JP4969959B2 - 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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本発明は、機械的耐久性に優れ、残像抑制効果に優れ、カラー電子写真装置や除電手段を有さない電子写真装置に掲載しても残像が生じにくい電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
近年、有機感光体(OPC)は良好な性能、様々な利点から、無機感光体に代わり複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ及びこれらの複合機に多く用いられている。この理由としては、例えば(1)光吸収波長域の広さ及び吸収量の大きさ等の光学特性、(2)高感度、安定な帯電特性等の電気的特性、(3)材料の選択範囲の広さ、(4)製造の容易さ、(5)低コスト、(6)無毒性、等が挙げられる。
一方、最近画像形成装置の小型化から感光体の小径化が進み、機械の高速化やメンテナンスフリーの動きも加わり感光体の高耐久化が切望されるようになってきた。この観点からみると、有機感光体は、表面層が低分子電荷輸送材料と不活性高分子を主成分としているため一般に柔らかく、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合、現像システムやクリーニングシステムによる機械的な負荷により摩耗が発生しやすいという欠点を有している。加えて高画質化の要求からトナー粒子の小粒径化に伴いクリーニング性を向上させる目的でクリーニングブレードのゴム硬度の上昇と当接圧力の上昇が余儀なくされ、このことも感光体の摩耗を促進する要因となっている。このような感光体の摩耗は、感度の劣化、帯電性の低下などの電気的特性を劣化させ、画像濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の原因となる。また摩耗が局所的に発生した傷は、クリーニング不良によるスジ状汚れ画像をもたらす。現状では感光体の寿命はこの摩耗や傷が律速主因の1つでありしたがって、有機感光体の高耐久化においては前述の摩耗量を低減することが不可欠であり、これが当分野でもっとも解決が迫られている課題である。感光層の耐摩耗性を改良する技術としては、(1)表面層に硬化性バインダーを用いたもの(例えば、特許文献1参照)、(2)高分子型電荷輸送物質を用いたもの(例えば、特許文献2参照)、(3)表面層に無機フィラーを分散させたもの(例えば、特許文献3参照)等が挙げられる。
これら従来技術における電荷輸送性構造を化学結合させた架橋感光層を有する感光体においても、現状では十分は総合特性を有しているとは言えない。
以上の状況に対して本発明者らは、電子写真感光体の架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することによって、上記課題が大幅に改善されることを開示した(特許文献4参照)。
近年の電子写真技術の発展は著しく、電子写真感光体にも、より優れた特性が要求されている。例えば、従来、文字などの白黒画像が中心であったが、近年、写真などのカラー画像の需要が高まってきており、それらの画質に対する要求は年々高まっている。
しかしながら、上記感光体を記載どおり作成し、カラー電子写真装置及び除電光のない電子写真装置に用いた場合、残像、残留電位、露光後電位の上昇などの問題が生じてしまう。特に、除電手段のない電子写真装置に用いた場合には、初期から強い残像が発生してしまうといった不具合を生じる。これは、架橋型電荷輸送層の下層にある電荷輸送層表面の電荷輸送物質濃度が低くなっていることが大きな要因であることを発見した。
上述の残像は、ハーフトーン画像に特に現れやすく、ハーフトーン画像の重ね合わせであることが多いカラー画像では、特に重要な問題となる。
また、カラー画像の場合、1色1色では残像レベルが白黒画像の残像と同様であっても、複数の色を重ね合わせることで、残像が顕在化しやすい。
また、残像を抑制する方法として、電子写真装置に前露光などの除電手段を設ける方法があるが、電子写真装置本体の低コスト化や小型化の観点から、除電手段が省略されることが多くなってきている。
上記の従来技術は、このような残像に厳しい状況に対して十分に効果があるとはいえなかった。
特許文献5は、ガラス転移点170℃以上のガラス転移点を有するポリカーボネートを含む感光層上にアクリル樹脂モノマーまたはアクリル樹脂オリゴマーを用いた保護層を設けており、実施例中の電荷輸送層形成時の乾燥温度は110℃である。この場合、ガラス転移点の高いポリカーボネートを使っているため、電荷輸送物質が拡散しにくくなってしまい、より感光層表面の電荷輸送物質濃度が低くなってしまい、残像に対して十分な感光体ではない。
特開昭56−48637号公報 特開昭64−1728号公報 特開平4−281461号公報 特開2004−302451号公報 特許第3352305号公報
本発明の目的は、残像抑制効果に優れ、カラー電子写真装置や除電手段を有さない電子写真装置に掲載しても残像が生じにくい電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層1、電荷輸送層2、電荷輸送性架橋表面層を順に積層してなる電子写真感光体において、該電荷輸送層1と電荷輸送層2が少なくとも電荷輸送物質と熱可塑性樹脂を含有し、電荷輸送層1と電荷輸送層2が含有する熱可塑性樹脂が異なり、電荷輸送層2の電荷輸送物質含有率が電荷輸送層1の電荷輸送物質含有率より多いことを特徴とする電子写真感光体によって上記課題が解決されることを発見して本発明を成すに至った。
すなわち上記課題は以下の本発明(1)〜(11)によって解決される。
(1)「導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層1、電荷輸送層2、電荷輸送性架橋表面層を順に積層してなる電子写真感光体であって、該電荷輸送層1と電荷輸送層2が少なくとも電荷輸送物質と熱可塑性樹脂を含有し、電荷輸送層1と電荷輸送層2が含有する熱可塑性樹脂が異なり、電荷輸送層2の電荷輸送物質含有が電荷輸送層1の電荷輸送物質含有率より多いことを特徴とする電子写真感光体」、
(2)「前記電荷輸送層1の電荷輸送物質含有が熱可塑性樹脂に対して50〜150質量%であり、電荷輸送層2の電荷輸送物質含有率が電荷輸送層1の電荷輸送物質含有率の1.4倍以上3倍以下であることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体」、
(3)「前記電荷輸送層2がスプレー塗工により形成されたものであることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載の電子写真感光体」、
(4)「電荷輸送層1が含有する前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂であり、電荷輸送層2が含有する前記熱可塑性樹脂がポリアリレート樹脂であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れかに記載の電子写真感光体」、
(5)「電荷輸送層が含有する前記熱可塑性樹脂がポリアリレート樹脂であり、電荷輸送層2が含有する前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れかに記載の電子写真感光体」、
(6)「前記電荷輸送性架橋表面層が、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性モノマーと3官能以上のラジカル重合性モノマーの重合生成物を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項の何れかに記載の電子写真感光体」、
(7)「前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性モノマーと3官能以上のラジカル重合性モノマーのラジカル重合性官能基がアクリロイロオキシ基又はメタクリロイロオキシ基であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項の何れかに記載の電子写真感光体」、
(8)「前記電荷輸送性架橋表面層が光エネルギー照射手段によって硬化したものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項の何れかに記載の電子写真感光体」、
(9)「前記第(1)項乃至第(8)項の何れかに記載の電子写真感光体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行うことを特徴とする画像形成方法」、
(10)「前記第(1)項乃至第(8)項の何れかに記載の電子写真感光体を有することを特徴とする画像形成装置」、
(11)「前記第(1)項乃至第(8)項の何れかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ」。
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明により、残像抑制効果に優れ、カラー電子写真装置や除電手段を有さない電子写真装置に掲載しても残像が生じにくい電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供できるという極めて優れた効果を奏するものである。
以下本発明について詳細に説明する。
本発明によれば、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層1、電荷輸送層2、電荷輸送性架橋表面層を順に積層してなる電子写真感光体において、該電荷輸送層1と電荷輸送層2が少なくとも電荷輸送物質と熱可塑性樹脂を含有し、電荷輸送層1と電荷輸送層2が含有する熱可塑性樹脂が異なり、電荷輸送層2の電荷輸送物質含有率が電荷輸送層1の電荷輸送物質含有率より多くすることによって、カラー電子写真装置や除電手段を有さない電子写真装置に掲載しても残像が生じににくく、優れた電子写真感光体特性を有し長期に渡って使用することが可能な電子写真感光体、該電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することができる。
この理由としては以下のとおりである。
電子写真感光体の電荷輸送層を形成する際、電荷輸送層表面の電荷輸送物質濃度は低くなっている。その理由としては、明確ではないが溶剤を使用して塗工した膜は、溶剤が蒸発する際、溶剤は表面から徐々に蒸発していくため、バインダー樹脂と比較して、分子量の小さく、溶解性の高い電荷輸送物質は、溶剤の残っている電荷発生層方向に動いていくためであると考える。 この状態で、架橋表面層を設けた場合、電荷輸送層と架橋表面層界面での電荷の注入が悪くなってしまい電荷のトラップとなる。その結果、強い残像が発生する。
熱可塑性樹脂の異なる電荷輸送層を2層(電荷輸送層1及び電荷輸送層2)設け、電荷輸送層2の電荷輸送物質濃度を電荷輸送層1の濃度より高くすることによって、上記電荷トラップを防ぎ、残像を抑制することができる。
電荷輸送層1を形成した際、電荷輸送層1の表面電荷輸送物質濃度は低くなる。しかし、更にその上層に高濃度の電荷輸送物質を含む電荷輸送層2を設けることにより、電荷輸送層2から電荷輸送層1へ電荷輸送物質が染み出しこれは改善される。
また、電荷輸送層1と電荷輸送層2に異なる熱可塑性樹脂を用いることによって樹脂と樹脂が相溶しにくくなり、電荷輸送層2の電荷輸送物質含有率を維持することができ、表面層への電荷注入もスムーズになる。電荷輸送層1と電荷輸送層2の熱可塑性樹脂を同一の樹脂にした場合、樹脂同士が相溶してしまい、電荷輸送層表面の電荷輸送物質濃度が薄くなり、残像が生じることがある。電荷輸送層にあらかじめ非常に高濃度の電荷輸送物質を含有することもできるが、コストが非常に高くなってしまう。更に、表面層以下の膜強度が非常に脆弱になるため繰り返し使用中に、電荷輸送層ごと剥離するといった問題が生じる。電荷輸送層2には電荷輸送層1に比べ高濃度の電荷輸送性物質を有するが、電荷輸送層1に比べ膜厚を薄くできるため、上記に比べコストもあまりかからず、繰り返し使用時においても剥離などの問題は起こらない。
表面層のない、電荷発生層、電荷輸送層からなる感光体においては、電荷輸送層表面の電荷輸送物質濃度は殆ど問題とならなかった。上層への注入が必要ないこと、繰り返し使用時において、電荷輸送物質濃度の希薄な部分が比較的早く摩耗して消失するためである。すなわち、本発明で述べる残像は、1層の電荷輸送層上に表面層を設け高耐久にしたときに、初期から顕著に発生する問題である。
次に、図1に示される本発明の電子写真感光体において用いられる電荷輸送層1(33)、電荷輸送層2(34)について説明する。電荷輸送層1及び電荷輸送層2に用いられる電荷輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷輸送層1及び電荷輸送層2に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。本発明において、上記の樹脂の中から電荷輸送層1と電荷輸送層2の樹脂は異なるものを使用することが好ましい。種類の異なる熱可塑性樹脂は、互いに相溶しにくく、各層に含まれる電荷輸送物質濃度が維持できる。同種の樹脂を用いた場合、樹脂が互いに相溶し混ざり合ってしまうため、電荷発生層から最も遠い、電荷輸送層の表面電荷輸送物質濃度が薄くなってしまう。上記の樹脂の中で、電荷輸送物質との相性が良いポリアリレート樹脂及びポリカーボネートを使用することがより好ましい。
電荷輸送層1の電荷輸送物質の量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、50〜150重量部、好ましくは40〜100重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は、単独でも結着樹脂との併用も可能である。
電荷輸送層2の電荷輸送物質の量は、電荷輸送層1の電荷輸送物含有率の1.5倍以上3倍以下が好ましく、1.5倍未満だと、電荷輸送層1表面の電荷輸送物質濃度を十分に補うことができない。3倍より大きい場合、膜が脆弱になってしまい、長期使用において電荷輸送層2からの剥離などが生じる。
また、電荷輸送層1の膜厚は5〜50μm程度とすることが好ましく、電荷輸送層2の膜厚は1〜10μmとすることが好ましい。電荷輸送層2の膜厚が10μm以上である場合、電荷輸送層2表面の電荷輸送物質が低くなってしまい、架橋型電荷輸送表面層への電荷注入性が落ちてしまい、残像が生じてしまう。
電荷輸送層1及び電荷輸送層2の塗工に用いられる溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒が使用できるが、電荷輸送物質及び熱可塑性樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。また、電荷輸送層1の形成には浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷輸送層2の形成には、塗工液への下層の溶解が少ないスプレーコート法が好ましい。浸漬塗工法を用いた場合には、電荷輸送層1の電荷輸送物質が溶剤に染み出してしまい、電荷輸送層1表面の電荷輸送物質濃度が低下してしまうことがあるためである。
また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
電荷輸送層1及び電荷輸送層2に併用できる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
電荷輸送層1及び電荷輸送層2に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
電荷発生層(32)は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層(32)に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の他に、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料やポリシラン骨格を有する高分子材料等を用いることができる。
前者の具体的な例としては、特開平01−001728号公報、特開平01−009964号公報、特開平01−013061号公報、特開平01−019049号公報、特開平01−241559号公報、特開平04−011627号公報、特開平04−175337号公報、特開平04−183719号公報、特開平04−225014号公報、特開平04−230767号公報、特開平04−320420号公報、特開平05−232727号公報、特開平05−310904号公報、特開平06−234836号公報、特開平06−234837号公報、特開平06−234838号公報、特開平06−234839号公報、特開平06−234840号公報、特開平06−234841号公報、特開平06−239049号公報、特開平06−236050号公報、特開平06−236051号公報、特開平06−295077号公報、特開平07−056374号公報、特開平08−176293号公報、特開平08−208820号公報、特開平08−211640号公報、特開平08−253568号公報、特開平08−269183号公報、特開平09−062019号公報、特開平09−043883号公報、特開平09−71642号公報、特開平09−87376号公報、特開平09−104746号公報、特開平09−110974号公報、特開平09−110976号公報、特開平09−157378号公報、特開平09−221544号公報、特開平09−227669号公報、特開平09−235367号公報、特開平09−241369号公報、特開平09−268226号公報、特開平09−272735号公報、特開平09−302084号公報、特開平09−302085号公報、特開平09−328539号公報等に記載の電荷輸送性高分子材料が挙げられる。
また、後者の具体例としては、例えば特開昭63−285552号公報、特開平05−19497号公報、特開平05−70595号公報、特開平10−73944号公報等に記載のポリシリレン重合体が例示される。
また、電荷発生層(32)には低分子電荷輸送物質を含有させることができる。
電荷発生層(32)に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層(32)を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
<下引き層について>
本発明の感光体においては、導電性支持体(31)と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
<各層への酸化防止剤の添加について>
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、表面架橋層、感光層、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
(フェノール系化合物)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
(パラフェニレンジアミン類)
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(ハイドロキノン類)
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(有機硫黄化合物類)
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
次に本発明において用いられる電荷輸送性架橋表面層(35)について説明する。
[電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物]
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。
また、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、官能基が、2官能以上の多官能のものを使用することが出来るが、膜質及び静電特性的に、1官能であるものが好ましい。これは、2官能以上の電荷輸送性化合物を用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化樹脂中に歪みが発生し架橋表面層の内部応力が高くなり、剥離摩耗を引き起こしやすくなる。
また静電的特性においても、2官能以上の電荷輸送性化合物を用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が起こしやすくなる。これらの電気的特性の劣化は、画像濃度低下、文字の細り等の画像として現れる。このようなことから、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を用い、架橋結合間にペンダント状に固定化することにより、クラックや傷の発生、及び静電的特性の安定化しやすくなる。
また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造の効果が高い。また官能基数が1つであるものが好ましく、さらには下記一般式(1)又は(2)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
Figure 0004969959
Figure 0004969959
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR(R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar、Arは置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar、Arは置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。)
以下に、一般式(1)、(2)の具体例を示す。
前記一般式(1)、(2)において、Rの置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
置換もしくは未置換のAr、Arはアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar、Arで表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C〜C12とりわけC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR)であり、Rは前記(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)
Figure 0004969959
(式中、R及びRは各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R及びRは共同で環を形成してもよい)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar、Arで表わされるアリーレン基としては、前記Ar、Arで表わされるアリール基から誘導される2価基である。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C〜C12、好ましくはC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C〜Cの環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、
Figure 0004969959
で表わされ、
は水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar、Arで表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
前記Zは置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。
置換もしくは未置換のアルキレン基としは、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル基の2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプローラクトン変性2価基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(3)の構造の化合物が挙げられる。
Figure 0004969959
(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
Figure 0004969959
を表わす。)
上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式(1)及び(2)特に(3)の1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
本発明の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。これら1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は従来公知(例えば特開2005−266513号公報、特開2005−227761号公報等を参照)である。
Figure 0004969959
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本発明の2官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
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本発明の3官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例をNO.364以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
[電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー]
前記表面層に用いられる3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーを用いることができ、電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基としては、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。
これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式(10)で表わされる官能基が挙げられる。
Figure 0004969959
(ただし、式中、Xは、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表わす。)
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式(11)で表わされる官能基が挙げられる。
Figure 0004969959
(ただし、式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR1213(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表わし、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、Xは上記式10のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表わす。ただし、Y,Xの少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX、X、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプローラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプローラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、架橋表面層中に緻密な架橋結合を形成するために官能基割合(分子量/官能基数)が250以下が望ましい。官能基割合が250より大きい場合、架橋表面層は柔らかく、耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、EO、PO、カプローラクトン等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。また、表面層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、架橋表面層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%であり、実質的には塗工液固形分中の3官能以上のラジカル重合性モノマーの割合に依存する。モノマー成分が20重量%未満では架橋表面層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80重量%を超えると電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される耐摩耗性や電気特性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、電荷輸送性架橋表面層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。また、この割合が250より大きい場合、電荷輸送性架橋表面層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、HPA、EO、PO等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。また、電荷輸送性架橋表面層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、電荷輸送性架橋表面層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。モノマー成分が20重量%未満では電荷輸送性架橋表面層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80重量%以上では電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される耐摩耗性や電気特性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
本発明の電荷輸送性架橋表面層は導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の電荷輸送性架橋表面層が少なくともラジカル重合性化合物を光硬化することにより形成されるが、これ以外に塗工時の粘度調整、電荷輸送性架橋表面層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー、機能性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらとしては公知のものが利用できる。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋表面層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下に制限される。
「重合開始剤について」
また、本発明の電荷輸送性架橋表面層は、本発明の電荷輸送性架橋表面層は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくともラジカル重合性化合物を光硬化することにより形成されるものであるが、必要に応じてこの架橋反応を効率よく進行させるために電荷輸送性架橋表面層中に重合開始剤を使用してもよい。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
「添加剤について」
更に、本発明の塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20重量%以下、好ましくは10%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量%以下が適当である。
「架橋型電荷輸送表面層の塗工液希釈溶媒について」
架橋型電荷輸送層塗工液の希釈溶媒に関しては、蒸発速度の遅い溶剤を用いた場合、残留する溶媒が硬化の妨げとなったり、下層成分の混入量を増加させることがあり、不均一硬化や硬化密度低下をもたらす、この有機溶剤に対し、可溶性となりやすい。具体的には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとメタノール混合溶剤、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エチルセロソルブなどが有用であるが、塗工法と合わせて選択される。また、固形分濃度に関しては、同様な理由で低すぎる場合、有機溶剤に対し可溶性となりやすい。逆に、膜厚、塗工液粘度の制限から上限濃度の制約をうける。具体的には10〜50重量%の範囲で用いることが望ましい。電荷輸送性架橋表面層の塗工方法としては、同様な理由で塗工膜形成時の溶剤含有量、溶媒との接触時間を少なくする方法が好ましく、具体的にはスプレーコート法、塗工液量を規制したリングコート法が好ましい。また、下層成分の混入量を抑えるためには、電荷輸送層として高分子電荷輸送物質を用いること、電荷輸送性電荷輸送性架橋表面層の塗工溶媒に対し不溶性の中間層を設けることも有効である。
「電荷輸送性架橋表面層形成方法」
本発明の電荷輸送性電荷輸送性架橋表面層は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくともラジカル重合性化合物を光硬化することにより形成されるが、塗布方法としては浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができるが、塗工時における塗膜中の残留溶媒量を適度に調整できるスプレーコート法がより好ましく選択できる。
「光エネルギー照射手段」
本発明においては、かかる塗工液を塗布後、外部から光エネルギーを与え硬化させ、電荷輸送性架橋表面層を形成するものであるが、このとき用いられる光エネルギーとしては主に紫外光に発光波長を持つ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量は50mW/cm以上、好ましくは500mW/cm以上、より好ましくは1000mW/cm以上である。1000mW/cmより強い照射光を用いることで重合反応の進行速度が大幅に速くなり、より均一な電荷輸送性架橋表面層を形成することが可能となる。
<導電性支持体について>
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(31)として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体(31)として用いることができる。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロンなどの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体(31)として良好に用いることができる。
<電子写真感光体の層構造について>
本発明に係る電子写真感光体の部分について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体(31)上に、電荷発生機能を有する電荷発生層(32)と、電荷輸送機能を有する電荷輸送層1(33)と、電荷輸送性を有する電荷輸送層2(34)とさらに電荷輸送性架橋表面層(35)が積層された積層構造の感光体である。
図2は、本発明の電子写真装置を説明するための概略図である。感光体(1)は本発明の感光体が用いられている。感光体(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
帯電部材(3)は、主として帯電ローラーデバイスが用いられ、かつ感光体と帯電部材とが画像形成領域において非接触となるように近接配置されてなる。感光体に対し帯電部材が近接配置させる方法としては、感光体の非画像形成領域にギャップを設ける必要があるが、それは例えば、ギャップ材を帯電部材に設けたり、感光体側に設けたり、あるいは感光体の両端にセットされるフランジ部に設けることによって形成することが可能であり、本発明においては感光体と帯電部材とが近接配置されていれば如何なる方法でも可能である。ギャップ材を使用する場合、ギャップ材は絶縁性である必要があり、耐摩耗性の高い材料が有効に用いられる。ギャップ材はテープ状、シール状もしくはチューブ状等、如何なる形態のものでも使用できる。ギャップの厚さは、10〜200μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、さらに好ましくは40〜80μmである。ギャップがこれよりも小さい場合には、帯電部材と感光体の接触が多くなり、近接配置させたメリットが得られず画質劣化の影響が増加し、ギャップがこれよりも大きい場合には帯電の安定性が低下し帯電ムラが発生する場合があり、また要求される帯電レベルを維持させるための印可電圧を増加させる必要が生じ、それによって帯電生成物の発生量の更なる増加により画像ボケの影響が増大する恐れがある。
また、帯電部材には直流成分に交流成分を重畳して感光体に帯電を付与することが可能である。交流成分を重畳することによって、帯電ムラを低減することが可能となり、それによって画像濃度ムラやコントラストの低下を抑制することが可能となり有用である。
次に、均一に帯電された感光体上に静電潜像を形成するために画像露光部(5)が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
次に、感光体上に形成された静電潜像を可視化するために現像ユニット(6)が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法がある。感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
次に、感光体上で可視化されたトナー像を転写体上に転写するために転写チャージャ(10)が用いられる。また、転写をより良好に行うために転写前チャージャ(7)を用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、帯電手段も利用可能である。
次に、転写体を感光体より分離する手段として分離チャージャ(11)、分離爪(12)が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離、等が用いられる。分離チャージャとしては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするためにファーブラシ(14)、クリーニングブレード(15)が用いられる。また、クリーニングをより効率的に行うためにクリーニング前チャージャ(13)を用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独でまた複数の方式を併用してもよい。
次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ(2)、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
この画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。図3は、電子写真装置用プロセスカートリッジの1例を示す概略図である。
図中(101)の感光体ドラムは、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層1、電荷輸送層2、電荷輸送性電荷輸送性架橋表面層を順に積層してなる電子写真感光体において、該電荷輸送層1と電荷輸送層2が少なくとも電荷輸送物質と熱可塑性樹脂を含有し、電荷輸送層1と電荷輸送層2が含有する熱可塑性樹脂が異なり、電荷輸送層2の電荷輸送物質含有量が電荷輸送層1の電荷輸送物質含有率より多いことを特徴とする電子写真感光体である。電子写真装置用プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段の少なくとも一つを一体化し、着脱可能とした装置(部品)である。本発明は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層1、電荷輸送層2、電荷輸送性電荷輸送性架橋表面層を順に積層してなる電子写真感光体において、該電荷輸送層1と電荷輸送層2が少なくとも電荷輸送物質と熱可塑性樹脂を含有し、電荷輸送層1と電荷輸送層2が含有する熱可塑性樹脂が異なり、電荷輸送層2の電荷輸送物質含有量が電荷輸送層1の電荷輸送物質含有率より多いことを特徴とする電子写真感光体からなり、かつ前記感光体に対し帯電部材が近接配置されてなることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジを含む電子写真装置を提供するものである。
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中において使用する「部」は、すべて重量部を表わす。
[実施例1]
外径30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、23μmの電荷輸送層1を形成した。次に、スプレー塗工によって、5μmの電荷輸送層2を形成し、電荷輸送層2上に下記構成の電荷輸送性架橋表面層塗工液を用いて、スプレー塗工し、Fusion製UVランプシステムModel F600S(光源部:モデルI600M、電源部:モデルP600M)、ランプ電力:160W/cm、ランプ種:Vバルブ、ランプ数と配置:直列2本連結、波長365nmの照度300mW/cm以上の光が感光体ドラム表面に当たる時間:30秒、感光体表面温度が70℃を超えないよう水冷する条件で感光体ドラムを回転しながら光照射を行ない、更に130℃で30分乾燥を加え10.0μmの電荷輸送性架橋表面層を設け本発明の電子写真感光体1を得た。なお感光体の膜厚は渦電流式膜厚測定装置(フィッシャーインスツルメント製)を用いて測定した。
[下引き層用塗工液]
アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン(CR−EL:石原産業) 40部
メチルエチルケトン 50部
[電荷発生層用塗工液]
下記構造のビスアゾ顔料 2.5部
Figure 0004969959
ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製) 0.5部
シクロヘキサノン 200部
メチルエチルケトン 80部
[電荷輸送層1]
ポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
下記構造の低分子電荷輸送物質 7部
Figure 0004969959
テトラヒドロフラン 100部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
[電荷輸送層2用塗工液]
ポリアリレート樹脂 10部
ポリアリレート樹脂(Uポリマー U−100、ユニチカ製)
下記構造の低分子電荷輸送物質 20部
Figure 0004969959
テトラヒドロフラン 500部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
[電荷輸送性架橋表面層用塗工液]
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
下記構造の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
Figure 0004969959
光重合開始剤 2部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
[実施例2]
実施例1の電荷輸送層1用塗工液のポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成製)をポリアリレート樹脂(Uポリマー U−100、ユニチカ製)に変え、電荷輸送層2用塗工液のポリアリレート樹脂(Uポリマー U−100、ユニチカ製)をポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成製)に変えたこと以外は同様にして感光体2を作成した。
[実施例3]
実施例1の電荷輸送層1用塗工液のポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成製)をスチレン(HRM、電気化学工業製)に変え、電荷輸送層2用塗工液のポリアリレート樹脂(Uポリマー U−100、ユニチカ製)をアクリル樹脂(Methyl Methacrylate, polymer、和光純薬工業製)に変えたこと以外は同様にして感光体3を作成した。
[実施例4]
電荷輸送層2用塗工液のポリアリレート樹脂(Uポリマー U−100、ユニチカ製)をスチレン(HRM、電気化学工業製)に変えたこと以外は同様にして感光体4を作成した。
[実施例5]
実施例1の電荷輸送層2用塗工液を下記組成の塗工液に変え、電荷輸送層2を浸漬塗工により形成したこと以外は実施例1と同様にして感光体5を作成した。
ポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
下記構造の低分子電荷輸送物質 20部
Figure 0004969959
テトラヒドロフラン 100部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
[実施例6]
実施例1の電荷輸送層2用塗工液の低分子電荷輸送物質の量を8部としたこと以外は、実施例1と同様に感光体6を作成した。
[実施例7]
実施例1の電荷輸送層2用塗工液の低分子電荷輸送物質の量を11部としたこと以外は、実施例1と同様に感光体7を作成した。
[実施例8]
実施例1の電荷輸送層2用塗工液の低分子電荷輸送物質の量を14部としたこと以外は、実施例1と同様に感光体8を作成した。
[実施例9]
実施例1の電荷輸送層2用塗工液の低分子電荷輸送物質の量を17部としたこと以外は、実施例1と同様に感光体9を作成した。
[実施例10]
実施例1の電荷輸送層2用塗工液の低分子電荷輸送物質の量を21部としたこと以外は、実施例1と同様に感光体を10を作成した。
[比較例1]
実施例1の電荷輸送層1及び電荷輸送層2を電荷輸送層1のみにし、膜厚を23μmから28μmに変更した以外は、実施例1と同様に感光体11を作成した。
[比較例2]
実施例1の電荷輸送層2用塗工液を下記組成のものに変えたこと以外は同様にして感光体12を作成した。
[電荷輸送層2用塗工液]
ポリアリレート樹脂 10部
ポリアリレート樹脂(Uポリマー U−100、ユニチカ製)
下記構造の低分子電荷輸送物質 7部
Figure 0004969959
テトラヒドロフラン 500部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
[比較例3]
実施例1の電荷輸送層1用塗工液及び電荷輸送層2用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体13を作成した。
[電荷輸送層1用塗工液]
ポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
下記構造の低分子電荷輸送物質 20部
Figure 0004969959
テトラヒドロフラン 100部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
[電荷輸送層2用塗工液]
ポリアリレート樹脂(Uポリマー U−100、ユニチカ製) 10部
下記構造の低分子電荷輸送物質 7部
Figure 0004969959
テトラヒドロフラン 500部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
[比較例4]
実施例1の電荷輸送層2用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体14を作成した。
ポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
下記構造の低分子電荷輸送物質 20部
Figure 0004969959
テトラヒドロフラン 100部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
[比較例5]
実施例1の電荷輸送層2用塗工液の低分子電荷輸送物質の量を22部としたこと以外は、実施例14と同様にして感光体15を作成した。
[比較例6]
実施例1の電荷輸送層1及び電荷輸送層2を電荷輸送層2のみにし、膜厚を23μmから28μmに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体16を作成した。
以上のようにして作成された実施例の電子写真感光体1〜10及び比較例の電子写真感光体11〜16を、帯電方式をAC非接触ローラ方式、画像露光光源を655nmの半導体レーザーを用いたリコー製IPSiO Color 7100にて暗部電位700(−V)に設定した後、連続してトータル5万枚の実機通紙試験を行い、機内電位について評価を行った。結果を表1に示す。
残像評価は、実施例の電子写真感光体1〜10及び比較例の電子写真感光体1〜4を、電子写真プロセス用カートリッジ(ただし、クリーニング前露光はなし)に装着し、帯電手段を改造した除電手段を取り除いたリコー製imagioMF2730改造機を用い、残像評価を行った。帯電手段の改造としては帯電ローラーの両端部(非画像形成領域)には50μm厚のPETテープを巻き付け固定し、感光体に対し帯電部材を近接配置させた。また、帯電ローラーにはAC(1.35kHz,1.8kV(peak to peak))+DC(−650V)を印加した。初期評価と5万枚実機通紙試験後の評価を行った。結果を表1に示す。
但し、比較例5及び6の感光体は、通紙試験中に表面層〜感光層にかけて剥離が生じたため通紙試験を中止した。
Figure 0004969959
・残像評価用の画像パターン
評価用の画像パターンとして、図4に示す残像用パターンを用意した。図4中、(701)の部分は白部、(702)の部分は黒ベタ部、(703)の部分はハーフトーン部、(704)の部分は、黒ベタ部(702)に起因する残像が出現する部分である。
・残像評価方法
残像用パターンを10枚出力し、10枚目を評価した。残像の評価は、X−Rite社製分光濃度計X−Rite508を用いた。残像用パターンの画像中、残像が出現しえる部分(704)の濃度からハーフトーンの部分(703)の濃度を差し引いた濃度を測定し、5点の平均値ΔIDを求めた。また、比較例5の感光体は、通紙試験中に表面層〜感光層にかけて剥離が生じたため通紙試験を中止した。
また、ΔIDが0.025以上であるものは、本発明の効果が十分に得られていないと判断した。
Figure 0004969959

以上の結果から、本発明の実施例1〜10の電子写真感光体において、初期、5万枚後とも安定して良好な機内電位を示しており、残像に対しても十分に効果があることが分かる。これに対し、比較例1〜6においては初期機内電位の明部電位が高く、5万枚後において明部電位の大きな上昇が見られ、残像に対しても初期も悪く、更に5万枚通紙試験後においては更に劣化していることが分かる。
本発明の電子写真感光体を表わす断面図である。 本発明の電子写真装置を説明するための概略図である。 電子写真装置用プロセスカートリッジの1例を示す概略図である。 本発明の残像評価用の画像パターンを示した図である。
符号の説明
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電ローラ(帯電部材)
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブラシ
31 導電性支持体
32 電荷発生層
33 電荷輸送層1
34 電荷輸送層2
35 電荷輸送性架橋表面層
101 感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 転写体
106 転写手段
107 クリーニング手段
701 白部に起因する残像が出現する部分
702 黒ベタ部に起因する残像が出現する部分
703 ハーフトーン部に起因する残像が出現する部分
704 黒ベタ部に起因する残像が出現する部分

Claims (11)

  1. 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層1、電荷輸送層2、電荷輸送性架橋表面層を順に積層してなる電子写真感光体であって、該電荷輸送層1と電荷輸送層2が少なくとも電荷輸送物質と熱可塑性樹脂を含有し、電荷輸送層1と電荷輸送層2が含有する熱可塑性樹脂が異なり、電荷輸送層2の電荷輸送物質含有が電荷輸送層1の電荷輸送物質含有率より多いことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記電荷輸送層1の電荷輸送物質含有が熱可塑性樹脂に対して50〜150質量%であり、電荷輸送層2の電荷輸送物質含有率が電荷輸送層1の電荷輸送物質含有率の1.4倍以上3倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記電荷輸送層2がスプレー塗工により形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 電荷輸送層1が含有する前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂であり、電荷輸送層2が含有する前記熱可塑性樹脂がポリアリレート樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電子写真感光体。
  5. 電荷輸送層が含有する前記熱可塑性樹脂がポリアリレート樹脂であり、電荷輸送層2が含有する前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記電荷輸送性架橋表面層が、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性モノマーと3官能以上のラジカル重合性モノマーの重合生成物を含有することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の電子写真感光体。
  7. 前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性モノマーと3官能以上のラジカル重合性モノマーのラジカル重合性官能基がアクリロイロオキシ基又はメタクリロイロオキシ基であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の電子写真感光体。
  8. 前記電荷輸送性架橋表面層が光エネルギー照射手段によって硬化したものであることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の電子写真感光体。
  9. 請求項1乃至8の何れかに記載の電子写真感光体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行うことを特徴とする画像形成方法。
  10. 請求項1乃至8の何れかに記載の電子写真感光体を有することを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項1乃至8の何れかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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