JP2006110213A - 配管洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 配管の内側を過硫酸塩又は過硫酸塩と界面活性剤を含有する水溶液に接触させた後、過硫酸塩、界面活性剤及び過炭酸アルカリ塩を含有する水溶液に接触させる。
【選択図】 なし
Description
ところが、浴湯が加温加圧された状態で常時流れている配管の内壁には、前記の有機物や生物膜等の汚れが強固に付着堆積し、更には浴湯中に天然温泉水や入浴剤に由来するカルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン等の鉱物イオンが溶解している場合には、それらの鉱物イオンがスケールとなって前記の汚れと共に一層強固に付着堆積するので、汚水が排水管内を自然落下しながら付着した汚れを洗浄する場合とは異なって、より強力な洗浄方法が望まれていた。
しかしながら、これらの洗浄剤や洗浄方法は、本願発明の特徴である、過硫酸塩又は過硫酸塩と界面活性剤を含有する水溶液に接触させた後、過硫酸塩、界面活性剤及び過炭酸アルカリ塩を含有する水溶液に接触させるという技術思想とは全く異なったものであり、未だ満足すべき洗浄効果が得ることができなかった。
また、界面活性剤を陰イオン系界面活性剤とすることにより、更に洗浄効果を高めることができる。
本発明に使用する過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸水素ナトリウム、過硫酸水素カリウム等が挙げられるが、過硫酸水素カリウムの複塩として知られるデュポン社製の商品名「OXONE」(2KHSO5・KHSO4・K2SO4)が容易に人手できるので好ましい。これらの過硫酸塩は、水溶液中で酸性を呈し、過酸化水素を遊離させるので、優れた酸化力を発揮する。
洗浄液中の過硫酸塩の濃度は、0.05〜5重量%であることが好ましい。
洗浄液中の過炭酸アルカリ塩の濃度は、0.05〜5重量%であることが好ましい。
陰イオン系界面活性剤、
非イオン系界面活性剤、
陽イオン系界面活性剤、
両性イオン系界面活性剤の任意のものを1種以上用いることができるが、陰イオン系の界面活性剤が好ましい。
脂肪族モノカルボン酸塩、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、
N−アルシルサルコシン塩、
N−アシルグルタミン酸塩等のカルボン酸型の陰イオン系界面活性剤、
ジアルキルスルホコハク酸塩、
アルキルスルホン酸塩、
アルファオレフィンスルホン酸塩、
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、
アルキル(分岐型)ベンゼンスルホン酸塩、
ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、
アルキルナフタレンスルホン酸塩、
N−メチル−N−アシルタウリン塩等のスルホン酸型の陰イオン系界面活性剤、
アルキル硫酸エステル塩(アルキル硫酸塩)、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、
油脂硫酸エステル塩(硫酸化油)/ヒマシ油硫酸化油(ロート油)等の硫酸エステル型の陰イオン系界面活性剤、
アルキルリン酸塩、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル型の陰イオン系界面活性剤などが挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
グリセリン脂肪酸エステル、
ソルビタン脂肪酸エステル、
しょ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、
アルキルトリエチルアンモニウムクロリド、
ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、
アルキルピリジニウムクロリド、
その他の第四級アンモニウム塩型の陽イオン系界面活性剤が挙げられる。
アルキルカルボキシベタイン、
アルキルスルホキシベタイン、
アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン、
アルキルアミドアミン型ベタイン、
アルキルイミダゾリン型ベタイン等が挙げられる。
次いで、この水溶液に過炭酸アルカリ塩を所定濃度になるように追加投入し、更に10〜120分間に渡って洗浄を継続すればよい。
前記の界面活性剤は、過硫酸塩を溶解させる際に投入してもよいし、過炭酸塩を溶解させる際に投入してもよい。
本発明は、酸性酸化剤である過硫酸塩とアルカリ性酸化剤である過炭酸アルカリ塩を併用する洗浄方法であるが、配管内側に付着した汚れに、予め過硫酸塩を溶解させた水溶液に接触させた後に、過硫酸塩と過炭酸アルカリ塩の両者を溶解させた水溶液に接触させる点に特徴がある。
本発明者等の知見によれば、汚れを
(1)過硫酸塩と過炭酸アルカリ塩の両者を溶解させた水溶液に接触させたのみの場合や、
(2)過炭酸アルカリ塩を溶解させた水溶液に接触させた後、過炭酸アルカリ塩と過硫酸塩の両者を溶解させた水溶液に接触させた場合には、
汚れの洗浄効果が十分に得られなかった。
(3)過硫酸塩の代わりにコハク酸のような有機酸を溶解させた水溶液(pH:酸性)に接触させた後、有機酸と過炭酸アルカリ塩を溶解させた水溶液(pH:アルカリ性)で接触させた場合や、
(4)過硫酸塩を溶解させた水溶液(pH:酸性)に接触させた後、過炭酸アルカリ塩を溶解させた水溶液(pH:アルカリ性)に接触させた場合においても、
満足すべき洗浄効果が得られなかった。このような事実は、洗浄工程において、水溶液のpHを酸性側からアルカリ側に変化させることが、洗浄効果を高めるための大きな要因ではないことを示している。
しかしながら、予め過硫酸塩を汚れに接触させておくことが重要なポイントであるところから、汚れの内部に過硫酸塩が浸透し、この状態で更に過炭酸アルカリ塩が汚れに接触すると、汚れの内部で発泡が起こり、強固に付着堆積した汚れが物理的に剥離したり、あるいは脆くなることが予想される。そして、汚れの内部での発泡と同時に、汚れの近傍を流動している大量の微細な泡により、前記の剥離や脆くなった汚れの粉砕が促進されていると考えられる。
なお、実施例及び比較例で使用した洗浄液の原料ならびに評価試験方法は次のとおりである。
(1) 過硫酸塩
・過硫酸水素カリウムの複塩(デュポン社製、「OXONE」)
(2) 陰イオン系界面活性剤
・ラウリル硫酸ナトリウム(花王社製、「エマール10」)
(3) 非イオン系界面活性剤
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル(第一工業製薬製、「DKS NL−600」)
・ポリオキシアルキレンラウリルエーテル(第一工業製薬製、「DKS NL-Dash400」)
・ポリオキシアルキレンデシルエーテル(第一工業製薬製、「ノイゲン XL」)
(4) 陽イオン系界面活性剤
・塩化ベンザルコニウム(花王製、日本薬局方濃塩化ベンザルコニウム液50、「サニゾールC」)
・塩化セチルピリジニウム(和光純薬工業社製、試薬)
(5) 過炭酸アルカリ塩
・過炭酸ナトリウム(キシダ化学製、試薬)
・過炭酸ナトリウム(顆粒品、旭電化工業製、「CPC−A」、粒子の表面が陰イオン系の界面活性剤である硫酸化ヒマシ油とオレイン酸ナトリウムでコーティングされたもの。硫酸化ヒマシ油とオレイン酸ナトリウムの含有量は、共に0.1重量%である。)
(6) 有機酸
・コハク酸(和光純薬工業製、試薬1級)
酢酸カルシウム5g、硝酸マグネシウム1.5gおよび石ケン5gを水500mlに溶解させ、沈澱生成した金属石ケンを濾取し、これを200mlのイソプロピルアルコールに溶解し、牛脂70重量%、パラフィン25重量%、スクアレン重量3%およびコレステロール重量2%からなる人工皮脂5gを加えて人工湯垢とした。
なお、人工湯垢の調製に使用した薬剤は、以下のとおりである。
・酢酸カルシウム(和光純薬工業製、試薬特級)
・硝酸マグネシウム(和光純薬工業製、試薬)
・石ケン(日本油脂社製、「ノンサールPN−1パウダー」)
・イソプロピルアルコール(和光純薬工業製、試薬特級)
・牛脂(和光純薬工業製、試薬)
・パラフィン(和光純薬工業製、試薬)
・スクアレン(和光純薬工業製、試薬特級)
・コレステロール(和光純薬工業製、試薬特級)
この人工湯垢を、スライドガラス〔76×26×1.2mm(厚さ)〕に塗布、乾燥して、人工湯垢が0.1〜0.2mmの厚みで付着した評価試験用の試験片を作成した。
上記の試験片を使用して、実施例、比較例に示した洗浄試験を行った後、試験片を引き上げて乾燥し、人工湯垢の剥離量を測定し、次式に従って洗浄率(%)を算出し、洗浄性を評価した。
洗浄率(%)=(剥離面積/人工湯垢塗布面積)×100
なお、洗浄率が90%の場合をAランク、70%以上90%未満の場合をBランク、30%以上70%未満をCランク、10%以上30%未満をDランク、10%未満をEランクと評価した。
水500mlに、過硫酸水素カリウムの複塩と、表1に記載の界面活性剤を投入し溶解させて、各々の濃度が表1に示した濃度となる洗浄液を調製した(pH:表1参照)。この洗浄液を25℃に温調し撹拌しながら、前記の評価試験用の試験片を洗浄液に浸漬して30分間洗浄した。次いで、この洗浄液に過炭酸ナトリウム(キシダ化学製、試薬)をその濃度が表1の濃度となるように追加投入して溶解させ(pH:表1参照)、更に試験片の洗浄を30分間継続した。
洗浄終了後の試験片の洗浄性の評価結果は、表1に示したとおりであった。
過炭酸ナトリウムを表1に示した濃度となる洗浄液を500ml調製した(pH10.4)。この洗浄液を25℃に温調し撹拌しながら、試験片を洗浄液に浸漬して30分間洗浄した。次いで、この洗浄液に過硫酸水素カリウムの複塩およびラウリル硫酸ナトリウムを表1に示した濃度となるように追加投入して溶解させ(pH9.7)、更に試験片の洗浄を30分間継続した。
洗浄終了後の試験片の洗浄性の評価結果は、表1に示したとおりであった。
過硫酸水素カリウムの複塩、ラウリル硫酸ナトリウムおよび過炭酸ナトリウムを表1に示した濃度となるように一度に溶解させた洗浄液を500ml調製し(pH9.6)、25℃に温調した後、試験片を浸漬し、洗浄液を60分間撹拌して、試験片の洗浄を行った。
洗浄終了後の洗浄性の評価結果は、表1に示したとおりであった。
過炭酸ナトリウムを使用せずに、過硫酸水素カリウムの複塩とラウリル硫酸ナトリウムを表1に示した濃度となるように一度に溶解させた洗浄液を500ml調製し(pH2.1)、比較例2と同様にして試験片の洗浄を行った。
洗浄終了後の洗浄性の評価結果は、表1に示したとおりであった。
過硫酸水素カリウムの複塩を使用ぜずに、ラウリル硫酸ナトリウムと過炭酸ナトリウムを表1に示した濃度となるように溶解させた洗浄液を500ml調製し(pH10.4)、比較例2と同様にして試験片の洗浄を行った。
洗浄終了後の洗浄性の評価結果は、表1に示したとおりであった。
コハク酸とラウリル硫酸ナトリウムを表1に示した濃度となる洗浄液を500ml調製した(pH3.2)。この洗浄液を25℃に温調し撹拌しながら、試験片を洗浄液に浸漬して30分間洗浄した。次いで、この洗浄液に過炭酸ナトリウムをその濃度が表1に示した濃度となるように追加投入して溶解させ(pH9.6)、更に試験片の洗浄を30分間継続した。
洗浄終了後の試験片の洗浄性の評価結果は、表1に示したとおりであった。
過硫酸水素カリウムの複塩を表1に示した濃度となる洗浄液を500ml調製した(pH2.3)。この洗浄液を25℃に温調し撹拌しながら、試験片を洗浄液に浸漬して30分間洗浄した。次いで、この洗浄液に過炭酸ナトリウムを表1に示した濃度となるように追加投入して溶解させ(pH9.7)、更に試験片の洗浄を30分間継続した。
洗浄終了後の試験片の洗浄性の評価結果は、表1に示したとおりであった。
過硫酸水素カリウムの複塩を表1に示した濃度となる洗浄液を500ml調製した(pH2.3)。この洗浄液を25℃に温調し撹拌しながら、試験片を洗浄液に浸漬して30分間洗浄した。次いで、過炭酸ナトリウムおよびラウリル硫酸ナトリウムを表1に示した濃度となる洗浄液を500ml調製した(pH10.4)。この洗浄液を25℃に温調し撹拌しながら、前記試験片を洗浄液に浸漬して30分間洗浄した。
洗浄終了後の試験片の洗浄性の評価結果は、表1に示したとおりであった。
(1)実施例1〜7の試験結果は、洗浄性がBランク以上の優れたものであった。また、本発明に使用する界面活性剤は、陰イオン系のものが優れた洗浄作用を発揮することが判明した。
以下の各場合は、洗浄性がCランク以下の不十分なものであった。
(2)過炭酸ナトリウムを溶解させた洗浄液で洗浄した後、前記洗浄液に過硫酸水素カリウムの複塩とラウリル硫酸ナトリウムを投入した洗浄液で洗浄した場合(比較例1)。
(3)過硫酸水素カリウムの複塩、過炭酸ナトリウムおよびラウリル硫酸ナトリウムを溶解させた洗浄液で洗浄した場合(比較例2)。
(4)過炭酸ナトリウムを使用せず、過硫酸水素カリウムの複塩およびラウリル硫酸ナトリウムのみを溶解させた洗浄液で洗浄した場合(比較例3)。
(5)過硫酸水素カリウムの複塩を使用せず、過炭酸ナトリウムおよびラウリル硫酸ナトリウムのみを溶解させた洗浄液で洗浄した場合(比較例4)。
(6)実施例2の過硫酸水素カリウムの代わりにコハク酸を溶解させた洗浄液で洗浄して、次いで前記洗浄液に過炭酸ナトリムを投入した洗浄液で洗浄した場合(比較例5)。
(7)ラウリル硫酸ナトリウムを使用しない以外は、実施例2と同様な方法で洗浄した場合(比較例6)。
(8)過硫酸水素カリウムの複塩を溶解させた洗浄液で洗浄した後、別途過炭酸ナトリウムを溶解させた洗浄液を調製し、該洗浄液で洗浄した場合(比較例7)。
公衆浴場の浴槽に5m3の水を入れ、34〜37℃に加温した。この浴湯中に、過硫酸水素カリウムの複塩24kg(浴湯中の濃度:0.48重量%)を投入し溶解させて、洗浄液を調製した(pH:1.6)。この洗浄液を60分間循環させて、循環用配管内部の洗浄を行った。次いで、過炭酸ナトリウム(旭電化工業製、「CPC−A」)30kg(過炭酸ナトリウムの濃度:0.59重量%、界面活性剤の濃度:0.006重量%)を投入し溶解させて(pH:9.3)、洗浄を更に60分間継続した。
過硫酸水素カリウムの複塩投入後、配管の内壁から剥離したと思われる汚れが洗浄液中に懸濁し始めた。次いで過炭酸ナトリウムを投入すると、激しい発泡が認められ、細かな塊状の汚れの破片が多量に排出され、洗浄水が茶色に変色した。
洗浄終了後、洗浄水を排水し、浴槽内に新たな水を投入して循環させ配管内部を濯いだところ、配管の内壁から剥離して配管内部に沈降していた汚れが大量に排出された。
前記の濯ぎ水を排水し、濾過機とヘアキャッチャーを点検したところ、洗浄前にそれらに付着していた泥状の汚れがほぼ完全に除去され、ヌメリもなくなっていた。
Claims (2)
- 配管内を洗浄する方法において、配管の内側を過硫酸塩又は過硫酸塩と界面活性剤を含有する水溶液に接触させた後、過硫酸塩、界面活性剤及び過炭酸アルカリ塩を含有する水溶液に接触させることを特徴とする配管洗浄方法。
- 界面活性剤が陰イオン系界面活性剤である請求項1記載の配管洗浄方法。
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