JP2006113321A - 電子写真感光体、画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract


【課題】 耐摩耗性及び耐傷性が高く安定であり、且つ電気的特性が良好であり、長期間にわたり高画質化を実現した電子写真感光体の提供
【解決手段】導電性支持体上に少なくとも感光層、表面層をこの順に有し、該表面層が、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を含有する混合物を光エネルギー照射手段によって架橋させて得られたものである電子写真感光体において、該感光層の層構成のうち、該導電性支持体から最も遠くに配置される層中に紫外線吸収剤含有させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は複写機やレーザープリンター及び普通ファクシミリ等の電子写真感光体、およびそれを用いた画像形成装置用プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。具体的には画質、耐久安定性に優れた電子写真感光体、およびそれを用いた画像形成装置用プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。
近年、電子写真感光体(以下、単に感光体とも言う)には有機感光体が広く用いられている。有機感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料が開発しやすいこと、環境汚染のない材料を選択できること、製造コストが安いことなどの理由により、無機感光体に対して有利な点が多い。しかしながら、有機感光体は物理的・化学的強度が弱く、長期に亘る使用により摩耗や傷が発生しやすいなどの欠点も有する。
電子写真方式の画像形成装置とは一般に、電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電器と、帯電器によって帯電させられた電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成器と、潜像形成器によって形成された静電潜像の画像部にトナーを付着させる現像器と、画像部に付着したトナーを被転写物に転写する転写手段とを一体に備えたものであり、必要に応じて転写されずに感光体表面に残留したトナーを除去するクリーニング器を具備させたものもある。転写後に感光体表面に残留するトナーは画質劣化の一因となるので、多くの画像形成装置でクリーニング器が採用されている。
クリーニング器としては一般にブラシ、磁気ブラシおよびブレード等が用いられている。ブラシクリーニングはポリエステル、アクリル系の繊維が使用され、ループ状や直毛状等の形状、繊維の硬度及び太さなどを変化させることにより最適化を行ったうえで使用されている。しかしながら、ブラシクリーニングは微粉トナーが繊維間をすり抜けるなどするためトナーを十分に除去することが困難である。磁気ブラシも同様であり、本手法においては電界印加で静電的に除去することも試みられているが、静電気力により飛散したトナーが再度感光体に付着するなどの現象が生じるために十分なクリーニングは難しい。従って、現在のクリーニング手段としては、残留トナーの除去性、コスト及び小径化等から弾性ブレードを用いたブレードクリーニングが主流である。ブレードクリーニングにおいては感光体表面層がクリーニングブレードおよびトナー等と当接して摺動するために、感光体表面に機械的な摩耗や傷が生じやすい。
上記のような装置構成部材の特性から、感光体の表面には物理的な外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が要求されてきた。
これらに対しては、感光体表面の硬度を上げることで改善する研究例が多く報告されている。例えば、特許文献1および特許文献2においては、帯電器として磁気ブラシ型を適用した場合に、感光体上に不随意に磁性粒子の転写が生じ、その粒子が転写部やクリーニング部で感光体に強く押しつけられることにより傷が付くことを防ぐために感光体表面層の硬度を上げることが提案されている。また、特許文献3ではブレード型クリーニング方式を適用した場合の感光体表面摩耗を抑制するために感光体の硬度を上げることが提案されている。
上記のような感光体の表面硬度を上昇させるための具体的な手段として、熱硬化型樹脂、UV硬化型樹脂などの架橋性材料を感光体表面層の構成成分とすることが提案されている。例えば、表面層のバインダー成分として熱硬化性樹脂を適用することにより、表面層の耐摩耗性、耐傷性を向上させる手法が、特許文献4〜6で提案されている。また、特許文献7〜9などでは電荷輸送物質として架橋構造を有するシロキサン樹脂を用いることで、耐摩耗性、耐傷性を向上させることが提案されている。さらに特許文献10、11などでは、耐摩耗性、耐傷性を向上させるために、バインダー、電荷輸送物質ともに炭素−炭素の二重結合を有するモノマー、炭素−炭素二重結合を有する電荷輸送物質およびバインダー樹脂を用いる手法が報告されている。
これら架橋性材料は分子同士が相互に架橋することにより強靱な膜を形成する。架橋性材料の特徴としては、架橋条件(熱硬化性樹脂であれば例えば温度条件、湿度条件など、光硬化型樹脂であれば、光の波長、照度、光量、温度条件、湿度条件など)により同一材料でも異なる特性を発現させることが可能である。
特に光硬化型樹脂は硬化が非常に早いこと、場所による光照射条件を変更することで同一平面内でも特性の異なる膜を得ることができるなど、熱硬化型樹脂と比較して汎用性が高く、ユニークな特性を発現させやすい。そのため、硬化部分的に粘着力が異なる粘着テープや微細加工に用いられるエッチングプロセスなどの工業用途でも利用されている。しかしながら、所望とする特性を定常的に発現させるためには、製造条件をこと細かく設定し管理する必要がある。また、光硬化性樹脂を積層体に適用する場合、被積層体が光によって劣化する場合は、硬化に使用する光源の発光波長やそれに対応した開始剤の選択、照度、露光量などの照射条件の選択により、被積層体への影響を極力少なくするようにする必要がある。
感光体の長寿命化を目的として、光架橋性材料を感光体表面層に適用し、硬度などの所望の特性を得るには、成膜方法、成膜条件、架橋条件などの加工手段及び加工条件を適切なものとして加工することによって初めて感光体表面の摩耗や傷を抑制し、長期に亘って使用することが可能となる。
しかしながら、被積層体(電荷発生層、電荷輸送層など)を構成する電荷発生材料および電荷輸送材料は光によるダメージを受けやすいため、表面層の架橋度合いと電荷発生材料および電荷輸送材料の安定性とは相反則の関係となりやすい。すなわち、光照射による重合反応により表面層の硬度は上昇する一方で、被積層体である電荷輸送層および電荷発生層の構成材料の劣化による電気的特性の低下や安定性低下を引き起こすことが懸念される。
このような相反する特性発現傾向を使いこなすためには、少量の光照射量で表面層を硬化させることが有効と考えられるが、単純な光照射量の低減は硬化不良による表面硬度低下を引き起こしたり、それに付随して隣接層(感光体表面層に隣接する感光層、電荷輸送層、電荷発生層などを指す)からの低分子成分の移行などにより電気特性や耐摩耗性、耐傷性の低下などを引き起こしたりする。
さらに、硬化が不十分な場合は、未反応の官能基による変異原性や皮膚刺激性などの安全上の問題が生じる。また別の手段として、材料として反応性が早い光架橋性材料や開始剤を選択すること、もしくは、反応条件として比較的高温下で架橋させることが考えられるが、少量の光照射により光硬化性樹脂の架橋を十分に行うことができる一方で、樹脂の過剰収縮によるクラックなどの欠陥が生じやすい。このため表面層の脆性向上による摩耗耐久性の低下や電気特性の低下を引き起こすことが懸念される。
このように、光架橋性樹脂を表面層に適用する際には注意すべき事項が非常に多く、製造条件などの選定は非常に難しい。しかしながら、光硬化性樹脂の使いこなし技術については詳細に検討されていないのが現状である。
特開2001−125286号公報 特開2001−324857号公報 特開2003−98708号公報 特開平5−181299号公報 特開2002−6526号公報 特開2002−82465号公報 特開2000−284514号公報 特開2000−284515号公報 特開2001−194813号公報 特許第3194392号号公報 特許第3286704号号公報
本発明は上記従来技術の有する課題に鑑みて成されたものであり、感光体表面層の耐摩耗性、耐傷性を向上させるために光架橋性材料を用いる場合において、硬化不良や過剰収縮、隣接層に含まれる低分子成分の移行などの物理的な問題が発生することなく、所望の表面硬度を有する膜を得、感光体の繰り返し使用による摩耗や傷など、画像形成装置の出力画質に関わる欠陥が生じないとともに、製造中に感光体に照射される光による感光体材料の劣化を防止することにより、優れた電気的特性を有する電子写真感光体を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、導電性支持体上に少なくとも感光層、表面層を順に有し、表面層の耐摩耗性、耐傷性を向上させるために光架橋性材料を用いる場合において、感光層の層構成の内、前記導電性支持体から最も遠くに配置される層中に紫外線吸収剤を添加することで、表面層を十分に架橋することにより耐摩耗性に優れた特性を得ることができるとともに、表面層を硬化するために用いる光による感光体材料の劣化を防ぎ、電気的特性の低下が生じない感光体を製造できることを見いだした。上記方法によれば、光により劣化しやすい電荷発生材料および電荷輸送材料と、架橋のために光照射を要する表面層構成材料という相反する性質を持つ材料の特性を最大限に発現させることが可能である。これにより繰り返し使用によっても感光体表面層の摩耗や傷の発生を極めて少なくすることができるとともに、製造中の電気的特性の劣化を抑制することで画像形成装置の出力画質に関わる欠陥の生じない電子写真感光体を提供することができる。
すなわち、上記課題を解決するための本願発明の構成は次に記載するとおりである。
(1)導電性支持体上に少なくとも感光層、表面層をこの順に有し、該表面層が、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を含有する混合物を光エネルギー照射手段によって架橋させて得られたものである電子写真感光体において、該感光層の層構成のうち、該導電性支持体から最も遠くに配置される層中に紫外線吸収剤が含まれており、該紫外線吸収剤の配合量が、該支持体から最も遠くに配置される層のバインダー樹脂分に対して0.2重量部乃至6重量部であり、かつ、表面層を架橋するために用いる光源の最大発光強度を有する波長の光の該支持体から最も遠くに配置される層における透過率(該導電性支持体から最も遠くに配置される層に用いられているバインダー樹脂分に紫外線吸収剤を添加し、成膜して得られる5μm樹脂膜の透過率)が70%未満となるような量であることを特徴とする電子写真感光体。(2)前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの官能基がアクリロイルオキシ基および/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする上記(1)記載の電子写真感光体。
(3)前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおける官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)が、250以下であることを特徴とする上記(1)、(2)記載の電子写真感光体。
(4)前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする上記(1)〜(3)記載の電子写真感光体。
(5)前記最表面層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の電荷輸送構造が、トリアリールアミン構造であることを特徴とする上記(1)〜(4)記載の電子写真感光体。
(6)前記表面層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物の一種以上であることを特徴とする上記(1)〜(5)記載の電子写真感光体。
Figure 2006113321
Figure 2006113321
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR(R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar、Arは置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar、Arは置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。)
(7)前記表面層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(3)で表される化合物の一種以上であることを特徴とする上記(1)〜(6)記載の電子写真感光体。
Figure 2006113321
(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
Figure 2006113321
を表わす。)
(8)前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合が、架橋表面層全量に対し30〜70重量%であることを特徴とする上記(1)〜(7)記載の電子写真感光体。
(9)前記表面層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の成分割合が、架橋表面層全量に対し30〜70重量%であることを特徴とする上記(1)〜(8)記載の電子写真感光体。
(10)上記(1)〜(9)記載の電子写真感光体を有し、少なくとも、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電手段によって帯電させられた電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、潜像形成器によって形成された静電潜像の画像部にトナーを付着させる現像手段とから選ばれる一つの手段を有することを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
(11)上記(1)〜(9)記載の電子写真感光体を有し、少なくとも、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電手段によって帯電させられた電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、潜像形成器によって形成された静電潜像の画像部にトナーを付着させる現像手段とから選ばれる一つの手段を一体に備えた画像形成装置用プロセスカートリッジを搭載し、該画像形成装置用プロセスカートリッジが脱着自在であることを特徴とする画像形成装置。
(12)上記(1)〜(9)記載の電子写真感光体の製造方法であって、感光層を構成する層のうち、該導電性支持体から最も遠くに配置される層中に紫外線吸収剤を該紫外線吸収剤の配合量が、該支持体から最も遠くに配置される層のバインダー樹脂分に対して0.2重量部乃至6重量部であり、かつ、表面層を架橋するために用いる光源の最大発光強度を有する波長の光の該支持体から最も遠くに配置される層における透過率(該導電性支持体から最も遠くに配置される層に用いられているバインダー樹脂分に紫外線吸収剤を添加し、成膜して得られる5μm樹脂膜の透過率)が70%未満となるような量含有させて、表面層に光エネルギーを照射して表面層を架橋させる工程を含むことを特徴とするて電子写真感光体の製造方法。
以上の詳細且つ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、導電性支持体上に少なくとも感光層、表面層を順に有し、該表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を含有し、光エネルギー照射手段によって硬化した電子写真感光体において、感光層の層構成のうち、該導電性支持体から最も遠くに配置される層中に紫外線吸収剤が含まれており、該紫外線吸収剤の配合量が、該支持体から最も遠くに配置される層のバインダー樹脂分に対して0.2重量部乃至6重量部であり、かつ、表面層を架橋(硬化)するために用いる光源の最大発光強度を有する波長の光の透過率(該導電性支持体から最も遠くに配置される層に用いられているバインダー成分に紫外線吸収剤を添加し、成膜した5μm樹脂膜の透過率)が70%未満となるように添加した電子写真感光体は、硬化不良や過剰収縮、隣接層に含まれる低分子成分の移行などの物理的な問題が発生することなく、所望とする表面硬度を有する膜を得、感光体の繰り返し使用による摩耗や傷など、画像形成装置の出力画質に関わる欠陥が生じないとともに、製造中に感光体に照射される光による感光体材料の劣化を防止することにより、優れた電気的特性を有する電子写真感光体を提供することができる。
繰り返し使用による摩耗や傷の発生を抑えるためには感光体表面の硬度、弾性仕事率等に代表される機械的強度が大きいことが有効であり、これら特性を大きくするために種々の手法、材料が開発されている。機械的強度を上げるためには、分子が相互に結合する架橋性材料を用いることが一般的に知られている。架橋性材料は官能基構造、分子構造、官能基数等を選択することにより様々な特性を発現させることが可能であり、所望の機械的強度だけでなく、電子写真感光体として必要とされる電気的特性も考慮した分子設計が可能であることから、電子写真感光体向け材料として最近注目されている。
架橋性材料は大きく分けると、熱架橋性材料、光架橋性材料、電離性放射線架橋性材料に分けることができる。熱架橋性材料は常温または高温下で徐々に分子間架橋が進むことが特徴である。成膜した後に熱により容易に架橋するために、製造設備も簡易で人体・環境への影響も小さいために、工業的に幅広く用いられている。しかしながら、硬化に要する時間が長く、製造環境の影響を受けやすい。さらに、硬化時間が比較的長く、その間熱を加える必要性があるために、低分子量の添加剤が層間を移行することによる不具合が生じる場合がある。
光架橋性材料、電離性放射線架橋性材料は所定の光、電離性放射線を材料に照射することで容易に材料を架橋させることが可能であり、瞬時に高架橋膜を得ることができるために、熱架橋性材料を使用した際にみられる環境依存性や低分子材料の層間移行といった現象が生じにくいことが特徴である。光架橋性材料は製造のために使用する装置構成が複雑でなく、人体への影響も比較的小さいために、工業用途に幅広く用いられている。一方で、電離性放射線架橋型材料は製造設備が複雑で高価なものが多く、また電離性放射線自身の人体への影響も否めないために、工業的に使用されている例は多くない。
上記理由から優れた機械的強度を発現させるためには光架橋性材料を使うことが有効と考えられるが、光架橋性材料を架橋させるために使用する光としては高エネルギーである短波長光が使用されることが多く、電子写真感光体の様な積層構造を形成するようなものについては、その他の層への影響を考慮する必要がある。本発明に記載の電子写真感光体は一般に広く使用されている層構成であるが、電荷発生材料、電荷輸送材料が光により劣化しやすいために、表面層に光架橋性材料を使用する場合には特に注意を要する。可視光よりも長波長の低エネルギー光を用いる場合は色素などの増感剤を用いることで架橋させることが可能であるが、増感剤を使用する場合にはその他の特性、電子写真感光体であれば例えば電気的特性などへの影響が懸念されるため、使用されている例はほとんどない。
このように表面層を十分に架橋させるために必要な光照射により電荷発生材料および電荷輸送材料の劣化が生じるといったように、特性発現に関して相反則な関係にある材料を使用する場合には、両特性の要求値を満足するように光照射量を最適化することが考えられる。具体的には表面層の機械的強度が要求値を満たすための最小限の光照射条件により表面層を架橋させたり、さらには、架橋時の温度条件として、比較的高めに設定することにより、架橋を促進させるなどの方策が挙げられる。
しかしながら、このような手法を用いた場合には、製造マージンが小さいために、材料のロット差や材料中の不純物の影響により架橋が不十分になり、所望の表面物性を得ることができない場合が生じたり、温度条件を高温域に調整した場合には層間で添加物などの低分子量成分が層間移行することによる、種々の特性低下が懸念される。また、硬化条件を調整したとしても、電荷輸送層、電荷発生層の構成材料の劣化は免れず、その結果、材料が初期に持っているポテンシャルを製品に十分反映することができないだけでなく、製品として要求されているスペックを得ることができない可能性もある。
本発明はこれらの問題点を改善するために成されたものであり、表面層として光架橋性材料を用いた電子写真感光体において、感光層の層構成の内、前記導電性支持体から最も遠くに配置される層中に紫外線吸収剤を添加することを特徴とする。これにより、電荷輸送層、電荷発生層の構成成分の劣化を抑制することができ、電気的特性等の低下がない。加えて、表面層において十分な架橋を得るために必要な光照射を行うことが可能となる。この結果、表面層の硬化が良好であり、繰り返し使用による摩耗や傷の発生がないとともに、電気的特性に優れ、画像形成装置の出力画質に関わる欠陥の生じないことを突き止め、本発明を完成するに至った。
以下に本発明について詳細に説明する。
《電子写真感光体の構成について》
まず、本発明に用いられる感光体について説明する。
本実施形態の感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層、表面層をこの順に有することを特徴とする積層体である。感光層としては電荷発生機能と電荷輸送機能を有していれば単層構造をとっても多層構造をとっても良く、多層構造をとる場合は、電荷発生機能を担う電荷発生層と電荷輸送機能を担う電荷輸送層に機能分離したもの(機能分離型積層構造)が一般に使用される。機能分離型積層構造をとる場合には、導電性支持体上への電荷発生層と電荷輸送層の積層順番は特に規定されないが、電荷発生層が表層側にある場合、帯電器などで発生する酸性ガスにより電荷発生層が劣化しやすいこと、電荷輸送層を浸食させずに電荷発生層の塗布が難しいことなどの理由から、一般には電荷発生層は導電性支持体側に積層されることが多い。
《紫外線吸収剤について》
本発明で用いることができる紫外線吸収剤としては、表面層を光架橋させるために使用する光源の発光波長の内、紫外線を効果的に吸収できるものであれば特に限定されない。代表的な紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤等が挙げられるが、これに限られない。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5−ジ−t−ブチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−{2′−ヒドロキシ−3′−(3“,4”,5“,6”−テトラヒドロペンタルイミダメチル)−5′−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ビスフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−{3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル}−プロピオネート−ポリエチレングリコールなどを使用することができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジ−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2,2′−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホニックアシッド、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン−5−アシッド、4−ドデシロキン−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノンなどを使用することができる。
サリシレート系紫外線吸収剤としては、例えば4−t−ブチルフェニルサリシレート、フェニルサリシレートなどを使用することができる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジヒドロキシアクリレートなどを使用することができる。
ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、{2,2′−チオビス(4−t−オクチルベンゾフェノン)}−n−ブチルアミン−ニッケル、{2,2′−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)}−2−エチルヘキシルアミンニッケル、ニッケルジブチルジチオカーバメート、{2,2′−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)}−n−ブチルアミン−ニッケルなどが使用できる。
また、その他ベンゾエート系、トリアジン系などの紫外線吸収剤を使用しても良い。
上記紫外線吸収剤の中であっても、吸収特性として表面層を架橋するために使用する光源の発光波長と近いことが良い。好ましくは、光源の最大発光強度を有する波長において吸収特性が優れているものを選ぶことが良い。具体的には、下記のように作製した樹脂膜の分光透過率を測定し、使用する光源の最大発光強度を有する光の波長の透過率が70%未満、好ましくは60%未満であるような紫外線吸収剤を選択し、配合量を決定すると良い。前記透過率が70%以上の場合には光遮蔽効果が十分でなく、感光層の構成材料の劣化が生じ、電気特性などの感光体諸物性の低下が生じるため好ましくない。
<透過率の測定方法>
該導電性支持体から最も遠くに配置される層に用いられているバインダー樹脂分に紫外線吸収剤を添加し、透明基材上に5μmの膜厚となるように樹脂膜を作製する。基材としては300nm〜700nmにおける吸収が少ないものであるとともに、平滑で耐溶剤性を有するものが好ましい。例えば、ガラス板、PETフィルムなどが挙げられるが、適宜成膜に適した基材を選択すれば特に限定されない。このように作製した樹脂層/透明基材の透過率を分光光度計により測定し、透明基材単独の透過率を差分することで樹脂層の透過率を得る。
前記紫外線吸収剤の配合割合は、添加する層の樹脂分に対して、0.2〜6重量部の範囲であるとよく、好ましくは0.4〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜4重量部の範囲であるとよい。0.2重量部未満の添加では、表面層を架橋させるための光を吸収する効果が乏しく、6重量部を超える量を添加しても、効果の向上がみられないとともに、選択した紫外線吸収剤によっては着色が激しくなって使用に耐えなかったり、樹脂との相溶性が悪く樹脂表面にブリードアウトしたりするため好ましくない。
また、表面層を架橋させる際に使用する光の露光量が大きい場合は、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を併用しても良い。ヒンダードアミン系光安定剤を添加した場合、ヒンダードアミン系光安定剤が紫外線吸収剤の光劣化を防止すると同時に、紫外線吸収剤がヒンダードアミン系光安定剤およびその活性種の光分解防止に効果的に機能するために、露光量が大きい場合でも、感光層の光劣化を抑制することができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えばビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、[コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン]縮合物、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノール]}などが挙げられるが、これらに限定されない。
《表面層について》
感光体表面層の耐摩耗性や耐傷性を向上させるためには、表面層の表面硬度を向上させる手段が有効である。感光体表面層の硬度を決定する要素としてはバインダー樹脂、電荷輸送物質の特性により決定する。電荷輸送物質が架橋構造を有しない場合には、バインダー樹脂の硬度および電荷輸送物質の配合量により硬度が決定する。例えば、バインダー樹脂の硬度が高ければ高硬度の表面層を得ることが可能であり、また、電荷輸送物質の配合量が少なければ同じく高硬度の表面層を得ることが可能である。
しかしながら、電子写真感光体に求められる電気特性の観点からは電荷輸送物質の配合量が少なくなることは好ましくない。一方で、本発明で開示したような架橋構造を有する電荷輸送物質を用いた場合には、表面硬度はバインダー樹脂および電荷輸送物質の硬度により決定される。この場合、電荷輸送物質も3次元構造を形成するので、配合量により表面層の硬度が大幅に変化することはない。このため、架橋型の電荷輸送物質を用いた場合には、高硬度で電気特性の優れた感光体を得るための電荷輸送層の材料設計が容易である。
本発明における電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH=CH−X
(ただし、式中、Xは、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R36)−基(R36は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。)
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH=C(Y)−X
(ただし、式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR37基(R37は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR3839(R38およびR39は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、Xは上記式10のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y,Xの少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX、X、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独でもよいし又は2種類以上を併用しても差し支えない。
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、架橋表面層全量に対し20〜80重量部、好ましくは30〜70重量部である。モノマー成分が20重量部未満では架橋表面層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80重量部以上では電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される耐摩耗性や電気特性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量部の範囲が最も好ましい。
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。
また、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、官能基が、2官能以上の多官能のものを使用することが出来るが、膜質及び静電特性的に、1官能であるものが好ましい。これは、2官能以上の電荷輸送性化合物を用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化樹脂中に歪みが発生し架橋表面層の内部応力が高くなり、キャリア付着等でクラックや傷の発生を引き起こしやすくなる。5μm以下の膜厚の場合、特に問題とはならないが、5μmを超える膜を形成した場合、前記架橋表面層の内部応力が非常に高くなり、架橋直後にクラックが発生しやすくなる。
また静電的特性においても、2官能以上の電荷輸送性化合物を用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が起こしやすくなる。
これらの電気的特性の劣化は、画像濃度低下、文字の細り等の画像として現れる。このようなことから、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物としては、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を用い、架橋結合間にペンダント状に固定化することにより、クラックや傷が発生しにくくなるとともに静電的特性が安定化しやすくなる。
また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造の効果が高い。また官能基数が1つであるものが好ましく、さらには下記一般式(1)又は(2)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
Figure 2006113321
Figure 2006113321
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR(R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar、Arは置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar、Arは置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。)
以下に、一般式(1)、(2)の具体例を示す。
前記一般式(1)、(2)において、Rの置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
置換もしくは未置換のAr、Arはアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar、Arで表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C〜C12とりわけC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR)であり、Rは(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)
Figure 2006113321
(式中、R及びRは各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R及びRは共同で環を形成してもよい)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar、Arで表わされるアリーレン基としては、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基から誘導される2価基である。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C〜C12、好ましくはC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C〜Cの環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、
Figure 2006113321
で表わされ、
は水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar、Arで表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
前記Zは置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。
置換もしくは未置換のアルキレン基としは、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(3)の構造の化合物が挙げられる。
Figure 2006113321
(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
Figure 2006113321
を表わす。)
上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式(1)及び(2)特に(3)の1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
Figure 2006113321
Figure 2006113321
Figure 2006113321
Figure 2006113321
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本発明の2官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない(No.264,346、358は欠番である)。
Figure 2006113321
Figure 2006113321
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Figure 2006113321
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本発明の3官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
Figure 2006113321
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また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、架橋表面層の電荷輸送性能を付与するために重要で、この成分は架橋表面層全量に対し20〜80重量部、好ましくは30〜70重量部である。この成分が20重量部未満では架橋表面層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる。また、80重量部以上では電荷輸送構造を有しない3官能モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量部の範囲が最も好ましい。
本発明の表面層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、これ以外に塗工時の粘度調整、架橋表面層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋表面層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下に制限される。
また、本発明の表面層は少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を熱重合、光重合により架橋させたものである。架橋処理において、架橋を効率よく行うために架橋助剤を添加してもよい。
架橋助剤としては熱・光により容易にラジカルを発生させる重合開始剤であれば特に限定されないが、例としてはジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。
また、光重合促進効果を有するものを単独でまたは上記光重合開始剤と併用して用いるができる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
更に、本発明の塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20重量部以下、好ましくは10重量部以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量部以下が適当である。
前記3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を感光層上に形成する際に、粘性が低く、流動性を有する塗工液とすることが好ましい。いずれの材料も低粘性の液状である場合には、各材料を混合して塗工液とすることができるが、スプレー塗工方式の特性上、良好な霧化を行うためには塗工液として十分な流動性が必要とされる。このため、塗工液は有機溶剤により希釈して粘性を調整することが好ましい。ここで用いられる有機溶剤としては前記記載の通りであるため、ここでは詳しく述べないが、本発明者によると、有機溶剤の沸点としては1気圧下において90℃以下が良く、好ましくは60℃以上90℃以下、さらに好ましくは60℃以上80℃以下のものがよい。これらの溶剤は単独、または2種以上混合して用いてもよい。有機溶剤による塗工液の希釈率は、前記塗工液の構成成分の特性により決定される。
本発明においては、かかる塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与えることにより、表面層を硬化させる。このとき用いられる外部エネルギーとしては、熱、光、電離性放射線があげられる。
熱エネルギーとしては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用いることができ、塗工面側あるいは支持体側から加熱することによって行われる。加熱温度は100℃以上、170℃いかが好ましい。100℃未満の場合、反応速度が遅いために生産性が低下するとともに、未反応の材料が膜中に残留する原因となる。一方、170℃より高い温度で処理した場合、架橋による膜の収縮が大きくなり、表面にゆず肌状の欠陥や亀裂が生じたり、隣接層との界面で剥離が生じることがあり好ましくない。架橋による収縮が大きい樹脂を使用する際には、100℃未満の低温で予備架橋した後に100℃以上の高温で架橋を完結させる方法も有効である。
光エネルギーとしては、主に紫外領域に波長をもつ超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアークメタルハライドランプ等の光源を利用してもよいし、前記重合開始剤を添加する場合は、重合開始剤の吸収波長の光を発光する光源を利用してもよい。紫外光を利用して硬化させる場合、一般に365nmの波長を基準として50mW/cm〜1000mW/cmの照度で露光されるのがよい。照度が小さい場合には硬化に要する時間が多くなるため、生産性の観点から好ましくない。一方、照度が大きい場合には硬化収縮が起こりやすく、表面にゆず肌状の欠陥や亀裂が生じたり、隣接層との界面で剥離が生じることがある。
UV照射時には光源で生じる熱線などの影響により、感光体表面層の温度が上昇する。感光体表面温度が上昇しすぎると、表面層の硬化収縮が起こりやすく、また、隣接層中に含まれる低分子成分が表面層に移行するために、硬化阻害などが生じたり、電子写真感光体としての電気特性が低下するなど好ましくない。そのためUV照射時の感光体表面温度は100℃以下、好ましくは80℃以下にするとよい。冷却方法としては感光体内部への助冷剤封入、感光体内部の気体や液体による冷却などを使用することができる。
表面層の膜厚としては、感光層の保護の観点から1〜20μmが良く、好ましくは3〜15μmがよい。表面層が薄い場合には感光体の当接部材による機械的摩耗や帯電器などによる近接放電などから感光層を保護できなくなるだけでなく、膜形成時にレベリングされにくくなるために、膜表面がゆず肌状になることがある。一方、表面層が厚い場合には感光体全層が厚くなり、電荷の拡散による画像の再現性が低下するため好ましくない。
《感光層について》
次に感光層について説明する。前記の通り、感光層は機能分離型積層構造であっても良いし、単層構造をとっても良い。積層構造の場合には、感光層は一般に電荷発生層と電荷輸送層から形成される。また、単層構造の場合には感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。以下、積層構造の感光層および炭層構造の感光層のそれぞれについて述べる。
《電荷発生層について》
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。バインダー樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。バインダー樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
《電荷輸送層について》
電荷輸送層は、電荷輸送機能を有する層で、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする層である。
電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。また、バインダー樹脂として、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料やポリシラン骨格を有する高分子材料等を用いることも可能であり、有用である。
電荷輸送物質の量はバインダー樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は、単独で使用しても良いし、バインダー樹脂と併用してもよい。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。電荷輸送層に用いられる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。電荷輸送層に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
電荷輸送層の膜厚は解像度・応答性の点から、30μm以下とすることが好ましく、25μm以下がより好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、5μm以上が好ましい。
《感光層が単層の場合について》
単層構造の感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。感光層は電荷発生物質および電荷輸送物質およびバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
バインダー樹脂としては先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。バインダー樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。感光層は、電荷発生物質、バインダー樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。感光層の膜厚は、5〜25μm程度が適当である。
《光遮蔽層について》
本発明で紫外線吸収剤を添加する層として、前記電荷発生層、電荷輸送層などの層とは別に、特別に光遮蔽層を設けても良い。
光遮蔽層の組成は、少なくともバインダー、電荷輸送材料および紫外線吸収剤からなり、該紫外線吸収剤の配合量が光遮蔽層樹脂分に対して0.2重量部〜6重量部、好ましくは0.4重量部〜5重量部、さらに好ましくは0.5重量部〜4重量部の範囲であることが好ましい。0.2重量部未満の添加では、表面層を架橋させるための光を吸収する効果が乏しく、8重量部を超えて添加をしても、効果の向上がみられないとともに、選択した紫外線吸収剤によっては着色が激しく使用に耐えなかったり、樹脂との相溶性が悪く樹脂表面にブリードアウトしたりするため好ましくない。また光遮蔽層に使用するバインダー、電荷輸送材料および紫外線吸収剤は前記記載の材料から選択することができる。
光遮蔽層の膜厚としては2μm〜10μm、好ましくは2μm〜5μmの範囲であると良い。光遮蔽層の膜厚として、2μmを下回る場合には、表面層を架橋する際に使用する光の遮蔽効果が乏しくなり、感光層の構成成分の光劣化が生じることにより、電子写真感光体の諸特性が低下する。また、10μmを上回る場合は、感光層膜厚が大きくなりすぎるために、感光層中を電荷が移動する過程でその反発力により鮮明な潜像が得られなくなるので好ましくない。また、感光層全膜厚を変えないようにその他感光層を構成する層を薄膜化した場合には、電子写真感光体としての諸特性の低下が生じるため好ましくない。
《下引き層について》
本発明の感光体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
《導電性支持体について》
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当なバインダー樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられるバインダー樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。
このような導電性層は、これらの導電性粉体とバインダー樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
《各種添加剤について》
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、表面層、感光層、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、中間層、光遮蔽層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
<フェノール系化合物>
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3′−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
<パラフェニレンジアミン類>
N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
<ハイドロキノン類>
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
<有機硫黄化合物類>
ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3′−チオジプロピオネートなど。
<有機燐化合物類>
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量部である。
《画像形成装置の構成について》
次に図面に基づいて本発明の画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジを詳しく説明する。
本発明の画像形成装置とは、本架橋表面層を有した感光体を用い、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニングというプロセスよりなるものである。
場合により、静電潜像を直接転写体に転写し現像する画像形成装置では、感光体に配した上記プロセスを必ずしも有するものではない。
図1は、画像形成装置の一例を示す概略図である。感光体を平均的に帯電させる手段として、帯電チャージャ(3)が用いられる。この帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
均一に帯電された感光体(1)上に静電潜像を形成するために画像露光部(5)が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
感光体(1)上に形成された静電潜像を可視化するために現像ユニット(6)が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法がある。感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
感光体上で可視化されたトナー像を転写体(9)上に転写するために転写チャージャ(10)が用いられる。また、転写をより良好に行なうために転写前チャージャ(7)を用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。
転写体(9)を感光体(1)より分離する手段として分離チャージャ(11)、分離爪(12)が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ(11)としては、前記帯電手段が利用可能である。
転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするためにファーブラシ(14)、クリーニングブレード(15)が用いられる。また、クリーニングをより効率的に行なうためにクリーニング前チャージャ(13)を用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。
必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ(2)、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
本発明は、このような画像形成手段に本発明に係る電子写真感光体を用いる画像形成方法及び画像形成装置である。
この画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。プロセスカートリッジの一例を図2に示す。
画像形成装置用プロセスカートリッジとは、感光体(101)を内蔵し、他に帯電手段(102)、現像手段(104)、転写手段(106)、クリーニング手段(107)、除電手段(図示せず)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
図2に例示される装置による画像形成プロセスについて示すと、感光体(101)は、矢印方向に回転しながら、帯電手段(102)による帯電、露光手段(103)による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成され、この静電潜像は、現像手段(104)でトナー現像され、該トナー現像は転写手段(106)により、転写体(105)に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段(107)によりクリーニングされ、さらに除電手段(図示せず)により除電されて、再び以上の操作を繰り返すものである。
《感光体の作製方法》
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、18μmの電荷輸送層を形成した。
〔下引き層用塗工液〕
・アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール1307-60-EL、大日本インキ化学工業製)
・メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン G-821-60、大日本インキ化学工業製)
・酸化チタン 40部
・メチルエチルケトン 50部
〔電荷発生層用塗工液〕
・下記構造式(I)のビスアゾ顔料顔料 2.5部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製) 0.5部
・シクロヘキサノン 200部
・メチルエチルケトン 80部
Figure 2006113321
〔電荷輸送層用塗工液〕
・ビスフェノールZポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
・下記構造式(II)の低分子電荷輸送物質(D−1) 7部
・テトラヒドロフラン 100部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
・表1記載の紫外線吸収剤 (表1参照)
Figure 2006113321
ついで、下記組成の表面層塗工液を前記導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層体上に塗布した後に、高圧水銀灯ランプ(ウシオ電機社製)を用いて、照度700mW/cm(365nm基準)、照射時間120secにてUV照射を行うことで表面層を架橋させ、5.2μmの表面硬化膜を得た。この後、130℃30分の乾燥を行うことにより、導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層/表面層からなる電子写真感光体を得た。
〔表面層用塗工液〕
・電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
・1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.54)
・光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
・テトラヒドロフラン 100部
Figure 2006113321
《透過率の評価》
表1記載の紫外線吸収剤および電荷輸送層に用いられているバインダー成分(ビスフェノールZポリカーボネート)とを表1記載の配合比率で透明スライドガラス上に塗布、乾燥することにより5μmの塗膜を作製し、樹脂膜/ガラス板の透過率を分光光度計(UV3100;島津製作所社製)により300nm〜400nmの透過率を測定した。表面層を架橋させるために使用した光源の最大発光強度を有する波長(本実施例では365nm)の透過率はここで測定した分光透過率のデータを参照し、各配合比での透過率を得た。この結果を表2に示す。
Figure 2006113321
《感光体の評価》
作製した電子写真感光体を、リコー製imagio Neo270改造機(画像露光光源として655nmの半導体レーザー)を用いて、10万枚の実機通紙試験(A4、NBSリコー製MyPaper、スタート時帯電電位-700V)を実施し、感光体摩耗量、機内電位、画像評価を行った。結果を表3、4、5に示す。
Figure 2006113321
Figure 2006113321
Figure 2006113321
本発明の電子写真用感光体は、良好な画像を長期にわたり提供できるので、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ等の画像形成プロセスにおいて有効に利用することができる。
本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
符号の説明
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
101 感光ドラム
102 帯電装置
103 露光
104 現像装置
105 転写体
106 転写装置
107 クリーニングブレード

Claims (12)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層、表面層をこの順に有し、該表面層が、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を含有する混合物を光エネルギー照射手段によって架橋させて得られたものである電子写真感光体において、該感光層の層構成のうち、該導電性支持体から最も遠くに配置される層中に紫外線吸収剤が含まれており、該紫外線吸収剤の配合量が、該支持体から最も遠くに配置される層のバインダー樹脂分に対して0.2重量部乃至6重量部であり、かつ、表面層を架橋するために用いる光源の最大発光強度を有する波長の光の該支持体から最も遠くに配置される層における透過率(該導電性支持体から最も遠くに配置される層に用いられているバインダー樹脂分に紫外線吸収剤を添加し、成膜して得られる5μm樹脂膜の透過率)が70%未満となるような量であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの官能基がアクリロイルオキシ基および/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおける官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)が、250以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 前記最表面層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の電荷輸送構造が、トリアリールアミン構造であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記表面層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物の一種以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 2006113321
    Figure 2006113321
    (式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR(R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar、Arは置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar、Arは置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。)
  7. 前記表面層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(3)で表される化合物の一種以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 2006113321
    (式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
    Figure 2006113321
    を表わす。)
  8. 前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合が、架橋表面層全量に対し30〜70重量%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体。
  9. 前記表面層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の成分割合が、架橋表面層全量に対し30〜70重量%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真感光体を有し、少なくとも、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電手段によって帯電させられた電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、潜像形成器によって形成された静電潜像の画像部にトナーを付着させる現像手段とから選ばれる一つの手段を有することを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真感光体を有し、少なくとも、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電手段によって帯電させられた電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、潜像形成器によって形成された静電潜像の画像部にトナーを付着させる現像手段とから選ばれる一つの手段を一体に備えた画像形成装置用プロセスカートリッジを搭載し、該画像形成装置用プロセスカートリッジが脱着自在であることを特徴とする画像形成装置。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法であって、感光層を構成する層のうち、該導電性支持体から最も遠くに配置される層中に紫外線吸収剤を該紫外線吸収剤の配合量が、該支持体から最も遠くに配置される層のバインダー樹脂分に対して0.2重量部乃至6重量部であり、かつ、表面層を架橋するために用いる光源の最大発光強度を有する波長の光の該支持体から最も遠くに配置される層における透過率(該導電性支持体から最も遠くに配置される層に用いられているバインダー樹脂分に紫外線吸収剤を添加し、成膜して得られる5μm樹脂膜の透過率)が70%未満となるような量含有させて、表面層に光エネルギーを照射して表面層を架橋させる工程を含むことを特徴とするて電子写真感光体の製造方法。
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