JP2006111471A - 重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置 - Google Patents

重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な真球度と均一な粒径とを有する燃料核粒子を得ることのできる重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置を提供すること。
【解決手段】硝酸ウラニル溶液を調製する硝酸ウラニル溶液調製槽、前記硝酸ウラニル溶液調製槽で調製された硝酸ウラニル溶液と増粘剤とを含有する重ウラン酸アンモニウム粒子製造用の原液を調製する原液調製槽および前記原液調製槽で調製された前記原液をアンモニア水溶液に滴下して重ウラン酸アンモニウム粒子を形成させるアンモニア水溶液貯槽を備えた重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置であって、前記硝酸ウラニル溶液調製槽と前記原液調製槽とを接続する硝酸ウラニル溶液移送管および前記原液調製槽と前記アンモニア水溶液貯槽とを接続する原液移送管に、それぞれ濾過器を備えて成ることを特徴とする重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置。
【選択図】図1

Description

この発明は、重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置に関し、さらに詳しくは、良好な真球度と均一な粒径とを有する燃料核粒子を得ることのできる重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置に関する。
高温ガス炉の燃料を投入する炉心は、熱容量が大きく、高温健全性に優れた黒鉛により形成されている。この高温ガス炉においては、冷却ガスとして、高温下でも化学反応を起こすことがなく、安全性の高いヘリウムガスなどの気体が用いられているので、出口温度が高い場合でも、冷却ガスを安全に取り出すことができる。したがって、炉心の温度が900℃程度まで上昇したとしても、高温に加熱された前記冷却ガスは、発電はもとより、水素製造装置、その他の化学プラントなど、幅広い分野において、安全な熱利用を可能としている。
また、この高温ガス炉に投入される高温ガス炉用燃料は、一般的に、燃料核とこの燃料核の周囲を被覆する被覆層とを備えて成る。燃料核は、例えば、二酸化ウランをセラミックス状に焼結して成る直径約350〜650μmの微粒子である。
前記被覆層は、4層構造をなし、燃料核表面側より、第一層、第二層、第三層および第四層を有している。第一層は、密度約1g/cmの低密度熱分解炭素により形成され、ガス状の核分裂生成物(FP)のガス溜めとしての機能を有すると共に、燃料核のスウェリングを吸収するバッファとしての機能をも有している。第二層は、密度約1.8g/cmの高密度熱分解炭素により形成され、ガス状FPの保持機能を有している。第三層は、密度約3.2g/cmの炭化珪素(SiC)により形成され、固体FPの保持機能を有し、被覆層の主要な強度部材である。また、第四層は、密度約1.8g/cmの高密度熱分解炭素により形成され、ガス状FPの保持機能を有すると共に、第三層の保護層としての機能をも有している。これら被覆層を形成する被覆粒子の直径は、通常は、約500〜1500μmである。
前記4層の被覆層により被覆された燃料核(被覆燃料粒子)は、黒鉛マトリックス中に分散され、一定形状の燃料コンパクトの形態に成型加工され、さらにこの燃料コンパクトは、黒鉛により形成された筒に一定数量収容され、上下に栓をして、燃料棒の形態とされる。最終的には、この燃料棒は、六角柱型黒鉛ブロックが有する複数の挿入口に入れられ、この六角柱型黒鉛ブロックを多数個、ハニカム状に配列し、複数段重ねることによって炉心が形成される。
このような高温ガス炉用燃料は、一般的に、以下のような工程を経ることによって製造することができる。まず、酸化ウラン粉末を硝酸に溶解して硝酸ウラニル溶液を調製する。次いで、この硝酸ウラニル溶液と増粘剤含有水溶液とを混合し、重ウラン酸アンモニウム粒子製造用原液(以下、単に「原液」ということがある。)を調製する。増粘剤は、後記のアンモニア水溶液中に滴下される原液である硝酸ウラニルの液滴の粘度を調整するために添加される物質である。
前記増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、アルカリ条件下で凝固する性質を有する樹脂、ポリエチレングリコール、メトローズなどを挙げることができる。このようにして調製された原液は、所定の温度に冷却された後、原液滴下器が有する細径の原液滴下ノズルから、このノズルを振動させることによってアンモニア水溶液貯槽内のアンモニア水溶液中に滴下される。
アンモニア水溶液中に滴下される液滴には、アンモニア水溶液表面に達するまでの空間において、アンモニアガスが吹きかけられる。このアンモニアガスによって液滴表面がゲル化して被膜が形成されるので、ゲル被膜が形成された液滴粒子は、アンモニア水溶液表面に落下する際の衝撃による変形が防止され、アンモニア水溶液貯槽内のアンモニアと反応して重ウラン酸アンモニウム粒子が形成される。形成された重ウラン酸アンモニウム粒子が、アンモニア水溶液貯槽内の下部に堆積していく。形成された重ウラン酸アンモニウム粒子が堆積した状態のままにしておくと、重ウラン酸アンモニウム粒子の堆積における上部に位置する重ウラン酸アンモニウム粒子の荷重により下の重ウラン酸アンモニウム粒子が変形してしまう。そこで、重ウラン酸アンモニウム粒子の堆積により下部に位置する重ウラン酸アンモニウム粒子に変形が生じないように、換言すると重ウラン酸アンモニウム粒子が堆積したままにならないように、アンモニア水溶液貯槽内のアンモニア水溶液においては、アンモニア水溶液貯槽の下側から上側に向かう液流が形成されている。
アンモニア水溶液貯槽において形成された重ウラン酸アンモニウム粒子は、アンモニア水溶液貯槽に続設された後処理装置に移送される。この重ウラン酸アンモニウム粒子の後処理装置への移送は、通常は、アンモニア水溶液貯槽と後処理装置とを繋ぐ配管の弁を開放し、自重によりアンモニア水溶液と共に落下させることによって行われる。この後処理装置は、後処理槽を回転させながら、加熱により粒子の中心まで完全に硝酸ウラニルとアンモニアとを反応させて重ウラン酸アンモニウムを生成させる処理(熟成処理)、温水などにより重ウラン酸アンモニウム粒子を洗浄する処理(洗浄処理)および乾燥する処理(乾燥処理)を施す装置である。
熟成、洗浄および乾燥処理された重ウラン酸アンモニウム粒子は、大気中で焙焼され、三酸化ウラン粒子となる。さらに、この三酸化ウラン粒子は、還元および焼結することにより、高密度のセラミックス状の二酸化ウラン粒子となる。このようにして形成された二酸化ウラン粒子は分級され、所定の粒子径を有する燃料核粒子として得られる。
このようにして得られた燃料核粒子は、流動床に装荷され、被覆用ガスを熱分解することによって被覆が施される。例えば、前記第一層は、約1400℃でアセチレンを熱分解することによって形成することができ、前記第二層および第四層は、約1500℃でプロピレンを熱分解することによって形成することができる。また、例えば、前記第三層は、約1600℃でメチルトリクロロシランを熱分解することによって形成することができる。通常の燃料コンパクトは、被覆燃料粒子を黒鉛粉末および粘結剤などから成る黒鉛マトリックス材と共に中空円筒状または中密円筒状にプレス成型またはモールド成型した後、焼成して製造することができる。(非特許文献1および2参照)。
「原子炉材料ハンドブック」p221−p247,昭和52年10月31日発行、日刊工業新聞社発行 「原子力ハンドブック」p161−p169,平成7年12月20日発行、株式会社オーム社
ところが、このような高温ガス炉用燃料の製造工程のうち、酸化ウラン粉末を硝酸に溶解して調製した硝酸ウラニル溶液に増粘剤を添加、混合して得られる重ウラン酸アンモニウム粒子製造用原液をアンモニア水溶液中に滴下する際に、定常無脈動ポンプを使用したとしても送液に脈動を生じるという問題があった。この送液の脈動は、アンモニア水溶液中において形成される重ウラン酸アンモニウム粒子の真球度を悪化させる原因となっていた。また、不均一な粒径を有する重ウラン酸アンモニウム粒子を形成する原因ともなっていた。
アンモニア水溶液中において形成される重ウラン酸アンモニウム粒子の真球度が低劣であり、不均一な粒径分布を有する場合、その後の熟成、洗浄、乾燥、焙焼、還元および焼結の各処理工程を経て得られる燃料核粒子も、真球度が低劣となり、また、不均一な粒径を有する粒子とならざるを得なかった。
この発明は、このような従来の問題を解消し、良好な真球度と均一な粒径とを有する燃料核粒子を得ることのできる重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置を提供することをその課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するために、酸化ウラン粉末を硝酸に溶解して硝酸ウラニル溶液を調製する工程および硝酸ウラニル溶液と増粘剤とを含有する原液を調製する工程において、送液に脈動を生じさせない手段について検討した結果、特定個所に濾過器を備えることによって、前記課題が解決できるということを見出し、この知見に基づいてこの発明を完成するに到った。
すなわち、この発明の前記課題を解決するための手段は、
硝酸ウラニル溶液を調製する硝酸ウラニル溶液調製槽、前記硝酸ウラニル溶液調製槽で調製された硝酸ウラニル溶液と増粘剤とを含有する重ウラン酸アンモニウム粒子製造用の原液を調製する原液調製槽および前記原液調製槽で調製された前記原液をアンモニア水溶液に滴下して重ウラン酸アンモニウム粒子を形成させるアンモニア水溶液貯槽を備えた重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置であって、前記硝酸ウラニル溶液調製槽と前記原液調製槽とを接続する硝酸ウラニル溶液移送管および前記原液調製槽と前記アンモニア水溶液貯槽とを接続する原液移送管に、それぞれ濾過器を備えて成ることを特徴とする重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置
である。
この発明の前記手段における好ましい態様としては、
前記硝酸ウラニル溶液移送管に備えられた濾過器の目開きが1〜5μmであり、前記原液移送管に備えられた濾過器の目開きが300〜800μmである重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置
を挙げることができる。
この発明の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置は、硝酸ウラニル溶液調製槽と原液調製槽とを接続する硝酸ウラニル溶液移送管および原液調製槽とアンモニア水溶液貯槽とを接続する原液移送管に、それぞれ濾過器を備えていることから、酸化ウラン粉末を硝酸に溶解して硝酸ウラニル溶液を調製する工程における不溶性固形状の異物および硝酸ウラニル溶液と増粘剤とを混合して原液を調製する工程において存在する塊状物を取り除くことができるため、送液に脈動を生じさせることがない。
その結果、アンモニア水溶液中において形成される重ウラン酸アンモニウム粒子の真球度を良好にすることができ、また、均一な粒径を有する重ウラン酸アンモニウム粒子を形成することができるという効果を奏する。このことは、前記重ウラン酸アンモニウム粒子のその後の熟成、洗浄、乾燥、焙焼、還元および焼結の各処理工程を経て得られる燃料核微粒子の真球度をも良好に維持することができ、また、均一な粒径を有する燃料核微粒子とすることができるということに繋がるのである。
この発明の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置の一例を、図1に基づいて説明する。この発明の一例である重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置1は、酸化ウラン(U)粉末を貯留する酸化ウラン貯槽2と硝酸を貯留する硝酸貯槽3とが、硝酸ウラニル溶液を調製する硝酸ウラニル溶液調製槽4に、それぞれ酸化ウラン供給管5と硝酸供給管6によって接続されている。7−1は弁である。硝酸ウラニル溶液調製槽4の内部には、撹拌子8−1が備えられている。
前記硝酸ウラニル溶液調製槽4は、弁7−2ポンプ9−1および濾過器10−1を介して、硝酸ウラニル溶液移送管11によって重ウラン酸アンモニウム粒子製造用の原液を調製する原液調製槽12に接続されている。前記原液調製槽12には、増粘剤を貯留する増粘剤貯槽13−1および13−2が、それぞれ増粘剤供給管14−1および14−2によって接続され配置されている。7−3および7−4は弁である。
前記原液調製槽12は、弁7−5、濾過器10−2および定常無脈動ポンプ9−2を介して、原液移送管15によって原液滴下器16に接続されている。前記原液滴下器16は、原液滴下ノズル17を備え、加振器18に連設されている。前記原液滴下器16の下方には、アンモニア水溶液を貯留するアンモニア水溶液貯槽19が配置されている。
重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置1を用い、重ウラン酸アンモニウム粒子を製造するには、まず、酸化ウラン貯槽2から酸化ウラン供給管5を通じて酸化ウランを硝酸ウラニル溶液調製槽4に供給すると共に、硝酸貯槽3から硝酸供給管6を通じて硝酸を硝酸ウラニル溶液調製槽4に供給する。硝酸ウラニル溶液調製槽4に供給された酸化ウランと硝酸とは、撹拌子8−1によって撹拌、混合されて硝酸ウラニル溶液が調製される。
このときの硝酸ウラニル溶液の調製条件に特に制限はないが、硝酸(HNO)/ウラン(U)のモル比を、通常は、2.1〜2.6、好ましくは、2.3〜2.5とし、通常は、90〜140℃、好ましくは、95〜130℃で、撹拌、混合することによって調製される。
次いで、前記のとおり調製された硝酸ウラニル溶液は、弁7−2、ポンプ9−1および濾過器10−1を介し硝酸ウラニル溶液移送管11によって移送され、原液調製槽12に供給される。原液調製槽12には、さらに、増粘剤貯槽13−1および13−2から、弁7−3、7−4および増粘剤供給管14−1、14−2を通じて増粘剤水溶液が供給される。原液調製槽12に供給された硝酸ウラニル溶液と増粘剤水溶液とは、撹拌子8−2によって撹拌、混合されて重ウラン酸アンモニウム粒子製造用の原液が調製される。図1には、増粘剤貯槽が二槽(13−1および13−2)示されているが、必ずしも二槽であることを要せず、一槽であってもよく、用いる増粘剤や添加剤の種類によって、適宜、決定すればよい。
前記増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシヒニルポリマー、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、メトローズ、水溶性環状エーテルなどの水溶性高分子物質、アルカリ条件下で凝固する性質を有する樹脂などを挙げることができる。これら増粘剤は、二種以上の混合物であってもよい。
前記増粘剤は、水溶液として増粘剤貯槽に貯留され、この場合は、一槽の増粘剤貯槽13−1に貯留すればよい。また、増粘剤貯槽を二槽とし、増粘剤水溶液を増粘剤貯槽13−1に貯留すると共に、調製される原液の粘度を調整するために添加する物質として好ましく用いられるテトラヒドロフルフリルアルコールなどの添加剤と増粘剤水溶液との混合液を増粘剤貯槽13−2に貯留してもよい。
硝酸ウラニル溶液と増粘剤との混合割合、混合温度および混合時間は、用いる増粘剤の種類によって一律ではない。したがって、増粘剤の種類に基づいて、前記混合条件を適宜、決定すればよい。
前記のとおり調製された重ウラン酸アンモニウム粒子製造用の原液は、弁7−5、濾過器10−2および定常無脈動ポンプ9−2を介し原液移送管15によって移送され、原液滴下器16に供給される。原液滴下器16に供給された原液は、原液滴下器16に備えられている原液滴下ノズル17を加振器18によって振動させて、原液滴下ノズル17からアンモニア水溶液貯槽19に滴下される。
前記アンモニア水溶液貯槽19に滴下される原液の液滴には、アンモニア水溶液表面に達するまでの空間において、アンモニアガスが吹きかけられて、液滴表面がゲル化して被膜が形成された液滴となり、アンモニア水溶液中に滴下される。この被膜の形成により、アンモニア水溶液中に滴下された際の変形を回避することができる。前記アンモニア水溶液貯槽19に滴下された原液中の硝酸ウラニルは、アンモニアと反応して重ウラン酸アンモニウム粒子20を形成する。アンモニア水溶液貯槽19内に貯留されているアンモニア水溶液の濃度に特に制限はないが、通常は25〜29%、好ましくは27〜29%である。
この発明においては、前記硝酸ウラニル溶液が濾過器10−1を通過すると、残渣として濾過器10−1に前記固形状の異物が残留する。この固形状の異物は、硝酸に溶解し得なかった酸化ウラン、酸化ウランに含まれている不純物に由来する固形状の夾雑物またはこれらの混合物と推測される。
前記濾過器10−1の目開き(濾過器が有する濾材の目開き。以下、同様である。)は、1〜5μmであることが好ましい。この範囲にある目開きによって、完全に固形状の異物を取り除くことができることを経験則から知り得ている。濾過器10−1の濾材に制限はなく、金属、セラミックス、プラスチックス、布、紙などを用いることができるが、これら濾材の中でも、紙が好ましい。
前記濾過器10−1は、一基のみであってもよく、二基以上を直列的に設置してもよい。二基以上の濾過器10−1を設置する場合は、最下流に設置される濾過器10−1の目開きが、1〜5μmであることが好ましい。
前記濾過器10−1の形状などにも制限はなく、固定円筒型、回転円筒型、固定円盤型、回転円盤型など、常用の濾過器を挙げることができる。前記濾過器10−1の大きさも、重ウラン酸アンモニウム粒子の製造規模によって適宜、決定される。
また、この発明においては、前記原液が濾過器10−2を通過すると、残渣として濾過器10−2に前記塊状物が残留する。
前記濾過器10−2の目開きは、300〜800μmであることが好ましい。この範囲にある目開きによって、完全に前記塊状物を取り除くことができる。濾過器10−2の濾材について、濾過器10−1と同様に、金属、セラミックス、プラスチックス、布、紙などを用いることができるが、これら濾材の中でも、金属が好ましい。その形状および大きさについては、前記と同様である。
このようにして製造された重ウラン酸アンモニウム粒子は、その後、アンモニア水溶液と共に弁7−6を介し送液管21を通じて後処理槽(図示していない。)に送られ、この後処理槽によって、熟成処理、洗浄処理および乾燥処理が施される。さらに、後処理が施された重ウラン酸アンモニウム粒子は、焙焼、還元および焼結することによって、高密度のセラミックス状の二酸化ウラン粒子となる。この二酸化ウラン粒子は分級され、所定の粒子径を有する燃料核粒子が得られる。
重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置1は、硝酸ウラニル溶液調製槽4と原液調製槽12とを接続する硝酸ウラニル溶液移送管11および原液調製槽12とアンモニア水溶液貯槽19とを接続する原液移送管15に、それぞれ濾過器10−1および10−2を備えていることから、酸化ウラン粉末を硝酸に溶解して硝酸ウラニル溶液を調製する工程において生成する固形状の異物および硝酸ウラニル溶液と増粘剤とを含有する原液を調製する工程において存在する塊状物を取り除くことができるため、送液ポンプである定常無脈動ポンプ9−2を損傷させることがなく、送液に脈動を生じさせることがない。
その結果、アンモニア水溶液中において形成される重ウラン酸アンモニウム粒子の真球度を良好にすることができ、また、均一な粒径を有する重ウラン酸アンモニウム粒子を形成することができる。このことにより、前記重ウラン酸アンモニウム粒子のその後の熟成、洗浄、乾燥、焙焼、還元および焼結の各処理工程を経て得られる燃料核微粒子の真球度をも良好に維持することができ、また、均一な粒径を有する燃料核微粒子とすることができる。
なお、前記燃料核粒子の真球度は、ある粒子について、任意の方向から燃料核粒子の直径を多数回(例えば、50回)測定し、下記式によって求め、これを例えば、100粒子について測定し、平均真球度を算出して、評価に供する。
真球度=(測定中の最大直径)/(測定中の最小直径)
燃料核粒子の真球度は、その粒子がどの程度、真球に近いかを表す指数であり、真球に近いほど、1.00に近づく。
この発明の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置1によって製造された重ウラン酸アンモニウム粒子を用いて得られる燃料核粒子の平均真球度は、1.05よりも優れている。また、平均粒径は、定常無脈動ポンプ9−2の流速と原液滴下器17の振動数を適宜、調節することにより、例えば、粒径600μmの燃料核粒子の製造を企図するときは、598〜602μmとすることができる。
以下、実施例を挙げて、この発明をさらに具体的に説明するが、この実施例によって、この発明はなんら限定されることはない。
(実施例)
図1に示す重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置1を用い、重ウラン酸アンモニウム粒子を製造した。
まず、酸化ウラン貯槽2から酸化ウラン粉末を、硝酸貯槽3から硝酸を、それぞれ硝酸ウラニル溶液調製槽4に供給し、100℃で1.5時間、撹拌子8−1を回転させながら撹拌、混合して、硝酸ウラニル溶液(2.4mol−U/L)を調製した。
次いで、前記のとおり調製された硝酸ウラニル溶液を、ポンプ9−1を駆動して硝酸ウラニル溶液移送管11を通じ、二基の濾過器10−1(アドバンテック社製、定性濾紙No.1およびNo.131、上流の濾過器の目開き6μm、下流の濾過器の目開き3μm)によって濾過して、原液調製槽12に供給した。
前記硝酸ウラニル溶液を原液調製槽12に供給すると共に、増粘剤貯槽13−1からテトラヒドロフルフリルアルコールを、また、増粘剤貯槽13−2からテトラヒドロフルフリルアルコールを含有するポリビニルアルコール水溶液を、それぞれ原液調製槽12に供給し、15℃に冷却しながら、5時間、撹拌子8−2を回転させながら撹拌、混合して、重ウラン酸アンモニウム粒子製造用原液を調製した。この原液におけるポリビニルアルコール濃度は12.5g/L、全原液に対するテトラヒドロフルフリルアルコールの割合は45容量%であった。また、この原液の粘度は、20℃で53×10−3P・s(53cP)であった。
続いて、前記のとおり調製された原液24Lを、定常無脈動ポンプ9−2を駆動して原液移送管15を通じ、濾過器10−2(ステンレス製濾材、濾過器の目開き750μm)によって濾過して、原液滴下器16に供給した。原液滴下器16に供給された原液を、加振器18によって振動数75Hzで振動させた原液滴下ノズル17から、アンモニアガスを通過させながら液滴として、28%アンモニア水溶液を貯留するアンモニア水溶液貯槽19中に滴下させて、重ウラン酸アンモニウム粒子を形成させて製造した。
その後、前記のとおり製造された重ウラン酸アンモニウム粒子を後処理槽(図示していない。)に収容し、この後処理槽を回転させながら、80℃で1時間、熟成処理した後、80℃の水によって洗浄処理し、さらに、100℃で3時間、乾燥処理して、乾燥重ウラン酸アンモニウム粒子を得た。
前記硝酸ウラニル溶液の調製から乾燥重ウラン酸アンモニウム粒子の製造までの一連の作業を連続して10バッチ実施し、製造された乾燥重ウラン酸アンモニウム粒子を分級(真球度選別および粒径選別)した結果、乾燥重ウラン酸アンモニウム粒子の平均真球度は1.04、1000μmの平均粒径を有する重ウラン酸アンモニウム粒子の歩留まりは、99.6質量%であった。真球度1.2を越える重ウラン酸アンモニウム粒子は、100粒子をサンプリングして調査した際は、一切、認められなかった。
(比較例)
濾過器10−1および濾過器10−2を設置しない図1に示す重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置1を用い、重ウラン酸アンモニウム粒子を製造した以外は、実施例と同様にした。その結果、原液を、定常無脈動ポンプ9−2を駆動して原液移送管15を通じ、原液滴下器16に供給する工程において、原液の送液に脈動を生じた。作業終了後、定常無脈動ポンプ9−2を分解して調査したところ、0.3mm程度の外径を有する塊状の増粘剤と思われる塊状物が、定常無脈動ポンプ9−2部品に噛み込んでいることが確認された。
製造された重ウラン酸アンモニウム粒子を分級(真球度選別および粒径選別)した結果、真球度1.2を越える重ウラン酸アンモニウム粒子は、100粒子をサンプリングして調査したところ、5粒子が認められた。
図1は、この発明の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置の一例を示す図である。
符号の説明
1 重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置
2 酸化ウラン貯槽
3 硝酸貯槽
4 硝酸ウラニル溶液調製槽
5 酸化ウラン供給管
6 硝酸供給管
7 弁
8 撹拌子
9 ポンプ
9−2 定常無脈動ポンプ
10 濾過器
11 硝酸ウラニル溶液移送管
12 原液調製槽
13 増粘剤貯槽
14 増粘剤供給管
15 原液移送管
16 原液滴下器
17 原液滴下ノズル
18 加振器
19 アンモニア水溶液貯槽
20 重ウラン酸アンモニウム粒子
21 送液管

Claims (2)

  1. 硝酸ウラニル溶液を調製する硝酸ウラニル溶液調製槽、前記硝酸ウラニル溶液調製槽で調製された硝酸ウラニル溶液と増粘剤とを含有する重ウラン酸アンモニウム粒子製造用の原液を調製する原液調製槽および前記原液調製槽で調製された前記原液をアンモニア水溶液に滴下して重ウラン酸アンモニウム粒子を形成させるアンモニア水溶液貯槽を備えた重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置であって、前記硝酸ウラニル溶液調製槽と前記原液調製槽とを接続する硝酸ウラニル溶液移送管および前記原液調製槽と前記アンモニア水溶液貯槽とを接続する原液移送管に、それぞれ濾過器を備えて成ることを特徴とする重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置。
  2. 前記硝酸ウラニル溶液移送管に備えられた濾過器の目開きが1〜5μmであり、前記原液移送管に備えられた濾過器の目開きが300〜800μmである請求項1に記載の重ウラン酸アンモニウム粒子の製造装置。
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