JP2006103957A - 有機繊維コードの連結方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 連結部におけるコード直径の増大を抑制することにより、インサータを通過させる際における連結部での引っ掛かり等を防止して、連結部に起因する断線を防止することができ、しかも連結部の強度低下を極力抑制することができる有機繊維コードの連結方法を提供する。
【解決手段】 有機繊維を撚糸してコードとなした2本の有機繊維コード1A、1Bの端部同士を連結する有機繊維コードの連結方法において、2本の有機繊維コード1A、1Bの端部面同士を当接する工程(イ)と、形成された当接部3に前記有機繊維のフィラメント径より略大きいビーム径を有するCO2レーザー線Lの束を照射する工程(ロ)と、を含む。
【選択図】 図3
【解決手段】 有機繊維を撚糸してコードとなした2本の有機繊維コード1A、1Bの端部同士を連結する有機繊維コードの連結方法において、2本の有機繊維コード1A、1Bの端部面同士を当接する工程(イ)と、形成された当接部3に前記有機繊維のフィラメント径より略大きいビーム径を有するCO2レーザー線Lの束を照射する工程(ロ)と、を含む。
【選択図】 図3
Description
本発明は、有機繊維コードの連結方法に関し、詳しくは、ベルト、ホース、タイヤ等のプラスチック、ゴム製品の補強材として用いられる有機繊維コードの連結方法および有機繊維コードに関する。本発明は、インシュレーション製法において有機繊維コードを一定間隔に整列させてゴムで被覆するにあたり、該有機繊維コードを穴の開いた治工具(以下「インサータ」と称する)へ通しゴムを被覆する工程において、特に有効なものである。
空気入りタイヤやコンベアベルト、ホース等の各種ゴム製品においては、補強材として、有機繊維(テキスタイル)や金属繊維を用いた補強コードが使用されている。このうち、有機繊維コードとしては、一般に、複数本のモノフィラメントの集合体であるマルチフィラメントに撚りをかけ、これを2本または3本で撚り合わせてなる撚りコードが用いられるが、かかる有機繊維コードを製造する際には長さにバラツキを生ずる場合があり、また、用途によっては極めて長尺の撚りコードを必要とする場合もある。従って、このような場合には、有機繊維コード同士を端部で連結させることが必要となる。
従来、手作業で有機繊維コードを連結する一般的な方法として、電動ミシンによる縫い合わせ連結が行われていたが、この方法では、縫い合わせ部の両端に終端糸が生じ、装置停止やコード切れなどの問題を生ずる場合があった。また、ノッターと呼ばれる装置を用いたコード連結方法も知られているが、作業に長時間を要し、連結後にさらに撚り戻し作業が必要であるなど、作業性に劣るものであった。
このような問題点を改善する既知の方法として、2本の有機繊維コードの端部同士を空気スプライシング法と呼ばれる繊維の絡み合いにより連結させる手法が知られている。
また、特許文献1には、マルチフィラメント糸を撚ることで形成される2本の線材組立体の端部同士を連結するにあたり、その端部を糸が互いに分離するように撚り戻して自由端部を形成する段階と、各線材組立体の自由端部に同数の糸接合対を形成する段階と、各接合対における少なくとも一部のフィラメントを撚り戻す段階と、撚り戻した部分を接合対において並置し軸方向に位置が偏った接合区域を形成する段階と、2本の糸のフィラメントを各接合区域において組合わせる段階と、すべての糸を線材組立体の撚り方向と同じ方向に撚ることで組合わせる段階と、を有する連結方法が記載されている。この連結方法によれば、終端糸の発生はなく、連結時間も短縮可能であるとともに、連結部となる接合区域が2箇所に分散されているため、連結部の膨らみを小さくできるという利点も得られる。
特許3241377号公報(特許請求の範囲等)
ところで、インシュレーション製法において有機繊維コードに対し押出機を用いてゴムのコーティングを行う場合、有機繊維コードは、通常、接着剤へのディップ工程を経た後、インサータを介して配列されて、ゴムコーティングを行うための押出機内に導入される。この際、通常、有機繊維コードの直径に対して120〜130%の穴径を有するインサータが使用されるが、上述の上記空気スプライシング法や、特許文献1記載の連結方法では、有機繊維コードの連結部の直径が該コードの直径の140〜160%の径となり、インサータでの詰まりや、コード連結部での引掛りによりコード切れが発生し、ゴムを被覆する工程の生産性が低下するという問題点があった。一方、有機繊維コードの連結部のインサータ通過を可能とする治工具の穴径を大きくすると(例えば、コード直径に対して130%以上)、コードの間隔が不均一となり、該コードを補強材として使用する製品の性能および耐久性に影響を及ぼすことになる。
また、インシュレーション製法において、連結部がある有機繊維コードを使用しない場合には、有機繊維コードを生産する前工程、あるいは、インシュレーション工程においてスクラップ量が増大するという問題があり、スクラップ量増大の結果、生産コストの増大を招くという問題がある。
さらに、高温で溶融する有機繊維の場合、コード同士を連結部に熱をかけて融着させる方法も考えられるが、局部的にコードを融解させる方法がないため、溶融連結部が固まりとなって形成される。この固まり部分は分子的に無配向の固化物となるために強度が極めて低く、かつ脆いものになるという問題があった。
そこで本発明の目的は、上記従来技術の問題を解消して、連結部におけるコード直径の増大を抑制することにより、インサータを通過させる際における連結部での引っ掛かり等を防止して、連結部に起因する断線を防止することができ、しかも連結部の強度低下を極力抑制することができる有機繊維コードの連結方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、CO2レーザー線の照射を工夫し、フィラメント径よりやや大きいビーム径のCO2レーザー線の束を連結したい部分に照射することにより、局部的なフィラメント同士の融着により熱による材料劣化が少なく、高い結節強度が得られ、しかもコード同士の連結を効率的に行えることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の有機繊維コードの連結方法は、有機繊維を撚糸してコードとなした2本の有機繊維コードの端部同士を連結する有機繊維コードの連結方法において、
2本の有機繊維コードの端部面同士を当接する工程(イ)と、
形成された当接部に前記有機繊維のフィラメント径より略大きいビーム径を有するCO2レーザー線の束を照射する工程(ロ)と、
を含むことを特徴とするものである。
2本の有機繊維コードの端部面同士を当接する工程(イ)と、
形成された当接部に前記有機繊維のフィラメント径より略大きいビーム径を有するCO2レーザー線の束を照射する工程(ロ)と、
を含むことを特徴とするものである。
本発明の連結方法においては、前記工程(イ)において、2本の有機繊維コードの端部同士をパットジョイントすることが好ましく、また、2本の有機繊維コードの端部同士を梳いた状態で当接することが好ましい。また、前記工程(ロ)においては、多数の孔が穿設された遮蔽板と、CO2レーザー発信機とを備えたレーザー発信装置により前記CO2レーザー線の束を良好に発生させることができる。
また、本発明は、前記連結方法により連結されたことを特徴とする有機繊維コードである。
本発明によれば、連結部におけるコード直径の増大を抑制することができ、これにより、インサータ通過時における連結部での引っ掛かりや連結部の抵抗の増大に起因するフィラメントの断線を防止することが可能となる。また、熱による材料劣化が少なく、連結部の強度低下を極力抑制することができる。従って、本発明によれば、連結部を有する有機繊維コードを用いても、歩留良くゴムコーティング等の工程を行うことが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、詳細に説明する。
本発明で対象とする有機繊維コードは、特に制限されるべきものではなく、タイヤやベルトなどの補強用として使用されているすべての有機繊維コードが対象となる。例えば、マルチフィラメントに下撚を施してから2本合わせてさらに上撚を施してなる、例えば、940dtex/2、1100dtex/2、1400dtex/2、1670dtex/2、2100dtex/2のコードなどを挙げることができ、また、マルチフィラメント原糸として、例えば、ナイロン6やナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル繊維、レーヨン繊維の原糸などを挙げることができる。
本発明で対象とする有機繊維コードは、特に制限されるべきものではなく、タイヤやベルトなどの補強用として使用されているすべての有機繊維コードが対象となる。例えば、マルチフィラメントに下撚を施してから2本合わせてさらに上撚を施してなる、例えば、940dtex/2、1100dtex/2、1400dtex/2、1670dtex/2、2100dtex/2のコードなどを挙げることができ、また、マルチフィラメント原糸として、例えば、ナイロン6やナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル繊維、レーヨン繊維の原糸などを挙げることができる。
本発明では、上述の有機繊維コードの端部同士を連結するにあたり、先ず、工程(イ)において、2本の有機繊維コードの端部面同士を当接させる。この当接にあたっては、端部面同士が接合し易いように、2本の有機繊維コードの端部同士をパットジョイントすることが好ましい。また、次工程(ロ)におけるCO2レーザー線の束によるフィラメントの融着が良好に行えるよう、図1に示すように、2本の有機繊維コード1A、1Bの端部面2A、2B同士を梳いた状態で当接することが好ましい。図2は、梳いた状態の端部面2A、2B同士を接合させ、当接部3が形成された状態を示している。
次に、工程(ロ)において、形成された当接部3に有機繊維のフィラメント径より略大きいビーム径を有するCO2レーザー線の束を照射する。具体的には図3に示すように、レーザー発信装置4からのCO2レーザー線Lの束を反射体5に反射させて当接部3にピンポイントレーザー線Lとして照射する。照射側のピンポイントレーザー線Lのビーム径は繊維フィラメントの直径と同等か10倍程度まで(10μmから100μm程度まで)とすることが好ましい。ピンポイントレーザー線Lの照射口の形状は円形、四角、長方形等、コードの形状に合わせ任意に選ぶことができる。
ピンポイントレーザー線Lの束は、図4に示すような、多数の孔11が穿設された遮蔽板10と、CO2レーザー発信機12とを備えたレーザー発信装置4により良好に発生させることができる(図5)。
本発明に用いることのできるレーザー発信機11としては、連結すべき有機繊維コードに吸収される波長のもの、即ち、主として赤外線領域のレーザーであって、かつ、10W以上程度の出力が得られるものを用いることが好ましく、かかる観点から波長10600nmのCO2レーザーを好適に用いることができる。
上述の連結処理が施された本発明の有機繊維コードは、ディップ処理を経て、ゴムをコーティングすることにより、例えば、空気入りタイヤの補強部材としてのカーカスに好適に適用することができる。これらディップ工程およびゴムコーティング工程については、常法に従い行えばよく、本発明により特に制限されるものではないが、本発明は特に、ゴムコーティング工程において、インサータを用いて補強用コードを整列させ、押出機に導入してゴムで被覆する手法を用いる場合に、より効果的である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1〜3
下記に示す各有機繊維コードの端部面同士を梳いた後当接させ、その当接部に図3に示すようにレーザー発信装置4からのCO2レーザー線(出射ビーム径:3mm、照射ビーム径:30μm)の束を反射体5に反射させてピンポイントレーザー線として照射した。尚、CO2レーザー発信機としては、鬼塚ガラス(株)製Laser100 30Wを使用した。
実施例1〜3
下記に示す各有機繊維コードの端部面同士を梳いた後当接させ、その当接部に図3に示すようにレーザー発信装置4からのCO2レーザー線(出射ビーム径:3mm、照射ビーム径:30μm)の束を反射体5に反射させてピンポイントレーザー線として照射した。尚、CO2レーザー発信機としては、鬼塚ガラス(株)製Laser100 30Wを使用した。
用いた有機繊維コードは次のとおりである。
PET繊維コード:1670dtex、撚り構造:1670dtex/2で撚数39回/10cm(上下共)
ナイロン66繊維コード:1400dtex、撚り構造:1400dtex/2で撚数39回/10cm(上下共)
レーヨン繊維コード:1840dtex、撚り構造:1840dtex/2で撚数47回/10cm(上下共)
PET繊維コード:1670dtex、撚り構造:1670dtex/2で撚数39回/10cm(上下共)
ナイロン66繊維コード:1400dtex、撚り構造:1400dtex/2で撚数39回/10cm(上下共)
レーヨン繊維コード:1840dtex、撚り構造:1840dtex/2で撚数47回/10cm(上下共)
比較例1
コードを端部の上撚りを解撚し、下撚り同士を結節し、その際、2つの結節部が重ならないよう位置をずらす従来の結節方法により実施例1と同様のPET繊維コードを連結させた。
コードを端部の上撚りを解撚し、下撚り同士を結節し、その際、2つの結節部が重ならないよう位置をずらす従来の結節方法により実施例1と同様のPET繊維コードを連結させた。
比較例2
従来のエアノッター法として、メスダン社製114を使用し、この操作手順に従って実施例1と同様のPET繊維コードを連結させた。
従来のエアノッター法として、メスダン社製114を使用し、この操作手順に従って実施例1と同様のPET繊維コードを連結させた。
連結させた各コードの強力保持率および連結部のコード径を以下のようにして評価した。
1)強力保持率
JIS L1017に従い、島津製作所(株)製オートグラフにて引張テストし、破断時の強力を求めた。測定値は連結部のない撚りコードの破断時強力を100とし、指数で表した。数値が大なる程、強度が高いといえる。
2)コード径
ダイヤルゲージにて測定した。
得られた結果を下記の表1に示す。
1)強力保持率
JIS L1017に従い、島津製作所(株)製オートグラフにて引張テストし、破断時の強力を求めた。測定値は連結部のない撚りコードの破断時強力を100とし、指数で表した。数値が大なる程、強度が高いといえる。
2)コード径
ダイヤルゲージにて測定した。
得られた結果を下記の表1に示す。
1A、1B 有機繊維コード
2A、2B 連結すべき端部面
3 当接部
4 レーザー発信装置
5 反射体
10 遮蔽板
11 孔
12 CO2レーザー発信機
2A、2B 連結すべき端部面
3 当接部
4 レーザー発信装置
5 反射体
10 遮蔽板
11 孔
12 CO2レーザー発信機
Claims (5)
- 有機繊維を撚糸してコードとなした2本の有機繊維コードの端部同士を連結する有機繊維コードの連結方法において、
2本の有機繊維コードの端部面同士を当接する工程(イ)と、
形成された当接部に前記有機繊維のフィラメント径より略大きいビーム径を有するCO2レーザー線の束を照射する工程(ロ)と、
を含むことを特徴とする有機繊維コードの連結方法。 - 前記工程(イ)において、2本の有機繊維コードの端部同士をパットジョイントする請求項1記載の有機繊維コードの連結方法。
- 前記工程(イ)において、2本の有機繊維コードの端部同士を梳いた状態で当接する請求項1または2記載の有機繊維コードの連結方法。
- 前記工程(ロ)において、多数の孔が穿設された遮蔽板と、CO2レーザー発信機とを備えたレーザー発信装置により前記CO2レーザー線の束を発生させる請求項1〜3のうちいずれか一項記載の有機繊維コードの連結方法。
- 請求項1〜4のうちいずれか一項記載の連結方法により連結されたことを特徴とする有機繊維コード。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004296982A JP2006103957A (ja) | 2004-10-08 | 2004-10-08 | 有機繊維コードの連結方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004296982A JP2006103957A (ja) | 2004-10-08 | 2004-10-08 | 有機繊維コードの連結方法 |
Publications (1)
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JP (1) | JP2006103957A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CZ302972B6 (cs) * | 2010-12-17 | 2012-01-25 | Technická univerzita v Liberci | Zarízení pro bodové svarování nite |
-
2004
- 2004-10-08 JP JP2004296982A patent/JP2006103957A/ja active Pending
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CZ302972B6 (cs) * | 2010-12-17 | 2012-01-25 | Technická univerzita v Liberci | Zarízení pro bodové svarování nite |
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