JP2006111793A - 藍入り石けんとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】藍の種子中の水溶性成分を熱水で抽出し、この水溶液に葉藍を発酵して溶出した沈殿藍と水酸化ナトリウムを溶解する。葉藍の油溶性成分をオリーブ油などの植物油で煮出し、この藍の油溶性成分含有植物油と前述の水溶液をかき混ぜながら混合してケン化し、型枠に入れ、所定温度で静置して固化して石鹸を作る。なお、これらの抽出成分はそれぞれ単独、あるいは、組み合わせ、濃度を変えて任意の組成の石鹸を作ることも可能である。
Description
例えば、入浴、洗顔に用いる肌に優しいミネラル含有石けんとして麦飯石やウコンを添加した石けん(特許文献1)、よもぎ抽出液、魚由来のコラーゲンと塩化マグネシウム等海洋ミネラルを加えた薬用石けん(特許文献2)、石けん基材にハーブ粉末を添加したハーブ石けん(特許文献3)、化粧石けん基材に木酢液あるいは竹酢液を加えた石けん(特許文献4)、化粧石けん基材に酢を加えた石けん(特許文献5)、クマザサ抽出成分を含有する化粧石けん(特許文献6)等が提案されている。
藍は肌に優しい天然染料としてその良さが見直され、注目されるようになり、染毛剤としての利用が提案(特許文献6、7、8)されている。この他、藍の中には抗菌性物質が存在する溶媒抽出が行われている(特許文献9、10、11)。皮膚の炎症を止める機能があることから生理パッドに利用する特許などが提案されている(特許12)。特許等を調べたが、藍成分の石けんへの応用は提案されていない。
藍の機能に着目し、石けんへの添加を試み、石けんの製造を鋭意研究してきたところである。
藍の色は水に溶けないために、発酵させて可溶化して取り出されており、ハーブのように乾燥粉末化して固化・成型時に添加しても機能発現は期待できない。葉藍成分による機能発現を期待するためには可溶化し、添加する必要があるが、ジクロロメタンやエーテルなどの有機溶媒抽出した場合、有機溶媒の除去などの課題が残る。
(1)アルカリと植物油を原料とする石けんの製造において、石けん原料に入れる藍として、沈殿藍、乾燥葉藍の油抽出成分、および藍種子の水抽出成分からなる群から選ばれる一以上を用いることを特徴とする藍入り石けんの製造方法。
(2)前記沈殿藍が、葉藍を発酵させ、色素を溶解させた後、アルカリを加えて沈殿させた沈殿藍であって、それを溶解した水溶液に水酸化ナトリウムを溶かしたものをアルカリ原料として用いることを特徴とする(1)の藍入り石けんの製造方法。
(3)前記藍種子の水抽出成分が、藍の種子を水に入れ、煮沸して水溶性成分を煮出した水溶液であって、それを溶解した水溶液に水酸化ナトリウムを溶かしたものをアルカリ原料として用いることを特徴とする(1)の藍入り石けんの製造方法
(4)前記沈殿藍および藍種子の水抽出成分が、藍の種子を水に入れ、煮沸して水溶性成分を煮出した水溶液に、葉藍を発酵させ色素を溶解させた後アルカリを加えて沈殿させた沈殿藍と水酸化ナトリウムを溶かし、それをアルカリ原料として用いることを特徴とする(1)の藍入り石けんの製造方法
(5)前記乾燥葉藍の油抽出成分が、乾燥した葉藍を石けん原料である植物油に入れ、加熱・煮出し、葉藍中の油溶性成分を溶解させ、不溶性成分をろ過除去した植物油であって、それを植物油原料として用いることを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかの藍入り石けんの製造方法。
(6)沈殿藍、乾燥葉藍の油抽出成分、および藍種子の水抽出成分を単独にあるいは複数あるいはすべてを用いて製造することにより藍色等の青色系統、白色系統、黄色系統、紫色系統の色彩を表現し、あるいは各色の濃淡を調節し、藍染をイメージ出来る色彩的にも美しい石けんを製造することを特徴とする(1)ないし(5)のいずれかの藍入り石けんの製造方法。
(7)全体が藍入りであり、デザイン構成の組み合わせにより幾何学的な模様を構成する(6)の藍入り石けんの製造方法。
(8)(1)ないし(7)に記載した方法で製造したしたことを特徴とする藍成分入り植物油石けん。
精製水で藍の種子を煮沸して水溶性成分を溶出させた水溶液、葉藍を発酵させて生成した沈殿藍、乾燥藍をもう一つの原料である植物油で煮出した油溶性成分を含有した植物油などを用いる。本発明では葉藍や種子中の水溶性成分、油溶性成分、発酵により溶出し出来る成分を利用するもので、藍の成分を余すところなく利用するもので、藍の持つ機能の発現が期待される。
藍の種子を水で煮出した水溶液に沈殿藍を混合し、次いで、水酸化ナトリウムを溶解させる。この水溶液と葉藍からに油溶性成分を煮出した植物油を等温に加温して、かき混ぜながら混合し、ケン化反応を進行させ、得られた粘凋な均一混合物を型に入れて所定温度に保温しながら静置して固化・成型して石けんを製造する。
なお、藍成分の利用方法として、先に記載した3つの藍抽出物を単独にあるいは複数あるいはすべてを混合して藍入り石けんを製造することができる。沈殿藍、乾燥葉藍の油抽出成分、および藍種子の水抽出成分を単独にあるいは複数あるいはすべてを用いて製造することにより藍色等の青色系統、白色系統、黄色系統、紫色系統の色彩を表現し、あるいは各色の濃淡を調節し、藍染をイメージ出来る色彩的にも美しい石けんを製造することができる。
本発明では藍種子中の水溶性物質、葉藍の発酵溶出成分及び油溶解成分をすべて利用するもので、植物油の持つ洗浄性等の機能に加えて、藍の持つ機能がすべて付加され、人の肌に対してより優しく、敏感肌の人にも優しい石けんが製造できる。藍は肌に優しいだけでなく、肌やタオルなどの布についても染まらない等の機能を有している。
アレルギー体質の肌にも優しく、抗菌性などの効果も期待できるなど新しい化粧石けんとして有効であると考えている。
藍色を抽出するためには、葉藍を水に浸漬して発酵させ、残存する葉を濾し取り、消石灰を撹拌しながら添加する。泡が出なくなったら静置して、沈殿すると上澄みを捨てて沈殿藍を取り出し、スラリー状として利用あるいは乾燥粉末として利用する場合がある。この沈殿藍を石けんの製造工程に使用するものである。
また、乾燥葉藍を石けん原料の植物オイル中に入れ、所定時間加熱して、葉藍中の油性成分を抽出し、冷却後、葉をすべて濾して除去する。このように藍抽出油を用いて石けんを製造するものである。
オリーブオイル、パームオイル、大豆油などの植物油あるいはこの混合油を加熱して40℃程度に保ちながら等温の藍入り水酸化ナトリウム水溶液を撹拌下添加して、ケン化させる。粘凋溶液を型枠に入れ、保温箱で覆い所定時間放置して固化させて、石けんを製造するものである。
なお、種子中の水溶性成分を含有する水溶液と沈殿藍を利用して石けんを製造する場合、種子水溶性成分を含有する水溶液に水酸化ナトリウムを溶解し、植物油と混合してケン化させ、型枠に入れる直前の粘凋溶液に沈殿藍を混合して固化すると青色系統の石けんが製造できる。
上記方法により製造した石けんの各種類を化粧箱へ梱包し視覚的にも様々な色彩を楽しめる機能も有するものである。
407gのオリーブ油と120gのココナッツ油と63gのパーム油と44gのシアバターの混合植物油を所定温度(40℃)に加温し、同温度に加温した藍入りの水酸化ナトリウム水溶液をかき混ぜながら添加する。さらに粘凋になるまでかき混ぜながらケン化させる。つぎに45gの阿波藍の沈殿藍を添加し、さらにかき混ぜ混合させ成型用の型枠に流し込み、保温箱に所定時間(24時間)静置する。
得られた石けんは藍色で、泡立ち、水切れが良く、肌になめらかで、刺激がなく、使用後の肌はしっとりし、保湿性がよく、タオルなどにも藍が残らなかった。
次いで、この石けんを使用による着色残留性、すなわち、タオル等への色のこりを上記の装置を使用して測定した。
これらの石けんを白色のタオルにこすりつけて洗濯し、良く水洗いした後乾燥した。これを5回繰り返した後の色を未使用のタオルと比較した。その結果を表2(石けん5回使用後のタオル色)に示す。タオルの色はほぼ未処理のものと同じであり、タオルには藍色が着色しないことが分かった。
本発明では藍の機能性成分を3種類の方法で抽出し、それらの成分を有効に利用するものであり、且つ、これらの操作は工業的に簡易であり、実用的なプロセスである。すべて天然物を利用した肌に優しい石けんである。
藍の種子の水溶性成分を熱水で抽出し、葉藍から抽出した沈殿藍、葉藍中の油性成分を植物油中で加熱溶出させる。これらの成分を適宜混合して藍入り石けんを製造するもので、藍中の水溶性、油溶性成分のすべてを利用するものであり、藍の持つ上記機能をすべて有する石けんが期待される。
本発明の石けんは、機能面のみならず藍色等の青色系統、白色系統、黄色系統、紫色系統の色彩を表現でき、該美しい色合を組み合わせて模様を構成する藍染をイメージ出来る色彩的にも美しい石けんとして消費者に届けることができる。また、各種類を化粧箱へ梱包し視覚的にも様々な色彩を楽しめる石けん包装品として、消費者に届けることができる。
Claims (8)
- アルカリと植物油を原料とする石けんの製造において、石けん原料に入れる藍として、沈殿藍、乾燥葉藍の油抽出成分、および藍種子の水抽出成分からなる群から選ばれる一以上を用いることを特徴とする藍入り石けんの製造方法。
- 前記沈殿藍が、葉藍を発酵させ、色素を溶解させた後、アルカリを加えて沈殿させた沈殿藍であって、それを溶解した水溶液に水酸化ナトリウムを溶かしたものをアルカリ原料として用いることを特徴とする請求項1の藍入り石けんの製造方法。
- 前記藍種子の水抽出成分が、藍の種子を水に入れ、煮沸して水溶性成分を煮出した水溶液であって、それを溶解した水溶液に水酸化ナトリウムを溶かしたものをアルカリ原料として用いることを特徴とする請求項1の藍入り石けんの製造方法。
- 前記沈殿藍および藍種子の水抽出成分が、藍の種子を水に入れ、煮沸して水溶性成分を煮出した水溶液に、葉藍を発酵させ色素を溶解させた後アルカリを加えて沈殿させた沈殿藍と水酸化ナトリウムを溶かし、それをアルカリ原料として用いることを特徴とする請求項1の藍入り石けんの製造方法。
- 前記乾燥葉藍の油抽出成分が、乾燥した葉藍を石けん原料である植物油に入れ、加熱・煮出し、葉藍中の油溶性成分を溶解させ、不溶性成分をろ過除去した植物油であって、それを植物油原料として用いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの藍入り石けんの製造方法。
- 沈殿藍、乾燥葉藍の油抽出成分、および藍種子の水抽出成分を単独にあるいは複数あるいはすべてを用いて製造することにより藍色等の青色系統、白色系統、黄色系統、紫色系統の色彩を表現し、あるいは各色の濃淡を調節し、藍染をイメージ出来る色彩的にも美しい石けんを製造することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかの藍入り石けんの製造方法。
- 全体が藍入りであり、デザイン構成の組み合わせにより幾何学的な模様を構成する請求項6の藍入り石けんの製造方法。
- 請求項1ないし7に記載した方法で製造したしたことを特徴とする藍成分入り植物油石けん。
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