JP2006104984A - 電磁駆動弁および内燃機関 - Google Patents

電磁駆動弁および内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】 消費電力の増大を抑制しつつ、駆動弁の安定した運動が得られる電磁駆動弁およびその電磁駆動弁が搭載された内燃機関を提供する。
【解決手段】 電磁駆動弁10は、ステム12を有する駆動弁14と、互いに間隔を隔てて設けられたアッパディスク30およびロアディスク20と、コイル62を有し、アッパディスク30とロアディスク20との間に配置された電磁石60とを備える。アッパディスク30およびロアディスク20は、揺動自在に支持された一方端33および23と、ステム12に連結された他方端32および22とを有する。電磁石60は、コイル62への電流供給により、アッパディスク30およびロアディスク20に電磁力を作用させる。一方端33および23が揺動自在に支持された位置と、他方端32および22がステム12に連結された位置との間の距離は、ロアディスク20よりもアッパディスク30の方が小さい。
【選択図】 図1

Description

この発明は、一般的には、電磁駆動弁および内燃機関に関し、より特定的には、モノコイルによって構成された電磁石を備える電磁駆動弁およびその電磁駆動弁が搭載された内燃機関に関する。
従来の電磁駆動弁に関して、たとえば、特開2000−303809号公報には、排気弁を開弁するのに必要な電力を低減することを目的とした電磁駆動弁が開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示された電磁駆動弁は、排気弁の弁軸と同軸に配設されたアーマチャシャフトと、アーマチャシャフトの外周に接合された円盤状のアーマチャと、アーマチャの上方にアーマチャと隙間を設けて配設されたアッパコイルおよびアッパコアと、アーマチャの下方にアーマチャと隙間を設けて配設されたロアコイルおよびロアコアとを備える。
アッパコイルおよびロアコイルに、交互に適当なタイミングで電流を供給することによって、アッパコアおよびロアコアに向かう方向の電磁力が、アーマチャに順に作用する。これにより、アーマチャを往復運動させ、その運動と連動させて、排気弁を閉弁位置と開弁位置との間で繰り返し往復運動させることができる。このような構成を備える電磁駆動弁は、並進駆動式と呼ばれており、排気弁の往復運動時、コアおよびアーマチャの互いに向い合う表面が平行に保たれたままとなる。
特開2000−303809号公報
内燃機関の燃焼室と排気ポートとの間を開閉する排気弁が、閉弁位置から開弁位置に向けて運動する時、燃焼室には、爆発工程によるシリンダ内圧が発生している。このため、排気弁を電磁駆動弁から構成する場合、そのシリンダ内圧に打ち勝つだけの引き付け力を電磁石で発生させなければならない。
しかしながら、上述の特許文献1に開示された並進駆動式の電磁駆動弁では、排気弁の往復運動時、コアおよびアーマチャの互いに向い合う表面が平行に保たれている。このため、排気弁が、閉弁位置と開弁位置との間にある時、コアの表面とアーマチャの表面との間が一様に離れてしまう。アーマチャに作用する電磁力は、コアに近い位置で大きく作用し、離れた位置で小さく作用するため、並進駆動式の電磁駆動弁では、閉弁位置から開弁位置に向かうアーマチャに、電磁力を大きく作用させることができない。したがって、シリンダ内圧に打ち勝つだけの電磁力を発生させるためには、コイルに過大な電流を供給する必要が生じる。この場合、電磁駆動弁の消費電力が増大するという問題が発生する。
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、消費電力の増大を抑制しつつ、駆動弁の安定した運動が得られる電磁駆動弁およびその電磁駆動弁が搭載された内燃機関を提供することである。
この発明の1つの局面に従った電磁駆動弁は、弁軸を有する駆動弁と、互いに間隔を隔てて設けられ、揺動することによって駆動弁を往復運動させる第1および第2のアーム部材と、モノコイルを有し、第1のアーム部材と第2のアーム部材との間に配置された電磁石とを備える。第1および第2のアーム部材は、揺動自在に支持された一方端と、弁軸に連結された他方端とを有する。電磁石は、モノコイルへの電流供給により、第1および第2のアーム部材に電磁力を作用させ、第1および第2のアーム部材を揺動させる。一方端が揺動自在に支持された位置と、他方端が弁軸に連結された位置との間の距離は、第2のアーム部材よりも第1のアーム部材の方が小さい。
なお、モノコイルとは、連続する一続きの線から構成されたコイルを指す(以下に続くモノコイルに関しても、同様に理解する)。モノコイルに電流を供給すると、第1および第2のアーム部材の双方に、同時に電磁力が作用する。
このように構成された電磁駆動弁によれば、第1および第2のアーム部材を、一方端が支持された位置を支点に揺動するレバーと見ると、その支点となる位置と、他方端が弁軸に連結された位置との間の距離が相対的に小さい第1のアーム部材では、電磁石から第1のアーム部材に作用した電磁力を、より大きく、駆動弁を往復運動させる力(以下、駆動力とも呼ぶ)として弁軸に作用させることができる。これに対して、一方端が支持された位置と、他方端が弁軸に連結された位置との間の距離が相対的に大きい第2のアーム部材では、第2のアーム部材から弁軸に作用する駆動力が、第1のアーム部材から弁軸に作用する駆動力よりも、小さくなる。
電磁力は、電磁石との距離が近い位置で大きく作用し、離れた位置で小さく作用する。このため、本発明では、第1のアーム部材から弁軸に作用する駆動力と、第2のアーム部材から弁軸に作用する駆動力とが釣り合う位置が、中間位置より、第1のアーム部材が電磁石から相対的に離れて位置し、第2のアーム部材が電磁石から相対的に近くに位置する側にずれて、存在する。この場合、第1のアーム部材に電磁力を作用させて、第1および第2のアーム部材を揺動させる時に、モノコイルに電流供給する時期を早めることができる。なお、ここで言う「中間位置」とは、電磁石および第1のアーム部材の間の距離と、電磁石および第2のアーム部材の間の距離とが等しくなる位置を指す。
これにより、第1のアーム部材に電磁力を作用させて、第1および第2のアーム部材を揺動させる時に、より大きな電磁力エネルギを、駆動弁を往復運動させるエネルギとして利用することができる。したがって、駆動弁に作用する外的な負荷が、駆動弁の往復運動に伴って変動する場合であっても、その負荷が大きくなるタイミングと、モノコイルへの電流供給が早められるタイミングとを一致させることによって、その負荷に負けることなく、駆動弁を安定して運動させることができる。また、モノコイルに過大な電流を供給することなく、このような効果が得られるため、消費電力が増大することを防止できる。
また好ましくは、第1および第2のアーム部材は、第1のアーム部材の一方端が揺動自在に支持された位置と、第2のアーム部材の一方端が揺動自在に支持された位置とを結んだ直線が、駆動弁の往復運動する方向に平行に延びるように設けられている。このように構成された電磁駆動弁によれば、第1および第2のアーム部材の一方端を、駆動弁からの距離が互いに等しくなる位置に設けることができる。これにより、第1および第2のアーム部材を揺動自在に支持するベース部材を、形状を簡易にして形成するとともに、その強度を確保することができる。
また好ましくは、一方端が支持された位置を支点に第1のアーム部材が揺動する角度は、第2のアーム部材が揺動する角度よりも小さい。このように構成された電磁駆動弁によれば、相対的に小さい角度で揺動する第1のアーム部材に、電磁石で発生する電磁力をより大きく作用させることができる。これにより、第1のアーム部材から弁軸に作用する駆動力が増大するため、第1のアーム部材に電磁力を作用させ、第1および第2のアーム部材を揺動させる時に、モノコイルに電流供給する時期を、さらに早めることができる。
この発明の別の局面に従った電磁駆動弁は、弁軸を有する駆動弁と、互いに間隔を隔てて設けられ、揺動することによって駆動弁を往復運動させる第1および第2のアーム部材と、第1のアーム部材と第2のアーム部材との間に配置され、電磁力を作用させて第1および第2のアーム部材を揺動させる電磁石と、第2のアーム部材を挟んで電磁石の反対側に設けられた減磁用電磁石とを備える。第1および第2のアーム部材は、揺動自在に支持された一方端と、弁軸に連結された他方端とを有する。電磁石は、モノコイルを有し、減磁用電磁石は、コイルを有する。モノコイルへの電流供給により、第2のアーム部材内に所定の方向に流れる磁束が形成され、コイルへの電流供給により、第2のアーム部材内に所定の方向とは反対方向に流れる磁束が形成される。
このように構成された電磁駆動弁によれば、モノコイルへの電流供給によって形成された第2のアーム部材内の磁束は、コイルへの電流供給によって形成された磁束により、弱められる。このため、モノコイルおよびコイルへの電流供給によって、第1のアーム部材には、相対的に大きい電磁力が作用し、第2のアーム部材には、相対的に小さい電磁力が作用する。したがって、第1のアーム部材から弁軸に作用する駆動力は、第2のアーム部材から弁軸に作用する駆動力よりも、大きくなる。
このため、本発明では、第1のアーム部材から弁軸に作用する駆動力と、第2のアーム部材から弁軸に作用する駆動力とが釣り合う位置が、中間位置より、第1のアーム部材が電磁石から相対的に離れて位置し、第2のアーム部材が電磁石から相対的に近くに位置する側にずれて、存在する。この場合、第1のアーム部材に電磁力を作用させて、第1および第2のアーム部材を揺動させる時に、モノコイルに電流供給する時期を早めることができ、この時に、より大きな電磁力エネルギを、駆動弁を往復運動させるエネルギとして利用することができる。
したがって、駆動弁に作用する外的な負荷が、駆動弁の往復運動に伴って変動する場合であっても、その負荷が大きくなるタイミングと、モノコイルへの電流供給が早められるタイミングとを一致させることによって、その負荷に負けることなく、駆動弁を安定して運動させることができる。また、モノコイルに過大な電流を供給することなく、このような効果が得られるため、消費電力が増大することを防止できる。
また好ましくは、コイルは、モノコイルから連続する一続きの線によって形成されている。このように構成された電磁駆動弁によれば、電磁石と減磁用電磁石との間で、コイルを兼用できるため、コストダウンを図ることができる。
この発明に従った内燃機関は、上述のいずれかに記載の電磁駆動弁が、燃焼室と排気ポートとの間の開閉に用いられた内燃機関である。駆動弁は、弁軸の先端に形成され、駆動弁の閉弁位置から開弁位置への運動に伴って、燃焼室と排気ポートとの間を遮蔽する位置から燃焼室内へと移動する弁体をさらに有する。駆動弁が閉弁位置から開弁位置に向けて運動する時に、電磁石で発生する電磁力により、第1のアーム部材が電磁石に引き寄せられ、駆動弁が開弁位置から閉弁位置に向けて運動する時に、電磁石で発生する電磁力により、第2のアーム部材が電磁石に引き寄せられる。
このように構成された内燃機関によれば、駆動弁が閉弁位置から開弁位置に向けて運動する時に、内燃機関の爆発工程によって生じた燃焼室の内圧に打ち勝って、弁体を燃焼室内に押し込めなければならない。本発明では、このタイミングで、より大きな電磁力エネルギを用いて、駆動弁を運動させることができる。このため、電磁力不足や消費電力の悪化を招くことなく、閉弁位置から開弁位置に向けて、駆動弁を安定して運動させることができる。
以上説明したように、この発明に従えば、消費電力の増大を抑制しつつ、駆動弁の安定した運動が得られる電磁駆動弁およびその電磁駆動弁が搭載された内燃機関を提供することができる。
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における電磁駆動弁を示す断面図である。本実施の形態における電磁駆動弁は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなど内燃機関の排気弁を構成している。図1を参照して、電磁駆動弁10では、駆動弁14を往復運動させる運動機構として、並行リンク機構が適用されている。
電磁駆動弁10は、ステム12およびそのステム12の先端に形成された傘部13を有する駆動弁14と、ステム12の異なる位置に連結され、作用された電磁力および弾性力によって揺動するロアディスク20およびアッパディスク30と、その電磁力を発生する開閉兼用電磁石60(以下、たんに電磁石60とも呼ぶ)と、ロアディスク20およびアッパディスク30にそれぞれ設けられ、これらのディスクに弾性力を作用させるロアトーションバー26およびアッパトーションバー36とを備える。駆動弁14は、ロアディスク20およびアッパディスク30の揺動運動を受けて、矢印101に示す方向に往復運動する。
ステム12は、傘部13から連続する下部ステム12mと、連結部材16を介して下部ステム12mに連結された上部ステム12nとから構成されている。連結部材16は、下部ステム12mと上部ステム12nとの間がフレキシブルに動くように、たとえば、ピボットやボールベアリングなどから形成されている。下部ステム12mは、一方向に延びて形成されており、上部ステム12nは、その方向に斜めに交差して延びるように、下部ステム12mに連結されている。下部ステム12mが延びる方向と、駆動弁14の運動方向である矢印101に示す方向とは、一致している。上部ステム12nには、その外周面から突出する連結ピン12pおよび12qが、下部ステム12mに連結された位置から近い順に並んで、互いに間隔を隔てて形成されている。
駆動弁14は、排気ポート17が形成されたシリンダヘッド41に搭載されている。シリンダヘッド41の排気ポート17から図示しない燃焼室に連通する位置には、バルブシート42が設けられている。駆動弁14の往復運動に伴って、傘部13がバルブシート42に密着したり、バルブシート42から離脱することによって、排気ポート17の開閉が行なわれる。つまり、ステム12が上昇することによって、駆動弁14が閉弁位置へと位置決めされ、ステム12が下降することによって、駆動弁14が開弁位置へと位置決めされる。
シリンダヘッド41には、下部ステム12mを軸方向に摺動可能なように案内するバルブガイド43が設けられている。バルブガイド43は、下部ステム12mとの高速摺動に耐えられるように、たとえば、ステンレスなどの金属材料から形成されている。シリンダヘッド41の頂面上には、ステム12と距離を隔てた位置に、ディスク支持台51が取り付けられている。
図2は、図1中の電磁石を示す斜視図である。図1および図2を参照して、ディスク支持台51には、ロアディスク20とアッパディスク30との間に位置するように電磁石60が固定されている。電磁石60は、コイル62と、吸着面61aおよび61bを有し、磁性材料から形成されたコア61とから構成されている。コア61は、下部ステム12mの延びる方向、つまり、駆動弁14が往復運動する方向に直交して延びる軸部61pを有する。コイル62は、軸部61pの周りを旋回するように設けられており、モノコイル(連続する一続きの線からなるコイル)から構成されている。
ディスク支持台51は、電磁石60の吸着面61aに向い合う表面51aと、電磁石60の吸着面61bに向い合う表面51bとを有する。吸着面61aと表面51aとの間には、アッパディスク30が揺動する空間が規定されており、吸着面61bと表面51bとの間には、ロアディスク20が揺動する空間が規定されている。アッパディスク30およびロアディスク20が、それぞれ、表面51aおよび吸着面61bに当接した位置が、閉弁側の揺動端である。アッパディスク30およびロアディスク20が、それぞれ、吸着面61aおよび表面51bに当接した位置が、開弁側の揺動端である。駆動弁14は、アッパディスク30およびロアディスク20が、閉弁側および開弁側の揺動端にある時、それぞれ、閉弁位置および開弁位置に位置決めされる。
図3は、図1中のアッパディスク(ロアディスク)を示す斜視図である。図1および図3を参照して、アッパディスク30は、一方端33および他方端32を有し、一方端33から他方端32に向けて上部ステム12nに交差する方向に延びている。アッパディスク30は、矩形形状の表面31aおよび31bが形成され、一方端33と他方端32との間に渡って延びるアーム部31と、一方端33に位置して設けられ、中空円筒形状を有する軸受け部38とから構成されている。表面31aおよび31bは、それぞれ、電磁石60の吸着面61aおよびディスク支持台51の表面51aに向い合っている。
アーム部31には、他方端32側に位置して、切欠き部39が形成されている。切欠き部39の互いに向い合う壁面には、長孔34が形成されている。一方端33には、アッパディスク30が延びる方向および駆動弁14が往復運動する方向の双方に直交して延びる中心軸35が規定されている。軸受け部38には、中心軸35に沿って延びる貫通孔37が形成されている。
ロアディスク20は、アッパディスク30の一方端33、他方端32、アーム部31、表面31a、表面31b、切欠き部39、長孔34、軸受け部38、貫通孔37および中心軸35に対応して、一方端23、他方端22、アーム部21、表面21b、表面21a、切欠き部29、長孔24、軸受け部28、貫通孔27および中心軸25を有する。表面21aおよび21bは、それぞれ、電磁石60の吸着面61bおよびディスク支持台51の表面51bに向い合っている。ロアディスク20は、一方端23から他方端22までの距離が、アッパディスク30の一方端33から他方端32までの距離よりも長くなるように、形成されている。アッパディスク30およびロアディスク20は、磁性材料から形成されている。
アッパディスク30の他方端32は、長孔34に連結ピン12qが挿通されることによって、上部ステム12nに対して揺動自在に連結されている。ロアディスク20の他方端22は、長孔24に連結ピン12pが挿通されることによって、上部ステム12nに対して揺動自在に連結されている。アッパディスク30の一方端33は、貫通孔37に挿入されたアッパトーションバー36を介して、ディスク支持台51に揺動自在に支持されている。ロアディスク20の一方端23は、貫通孔27に挿入されたロアトーションバー26を介して、ディスク支持台51に揺動自在に支持されている。
このような構成により、アッパディスク30およびロアディスク20をそれぞれ、中心軸35および25を中心に揺動させると、その揺動運動が、上部ステム12nから下部ステム12mへと直線運動として伝わり、これによって、駆動弁14が往復運動する。このように駆動方式を、並進駆動式に対して、回転駆動式と呼ぶ。
アッパディスク30の一方端33がディスク支持台51に支持された位置と、他方端32がステム12に連結された位置との間の距離、つまり、中心軸35と、長孔34に挿通された連結ピン12qとの間の距離を、Laとし、ロアディスク20の一方端23がディスク支持台51に支持された位置と、他方端22がステム12に連結された位置との間の距離、つまり、中心軸25と、長孔24に挿通された連結ピン12pとの間の距離を、Lbとした場合、アッパディスク30およびロアディスク20は、La<Lbの関係を満たすように設けられている。
中心軸35および25を通る中心線106を規定した場合に、アッパディスク30およびロアディスク20は、中心線106が、下部ステム12mの延びる方向、つまり、駆動弁14が往復運動する方向に平行に延びるように、ディスク支持台51に支持されている。また、軸部61pが延びる方向の吸着面61aおよび61bの中心を互いに結んで、中心線107を規定した場合に、電磁石60は、中心線106および107が互いに平行に延びるように、ディスク支持台51に固定されている。中心線106と中心線107との間の距離を、Lcとすると、電磁石60で発生した電磁力は、中心軸35および25からそれぞれ距離Lcだけ隔てた位置で、アッパディスク30およびロアディスク20に作用する。つまり、ディスクが揺動する支点と、電磁石60で発生した電磁力がディスクに作用する位置との間の距離は、アッパディスク30およびロアディスク20で等しい。
このような構成により、駆動弁14から見て、ロアディスク20の一方端23を、アッパディスク30の一方端33と比較して、奥まった位置に配置する必要がない。これにより、ディスク支持台51を下部ステム12mと平行に延びる形状としても、ロアディスク20を支持するために大きな切欠き形状を設ける必要がなく、ディスク支持台51の強度を確保できる。また、電磁石60に対するアッパディスク30およびロアディスク20の位置関係が、軸部61pを挟んだ上下で対称となるため、電磁石とこれらのディスクとの間のギャップの設定を、精度良く行なうことができる。
アッパトーションバー36により、アッパディスク30には、中心軸35を中心とした反時計周りの弾性力が作用している。ロアトーションバー26により、ロアディスク20には、中心軸25を中心とした時計周りの弾性力が作用している。電磁石60による電磁力が加わっていない状態で、ロアディスク20およびアッパディスク30は、ロアトーションバー26およびアッパトーションバー36によって、開弁側の揺動端と閉弁側の揺動端との間の中間位置に位置決めされる。この中間位置で、アッパディスク30の表面31aから電磁石60の吸着面61aまでの距離と、ロアディスク20の表面21aから電磁石60の吸着面61bまでの距離とは、等しくなる。
コイル62に電流を供給すると、電磁力が発生し、アッパディスク30には、表面31aが吸着面61aに引き寄せられる力が作用する。これにより、アッパディスク30は、中心軸35を中心に反時計周りに揺動しようとし、上部ステム12nを押し下げる方向の力(駆動弁14を開弁位置に向けて運動させようとする力)を、駆動弁14に作用させる。また、電磁駆動弁10では、モノコイルにより構成された電磁石60が用いられているため、ロアディスク20にも、表面21aが吸着面61bに引き寄せられる力が作用する。これにより、ロアディスク20は、中心軸25を中心に時計周りに揺動しようとし、上部ステム12nを押し上げる方向の力(駆動弁14を閉弁位置に向けて運動させようとする力)を、駆動弁14に作用させる。電磁石60で発生した電磁力は、電磁石60との距離が近い位置で大きく作用し、離れた位置で小さく作用する。このため、駆動弁14の往復運動とともに、駆動弁14に作用するこれらの力の大きさが、変化する。
図4は、図1中の電磁駆動弁において、駆動弁のリフト位置と駆動弁に作用する力との関係を示すグラフである。図5は、比較のための電磁駆動弁において、駆動弁のリフト位置と駆動弁に作用する力との関係を示すグラフである。図1中の電磁駆動弁10との比較のため、アッパディスクおよびロアディスクが、一方端が支持された位置と、他方端がステム12に連結された位置との間の距離が互いに等しくなるように設けられた電磁駆動弁を想定し、その電磁駆動弁における両者の関係が、図5中に示されている。
図4および図5を参照して、図中の縦軸には、駆動弁14に作用する力が示されており、閉弁位置に向けて運動させようとする力を正、開弁位置に向けて運動させようとする力を負として、その値が表わされている。ロアディスク20およびアッパディスク30から駆動弁14に作用する力が、それぞれ、曲線121および122によって示されており、これらの力の合力、つまり、電磁石60で発生した電磁力により駆動弁14に作用する力の合力が、曲線123によって示されている。
図5から分かるように、比較のための電磁駆動弁では、電磁石60の吸着面61aからアッパディスク30の表面31aまでの距離と、電磁石60の吸着面61bからロアディスク20の表面21aまでの距離とが、等しくなる中間位置で、曲線123に示す駆動弁14に作用する力の合力が0となる。
一方、本実施の形態における電磁駆動弁10では、図4から分かるように、一方端が支持された位置と、他方端がステム12に連結された位置との間の距離が、アッパディスク30およびロアディスク20の間で異なるため、中間位置では、アッパディスク30から駆動弁14に作用する力が、ロアディスク20から駆動弁14に作用する力よりも大きくなる。
より詳細に説明すると、アッパディスク30およびロアディスク20が中間位置にある時、電磁石60で発生した電磁力により、アッパディスク30およびロアディスク20に引き付け力Fが作用したとすると、上部ステム12nには、アッパディスク30から、F×Lc/Laの大きさの力が作用し、ロアディスク20から、F×Lc/Lbの大きさの力が作用する。La<Lbの関係が成立しているため、電磁石60からアッパディスク30およびロアディスク20に、等しい大きさの引き付け力が作用したとしても、アッパディスク30から駆動弁14に作用する力が、ロアディスク20から駆動弁14に作用する力よりも大きくなる。
したがって、本実施の形態における電磁駆動弁10では、図4中の曲線123に示すように、駆動弁14に作用する力の合力が0となるリフト位置が、中間位置よりも閉弁側に寄った位置となる。
図6は、閉弁側の揺動端にあるアッパディスクおよびロアディスクを示す模式図である。図7は、閉弁側の揺動端から開弁側の揺動端に向かうアッパディスクおよびロアディスクを示す模式図である。図8は、開弁側の揺動端にあるアッパディスクおよびロアディスクを示す模式図である。続いて、電磁駆動弁10の動作について説明を行なう。
図6を参照して、駆動弁14が閉弁位置にある時、コイル62に、軸部61pの周りで矢印111に示す方向に流れる電流が供給されている。コア61に磁束が流れて、ロアディスク20を電磁石60の吸着面61bに引き寄せる電磁力が発生する。アッパディスク30およびロアディスク20は、アッパトーションバー36の弾性力に抗して、図中に示す閉弁側の揺動端に保持されている。
図7を参照して、次に、コイル62への電流供給を停止し、電磁石60に発生していた電磁力を消滅させる。これにより、ロアディスク20は、吸着面61bから離脱し、アッパトーションバー36の弾性力によって、中間位置に向けて揺動し始める。次に、アッパディスク30およびロアディスク20が中間位置に達する前に、コイル62に、軸部61pの周りで矢印111に示す方向に流れる電流を供給する。コア61に磁束が流れて、アッパディスク30を電磁石60の吸着面61aに引き寄せる電磁力が発生する。アッパディスク30およびロアディスク20は、この電磁力と、アッパトーションバー36の弾性力とによって、中間位置に向けて揺動する。この際、電磁石60には、ロアディスク20を電磁石60の吸着面61bに引き寄せる電磁力も発生する。しかしながら、本実施の形態では、電磁力によって駆動弁14に作用する力の合力が0となるリフト位置が、中間位置から閉弁側に寄った位置にある。このため、コイル62への電流供給の開始を、アッパディスク30およびロアディスク20が中間位置に達する前に行なっても、アッパディスク30およびロアディスク20を、継続して中間位置に向けて揺動させることができる。
図8を参照して、中間位置を越えた後、アッパディスク30およびロアディスク20は、アッパディスク30を電磁石60の吸着面61aに引き寄せる電磁力によって、ロアトーションバー26の弾性力に逆らいながら、図中に示す開弁側の揺動端まで揺動する。
図6を参照して、その後、コイル62への電流供給を停止し、電磁石60に発生していた電磁力を消滅させる。これにより、アッパディスク30は、吸着面61aから離脱し、ロアトーションバー26の弾性力によって、中間位置に向けて、再び揺動し始める。次に、アッパディスク30およびロアディスク20が中間位置に達し、さらに中間位置を越えた位置を揺動するタイミングで、コイル62に、軸部61pの周りで矢印111に示す方向に流れる電流を供給する。コア61に磁束が流れて、ロアディスク20を電磁石60の吸着面61bに引き寄せる電磁力が発生する。アッパディスク30およびロアディスク20は、この電磁力によって、アッパトーションバー36の弾性力に逆らいながら、図中の閉弁側の揺動端まで揺動する。
以降、コイル62への電流供給の開始と停止とを、以上に説明したタイミングで繰り返す。これにより、アッパディスク30およびロアディスク20を開弁側および閉弁側の変位端の間で揺動させ、この揺動運動によって駆動弁14を往復運動させる。
図9は、駆動弁のリフト位置とコイルに供給される電流値との関係を示すグラフである。図9を参照して、図7中に示す時、すなわち、アッパディスク30およびロアディスク20が、閉弁側の揺動端から開弁側の揺動端に向けて揺動する時、電磁駆動弁10を搭載した内燃機関の燃焼室には、爆発工程によるシリンダ内圧が発生している。したがって、電磁駆動弁10の安定した作動を得るためには、その内圧に打ち勝って傘部13を燃焼室内に押し込めるだけの力を、駆動弁14に作用させる必要がある。
図5を参照した際に想定した比較のための電磁駆動弁では、駆動弁14に作用する力の合力が0となる位置が、中間位置であるため、アッパディスク30およびロアディスク20が、閉弁側の揺動端から開弁側の揺動端に向けて揺動する際に、コイル62への電流供給の開始が、中間位置を超えたタイミングとなってしまう。しかしながら、本実施の形態では、コイル62への電流供給の開始を、アッパディスク30およびロアディスク20が中間位置に達する時(図9中の時間Tx)よりも前に行なうことができる。このため、駆動弁14の開弁時に、より大きい電磁力エネルギを駆動弁14の運動のために投入することができる。これにより、電磁力不足を生じさせることなく、駆動弁14を、安定して閉弁位置から開弁位置まで運動させることができる。
また、内燃機関が低負荷時にある場合には、燃焼室に発生する内圧が、比較的小さくなるため、駆動弁14の開弁時に必要となる電磁力エネルギに余裕が生じる。したがって、この場合には、コイル62に供給する電流値を、高負荷時のIaからIbに低減し、図9中の領域55の面積に相当する消費電力を節減することができる。
一方、アッパディスク30およびロアディスク20が、開弁側の揺動端から閉弁側の揺動端に向けて揺動する時には、コイル62への電流供給の開始が、アッパディスク30およびロアディスク20が中間位置に達し、さらに中間位置を越えた位置を揺動するタイミングになる。しかし、開弁位置から閉弁位置に向けて運動する駆動弁14には、開弁時のようなシリンダ内圧が作用しないため、開弁時と同様に、駆動弁14を、安定して運動させることができる。
本実施の形態では、モノコイルからなる電磁石60を設けるだけで、アッパディスク30およびロアディスク20を揺動させ、駆動弁14を往復運動させることができる。このため、開弁用および閉弁用の2つの電磁石を設ける場合と比較して、コストウェイトが高い電磁石の部品点数を1/2に削減できる。また、コイル62への電流供給のみで良いため、EDU(electronic driver unit)に設けられ、コイル1つに対して1つ必要となる回路素子の数を、電磁石と同様、1/2に削減できる。なお、本実施の形態では、1つの排気弁に注目して説明を行なっているが、内燃機関には、複数のバルブが設けられており、そのバルブごとに電磁駆動弁が必要となる。このため、内燃機関全体として見れば、大幅なコストダウンが可能となる。
また、駆動弁14が中間位置にある場合に、電磁石と、電磁力が作用する駆動弁のアーマチャとの間が一様に離れてしまう並進駆動式の電磁駆動弁と比較して、回転駆動式の電磁駆動弁10では、電磁石60からアッパディスク30までの距離が、一方端33に近づくに従って小さくなり、電磁石60からロアディスク20までの距離が、一方端23に近づくに従って小さくなる。電磁石との距離が小さい位置では、大きい電磁力が作用するため、燃焼室で発生するシリンダ内圧にかかわらず、駆動弁14をより安定して運動させることができる。
この発明の実施の形態1における電磁駆動弁10は、弁軸としてのステム12を有する駆動弁14と、互いに間隔を隔てて設けられ、揺動することによって駆動弁14を往復運動させる第1および第2のアーム部材としてのアッパディスク30およびロアディスク20と、モノコイルとしてのコイル62を有し、アッパディスク30とロアディスク20との間に配置された電磁石としての開閉兼用電磁石60とを備える。アッパディスク30およびロアディスク20は、揺動自在に支持された一方端33および23と、ステム12に連結された他方端32および22とを有する。電磁石60は、コイル62への電流供給により、アッパディスク30およびロアディスク20に電磁力を作用させ、アッパディスク30およびロアディスク20を揺動させる。一方端33および23が揺動自在に支持された位置と、他方端32および22がステム12に連結された位置との間の距離は、ロアディスク20よりもアッパディスク30の方が小さい。
電磁駆動弁10は、内燃機関の燃焼室と排気ポート17との間の開閉に用いられる電磁駆動弁である。駆動弁14は、ステム12の先端に形成され、駆動弁14の閉弁位置から開弁位置への運動に伴って、燃焼室と排気ポート17との間を遮蔽する位置から燃焼室内へと移動する弁体としての傘部13をさらに有する。
このように構成された、この発明の実施の形態1における電磁駆動弁10によれば、アッパディスク30およびロアディスク20から駆動弁14に作用する力が釣り合う位置を、中間位置から閉弁側にずらすことで、駆動弁14の閉弁位置から開弁位置に向かう運動に、より大きい電磁力エネルギを投入することができる。これにより、電磁力不足を生じさせることなく、駆動弁14を閉弁位置から開弁位置に安定して運動させることができる。また、シリンダ内圧が増大しても、電磁駆動弁10の安定した作動を得ることができるため、内燃機関の出力を向上させることができる。また、内燃機関の低負荷時には、消費電力を節減することで、内燃機関の燃費を向上させることができる。
(実施の形態2)
図10は、この発明の実施の形態2における電磁駆動弁を示す断面図である。本実施の形態における電磁駆動弁は、実施の形態1における電磁駆動弁10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については説明を繰り返さない。
図10を参照して、本実施の形態では、アッパディスク30が中心軸35を支点に揺動する角度が、ロアディスク20が中心軸25を支点に揺動する角度よりも小さくなるように、電磁石60およびディスク支持台51が形成されている。電磁石60およびディスク支持台51は、軸部61pが延びる方向に対する吸着面61aおよび表面51aの傾斜が、吸着面61bおよび表面51bの傾斜よりも小さくなるように形成されている。
図11は、図10中の電磁駆動弁において、駆動弁のリフト位置と駆動弁に作用する力との関係を示すグラフである。図10および図11を参照して、本実施の形態では、アッパディスク30およびロアディスク20が、開弁側の揺動端と閉弁側の揺動端との間の真ん中(図11中で、中立位置と表示する位置)にある時、表面31aから吸着面61aまでの距離Ldが、表面21aから吸着面61bまでの距離Leよりも小さくなる。このため、表面31aから吸着面61aまでの距離と、表面21aから吸着面61bまでの距離とが、等しくなる中間位置が、閉弁側にずれ、これによって、電磁石60で発生した電磁力が、アッパディスク30およびロアディスク20に等しい大きさの引き付け力を作用させる位置も、閉弁側にずれる。
したがって、本実施の形態では、一方端が支持された位置および他方端がステム12に連結された位置間の大小関係との相乗効果により、電磁力によって駆動弁14に作用する力の合力が0となるリフト位置を、実施の形態1における電磁駆動弁10よりも、さらに閉弁側に寄った位置に設定することができる。
このように構成された、この発明の実施の形態2における電磁駆動弁によれば、駆動弁14が閉弁位置から開弁位置に向かう際のコイル62への電流供給の開始を、さらに早いタイミングで行なうことができる。これにより、実施の形態1に記載の効果を、さらに有効に得ることができる。
(実施の形態3)
図12は、この発明の実施の形態3における電磁駆動弁を示す断面図である。本実施の形態における電磁駆動弁は、実施の形態1における電磁駆動弁10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については説明を繰り返さない。
図12を参照して、本実施の形態における電磁駆動弁110では、アッパディスク30の一方端33がディスク支持台51に支持された位置と、他方端32がステム12に連結された位置との間の距離、つまり、中心軸35と、長孔34に挿通された連結ピン12qとの間の距離が、ロアディスク20の一方端23がディスク支持台51に支持された位置と、他方端22がステム12に連結された位置との間の距離、つまり、中心軸25と、長孔24に挿通された連結ピン12pとの間の距離と等しくなるように、アッパディスク30およびロアディスク20が設けられている。
上部ステム12nおよび下部ステム12mは、それぞれ、互いに向い合う端面12bおよび12aを有する。上部ステム12nは、端面12bが端面12aに当接した状態で、下部ステム12mに接続されている。上部ステム12nは、下部ステム12mが延びる方向、つまり駆動弁14が往復運動する方向に延びるように、下部ステム12mに接続されている。
ディスク支持台51には、ロアディスク20を挟んで電磁石60の反対側に位置して、電磁石70が固定されている。電磁石70は、コイル62と、吸着面71aを有し、磁性材料から形成されたコア71とから構成されている。コア71は、電磁石60の軸部61pと平行に延びる軸部71pを有する。コイル62は、電磁石60から連続して延び、軸部71pの周りを旋回するように設けられている。吸着面71aは、ロアディスク20の表面21bに向い合っており、吸着面71aと電磁石60の吸着面61bとの間には、ロアディスク20が揺動する空間が規定されている。
軸部61pおよび71pの周りで、それぞれ矢印151および152に示す方向に流れる電流を、電磁石60および70のコイル62に供給する。これにより、電磁石60では、コア61とロアディスク20との間で、矢印153に示す方向に流れる磁束が形成され、電磁石70では、コア71とロアディスク20との間で、矢印154に示す方向に流れる磁束が形成される。これらの磁束は、ロアディスク20内で互いに反対方向に流れ、電磁石60によって発生した磁束が、電磁石70によって発生した磁束により相殺され、弱められる。この結果、ロアディスク20が電磁石60の吸着面61bに引き寄せられる力は、電磁石60のみが設けられている場合と比較して、小さくなる。
図13は、図12中の電磁石において、駆動弁のリフト位置と駆動弁に作用する力との関係を示すグラフである。図12および図13を参照して、図中では、電磁石70で発生する電磁力によって、ロアディスク20から駆動弁14に作用する力が、曲線124によって示されている。本実施の形態では、電磁石70を設けることによって、アッパディスク30から駆動弁14に作用する力が、ロアディスク20から駆動弁14に作用する力よりも大きくなる。これにより、電磁力によって駆動弁14に作用する力の合力が0となるリフト位置が、中間位置から閉弁側に寄った位置となる。
この発明の実施の形態3における電磁駆動弁110は、弁軸としてのステム12を有する駆動弁14と、互いに間隔を隔てて設けられ、揺動することによって駆動弁14を往復運動させる第1および第2のアーム部材としてのアッパディスク30およびロアディスク20と、アッパディスク30とロアディスク20との間に配置され、電磁力を作用させてアッパディスク30およびロアディスク20を揺動させる電磁石としての開閉兼用電磁石60と、ロアディスク20を挟んで電磁石60の反対側に設けられた減磁用電磁石としての電磁石70とを備える。アッパディスク30およびロアディスク20は、揺動自在に支持された一方端33および23と、ステム12に連結された他方端32および22とを有する。電磁石60は、モノコイルとしてのコイル62を有し、電磁石70は、コイル62を有する。電磁石60のコイル62への電流供給により、ロアディスク20内に所定の方向に流れる磁束が形成され、電磁石70のコイル62への電流供給により、ロアディスク20内に所定の方向とは反対方向に流れる磁束が形成される。
電磁駆動弁110は、内燃機関の燃焼室と排気ポート17との間の開閉に用いられる電磁駆動弁である。駆動弁14は、ステム12の先端に形成され、駆動弁14の閉弁位置から開弁位置への運動に伴って、燃焼室と排気ポート17との間を遮蔽する位置から燃焼室内へと移動する弁体としての傘部13をさらに有する。
このように構成された、この発明の実施の形態3における電磁駆動弁110によれば、駆動弁14が閉弁位置から開弁位置に向かう際のコイル62への電流供給の開始を、中間位置よりも早いタイミングで行なうことができる。これにより、実施の形態1に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態では、電磁石70に、電磁石60から連続して延びるコイル62を設けたが、コイル62とは別のコイル、つまり、コイル62と独立して電流供給の制御を行なうことができるコイルを、電磁石70に設けても良い。電磁駆動弁110では、軸部71pに対するコイル62の巻き数などにより、駆動弁14に作用する力の合力が0となるリフト位置が、固定されるが、この場合、そのリフト位置を自由に設定できる。このため、内燃機関が低負荷時にある場合には、電流供給の開始を最適な時期まで遅らせることができ、消費電力の節減をさらに図ることができる。
また、実施の形態1から3では、本発明による電磁駆動弁を内燃機関の排気弁に適用した場合について説明したが、吸気弁に適用することも可能である。また、実施の形態1から3における電磁駆動弁を適宜、組み合わせて、新たな電磁駆動弁を構成しても良い。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明の実施の形態1における電磁駆動弁を示す断面図である。 図1中の電磁石を示す斜視図である。 図1中のアッパディスク(ロアディスク)を示す斜視図である。 図1中の電磁駆動弁において、駆動弁のリフト位置と駆動弁に作用する力との関係を示すグラフである。 比較のための電磁駆動弁において、駆動弁のリフト位置と駆動弁に作用する力との関係を示すグラフである。 閉弁側の揺動端にあるアッパディスクおよびロアディスクを示す模式図である。 閉弁側の揺動端から開弁側の揺動端に向かうアッパディスクおよびロアディスクを示す模式図である。 開弁側の揺動端にあるアッパディスクおよびロアディスクを示す模式図である。 駆動弁のリフト位置とコイルに供給される電流値との関係を示すグラフである。 この発明の実施の形態2における電磁駆動弁を示す断面図である。 図10中の電磁駆動弁において、駆動弁のリフト位置と駆動弁に作用する力との関係を示すグラフである。 この発明の実施の形態3における電磁駆動弁を示す断面図である。 図12中の電磁石において、駆動弁のリフト位置と駆動弁に作用する力との関係を示すグラフである。
符号の説明
10,110 電磁駆動弁、12 ステム、13 傘部、14 駆動弁、17 排気ポート、20 ロアディスク、22,32 他方端、23,33 一方端、30 アッパディスク、60 開閉兼用電磁石、62 コイル、70 電磁石。

Claims (6)

  1. 弁軸を有する駆動弁と、
    揺動自在に支持された一方端と、前記弁軸に連結された他方端とを有し、互いに間隔を隔てて設けられ、揺動することによって前記駆動弁を往復運動させる第1および第2のアーム部材と、
    モノコイルを有し、前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間に配置され、前記モノコイルへの電流供給により、前記第1および第2のアーム部材に電磁力を作用させ、前記第1および第2のアーム部材を揺動させる電磁石とを備え、
    前記一方端が揺動自在に支持された位置と、前記他方端が前記弁軸に連結された位置との間の距離は、前記第2のアーム部材よりも前記第1のアーム部材の方が小さい、電磁駆動弁。
  2. 前記第1および第2のアーム部材は、前記第1のアーム部材の前記一方端が揺動自在に支持された位置と、前記第2のアーム部材の前記一方端が揺動自在に支持された位置とを結んだ直線が、前記駆動弁の往復運動する方向に平行に延びるように設けられている、請求項1に記載の電磁駆動弁。
  3. 前記一方端が支持された位置を支点に前記第1のアーム部材が揺動する角度は、前記第2のアーム部材が揺動する角度よりも小さい、請求項1または2に記載の電磁駆動弁。
  4. 弁軸を有する駆動弁と、
    揺動自在に支持された一方端と、前記弁軸に連結された他方端とを有し、互いに間隔を隔てて設けられ、揺動することによって前記駆動弁を往復運動させる第1および第2のアーム部材と、
    モノコイルを有し、前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材との間に配置され、電磁力を作用させて前記第1および第2のアーム部材を揺動させる電磁石と、
    コイルを有し、前記第2のアーム部材を挟んで前記電磁石の反対側に設けられた減磁用電磁石とを備え、
    前記モノコイルへの電流供給により、前記第2のアーム部材内に所定の方向に流れる磁束が形成され、前記コイルへの電流供給により、前記第2のアーム部材内に前記所定の方向とは反対方向に流れる磁束が形成される、電磁駆動弁。
  5. 前記コイルは、前記モノコイルから連続する一続きの線によって形成されている、請求項4に記載の電磁駆動弁。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の電磁駆動弁が、燃焼室と排気ポートとの間の開閉に用いられた内燃機関であって、
    前記駆動弁は、前記弁軸の先端に形成され、前記駆動弁の閉弁位置から開弁位置への運動に伴って、燃焼室と排気ポートとの間を遮蔽する位置から燃焼室内へと移動する弁体をさらに有し、
    前記駆動弁が閉弁位置から開弁位置に向けて運動する時に、前記電磁石で発生する電磁力により、前記第1のアーム部材が前記電磁石に引き寄せられ、前記駆動弁が開弁位置から閉弁位置に向けて運動する時に、前記電磁石で発生する電磁力により、前記第2のアーム部材が前記電磁石に引き寄せられる、内燃機関。
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