JP2006105262A - 転動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐食性と非磁性が要求される特殊環境下で好適に使用することができる、転がり寿命に優れた転動装置を提供する。
【解決手段】 転動体循環路を形成するように対向配置された部材と、その部材間の転動体循環路を転動する転動体とを有する転動装置において、対向配置された部材の少なくとも一方を、36〜40重量%Cr、3.6〜4.2重量%Al、残部NiのNiCr合金で形成することにより上記課題を解決した。この転動装置において、NiCr合金で形成された部材の表面硬さがHv650以上であることが好ましく、転動体がセラミックス材料又は上記NiCr合金で形成されていることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、転がり軸受、ボールねじ、直動案内装置等の転動装置に関し、更に詳しくは、耐食性と非磁性が要求される用途に好ましく利用できる転動装置に関するものである。
転がり軸受、ボールねじ、直動案内装置等の転動装置は、転動体循環路と、その転動体循環路を転動するに多数の転動体とを有している。こうした転動装置は、一般に、転動体循環路を構成するように2つの部材が所定の間隔で対向配置され、その転動体循環路を多数の転動体が転動することにより、そのいずれか一方の部材が回転運動又は直線運動する。
こうした転動装置を構成する材料としては、主に高炭素クロム軸受鋼等の鉄鋼材料が一般的に使用されているが、近年、転動装置の使用環境が多様化し、例えば腐食性環境下で使用される場合には、耐食性に優れたステンレス鋼が使用されている。更に近年、より過酷な使用環境下でも使用可能な転動装置として、転走面がチタン合金で形成され、転動体がセラミックスで形成された転がり軸受けが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
一方、半導体製造装置、液晶製造装置、X線や電子線等を使用した計測装置、磁場を利用した装置等においては、その装置内に存在する又は発生する磁場が乱れることによって寸法精度や測定精度が低下することがある。このような装置に使用される転動装置には、作動によって磁場を乱すことがないように非磁性が要求され、そのための構成材料として、非磁性のステンレス鋼やベリリウム銅が使用されている。
しかしながら、前記の製造装置や計測装置では、転動装置を構成する転動部材がわずかに磁化するだけでも寸法精度や測定精度が低下するおそれがあるので、比透磁率が1.001以下のベリリウム銅の使用が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。
特開平11−223221号公報 実開平5−79042号公報 特公昭55−21096号公報
転動装置では、転動体循環路を構成する転動体転走面の転がり寿命が高いことが必要であり、そのためには、転走面や転動体を硬くすることが好ましい手段とされている。
しかしながら、上記のチタン合金については、表面強化のために冷間加工又はショットピーニング等を行なう必要があり、工程数が増えてコストアップになるという問題があった。また、チタン合金を冷間加工又はショットピーニング等で強化すれば転がり寿命は向上するが、一定の硬度を得るための加工条件の制御が難しく、転がり寿命向上効果にばらつきが生じる場合があった。
一方、ベリリウム銅については、構成元素であるベリリウムから生成される化合物の一部が環境負荷物質とされており、環境問題が今後さらに重視されることが予想されるため、将来、ベリリウム銅の使用に制約を受けるおそれがある。また、転動装置においては、対向する転走面と転動体との接触点で高い面圧が生じるが、ベリリウム銅は硬さがHv400程度と低いために摩耗が生じ易く、転がり寿命も十分でない場合がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、耐食性と非磁性が要求される特殊環境下で好適に使用することができる、転がり寿命に優れた転動装置を提供することにある。
上記目的を達成する本発明の転動装置は、転動体循環路を形成するように対向配置された部材と、前記部材間の転動体循環路を転動する転動体とを有する転動装置において、前記対向配置された部材の少なくとも一方が、36〜40重量%Cr、3.6〜4.2重量%Al、残部NiのNiCr合金で形成されていることを特徴とする。
この組成のNiCr合金は耐食性に優れた時計側等の装飾用合金として知られていた(例えば特許文献3を参照)が、このNiCr合金を転動装置の部材の構成材料とすることにより、耐食性と非磁性が要求される特殊環境下で好適に使用できる転動装置とすることができると共に、時効処理後の硬度が高く、転がり寿命にも優れた転動装置とすることができる。
本発明の転動装置においては、前記NiCr合金で形成された部材の表面硬さが、Hv650以上であることが好ましい。この発明によれば、部材の表面硬さがHv650以上であるので、転走面と転動体との接触点で高い面圧が生じる転動装置の部材として好ましく使用でき、十分な転がり寿命を有する転動装置とすることができる。
また、本発明の転動装置においては、前記転動体が、セラミックス材料又は前記NiCr合金で形成されていることが好ましい。この発明によれば、転動体をセラミックス材料又はNiCr合金で形成することにより、耐食性と非磁性の点でより好ましく、要求される特殊環境下で好適に使用することができる。
なお、本発明の転動装置としては、例えば、ボールベアリング等の転がり軸受、ボールねじ、直動案内装置等を挙げることができる。また、こうした転動装置は、半導体製造装置、液晶製造装置、化学繊維製造装置、食品機械等のように、水、塩水、化学薬品等に対する耐食性が要求される環境下や、X線又は電子線を使用する計測装置のように非磁性が要求される環境下で好ましく使用される。
以上説明したように、本発明の転動装置によれば、対向配置された部材の少なくとも一方をNiCr合金で形成したので、耐食性と非磁性が要求される特殊環境下で好適に使用することができると共に、時効処理後の硬度が高く、転がり寿命にも優れた転動装置とすることができる。
本発明の転動装置は、転動体循環路を形成するように対向配置された部材と、その部材間の転動体循環路を転動する転動体とを有する転動装置において、対向配置された部材の少なくとも一方が、36〜40重量%Cr、3.6〜4.2重量%Al、残部NiのNiCr合金で形成されていることに特徴を有している。こうした転動装置としては、例えば、ボールベアリング等の転がり軸受や、ボールねじ、直動案内装置等の転がり案内装置を挙げることができる。
NiCr合金は、36〜40重量%Cr、3.6〜4.2重量%Al、残部Niで構成されている時効処理合金であり、溶体化処理後に時効処理を行うことにより、α相、γ相及びγ’相からなる複合析出層が形成されて高い硬度を示す。以下、各成分について説明する。
Ni(ニッケル)は、靱性を向上させると共に優れた耐食性を有する元素であり、このNiCr合金においてはバルク金属として位置づけられる。
Cr(クロム)は、Niと同様に優れた耐食性を有すると共に粒界反応によりα相の析出を促進する作用をなすものである。このCrの含有によりα相が層状に析出する濃度範囲は30〜55重量%であるが、溶体化処理後で時効処理前のNiCr合金の加工性と、時効処理後のNiCr合金の硬度とを考慮した場合、36〜40重量%の範囲内であることが好ましい。Cr含有量が36重量%未満の場合には、時効処理後の硬度が所望の硬度(例えばHv650以上)にならない場合がある。また、Cr含有量が40重量%を超えると、溶体化処理後で時効処理前のNiCr合金の加工性が悪くなることがある。
Al(アルミニウム)は、NiCr合金において複合析出を促進させる元素であり、3.6〜4.2重量%の範囲内で含有させることにより複合析出を促進させ、時効硬化性を著しく向上させることができる。Al含有量が3.6重量%未満では、時効処理によっても十分な複合析出が行われず必要な硬度(例えばHv650以上)を得られないことがある。一方、Al含有量が4.2重量%を超えると、溶体化処理後で時効処理前のNiCr合金の硬度がHv300を超えて切削加工性が低下する。
なお、上記合金成分の他に、C(炭素)は0.015重量%を上限とすることが好ましい。Cが0.015重量%を超えると、炭化物を過剰に生成し、耐食性の低下と靱性の低下が起き易くなる。また、必要に応じてTi(チタン)等、Alと同じGCP相生成元素を含有させることができ、Alと同様の複合析出による時効硬化性を向上させることができる。また、Siを添加して耐摩耗性を向上させたり、Mnを脱酸剤として添加してもよい。なお、NiCr合金には不可避不純物も含まれる。
本発明の転動装置は、こうしたNiCr合金からなる母材を溶体化処理し、その後、所定の形状に加工し、さらに時効処理した後に最終仕上げ加工を行って製品形状に製造される。
溶体化処理は、合金元素を固溶させる処理であり、上記NiCr合金においては1000℃〜1200℃の温度範囲内で熱処理する。溶体化処理の時間は特に限定されないが、作業効率の観点からは処理温度が高いほど処理時間を短縮することができる。例えば、1100〜1200℃で数分間〜数十分間の範囲で溶体化処理することが望ましい。溶体化処理後のNiCr合金は、γ相が生成し、硬度が約200以下程度と加工し易いので、溶体化処理後のNiCr合金は、プレス加工や切削加工等でほぼ完成品に近い形状に加工される。
時効処理は、溶体化処理した合金に更に熱処理を行うことにより、α相、γ相及びγ’相からなる複合析出層を形成して硬度を向上させるための処理である。時効処理温度としては、500〜950℃、特に好ましくは550〜700℃である。時効処理時間は、通常5時間程度で行われるが、あまり長時間処理されると、硬度が低下することがある。時効処理温度が500℃未満では、特にAl含有量が少ないものではγ’相の析出が不十分で複合析出による効果が小さく、また、時効処理温度が900℃を超えると、層状析出相が粒状化して硬度が低下するので好ましくない。なお、本発明の転動装置の構成部材はこうした高い温度で時効処理がなされるので、得られた転動装置は耐熱性に優れ、高温環境用の転動装置として好ましく適用することができる。
なお、時効処理温度によって生じる組織は、上記好ましい温度範囲である550〜700℃では、粒界反応ノジュール内で、γ'-NiAl相が層状α相とγ母相の境界に優先的に薄い層状に複合析出し、α相、γ’相及びγ相の特徴的な三層構造からなる複合析出層が形成される。こうした時効処理後のNiCr合金は、特に600〜700℃での時効処理後においてα相、γ’相及びγ相の特徴的な三層構造からなる複合析出層が十分に形成されるので、その表面硬さがHv650以上となり、転動体転走面の表面硬さとしては極めて好ましい水準とすることができる。このとき、ヤング率も210GPaと高い水準となり、例えばベリリウム銅の130GPaに比べて優れた値となる。なお、ヤング率が高いということは、転動装置の小型化を実現する上で好ましい特性である。
時効処理後においては、例えば研削加工等により最終仕上加工が行われる。製造されたNiCr合金からなる部材の表面硬さは、耐摩耗性及び耐荷重性の面から、Hv650以上であることが望ましい。部材の表面硬さがHv650未満であると、耐摩耗性及び耐荷重性が不十分となり、転がり寿命が低下することがある。
転動体は、鉄鋼材料又はセラミック材料で構成してもよいし、上記のNiCr合金で構成してもよい。ただし、非磁性又は優れた耐食性が求められる用途では、セラミック材料又はNiCr合金で構成することが好ましい。セラミックス材料の具体例としては、窒化ケイ素系、炭化ケイ素系、酸化アルミニウム系、酸化ジルコニウム系等のセラミックス材料が挙げられる。また、電子線を用いる装置のように非磁性と同時に導電性が求められる場合には、TiN等を含有する導電性セラミックスで構成された転動体を使用したり、又は、窒化ケイ素等のような導電性がないセラミックスで構成された転動体にCVD等によってTiNコーティングを施したものを使用してもよい。
また、本発明の転動装置には、転動体循環路を形成するように対向配置された部材間に転動体を保持する保持器を用いることができる。保持器の材質は、十分な非磁性を有しているものであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリアミド、フッ素樹脂等の樹脂製保持器、黄銅製保持器、SUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼製保持器等を例示できる。但し、グリースが使用できない用途では、自己潤滑性を有するフッ素樹脂製保持器等を使用することが好ましい。さらに、本発明の転動装置は、その用途に応じてシール等の密封装置を備えていてもよい。シールの材質は、十分な非磁性を有しているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ニトリルゴム等のゴム製シールを例示できる。耐熱性が要求される用途では、SUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼製シール又は工業用純チタン製シールが好ましい。また、本発明の転動装置には、その内部にグリースを封入してもよい。グリースの種類は特に限定されるものではないが、転動装置が真空中で使用される場合には、真空用フッ素グリースを使用することが好ましい。
次に、本発明の転動装置の用途について説明する。
本発明に係る転動装置は、非磁性のNiCr合金により、転動体循環路を形成するように対向配置された部材の少なくとも一方が形成されているため、非磁性が要求される用途に好適に使用することができる。すなわち、本発明の転動装置が、磁場環境下において使用されても、磁場によって引力が作用したり作動が不安定になったりすることがなく、また、作動によって周辺の磁場を乱すことがないため、例えば半導体製造装置、液晶製造装置、医療機器、X線又は電子線を使用した計測装置等に好適に使用することができる。また、そうした装置において、電子線等の近くで転動装置が使用される場合でも、転動装置が作動することによって電子線等を乱すことがないため、測定精度の低下等が生じることがなく好適に使用することができる。
さらに、上記の各種装置は機構が複雑であるものが多く、転動装置の交換を行なうことは大きなコスト負担を伴っていたが,本発明に係る転動装置は例えば転がり寿命が優れているため、転動装置の交換頻度を少なくすることができる。さらに、本発明に係る転動装置は、非常に耐食性に優れるNiCr合金からなる部材で構成されているため、高い耐食性が要求される用途に好適に使用することができる。例えば、酸、アルカリ等の薬品や、腐食性のガス等と接触するような環境下で転動装置が使用されても、NiCr合金は耐食性に優れているので、腐食のために転動装置の寿命が低下することがほとんどない。したがって、半導体洗浄装置、半導体製造装置、液晶製造装置、化学繊維製造装置、食品用機械等において、好適に使用することができる。また、本発明に係る転動装置は寿命が優れているため、転動装置の交換頻度を少なくすることができる。
本発明の転動装置としては、転がり軸受、直動案内装置、ボールねじ等が挙げられる。また、本発明における対向配置された部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪と外輪を指し、直動案内装置の場合には案内レールとスライダを指し、ボールねじの場合にはねじ軸とナットを指している。
図1〜図4は、本発明に係る転動装置の例を示している。図1と図2は、リニアモーションガイド(直動案内装置)の例を示す概略構成図であり、図3は、ボールねじの例を示す概略構成図であり、図4は、ボールベアリングの例を示す概略構成図である。
図1に示すリニアモーションガイド(直動案内装置)は、長手方向にボール転走面1aが形成された軌道レール(軌道軸)1と、転動体としての多数のボール2を介してこの軌道レール1に嵌合すると共に内部にそのボール2の無限循環路を備えた摺動台(スライド部材)3とから構成されている。摺動台3は、ボール2の循環に伴って軌道レール1上を往復運動する。この摺動台3は、テーブル等(図示せず)を取り付けるための取付面5aを有する略サドル状のブロック5と、このブロック5の前後両端面に固定された一対のエンドプレート6とから構成されている。上記の無限循環路は、このブロック5に軌道レール1のボール転走面1aに対応して形成された負荷ボール転走面5b及びボール戻し孔5cと、両エンドプレート6に形成されて該負荷ボール転走面5bおよびボール戻し孔5cを連通する方向転換路(図示せず)とからなっている。
本発明は、図1に示すリニアモーションガイドにおいて、その転動体転走面を有する部材である軌道レール1と摺動台3の少なくとも一方、好ましくは両方を、NiCr合金で形成する。具体的には、ボール転走面1aを有する軌道レール1をNiCr合金で形成し、負荷ボール転走面5b及びボール戻し孔5cと、両エンドプレート6に形成されて負荷ボール転走面5b及びボール戻し孔5cを連通する方向転換路とを備えた摺動台3をNiCr合金で形成することが好ましい。
図2示すリニアモーションガイド(直動案内装置)は、ボールスプライン装置と呼ばれ、軌道軸としてのスプライン軸11と、そのスプライン軸11に多数のボール12を介して移動自在に取付けられたスライド部材としての外筒13とを有している。スプライン軸11は真円の円柱形状をなし、その表面には、ボール12の軌道となり、スプライン軸11の軸線方向に延びる転動体転走面としてのボール転走溝11aが形成されている。このボール転走溝11aは、複数条形成されている。ボール12とボール転走溝11aとはボール転走溝11aの底の一点で接触し、ボール転走溝11aの両側にはボール転走溝11aよりも掘り下げると共にボール転走溝11aの長手方向に延びる溝17が形成されている。スプライン軸11に取付けられる外筒13は、ボール転走溝11aに対応する負荷転走面としての負荷転走溝13aを有している。サーキット状のボール循環路内には、スプライン軸11に対する外筒13の相対的な直線運動に併せて循環する複数のボール12が配列・収納される。外筒13に形成した負荷転走溝13aとスプライン軸11に形成したボール転走溝11aとの間で負荷転走路14が形成される。負荷転走路14の隣には荷重から開放されたボール12が転走する無負荷戻し通路15が形成されている。外筒13には、複数のボール12をスプライン軸11の軸線方向に整列・保持する保持器16が組み込まれる。外筒13の軸線方向の両端には、保持器16を一体で保持すべく止め輪17が設けられる。
本発明は、図2示すリニアモーションガイドにおいて、その転動体転走面を有する部材であるスプライン軸11と外筒13の少なくとも一方、好ましくは両方を、NiCr合金で形成する。具体的には、ボール転走溝11aを有するスプライン軸11をNiCr合金で形成し、負荷転走路14及び無負荷戻し通路15を構成する転走面等を備えた摺動台3をNiCr合金で形成することが好ましい。
図3に示すボールねじは、外周面に螺旋状のボール転走溝31aが形成されたねじ軸31と、内周面に前記ボール転走溝31aに対応する螺旋状の負荷ボール転走溝32aが形成されて、ねじ軸31に相対的に回転可能に組み付けられたナット部材32とを備えている。ナット部材32には、ねじ軸31のボール転走溝31aとナット部材32の負荷ボール転走溝32aとの間の負荷ボール転走路33の一端他端を繋ぐパイプ状の戻し部材であるリターンパイプ34が取り付けられる。リターンパイプ34の内部には、断面円形状のボール戻し路が形成される。負荷ボール転走溝33及びリターンパイプ34内部のボール戻し路には、複数のボール35が配列・収容される。複数のボール間には、必要に応じてボール同士の接触を防止するスペーサ36が介在される。こうしたボールねじは、ねじ軸31のナット部材32に対する相対的な回転に伴って、ナット部材32がねじ軸31に対してねじ軸31の軸線方向に相対的に直線運動する。このとき、ボール35は、ボール転走溝31aと負荷ボール転走溝32aとの間を転がり運動する。負荷ボール転走溝32aの一端まで転がったボール35は、リターンパイプ34内のボール戻し路に導かれ、数巻き前の負荷ボール転走溝32aの他端に戻される。これにより、ボール35が負荷ボール転走路33及びボール戻し路で構成されるボール循環路を循環する。
本発明は、図3示すボールねじにおいて、その転動体転走面を有する部材であるねじ軸31とナット部材32の少なくとも一方、好ましくは両方を、NiCr合金で形成する。具体的には、ボール転走溝31aを有するねじ軸31をNiCr合金で形成し、負荷ボール転走溝32aを有するナット部材32をNiCr合金で形成することが好ましい。
図4に示すボールベアリング40は、外方部材としての外輪41と、この外輪41の内側に設けられた内方部材としての内輪42と、この内輪42と外輪41との間に転動自在に配設された多数の転動体であるボール43とを有している。外輪41と内輪42との間は、ボール43が循環する転動体循環路を構成しており、その転動体循環路内には、ボール43を外輪41と内輪42の周方向にほぼ一定間隔で保持する保持器44が組み込まれている。
本発明は、図4示すボールベアリングにおいて、その転動体循環路を構成する部材である外輪41と内輪42の少なくとも一方、好ましくは両方を、NiCr合金で形成する。
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
38.2重量%Cr、3.78重量%Al、0.004重量%C及び不可避不純物を含み、残部がNiからなるNiCr合金を用いて、転動装置を作製した。転動装置は、上記図1に示す態様のリニアモーションガイドとし、その軌道レール及び摺動台(ブロック)をNiCr合金で作製した。軌道レールと摺動台は、呼び型番がRSR7M(THK株式会社規格)の形状とし、具体的には、軌道レールはおよその外形寸法で高さ5mm×幅7mm×長さ90mmからなる形状を備えるものであり、摺動台はおよその外形寸法で高さ6.5mm×幅17mm×長さ23.5mmからなる形状を備えるものである。
先ず、1200℃で溶体化処理された直径28mmのNiCr合金製丸棒(表面硬さ:179〜220Hv)を準備した。この丸棒を、旋盤、ワイヤー放電加工機、マシニング等の加工機を使用して所定の形状にまで加工した。溶体化処理された丸棒は硬度が小さく、問題なく加工することができた。なお、摺動台を構成する側蓋は上記と同じNiCr合金で作製したものを使用したが、ねじについては黄銅製のものを使用した。なお、転動体であるボールは、直径1/16インチ(1.588mm)の窒化ケイ素セラミックスボールを使用した。
所定の形状にまで加工した軌道レールと摺動台について、窒素雰囲気中で650℃・5時間の時効処理を行った。さらに時効処理後の軌道レールと摺動台について最終仕上げ加工である研削加工を行い、製品形態の軌道レールと摺動台を作製した。得られた軌道レールと摺動台の転動体転走面の表面硬さは、いずれもHv670〜728の範囲内であった。
(特性試験)
NiCr合金、ベリリウム銅、マルテンサイトステンレス鋼を材料とし、各試験片を作製して特性を評価した。評価項目としては、下記に示す転がり寿命試験及び耐食性試験について行った。
NiCr合金製の試験片としては、実施例1で説明したのと同じNiCr合金を用い、同様の熱処理(時効処理:650℃・5時間・窒素雰囲気中)を行った後に研削加工して所定の寸法(外径D60mm×内径d25mm×厚さt10mm)にしたものを用いた。ベリリウム銅製の試験片は、JIS C1270BHに規定された成分からなる丸棒を外径60mmに加工した後、析出硬化熱処理(315℃、2時間)を行った後に前記と同じ寸法に研削加工したものを用いた。マルテンサイトステンレス鋼製の試験片は、SUS440C相当品は焼入れ焼き戻しを行った表面硬さ700Hv程度の焼入れ鋼材である。なお、各試験片は、アルコールを洗浄溶媒とした超音波洗浄を15分行った後に試験に供された。
(転がり寿命試験)
転がり寿命試験は、図5(a)に示す相反スラスト転がり寿命試験機に、図5(b)に示すドーナツ円盤状(外径D60mm×内径d25mm×厚さt10mm)に加工した試験片を装着し、主軸を回転した際の転がり試験の結果により評価した。試験数は、各試験片とも10回(10枚)とした。
試験条件としては、負荷荷重:150N/ボール1個、面圧:2554MPa、負荷ボール数:6個、負荷ボール直径:3/8インチ(9.525mm)、負荷ボール軌道径:φ45mm、負荷ボール材質:セラミックス(窒化ケイ素ボール)、回転数:800rpm(min−1)、潤滑油:DTE26(モービル石油製)、潤滑油量:80cm/分、試験室温度:22℃±2℃、で行った。
NiCr合金製の試験片のL50(累積破損確率50%における寿命回転数)はおよそ2.54×10であったのに対し、ベリリウム銅製の試験片のL50は、およそ1.07×10であった。
(耐食性試験)
耐食性試験用の試験片として、実施例1で説明したのと同じNiCr合金を用い、同様の熱処理(時効処理:650℃・5時間・窒素雰囲気中)を行ったものを試験片(外径60mm×内径25mm×厚さ10mm)とした。この試験片をアルコールを洗浄溶媒とした超音波洗浄を15分行った後、下記の耐食性試験に供した。耐食性試験は、塩水噴霧試験(複合サイクル試験機、5%NaCl水溶液、噴霧時35℃、乾燥時60℃、噴霧量:1時間当たり1.3ml/80cm)によった。塩水噴霧試験は、3時間噴霧した後に3時間乾燥したものを1サイクルとし、そのサイクルを繰り返し行った。耐食性の評価は、測定試料を画像処理して、全面積に対する腐食面積の割合を発錆率(百分率)として評価した。
NiCr合金製の試験片は、384時間終了までに錆の発生は確認されなかった。一方、ベリリウム銅製の試験片は、24時間経過時で35%の発錆率であった。また、マルテンサイトステンレス鋼製の試験片は、24時間経過時で100%の発錆率であった。
本発明の転動装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の転動装置の他の一例を示す概略構成図である。 本発明の転動装置の他の一例を示す概略構成図である。 本発明の転動装置の他の一例を示す概略構成図である。 相反スラスト転がり寿命試験機を用いた試験方法及び試験片の概略図である。
符号の説明
1 軌道レール
1a ボール転走面
2 ボール
3 摺動台
5 ブロック
5a ボール転走面
5b 負荷ボール転走面
5c ボール戻し孔
6 エンドプレート
11 スプライン軸
11a ボール転走溝
12 ボール
13 外筒
14 負荷転走路
15 無負荷戻し路
16 保持器
17 溝
31 ねじ軸
31a ボール転走溝
32 ナット部材
32a 負荷ボール転走溝
33 負荷ボール転走路
34 リターンパイプ
35 ボール
36 スペーサ
40 ボールベアリング
41 外輪
42 内輪
43 ボール
44 保持器

Claims (3)

  1. 転動体循環路を形成するように対向配置された部材と、前記部材間の転動体循環路を転動する転動体とを有する転動装置において、前記対向配置された部材の少なくとも一方が、36〜40重量%Cr、3.6〜4.2重量%Al、残部NiのNiCr合金で形成されていることを特徴とする転動装置。
  2. 前記Ni合金で形成された部材の表面硬さが、Hv650以上であることを特徴とする請求項1に記載の転動装置。
  3. 前記転動体が、セラミックス材料又は前記NiCr合金で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の転動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011001606A (ja) * 2009-06-18 2011-01-06 Toshiba Corp 高硬度耐食耐磨耗合金素材およびそれを用いた耐摩耗性部材並びにその製造方法
US8016486B2 (en) * 2004-08-27 2011-09-13 Thk Co., Ltd. Rolling guiding device

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