JP2006104367A - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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Abstract

【課題】
印字物の色調及びインクの保存安定性に優れた、顔料を含む顔料水分散体の製造方法、及びその製造方法で得られた顔料水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクを提供すること。
【解決手段】
(A)2種以上のキナクリドン系化合物を含むキナクリドン固溶体顔料、塩生成基を有するポリマー、該ポリマーを中和するための中和剤、有機溶媒及び水を含有し、固形分の濃度が50〜80重量%である混合体を混練する工程、及び
(B)得られた混練物に水及び/又は有機溶媒を添加して希釈し、該混練物を分散する工程、を含む工程により得られるインクジェット記録用顔料水分散体、及び前記顔料水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録用水系インクに関する。更に詳しくは、インクジェット記録用水系インクなどに好適に使用しうる顔料水分散体、及びその顔料水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクに関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインクの液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式によれば、カラー化が容易であり、かつ記録部材として普通紙を使用することができるという利点があるため、近年広く用いられている。
インクジェット記録用インクに使用されるインクには、ノズルにインクが目詰まりするのを防止するために、水溶性染料が用いられている。しかし、水溶性染料系インクは、耐水性や耐光性に劣り、特に熱ジェット方式のインクに使用した場合には、ヒーター面の熱により染料が酸化され、インクがヒーター面で焦げやすく、吐出性が低下するという欠点がある。この欠点を解消するために、耐水性及び耐光性に優れた顔料インクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
顔料インクには、物性面からは顔料の分散性が、記録画像の色相面から高透明度、高精細度や優れた発色性などが要求される。マゼンタ顔料においては、2種以上のキナクリドン系化合物からなるキナクリドン固溶体顔料を用いることにより、発色性を維持しつつ、顔料分散性を改善したインクジェット記録用インクが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2等の公知の水系インクは、長期保存時の安定性が不十分であるという課題がある。
国際公開第00/39226号パンフレット 特開平10−219166号公報
本発明は、印字物の色調及びインクの保存安定性に優れた顔料水分散体の製造方法、及びその方法で得られた顔料水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクを提供することを課題とする。
本発明は、(A)2種以上のキナクリドン系化合物を含むキナクリドン固溶体顔料、塩生成基を有するポリマー、該ポリマーを中和するための中和剤、有機溶媒及び水を含有し、固形分の濃度が50〜80重量%である混合体を混練する工程、及び
(B)得られた混練物に水及び/又は有機溶媒を添加して希釈し、該混練物を分散する工程、を含む工程により得られる、インクジェット記録用顔料水分散体、並びに前記顔料水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクを提供する。
本発明の顔料水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクは、インクの保存安定性が優れており、印字の際の色再現範囲が広く、優れた色調を有する印字物を与えることができる。
本発明のインクジェット記録用顔料水分散体は、
(A)2種以上のキナクリドン系化合物を含むキナクリドン固溶体顔料、塩生成基を有するポリマー、該ポリマーを中和するための中和剤、有機溶媒及び水を含有し、固形分の濃度が50〜80重量%である混合体を混練する工程、及び
(B)得られた混練物に水及び/又は有機溶媒を添加して希釈し、該混練物を分散する工程、を含む工程により得られたものであることに特徴がある。
まず、本発明の製造方法において用いる各成分について、以下に説明する。
(キナクリドン固溶体顔料)
キナクリドン固溶体顔料は、2種以上のキナクリドン系化合物を混合することにより異なる色相、耐候性、耐熱性等の物性を表す。
キナクリドン系化合物としては、下記一般式(I)
n−Q−Ym (I)
(式中、Qはキナクリドン残基又はキナクリドンキノン残基を表し、X、Yは、水素原子、メチル基、クロル基又はメトキシ基を表し、n、mは1〜4の整数を表す。)で示されるものが挙げられる。より具体的には、無置換キナクリドン、2,9−ジメチルキナクリドン、2,9−ジクロルキナクリドン、2,9−ジメトキシキナクリドン、3,10−ジメチルキナクリドン、3,10−ジクロルキナクリドン、3,10−ジメトキシキナクリドン、4,11−ジメチルキナクリドン、4,11−ジクロルキナクリドン、4,11−ジメトキシキナクリドン、キナクリドンキノン等が挙げられる。
本発明で用いる、好ましいキナクリドン固溶体顔料としては、無置換キナクリドンと、ジメチル置換キナクリドン及び/又はジクロル置換キナクリドンとを含む顔料固溶体が好ましい。なかでも、無置換キナクリドンと2,9−ジメチルキナクリドン等のジメチル置換キナクリドン、無置換キナクリドンと2,9−ジクロルキナクリドン、3,10−ジクロルキナクリドン等のジクロル置換キナクリドン等の組合せからなる固溶体顔料が好ましい。
特に、無置換キナクリドン(C.I.ピグメント・バイオレット19等)と2,9−ジメチルキナクリドン(C.I.ピグメント・レッド122等)の組み合わせが色相の観点から好ましい。
なお、無置換キナクリドンとしては、α型、β型、γ型のいずれでも差し支えないが、保存安定性の観点から、β型もしくはγ型無置換キナクリドンが好ましい。例えば、特開平10−219166号公報に開示されている固溶体マゼンタ顔料を用いることもできる。
無置換キナクリドンと、ジメチル置換キナクリドン及び/又はジクロル置換キナクリドンとの重量比[無置換キナクリドン/(ジメチル置換キナクリドン及び/又はジクロル置換キナクリドン)]、具体的には無置換キナクリドンとジメチル置換キナクリドンの重量比(無置換キナクリドン/ジメチル置換キナクリドン)、及び無置換キナクリドンとジクロル置換キナクリドンの重量比(無置換キナクリドン/ジクロル置換キナクリドン)は、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは15/85〜85/15である。
キナクリドン固溶体顔料は、例えば、特開昭60−35055号公報、特開平2−38463号公報及び特開平10−219166号公報に記載の方法等で製造することができる。
キナクリドン固溶体顔料の平均粒径は、分散安定性の観点から、好ましくは0.01〜0.3μm、より好ましくは0.03〜0.2μmである。なお、平均粒径は、大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント法)で測定することができる。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333) を入力する。また標準物質としてセラディン(Seradyn) 社製のユニフォーム・マイクロパーティクルズ (平均粒径204nm)を用いる。
(塩生成基を有するポリマー)
本発明で用いる塩生成基を有するポリマーとしては、キナクリドン固溶体顔料表面への吸着性が高く、顔料水分散体における分散安定性が高いことから、塩生成基を有する水不溶性ポリマー(以下、単に「水不溶性ポリマー」という)が好ましく用いられる。
塩生成基としては、アニオン性基又はカチオン性基が挙げられる。アニオン性基の具体例としては、カルボキシル基(−COOM)、スルホン酸基(-SO3M)、リン酸基(−PO32)、−SO2NH2 、−SO2 NHCOR1又はそれらの解離したイオン形(−COO-、-SO3 -、−PO3 2-、−PO3 - M)等が挙げられる。上記化学式中、Mは、同一でも異なってもよく、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;アンモニウム等が挙げられる。カチオン性基の具体例としては、アミノ基、アンモニウム基が挙げられる。
水不溶性ポリマーとしては、水不溶性ビニル系ポリマー、水不溶性ポリエステル系ポリマー、水不溶性ポリウレタン系ポリマー等が挙げられる。
これらの中では、水不溶性ビニル系ポリマーが好ましく、特に、(a)塩生成基含有モノマー、(b)ノニオン性モノマー及び(c)疎水性モノマーを含有するモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物」という)を重合して得られる水不溶性ビニルポリマーが好ましい。なお、本発明の課題解決を阻害しない範囲内で他のモノマーを併用することができる。
(a)塩生成基含有モノマーは、得られる顔料水分散体の分散安定性を高める観点から用いられる。(a)塩生成基含有モノマーとしては、(a−1)アニオン性モノマー及び(a−2)カチオン性モノマーが好ましい。
(a−1)アニオン性モノマーとしては、(i)不飽和カルボン酸モノマー、(ii)不飽和スルホン酸モノマー及び(iii)不飽和リン酸モノマーからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
(i)不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
(ii)不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸エステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。
(iii)不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
これらの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、(i)不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
(a−2)カチオン性モノマーとしては、(iv)不飽和3級アミン含有ビニルモノマー及び(v)不飽和アンモニウム塩含有ビニルモノマーからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
(iv)不飽和3級アミン含有モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアリールアミン、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等が挙げられる。なお、(メタ)アクリレートは、メタクリレートとアクリレートの両方を意味する。以下においても同様である。
(v)不飽和アンモニウム塩含有モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級化物等が挙げられる。
(a−2)カチオン性モノマーの中では、(iv)不飽和3級アミン含有モノマーが好ましく、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンがより好ましい。
なお、上記において(a)塩生成基含有モノマーとして例示したモノマーは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(b)ノニオン性モノマーは、印刷画像の光沢性を向上し、低粘度かつ吐出性を高める観点から用いられる。
(b)ノニオン性モノマーとしては、下記式(1)で表されるものが好ましい。
CH2=C(R1)C(O)O(AO)p−R2 (1)
〔式中、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン単位(但し、p個のオキシアルキレン単位は、同一でも異なっていてもよい。)を示し、オキシアルキレン単位が異なる場合は、ブロック付加、ランダム付加、及び交互付加のいずれでもよい。R1は水素原子又はメチル基、pは、平均付加モル数を意味し、1〜30、好ましくは2〜25の数、R2は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜9のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。〕
式(1)で表されるもモノマーの具体例としては、ポリエチレングリコール(p=1〜30)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(1〜30)、ポリプロピレングリコール(p=1〜30)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(p=1〜30)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(p=1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(p=1〜30)(メタ)アクリレート、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(p=1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(p=1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(p=1〜30、その中のエチレングリコールのp=1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、メトキシポリエチレングリコール(p=1〜30)(メタ)アクリレートが好ましい。
商業的に入手しうる(b)ノニオン性モノマーの具体例としては、新中村化学工業株式会社のNKエステル M-20G, 40G, 90G, 230G, 日本油脂株式会社のブレンマーPEシリーズ、 PME-100, 200, 400, 1000,PP-1000, PP-500, PP-800, AP-150, AP-400, AP-550, AP-800, 50PEP-300, 70PEP-350B, AEP シリーズ,30PPT-800, 50PPT-800, 70PPT-800, APTシリーズ,10PPB-500B, 10APB-500B, 50POEP-800B, 50AOEP-800B, ASEPシリーズ,PNEPシリーズ, PNPEシリーズ, 43ANEP-500, 70ANEP-550等が挙げられる。
なお、上記において(b)ノニオン性モノマーとして例示したモノマーは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(c)疎水性モノマーは、耐水性、耐擦過性、耐マーカー性及び耐ブリード性の観点から用いられる。疎水性モノマーとしては、(c−1)アルキル(メタ)アクリレート、(c−2)芳香環含有モノマー、(c−3)マクロマー等が挙げられる。
これらの中では、キナクリドン固溶体顔料を顔料水分散体中に安定に分散させ、保存安定性を高める観点から、好ましくは炭素数12〜30、更に好ましくは炭素数12〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有する、アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
(c−1)アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート、(イソ)ベヘニル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有する、アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
なお、(イソ又はターシャリー)及び(イソ)は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルを意味する。
(c−2)芳香環含有モノマーは、耐水性の観点から、スチレン、ビニルナフタレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸及びネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステルからなる群より選ばれた1種以上が好ましい。これらの中では、耐水性及び耐擦過性の観点から、炭素数6〜22の芳香族炭化水素基を有するビニルモノマーが好ましく、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びビニルナフタレンからなる群より選ばれる1種以上が特に好ましい。
(c−3)マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有し、好ましくは数平均分子量が500〜500,000、より好ましくは1,000〜10,000であるマクロマーが挙げられる。
なお、マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミン含有クロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
マクロマーの具体例としては、(vi)片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー、(vii)片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するメチルメタクリレート系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するスチレン・アクリロニトリル系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するブチルアクリレート系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するイソブチルメタクリレート系マクロマー等が挙げられる。これらの中では、水不溶性ポリマーに顔料を十分に含有させる観点から、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーが好ましい。
(vi)片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体及び片末端に重合性官能基を有する、スチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
スチレンと他のモノマーとの共重合体において、他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が挙げられる。また、そのスチレンの含有量は、顔料が十分にビニルポリマーに含有されるようにする観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
これらの中では、片末端に重合性官能基としてアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するスチレン系マクロマーが好ましい。
商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6、AS−6S、AN−6、AN−6S、HS−6、HS−6S等が挙げられる。
(vii)片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマーの中では、下記式(2)で表されるシリコーンマクロマーが好ましい。
CH2=C(CH3)−COOC36−〔Si(CH32O〕d Si(CH33 (2)
(式中、dは8〜40の数を示す。)
その具体例として、チッソ株式会社製、商品名FM−0711等が挙げられる。
なお、上記において(c)疎水性モノマーとして例示したモノマーは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
モノマー混合物における(a)塩生成基含有モノマーの含量、即ち水不溶性ビニルポリマー中の塩生成基含有モノマー由来の構成単位の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは7〜25重量%である。
モノマー混合物における(b)ノニオン性のモノマーの含量、即ち水不溶性ビニルポリマー中のノニオン性のモノマー由来の構成単位の含有量は、吐出安定性及び印字濃度の観点から、好ましくは5〜45重量%、より好ましくは5〜35重量%、更に好ましくは5〜30重量%である。
モノマー混合物における(c)疎水性モノマーの含量、即ち水不溶性ビニルポリマー中の疎水性モノマー由来の構成単位の含有量は、印字濃度及び分散安定性の観点から、好ましくは15〜87重量%、より好ましくは35〜85重量%、更に好ましくは40〜83重量%である。
(c)疎水性モノマーとして炭素数12〜30、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを使用する場合、モノマー混合物における(c)疎水性モノマーの含量、即ち水不溶性ビニルポリマー中の炭素数12〜30、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、キナクリドン固溶体顔料の顔料水分散体を安定に分散させ、保存安定性を高める観点から、好ましくは15〜87重量%、より好ましくは30〜70重量%、更に好ましくは 35〜60重量%である。
疎水性モノマー(c)としてマクロマーを使用する場合、(c)成分におけるマクロマーの含有量は、耐水性及び耐擦過性を向上させる観点から、好ましくは1〜80重量%、より好ましくは2〜60重量%、更に好ましくは5〜40重量%である。
モノマー混合物における(a)成分の含有量と(b)成分と(c)成分との合計含有量との重量比((a)/[(b)+(c)])は、得られる長期保存安定性、吐出性等の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.02〜0.67である。
塩生成基を有するポリマーの重量平均分子量は、標準物質としてポリスチレン、溶媒として60mmol/Lのリン酸及び50mmol/Lのリチウムブロマイド含有ジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定法により、印字濃度と吐出安定性の観点から、好ましくは3,000〜300,000より好ましくは5,000〜200,000である。
本発明で用いられる塩生成基を有するポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、上記のモノマー混合物を重合させることによって製造することができる。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒として水混和性有機溶媒を用いる場合、水混和性有機溶媒と水とを混合して用いることもできる。
極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらのうちの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、ラジカル重合開始剤を用いることができる。好ましいラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。また、ラジカル重合開始剤として、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物を使用することもできる。
原料であるモノマー混合物に対するラジカル重合開始剤の量は、該モノマー混合物1モルに対し、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに重合連鎖移動剤を添加してもよい。重合連鎖移動剤の具体例としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、メルカプトエタノール等のメルカプタン類;チウラムジスルフィド類;炭化水素類;不飽和環状炭化水素化合物;不飽和ヘテロ環状化合物等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤、重合連鎖移動剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので、一概に決定することはできない。通常、重合温度は30〜100℃、好ましくは50〜80℃であり、重合時間は1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法によって、生成した水不溶性グラフトポリマーを単離することができる。また、得られた水不溶性ポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
本発明で用いられる塩生成基を有する水不溶性ポリマーとは、塩生成基の種類に応じて、ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和し、105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であり、好ましくは2g以下であり、更に好ましくは1g以下であるポリマーを意味する。
なお、塩生成基を有する水不溶性ポリマーの塩生成基は、(a)塩生成基含有モノマーを含有するモノマー混合物を重合させることにより、ポリマーに導入することができる。
(インクジェット記録用顔料水分散体の製法)
本発明のインクジェット記録用顔料水分散体は、
(A)2種以上のキナクリドン系化合物を含むキナクリドン固溶体顔料(以下、単に「顔料」という)、塩生成基を有するポリマー(以下、単に「ポリマー」という)、該ポリマーを中和するための中和剤、有機溶媒及び水を含有し、固形分の濃度が50〜80重量%である混合体(以下、単に「混合体」という)を混練する工程(以下、(A)工程という)、及び
(B)得られた混練物に水及び/又は有機溶媒を添加して希釈し、該混練物を分散する工程(以下、(B)工程という)、を順次行うことにより得られるものである。
(A)工程
混合体中、水の量は、顔料のなじみやすさの観点から、有機溶媒100重量部に対して、好ましくは100〜1000重量部、より好ましくは200〜500重量部である。
混合体中、ポリマーの含有量は、好ましくは3〜45重量%であり、顔料の含有量は、好ましくは20〜75重量%であり、有機溶媒の含有量は、2〜23重量%であり、水の含有量は、11〜45重量%である。
混合体における固形分の濃度は、混合体を混練する際に、有効な剪断力を得る観点から、50重量%以上、好ましくは65重量%以上である。また得られる混練物の粘度が高くなりすぎて均一な混練ができなくなるのを回避するとともに、混練物が崩壊して粒子状となることを回避する観点から、80重量%以下、好ましくは75重量%以下である。これらの観点から、前記混合体における固形分の濃度は、50〜80重量%、より好ましくは65〜75重量%である。なお、ここで、混合体における固形分は、顔料、ポリマー及び中和剤の固形分を合わせたものである。
本発明においては、混練時に、顔料及びポリマー以外に中和剤、有機溶媒及び水が混合体中に存在するため、顔料へのポリマーの吸着力が強くなり、微粒化を十分に行うことができる。
中和剤として、塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を用いることができる。酸としては、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸、及び酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸、ポリエチレングリコール酸等の有機酸が挙げられる。塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。中和度には特に限定はないが、通常、混練時、ポリマーの塩生成基を、好ましくは30〜500%、更に好ましくは50〜300%中和させる量であることが好ましい。
ここで中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価 (KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]×100
塩生成基がカチオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価 (HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]×100
有機溶媒としては、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒が好ましく、親水性有機溶媒がより好ましい。
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。アルコール系溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、第3級ブタノール、ジアセトンアルコール等;エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等;芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン等;脂肪族炭化水素系溶媒としては、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等;ハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒としては、塩化メチレン、トリクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等が挙げられる。これらの中では、ケトン系溶媒が好ましく、特にアセトン及びメチルエチルケトンが好ましい。
混合体を混練する際には、混練装置として、例えば、ニーダー、プラネタリーミキサー、エクストルーダー、ロールミル等を用いることができる。これらの中では、剪断応力が強く、また操作条件の制御が容易という観点から、ニーダーが好ましい。
なお、ニーダーやプラネタリーミキサーによって得られた混練物には、粗大粒子が含まれる場合がある。したがって、この場合には、その混練物を更にロールミルで混練することが好ましい。ロールミルとしては、2本ロールミルや3本ロールミルを用いることができる。その混練の際には、水を添加することが好ましい。
混合体を構成する各原料を混練装置に投入する際には、(1)夫々別々に混練装置に投入してもよく、(2)予め顔料、ポリマー、中和剤、有機溶媒及び水を、別容器で混合した後、一括して混練装置に投入してもよく、あるいは(3)ポリマー、有機溶媒、水及び中和剤を予め別容器で混合し、得られた混合物と顔料との混合体を用いてもよく、(4)予め中和したポリマーを用いてもよい。これらの方法の中では、ポリマーの中和及び顔料のなじみやすさの点から、ポリマー、有機溶媒、水及び中和剤を混練装置内で混合するか、又はこれらの原料を別容器内で混合した後、得られた混合物を混練装置に投入し、ついで顔料を投入する方法が好ましい。
混練時の温度は、混練に適した剪断応力を得る観点から、50℃以下が好ましく、5〜50℃がより好ましく、10〜35℃が更に好ましい。混練時の温度は、混練装置のジャケットに流す冷却媒体の温度又は流量で調節することができる。
混練は、混合体を構成している原料が均一に分散するまで行うことが好ましい。
(B)工程
(A)工程により得られた混練物に、水及び/又は有機溶媒を添加して希釈し、該混練物を分散する。水系インクに用いる場合には、希釈・分散の後工程で有機溶媒を除去するため、水による希釈を行うことが好ましい。
希釈後の固形分濃度は、次の分散工程で処理しうる濃度であればよく、通常、10〜40重量%である。
混練物に水及び/又は有機溶媒を加えて希釈する方法には、特に限定がなく、公知の希釈装置を用いることができる。かかる装置としては、例えば、ディスパーやバタフライミキサー等が挙げられる。
次に、得られた希釈物に含まれている混練物を水及び/又は有機溶媒中に分散させる。混練物の分散には、公知の分散装置を用いることができる。
有機溶媒としては、(A)工程で例示した有機溶媒と同様の有機溶媒を用いることができる。
分散装置としては、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、高速撹拌型分散機等が挙げられる。これらの中では、無機不純物の混入が少ないことから、高圧ホモジナイザーが好ましい。
高圧ホモジナイザーとしては、処理液の流路が固定されたチャンバーを有するもの、処理液の流路の幅を調整しうる均質バルブを有するもの等が挙げられる。処理液の流路が固定されたチャンバーを有する高圧ホモジナイザーとしては、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製、商品名)、ナノマイザー(ナノマイザー社製、商品名)、アルティマイザー(スギノマシン社製、商品名)等が挙げられる。均質バルブを有する高圧ホモジナイザーとしては、高圧ホモジナイザー(ラニー社製、商品名)、高圧ホモジナイザー〔三丸機械工業(株)製、商品名〕、高圧ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ社製、商品名)等が挙げられる。
高圧ホモジナイザーで分散する際の圧力は、所望の粒径を有する顔料分散体を短時間で容易に得ることができることから、好ましくは50MPa以上、より好ましくは80MPa以上である。
本発明の顔料を含む顔料水分散体を用いて水系インクを製造する場合、(B)工程により得られた顔料分散体から有機溶媒を除去することで、最終的な顔料水分散体とすることが好ましい。
(B)工程により得られた顔料分散体から有機溶媒を除去する方法としては、特に限定されないが、減圧蒸留法が好ましく、薄膜式がより好ましい。得られた顔料水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されており、有機溶媒の含有量は0.1重量%以下、特に0.01重量%以下であることが好ましい。
得られる顔料水分散体の液性は、弱酸性〜弱塩基性、例えば、pHが4.5〜10となるように調整することが好ましい。
この顔料水分散体は、2種以上のキナクリドン系化合物を含むキナクリドン固溶体顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体であり、前記顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも顔料と水不溶性ポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、水不溶性ポリマーに顔料が内包された粒子形態、水不溶性ポリマーに顔料が均一に分散された粒子形態、水不溶性ポリマーの粒子表面に顔料が露出された粒子形態等が含まれる。
なお、必要に応じて、遠心分離、フィルター濾過等により、顔料の顔料水分散体から粗大粒子を除去してもよい。
本発明方法によって得られる顔料水分散体には、必要に応じて、湿潤剤、分散剤、消泡剤、キレート剤、防黴剤等の添加剤が含有されて、インクジェット記録用水系インクに好適に使用しうる。
インクジェット記録用顔料水分散体及び水系インクにおける、顔料水分散体の固形分含有量は、インク性能保持の観点から、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは3〜15重量%である。インクジェット記録用顔料水分散体及び水系インクにおける水の含有量は、インク性能保持の観点から、好ましくは30〜95重量%、より好ましくは40〜85重量%である。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。
製造例1
反応容器内に、メチルエチルケトン20部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート〔数平均分子量375、アルドリッチジャパン社製〕2.5部、メタクリル酸1.5部及びスチレンモノマー6.0部を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行って混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、上記ポリプロピレングリコールモノメタクリレート22.5部、メタクリル酸13.5部及びスチレンモノマー54.0部を仕込み、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.27部、メチルエチルケトン60部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行って混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了時から75℃で2時間保持した後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、85℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによってポリマー(P−1)を得た。このポリマー(P−1)の重量平均分子量を測定したところ、70,000であった。
製造例2
製造例1において、スチレンの替わりに、ステアリルメタクリレートを用いた以外は、製造例1と同様にしてポリマー(P−2)を得た。このポリマー(P−2)の重量平均分子量を製造例1と同様にして測定したところ、55,000であった。
製造例3
反応容器内に、メチルエチルケトン20部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート〔数平均分子量375、アルドリッチジャパン社製〕2.5部、メタクリル酸1.5部、スチレンモノマー5部及びスチレンマクロマー〔商品名:AS―6S、東亞合成(株)製〕1部を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行って混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、上記ポリプロピレングリコールモノメタクリレート22.5部、メタクリル酸13.5部、スチレンモノマー45部及びスチレンマクロマー〔商品名:AS―6S、東亞合成(株)製〕9部を仕込み、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.27部、メチルエチルケトン60部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行って混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了時から75℃で2時間保持した後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、85℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによってポリマー(P−3)を得た。このポリマー(P−3)の重量平均分子量を測定したところ、75,000であった。
実施例1
製造例1で得られたポリマー(P−1)5部をメチルエチルケトン5部に溶解し、得られた溶液にイオン交換水7部及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.47部を添加し、ディスパー翼で30分間混合した後、ニーダーに仕込んだ。更に、無置換キナクリドンが20%で、2,9−ジメチルキナクリドンが80%のキナクリドン固溶体顔料(R−1)20部をこれに加えた。この混合体の固形分濃度は67%であった。
この混合体を、ニーダーのジャケットに1℃の冷却水を流して20℃に保持しながら、密閉状態で2時間混練して混練物を得た。
得られた混練物に、イオン交換水10部を加えながら3本ロールミルで混練した後、イオン交換水50部を加えて希釈し、マイクロフルイダイザー〔マイクロフルイディクス社製、商品名〕で、200MPaの圧力で5パス分散処理した。
得られた分散処理物にイオン交換水30部を加えて撹拌した後、減圧下、60℃で有機溶媒と一部の水を除去し、更に平均孔径5μmのフィルター〔日本ポール社製〕で濾過し、粗大粒子を除去し、固形分濃度が20%の顔料含有ポリマー粒子を含む顔料水分散体を得た。
得られた顔料水分散体35.0部、グリセリン14.0部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル10.0部、アセチレングリコール・ポリエチレンオキサイド付加物〔エアプロダクツジャパン社製、商品名:サーフィノール465 〕1.0部及びイオン交換水40.0部を混合し、得られた混合液を平均孔径が0.5μmのフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム社製〕を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ〔テルモ社製〕で濾過し、粗大粒子を除去し、水系インクを得た。
実施例2
実施例1で用いたキナクリドン固溶体顔料(R−1)に代えて、無置換キナクリドンが40%で、2,9−ジメチルキナクリドンが60%のキナクリドン固溶体顔料(R−2)を用いた以外は、実施例1と同様に処理し、水系インクを得た。
実施例3
実施例1で用いたキナクリドン固溶体顔料(R−1)に代えて、無置換キナクリドンが20%で、3,10−ジクロルキナクリドンが80%のキナクリドン固溶体顔料(R−3)を用いた以外は、実施例1と同様に処理し、水系インクを得た。
比較例1
製造例1で得られたポリマー(P−1)5部をメチルエチルケトン5部に溶解し、得られた溶液に、イオン交換水67部及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.47部を添加し、ディスパー翼で30分間混合した後、更に実施例1で用いたキナクリドン固溶体顔料(R−1)20部を加え、ディスパー翼で20℃で2時間混合した。この際の固形分濃度は、26%であった。
得られた混合物をマイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製、商品名)で、180MPaの圧力で5パス分散処理した。得られた分散処理物を実施例1と同様に処理し、水系インクを得た。
比較例2
キナクリドン固溶体顔料(R−1)に替えて、キナクリドン顔料〔C.I.ピグメント・レッド122、大日本インキ化学工業(株)製、商品名:ファーストゲン・スーパー・マゼンタR〕を用いた以外は、実施例1と同様に処理し、水系インクを得た。
実施例4〜6
製造例1で得られたポリマー(P−1)の替わりに、製造例2で得られたポリマー(P−2)用いて、第1表に示す条件で、実施例1と同様に処理し、水系インクを得た。
実施例7
実施例4において、メチルエチルケトン5部を4部に、イオン交換水7部を5部とした以外は、実施例4と同様に処理し、水系インクを得た。この際の混合体の固形分濃度は73%であった。
比較例3
比較例1において、製造例1で得られたポリマー(P−1)に代えて、製造例2で得られたポリマー(P−2)を用いた以外は、比較例1と同様に処理し、水系インクを得た。
比較例4
比較例2において、製造例1で得られたポリマー(P−1)に代えて、製造例2で得られたポリマー(P−2)を用いた以外は、比較例2と同様に処理し、水系インクを得た。
実施例8
製造例1で得られたポリマー(P−1)の替わりに、製造例3で得られたポリマー(P−3)用いて、第1表に示す条件で、実施例1と同様に処理し、水系インクを得た。
得られた水系インクについて、下記方法によりインクの保存安定性、印字物の色調を評価した。その結果を第1表に示す。
(1)保存安定性
70℃の恒温槽内で30日間加熱放置前後の粘度をE型粘度計〔東機産業社製、型番:RE80型〕で測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
◎:加熱放置前後の粘度差の絶対値 0.2mPa・s未満
○:加熱放置前後の粘度差の絶対値 0.2mPa・s以上0.5mPa・s未満
△:加熱放置前後の粘度差の絶対値 0.5mPa・s以上2.0mPa・s未満
×:加熱放置前後の粘度差の絶対値 2.0mPa・s以上
実用上0.5mPa・s未満であることが必要であり、0.2mPa・s未満以下が好ましい。
(2)印字物のC値
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンター(型番:EM−930C)を用い、市販の普通用紙(富士ゼロックス社製、商品名:XEROX4024)にベタ印字し、25℃で1時間乾燥させた印字物のa*、b*を色差計(日本電色社製、型番:SE2000)で測定した。色再現の基準としてC値(C=SQRT(a*2+b*2))を算出し、発色性を評価した。
Figure 2006104367
第1表に示された結果から、各実施例で得られた顔料水分散体を用いた場合には、比較例と対比して、インクの保存安定性が良いことが分る。
また、各実施例で得られた顔料水分散体を用いた場合には、比較例のように印字物のC値が低くなり、色再現範囲が狭くなることがなく、優れた色調を有する印字物を与えることが分る。


Claims (6)

  1. (A)2種以上のキナクリドン系化合物を含むキナクリドン固溶体顔料、塩生成基を有するポリマー、該ポリマーを中和するための中和剤、有機溶媒及び水を含有し、固形分の濃度が50〜80重量%である混合体を混練する工程、及び
    (B)得られた混練物に水及び/又は有機溶媒を添加して希釈し、該混練物を分散する工程、
    を含む工程により得られる、インクジェット記録用顔料水分散体。
  2. 塩生成基を有するポリマーが、(a)塩生成基含有モノマー、(b)ノニオン性モノマー及び(c)疎水性モノマーを含有するモノマー混合物を重合して得られる水不溶性ビニルポリマーである、請求項1に記載のインクジェット記録用顔料水分散体。
  3. 疎水性モノマーが、炭素数12〜30のアルキル基を有する、アルキル(メタ)アクリレートである、請求項1に記載のインクジェット記録用顔料水分散体。
  4. キナクリドン固溶体顔料が、無置換キナクリドンと、ジメチル置換キナクリドン及び/又はジクロル置換キナクリドンとを含む顔料固溶体である請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用顔料水分散体。
  5. 無置換キナクリドンと、ジメチル置換キナクリドン及び/又はジクロル置換キナクリドンとの重量比[無置換キナクリドン/(ジメチル置換キナクリドン及び/又はジクロル置換キナクリドン)]が、10/90〜90/10である、請求項4に記載のインクジェット記録用顔料水分散体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の顔料水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。



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