JP2006104832A - 構造物の構築方法、構造物および昇降装置 - Google Patents

構造物の構築方法、構造物および昇降装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 昇降装置で桁を支持する際の桁のレベル調整、および、桁の支持構造への架設を容易に行うことができる構造物の構築方法、構造物および昇降装置を提供すること。
【解決手段】 レグ5の下端部27をピン11で支持した昇降装置3a、昇降装置3bを橋梁桁25の両端部付近に配置し、上げ越し状態とした橋梁桁25の端部付近を、ピン69を用いて支持梁9に結合する。次に、橋梁桁25を上昇させ、橋梁桁25の上げ越しがなくなった時点で、連結鋼材53を用いてピン69の回転を固定する。そして、橋梁桁25をさらに昇降させて片端を橋脚77に支持させた後、橋梁桁25の昇降装置3a側を下降させる作業と、レグ5の支持部23aをタフローラ13を用いて水平移動させる作業とを繰り返すことにより、橋脚77を支点として橋梁桁25を回転させ、橋梁桁25の他端を橋台79に支持させる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、構造物の構築方法、構造物および昇降装置に関するものである。
従来、道路の平面交差における交通渋滞を解消するため、アンダーパスやオーバーパスによる交差部の立体化が行われてきた。オーバーパス工法としては、(1)交通を遮断して施工ヤードとし、その場所で杭あるいはケーソンなどの基礎を構築した後、橋脚・桁を構築する方法、(2)桁の縁に取り付けた昇降装置で桁を支持し、桁の上方および下方に作業空間を確保して工期を短縮する方法(例えば、特許文献1参照)等がある。
特開2003−193405号公報
しかしながら、(1)の方法では、施工開始から完成までに数年の期間を要し、施工期間中には車線規制によってさらなる交通渋滞が発生する。(2)の方法は、(1)の問題点を解消するためのものであるが、鋼桁を用いる場合、昇降装置で桁を支持する際に、桁の自重によってたわみが生じる可能性がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、昇降装置で桁を支持する際の桁のレベル調整、および、桁の支持構造への架設を容易に行うことができる構造物の構築方法、構造物および昇降装置を提供することにある。
前述した目的を達成するための第1の発明は、支持梁と、前記支持梁を支持するレグと、前記レグに沿って前記支持梁を昇降させる駆動部とを有する昇降装置を、前記レグの下端部を第1のピンによって支持しつつ、桁の両端部付近に配置する工程(a)と、上げ越し状態とした前記桁の端部付近を、前記支持梁に第2のピンを用いて結合する工程(b)と、前記支持梁を前記レグに沿って上昇させ、前記桁の上げ越しがなくなった時点で、前記第2のピンの回転を固定する工程(c)と、前記支持梁を前記レグに沿って昇降させ、前記桁の片端を第1の支持構造に支持させる工程(d)と、前記第1の支持構造を支点として前記桁を回転させ、前記桁の他端を第2の支持構造に支持させる工程(e)と、を具備することを特徴とする構造物の構築方法である。
昇降装置は、支持梁の両端部をそれぞれレグで支持した門型構造であり、駆動部としてジャッキ等が用いられる。工程(b)では、桁の自重により生じるたわみを算出して、上げ越し量を設定する。工程(c)では、支持梁と桁とを複数の鋼棒で連結して、第2のピンの回転を固定する。
工程(e)で、桁の片端を支持する第1の支持構造を中心として桁を回転させるには、例えば、桁の他端に配置された昇降装置を用いて、第2のピンの回転を固定した状態で、支持梁をレグに沿って下降させる作業と、第1のピンの下端部に設けられた水平移動手段を用いて第1のピンを水平移動させる作業とを繰り返す。水平移動手段は、例えば、ローラと、ローラによる移動を制御するシリンダジャッキと、ローラを固定する可動ストッパとからなる。
工程(e)で、桁の片端を支持する第1の支持構造を中心として桁を回転させるには、桁の他端に配置された昇降装置を用いて、第2のピンの回転の固定を解除した状態で、第1のピンおよび第2のピンを回転させてもよい。なお、第1の支持構造、第2の支持構造とは、橋脚、橋台、柱等である。
本発明によれば、昇降装置で桁を支持する際の桁のレベル調整、および、桁の支持構造への架設を容易に行うことができる構造物の構築方法、構造物および昇降装置を提供できる。
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。図1は、橋梁桁25の両端付近に、昇降装置3a、昇降装置3bを配置した状態を示す立面図である。
第1の実施の形態では、立体交差の道路構造物を構築する際に、橋梁桁25を橋脚等に架設する方法について説明する。図1では、まず、地盤1内に杭19を設置し、杭19の上方にフーチング17を形成する。そして、フーチング17付近に支持コンクリート75を形成し、支持コンクリート75に水平台33を固定する。また、地盤1上に複数の架台21を設置し、架台21上に橋梁桁25を組み立てる。橋梁桁25は、鋼製等であり、複数の部材をボルトや溶接で連結して組み立てられる。
橋梁桁25を組み立てた後、橋梁桁25の両端付近に、それぞれ、昇降装置3a、昇降装置3bを配置する。図1に示すように、昇降装置3a、昇降装置3bは、いずれも、水平台33上に配置される。昇降装置3a、昇降装置3bは、いずれも、レグ5、ワーキングジャッキ7、支持梁9を有する。昇降装置3aのレグ5の下端部27には、支持部23aが設けられる。昇降装置3bのレグ5の下端部27には、支持部23bが設けられる。(図1、6、7の支持部23bを変更しました。)
以下に、昇降装置3aの構造について詳細に説明する。図2は、昇降装置3aを橋軸方向から見た立面図である。図2の(a)図は、図1に示すB−Bによる断面図である。図1、図2の(a)図に示すように、支持梁9は、橋梁桁25を支持するものである。レグ5は、支持梁9の両端部に挿通され、支持梁9を支持する。ワーキングジャッキ7は、支持梁9をレグ5に沿って昇降させるための駆動部である。ワーキングジャッキ7は、例えば、支持梁9の上面51に設置される。支持部23aは、水平台33上に載置されて、レグ5を支持する。なお、レグ5は、橋梁桁25にも挿通される。(橋梁桁25の幅の変更に伴い、追加しました。図1、2、4、6、7〜10と合わせてご確認くださいませ。)
図3は、昇降装置3aの下端部付近を橋軸直角方向から見た立面図である。図3の(a)図は、図2の(a)図に示す矢印Cの方向から見た図である。図1、図2の(a)図、図3の(a)図に示すように、支持部23aは、ピン11、タフローラ13、スライドシリンダ15、可動ストッパ43等からなる。
図2の(a)図、図3の(a)図に示すように、ピン11は、レグ5の下端に固定された連結治具29と、タフローラ13の上端に固定された連結治具31とを連結する部材である。タフローラ13は、水平台33に固定された溝型治具35の内部に配置される。溝型治具35は、底面35cと、底面35cの橋軸方向の2辺に設けられた側面35aと、橋軸直角方向の1辺に設けられた側面35bとからなる。溝型治具35は、水平台33上に、橋軸方向の溝を形成する。溝型治具35の側面35aと連結治具31との間には、サイドローラ37が設けられる。
スライドシリンダ15は、橋軸方向に伸縮するように配置される。スライドシリンダ15の一端は、固定具47を介して、連結治具31の橋軸方向の端部のうち、溝型治具35の側面35bと対向しない端部に連結される。スライドシリンダ15の他端は、固定具41を介して、溝型治具35に固定された固定治具39に連結される。可動ストッパ43は、位置決め棒45を介して、溝型治具35の側面35bに連結される。可動ストッパ43は、位置決め棒45の任意の位置に固定することができる。
図3の(a)図に示すように、ピン11は、矢印E方向にレグ5を回転させる。タフローラ13は、橋軸方向すなわち矢印Fに示す方向に連結部23aを水平移動させる。サイドローラ37(図2の(a)図)は、タフローラ13による連結部23aの移動を補助する。スライドシリンダ15は、伸縮して連結部23aの移動を制御する。可動ストッパ43は、連結部23aの停止を補助する。
図4は、昇降装置3aを上方向から見た図である。図4は、図2の(a)図に示す矢印Dの方向から見た図である。図5は、支持梁9と橋梁桁25との連結部87付近の断面図である。図5の(a)図は、図4に示すG−Gによる断面図である。
図2の(a)図、図4に示すように、連結部87は、橋梁桁25の両側部に1ヶ所ずつ設けるのが望ましい。図2の(a)図、図4、図5の(a)図に示すように、各連結部87は、ピン69、4本の連結鋼材53等からなる。ピン69は、支持梁9の下面61に固定された連結治具63と、橋梁桁25の上面55に固定された連結治具65とを連結する部材である。
連結鋼材53は、上下方向に配置されたゲビンデスタープ、PC鋼棒等である。支持梁9の両側面89には、凸部60が設けられ(図4)、凸部60の上面には固定板49が固定される(図2の(a)図、図4、図5の(a)図)。固定板49の橋軸直角方向の幅は凸部60の幅より大きく、連結鋼材53は、上端部が固定板49に挿通された状態で、凸部60の両側に配置される(図2の(a)図)。連結鋼材53の上端部は、ナット73を用いて固定板49に固定される(図2の(a)図、図4、図5の(a)図)。
橋梁桁25の上面55には、凸部67が設けられ、凸部67の上面には固定板57が固定される(図2の(a)図、図5の(a)図)。固定板57の橋軸直角方向の幅は凸部67の幅より大きく、連結鋼材53の下端部は、固定板57に挿通された状態で、凸部67の両側に配置される(図2の(a)図)。
図5の(a)図に示す状態のとき、連結治具65が固定された橋梁桁25は、ピン69により、矢印Hに示す方向に回転可能である。
図1に示す昇降装置3bは、昇降装置3aとほぼ同様の構造を有するが、支持部23bのみが昇降装置3aとは異なる。昇降装置3bの支持部23bは、レグ5をピン支持するような構造である。すなわち、支持部23bは、図1に示すように、レグ27の下端部27に固定された連結治具29と、水平台33上に固定された連結治具83と、連結治具29と連結治具83とを回転可能に一体化するピン11からなる。
図1に示すように配置された昇降装置3a、昇降装置3bは、上げ越し状態とした橋梁桁25と支持梁9とを、図2の(a)図、図5の(a)図に示すように、連結部87のピン69を用いて結合する。すなわち、橋梁桁25の両端部付近は、支持梁9に対して、図5の(a)図に示す矢印Hの方向に回転可能に連結される。なお、橋梁桁25の上げ越し量は、橋梁桁25の自重により生じると考えられるたわみ量を算出して決定する。
支持梁9と橋梁桁25とをピン69で結合した後、ワーキングジャッキ7を用いて支持梁9をレグ5に沿って上昇させ、橋梁桁25を図1に示す矢印Aの方向に上昇させる。このとき、昇降装置3aのレグ5の支持部23aの水平方向の移動は、図3の(a)図に示すように、スライドシリンダ15、可動ストッパ43等によって固定される。
図6は、図1に続く各工程を示す立面図である。図6の(a)図は、橋梁桁25が架台21から離れた状態を示す立面図である。図1に示す状態から、橋梁桁25を上昇させると、図6の(a)図に示すように、橋梁桁25が架台21から離れる。このとき、橋梁桁25の両端部付近が図5の(a)図に示す矢印Hの方向に回転し、橋梁桁25にあらかじめ設けた上げ越しによって、橋梁桁25の自重によるたわみが吸収される。
図2の(b)図、図5の(b)図は、支持梁9に橋梁桁25を剛結合した状態を示す。図6の(a)図において、橋梁桁25の水平度、レグ5の垂直度を確認した後、図2の(b)図、図5の(b)図に示すように、支持梁9と固定板57との間にレベル調整スペーサ59を設置する。さらに、ナット71を用いて、連結鋼材53の下端部を固定板57に固定する。これにより、ピン69の回転が固定され、橋梁桁25の両端部付近は、支持梁9に剛結合される。
図6の(b)図は、橋梁桁25をさらに上昇させた状態を示す立面図である。支持梁9に橋梁桁25を剛結合した後、ワーキングジャッキ7を用いて支持梁9をレグ5に沿って上昇させ、橋梁桁25を図6の(a)図に示す矢印Iの方向にさらに上昇させて、図6の(b)図に示す状態とする。
図6の(c)図は、橋梁桁25を橋脚77および橋台79に架設した状態を示す立面図である。図6の(b)に示す状態とした後、昇降装置3b側のフーチング17上に、第1の支持構造である橋脚77を構築する。そして、ワーキングジャッキ7を用いて支持梁9をレグ5に沿って下降させ、橋梁桁25の昇降装置3b側の端部付近を、図6の(c)図に示すように、橋脚77に支持させる。さらに、昇降装置3bを撤去する。
橋脚77の構築と並行して、昇降装置3a側のフーチング17上に、第2の支持構造である橋台79を構築する。そして、橋脚77を支点として図6の(c)図に示す矢印Jの方向に橋梁桁25を回転させ、昇降装置3a側の端部付近を、橋台79に支持させる。
橋梁桁25を矢印Jに示す方向に回転させるには、まず、図3の(a)図に示す可動ストッパ43を、図3の(b)図に示すように移動させ、位置決め棒45に再度固定する。これにより、支持部23aの水平移動が可能となる。可動ストッパ43の再固定位置は、橋梁桁25の回転による支持部23aの水平移動量を事前に把握して決定する。
そして、図6の(c)図に示すように、ワーキングジャッキ7を用いて支持梁9をレグ5に沿って下降させ、橋梁桁25を矢印J1の方向に下降させる作業と、スライドジャッキ15で移動量を制御しつつ、タフローラ13とサイドローラ37(図2の(a)図)を用いて支持部23aを矢印J2の方向に水平移動させる作業とを繰り返して、橋梁桁25を矢印Jの方向に回転させる。橋梁桁25の端部を橋台79に据え付けた後、昇降装置3aを撤去する。
このように、第1の実施の形態では、橋梁桁25を保持する昇降装置3a、昇降装置3bにおいて、支持梁9と橋梁桁25とを結合する際に、ピン69による結合または剛結合を、適宜選択できるようにする。これにより、上げ越し状態の橋梁桁25をピン69により支持梁9に回転可能に結合し、橋梁桁25を上昇させた後、橋梁桁25およびレグ5のたわみがない状態で橋梁桁25と支持梁9とを剛結合することができる。
また、昇降装置3aに、支持部23aの水平移動を可能にするタフローラ13等を設ける。これにより、図6の(c)図に示すように、昇降装置3aを用いて、橋梁桁25の下降と支持部23aの水平移動を繰り返して、橋梁桁25を橋台79に確実かつ容易に架設することができる。
なお、第1の実施の形態は、図6の(c)図に示す橋梁と橋脚の間の他、2ヶ所の橋脚の間に桁を架設する場合にも適用できる。第1の実施の形態では、橋梁桁25の片端付近を橋脚77に支持させる作業の後、他端を橋台79に支持させる作業を行ったが、この2つの作業の間に、橋梁桁25上で他の橋梁桁を組み立てて押出し架設する作業を行うこともできる。
また、昇降装置3a、昇降装置3bの連結部87の構造は、図2、図4、図5に示すものに限らない。連結部は、支持梁と橋梁桁とを結合する際に、ピン結合または剛結合を適宜選択できるような構造であればよい。
さらに、支持部23aの構造は、図3に示すものに限らない。支持部23aは、レグ5の下端部27を、回転かつ水平移動可能に支持するような構造であればよい。支持部23bは、レグ5の下端部27を回転可能に支持するような構造であればよい。
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、立体交差の道路構造物を構築する際に、第1の実施の形態の昇降装置3aのかわりに他の昇降装置3cを用いて橋梁桁を橋脚等に架設する方法について説明する。図7は、橋梁桁25を橋脚および橋台に架設するための各工程を示す立面図である。図7の(a)図は、橋梁桁25の両端付近に、昇降装置3c、昇降装置3bを配置した状態を示す立面図である。図7の(a)図は、第1の実施の形態の図1に相当する。
図7の(a)図では、まず、第1の実施の形態と同様に、杭19、フーチング17、支持コンクリート75を形成し、支持コンクリート75上に水平台33を固定する。また、架台21上に橋梁桁25を組み立てる。そして、橋梁桁25の両端付近に、それぞれ、昇降装置3c、昇降装置3bを配置する。
図7の(a)図に示すように、昇降装置3c、昇降装置3bは、いずれも、水平台33上に配置される。昇降装置3bは、第1の実施の形態で用いたものと同じ構成である。昇降装置3cは、昇降装置3aおよび昇降装置3bと同様のレグ5、ワーキングジャッキ7、支持梁9を有し、レグ5の下端部27には支持部23cが設けられる。また、支持梁9と橋梁桁25の間にローラ受81が配置される。ワーキングジャッキ7の上面にもローラ受81が配置される。
以下に、昇降装置3cの支持部23c、ローラ受81について詳細に説明する。図8は、昇降装置3cを橋軸方向から見た立面図である。図8は、図7の(a)図に示すP−Pによる断面図である。図9は、昇降装置3cの下半部付近を橋軸直角方向から見た立面図である。図9は、昇降装置3cを図8に示す矢印Mの方向から見た図である。
支持部23cは、支持部23bと同様の構造である。すなわち、図8、図9に示すように、支持部23cは、レグ5の下端部27に固定された連結部材29と、水平台33の上面に固定された連結治具83とを、ピン11で結合したものである。ピン11は、図9に示す矢印Oの方向にレグ5を回転させる。
図10は、昇降装置3cの水平断面図である。図10は、図8に示すN−Nによる断面図である。図11は、支持梁9と橋梁桁25との連結部87付近の断面図である。図11は、図10に示すQ−Qによる断面図である。
ローラ受81は、支持梁9と橋梁桁25の間、ワーキングジャッキ7の上面に配置される(図8、図9)。ローラ受81は、コの字型の部材であり、内空にレグ5が配置される(図10)。ローラ受81は、橋梁桁25の上面55、ワーキングジャッキ7の上面に固定される(図8、図10)。ローラ受81の内側面にはローラ85が設けられる(図9、図10)。ローラ85は回転し、レグ5に沿って移動する。なお、昇降装置3cの連結部87は、昇降装置3aの連結部87と同様の構造である(図8、図11)。
図7の(a)図に示す昇降装置3c、昇降装置3bは、上げ越し状態とした橋梁桁25と支持梁9とを、連結部87のピン69を用いて結合する。連結部87の連結鋼材53は、図8、図11に示すように、上端部のみが固定板49に固定される。すなわち、橋梁桁25の両端部付近は、支持梁9に対して、図11に示す矢印Rの方向に回転可能に連結される。なお、橋梁桁25の上げ越し量は、橋梁桁25の自重により生じると考えられるたわみ量を算出して決定する。
支持梁9と橋梁桁25とをピン69で結合した後、ワーキングジャッキ7を用いて支持梁9をレグ5に沿って上昇させ、橋梁桁25を図7の(a)に示す矢印Kの方向に上昇させる。橋梁桁25を上昇させると、橋梁桁25が架台21から離れる。このとき、橋梁桁25が図11に示す矢印Rの方向に回転し、橋梁桁25にあらかじめ設けた上げ越しによって、橋梁桁25の自重によるたわみが吸収される。
橋梁桁25を架台21から離し、橋梁桁25の水平度、レグ5の垂直度を確認した後、第1の実施の形態における図2の(b)図、図5の(b)図と同様にして、支持梁9と固定板57との間にレベル調整スペーサ59を設置する。さらに、ナット71を用いて、連結鋼材53の下端部を固定板57に固定する。これにより、ピン69の回転が固定され、橋梁桁25の両端部付近が支持梁9に剛結合される。
図7の(b)図は、橋梁桁25をさらに上昇させた状態を示す立面図である。支持梁9に橋梁桁25を剛結合した後、ワーキングジャッキ7を用いて支持梁9をレグ5に沿って上昇させ、橋梁桁25をさらに上昇させて、図7の(b)図に示す状態とする。
図7の(c)図は、橋梁桁25を橋脚77および橋台79に架設した状態を示す立面図である。図7の(b)に示す状態とした後、昇降装置3b側のフーチング17上に、第1の支持構造である橋脚77を構築する。そして、ワーキングジャッキ7を用いて支持梁9をレグ5に沿って下降させ、橋梁桁25の昇降装置3b側の端部付近を、図7の(c)図に示すように、橋脚77に支持させる。さらに、昇降装置3bを撤去する。
橋脚77の構築と並行して、昇降装置3a側のフーチング17上に、第2の支持構造である橋台79を構築する。そして、橋脚77を支点として図7の(c)図に示す矢印Lの方向に橋梁桁25を回転させ、昇降装置3c側の端部を、橋台79に支持させる。
橋梁桁25を矢印Lに示す方向に回転させるには、まず、昇降装置3cの連結部87のナット71およびレベル調整用スペーサ59(図2の(b)図、図5の(b)図)を撤去し、支持梁9と橋梁桁25との剛結合を、図8、図11に示すようなピン69による結合に戻す。
次に、橋梁桁25を連結部87のピン69によって支持梁9に対して回転させつつ、レグ5を支持部23cのピン11によって水平台33に対して回転させて、橋梁桁25を矢印Lの方向に回転させる。そして、橋梁桁25の端部を橋台79に据え付けた後、昇降装置3cを撤去する。
このように、第2の実施の形態では、橋梁桁25を保持する昇降装置3c、昇降装置3bにおいて、支持梁9と橋梁桁25とを結合する際に、ピン69による結合または剛結合を、適宜選択できるようにする。これにより、上げ越し状態の橋梁桁25をピン69により支持梁9に回転可能に結合し、橋梁桁25を上昇させた後、橋梁桁25およびレグ5のたわみがない状態で橋梁桁25と支持梁9とを剛結合することができる。
また、橋梁桁25を橋台79に架設する前に、昇降装置3cにおける支持梁9と橋梁桁25との剛結合を、図8、図11に示すようなピン69による結合に戻す。これにより、支持部23cのピン11および連結部87のピン69を回転させて、橋梁桁25を橋台79に確実かつ容易に架設することができる。
なお、第2の実施の形態は、図7の(c)図に示す橋梁と橋脚の間の他、2ヶ所の橋脚の間に桁を架設する場合にも適用できる。第2の実施の形態では、橋梁桁25の片端付近を橋脚77に支持させる作業の後、他端を橋台79に支持させる作業を行ったが、この2つの作業の間に、橋梁桁25上で他の橋梁桁を組み立てて押出し架設する作業を行うこともできる。
また、昇降装置3c、昇降装置3bの連結部87の構造は、図8、図10、図11に示すものに限らない。連結部は、支持梁と橋梁桁とを結合する際に、ピン結合または剛結合を適宜選択できるような構造であればよい。さらに、支持部23c、支持部23bの構造は、レグ5の下端部27を回転可能に支持するような構造であればよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明にかかる構造物の構築方法、構造物および昇降装置の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明の構造物の構築方法、構造物および昇降装置は、例えば、柱等の支持構造物に、桁に相当する大スパンの屋根構造を架設して構造物を構築する場合にも用いることができる。
橋梁桁25の両端付近に、昇降装置3a、昇降装置3bを配置した状態を示す立面図 昇降装置3aを橋軸方向から見た立面図 昇降装置3aの下端部付近を橋軸直角方向から見た立面図 昇降装置3aを上方向から見た図 支持梁9と橋梁桁25との連結部87付近の断面図 図1に続く各工程を示す立面図 橋梁桁25を橋脚および橋台に架設するための各工程を示す立面図 昇降装置3cを橋軸方向から見た立面図 昇降装置3cの下半部付近を橋軸直角方向から見た立面図 昇降装置3cの水平断面図 支持梁9と橋梁桁25との連結部87付近の断面図
符号の説明
1………地盤
3a、3b、3c………昇降装置
5………レグ
7………ワーキングジャッキ
9………支持梁
11、69………ピン
13………タフローラ
15………スライドシリンダ
21………架台
23a、23b、23c………支持部
25………橋梁桁
29、31、63、65、83………連結治具
35………溝型治具
37………サイドローラ
43………可動ストッパ
45………位置決め棒
49、57………固定板
53………連結鋼材
59………レベル調整用スペーサ
60、67………凸部
71、73………ナット
77………橋脚
79………橋台
81………ローラ受
85………ローラ
87………連結部

Claims (8)

  1. 支持梁と、前記支持梁を支持するレグと、前記レグに沿って前記支持梁を昇降させる駆動部とを有する昇降装置を、前記レグの下端部を第1のピンによって支持しつつ、桁の両端部付近に配置する工程(a)と、
    上げ越し状態とした前記桁の端部付近を、前記支持梁に第2のピンを用いて結合する工程(b)と、
    前記支持梁を前記レグに沿って上昇させ、前記桁の上げ越しがなくなった時点で、前記第2のピンの回転を固定する工程(c)と、
    前記支持梁を前記レグに沿って昇降させ、前記桁の片端を第1の支持構造に支持させる工程(d)と、
    前記第1の支持構造を支点として前記桁を回転させ、前記桁の他端を第2の支持構造に支持させる工程(e)と、
    を具備することを特徴とする構造物の構築方法。
  2. 前記工程(c)で、前記支持梁と前記桁とを複数の鋼棒で連結して、前記第2のピンの回転を固定することを特徴とする請求項1記載の構造物の構築方法。
  3. 前記工程(e)で、前記桁の他端に配置された前記昇降装置が、前記第2のピンの回転を固定した状態で、前記支持梁を前記レグに沿って下降させる作業と、前記第1のピンの下端部に設けられた水平移動手段を用いて前記第1のピンを水平移動させる作業とを繰り返すことを特徴とする請求項1記載の構造物の構築方法。
  4. 前記水平移動手段が、ローラと、前記ローラによる移動を制御するシリンダジャッキと、前記ローラを固定する可動ストッパとからなることを特徴とする請求項3記載の構造物の構築方法。
  5. 前記工程(e)で、前記桁の他端に配置された前記昇降装置が、前記第2のピンの回転の固定を解除した状態で、前記第1のピンおよび前記第2のピンを回転させることを特徴とする請求項1記載の構造物の構築方法。
  6. 請求項1に記載された構造物の構築方法によって構築されたことを特徴とする構造物。
  7. 支持梁と、
    前記支持梁を支持するレグと、
    前記支持梁を前記レグに沿って昇降させる駆動部と、
    前記レグの下端部を支持する第1のピンと、
    前記支持梁と桁とを結合する第2のピンと、
    前記第2のピンの回転を固定するための固定具と、
    を具備することを特徴とする昇降装置。
  8. 前記第1のピンの下端部に、前記第1のピンを水平移動させる水平移動手段がさらに設けられることを特徴とする請求項7記載の昇降装置。
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