JP2006102987A - 印刷システム、印刷データ生成用プログラム及び記憶媒体 - Google Patents

印刷システム、印刷データ生成用プログラム及び記憶媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 高印刷画質を得る確実性を一層向上することができる印刷システム、印刷データ生成用プログラム及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】 プリンタドライバ6は、コンピュータ2の表示装置5のUI画面で印刷開始要求の操作がなされると、プリンタ3からステータス情報STを取得する。ステータス情報STには、プリンタ3の印刷場所の湿度情報が含まれている。プリンタドライバ6は、プリンタ3の印刷場所における湿度値を取得し、この湿度値と、予め設定された第1閾値との比較処理を行う。プリンタドライバ6は、印刷場所の湿度が第1閾値を超えていると判断したとき、印刷場所が高湿度であると判断して、印刷モードをパス数変更モード又はプラテンギャップ変更モードに設定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、印刷データを印刷出力する印刷システム、印刷データ生成用プログラム及び記憶媒体に関する。
従来、高湿度環境下で印刷装置が使用される場合もあり、このような状況下では、用紙に着弾したインクの乾き具合が通常よりも悪化する。この場合、インクが用紙に浸透し(染み込み)難く、インクが用紙表面に付着した状態となり、印刷ヘッドが走査移動する際にヘッド下面がインクと擦れる、つまりヘッド擦れの生じる可能性がある。特に、用紙種類がインク浸透し難い特殊用紙(例えばフィルム系光沢紙)の場合に、ヘッド擦れの生じる可能性が高い。そこで、このような状況に対応すべく、印刷場所が高湿度の際にはパス休止時間、つまり次パスを印刷する前に所定の待ち時間を付与することで、インクの乾燥時間を確保する技術が例えば特許文献1に開示されている。
特開2003−1876号(第4−8頁、第1図)
ところが、インクが乾き難いと、隣同士のインク滴が混ざり合う状況も考えられ、これも印刷画質悪化の原因となる。特許文献1の技術は、パス休止時間を付与することによりインクの乾燥時間を確保できるものの、用紙に着弾した隣同士のインク滴が混ざり合う状況を回避することはできない。従って、印刷画質のさらなる確保のためには、何らかの対応策が必要であった。特に、現在では用紙種類も多種多様となってきており、インク浸透し難い用紙も広く出回っていることから、用紙に着弾した隣同士のインク滴の混ざり合いを回避する方法が切に望まれていた。
本発明の目的は、高印刷画質を得る確実性を一層向上することができる印刷システム、印刷データ生成用プログラム及び記憶媒体を提供することにある。
上記問題点を解決するために、本発明では、ラスタ単位で印刷データを取得し、印刷ヘッドを1以上往復動させて1ラスタ分の印刷を行い、該印刷を繰り返すことで前記印刷データを印刷出力する印刷システムにおいて、印刷場所の湿度を検出する検出手段と、前記検出手段の検出値を基に前記印刷場所が高湿度であると判断した際に、前記印刷ヘッドの1走査での使用ノズル数を変更することで、前記印刷ヘッドの往復動数であるパス数を変更した印刷データを生成する印刷データ生成手段と、印刷媒体に前記印刷データを印刷出力する印刷処理手段とを備えたことを要旨とする。
この構成によれば、印刷場所が高湿度である際には、印刷ヘッドの1走査での使用ノズル数を変更することで、パス数を変更、つまりパス数を増やして印刷処理を行う。従って、1ラスタ印刷時のパス数を増やせば、その分だけ記録剤の乾燥時間が確保されることから、印刷媒体に浸透せずに付着した記録剤が印刷媒体に擦れるような状況になり難く、印刷画質が確保される。また、使用ノズル数を変更する際、例えば印刷ヘッドのヘッド高さ方向で隣同士のノズルを使用しないようにすれば、用紙に着弾する記録剤はヘッド高さ方向に充分な間隔が生じた状態となる。従って、用紙に着弾した記録剤が隣同士で混じり合う状況にもなり難く、このことも印刷画質確保に寄与する。
本発明では、印刷媒体に記録剤を吐出するヘッド機構と、前記ヘッド機構を上下動させる駆動手段とを備え、前記印刷データ生成手段は、前記検出手段の検出値を基に前記印刷場所が高湿度であると判断した際に、前記駆動手段の駆動により前記ヘッド機構及びプラテンの間の間隔を変更させる前記印刷データを生成することを要旨とする。
この構成によれば、印刷場所が高湿度の際には、駆動手段を駆動源としてヘッド機構がプラテンに対して移動し、ヘッド機構及びプラテンの間の間隔(以下、プラテンギャップと記す)が変更、つまりプラテンギャップが拡大した状態となる。従って、記録剤が印刷媒体に浸透せずに印刷媒体上に付着した状態となっても、プラテンギャップを拡大することで、印刷媒体上の記録剤と印刷ヘッドとの間に擦れが生じ難くなる。従って、印刷媒体上の記録剤と印刷ヘッドとが擦れることによる画質劣化が生じ難くなり、印刷画質が確保される。
本発明では、操作手段の操作によりユーザが選択指定した印刷モードを認識する認識手段を備え、前記印刷データ生成手段は、前記検出手段の検出値と、前記ユーザが選択指定した指定印刷モードとをパラメータとして印刷時に行う印刷モードを設定し、該印刷モードに応じた前記印刷データを生成することを要旨とする。
この構成によれば、ユーザは操作手段を用いることで印刷モード(例えば画質優先モード、速度優先モード等)が選択指定可能であり、その指定印刷モードは高湿度時における印刷モード設定の際のパラメータとして用いられる。従って、ユーザが選択指定した指定印刷モードを反映して、高湿度時に行う印刷モードを決定することが可能となる。
本発明では、前記印刷データ生成手段は、前記検出手段の検出値と、前記ユーザが選択指定した印刷モードとをパラメータとして印刷モード設定を行い、前記検出値を基に前記印刷場所が低湿度であると判断した際には、前記ユーザが選択指定した指定印刷モードを前記印刷モードに設定し、前記検出値を基に前記印刷場所が高湿度であると判断した際には、前記指定印刷モードが画質優先モードであれば前記印刷モードを前記したパス数変更モードに設定し、前記指定印刷モードが速度優先モードであれば前記印刷モードを前記した間隔変更モードに設定することを要旨とする。
この構成によれば、例えば印刷場所が低湿度の場合、ユーザが選択指定した指定印刷モードが印刷モードとして設定され、例えば画質優先モードが指定されていればそのモードで印刷処理が行われ、或いは速度優先モードが指定されていればそのモードで印刷処理が行われる。従って、画質優先モードで印刷処理が行われれば、高画質の印刷画像が得られ、速度優先モードで印刷処理が行われれば、印刷出力の時間が短く済む。
一方、印刷場所が高湿度の場合、ユーザが選択指定した指定印刷モードが画質優先モードであれば、パス数変更モードが印刷モードに設定され、印刷処理はパス数変更モードで実行される。ここで、パス数変更モードは、使用ノズル数を変更してパス数を変える処理であることから、最終的に印刷媒体に打ち込まれる記録剤滴のドット数は画質優先モードの場合と変わらない。従って、印刷時間は長くかかるものの、画質については確保されることから、用紙付着した記録剤の乾燥時間確保と印刷画質確保との両立が図られ、ユーザが選択した指定印刷モードに即した印刷画像を得ることが可能となる。
また、印刷場所が高湿度の場合、ユーザが選択指定した指定印刷モードが速度優先モードであれば、間隔変更モードが印刷モードに設定され、印刷処理は間隔変更モードで実行される。ここで、間隔変更モードは、駆動手段を駆動源としてヘッド機構を持ち上げてプラテンギャップを変える処理であることから、印刷時における印刷ヘッドの走査速度は速度優先モードの場合と同じである。従って、プラテンギャップ変更により記録剤の用紙上の着弾位置にずれが生じて若干の印刷画質劣化が生じるものの、印刷速度については確保されることから、印刷速度確保とヘッド擦れ回避との両立が図られ、ユーザが望む短時間印刷をなし得ることが可能となる。
本発明では、前記印刷データ生成手段は、前記検出手段の検出値を基に前記印刷場所が高湿度であると判断した際に、所定範囲で湿度値を区分したレベル単位で高湿度判定を行い、そのレベルに応じて前記印刷モードを設定することを要旨とする。
この構成によれば、例えばユーザが選択指定した指定印刷モードが速度優先モードの際に印刷場所が高湿度となったとすると、その中でもまだ湿度レベルが低い状態であれば、印刷モードを間隔変更モードに設定すれば、ユーザが望む高速印刷が満たされる。一方、湿度レベルが高い状態であれば、記録剤の乾き具合は無視できない状態であるので、画質を優先するモードにすることが好ましく、湿度レベルが高い状況下では、印刷画質確保が可能なパス数変更モードを印刷モードとして設定する。従って、湿度レベルに応じた最適な印刷モードを設定することが可能となる。
本発明では、前記印刷データ生成手段は、高湿度時における前記印刷モードを設定する際のパラメータとして、印刷媒体種類を判断対象に含めていることを要旨とする。
この構成によれば、例えば着弾した記録剤が浸透し難い印刷媒体を使用する場合、印刷モードをパス数変更モードに設定すれば、この種の印刷媒体を用いても、印刷媒体に付着した記録剤と印刷ヘッドとが擦れて印刷画質が悪化するような状況になり難い。従って、印刷モードを設定する際のパラメータに印刷媒体種類を加えれば、印刷画質確保に一層寄与する。
本発明では、前記パラメータに基づき前記印刷モードを決定するためのテーブルを記憶した記憶手段を備え、前記印刷データ生成手段は、前記テーブルを参照することによって前記パラメータから前記印刷モードを設定することを要旨とする。
この構成によれば、印刷モード設定はテーブルを用いて行うので、印刷モード設定の際の処理は簡単なプログラムで済む。
本発明では、前記検出手段の検出値を基に前記印刷場所が高湿度であると判断した際に、前記したパス数変更及び間隔変更の少なくとも一方の処理を実行するか否かを前記ユーザに選択させる選択手段を備え、前記印刷データ生成手段は、前記処理を行う選択が前記ユーザによりなされると、前記処理を行うモードに前記印刷モードを設定し、一方で前記処理を行わない選択が前記ユーザによりなされると、前記ユーザが操作手段で選択指定した指定印刷モードに前記印刷モードを設定することを要旨とする。
この構成によれば、ユーザは、ヘッド擦れを回避する処理(パス数変更処理、プラテンギャップ変更処理)の実行/非実行を選択することが可能となる。
本発明では、前記検出手段及び前記印刷処理手段は、ホストコンピュータから送信される印刷データを印刷出力可能な印刷装置に搭載され、前記印刷データ生成手段は、前記ホストコンピュータにダウンロードされるドライバであって、前記印刷装置は、少なくとも湿度情報を含むステータス情報を前記ホストコンピュータに送信可能な通信手段を備え、前記ドライバは、前記ステータス情報の湿度情報を基に前記印刷場所の湿度を把握し、前記印刷場所が高湿度であると判断した際に、前記印刷ヘッドの1走査での使用ノズル数を変更することで、前記印刷ヘッドの往復動数であるパス数を変更した印刷データを生成し、前記印刷データを前記印刷装置に送信して該印刷装置に該印刷データを印刷出力させることを要旨とする。
この構成によれば、ドライバはステータス情報を印刷装置から取得し、ステータス情報内の湿度情報を基に印刷場所の湿度を認識する。ドライバは、印刷場所が高湿度であると判断すると、ヘッド擦れを回避すべくパス数変更処理又はプラテンギャップ変更処理を反映した印刷データを生成し、その印刷データを印刷装置に出力する。従って、印刷データがドライバで生成されるので、印刷装置のコンピュータに格納するプログラム量が少なく済む。
本発明では、前記検出手段、前記印刷データ生成手段及び前記印刷処理手段は印刷装置に搭載され、前記した各処理は当該印刷装置のみの装置で実行されることを要旨とする。
この構成によれば、例えば外部記憶メディア(例えばメモリーカード)から画像データを直接読み込んで印刷出力(通称、ダイレクト印刷)可能な機種において、本例のヘッド擦れ回避方法を採用することが可能となる。
本発明では、ラスタ単位で印刷データを取得し、1ラスタ印刷時に印刷ヘッドを1以上往復動させて1ラスタ分の印刷を行い、該印刷を繰り返すことで前記印刷データを印刷出力する際に、その印刷データ生成時に実行される印刷データ生成用プログラムであって、印刷場所の湿度情報を取得する手順と、前記湿度情報を基に前記印刷場所の湿度を算出する手順と、算出した湿度が所定の閾値よりも高いか否かを判断する手順と、前記印刷場所の湿度が前記閾値よりも高い際に、前記印刷ヘッドの1走査での使用ノズル数を変更することで、前記印刷ヘッドの往復動数であるパス数を変更した印刷データを生成する手順と、前記印刷データを印刷出力すべく該印刷データを印刷機構に出力する手順とをコンピュータに実行させることを要旨とする。
本発明では、上記請求項に記載の印刷データ生成用プログラムを記憶した記憶媒体であることを要旨とする。
以下、本発明を具体化した印刷システム、印刷データ生成用プログラム及び記憶媒体の一実施形態を図1〜図9に従って説明する。
図1は、本実施の形態にかかる印刷システム1の概略構成を示すブロック図である。この印刷システム1は、例えばパーソナルコンピュータ等からなるコンピュータ2と、カラーインクジェット式プリンタ(以下「プリンタ」)3とを備えて構成されている。なお、コンピュータ2がホストコンピュータに相当し、プリンタ3が印刷装置に相当する。
コンピュータ2には、所定のOS(オペレーティングシステム)の下で動作するアプリケーションプログラム(以下「アプリケーション」)4が組み込まれている。また、このコンピュータ2のOSには、プリンタドライバ6として機能するプリンタドライバ用プログラムが組み込まれており、アプリケーション4は、このドライバ用プログラムを起動することで画像データを取り扱う各種の処理を行う。例えばアプリケーション4は、プリンタドライバ用プログラムを起動することでプリンタ3に転送するための印刷データPDを生成し、その印刷データPDをコンピュータ2に送信する。なお、プリンタドライバ6が印刷データ生成手段、認識手段、記憶手段及び選択手段を構成する。
このような印刷システム1において、印刷処理開始の操作等は入力装置(キーボード、マウス等)7を用いて行われる。アプリケーション4は、入力装置7を介して印刷処理開始の指令を受け取ると、コンピュータ2の図示しないバッファメモリ等に格納されている画像データD1をプリンタドライバ6に出力する。プリンタドライバ6は、この受け取った画像データD1をもとに、プリンタ3に供給するための印刷データPDを生成する。なお、入力装置7が操作手段に相当する。
プリンタドライバ6は、サイズ決定部11、解像度変換部12、色変換部13、2値化部14、MW(マイクロウィーブ)部15、UI(ユーザインタフェース)制御部16、及びI/F(インタフェース)部17を有して構成されている。
サイズ決定部11は、アプリケーション4から受け取った画像データD1の画像サイズを決定する処理を行う。この画像サイズは、用紙Pのサイズ、画像トリミングの情報、印刷モード等、種々の要素に従って決定される。なお、ここで決定された画像サイズは、プリンタ3により後述する印刷ヘッドを駆動して印刷を実行する際の印字領域PAに相当するサイズとなる。ちなみに、本実施の形態においては、例えば印刷モードの一つである「縁なし印刷」が選択されて印刷が開始された場合には、このサイズ決定部11によって画像データD1が所定の拡大率で拡大処理され、該縁なし印刷に対応した印字領域PAに相当するサイズを持つ画像データD2が生成される。なお、用紙Pが印刷媒体に相当する。
解像度変換部12は、サイズ決定部11より受け取った画像データD2の解像度をプリンタ3での印刷処理に適した解像度(印刷解像度)に変換する処理を行う。例えば、画像データD2の解像度が印刷解像度よりも低い場合には、解像度変換部12は、線形補間を行うことにより画像データD2の隣接するラスタ間に新たなデータを作成する。反対に、画像データD2の解像度が印刷解像度よりも高い場合には、解像度変換部12は、一定の割合でデータを間引くことにより画像データD2の解像度をそれよりも低い解像度に変換する。
色変換部13は、この解像度変換後のR,G,Bの3つの色成分からなる画像データ(以下「RGBデータ」)を、コンピュータ2の図示しないメモリに格納されている所定の色変換テーブル18に基づいて、プリンタ3が利用可能な複数のインク色の階調値の組み合わせにより表現される画像データ(以下「多階調データ」)に画素毎に変換する。例えば、プリンタ3がシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインク(記録剤)を利用することができる場合、色変換部13は、RGBデータを上記CMYKの各階調値の組み合わせにより表現される多階調データに変換する。
2値化部14は、こうして形成された多階調データをプリンタ3が表現可能な2階調の画像データに変換する処理、いわゆるハーフトーン処理を行う。即ち、多階調データは、各色例えば階調値0〜255の256階調で表現されたデータであるのに対し、プリンタ3はドットを形成する、或いはドットを形成しない、のいずれかの状態しか採り得ない。このため、こうした例えば256階調で表現された画像データをドット形成の有無を表す2階調の画像データ、いわゆるドットデータに変換する必要があり、この階調数の変換を行う処理がハーフトーン処理である。
MW部15は、このハーフトーン処理後の画像データ(ドットデータ)を、プリンタ3でのドットの形成順序を考慮しながら該プリンタ3に転送すべき順序に並び替え、それを印刷データPDとして形成する。即ち、印刷ヘッドは、各ノズルが紙送り方向に印刷解像度よりも低解像度のノズルピッチで配置されているため、連続するラスタを1回の主走査で形成することができない。そこで、毎回の主走査ではノズルピッチ間隔で複数のラスタを形成しながら、ラスタを形成する度に少しずつ形成位置をずらして各ラスタ間を順次埋めるようにすることで、最終的に連続したラスタを形成するようにしている。このような印刷ヘッドのノズル数やノズルピッチ等を考慮して、プリンタ3に転送すべき順序にドットデータを並び替える処理をマイクロウィーブ処理という。なお、このマイクロウィーブ処理が施されて形成された印刷データPDは、各主走査時のドットの形成有無を表すドットデータ(ラスタデータ)と紙送り量を示すデータとを含んでいる。なお、1ラスタ印刷とは、ここで言う最終的に連続したラスタのことを意味する。
UI制御部16は、印刷設定画面やアラート画面(警告画面)等その他印刷処理に関する各種のウィンドウを表示装置5上に表示する機能、及び、これらウィンドウ内においてユーザからの入力(印刷処理開始の操作等)を受け付ける機能等を有する。
I/F部17は、上記プリンタドライバ6とプリンタ3との間のインタフェース機能を果たす。例えば、I/F部17は、UI制御部16を通じて受け取ったユーザからの指示(命令)を解釈して、各種のコマンドCMDをプリンタ3に送信したり、逆に、プリンタ3から受信したコマンドCMDを解釈して、それをUI制御部16に出力したりする。
なお、このようなプリンタドライバ6の機能を実現するためのプログラム(プリンタドライバ用プログラム)は、コンピュータ2にて読み取り可能な記録媒体にて提供される。この記録媒体としては、光ディスク(CD-ROM,DVD-ROM, …)、光磁気ディスク(MO,MD,…)等、任意の記録媒体を使用することができる。なお、こうした記録媒体には、通信媒体を介してアップロード又はダウンロードされたプログラムを記録した媒体やディスク装置等も含まれる。
図3は、プリンタ3の印刷機構を示した模式図である。本実施の形態のプリンタ3は、図示しないブラック用インクカートリッジとカラー用インクカートリッジとが搭載されたキャリッジ21を有している。このキャリッジ21には、印刷ヘッド22と紙幅検出センサ23とが取り付けられている。
印刷ヘッド22は、図示しない給紙装置から供給された用紙Pを紙送り方向(主走査方向に垂直な方向;副走査方向)に案内するプラテン24に対向して配置されている。このプラテン24と印刷ヘッド22との間の距離、いわゆるプラテンギャップは、用紙Pへの印字品質を良好に維持することのできる値に該用紙Pの種類に応じて管理されている。この印刷ヘッド22には、インク滴を吐出するための図示しないノズル孔が複数形成されており、本実施の形態において、これらの各ノズル孔からはドット径が大、中、小の3種類のうちいずれかのドット径に制御されたインク滴が選択的に吐出される。
キャリッジ21は、プーリ25に張設された無端状の駆動ベルト26に固定されるとともに摺動軸27に摺動可能に支持され、キャリッジモータ28の駆動に基づいて主走査方向に往復動される。このキャリッジ21が往復動される際に所定のタイミングで印刷ヘッド22のノズル孔からインク滴が吐出され、さらには、こうしたキャリッジ21の移動に合わせて、用紙Pが紙送りモータ29(図2参照)の駆動に基づいて副走査方向に搬送されることにより、用紙Pへの印刷が行われる。なお、キャリッジ21,印刷ヘッド22及び摺動軸27がヘッド機構を構成する。
紙幅検出センサ23は、本実施の形態においては、発光素子(例えば発光ダイオード)と受光素子(例えばフォトトランジスタ)とからなる反射型光学センサにて構成されている。紙幅検出センサ23は、上記キャリッジ21とともに主走査方向に移動されることにより、用紙Pの端の位置を光学的に検出する。即ち、紙幅検出センサ23において、発光素子から発せられた光(入射光)は用紙P又はプラテン24により反射され、その反射光が受光素子により受光されて電気信号に変換され紙幅検出センサ23からは上記反射光の強度に応じた電気信号が出力値として出力される。
プリンタ3は、プリンタ3の内部の湿度を検出する湿度センサ30を備えている。湿度センサ30は、例えば高分子系センサや金属酸化物系センサ等が用いられ、インク滴が形成される位置周辺(即ち、印刷場所)の湿度が検出可能となるように、その位置の近傍に配置されている。湿度センサ30は印刷場所の湿度を検出し、その湿度値に応じた電気信号を検出値として出力する。
摺動軸27端には、摺動軸27下方向に昇降させる一対の駆動モータMが各々取り付けられている。これら駆動モータMが一方向又は他方向に回転すると、それに伴って摺動軸27が昇降し、キャリッジ21(印刷ヘッド22)もプラテン24に対して離間/接近する。印刷ヘッド22が昇降すると、印刷ヘッド22及びプラテン24の間隔、いわゆるプラテンギャップΔWが変化する。プラテンギャップΔWを広くとっておけば、用紙Pが印刷ヘッド22の下面と擦れる状況にはなり難い。なお、駆動モータMが駆動手段に相当し、プラテンギャップΔWが間隔に相当する。
図2は、プリンタ3の電気的構成を示すブロック図である。プリンタ3の制御部31は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit )により構成されており、コントローラ32、I/F(インタフェース)回路33、バッファメモリ34、イメージバッファ35、メインメモリ36、及びEEPROM37を有している。コントローラ32は、CPUを中心として構成され、プリンタ3の動作を統括的に制御する。バッファメモリ34及びイメージバッファ35はRAM(例えばSDRAM)にて構成され、メインメモリ36はROMにて構成されている。なお、I/F回路33が通信手段に相当する。
I/F回路33は、プリンタ3とプリンタドライバ6との間のインタフェースであり、プリンタドライバ6から受信した印刷データPDや各種コマンドCMDをバッファメモリ34に格納したり、逆に、バッファメモリ34を通じて受け取ったコマンドCMDをプリンタドライバ6に送信したりする機能を有する。
バッファメモリ34には、印刷データPDや各種コマンドCMDが一時的に蓄えられる。イメージバッファ35には、バッファメモリ34に蓄えられた印刷データPDの中から各色の成分の印刷データ(イメージデータ)がコントローラ32による指示のもと、バッファメモリ34から逐次読み出されて格納される。メインメモリ36及びEEPROM37には、コントローラ32が実行するプログラムやデータ等が格納されている。コントローラ32は、これらメインメモリ36やEEPROM37に格納されているプログラムを実行することでプリンタ3の動作を統括的に制御する。
コントローラ32には、さらに、キャリッジモータ28を駆動する主走査駆動回路41と、紙送りモータ29を駆動する副走査駆動回路42と、印刷ヘッド22を駆動するヘッド駆動回路43と、センサ制御回路44と、パネル制御回路45と、ステータス管理回路46とが接続されている。コントローラ32は、上記バッファメモリ34に蓄えられている印刷データPDや各種コマンドCMDの中から必要な情報を読み込み、それに基づいて上記各回路41〜46を制御する制御信号を生成する。
従って、主走査駆動回路41や副走査駆動回路42は、コントローラ32から出力される各制御信号に基づいてキャリッジモータ28や紙送りモータ29を駆動する。また、ヘッド駆動回路43は、主走査駆動回路41を制御する制御信号に同期してコントローラ32から出力される制御信号に基づいて、イメージバッファ35から各色の成分の印刷データ(イメージデータ)をラスタ毎に読み出し、それに従って印刷ヘッド22を駆動する。
センサ制御回路44は、コントローラ32からの制御信号に基づいて紙幅検出センサ23(発光素子、受光素子)を駆動し、該センサ23からの検出結果を基に用紙Pの主走査方向の幅(紙幅)を測定してその測定結果をコントローラ32に返す。また、センサ制御回路44は、コントローラ32からの制御信号に基づいて湿度センサ30を駆動し、該センサ30からの検出結果を基に印刷場所の湿度を測定し、その測定結果32をコントローラ32に返す。なお、湿度センサ30及びセンサ制御回路44が検出手段を構成する。
パネル制御回路45は、プリンタ3の操作装置(ユーザインタフェース)として設けられている操作パネル47に電気的に接続されている。操作パネル47には、電源スイッチ、印刷開始スイッチ等の各種の操作キーや例えば液晶にてなる表示画面等が設けられている。パネル制御回路45は、操作パネル47の操作キーがユーザにより操作されると、その操作されたキーに対応したキー操作信号をコントローラ32に出力し、それに応答してコントローラ32は、そのキー操作信号に対応した処理を実行する。またパネル制御回路45は、コントローラ32からの制御信号に基づいて操作パネル47の表示画面上に印刷処理に関する各種ウィンドウの表示を行う。
ステータス管理回路46は、プリンタ3の動作状態を示すステータス情報STをコントローラ32から受け取って管理する。このようなステータス情報STには、図4に示すように、例えば、アイドル状態やエラー状態等、プリンタ3の動作状態を通知するステータスコードC1、用紙Pの有無や紙ジャムの有無等、プリンタ3の動作エラーの内容を通知するエラーコードC2が含まれる。また、ステータス情報STには、現在の用紙Pの設定(カット紙であるかロール紙であるか等)を通知する紙パス情報C3、インク残量等を通知するインク情報C4等も含まれる。ここで、本実施の形態においては、こうしたステータス情報STの一つとして、湿度センサ30による検出結果に基づき、印刷場所の湿度値も湿度情報Chとして含まれることになる。ステータス管理回路46は、このようなステータス情報STをコントローラ32から受け取り、それを内部に記憶するとともに上記バッファメモリ34に格納する。また、新たなステータス情報STをコントローラ32から受け取ったときには、内部に記憶している情報、及びバッファメモリ34内の情報を更新する。
I/F回路33は、こうしてバッファメモリ34に格納されているステータス情報STを、プリンタドライバ6からのステータス要求コマンドに応答してステータス回答コマンドにて返信する。これにより、プリンタドライバ6はプリンタ3の動作状態を随時把握することが可能である。なお、キャリッジ21、印刷ヘッド22、キャリッジモータ28、紙送りモータ29、制御部31等の印刷処理にかかる機構部分が印刷処理手段に相当する。
次に、コンピュータ2から印刷データPDをプリンタ3に送信し、該印刷データPDを印刷出力する場合の動作について説明する。ユーザは、印刷データPDをプリンタ3で印刷出力する際の操作として、まずコンピュータ2の入力装置7を操作して印刷操作を行う。このとき、プリンタドライバ6は、図5に示すユーザインタフェース画面(以下、UI画面と記す)48を表示装置5の画面に表示する。UI画面48には、印刷枚数選択機能49、印刷範囲指定機能50、印刷モード選択機能51、印刷開始機能52等が設けられている。ユーザは、このUI画面48上の印刷枚数選択機能49で印刷枚数を、印刷範囲指定機能50で印刷範囲等を指定する他に、印刷モード選択機能51で印刷モードを指定する。
本例において印刷モードとしては、「早いモード」、「きれいモード」、「ドラフトモード」の3種類があり、早いモードは、主に文章等のテキストのみの印刷で多く用いられ、画質よりも速度重視のモード(速度優先モード)である。きれいモードは、文章に画像が埋め込まれている場合等に用いられ、印刷速度よりも高画質を確保するモード(画質優先モード)である。ドラフトモードは、試し打ちに使われるモードであり、低解像度で印刷を行うことから画質は悪いが印刷速度は速いモード(速度優先モード)である。ユーザは、この印刷モード選択機能51を用い、これら3つのモードのうち所望の印刷モードにチェックを付与して印刷モードを指定する。UI画面48の各項目において指定が済んだ後、ユーザは印刷開始機能52のOKボタンをクリック操作し、これを条件にプリンタドライバ6は、UI画面48で入力された内容を印刷条件として取得する。
ここで、プリンタ3の印刷場所の湿度が高いと、用紙に着弾したインクが乾くまでには時間がかかる。乾いていないインクは用紙表面に付着して表面から若干量盛り上がった状態となり、インクが乾かないまま印刷ヘッド22を走査させると、印刷ヘッド22とインクとが擦れてしまい、印刷画質悪化の原因となる。また、湿度が一層高いと、インクが益々乾き難くなり、これによって用紙Pに撓みが生じる場合もあり、このことも上記の擦れを招く原因となる。従って、本例ではこの印刷画質悪化を回避すべく、印刷ヘッド22とインクとの擦れを回避する処理(以下、擦れ回避処理と記す)を次の要領で行っている。
まず、プリンタドライバ6は、UI画面48で印刷開始のOKボタンが押されたことを条件に、プリンタ3からステータス情報STを取得する。この通信としては、例えばプリンタドライバ6がステータス情報要求のコマンドを送り、そのコマンドをプリンタ3が解釈し、それによりプリンタ3がステータス情報STを送り返す。プリンタドライバ6は、ステータス情報STを受信するとその内容を参照し、ステータスコードC1、エラーコードC2、紙パス情報C3、インク情報C4及び湿度情報Ch等を確認する。
プリンタドライバ6は、ステータス情報ST内の湿度情報Chを基に、プリンタ3の印刷場所における湿度値Hを取得する。プリンタドライバ6は取得した湿度値Hと、予め設定された第1閾値Xaとの比較処理を行い、湿度値Hが第1閾値Xaを超えている(H>Xaが成立している)か否かを判断する。なお、本例は第1閾値Xaが70%に設定され、湿度値Hがこの値を超えると、プリンタドライバ6は印刷場所が高湿度であると認識し、70%以下であれば印刷に際しては許容範囲内の値であると認識する。
また、プリンタドライバ6は、ステータス情報ST内の紙パス情報C3を基に、プリンタ3にセット済みの用紙種類の判別も行っている。これは、普通紙には高湿下であるとインクが染み込み難いという性質があるためで、高湿下で普通紙を印刷する際には擦れ回避処理を実行した方がよい。しかし、その一方で、普通紙以外の用紙で一般的に使用されるものについては、インク染み込みは充分に早いことから、この種の擦れ回避モードは行わなくてもよい。従って、本例においては用紙種類についても判断対象とし、普通紙以外の用紙Pを用いる場合には、擦れ回避モードを実行しないようにしている。
プリンタドライバ6は、湿度値Hが第1閾値Xaを超え、しかも用紙が普通紙である場合、擦れ回避処理を実行するか否かをユーザに確認するために、図6に示すアラート画面53を表示装置5の画面に表示する。アラート画面53には、印刷処理の動作モードを、擦れ回避処理を実行するモード(即ち、擦れ回避モード)に変更するか否かの通知が文字表示される。ユーザがこれに同意してアラート画面53の「はい」ボタン53aをクリック操作すると、プリンタドライバ6は動作モードを擦れ回避モードに設定する。一方、アラート画面53上の通知に同意せずにユーザが「いいえ」ボタン53bをクリック操作すると、プリンタドライバ6は印刷処理の動作モードを、通常の印刷処理のモード(即ち、通常モード)に設定する。通常モードでは、UI画面48で選択された印刷モード(即ち、早いモード、きれいもーど、ドラフトモード)で印刷処理が実行される。
印刷処理の動作モードが擦れ回避モードに設定されると、プリンタドライバ6は、図7に示す印刷モード設定テーブル54を参照して印刷モードを設定する。この印刷モード設定テーブル54は、プリンタドライバ6に組み込まれている。印刷モード設定テーブル54は、UI画面48でユーザにより指定された印刷モード(早いモード、きれいモード、ドラフトモードの3種類)と、湿度値Hのレベル(第1閾値Xa以下、第1閾値Xa〜第2閾値Xb、第2閾値Xb以上の3レベル)とをパラメータとして、印刷モードを設定するためのテーブルである。なお、第2閾値Xbは第1閾値Xaよりも湿度値が高く設定された閾値(例えば80%)であり、印刷場所の湿度が第2閾値Xbを超えた場合には、印刷場所の湿度が非常に高い状態になっていると見なされる。このように、第1閾値Xa及び第2閾値Xbを設定することで、湿度判断基準が段階的に設定される。
印刷モード設定テーブル54に示すように、湿度が第1閾値Xa以下の場合には、印刷処理の動作モードが通常モードに設定されることから、UI画面48で選択設定された指定印刷モードが印刷モードとして設定される。一方、湿度が第1閾値Xaを超えると、印刷処理の動作モードが擦れ回避モードに設定され、この擦れ回避モードでは、パス数変更モード及びプラテンギャップ変更モードのいずれかに印刷モードが設定される。
パス数変更モードは、印刷ヘッド22の1走査での使用ノズルを変更し、1ラスタ印刷時のパス数を変更するモードである。ここで言うパス数とは、印刷ヘッド22が1ラスタを印刷するために要する往復駆動数のことである。パス数変更モードを具体的に説明すると、図8に示すようにノズル列がCMYK毎に例えば8列ある場合、通常モードでの印刷ならば、これら全てのノズル列からインク滴を吐出して印刷処理が行われる。一方、印刷モードがパス数変更モードに設定されると、図8に示す8列のノズル列のうち、所定のノズル列のみを使用して印刷処理が行われる。なお、パス数変更モードの場合、ヘッド高さ方向(副走査方向)のラスタデータ並びが通常モードの場合とは異なるが、この並び替えはMW部15が行うことになる。
使用ノズル数変更の例としては、図8に示すように、例えば印刷ヘッド22の奇数のノズル列のみを使用して印刷処理を行う例が挙げられるが、この際、通常モードとは紙送り量を異ならせる必要がある。また、使用ノズル数変更の他の例としては、例えば印刷ヘッド22が往動する際には奇数のノズル列を使用し、復動する際には偶数のノズル列を使用する例が挙げられる。この場合には、紙送り量は通常モードと同じになり、各モードで紙送り量を変える必要はなくなる。但し、パス数変更モードを用いると、1ラスタ印刷時のパス数が増えることでインクの乾燥時間は確保されるものの、パス数増加分だけ全体の印刷速度は遅くなる。
プラテンギャップ変更モードは、駆動モータMを駆動することでキャリッジ21、印刷ヘッド22及び摺動軸27を一体に持ち上げ、これによりプラテンギャップΔWを拡大するモードである。但し、プラテンギャップ変更モードを用いると、通常モードと同じパス数で印刷が行われることから、全体の印刷速度はモード変更前後で変わらないものの、印刷ヘッド22の上昇に伴ってインクの着弾位置がずれるため、印刷画質は若干劣化する。
プリンタドライバ6は、ステータス情報STを基にプリンタ3内の印刷場所の湿度を取得した際、図7の印刷モード設定テーブル54を基に印刷時の動作モードを擦れ回避モードに設定する。即ち、印刷場所の湿度が第1閾値Xa〜第2閾値Xbであれば、ユーザによる指定印刷モードが早いモード、きれいモード、ドラフトモードの各々において、印刷モードがプラテンギャップ変更モード、パス数変更モード、プラテンギャップ変更モードに各々設定される。
また、印刷場所の湿度が第2閾値Xb以上であれば、ユーザによる指定印刷モードが早いモード、きれいモード、ドラフトモードの各々において、印刷モードがパス数変更モード(又はプラテンギャップ変更モードでもよい)、パス数変更モード、プラテンギャップ変更モードに各々設定される。なお、湿度が第2閾値Xb以上の際に、ユーザによる指定印刷モードが早いモードの場合、設定すべき印刷モードはパス数変更モードとプラテンギャップ変更モードのどちらでもよいこととしている。これは、ユーザによる指定印刷モードが早いモードであることから、ユーザは画質に関しては重要視していないが、湿度があまりに高いと、無視できない画質劣化を招く事も考えられることから、この場合の印刷モードはユーザの希望により設定変更可能である。
次に、プリンタドライバ6がヘッド擦れ回避プログラムを実行する際の処理を図9のフローチャートに従って説明する。なお、この処理は、ユーザがホストコンピュータ2の表示装置5に図5に示すUI画面48を立ち上げ、そのUI画面48で印刷モード(きれいモード、早いモード、ドラフトモード)のモード選択を行うとともに、印刷開始のOKボタンをクリック操作した際に実行される。
ステップ100では、プリンタ3に対してステータス取得命令を出力し、プリンタ3からステータス情報STを取得する。
ステップ101では、湿度情報Chが取得できたか否かを判断する。ここで、ステータス情報ST内に湿度情報Chが含まれ、プリンタドライバ6が湿度情報Chを取得すればステップ102に移行する。一方、ステータス情報ST内に湿度情報Chが含まれていない場合には、ステップ108に移行して通常モードで印刷を行う。
ステップ102では、印刷場所の湿度が第1閾値Xaを超えたか否かを判断する。ここで、湿度が第1閾値Xaが超えると、印刷場所が高湿度であると判断してステップ103に移行し、湿度が第1閾値Xaを超えていないと、印刷場所が低湿度であると判断してステップ108に移行して通常モードで印刷を行う。
ステップ103では、印刷対象の用紙Pが普通紙か否かを判断する。用紙Pが普通紙であると、印刷場所が高湿度の際にはインクが用紙Pに染み込まず用紙表面に付着している可能性が高いことから、ヘッド擦れを回避すべくステップ104に移行する。一方、用紙Pが普通紙でないならば、印刷場所が高湿度であってもインクが用紙表面に付着している可能性は低いと判断し、通常モードで印刷を実行すべくステップ108に移行する。
ステップ104では、表示装置5にアラート画面53(図6参照)を表示し、擦れ回避モードを実行するか否かをユーザに選択させる。ユーザは、擦れ回避モードを実行する場合にはアラート画面53の「はい」ボタン53aをクリックし、擦れ回避モードを実行しない場合にはアラート画面53の「いいえ」ボタン53bをクリックする。
ステップ105では、擦れ回避モードが選択されたか否かを判断する。ここで、擦れ回避モードが選択されていればステップ106に移行し、擦れ回避モードが選択されていなければステップ108に移行する。
ステップ106では、印刷モード設定テーブル54(図7参照)を参照し、そのときの湿度とユーザが選択指定した指定印刷モードとから印刷モードを設定する。従って、ユーザによる指定印刷モードと、湿度のレベルとに応じて、最終的な印刷モードが設定される。
ステップ107では、ステップ106で設定された印刷モードに応じた印刷データPDを生成する。例えば、印刷モードがパス数変更モードに設定されていれば、印刷ヘッド22の使用ノズルが変更されることから、そのノズル変更に合わせて1走査分のラスタデータの順序が入れ替えられた印刷データPDが生成される。一方、印刷モードがプラテンギャップ変更モードに設定されていれば、印刷開始前にプラテンギャップを拡大する旨の指示を含んだ印刷データPDが生成される。
ステップ108では、プリンタ3に印刷データPDを送信する。プリンタ3は、印刷データPDを受信するとそれを用紙Pに印刷出力する。
上記実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)印刷場所の湿度が第1閾値Xaを超えた際には、プリンタドライバ6はパス数変更モード又はプラテンギャップ変更モードに印刷モードを設定するとともに、各モードに応じた印刷データPDを生成してプリンタ3に出力する。従って、例えば印刷モードがパス数変更モードに設定された際には、1ラスタ印刷時のパス数が増えることになるので、その分だけインクの乾燥時間を確保することができ、用紙P上に付着したインクの未乾燥が原因で生じるヘッド擦れは生じ難くなる。また、印刷モードがプラテンギャップ変更モードに設定された際には、印刷ヘッド22とプラテン24(即ち、用紙P)との間隔が拡大するので、用紙P上のインクが未乾燥でヘッド側に盛り上がっていても、或いは未乾燥インクにより用紙Pに撓みが生じていても、ヘッド擦れは生じ難くなる。
(2)印刷場所が高湿度の場合、ユーザによる指定印刷モードがきれいモードであれば、擦れ回避モードはパス数変更モードに設定される。ところで、ユーザがUI画面48で印刷モードをきれいモードに設定したということは、ユーザは高画質印刷を要望していることになるので、その際の擦れ回避モードとしてパス数変更モードを採用すれば、ユーザが要望する高画質印刷を確保しつつ、ヘッド擦れを回避することができる。
(3)印刷場所が高湿度の場合、ユーザによる指定印刷モードが早いモード(ドラフトモード)であれば、擦れ回避モードは基本的にプラテンギャップ変更モードに設定される。ところで、ユーザがUI画面48で印刷モードを早いモードに設定したということは、ユーザは早い印刷速度を要望していることになるので、その際の擦れ回避モードとしてプラテンギャップ変更モードを採用すれば、ユーザが要望する高印刷速度を確保しつつ、ヘッド擦れを回避することができる。
(4)パス数変更モードは、使用ノズル数を変更する処理であるが、ヘッド高さ方向で隣同士のノズルを使用しないようにする、例えば奇数列(偶数列)のノズル列を使用するようにすれば、用紙Pに着弾するインク滴はヘッド高さ方向に充分な間隔が生じた状態となる。従って、用紙Pに着弾したインク滴が隣同士で混じり合うような状況にもなり難く、このことも印刷画質確保に寄与する。
(5)印刷場所の湿度が第1閾値Xa〜第2閾値Xbの間にあるのか、又は印刷場所の湿度が第2閾値Xb以上であるのかの2段階で、印刷場所の高湿度判定を行っている。従って、印刷場所が高湿度の場合であっても、その中の各湿度レベルに応じた適切なモードに印刷モードを設定することができる。
(6)印刷モードを擦れ回避モードに設定するか否かの判断対象に、用紙種類も含むこととしている。ここで、上記したように用紙Pが普通紙の場合、高湿度下ではインクが染み込み難いという性質があるが、それ以外の用紙種類で一般的に使用されるものについては、例え印刷場所が高湿度であっても、擦れ回避モードを採用しなくてよい場合がある。従って、湿度だけでなく使用用紙も考慮に入れることから、本例で実施される擦れ回避モードは、印刷環境(湿度、用紙種類)に応じた最適な処理となる。
(7)印刷モード設定は、印刷モード設定テーブル54を参照することで設定される。このようなテーブルを用いた処理は簡単なプログラムで済むので、擦れ回避処理プログラムを簡単なプログラムで済ますことができる。
(8)印刷場所が高湿度の際、擦れ回避モードを行う前段階でアラート画面53を表示装置5に表示し、擦れ回避モードを実行するか否かをユーザに選択させるようにした。従って、ユーザは擦れ回避モードの実行を自分の意志により決定することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下の態様に変更してもよい。
(変形例1)印刷モードがパス数変更モードとなった際、そのモードでのパス数は一定値に限らず、例えばパス数が湿度レベル(又は湿度値)に応じた値をとるように、パス数を湿度レベルに応じて異なる値をとらせてもよい。また、プラテンギャップ変更モードの場合も同様に、プラテンギャップΔWを湿度レベルに応じて異なる値をとらせてもよい。
(変形例2)本例の印刷システム1は、コンピュータ2(プリンタドライバ6)とプリンタ3とにより構成されることに限定されない。即ち、本例においてプリンタドライバ6が行う機能をプリンタ3の制御部31(コントローラ32やメインメモリ36等)に組み込み、プリンタ単体で本例の処理を実行するようにしてもよい。この場合、プリンタ3(印刷装置)が印刷システムに相当する。
(変形例3)擦れ回避モードを行うか否かの判断対象は、湿度及び用紙種類のみに限定されない。即ち、プリンタ3のあらゆる印刷環境を想定してもよく、印刷に影響する印刷場所の温度、印刷モード等も判断対象に加えてもよい。
(変形例4)プリンタ3は、スキャナ機能、プリンタ機能及びコピー機能が1台で実現できる複合機でもよい。また、プリンタ3は、印刷出力する印刷データPDをコンピュータ2から取得するのみの構成に限らず、例えばメモリーカード等の外部記憶メディアから画像を読み取って印刷出力する機種でもよい。
(変形例5)プリンタ3は、インクジェット式プリンタに限らず、例えばドットインパクト式、サーマル式、熱転写式、レーザ式等でもよい。
(変形例6)印刷装置はプリンタ3に限らず、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタ製造装置、有機ELディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極形成装置、バイオチップ製造用の生体有機物を噴射する噴射装置、精密ピペット用の製造装置でもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)ラスタ単位で印刷データを取得し、印刷ヘッドを1以上往復動させて1ラスタ分の印刷を行い、該印刷を繰り返すことで前記印刷データを印刷出力する印刷システムに使用される印刷データ生成方法であって、印刷場所の湿度が検出手段によって検出され、前記検出手段の検出値を基に前記印刷場所が高湿度であるか否かを印刷データ生成手段が判断し、当該印刷データ生成手段は前記印刷場所が高湿度であると判断した際に、前記印刷ヘッドの1走査での使用ノズル数を変更することで、前記印刷ヘッドの往復動数であるパス数を変更した印刷データを生成することを特徴とする印刷データ生成方法。
(2)ラスタ単位で印刷データを取得し、印刷ヘッドを1以上往復動させて1ラスタ分の印刷を行い、該印刷を繰り返すことで前記印刷データを印刷出力する印刷システムにおいて、印刷場所の湿度を検出する検出手段と、印刷媒体に記録剤を吐出するヘッド機構と、前記ヘッド機構を上下動させる駆動手段と、前記検出手段の検出値を基に前記印刷場所が高湿度であると判断した際に、前記駆動手段の駆動により前記ヘッド機構及びプラテンの間の間隔を変更させる前記印刷データを生成する印刷データ生成手段と、印刷媒体に前記印刷データを印刷出力する印刷処理手段とを備えたことを特徴とする印刷システム。
本実施の形態にかかる印刷システムの概略構成を示すブロック図。 プリンタの電気的構成を示すブロック図。 プリンタの印刷機構を示した模式図。 ステータス情報のデータ内容を示すデータ図。 表示装置5の画面に表示されるUI画面の画面図。 表示装置5の画面に表示されるアラート画面の画面図。 印刷モードを設定する際に用いる印刷モード設定テーブルのテーブル図。 パス数変更モードの説明をする際の説明図。 ヘッド擦れ回避プログラム実行時に実施されるフローチャート。
符号の説明
1…印刷システム、2…コンピュータ(ホストコンピュータ)、3…印刷装置としてのプリンタ、6…印刷データ生成手段、認識手段、記憶手段、選択手段としてのプリンタドライバ、7…操作手段としての入力装置、21…印刷処理手段及びヘッド機構を構成するキャリッジ、22…印刷処理手段及びヘッド機構を構成する印刷ヘッド、24…プラテン、27…ヘッド機構を構成する摺動軸、30…検出手段を構成する湿度センサ、31…印刷処理手段を構成する制御部、33…通信手段としてのI/F回路、44…検出手段を構成するセンサ制御回路、54…テーブルとしての印刷モード設定テーブル、H…湿度値、PD…印刷データ、P…印刷媒体としての用紙、M…駆動手段としての駆動モータ、ΔW…間隔としてのプラテンギャップ、ST…ステータス情報、Ch…湿度情報。

Claims (12)

  1. ラスタ単位で印刷データを取得し、印刷ヘッドを1以上往復動させて1ラスタ分の印刷を行い、該印刷を繰り返すことで前記印刷データを印刷出力する印刷システムにおいて、
    印刷場所の湿度を検出する検出手段と、
    前記検出手段の検出値を基に前記印刷場所が高湿度であると判断した際に、前記印刷ヘッドの1走査での使用ノズル数を変更することで、前記印刷ヘッドの往復動数であるパス数を変更した印刷データを生成する印刷データ生成手段と、
    印刷媒体に前記印刷データを印刷出力する印刷処理手段と
    を備えたことを特徴とする印刷システム。
  2. 印刷媒体に記録剤を吐出するヘッド機構と、
    前記ヘッド機構を上下動させる駆動手段とを備え、
    前記印刷データ生成手段は、前記検出手段の検出値を基に前記印刷場所が高湿度であると判断した際に、前記駆動手段の駆動により前記ヘッド機構及びプラテンの間の間隔を変更させる前記印刷データを生成することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
  3. 操作手段の操作によりユーザが選択指定した印刷モードを認識する認識手段を備え、
    前記印刷データ生成手段は、前記検出手段の検出値と、前記ユーザが選択指定した指定印刷モードとをパラメータとして印刷時に行う印刷モードを設定し、該印刷モードに応じた前記印刷データを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷システム。
  4. 前記印刷データ生成手段は、前記検出手段の検出値と、前記ユーザが選択指定した印刷モードとをパラメータとして印刷モード設定を行い、前記検出値を基に前記印刷場所が低湿度であると判断した際には、前記ユーザが選択指定した指定印刷モードを前記印刷モードに設定し、前記検出値を基に前記印刷場所が高湿度であると判断した際には、前記指定印刷モードが画質優先モードであれば前記印刷モードを前記したパス数変更モードに設定し、前記指定印刷モードが速度優先モードであれば前記印刷モードを前記した間隔変更モードに設定することを特徴とする請求項3に記載の印刷システム。
  5. 前記印刷データ生成手段は、前記検出手段の検出値を基に前記印刷場所が高湿度であると判断した際に、所定範囲で湿度値を区分したレベル単位で高湿度判定を行い、そのレベルに応じて前記印刷モードを設定することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の印刷システム。
  6. 前記印刷データ生成手段は、高湿度時における前記印刷モードを設定する際のパラメータとして、印刷媒体種類を判断対象に含めていることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の印刷システム。
  7. 前記パラメータに基づき前記印刷モードを決定するためのテーブルを記憶した記憶手段を備え、
    前記印刷データ生成手段は、前記テーブルを参照することによって前記パラメータから前記印刷モードを設定することを特徴とする請求項3〜6のうちいずれか一項に記載の印刷システム。
  8. 前記検出手段の検出値を基に前記印刷場所が高湿度であると判断した際に、前記したパス数変更及び間隔変更の少なくとも一方の処理を実行するか否かを前記ユーザに選択させる選択手段を備え、
    前記印刷データ生成手段は、前記処理を行う選択が前記ユーザによりなされると、前記処理を行うモードに前記印刷モードを設定し、一方で前記処理を行わない選択が前記ユーザによりなされると、前記ユーザが操作手段で選択指定した指定印刷モードに前記印刷モードを設定することを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の印刷システム。
  9. 前記検出手段及び前記印刷処理手段は、ホストコンピュータから送信される印刷データを印刷出力可能な印刷装置に搭載され、前記印刷データ生成手段は、前記ホストコンピュータにダウンロードされるドライバであって、
    前記印刷装置は、少なくとも湿度情報を含むステータス情報を前記ホストコンピュータに送信可能な通信手段を備え、
    前記ドライバは、前記ステータス情報の湿度情報を基に前記印刷場所の湿度を把握し、前記印刷場所が高湿度であると判断した際に、前記印刷ヘッドの1走査での使用ノズル数を変更することで、前記印刷ヘッドの往復動数であるパス数を変更した印刷データを生成し、前記印刷データを前記印刷装置に送信して該印刷装置に該印刷データを印刷出力させることを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の印刷システム。
  10. 前記検出手段、前記印刷データ生成手段及び前記印刷処理手段は印刷装置に搭載され、前記した各処理は当該印刷装置のみの装置で実行されることを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の印刷システム。
  11. ラスタ単位で印刷データを取得し、1ラスタ印刷時に印刷ヘッドを1以上往復動させて1ラスタ分の印刷を行い、該印刷を繰り返すことで前記印刷データを印刷出力する際に、その印刷データ生成時に実行される印刷データ生成用プログラムであって、
    印刷場所の湿度情報を取得する手順と、
    前記湿度情報を基に前記印刷場所の湿度を算出する手順と、
    算出した湿度が所定の閾値よりも高いか否かを判断する手順と、
    前記印刷場所の湿度が前記閾値よりも高い際に、前記印刷ヘッドの1走査での使用ノズル数を変更することで、前記印刷ヘッドの往復動数であるパス数を変更した印刷データを生成する手順と、
    前記印刷データを印刷出力すべく該印刷データを印刷機構に出力する手順と
    をコンピュータに実行させることを特徴とする印刷データ生成用プログラム。
  12. 請求項11に記載の印刷データ生成用プログラムを記憶した記憶媒体。
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