座標データおよび装着位置ずれデータを記憶する部分が記憶手段を構成し、入力装置114がデータ入力部を構成するとともに、座標変換指示部,逆座標変換指示部,座標変換種類選択部および逆座標変換種類選択部を構成し、装着制御コンピュータ106の指示された座標変換の種類および逆座標変換の種類に従って装着位置座標データおよび装着位置ずれデータについて演算を行い、座標変換および逆座標変換を実行する部分が座標変換部および逆座標変換部を構成し、入力装置114が部品装着位置修正部,装着位置関連データ追加部および装着位置関連データ変更部を構成している。逆座標変換部は、設計状態データ復帰部でもあると考えることもできる。装着制御コンピュータ106の作業者の指示に基づいて装着位置ずれを演算する部分が装着位置ずれ演算部を構成し、データ変更量取得部たるデータ修正量取得部としての装着位置ずれ取得部を構成していると考えることができる。装着制御コンピュータ106のデータ読取・書込装置116により読み取られたデータを取り込む部分がデータ変更量取得部を構成していると考えることもできる。また、テーブル34およびテーブル34に設けられた基板吸着装置が基板保持装置を構成し、テーブル移動装置36および装着ヘッド移動装置352が基板保持装置と装着ヘッド350とを相対移動させる相対移動装置を構成している。装着ヘッド350は加圧ヘッドであり、加熱ヘッドでもある。
なお、マーク位置データ等は、通信により検査コンピュータ210から装着制御コンピュータ106に入力されてもよい。
また、検査コンピュータ210においてチップ92の装着位置ずれが求められるようにしてもよい。この場合、例えば、装着検査機150にプリンタを設け、作業者は求められた装着位置ずれを印刷し、電子回路部品装着機において装着位置ずれデータを修正する。あるいは記録媒体に装着位置ずれデータ等を記憶させ、電子回路部品装着機のプリンタに印刷させてもよい。
請求可能発明の別の実施例を図16および図17に基づいて説明する。本実施例においては、装着検査時に検査ヘッド154が、装着位置座標データに基づいて自動的に装着順にチップ92へ移動させられてマーク82,96を撮像し、電子回路部品装着機において装着位置ずれが自動的に修正されるようにされている。また、電子回路部品装着機と装着検査機との間においては、データのやり取りが通信線により行われるようにされている。そのため、図16に示すように、電子回路部品装着機の制御装置300は、前記制御装置24と同様に装着制御コンピュータ302を主体として構成されているが、その入出力インタフェース108に、部品装着検査機の制御装置310の主体を成す検査コンピュータ312が通信線により接続されている。図17に示すように、部品装着検査機の制御装置310の検査コンピュータ312の入出力インタフェース212にも、装着制御コンピュータ302が通信線により接続されている。また、部品装着検査機の検査撮像装置316および照明装置318は、前記検査撮像装置400および照明装置402と同様に構成されているが、本実施例では、2つの部品マーク96および2つの基板マーク82を同時に照明し、撮像し得るものとされている。
検査コンピュータ312には、設計装着位置座標データおよび装着順序データが通信により装着制御コンピュータ302から入力され、RAM204に記憶される。そして、部品装着検査機150では、部品装着位置順に装着位置座標データが読み出され、検査ヘッド154が自動的に撮像対象であるチップ92上へ移動させられる。前述のように、ガラス基板30は検査台152に種々の姿勢でセットされ、その姿勢に応じてガラス基板30の基準点の検査座標面内における位置が変わる。そのため、例えば、ガラス基板30を基準姿勢と同じ姿勢で検査台152にセットした後、作業者はモータ176,178のインチング操作によって検査ヘッド154をガラス基板30の基準点へ移動させ、検査撮像装置316に基準点を撮像させるとともにカーソルを用いて基準点の位置を検査コンピュータ312に取得させる。あるいはガラス基板30を検査台152に、基準点において直交する2辺をX軸方向およびY軸方向において位置決めする位置決め装置を設け、位置決め装置によるガラス基板30の位置決め位置に基づいて基準点の位置が取得されるようにする。検査姿勢にセットした状態で基準点の位置を取得してもよい。この検査座標面内におけるガラス基板30の基準点の位置,設計装着位置座標データおよびガラス基板30の検査姿勢に基づいて検査ヘッド154の移動位置が求められる。ガラス基板30の検査姿勢は、作業者により入力される。この際、検査コンピュータ312では、ガラス基板30の検査姿勢に基づいて設計装着位置座標データが座標変換されて検査ヘッド154の移動位置が求められる。この座標変換は装着制御コンピュータ302において行われ、検査コンピュータ312に供給されるようにしてもよい。
検査ヘッド154の移動後、チップ92が撮像されるとともに表示画面232に拡大されて表示され、作業者がカーソルCX1,CX2,CY1,CY2を基板マーク82および部品マーク96にそれぞれ合わせ、検査コンピュータ312に、2つの基板マーク82の各々のX軸,Y軸方向の位置および2つの部品マーク96の各々のX軸,Y軸方向の位置を取得させることは、前記実施例と同様である。2つずつの基板マーク82および部品マーク96のうち、近接する一方の組の基板マーク82および部品マーク96についてカーソルを合わせて位置を取得させた後、他方の組の基板マーク82および部品マーク96についてカーソルを合わせて位置を取得させる。取得された基板マーク82および部品マーク96の各位置は、装着順序およびマーク識別データと対応付けて記憶される。このようにマーク82,96の位置が取得されるとき、作業者は電子回路部品装着機の表示画面124に装着シーケンス番号,部品名,装着位置関連データおよびガラス基板30等の像を、ガラス基板30の検査姿勢に合わせた状態で表示させる。ガラス基板30が横長姿勢から表裏反転させられた姿勢で検査が行われるのであれば、作業者は裏返しによる座標変換を指示し、それにより座標変換された装着位置関連データおよび裏返しにされたガラス基板30の像が表示画面124に表示されるのであり、例えば、作業者は、装着検査が実行されるチップ92がいずれであるかを表示画面124を見て確認しながら、撮像等を指示することができる。1つのチップ92が撮像され、基板マーク82および部品マーク96の位置が取得されたならば、次のチップ92の撮像,マーク82,96の位置の取得が作業者により指示され、それにより、検査ヘッド154が装着順序および装着位置座標データに基づいてチップ92へ自動的に移動させられ、検査撮像装置316により撮像が行われる。
全部のチップ92について2つずつの基板マーク82および部品マーク96の各X軸,Y軸方向の位置が取得されたならば、それらマーク位置データ,装着順序データおよび検査時のガラス基板30の姿勢データが通信により、装着制御コンピュータ302に供給され、入力される。装着制御コンピュータ302は、入力されたマーク位置データに基づいてチップ92の装着位置ずれを求めるとともに、RAM104にずれ解消装着位置座標データ取得データの一部として記憶されている装着位置ずれデータを修正する。前記実施例において作業者により行われていた装着位置ずれ修正作業が装着制御コンピュータ302により自動的に行われるのである。
この際、装着位置ずれデータの修正は、装着検査時のガラス基板30の姿勢に合わせて行われる。ガラス基板30を横長姿勢から表裏反転させた姿勢で装着位置ずれが取得されたのであれば、裏返しの座標変換が行われた装着位置ずれデータが、取得された装着位置ずれにより修正されるのである。修正後、自動的に逆座標変換が行われ、装着位置座標データおよび修正装着位置ずれデータが、基準姿勢にあるガラス基板30についてのデータとされる。作業者による逆座標変換の実行の指示に基づいて逆座標変換が行われるようにしてもよい。
本実施例においては、作業者が部品装着検査機150においてカーソルCX1,CX2,CY1,CY2をマーク82,96に合わせてその位置を取得させ、装着位置ずれが取得されるようにすることがデータ変更であり、カーソルCX1,CX2,CY1,CY2を移動させる操作等を行う入力装置158がデータ変更部を構成している。装着検査機150側にデータ変更部が設けられているのである。また、装着制御コンピュータ302のRAM104が記憶手段を構成し、装着位置ずれデータの修正時に、ガラス基板30の検査姿勢に合わせた装着位置関連データの座標変換を指示し、実行する部分が座標変換指示部および座標変換部を構成し、修正後、逆座標変換を指示し、実行する部分が逆座標変換指示部および逆座標変換部を構成し、これらが部品装着検査機150側のデータ変更部と共に装着位置関連データ変換装置を構成している。本実施例では、座標変換の指示も逆座標変換の指示も自動で行われるのである。
装着制御コンピュータ302の、マーク位置データを受け取る部分がデータ変更部としてのデータ受取部を構成している考えることもでき、マーク位置データに基づいて装着位置関連データとして記憶されている装着位置ずれデータを修正する部分が部品装着位置修正部を構成し、データ変更部を構成していると考えることもできる。これらの場合、データ変更は自動で行われ、電子回路部品装着機側に装着位置関連データ変換装置の全部が設けられていることとなる。この際、作業者がカーソルCX1,CX2,CY1,CY2を2つずつの基板マーク82および部品マーク96に合わせる操作もデータ変更部の一部であると考えれば、データ変更部が電子回路部品装着機と部品装着検査機150との両方に跨って設けられていることとなる。また、装着制御コンピュータ302の、検査コンピュータ312からマーク位置データを受け取る部分がデータ変更量取得部としてのデータ修正量取得部を構成していると考えることもでき、マーク位置データに基づいて装着位置ずれを求める部分が、データ変更量取得部としてのデータ修正量取得部を構成していると考えることもでき、データ修正量取得部が部品装着位置修正部の一部を構成していると考えることもできる。マーク位置データに基づく装着位置ずれは、検査コンピュータ312において演算され、装着制御コンピュータ302に通信により供給されるようにしてもよい。この場合、検査コンピュータ312の装着位置ずれを演算する部分もデータ変更部の一部を構成すると考えることもでき、装着制御コンピュータ302の装着位置ずれを受け取る部分がデータ変更部としてのデータ受取部を構成するとともに、データ変更量取得部を構成していると考えることもできる。
検査ヘッド154は、1つのチップ92が撮像され、マーク82,96にカーソルが合わされて装着位置のずれが取得される毎に、次に位置ずれが取得されるチップ92へ自動的に移動させられるようにしてもよい。
上記各実施例の装着位置関連データ変換装置は、部品装着基板を表裏反転させることなく装着位置ずれが取得される場合のデータ変換等、種々のデータ変換に使用することができる。例えば、部品装着検査を表側(部品装着基板の部品装着面側)から行うことができるのであれば、部品既装着面が上向きの姿勢で、かつ部品装着基板が横長の姿勢で検査を行ったり、部品既装着面が上向きの状態で横長姿勢から右旋回させたり、左旋回させたりした姿勢で検査を行い、その姿勢に応じて装着位置関連データ変換装置に座標変換,逆座標変換,データ変更を行わせる。例えば、部品装着基板が不透明であり、裏側から、部品装着面に設けられた部材や装着された電子回路部品を透かして見ることができない場合でも、部品装着面側から検査を行って位置ずれを取得することができる場合がある。例えば、電子回路部品の本体に電極が、部品装着面側から認識可能に設けられる場合、電子回路部品の本体の部品装着面側とは反対側の面にマークが設けられ、そのマークを部品装着面側から認識可能な場合、リードが本体から側方へ突出して設けられる場合等には、それら電極,マークおよびリードを、電子回路部品が部品装着基板に装着された状態において部品装着面側から認識可能であり、その認識に基づいて装着位置ずれを取得したり、部品マークおよび基板マークの位置に基づいて装着位置ずれを取得したりすることができる。電子回路部品の本体を撮像し、その位置を求めて正規の位置と比較して装着位置ずれを求めることも可能である。電子回路部品の本体が透明な場合、例えば、電子回路部品がFPC基板であって、本体が透明であれば、その部品装着基板の被装着面に設けられた部品マークを、被装着面とは反対側の面側から認識することもできる。装着位置関連データ変換装置は、透明な部品装着基板ヘの電子回路部品の装着を行う電子回路部品装着機,不透明な部品装着基板への電子回路部品の装着を行う電子回路部品装着機,両方を行う電子回路部品装着機等、種々の電子回路部品装着機に設けられてデータ変換を行うことができるのである。装着検査は、例えば、横長姿勢から右旋回させたり、左旋回させた状態で行ったり、右旋回あるいは左旋回を複数回、行った状態で行うことができる。このように位置ずれを取得することができる場合、部品装着基板が透明であっても、表裏反転させることなく、部品装着基板の部品装着面側から位置ずれを取得し、それに基づいて位置関連データを変更することができる。
また、部品装着基板が透明であり、かつ、回路パターンおよびACF等の接続材を通して部品の電極あるいはリードを認識することができるのであれば、部品装着基板を表裏反転させて装着位置ずれを検査する際、回路パターンおよび電極あるいはリードの認識(撮像)に基づいて位置ずれを検出してもよい。回路パターン等を基板マークおよび部品マークとして利用するのである。
位置関連データ変換装置が電子回路部品装着システム以外の作業システムに設けられる場合にも、座標変換対象物の特性や作業の内容等に応じて、座標変換は種々の態様で行うことができる。
また、装着位置関連データの修正は、装着位置ずれが検出される毎に行われてもよい。例えば、修正が作業者によって行われる場合、装着検査機において電子回路部品について2つずつの部品マークおよび基準マークの各位置が取得される毎に、装着位置ずれを演算させるとともに表示させ、作業者がそれを見て修正を行うようにするのである。あるいは、装着制御コンピュータにおいて装着位置ずれが1つ演算される毎に表示させ、作業者に修正させる。修正が自動で行われる場合、例えば、装着制御コンピュータと検査コンピュータとの間においてデータのやり取りが通信により常時行われるようにし、マーク位置データが取得される毎に検査コンピュータから装着制御コンピュータに送られて装着位置ずれが求められ、修正が行われるようにする。検査および修正が同じコンピュータで行われる場合、データ伝送は不要である。
逆座標変換は、全部の装着位置関連データについて変更が為された後にまとめて行われてもよく、1個、あるいは予め設定された複数個ずつ、装着位置関連データの変更が行われる毎に行われてもよい。
また、逆座標変換は、例えば、表示画面に、座標変換の種類と共に「逆座標変換」の表示を表示させ、その選択,実行の指示により行われるようにしてもよく、あるいは、表示画面にエンタ表示,終了表示あるいは初期表示への復帰表示を設け、データ入力後、エンタあるいは終了あるいは初期表示を選択し、実行を指示することが逆変換の実行指示であり、それにより逆変換が行われるようにしてもよい。
さらに、取得された装着位置ずれに基づいて装着位置座標データを直接修正するようにしてもよい。
また、装着位置ずれに替えて装着位置ずれ解消データが表示され、検出された装着位置ずれに基づいて、装着位置ずれ解消データが更新され、表示されるようにしてもよい。
さらに、表示画面に部品装着基板の基準点,X軸およびY軸を表示すれば作業者にわかり易いが、その表示は不可欠ではなく、少なくとも1つの表示を省略してもよい。
さらに、部品装着検査機に装着位置関連データ変換装置を設けてもよい。この場合、記録媒体の使用や通信等により、ずれ解消装着位置座標データ取得データ等、必要なデータを検査コンピュータに入力するとともに、座標変換および逆座標変換のためのプログラムを検査コンピュータに設ける。また、表示画面を2つ設け、あるいは1つの表示画面を2分割し得るようにし、一方に撮像された基板マーク等を表示させ、他方に装着位置関連データ等を表示させつつ装着検査が行われ、検査後、装着位置関連データ等を表示画面に表示させつつ自動で、あるいは手動で装着位置ずれの修正が行われるようにする。修正後のデータは記録媒体に記録したり、無線あるいは有線の通信等により装着制御コンピュータに入力する。
さらに、電子回路部品装着機に記憶手段を設け、座標変換指示部等、位置関連データ変換装置の他の構成要素は、装着検査機等、他の装置に設けてもよい。この場合、他の装置において行われた座標変換,データ変更および逆座標変換の結果を電子回路部品装着機に戻し、記憶手段の記憶を更新させる。
さらにまた、部品装着検査機において検査ヘッドを自動的に装着部品へ移動させ、撮像装置に基板マークおよび部品マークを撮像させる場合、互いに近接して位置する1つずつの基板マークおよび部品マークのみが同時に撮像されるようにしてもよい。この場合、装着制御コンピュータから検査コンピュータへ、設計装着位置座標データおよび電子回路部品における部品マークの配置位置データを含む部品データと共に基板マークの位置データが供給され、それらに基づいて撮像装置の移動位置が求められる。撮像装置は、装着部品について設けられた2つの部品マークのうちの一方と、その部品マークに近接する基板マークとを同時に撮像した後、自動で他方の部品マークおよびその部品マークに近接する基板マークへ移動させられて同時に撮像し、部品マークおよび基板マークがよりクリアに撮像される。
また、上記実施例においてACFは熱可塑性樹脂フィルムを含むものとされていたが、熱硬化性樹脂フィルムを含むものでもよい。
さらに、ACFテープは、部品装着基板に設定された少なくとも1つの部品装着位置の各々について個別に貼付してもよい。
また、ACFテープを部品装着基板に貼付する際、基板マークおよび部品装着基板の部品マークに対応する部分を外し、それらを覆わないように貼付してもよい。そのようにすれば、部品マークがACFテープを介することなく撮像され、照明装置を可視光源のみを含む装置としたり、ACFテープが光の透過を許容しないものである場合でも部品マークを認識したりすることができる。
また、電子回路部品をACFを用いて部品装着基板に接合する場合、仮圧着と本圧着とが1台の作業機上で行われるようにしてもよい。
さらに、部品装着基板は、ガラス基板に限らず、FPC基板(Flexible Printed Circuit Board,フレキシブルプリント基板),回路基板等でもよく、種々の基板が座標変換対象物とされる。フレキシブルプリント基板は、可撓性および絶縁性を有するフィルム上に導体パターンが形成されたプリント配線板であり、例えば、耐熱性を有し、可撓性,絶縁性を有する透明なポリイミド樹脂やポリエステル樹脂製のフィルム上に導体パターンが形成されてフリップチップ等の電子回路部品が搭載される。FPC基板は、電子回路部品としてガラス基板に装着されることもあり、それに設けられたマークと、ガラス基板に設けられたマークとを撮像し、装着位置ずれを取得して修正することができ、その取得,修正に装着位置関連データ変換装置を使用することができる。また、電子回路部品の電極と部品装着基板の電極とは、ACFテープを用いた接続工法に限らず、例えば、溶融はんだ結合工法や、金属結合工法によって接続することができる。溶融はんだ結合工法は、はんだを溶融して電極端子同士を電気的に接合する工法であり、例えば、部品装着基板の電極端子にクリーム状はんだを塗布し、塗布はんだ上に電子回路部品の電極端子を載置した状態で加熱,溶融させたり、電子回路部品に設けたはんだバンプを部品装着基板の電極端子に接触させた状態で加熱,溶融させたりする。金属結合工法は、金属製、例えば、金製の電極端子同士を直接接触させ、圧力および超音波振動を加えることによって接合する工法である。光または熱硬化性樹脂を用いて接続する工法もある。これら部品接続工法は、部品装着基板や電子回路部品等の種類や特性等に応じて適切な工法が選択される。例えば、溶融はんだ結合工法は、耐熱性に優れ、はんだ溶融時の加熱に耐えることができる部品装着基板における電極端子の接合に適しており、例えば、フレキシブルプリント配線板が耐熱性を有する樹脂により作られている場合に電子回路部品の接合に用いることができる。フレキシブルプリント配線板の基材が透明な合成樹脂製の場合、表裏反転させた状態でフレキシブルプリント配線板に装着された部品の位置検査を行うことができる。
電子回路部品を部品装着基板にはんだによって接合する場合、はんだによって電子回路部品が部品装着基板に仮止めされた状態において電子回路部品がずれる恐れがなければ、仮止め状態において装着検査を行ってもよく、はんだが溶融されて電子回路部品が部品装着基板に電気的に接続された状態で検査を行ってもよい。
また、ACF貼付ヘッドによる部品装着基板へのACF貼付位置あるいはACF切断ヘッドによるACFのカット長さ等を検査し、位置関連データに変更を加えてもよい。ACF切断ヘッドは、部品装着基板に貼付されたACFテープを設定長さに切断することにより、間接的に部品装着基板に作業を施す作業ヘッドである。ACF貼付位置データは、座標変換対象物である部品装着基板の位置に関連するデータであり、ACFのカット長さも、その貼付位置から得ることができ、長さを規定する貼付位置データが位置関連データである。ACF貼付位置は、ACFテープの部品装着基板への貼付け後、電子回路部品の装着前に検査してもよく、装着後に検査してもよい。部品装着基板が透明基板であれば、電子回路部品の装着後、部品装着基板を表裏反転させてACFテープの貼付位置を取得してもよい。ACF貼付位置を検査する場合、ACFの予め設定された1箇所について位置を取得して位置ずれ等を取得してもよく、複数箇所について位置を取得し、それらに基づいて位置ずれ等を取得してもよい。ACFには導電粒子が含まれており、例えば、撮像装置によるACFの撮像により導電粒子の有無,数や密度を取得し、それに基づいてACFの貼付位置や長さを取得する。また、ACFカット長さを検査する場合、例えば、ACFテープについて予め設定された複数箇所、例えば、長手方向に隔たった4箇所について検査位置を設定し、各検査位置におけるACFテープの有無に基づいてACFテープの端の位置を取得して長さを求め、正規の長さに対する差を取得する。これら取得された実際のACF貼付位置ずれやACFカット長さの正規の長さとの差に基づいて、例えば、設定されたACF貼付位置やカット位置に変更を加え、ACF貼付時におけるACF貼付ヘッドと部品装着基板との相対位置が修正されたり、テープ切断装置による切断位置が修正されるようにする。この変更に位置関連データ変換装置が用いられる。
ACF貼付ヘッドが、電子回路部品にACFを貼付するものである場合にも、その貼付位置等を検査し、位置関連データに変更が加えられるようにしてもよい。この場合、電子回路部品が座標変換対象物であることとなる。
電子回路部品の装着検査は、部品装着基板の検査機へのセット後は、全部自動で行われるようにしてもよい。例えば、電子回路部品の装着位置座標データ等に基づいて検査ヘッドが自動的に電子回路部品へ移動させられ、例えば、電子回路部品全体を撮像してその位置を取得し、ずれのない正規の位置との比較により位置ずれ量を取得する。あるいは部品マーク,基板マークを撮像して装着位置ずれを取得してもよい。この場合、装着検査に続いて、装着位置関連データの変更まで自動的に行われるようにしてもよい。
座標変換対象物は、電子回路部品や部品装着基板に限らず、例えば、作業ヘッドにより何らかの作業が施される部材であれば、座標変換対象物になり得る。また、座標変換対象物が部品装着基板である場合、装着される電子回路部品は液晶駆動回路部品に限らず、QFP(Quad Flat Package),CSP(Chip Size Package)等のパッケージ部品等、部品装着基板の種類等に応じて種々の電子回路部品が装着され、例えば、それら電子回路部品の装着位置関連データが装着位置関連データ変換装置により変更される。
以上、説明した位置ずれの取得および位置関連データ変換装置等に関する種々の態様は、電子回路部品装着システム以外の対部品装着基板作業システムにおいても採用可能である。
16:部品装着装置 24:制御装置 30:部品装着基板(ガラス基板) 34:テーブル 36:テーブル移動装置 350:装着ヘッド 352:装着ヘッド移動装置 92:チップ部品 114:入力装置 124:表示画面 150:部品装着検査機 162:制御装置 300,310:制御装置