JP2006102622A - 含油スラッジの油分回収方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】引火と爆発の危険がなく、回収油分の熱変性が防止され、低廉な処理コストで良質な油分を得ることが可能な含油スラッジからの油分回収方法および装置の提供。
【解決手段】土砂等を含む固形分と水分を有する含油スラッジを加熱して流動性を持たせた後、過熱蒸気と窒素ガスにて空気遮断状態で噴射させ、微小油滴、気化油分、固形分および水蒸気からなる混合物からまず固形分を分離し、その後、微小油滴、気化油分および水蒸気を冷却して密度差により良質な油分を回収する。
【選択図】図2

Description

本発明は、含油スラッジからの油分回収技術に係り、詳しくは、例えば石油精製、石油備蓄基地、原油タンカーおよび火力発電所等で設置している原油タンク、重油等の燃料油タンク(貯蔵槽)の底部に溜まる含油スラッジから、土砂等の固形分と水分を除去して、低廉な処理コストで良質な油分を回収することを可能にする方法および装置に関する。
原油、重油等を貯蔵している燃料油タンクや槽の底部には、水分および土砂等の固形分が沈殿してできる含油スラッジ生成する。この含油スラッジは、水分や土砂等の固形分が含まれている状態では燃料油として不適当であるため、産業廃棄物の「廃油」として焼却処理されている。
上記の含油スラッジから油分を回収して有効に利用したいという要望がある。この要望に応えるための従来技術としては、下記のようなものがある。
(1)石油精製プロセスにおいて発生する残油、残滓を超臨界水(高温高圧水)にてエマルジョン化し、凝集剤と磁性粒子を加えて油から水を分離し有用な油分を回収する方法(特許文献1)。
(2)石油精製工程で生じた油状廃棄物や水分を含有する含油スラッジを触媒媒体と混合し、加熱と真空の利用により蒸留し、蒸気、ガスおよび水蒸気を分離した後、さらにガスと水分を分離して燃料を製造する方法(特許文献2)。
(3)製鉄プロセスでは、含油スラッジを約100℃に加熱して水分を除去した後、空気遮断雰囲気において450〜500℃で1時間程度加熱して油分を蒸発させてγ-Feを回収し、蒸発した油分は冷却して液化し、加熱用燃料とする方法(特許文献3)。
(4)オイルサンド等の含油物質から油分を回収する装置および方法として、700℃以上の高温高圧の過熱蒸気をスロート形状の噴射ノズルを介して発生した超音速流として噴射させる技術。この超音速流に含油性物質をスクリューフィーダやポンプを介して含油物質を強制衝突させ、解砕、攪拌しつつ油分を気化させ、気化物と固形物はサイクロン等で分離する。次にコンデンサーにより分離された気化物すなわち水蒸気と油蒸気分とを熱交換処理によって冷却分留して油と水に分離し、密度差により油分を回収する(特許文献4)。
(5)油性廃棄物を処理するための方法および装置として1,000〜2,000℃の燃焼ガスに含油スラッジや廃油などの油性廃棄物を接触気化させ、この気化物の固形物を重力沈降あるいはサイクロンで分離し、気化物は冷却して液化した油分と水分を密度差により分離して油分を回収する技術(特許文献5)。
特開2003−277771号公報 特開2000−212570号公報 特開平11−90490号公報 特開2001−149722号公報 特開平7−275897号公報
前述したような従来の含油物質や油スラッジからの油分回収技術には未だ解決すべき以下のような問題がある。
原油、重油タンク等の底部に溜まる含油スラッジは、常温では固まっており流動しないため、気化処理装置等に供給する場合、ポンプやスクリューフィーダによる搬送が困難である。仮にこれらを使用しても、抵抗が大きいので機器の規模を大きくしなければならず、装置製作コストが嵩む。
また、含油スラッジを凝集剤のような薬品で処理する場合、薬品による環境汚染の懸念がある。さらに含油スラッジを450℃以上の高温に加熱して油分を気化処理する場合、油の高温酸化による劣化、すなわち熱変性が進行し、処理前と比較して油の性状が悪化し良質な燃料油を得ることができない。
さらにまた、油分の気化処理、油分と水分の分留工程等における引火の可能性も排除できない。一方、製作コスト面では含油スラッジの油分回収装置等は非常に高価(例えば1億円以上)であり、普及が難しいという問題がある。
本発明は、かかる課題を解決するとともに、石油精製、石油備蓄基地、原油タンカーおよび火力発電所の原油・重油タンク等の燃料油タンクや槽の下部に溜まる含油スラッジから、低コストで良質な油分を回収できる油分回収方法およびその方法の実施に適する装置を提供することを目的とする。
本発明は、下記(1)の油分回収方法および(2)の油分回収装置を要旨とする。
(1)含油スラッジを加熱して流動性を持たせた後、窒素ガスの圧送によって噴射処理に送り、この含油スラッジを過熱蒸気と窒素ガスによりエジェクターで200℃〜350℃の温度範囲で霧状に噴射し、噴射によって得られた微小油滴、気化油分、固形分および水蒸気の混合物から固形分を分離した後、気化油分および水蒸気を冷却して液化させ、密度差により油分を回収することを特徴とする含油スラッジからの油分回収方法。
(2)含油スラッジを収容し加熱して流動性を持たせた後、窒素ガスの圧送による噴射処理に供するスラッジ供給槽と、この含油スラッジを過熱蒸気と窒素ガスによりエジェクターで霧状に噴射する噴射装置と、噴射によって得られた微小油滴、気化油分、固形分および水蒸気の混合物から固形分を分離する分離手段と、気化油分および水蒸気を冷却して液化させ、密度差により油分を回収する冷却手段を有することを特徴とする含油スラッジからの油分回収装置。
本発明によれば、含油スラッジを加熱して流動性を持たせた後、エジェクターに供給し、含油スラッジを過熱蒸気と窒素ガスとでエジェクターにより噴射処理を行う。この噴射処理により得られた微小油滴、気化油分、固形物および水蒸気の混合物から固形分を分離する。固形物分離後の混合物中の気化油分および水蒸気を冷却して液化させて油水分離させ、密度差により油分を回収する。このようにして含油スラッジから固形分を含まない良質の油分を回収することができる。
1.本発明の油分回収方法
図1は本発明方法の工程の概略図、図2はそのフローチャートである。含油スラッジは、常温では固形化していて流動性がないので、まず、流動性を持たせるために加熱する必要がある(第1工程)。さらに含油スラッジの熱変性を防止するため、噴射装置まで不活性ガスである窒素ガスを用いて圧送し、噴射処理に供する(第2工程)。
噴射処理装置は、外部から供給される過熱蒸気と窒素ガスにより含油スラッジを霧状に噴射させるエジュエクターを備えている。
噴射処理の後は、固形分の分離を行う(第3工程)。分離手段は、衝突効果によるものであり、この衝突効果により固形分を分離して捕集する。なお、固形分の分離には重力沈降やサイクロンによる分離方法も採用できる。
上記の噴射処理によって生じた微小油滴、気化油分および水蒸気の混合物は冷却工程(第4工程)に供される。この工程では、熱交換処理により気化油分および水蒸気を冷却して液化させる。その後、密度差により油水分離を行って油分を回収する。
噴射処理に供する過熱蒸気は、市販の過熱蒸気発生装置から供給できる。また、石油精製、石油備蓄基地等の原油タンクおよび重油タンク等の加温用過熱蒸気を利用してもよい。
前記冷却工程(第4工程)における熱交換処理は、冷却水による冷却処理である。そして、この熱交換処理により温度が上昇した冷却水は冷却装置により冷却して、再度前記熱交換処理に供する。
本発明の方法では、含油スラッジを加熱して流動性を持たせて、窒素ガスの圧送によりエジェクターに供給し、過熱蒸気と高窒素ガスとともに霧状に噴射させる。エジェクターは、多方面に広く採用されており廉価で入手できる。従って、これを利用すれば、油分回収装置の製作コストが従来技術で用いる装置よりも安価に製作できる。
含油スラッジを過熱蒸気と窒素ガスによりエジェクターで噴射させることにより、含油スラッジは微小油滴、気化油分、固形分および水蒸気となる。分離装置においてこれらの混合物から固形分は分離される。前記のように、この分離には重力沈降やサイクロン等の分離方法も有効である。
固形分を分離した微小油滴、気化油分および水蒸気は、望ましくは2段階の冷却工程で冷却される。次いで油水分離され、密度差により油分を回収する。この油分回収装置内は蒸気と窒素ガスにより満たされ、空気による回収油分の酸化劣化が防止される。それに加え、装置内は蒸気と窒素ガスで充満し無酸素状態であるので、引火または爆発の危険がない。
前述の含油スラッジ供給槽では、含油スラッジに流動性を持たせるため、蒸気により間接加熱する。加熱温度は含油スラッジの流動性にもよるが、70〜120℃の範囲で調節するのがよい。この加熱により含油スラッジに流動性を持たせた後、窒素ガスの圧送により空気遮断状態でエジェクターに供給するので、油分の熱変性を防止できる。さらに、エジェクターと固形分分離槽の温度は、油分の熱変性を防止するため、上限を350℃に設定するのが望ましい。
次に、後述する実施例で得られて実験結果に基づいて、添付の表および図を参照しつつ、本発明を説明する。
表1は実験に用いた含油スラッジの組成分析結果、図3は含油スラッジの揮発分分析結果、表2は実験条件、表3は含油スラッジの噴射温度の違いによる回収油分性状の実験結果である。
図4は含油スラッジの噴射温度と油分回収率の関係を示すグラフ、図5および図6は、それぞれ含油スラッジの噴射温度を350℃および250℃とした場合の油分回収前後における赤外線分析結果である。
Figure 2006102622
まず、表1の含油スラッジの組成について説明する。含油スラッジとしては、火力発電所の原油タンクと重油タンクの底部に溜まっている3種類の含油スラッジを用いた。含油スラッジの性状は、常温では固体であり、水分約1.7〜35%、土砂等の固形分1.6〜12%で、他は油分で占められている。
上記の各含油スラッジの固形分の含有量を明らかにするために、含油スラッジを精秤し、ビーカ内でアセトン洗浄し、残渣をさらにシンナー洗浄して油分を完全溶解させたうえで固形分を分離した。この固形分を十分乾燥した後、その重量を求めた。
なお、含油スラッジは、火力発電所の重油タンク、原油タンクに限らず、石油備蓄基地の燃料油タンク、石油精製やタンカー等のタンクや槽類の底部に溜まる含油スラッジも用いることができる。
次に、前記含油スラッジから固形分を採取し、この固形分を電子顕微鏡で観察した。その結果、固形分の粒径は最大で約500μmであった。この固形分をEDX定性分析とX線回折で分析した。その結果、EDX定性分析ではFe、Si、Al、Mg、Ca等が検出され、X線回折では、SiO、Fe、Fe、Alが検出され、主成分が土砂成分と鉄錆であるという結果を得た。
前記含油スラッジの水分量を明らかにするため、含油スラッジを採取直後に液体窒素にて凍結させた試料と、室温で一昼夜乾燥させた、いわゆる風乾試料を用いて、カールフィッシャー法で水分量を求めた。液体窒素の凍結試料を解凍させた水分量は1.3〜22.2%、風乾試料の水分量は1.6〜12%の範囲であった。
前記含油スラッジの風乾試料を用いて、油分の炭素、水素、窒素、硫黄のCHN分析計を用いて求めた。炭素50.1〜79.4%、水素8.8〜13.1%、窒素0.11〜0.37%、硫黄0.12〜0.31%の範囲の組成であった。
含油スラッジの噴射温度は、高くなるほど油分の気化は促進されるが、油分の高温酸化による劣化、すなわち熱変性が進行し、回収油分が重質化するので燃料油として不適合になることが懸念される。そこで、油分回収実験装置によるエジェクター噴出の適正温度を見いだすため、噴射温度と油分の熱変性の関係を検討した。
図3は、含油スラッジ加熱による分子量分布測定における揮発性成分分析結果である。図3に示すとおり、含油スラッジを不活性ガスであるヘリウム中で加熱した場合、400℃に達すると熱分解が発生し、高温酸化劣化、いわゆる熱変性が生じる。したがって、エジェクター噴射温度は、含油スラッジの霧化が十分行なわれ、かつ、油分の熱変性を防止できる200℃〜350℃に設定して油分回収実験装置に供する必要がある。
2.油分回収装置
図7は、本発明の油分回収装置を説明する図である。同図において、水タンク1とポンプ2と過熱蒸気発生器3は、含油スラッジ噴射用として0.3MPa〜1MPaの過熱蒸気を得るためのものである。なお、過熱蒸気は、石油精製、石油備蓄基地等の原油タンクおよび重油タンク等の加温用過熱蒸気を用いてもよい。
含油スラッジ供給槽4は、含油スラッジの流動性を持たせるため槽内面を螺旋状の細管で覆う。その中に蒸気を通して含油スラッジの流動性に合わせて供給槽内部温度を70〜120℃に調節する。また、蒸気の代わりに含油スラッジ供給槽4の外面にリボンヒータを巻き付けて加熱する方法もある。さらに、含油スラッジ供給槽内部の含油スラッジの熱伝達を促進するため、攪拌機でゆっくり攪拌する方法も有効である。
含油スラッジ供給槽では、油分の熱変性の原因となる空気を遮断するため、窒素ガスボンベから供給される0.3〜1MPaの窒素ガス5を含油スラッジ供給槽内に圧入してエジェクター6に圧送する。
エジェクター6に入った含油スラッジは、0.3MPa〜1MPa高圧の過熱蒸気と0.3〜1MPaの窒素ガスにより、温度200℃〜350℃の条件で噴射し、微小油滴、気化油分、固形分に分離させる。
含油スラッジ噴射処理で生じた微小油滴、気化油分、固形分および水蒸気は、固形分分離槽7に導く。固形分分離槽7は、内面を螺旋状の細管に覆い、その中に加熱用蒸気を通す。固形分分離槽7の内部温度はエジェクター噴射温度と同温度とすることが望ましい。また、固形分分離槽の7外面にリボンヒータを巻き付けて固形分分離槽7の内部を加熱する方法もある。
固形分分離槽7は微小油滴、気化油分、水蒸気および固形分の混合物から固形分だけを衝突効果により分離するものであり、サイクロン、重力沈降等を用いることができる。固形分を分離した微小油滴、気化油分、水蒸気は次の第1冷却槽8に導く。また、固形分分離槽7を加熱し終った水蒸気は、含油スラッジ供給槽加熱用蒸気として再度利用する。
第1冷却槽8は、含油スラッジから固形分が除去された微小油滴、気化油分と水蒸気を冷却して気化油分と水蒸気を液化させ、油分(微小油滴および気化油分が液化もの)と水分に分離し、密度差により油分を回収するものである。
第2冷却槽は必須ではない。しかし、第1冷却槽8だけでは含油スラッジの油種によっては気化油分の全てを凝縮させることはできない場合がある。この場合は、第2冷却槽9でさらに低温まで冷却分留して、含油スラッジ中の油分を可能な限り回収するのがよい。
第1冷却槽8および第2冷却槽9の冷却方法は、それぞれの冷却槽の外面を螺旋状の細管で覆い、その中に冷却水を通して行う。冷却ステップは、まず冷却水で第2冷却槽9を冷却した後、第1冷却槽8を冷却する。第1冷却槽を冷却し終わった冷却水は温水となっているので、クーリングタワー等の冷却装置10により冷却して再度第2冷却槽9および第1冷却槽8の冷却に供し、循環使用するのが望ましい。
第2冷却槽9で凝縮できない微量の軽質気化油分が存在する場合、それをそのままで大気に放出すると不快な臭気を感じることがある。そこで、第2冷却槽上部から放出される微量の軽質気化油分を活性炭フィルター11で補足し、補足しきれなかった極微量の気化油分は水封槽12で完全除去して、清浄な状態にして大気放出する。
図7に示した装置を用いて本発明方法を実施した。実験は前記表1に示した3種類の含油スラッジを用いて行った。表2に実験条件を示す。
Figure 2006102622
前記含油スラッジを70〜120℃に加熱して流動性を持たせながら、300cm/分の流量でエジェクターに供給した。エジェクターでは過熱蒸気を圧力0.3〜1MPa、流量1200〜2400 cm/分、窒素ガスを圧力0.3〜1MPa、流量1000 cm/分で流しながら、流速5〜10m/Sで霧状に噴霧した。
次の固形物分離装置では衝突効果により固形分を除去して後、常温まで冷却できる冷却槽に導き、油分と水分を分離させ密度差により油分を回収した。なお、過熱蒸気と窒素ガスの圧力等の範囲は、噴射温度の調節と十分な霧化を促すための流速を得るために設定したものである。以上の実験条件による実験結果を表3に示す。
Figure 2006102622
含油スラッジの噴射温度の違いによる油分の回収率と性状は、下記のとおりである。含油スラッジ噴射温度が200℃〜350℃の範囲における油分回収率は60%以上であり、250〜300℃の範囲における油分回収率は約80%以上に達した。また、含油スラッジ中の固形分と水分は、前記固形分分離装置と冷却槽による油水分離により回収油分中には全く検出されず、回収油分もC重油相当の性状を有していることが明らかになった。
図4は噴射温度と油分回収率の関係をグラフ化したものであり、200〜350℃で油分回収率が高くなっていることが明らかである。また、表3に示すように、噴射温度400℃では回収油分の熱変性が発生し、噴射温度150℃では霧化が十分でないため、油分回収率が低下した。したがって、含油スラッジの噴射温度は200〜350℃の温度範囲内で選ぶ必要がある。噴射温度は、この温度範囲内で、含油スラッジの性状に合わせて適切に設定すればよい。
図5および図6は、それぞれ噴射温度が350℃および250℃の場合における含油スラッジからの油分回収前後での熱変性の有無を示す。図示のとおり、含油スラッジの噴出温度が350℃、250℃のいずれの場合も赤外線吸収スペクトルには新たなピークが表れず、回収油分の熱変性は防止できることが明らかになった。
本発明によれば、含油スラッジは流動性を持たせるまで加熱した後、窒素ガスでエジェクターに圧送される。エジェクターに入った含油スラッジは、過熱蒸気と窒素ガスにより空気を完全遮断して噴射されるので、引火または爆発等の問題がなく、また、油分の熱変性も防止できるので、燃料油として利用可能な良質の油分が回収できる。さらに、含油スラッジに流動性を持たせるので、エジェクターに移送するための大型で高価なポンプやスクリューフィーダ等の機器を必要としないため、油分回収装置の製作コストは、従来技術の装置と比較して低廉である。また、該油分回収装置は小型軽量化が可能なため、移動処理が容易である。
本発明による油分回収率は噴射温度200℃〜350℃の範囲で60%以上、噴射温度220〜320℃では約80%以上となる。油スラッジ噴射用の過熱蒸気は、過熱蒸気発生装置から供給するだけでなく、油分回収装置の設置場所に応じて石油精製、石油備蓄基地、火力発電所等に設置している原油タンクまたは重油タンクの加熱用蒸気をも利用できる。
本発明方法の工程概略図である。 本発明方法の処理プロセスを説明するフローチャートである。 噴射温度ごとの含油スラッジの揮発性成分分析結果である。 含油スラッジの噴射温度と油分回収率の関係を示すグラフである。 噴射温度が350℃のときの油分回収前後における赤外線分析結果である。 噴射温度が250℃のときの油分回収前後における赤外線分析結果である。 本発明の油分回収装置を説明する図である。

Claims (2)

  1. 含油スラッジを加熱して流動性を持たせた後、窒素ガスの圧送によって噴射処理に送り、この含油スラッジを過熱蒸気と窒素ガスによりエジェクターで200℃〜350℃の温度範囲で霧状に噴射し、噴射によって得られた微小油滴、気化油分、固形分および水蒸気の混合物から固形分を分離した後、気化油分および水蒸気を冷却して液化させ、密度差により油分を回収することを特徴とする含油スラッジからの油分回収方法。
  2. 含油スラッジを収容し加熱して流動性を持たせた後、窒素ガスの圧送による噴射処理に供するスラッジ供給槽と、この含油スラッジを過熱蒸気と窒素ガスによりエジェクターで霧状に噴射する噴射装置と、噴射によって得られた微小油滴、気化油分、固形分および水蒸気の混合物から固形分を分離する分離手段と、気化油分および水蒸気を冷却して液化させ、密度差により油分を回収する冷却手段を有することを特徴とする含油スラッジからの油分回収装置。
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