JP2006102307A - 船舶用液体放出装置及び船舶用災害沈静方法。 - Google Patents
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Abstract
【課題】船舶の通常業務に支承を与えることなく消防船としても機能できるようにする。
【解決手段】左右一対の側部タンク11a,11bと、両側部タンク11aと11bの下部同士を連通させる連通管路12と、両側部タンク11aと11bの上端部所要個所同士を連通させる調整可能なオリフィス付きの空気ダクト13とから化学消火剤タンク10を形成する。化学消火剤タンク10を、船体中央部付近の上部位置に設置し、その底部に、消火剤ポンプ16付きの消火剤取出ライン15を介し、海水ポンプ20と放水銃21を備えた消火装置17を接続する。平常時には、化学消火剤タンク10内の化学消火剤14により船体の減揺効果を発揮させる。船舶火災発生現場では、消火剤ポンプ16を運転し、化学消火剤14を、海水ポンプ20で吸い上げられる海水へ混合して、生成される消火液24を放水銃21より火災船舶へ噴射させる。
【選択図】図1
【解決手段】左右一対の側部タンク11a,11bと、両側部タンク11aと11bの下部同士を連通させる連通管路12と、両側部タンク11aと11bの上端部所要個所同士を連通させる調整可能なオリフィス付きの空気ダクト13とから化学消火剤タンク10を形成する。化学消火剤タンク10を、船体中央部付近の上部位置に設置し、その底部に、消火剤ポンプ16付きの消火剤取出ライン15を介し、海水ポンプ20と放水銃21を備えた消火装置17を接続する。平常時には、化学消火剤タンク10内の化学消火剤14により船体の減揺効果を発揮させる。船舶火災発生現場では、消火剤ポンプ16を運転し、化学消火剤14を、海水ポンプ20で吸い上げられる海水へ混合して、生成される消火液24を放水銃21より火災船舶へ噴射させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、船舶に搭載された減揺水槽のような水槽より所要の内部液体を取り出して船外へ放出させるために用いる船舶用液体放出装置、及び、該装置を用いて災害を沈静化させる船舶用災害鎮静方法に関するものである。
たとえば、船舶火災は、早期発見し、自船で消火活動を行うのが原則であるが、乗員で対応しきれない場合は外部からの消火活動を必要とし、その場合には、放水銃、消火ポンプとしての海水ポンプ、化学消火剤(泡消火剤原液)のタンク、自衛噴霧装置等の消火装置を備えた消防船が消火活動にあたるようにしている。この種の消防船による火災船舶の消火活動は、化学消火剤タンク内の化学消火剤を、海水ポンプで吸い上げた海水により所要の混合比、たとえば、3%程度の濃度となるよう順次混合、希釈して消火液とし、この消火液を、放水銃より火災船舶へ向けて噴射させることにより、該火災船舶の火災を消すようにしている(たとえば、特許文献1参照)。
しかし、消防船の大半は港湾内か近海での活動に限定された船体規模と速力でしかなく、はるか外洋で発生した船舶火災に対応できるような十分な航続距離と耐航性能を有する消防船は、現状では存在していない。そのために、外洋で発生した船舶火災に対しては、警備救難業務にあたっている海上保安庁の巡視船等が消火活動を行うようにしている。
又、タンカー等の船舶の油流出事故等により海洋に油が流出した場合、流出油は海洋を汚染し、深刻な環境問題を引き起こすことから、上記流出油は速やかに処理する必要がある。このような流出油の処理を行う場合、通常は、オイルフェンス等で拡散を防止した状態にて、油回収装置や油吸着材等を用いて回収を図るようにしている。しかし、これらの回収手段では回収し切れない場合や、あるいは、流出油発生現場の地理的条件、気象条件等により、上記の如き油回収装置や油吸着剤等による回収手段の適用が困難で回収できない場合がある。このような場合には、上記回収し切れない流出油や回収できない流出油に対し、たとえば、生物分解性に優れた界面活性剤である油処理剤を散布して流出油を乳化させ、水への分散性を高めて分散処理することが行われている(たとえば、特許文献2参照)。
ところで、海上保安庁の保有する大型の巡視船は、荒天時においても救難業務を遂行できるようにするために、船体の揺動(横揺れ)の安定化を図ることが望まれる。このような船体の揺動の低減化を図ることが所望される船舶においては、図4(イ)(ロ)に示す如く、船体1の上部所要位置、たとえば、船体中央部におけるブリッジ2や煙突3付近となる上部位置に、排水量のおよそ2〜3%重量の動揺緩和流体を収容した減揺水槽4を装備して、船体1の揺動の軽減化を図ることが従来行われてきている。
上記減揺水槽4は、図4(ロ)に示す如く、左右方向に所要間隔を隔てて配置した左右一対のウイングタンク5a,5bと、該各ウイングタンク5a,5bの下部同士を連通させる連結水路6と、上記左右一対のウイングタンク5a,5bの上部所要位置同士を連通させる空気ダクト7と、該空気ダクト7の途中位置に設けられた調整可能なオリフィス(開閉バルブ)8とからなる構成としてあり、上記左右のウイングタンク5a,5b及び連結水路6内に、動揺緩和流体として、たとえば、海水9を所要高さレベルまで注入して、上記連結水路6内は海水9が充満され且つ左右のウイングタンク5a,5b内には自由液面が形成されるようにした構成としてある。これにより、船体1に左右方向の揺動(ローリング)が生じるときには、該船体1の揺動に伴って、海水9が連通水路6を通して左右のウイングタンク5aと5bの間で左右方向へ交互移動されるようになり、この際、上記空気ダクト7上のオリフィス8を適宜調整して、左右のウイングタンク5aと5bの上部に封入されている空気の空気ダクト7を経た左右のウイングタンク5a,5b間での流通を適宜制限して、上記連通水路6を経て左右のウイングタンク5aと5bの間を交互移動することで左右方向へ揺動する海水9の揺動周期が、船体1の揺動に対し所要位相、たとえば、90度遅れ位相となるよう制御することにより、船体の揺動を低減させることができるようにしてある(たとえば、特許文献3参照)。
ところが、上述したように、従来、外洋で生じた船舶火災に対しては、海上保安庁の巡視船が消火活動にあたるようにしているが、該巡視船には、消火ポンプとして使用可能な海水ポンプと、該海水ポンプで吸い上げた海水を噴射するための放水銃の如き機器は装備されているが、化学消火剤タンクとしては小型のものしか装備されておらず、したがって、化学消火剤の積載量に制限があることから、限定的な消防能力しか有していないというのが実状である。このため、巡視船に十分な消防能力を付与できるようにするために、大型の化学消火剤タンクを装備させて多量の化学消火剤を積載させることが考えられるが、上記化学消火剤タンクを設けるためには大きなスペースを必要とすることになり、このため、本来の業務である警備救難業務の遂行に不利になる虞が生じる。したがって、現状では、巡視船に多量の化学消火剤が積載されていることはなく、このために、外洋で生じた船舶火災に対しては、十分な消火活動を行うことは難しいという問題がある。
なお、十分な航続距離と耐航性能を備え、且つ大型の化学消火剤タンクを有する大型の消防船を建造して外洋で活動させることも考えられるが、この場合には、上記大型の消防船は外洋で待機する必要があるために多数建造する必要があるが、費用対効果の面からすると現実的ではない。
又、油流出事故が生じ、流出油の油処理剤による処理が必要とされる場合には、流出油が広範囲に拡散しないうちに油処理剤を積載した船舶が流出油発生現場へ急行して該流出油に対し油処理剤を散布することが望まれるが、油処理剤を常時大量に積載した状態で航行している船舶はほとんどない。したがって、流出油発生現場へ向かう以前に、先ず、油処理剤の積み込み作業を行う必要があり、このために、対応が遅れる虞が懸念される。
なお、特許文献3には、減揺水槽4に収納する動揺緩和流体として、海水9に代えてA重油のような揮発性を有する燃料を用いる考えは示されているが、該減揺水槽4の内部液体を、放水銃等を経て船外へ放出できるようにする考えは全く示されておらず、示唆すらされるものではない。
そこで、本発明は、船舶の通常業務に支障を来たすことがないように多量の化学消火剤や油処理剤等の所要の液体を常時積載できるようにして、化学消火剤を積載しているときは化学消火剤を火災船舶へ向けて放出することができるようにしたり、油処理剤を積載しているときは油処理剤を流出油に対して散布することができるようにする船舶用液体放出装置、及び、該装置を用いて災害を沈静化させるための船舶用災害沈静方法を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に係る発明に対応して、船上に備えてある水槽から内部液体を取り出すことができるようにしてある取出ラインの下流側に、液体放出手段を接続してなり、上記水槽の内部液体を上記液体放出手段より船外へ放出できるようにした構成を有する船舶用液体放出装置とする。
又、上記請求項1に係る発明における液体放出手段を、海水ポンプと放水銃とを備えてなる構成とし、水槽の内部液体を化学消火剤として、該化学消火剤を海水に混合して上記放水銃より放出させ、消火作用を行わせることができるようにした構成とする。
更に、上記請求項1に係る発明における液体放出手段を、放水銃及び又は舷外散布装置を備えてなる構成とし、水槽の内部液体を油処理剤として、該油処理剤を上記放水銃及び又は舷外散布装置より放出させることができるようにした構成とする。
更に又、上記構成における液体放出手段を、海水ポンプと、放水銃及び又は舷外散布装置とを備えてなる構成とし、水槽の内部液体を油処理剤として、該油処理剤を海水に混合して上記放水銃及び又は舷外散布装置より放出させることができるようにした構成とする。
上述した各構成における化学消火剤又は油処理剤を内部液体とする水槽を、左右の側部タンクと、該各側部タンクの下部同士を連通させる連通管路と、上記各側部タンクの上端部同士を連通させる流量調整可能な空気ダクトとからなる構成とする。
又、請求項6に係る発明に対応して、船上に備えてある水槽内に所定量の液体を封入して、平常時は該水槽により船体の揺動を低減させると共に、災害発生時には上記水槽の内部液体を取出ライン、液体放出手段を経て放出することにより災害を沈静させる船舶用災害沈静方法とする。
更に、上記方法において、水槽の内部液体を、化学消火剤又は油処理剤とする方法とする。
更に又、上記方法において、水槽の内部液体を放出して災害を沈静させた後に、上記水槽内に海水を封入する方法とする。
本発明によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1)船上に備えてある水槽から内部液体を取り出すことができるようにしてある取出ラインの下流側に、液体放出手段を接続してなる構成とし、具体的には、上記液体放出手段を、海水ポンプと放水銃とを備えてなる構成とすると共に、水槽の内部液体を化学消火剤として、該化学消火剤を海水に混合して上記放水銃より放出させ、消火作用を行わせることができるようにした構成を有する船舶用液体放出装置としてあるので、船舶火災発生現場では、上記水槽の内部液体である化学消火剤を海水により希釈してなる消火液を、火災船舶へ向けて放出して消火活動を行うことができる。
(2)又、上記における液体放出手段を、放水銃及び又は舷外散布装置を備えてなる構成とし、水槽の内部液体を油処理剤として、該油処理剤を上記放水銃及び又は舷外散布装置より放出させることができるようにした構成、あるいは、上記液体放出手段を、海水ポンプと、放水銃及び又は舷外散布装置とを備えてなる構成とし、且つ水槽の内部液体を油処理剤として、該油処理剤を海水に混合して上記放水銃及び又は舷外散布装置より放出させることができるようにした構成とすることにより、流出油発生現場にて、上記水槽の内部液体である油処理剤を、そのまま、あるいは、海水で希釈した状態にて、放水銃や舷外散布装置を用いて海面の流出油に対し散布して、該流出油の処理を行うことができる。
(3)化学消火剤又は油処理剤を内部液体とする水槽を、左右の側部タンクと、該各側部タンクの下部同士を連通させる連通管路と、上記各側部タンクの上端部同士を連通させる流量調整可能な空気ダクトとからなる構成とすることにより、上記水槽の内部液体である化学消火剤又は油処理剤の放出を行わない平常時は、該水槽内の化学消火剤又は油処理剤により、船体の減揺効果を発揮させることができる。
(4)したがって、上記化学消火剤又は油処理剤を内部液体とする水槽は、船舶に従来装備されていた減揺水槽に置き換えて設置することができる。このため、船舶の通常業務に支承を来たすことがないように、上記化学消火剤又は油処理剤を内部液体とする水槽の設置を行うことが可能になり、船舶に対し、多量の化学消火剤又は油処理剤を常時積載することが可能となる。これにより、上記水槽に化学消火剤を積載している船舶は、船舶火災発生現場では、火災船舶へ向けて多量の化学消火剤を放出可能な消防船としての機能を発揮することができる。又、上記水槽に油処理剤を積載している船舶は、流出油発生現場へ急行して該流出油に対し油処理剤の散布による迅速な処理の実施が可能になる。
(5)船上に備えてある水槽内に所定量の液体を封入して、平常時は該水槽により船体の揺動を低減させると共に、災害発生時には上記水槽の内部液体を取出ライン、液体放出手段を経て放出することにより災害を沈静させるようにする船舶用災害沈静方法とすれば、災害発生時に該災害を沈静させるべく放出するための液体を、平常時には、船体の揺動低減のための水槽内に収容したままとしておくことにより、その液体を、動揺緩和流体として利用できる。このため、上記災害を沈静させるための液体を収納しておく水槽を、船舶に従来装備されて減揺水槽に置き換えて設けることができて、上記水槽の設置に伴って船舶の通常業務に支承を来たす虞を解消することができる。
(6)上記水槽の内部液体を、化学消火剤又は油処理剤とすることにより、船舶火災の消火又は流出油に対する油処理剤の散布処理時に、水槽の内部液体を用いることができて、船舶火災の消火又は流出油の処理を容易に行うことが可能になる。
(7)上記水槽の内部液体を放出して災害を沈静させた後に、上記水槽に海水を封入するようにすることにより、災害を沈静させるべく水槽の内部液体を放出して該水槽内の内部液体が減少したり、空になることに伴って減少する減揺機能を、容易に回復させることが可能になる。
(1)船上に備えてある水槽から内部液体を取り出すことができるようにしてある取出ラインの下流側に、液体放出手段を接続してなる構成とし、具体的には、上記液体放出手段を、海水ポンプと放水銃とを備えてなる構成とすると共に、水槽の内部液体を化学消火剤として、該化学消火剤を海水に混合して上記放水銃より放出させ、消火作用を行わせることができるようにした構成を有する船舶用液体放出装置としてあるので、船舶火災発生現場では、上記水槽の内部液体である化学消火剤を海水により希釈してなる消火液を、火災船舶へ向けて放出して消火活動を行うことができる。
(2)又、上記における液体放出手段を、放水銃及び又は舷外散布装置を備えてなる構成とし、水槽の内部液体を油処理剤として、該油処理剤を上記放水銃及び又は舷外散布装置より放出させることができるようにした構成、あるいは、上記液体放出手段を、海水ポンプと、放水銃及び又は舷外散布装置とを備えてなる構成とし、且つ水槽の内部液体を油処理剤として、該油処理剤を海水に混合して上記放水銃及び又は舷外散布装置より放出させることができるようにした構成とすることにより、流出油発生現場にて、上記水槽の内部液体である油処理剤を、そのまま、あるいは、海水で希釈した状態にて、放水銃や舷外散布装置を用いて海面の流出油に対し散布して、該流出油の処理を行うことができる。
(3)化学消火剤又は油処理剤を内部液体とする水槽を、左右の側部タンクと、該各側部タンクの下部同士を連通させる連通管路と、上記各側部タンクの上端部同士を連通させる流量調整可能な空気ダクトとからなる構成とすることにより、上記水槽の内部液体である化学消火剤又は油処理剤の放出を行わない平常時は、該水槽内の化学消火剤又は油処理剤により、船体の減揺効果を発揮させることができる。
(4)したがって、上記化学消火剤又は油処理剤を内部液体とする水槽は、船舶に従来装備されていた減揺水槽に置き換えて設置することができる。このため、船舶の通常業務に支承を来たすことがないように、上記化学消火剤又は油処理剤を内部液体とする水槽の設置を行うことが可能になり、船舶に対し、多量の化学消火剤又は油処理剤を常時積載することが可能となる。これにより、上記水槽に化学消火剤を積載している船舶は、船舶火災発生現場では、火災船舶へ向けて多量の化学消火剤を放出可能な消防船としての機能を発揮することができる。又、上記水槽に油処理剤を積載している船舶は、流出油発生現場へ急行して該流出油に対し油処理剤の散布による迅速な処理の実施が可能になる。
(5)船上に備えてある水槽内に所定量の液体を封入して、平常時は該水槽により船体の揺動を低減させると共に、災害発生時には上記水槽の内部液体を取出ライン、液体放出手段を経て放出することにより災害を沈静させるようにする船舶用災害沈静方法とすれば、災害発生時に該災害を沈静させるべく放出するための液体を、平常時には、船体の揺動低減のための水槽内に収容したままとしておくことにより、その液体を、動揺緩和流体として利用できる。このため、上記災害を沈静させるための液体を収納しておく水槽を、船舶に従来装備されて減揺水槽に置き換えて設けることができて、上記水槽の設置に伴って船舶の通常業務に支承を来たす虞を解消することができる。
(6)上記水槽の内部液体を、化学消火剤又は油処理剤とすることにより、船舶火災の消火又は流出油に対する油処理剤の散布処理時に、水槽の内部液体を用いることができて、船舶火災の消火又は流出油の処理を容易に行うことが可能になる。
(7)上記水槽の内部液体を放出して災害を沈静させた後に、上記水槽に海水を封入するようにすることにより、災害を沈静させるべく水槽の内部液体を放出して該水槽内の内部液体が減少したり、空になることに伴って減少する減揺機能を、容易に回復させることが可能になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の船舶用液体放出装置及び船舶用災害沈静方法の実施の一形態として、水槽の内部液体として化学消火剤を用いるようにした場合のものを示すもので、以下のような構成としてある。
すなわち、船上に装備する水槽の内部液体を化学消火剤14としてなる化学消火剤タンク10は、左右一対の側部タンク11a,11bと、該両側部タンク11aと11bの下部同士を連通させる連通管路12と、上記両側部タンク11aと11bの上端部所要個所同士を連通させる空気ダクト13と、該空気ダクト13の途中に設けた調整可能なオリフィス(図示せず)とからなる構成としてある。又、上記化学消火剤タンク10の容量(大きさ)は、設置対象となる船舶の排水量に対して、およそ2〜3%重量の化学消火剤(泡消火剤原液)14を注入すると、上記連通管路12が化学消火剤14にて充満されると同時に、各側部タンク11a及び11bにおける所要の高さレベルに、化学消火剤14の自由液面が形成されるような容量に設定してある。
上記構成としてある化学消火剤タンク10は、船体の所要位置、たとえば、図4(イ)に示した従来の減揺水槽4の設置個所と同様に船体中央部付近の上部位置に設置するようにする。更に、上記化学消火剤タンク10の底部には、タンク内部の化学消火剤14を取り出すための消火剤取出ライン15の上流側端部を接続して、消火剤ポンプ16で化学消火剤14を消火剤取出ライン15を通し取り出すことができるようにする。該消火剤取出ライン15の下流側端部は、液体放出手段として、従来の巡視船に備えられていた如き海水ポンプ20と放水銃21を有してなる消火装置17へ接続する。これにより、上記消火剤ポンプ16の運転に伴い、上記化学消火剤タンク10に収容されている化学消火剤14を、消火剤取出ライン15を経て上記消火装置17へ供給して、該消火装置17にて海水ポンプ20で吸い上げられて放水銃21へ導かれる海水22に、上記化学消火剤14が混合させられて放水銃21より放出させられるようにする。
詳述すると、上記消火装置17は、たとえば、船体外板の所要位置に設けた海水吸入箱18に、海水ポンプ20を備えた海水ライン19の上流側端部を接続すると共に、該海水ライン19の下流側端部を、放水銃21に接続した構成としてあり、上記海水ポンプ20の運転により、海水吸入箱18より吸入した海水22を、海水ライン19を経て放水銃21へ供給して、該放水銃21より噴射できるようにしてある。
更に、上記海水ライン19上における海水ポンプ20よりも下流側位置には、比例混合器23を設け、該比例混合器23に、上記消火剤取出ライン15の下流側端部を接続した構成としてあり、上記海水ポンプ20の運転により海水ライン19上の比例混合器23を経て放水銃21へ海水22を供給しているときに、消火剤ポンプ16を運転することにより、上記化学消火剤タンク10内の化学消火剤14が、消火剤取出ライン15を経て上記比例混合器23へ導かれるようにしてある。したがって、該比例混合器23では、流通する海水22に対し上記化学消火剤14を混合させることができ、この混合により生じる上記化学消火剤14の海水22による希釈液である消火液24が、比例混合器23より放水銃21へ送られて、該放水銃21より噴射されるようにしてある。
更に、上記海水ポンプ20の運転と消火剤ポンプ16の運転を制御する消火装置制御盤25が備えてある。この消火装置制御盤25では、上記海水ポンプ20の運転を制御して比例混合器23へ送られる海水22の量を制御すると同時に、消火剤ポンプ16の運転を制御して比例混合器23へ供給される化学消火剤14の量を制御することにより、該比例混合器23にて海水22へ混合される化学消火剤14の混合比(化学消火剤14の海水22による希釈率)を、約3%とする等、適宜調整できるようにして、消火に有効な最適希釈率の消火液(泡消火剤)24を生成させることができるようにしてある。
上記構成としてある本発明の船舶用液体放出装置は、災害としての船舶火災の発生していない平常時、すなわち、消火剤ポンプ16の運転を行わない状態のときには、消火剤ポンプ16の運転を停止して、化学消火剤14が取り出されることがないようにしておく。これにより、この状態で船体に揺動が生じると、該船体の揺動に伴って、化学消火剤タンク10の内部液体としての化学消火剤14が、左右の側部タンク11aと11bとの間にて連通管路12を経て左右方向へ移動しようとする。この際、空気ダクト13に設けてあるオリフィスを適宜操作して、上記連通管路12を経て左右の側部タンク11aと11bの間で左右方向へ交互移動(揺動)する化学消火剤14の揺動周期を、船体の揺動に対して90度遅れの位相となるように調整することにより、排水量のおよそ2〜3%重量となるよう上記化学消火剤タンク10に収納してある化学消火剤14の左右への揺動を、船体の揺動を打ち消すよう作用させることができて、これにより、船体の揺動を低減できるようになる。
一方、上記構成としてある本発明の船舶用液体放出装置を用いて災害としての船舶火災を沈静させる場合、すなわち、消火活動を行う場合は、消火装置制御盤25により、海水ポンプ20と消火剤ポンプ16の運転を開始させ、上記海水ポンプ20の運転によって海水ライン19上の比例混合器23へ送られる海水22に対し、消火剤ポンプ16の運転により化学消火剤タンク10内の化学消火剤14が供給されて混合されるようにして、該化学消火剤14が海水22にて所要濃度に希釈されてなる消火液24を、放水銃21へ供給させるようにする。したがって、該放水銃21を適宜操作して火災船舶へ向けて上記消火液24を噴射させることにより、該火災船舶の消火を行うことができるようになる
上記の如く消火活動を行うことにより化学消火剤14は消費されるため、化学消火剤タンク10内の化学消火剤14が減少し、更には、化学消火剤タンク10が空になることが生じる。このように化学消火剤タンク10内の化学消火剤14が減少あるいは空になると、該化学消火剤タンク10内の化学消火剤14の揺動により発揮されていた減揺効果は減少する。この場合には、上記化学消火剤タンク10へ海水を注入することにより、減揺機能を回復させることが可能である。なお、上記の減揺効果は、船舶の安定確保に不可欠なものではないため、海象条件が許せば、そのまま帰港し、帰港後に化学消火剤14を補充するようにしてもよい。
上記の如く消火活動を行うことにより化学消火剤14は消費されるため、化学消火剤タンク10内の化学消火剤14が減少し、更には、化学消火剤タンク10が空になることが生じる。このように化学消火剤タンク10内の化学消火剤14が減少あるいは空になると、該化学消火剤タンク10内の化学消火剤14の揺動により発揮されていた減揺効果は減少する。この場合には、上記化学消火剤タンク10へ海水を注入することにより、減揺機能を回復させることが可能である。なお、上記の減揺効果は、船舶の安定確保に不可欠なものではないため、海象条件が許せば、そのまま帰港し、帰港後に化学消火剤14を補充するようにしてもよい。
このように、上記本発明の船舶用液体放出装置と、これを用いた船舶用災害沈静方法によれば、消火活動を行わない平常時には、化学消火剤タンク10内に収納してある化学消火剤14により減揺効果を発揮させることができる。このため、従来の海水やA重油を動揺緩和流体として用いていた如き減揺水槽を不要にできて、本発明の船舶用液体放出装置における化学消火剤タンク10を、従来の減揺水槽に置き替えて設けることができる。
上記化学消火剤タンク10には、排水量の2〜3%重量の化学消火剤14が収納してあるため、たとえば、数千トンの排水量を備えた船舶、たとえば、大型の巡視船に適用する場合には、化学消火剤14を数十トンと大量に積むことができて、十分な消火能力を保有することが可能になる。しかも、このように大量の化学消火剤14を積載する場合であっても、化学消火剤タンク10は、従来の減揺水槽を設置していた個所に置き換えて設ければよいため、上記化学消火剤タンク10が邪魔になることはなく、船舶における通常業務、たとえば、巡視船であれば、警備救難業務に支障が生じる虞はない。
したがって、上記多量の化学消火剤14を収納可能な化学消火剤タンク10を、十分な航続距離と耐航性能を備えた船舶に、通常業務に影響を与えることなく容易に採用でき、且つ上記船舶は、船舶火災発生現場に臨んだ際には、多量の消火液24を噴射可能な消防船としての機能を発揮させることができるようになるため、外洋における船舶火災の消火活動に有利なものとすることができる。
更に、巡視船等、従来、所要サイズの化学消火剤タンクを設けて多少の化学消火剤14を積載していた船舶に対して本発明の船舶用液体放出装置を適用する場合には、従来設けられていた化学消火剤タンクが不要になるため、該従来の化学消火剤タンクにあてていた重量を、新たに装備する放水銃や、自衛噴霧装置の重量にあてることが可能になる。
更に又、化学消火剤タンク10は、船体の高所位置に設置するようにしてあるため、消火剤ポンプ16の揚程が小さくて済み、該消火剤ポンプ16を設ける上で有利である。
次に、図2は本発明の船舶用液体放出装置及び船舶用災害沈静方法の実施の他の形態として、水槽の内部液体として希釈せずにそのまま散布するタイプの油処理剤を使用するようにした場合について示すもので、以下のような構成としてある。
すなわち、船上に装備する水槽の内部液体を油処理剤30としてなる油処理剤タンク26は、図1に示した化学消火剤タンク10と同様に、左右一対の側部タンク27a,27bと、該両側部タンク27aと27bの下部同士を連通させる連通管路28と、上記両側部タンク27aと27bの上端部所要個所同士を連通させる空気ダクト29と、該空気ダクト29の途中に設けた調整可能なオリフィス(図示せず)とからなる構成としてある。又、上記油処理剤タンク26の容量(大きさ)は、上記化学消火剤タンク10の場合と同様に、設置対象となる船舶の排水量に対して、およそ2〜3%重量の油処理剤30を注入すると、上記連通管路28が油処理剤30にて充満され、同時に各側部タンク27a及び27bにおける所要の高さレベルに、油処理剤30の自由液面が形成されるような容量に設定してある。
上記構成としてある油処理剤タンク26は、船体の所要位置、たとえば、図4(イ)に示した減揺水槽4の設置個所と同様の船体中央部付近の上部位置に設置するようにする。更に、該油処理剤タンク26の底部には、タンク内部の油処理剤30を取り出すため、途中に油処理剤ポンプ32を有する油処理剤取出ライン31の上流側端部を接続する。該油処理剤取出ライン31の下流側には、液体放出手段としての放水銃33及び舷外散布装置34をそれぞれ接続する。
上記舷外散布装置34は、舷側35より外方へ所要寸法突出するよう配置したブーム36と、該ブーム36の長手方向所要間隔位置に設けた多数の散布ノズル37とを備えてなる構成としてあり、船舶を所要速度で前進移動させながら上記各散布ノズル37より油処理剤30を散布することにより、船体両側の広範囲の領域に油処理剤30を均等に散布できるようにしてある。
更に、上記油処理剤ポンプ32の運転の開始及び停止を制御する油処理装置制御盤38を備えてなる構成とする。
上記構成としてある本実施の形態の船舶用液体放出装置は、災害としての流出油の発生していない平常時に、油処理剤ポンプ32の運転を行わない状態のときには、油処理剤ポンプ32の運転を停止して、油処理剤30が取り出されることがないようにしておく。これにより、この状態で船体に揺動が生じると、この船体の揺動に伴って、油処理剤タンク26の内部液体としての油処理剤30が、左右の側部タンク27aと27bとの間にて連通管路28を経て左右方向へ移動しようとする。この際、空気ダクト29に設けてあるオリフィスを適宜操作して、上記連通管路28を経て左右の側部タンク27aと27bの間で左右方向へ交互移動(揺動)する油処理剤30の揺動周期が、船体の揺動に対して90度遅れの位相となるように調整することにより、排水量のおよそ2〜3%重量となるよう上記油処理剤タンク26に収納してある油処理剤30の左右への揺動が、船体の揺動を打ち消すよう作用するため、船体の揺動を低減できるようになる。
一方、上記構成としてある本実施の形態の船舶用液体放出装置を用いて災害としての流出油発生現場の沈静化、すなわち、流出油の処理を行う場合は、油処理装置制御盤38により、油処理剤ポンプ32の運転を開始させ、油処理剤タンク26内の油処理剤30を、油処理剤取出ライン31を経て放水銃33及び舷外散布装置34へそれぞれ供給させるようにする。その後、海面に流出油が分散して存在している場合には、上記放水銃33を適宜操作して流出油の存在する海面へ向けて上記油処理剤30を噴射することにより流出油に対し油処理剤30を散布させるようにする。又、海面に広い範囲で流出油が広がっている場合には、前進しながら上記舷外散布装置34より油処理剤30を広い範囲で散布させるようにする。これにより、流出油に対し供給される上記油処理剤30により、該流出油の分散処理が行われるようになる。
上記の如く油処理剤30の散布による流出油の処理活動を行うことにより、油処理剤30は消費されるため、油処理剤タンク26内の油処理剤30が減少し、更には、油処理剤タンク26が空になることが生じる。このように、油処理剤タンク26内の油処理剤30が減少あるいは空になると、油処理剤タンク26内の油処理剤30の揺動により発揮されていた減揺効果は減少する。この場合には、上記油処理剤タンク26へ海水を注入することにより、減揺機能を回復させることが可能である。なお、上記の減揺効果は、船舶の安定確保に不可欠なものではないため、海象条件が許せば、そのまま帰港し、帰港後に油処理剤30を補充するようにしてもよい。
このように、本実施の形態における船舶用液体放出装置及び船舶用災害沈静方法によれば、流出油の処理を行わない平常時には、油処理剤タンク26内に収納してある油処理剤30により減揺効果を発揮させることができる。このため、従来の海水やA重油を動揺緩和流体として用いていた如き減揺水槽を不要にできることから、油処理剤タンク26を、船舶に従来装備されている減揺水槽に置き替えて設置することができる。
上記油処理剤タンク26には、排水量の2〜3%重量の油処理剤30が収納してあるため、たとえば、数千トンの排水量を備えた大型の船舶、たとえば、大型の巡視船に適用する場合には、油処理剤30を数十トン単位で常時積載しておくことが可能になる。しかも、このように大量の油処理剤30を積載する場合であっても、油処理剤タンク26は、従来の減揺水槽に置き換えて設ければよいため、邪魔になることはなく、船舶における通常業務に支障が出る虞はない。
したがって、本実施の形態の船舶用液体放出装置及び船舶用災害沈静方法を採用することにより、船舶は、通常業務に影響を及ぼすことなく、油流出事故が発生した場合には、直ちに現場へ急行して十分量の油処理剤30を流出油に対し散布して該流出油の迅速な処理を行うことが可能になる。
更に、上記油処理剤タンク26は、船体の高所位置に設置するようにしてあるため、油処理剤ポンプ32の揚程は小さくて済み、該油処理剤ポンプ32を設ける上で有利である。
次いで、図3は本発明の船舶用液体放出装置及び船舶用災害沈静方法の実施の更に他の形態として、水槽の内部液体として、海水で希釈して散布するタイプの油処理剤を使用するようにした場合について示すもので、以下のような構成としてある。
すなわち、油処理剤タンク26を、図2に示したものと同様に、左右一対の側部タンク27a,27bと、連通管路28と、調整可能なオリフィス(図示せず)付きの空気ダクト29とからなる構成とすると共に、設置対象となる船舶の排水量のおよそ2〜3%重量の油処理剤30を収納し得る容量とし、該油処理剤タンク26を、船体の所要位置、たとえば、図4(イ)に示した減揺水槽4の設置個所と同様の船体中央部付近の上部位置に設置するようにする。
上記油処理剤タンク26の底部には、内部の油処理剤30を取り出すための油処理剤取出ライン39の上流側端部を接続すると共に、該油処理剤取出ライン39の下流側端部は、図1に示した液体放出手段としての消火装置17と同様に、海水吸入箱18と、海水ライン19と、海水ポンプ20と、放水銃33を備えてなる放出装置17aに接続して、該放出装置17aにおける上記放水銃33より噴射する海水22に、上記油処理剤タンク26内の油処理剤30を供給して混合できるようにする。
具体的には、上記放出装置17aの海水ライン19における海水ポンプ20よりも下流側位置に、エダクター型の比例混合器40を設け、該比例混合器40に、上記油処理剤取出ライン39の下流側端部を接続する。これにより、上記海水ポンプ20の運転により海水吸入箱18より海水ライン19を経て上記放水銃33へ送られる海水22が上記比例混合器40を流通するときに、該比例混合器40に接続されている上記油処理剤取出ライン39側より油処理剤30が吸引されて海水22へ混合されるようにし、この油処理剤30の海水22による希釈液が上記放水銃33へ送られて、該放水銃33より噴射されるようにしてある。なお、上記エダクター型の比例混合器40にて、海水ライン19を経て流通される海水22の圧力に応じて、油処理剤取出ライン39側より吸引される油処理剤30の量は、該油処理剤30が上記比例混合器40を流通する海水22へ混合されることにより、該油処理剤30使用時に所望される所要の希釈率の希釈液が得られるように設定してある。
更に、上記油処理剤30の海水22による希釈液の散布を広範囲に均等に行うことができるようにするために、上記海水ライン19に、比例混合器40よりも下流側位置より分岐する分岐ライン41を設けて、該分岐ライン41の先端側に、図2に示した舷外散布装置34と同様の舷外散布装置34を接続する。
上記油処理剤取出ライン39には、開閉弁42を設け、更に、該開閉弁42の開閉作動を制御するための油処理装置制御盤43を備える。これにより、該油処理装置制御盤43による上記開閉弁42の開閉制御に応じて、上記油処理剤タンク26より油処理剤取出ライン39を経た比例混合器40への油処理剤30の供給開始と停止を制御できるようにしてある。
なお、図3における25Aは上記放出装置17aにおける海水ポンプ20の運転を制御する放出装置制御盤である。その他、図2に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
上記構成としてある本実施の形態の船舶用液体放出装置は、災害としての流出油の処理を行わない平常時には、油処理装置制御盤43により油処理剤取出ライン39上の開閉弁42を閉じた状態としておく。これにより、この状態において、船体に揺動が生じると、図2の実施の形態と同様に、油処理剤タンク26の空気ダクト29のオリフィスを適宜調整して、該油処理剤タンク26の内部液体である油処理剤30が左右方向へ揺動するときの周期を、船体の揺動に対して90度遅れの位相となるように調整することにより、船体の揺動を低減させることができるようになる。
一方、上記構成としてある本実施の形態の船舶用液体放出装置により流出油発生現場にて流出油の処理を行う場合は、放出装置制御盤25Aにより海水ポンプ20の運転を開始させると共に、油処理装置制御盤43により、油処理剤取出ライン39上の開閉弁42を開操作させ、上記海水ポンプ20の運転によって海水ライン19上の比例混合器40へ海水22が流通するときに、該海水22に対し、上記油処理剤取出ライン39を経て油処理剤タンク26より導かれる油処理剤30が供給、混合されるようにして、この混合により生じる上記油処理剤30の海水22による希釈液を、放水銃33及び舷外散布装置34へそれぞれ供給させるようにする。よって、図2に示した実施の形態と同様にして、海面に流出油が分散して存在している場合には、上記放水銃33を適宜操作して流出油の存在する海面へ向けて上記希釈された油処理剤30を噴射することにより流出油に対し油処理剤30を散布させ、又、海面に広い範囲で流出油が広がっている場合には、前進しながら上記舷外散布装置34より上記希釈された油処理剤30を広い範囲で散布させることにより、流出油に対し供給される上記油処理剤30により、該流出油の分散処理を行うことができるようになる。
したがって、本実施の形態によっても、図2に示した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、各実施の形態における放水銃21,33は、複数設けるようにしてもよい。図2の実施の形態、及び、図3の実施の形態における舷外散布装置34は、片舷のものしか示していないが、両舷に設けてよいことは勿論である。又、図1の実施の形態における海水ライン19上に設けて消火剤取出ライン15の下流側を接続する比例混合器23を、図3に示した比例混合器40と同様のエダクター型の比例混合器としてもよい。この場合、消火剤取出ライン15上には、消火剤ポンプ16に代えて、消火装置制御盤25により開閉制御される開閉弁を設けるようにすればよい。更に、図3の実施の形態における海水ライン19上に設けて油処理剤取出ライン39の下流側を接続する比例混合器40を、エダクター型ではなく、図1に示した比例混合器23と同様に所要の混合比で2種の液体を混合する比例混合器としてもよい。この場合、油処理剤取出ライン39上には、開閉弁42に代えて、油処理装置制御盤43により運転が制御される油処理剤ポンプを設けるようにすればよい。更に又、図1の実施の形態における水槽としての化学消火剤タンク10は、収納すべき化学消火剤14の性状に応じてステンレス製としたり、内面に樹脂ライニングやその他の表面処理を施すようにしてもよい。同様に、図2の実施の形態、及び、図3の実施の形態における水槽としての油処理剤タンク26は、収納すべき油処理剤30の性状に応じてステンレス製としたり、内面に樹脂ライニングやその他の表面処理を施すようにしてもよい。その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
10 化学消火剤タンク(水槽)
11a,11b 側部タンク
12 連通管路
13 空気ダクト
14 化学消火剤(内部液体)
15 消火剤取出ライン
17 消火装置(液体放出手段)
17a 放出装置(液体放出手段)
20 海水ポンプ(液体放出手段)
21 放水銃(液体放出手段)
22 海水
26 油処理剤タンク(水槽)
27a,27b 側部タンク
28 連通管路
29 空気ダクト
30 油処理剤(内部液体)
31 油処理剤取出ライン
33 放水銃(液体放出手段)
34 舷外散布装置(液体放出手段)
11a,11b 側部タンク
12 連通管路
13 空気ダクト
14 化学消火剤(内部液体)
15 消火剤取出ライン
17 消火装置(液体放出手段)
17a 放出装置(液体放出手段)
20 海水ポンプ(液体放出手段)
21 放水銃(液体放出手段)
22 海水
26 油処理剤タンク(水槽)
27a,27b 側部タンク
28 連通管路
29 空気ダクト
30 油処理剤(内部液体)
31 油処理剤取出ライン
33 放水銃(液体放出手段)
34 舷外散布装置(液体放出手段)
Claims (8)
- 船上に備えてある水槽から内部液体を取り出すことができるようにしてある取出ラインの下流側に、液体放出手段を接続してなり、上記水槽の内部液体を上記液体放出手段より船外へ放出できるようにしたことを特徴とする船舶用液体放出装置。
- 液体放出手段を、海水ポンプと放水銃とを備えてなる構成とし、水槽の内部液体を化学消火剤として、該化学消火剤を海水に混合して上記放水銃より放出させ、消火作用を行わせることができるようにした請求項1記載の船舶用液体放出装置。
- 液体放出手段を、放水銃及び又は舷外散布装置を備えてなる構成とし、水槽の内部液体を油処理剤として、該油処理剤を上記放水銃及び又は舷外散布装置より放出させることができるようにした請求項1記載の船舶用液体放出装置。
- 液体放出手段を、海水ポンプと、放水銃及び又は舷外散布装置とを備えてなる構成とし、水槽の内部液体を油処理剤として、該油処理剤を海水に混合して上記放水銃及び又は舷外散布装置より放出させることができるようにした請求項1又は3記載の船舶用液体放出装置。
- 化学消火剤又は油処理剤を内部液体とする水槽を、左右の側部タンクと、該各側部タンクの下部同士を連通させる連通管路と、上記各側部タンクの上端部同士を連通させる流量調整可能な空気ダクトとからなる構成とした請求項2、3又は4記載の船舶用液体放出装置。
- 船上に備えてある水槽内に所定量の液体を封入して、平常時は該水槽により船体の揺動を低減させると共に、災害発生時には上記水槽の内部液体を取出ライン、液体放出手段を経て放出することにより災害を沈静させるようにすることを特徴とする船舶用災害沈静方法。
- 水槽の内部液体を、化学消火剤又は油処理剤とする請求項6記載の船舶用災害沈静方法。
- 水槽の内部液体を放出して災害を沈静させた後に、上記水槽内に海水を封入するようにする請求項6又は7記載の船舶用災害沈静方法。
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