JP7054567B1 - ジオエンジニアリングのための泡発泡装置を備えた構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】泡自体では分解し難い高発泡による多量の泡沫の塊を積極的に小さく分解して、さらに広範囲に薄く広げて散布して、その領域のアルベドを改善する。【解決手段】ジオエンジニアリングのための泡発泡装置を備えた構造体であって、構造体は、(A)大気と接触する構造体の所望箇所が泡を分解する乱流を生成できるようにするために、大気と有効な相対的速度差を有している構造体、または、(B)泡放出口から水面に落下した泡沫を分解する航跡波を生成できるようにするために、海水と有効な相対的速度差を維持できる構造体、であることを特徴とする構造体。【選択図】図8

Description

本発明は、発泡させて作成した泡沫を、分解し薄く拡散して散布するジオエンジニアリングのための技術に関する。
日本語の泡とは、気泡と泡沫の両方をさしている。気泡とは、液体もしくは固体の膜で気体を包んだものであり、泡沫とは、それらが集まって接合した物を意味する。シャボン玉は泡であるし、台所での食器洗いや洗濯の時に容易に泡が発生する。自然界では、モリアオガエルは、体液で泡を作ってその中に産卵し、1~2週間、オタマジャクシになるまで泡の中で保護し、また、カマキリは泡の中に産卵し越冬する事等は知られている。2019年に、インド南東部チェンナイにあるビーチに、多量の泡が押し寄せていた。(図1)発生から4日目となっても残っていて、大雨の影響で汚水が海に流れ込み、洗剤の残留物と混ざった事が原因とみられている。
油や電気設備や、大型の貯油タンクなどの火災には、動力を用いて大規模に発泡させた液体膜の泡を用いる消火方法が広く用いられている。また固体膜としては、図2において、スナック菓子を入れて販売されている外気を遮断した形態のフイルム包装袋(a)や、同じ形態で独立気泡1の1個以上で形成されたエアー緩衝材(b)や、またプチプチの商品名で知られるエアー緩衝材(c)等があり、膜が固体の樹脂のフイルムにより成った泡と考えられ、またスポンジや発泡スチロールなども泡の1種と考えられる。
船舶の航行時に船底で泡を発生させて、船底と水との抵抗を減ずる空気循環法が実用化されているが、そのときに発生する泡で日射を反射する事に利用しようとする試みがなされている(非特許文献1)。
泡消火方法の種類に高発泡装置があり、局所的に多量に泡を発生させて、火災時の火炎や可燃物を多量の泡で覆い冷却し外気の酸素を絶ち消火する方法で広く用いられている。その種類はアスピレート式(例えば特許文献1)とブロアー式(例えば特許文献2)がある。また、作物に直接泡を散布するのがある(例えば特許文献3)。
実開平5-53660 実開昭55-67748 特開2011-30456
「空気循環法で生成される泡の反射率測定」清水治、岩崎杉紀(防衛大)
しかしながら、空気循環法で発生する水中の泡は、水の粘性や通常の海流の速さでは、拡散する事が難しく、通常の航跡の1.5倍程度の範囲にしか広がらず、船舶の周辺に留まり大きな面積に広げる事が難しかった。
また、泡消火発泡装置では多量に泡沫を発泡させているが、その目的は火元に泡沫を多量に被せて冷却し空気を遮断し可燃性ガスの蒸発を抑えて消火する事であり、拡散は泡沫の塊が自らの流動性で崩れ広がる事に任せていて、薄く広げて拡散する事は目的ではなかった。また、畑薬剤散布は、薬剤を効果的に使用するために、畝の作物にのみ泡が掛かるように下向きに散布していて、限定した範囲から外れないようにしていた。
本発明は、従来の高発泡方式の泡発泡設備を用いて泡沫を作るが、泡自体では、分解し難い高発泡による多量の泡沫の塊を積極的に小さく分解して、さらに広範囲に薄く広げて散布させて、その領域のアルベドを改善する事を目的としている。
ジオエンジニアリングのための泡発泡装置を備えた構造体であって、
構造体は、
(A)大気と接触する構造体の所望箇所が泡を分解する乱流を生成できるようにするために、大気と有効な相対的速度差を有している構造体、
または、
(B)泡放出口から水面に落下した泡沫を分解する航跡波を生成できるようにするために、海水と有効な相対的速度差を維持できる構造体、
であることを特徴とする。
ジオエンジニアリングのための泡発泡装置を備えた構造体であって、
構造体は、
(A)大気と接触する構造体の所望箇所が泡を分解する乱流を生成できるようにするために、大気と有効な相対的速度差を有している構造体、
または、
(B)泡放出口から水面に落下した泡沫を分解する航跡波を生成できるようにするために、海水と有効な相対的速度差を維持できる構造体、
であり、
放出した泡を分解するための乱流発生装置、泡沫切断機または造機を有する
ことを特徴とする。
前記いずれかの構造体に、泡放出口近辺に乱流発生装置、泡沫切断機または造機を兼ねた回転羽根を取り付けた発泡機が少なくとも一台以上設置されている
ことを特徴とする構造体。
前記の構造体
泡発泡装置を備えた船舶であって、該船舶の甲板上に、船舷から海面上にせり出し可能な伸縮式フレームを取付けられ、該伸縮式フレーム上に泡放出口近辺に乱流発生装置、泡沫切断機または造機を兼ねた回転羽根を取り付けた発泡機が、少なくとも一台以上、伸縮式フレームが外側に延伸した時に、各泡放出口が、下向きまたは後向きになるように取付けられている
ことを特徴とする。
前記の構造体
泡発泡装置を備えた船舶であって、該船舶の甲板上に、大気と接触する所望箇所が乱流を生成できるようにするために、大気と有効な相対速度差を有する強風域まで伸ばし立てた塔が設置され、該塔の上部に左右に張り出した翼が取付けられ、該翼に泡放出口近辺に乱流発生装置、泡沫切断機または造機を兼ねた回転羽根を取り付けた発泡機が、放出する泡が互いに干渉しないように距離を離し、さらに放出口が船舶の進行方向と逆向きになるように取付けられている
ことを特徴とする。
前記の構造体
泡発泡装置を備えた船舶であって、該船舶の甲板上に、係留式気球装置を設置し、大気と接触する所望箇所が乱流を生成できるように大気と有効な相対速度差を有する上空の強風域まで上昇させた係留式気球に、係留ロープを兼ねたホースを通して発泡性水溶液を圧送し、係留式気球に吊り下げてある発機で発泡させて生成し放出口から放出した泡沫を乱流発生装置、泡沫切断機または造泡機を兼ねた回転羽根で小さく分解して大気中に散布する係留式気球装置が設置された
ことを特徴とする。
前記の構造体
大気と接触する所望箇所が乱流を生成可能である強風域を航行できる自由飛行船であって、該自由飛行船は、泡発泡装置を搭載し、泡放出口近辺に乱流発生装置、泡沫切断機または造泡機を兼ねた回転羽根を取り付けた発泡機が設置された
ことを特徴とする。
前記の泡発泡装置が、
泡放出口から離脱後に大気から浮力を得て自ら加速して上昇し続け、後続の泡らから分離して距離を大きくなるにつれて拡散して行くようにするため、放出される泡が大気よりも比重が軽い泡を生成する
ことを特徴とする。
チェンナイのビーチに押し寄せた泡の写真 フイルム泡の種類 海水に入射する日射の模式図 1個の泡内を通過する入射光の進行の様子を表した模式図 泡沫内を進行する入射光の模式図 簡易実験装置の全体斜視図 簡易実験装置のX-Y方向の断面図 発泡機を稼働しながら航行している小型船舶の斜視図 発泡機を稼働しながら航行している中型船舶の斜視図 パンタグラム式フレームへ発泡機の取付組立図 塔に発泡機を取り付けて航行するタンカーの模式図 発泡機の断面斜視図 オーストラリア大陸と同じ面積の長方形領域に対する複数のタンカー配置図 甲板上に、係留式気球装置を設置した場合の模式図 車両に係留式気球装置を設置した場合の模式図 砂漠に泡を散布する場合の概念図 成層圏を航行する自由飛行船が、その後方の領域に泡を散布する場合の模式図 図17の側面図と平面図 フイルム膜泡発泡機と水性膜泡発泡機を設置した船舶の模式図 泡の層及び泡の雲に散布する船舶 膜を共有しない複層からなる泡沫 道路に散布する概念図 熱波に対処する散布の概念図
発明を実施するための形態を実施例1~実施例7を用いて説明する。
実施例1では、放出口近辺で乱流を生成できて、更に水面に落下した泡沫を、分解し拡散する波を作り出せるジオエンジニアリングのための泡発泡装置を備えた構造体が、船舶の場合であり、実施例1を図3~図10を用いて説明する。
異なる2つ媒質が成す境界の面において、光の反射は行われる。土、岩石、コンクリート面、アスファルト面、金属面、海面、雪面、砂漠の砂など、通常の地表面にある物質は,大気との間で成す境界において、1つの反射面を持っていて、そこにおいて日射の反射は行われる。反射光以外の光は物質を温めた後、波長の長い輻射熱8としてそれらの物質から外部へ放射されるが、波長の長い輻射熱8は、二酸化炭素や水蒸気等の温室効果ガスに吸収されて、地球外に出て行くことが難しく、そのことが温暖化の気温の上昇の原因とされている。
図3は、海水5に入射する日射の模式図である。左上方から、海面2に達した入射光3は、反射光4と、屈折して海水5の中に入り込む屈折光6に分割される。反射した反射光4は、入射側空間7に戻って行き、残りの屈折光6は、海水5の中に入り海水を暖めるのに使われる。上記のように海水5は、海面2と呼ばれる1つの反射面を持つ。ところが、大気中の1個の泡9は、入射光3に対して4つの反射面11、12、17、20を持つ。
図4は、1個の液体膜の泡9内を通過する入射光3の進行の様子を表した模式図である。入射光3の進行が、分かりやすいように膜10の厚みを大きく描いてある。入射光3は、反射面に出合う度に、屈折光と反射光に分裂し,下方方向への光は減衰して行く。また、2つの反射面内に入った光は、反射面に出合う度に、屈折光と反射光に分裂し,反射光は反射面に出合う度に、屈折光と反射光に分裂し多重反射を起こすことになり、結局、泡を下方に通過する透過光21は、反射面が一つしかない海面2よりも、弱くなることになる。
上述のように1個の泡9は、4個の反射面を持っていたが、更に、日射方向にn個の連結した泡沫は、2n+2個の反射面を持つ。この事を下記で説明する。図5は、泡が連結した泡沫22が海面2に浮かんだ状態の断面模式図である。隣り合う泡との境界は、一つの膜23を共有した状態になっている。入射光3の方向にn個積み重なった泡沫の反射面の数は、2n+2個になる。図5の場合は、上方から入射光3が進行してくる方向に泡は海面2から数えて5個が連結して積み重なっているので、上方からの入射光3は、泡沫22を通り下方に抜け出すには、12個の反射面を抜けないといけないことになる。
進行する光は反射面24に当たると、反射光と透過光に分割されて、さらに閉ざされた空間の前後の反射面により多重反射を起こして、下方への透過光は減衰していく。閉ざされた空間は、2n+1個で表されて、図5の場合の5個の泡が積み重なった場合は、入射光3が通過しないといけない閉ざされた空間は、合計で11個になる。光が入射して来る方向に5段に積み重なった泡沫は、11個の閉ざされた空間と12個の反射面を持つことになり、通常の地表にある物質が1つの反射面を持つのに対して光の反射において有利である。ところで、泡に入射した日射は、反射面で同じ短波長で反射して上空に向かうが、二酸化炭素に吸収され難く、そのまま地球外に出て行くので、地球の熱収支の低減には有利である。
泡による日射透過率を測定した。図6に簡易実験装置25の全体の斜視図、図7に該簡易実験装置25のX-Y方向の断面図、表1に測定結果から泡による日射遮蔽率を求めた値を表にした。測定は簡易照度計26を用いた。簡易実験装置25の概略は、上方からのLED光源で照らしたビーカー27に水を入れ、その水面2に作った泡層31の有無による照度を、ビーカー27の下部に置いた簡易照度計26で測定した。尚、雑光の影響を少なくするために、ビーカー27周りは、黒布30で覆ってある。
Figure 0007054567000002
表1から、泡無しで水の表面だけの場合と、水の表面を泡の一層で覆った場合と、また、平均3層の場合の3通りの透過率を測定した。泡を、2層、3層、4層と、それぞれ正確に重ねた層を作る事は、当方の設備や技術からは難しい事から、それらが混在した平均で3層の透過率を測定した。泡無しで水の表面だけの場合の光透過率を100%とした場合に、1層の泡の光透過率は、89%になった。また、平均3層の場合の泡沫の場合の光透過率は、79%になった。
わずかの、1層~3層で、比較的大きな日射反射力、光遮断効果を発したことになり、高発泡の泡消火で使用される数十から数百層の泡沫の塊は、光反射、光遮断が目的の場合は要らない事になる。上記の反射に利する反射面を多数持つことから、多量に発生させた泡を、地球上の所望箇所に薄く散布させて表面を覆うことができれば、その地域のアルベドを向上させることは可能である。
温暖化に関わる海洋の領域とは、小さな面積ではなく、大きな面積の領域が関わっている。日射はmあたりの熱量は小さいが、それが広大な面積で蓄積されると膨大な熱量になり、台風の巨大化やエルニーニョ現象などに関わってくる。温暖化に対処しようと思えば、その広大な面積の例えばオーストラリア大陸と同じほどの面積のアルベドの改善に対処しないといけないことになる。
広大な面積の海洋のアルベドを改善しようと思えば、その海洋と太陽の間に日射を反射する物、つまり新たな反射面を追加すれば良い。例えば海面に、樹脂の薄いフイルムを敷くことが、最も経済的にベターだと想像できる。ところが、人工的なフイルムは、極薄に安く製作は可能だが、それを広大な面に敷くとなると、平面上で前後左右からテンションを掛けねば、フイルムの平面を維持する事が難しい。引張るためには、引張力を支えるフレームが必要になる。小さな面積なら、問題ないが、広大な面積の海洋には、フイルム制作よりも、平面を維持するためのフレームと引張るメカニズムと施工でコストが大きくなり、現実的でない。泡は内部の気体圧と薄い膜の表面張力が釣り合いをとり、大気中で小さいながら自ら容積を占めていて、敷き詰めればフイルムを敷いたのと同様の効果を発揮する。
近年、地球温暖化による海水温の上昇が原因で、熱帯地方や亜熱帯地方の珊瑚礁が、大規模な白化現象や死滅などの被害が生じて来ているとの説がある。上記のような珊瑚礁海域の熱的な環境悪化を抑制するために、図8は本発明のジオエンジニアリングのための泡発泡装置を備えた構造体が珊瑚礁海域を航行できる喫水の浅い小型船舶33の場合であり、一部の発泡機42を稼働しながら航行している小型船舶33の斜視図である。
泡発泡装置は、泡消火設備で用いられている発泡用機器類を専用配管で連結して設置してある。水源に海水を使用し、加圧送水装置(図示せず)で海水を汲み上げて、船内に設けた泡薬剤貯蔵槽(図示せず)からの泡原料と海水を混合器(図示せず)で混ぜて、噴霧ノズル(図示せず)から発泡ネット32に噴霧する。
泡消火設備で使用されている発泡機には、低・中発泡と、高発泡などの種類があるが、発泡原液を有効利用するためには発泡倍率が大きいほど有利なので、本発明では、高発泡方式を採用している。また高発泡方式には、現在、ブロアー方式と、アスピレート方式の2種があるが、ここでは市販されている水溶液流量1m/minで、発泡率500倍発泡で発泡量500m/minのアスピレート方式発泡機42を使用する。アスピレート方式発泡機42は噴霧時に生じるエダクター効果により空気を吸引する事で空気と混ざり、発泡ネット32に当たって発泡し、泡放出口46から泡沫36を連続的に海面2に放出させて散布するようになっている。
航行する船舶と空気との相対的な速度差が大きいと、泡放出口46付近の構造体の表面で泡を分解する乱流が生じ易いが、乱流が弱く放出した泡沫36の塊の分解が少なければ、泡放出口46の近くに乱流発生装置と泡沫切断機を兼ねた回転羽根47を取り付けて、それで泡沫36を分解しても良い。回転羽根47が回転する事で泡沫を小さく分解し、更に羽根が送風機のように放出方向に空気を送る形状であれば、切断し小さくなった泡沫間を引き離し散布させることができる。
船舶33が停止したままでは、放出した泡沫36は停止した船舶付近に留まり広がらない。船舶は,海上を進行する時に舳先から後部に向かってV字型に広がる航跡波37が生じるが、その上に泡沫36を落下させる事で、泡沫36の塊は航跡波37で、さらに分解され、進行する船舶33の移動につれて、放出された泡沫36の落下地点も、順次移動して行き、船舶33の航跡上に順次落下し船舶33の後ろに拡散して散布されることになる。海面に落下した泡沫36は、さらに、その後の海面の風や波また泡自体の流動性により、時間の経過に連れて分解し海面上に広がって行く事になる。
上記の発泡機42を船の前部に4台、後部に6台の計10台設置した船舶33を用いて、石垣島と西表島の間にある日本最大の珊瑚礁である石西礁湖に、泡を散布して、時間や必要泡原料量の算出をシュミレーションしてみた。石西礁湖の面積は400平方kmであり、20km四方の正方形の面積の領域に置き換えて考えてみる。
発泡機42は、一台で500m/minの発泡量なので、10台では5000m/minの発泡量となり、船舶の1航路での分担幅を400mとする。つまり放出口46から放出した泡沫の塊は、時間が経過すると、2cmの厚み程度で、400mの幅まで広がるものと想定した場合に、625m/分の速さで進めば良いことになるので、1時間では、37.5km/時の速さになり、約20.25ノットの速さになる。20km幅を、1航路で400mの幅を分担した場合、50回の航路に相当する。1隻で、1航路が20kmの距離を50回行き来すると、約26時間40分で全航路を終えることになる。
発泡機42の泡水溶液の使用量は、1m/min なので、26時間40分で使用する泡水溶液は、約16000mになる。普通、泡消火設備で使用されている泡薬剤の比率は1~6%の割合である。ここでは、消火用に使用されている泡ほどの能力は必要ないので、1%水溶液とすると、泡原液の量は160mになり、残りの99%は、海水になる。約160mの泡原液を積載できる船舶であれば、26時間40分で、泡の散布が完了することになる。26時間40分時間以上、消えずに残る泡であれば、約26時間40分後には、石西礁湖をまだらながら泡で覆うことが可能になる。
散布した泡が約2cmの厚みで、約3層とした場合、まだらな状態なので、7割程度の領域に散布したと想定すると、実験結果を参照すれば、その7割の領域の光透過率を79%に下げることが可能になり、残りの約21%は、上方に反射されて行ったと考える事ができるので、それまで海水を温めていた日射量が減るので、海水温の上昇を抑制する事が可能になる。
次に、オーストラリアのグレートバリアリーフに、泡を散布する場合をシュミレーションしてみる。グレートバリアリーフの面積は、348700kmであり、石西礁湖の面積の約872倍に相当する。面積は、大きく増大するが、システムや設備数量を増大した分に比例して増加すれば良いのであり、新しい技術が要求されるわけではないので、ハードルは高くない。
前述の石西礁湖に使用した船舶では、容量が小さいので、図9において発泡機42を74台積載した船舶で考える。発泡機42を、船舷から海側にせり出す伸縮するパンタグラム式支持フレーム38に取り付けてある。図10は、パンタグラム式支持フレーム38に、発泡機42を組付けている途中の分解展開図であり、残り1つの発泡機42が、まだ取り付けられていない状態である。
6個の節41からなる一組のパンタグラム式支持フレーム38の先端の2個と中間の2個の合計4個の節41に、1個の節41に2台ずつ合計8台の発泡機42を取り付けてある。発泡機42らは放出口46付近、又は空気取入口44付近を、パンタグラム式の節41に、それぞれ高足45を介して取り付けてあり、伸縮時に互いに衝突しないようになっていて、更に、パンタグラムの支持ガイド39、駆動油圧シリンダー40などに、干渉して衝突しないようになっている。
計8台の発泡機42を取り付けたパンタグラム式支持フレーム38が、収縮して収納した状態35では、8台の発泡機42は折り畳まれて、船縁内に、収まるようになっている。大きく海側にせり出して展開した状態34では、8台の発泡機42は、それぞれ放出口46は海面2を向くようになっている。なお、後ろ側を向くように設置しても良い。パンタグラム式支持フレーム38が、8基あるので、合計で、64台の発泡機42を搭載している。更に前後部船腹の左右に発泡機42を計10台を取り付けてあり、あり、総合計で74台を搭載している。
放出口46からは、多量の泡沫36が塊として海面2に放出される。パンタグラム式支持フレーム38を採用した事で、隣接する発泡機の放出口46が接近せず、放出した泡沫36が、それぞれ、干渉せず別個に海面に落下することになる。速度が大きい程、走行している物体の表面では乱流が発生し易く分裂し易い。通常の風や、放出口近くで生じる乱流で泡沫が分裂し難い場合は、回転羽根47を稼働させて分裂させても良い。
海面に落下した泡沫の塊は、更に航行する船舶が作る航跡波37で、分解されていく。通常の船舶の船首は、波を打ち消して波の抵抗が小さくなるように、例えば球状船首などのように設計されるが、泡を散布する船舶の場合は、逆に、波が立つようにして、大きな航跡波37が生じるように設計しても良い。
船舶が作る波で不足する場合に、さらに波が立つように、2種類の造波機を船腹に取り付けてある。造波機48は、使用する時に海中に降ろし、船舶が進行時に、海中に入り込んだ部分が海水にぶつかり波を作るようになっている。収納した状態が造波機49である。固定式造波機50は、船腹から外側に出っ張るように取り付けた固定式で、船舶が進行する時に、海水にぶつかり波を作るようになっている。
グレートバリアリーフの面積は、348700kmであり、1辺が、590.5kmの四角形に置き換えて考える。一台で500m/minの発泡量なので、74台では37000m/minの発泡量となるので、1隻の1航路での分担幅を3000mとすると、つまり2cmの厚み程度で、3000mの幅まで広がるものと想定した場合に、37km/時の速さで航行すれば良い事になる。
590500m幅を、1航路で3000mの幅で分担した場合、約197回の航路に相当する。また、590.5kmを横断する時間は、約16時間掛かる。1隻では、1航路が590.5kmの距離を197回行き来すると、約3141.35時間掛かる。
泡の寿命が32時間以上あると想定し、泡の寿命内にグレートバリアリーフの領域に散布し終わるようにするには、1隻では、対処できず、複数隻を使用する方が良い。1隻の分担を1往復(2航路)だけにして、197回の航路(98・5往復)を、99隻の船舶を同時に使用して、それらで分担して散布するとした場合で考えると、1隻あたり、32時間掛かる。
発泡機器の泡水溶液の使用量は、74m/min なので、3141.35時間では、全体で13947610mの必要量になる。その内の泡薬剤は、1%水溶液とすると、139476.1mになり、99隻で分担すると、1隻あたり約1409mの分担になる。1隻あたり、泡原液は、約1409mを積載すれば良いことになる。1409mの泡薬剤を一度に積載することができる船舶99隻を、同時に用いて泡を散布する事で、約32時間で、まだらながらグレートバリアリーフを泡で覆う事が可能になり、アルベドを改善する事が可能になる。
実施例2では、ジオエンジニアリングのための泡発泡装置を備えた構造体が、乱流を生成し易い高度を維持し得る塔を搭載した船舶の場合であり、図11~図13を用いて説明する。
泡の原料を多量に備蓄運搬するのに、泡の原料をタンク内に備蓄でき、海洋を航行できる1万トントンクラスのタンカー52を用いている図11において、タンカー甲板上に、生コン圧送車や屈折式高所放水消防車などで採用されていると同様の折り畳みブーム方式の塔53を設置してあり、タンカー52の泡貯蔵タンク内(図示せず)に貯蔵してある泡原料と汲み上げた海水を、混合器(図示せず)で混合して起泡性の泡水溶液を作り、ブーム54に沿わせて配置した配管57を通して、発泡機56まで加圧送水装置(図示せず)で圧送している。
短時間で局所的に多量に発生させるという方法は、泡消火設備で利用されているブロアー方式の高発泡設備を利用している。その局所的に発生させた多量の泡沫の塊を、広大な面積の海洋に薄く広げて拡散させて散布し、広大な面積の海洋のアルベドを改善する方法を説明する。
該塔53を上空の気流の強い領域までブーム54を伸ばし立てて、該塔53の上部に左右に張り出し広げて設置した翼55に、放出した泡沫が干渉しないように、またそれぞれの放出口65近辺で発生する乱流が干渉し打ち消し合わないように、それぞれ間隔を開けて発泡機56を10基を取り付けてある。更に、甲板上に2台の発泡機56を設置し、合計12台の発泡機56を搭載している。
図12に発泡機56の断面斜視の模式図を示してある。ブロアーにトンネル排気で使用される大型の電動式のジェットファン58を使用し、それに合わせて泡水溶液の噴霧ノズル59の能力や数量を増して噴霧量を増し、さらにチューブ61内に張った発泡ネット60の面積を増している。ブロアー式の泡発泡装置は、設備の能力を大型にすると、それに比例して、泡の発生量を増すことができるので、泡発泡装置の発泡機56を大型にした事に合わせて、加圧送水装置(図示せず)、混合器(図示せず)、配管57など、泡発泡装置に付随する機器をすべて大型にしてある。
発泡機56のレイアウトは、前方の空気取入口62の中央にジェットファン58を取付固定板63を介して取り付けてあり、その後方に流速を抑える流動制御板67を2台取り付けてあり、流動制御板67の後方に複数の噴霧ノズル59、その後方に発泡ネット60を張ったチューブ61、その最後尾に泡放出口65となっている。発泡機56まで送られてきた起泡性の泡水溶液を噴霧ノズル59によって発泡ネット60に散布し、一様に濡れた状態の網目に、ジェットファン58による空気を圧送すると、網目を通る空気により多量に、かつ連続的に泡沫36が作られる事になる。
なお、塔53や翼55発泡機56などの放出口65近辺の構造物の表面に乱流が発生し易い突起物である乱流発生器66を取り付けても良い。地表面から離れた高い箇所は地表面との摩擦が少なく、一般に風の速度が速い。高い塔53の上部の発泡機56から放出された泡沫36の塊は塔53や翼55、発泡機56などの表面で乱流が生じ易い。
外部の気流速度と構造物表面との相対的速度差が大きければ、強い乱流が発生し易く泡沫の分解が促進され易いが、乱流が弱く泡沫の分解が進まないようであれば、泡放出口65の後に動力や又は風で回転する乱流発生装置と泡沫切断機を兼ねた回転羽根47を取り付けても良い。発泡機56に取りつけてある回転羽根47は、風により回転する動力無しの回転羽根であり、前後の2段ファンで成り、さらに互いに逆回転するようになっている。外側の羽根68が風を受けて回転し、内側が切断刃69になっている。泡放出口65を出た泡沫36は、切断刃69で切断されて、小さくされ、ファン周りで発生する乱流で、更に小さくされて、塔と海面までは距離があるので、風に晒される時間が長くなり、海面2に落下するまで、さらに分裂して拡散して行く事になる。
船腹には、造波機48、49を4台設置してあり、進行する時に海水に当たり波を発生させて波のエネルギーで海面に落下した泡沫を分解するようにしてある。泡の放出地点も、タンカーの移動に連れて移動するので、所望の領域内に拡散し、まだらながら散布できることになる。海面2に落下した泡沫36は、流動性があることや、風や波により、海面上で崩れて分裂し、更に薄く広がって拡散して斑が有りながらも海面2を覆って行く事になる。
上記の設備を使用してオーストラリア大陸と同程度の面積の海洋に泡を散布する場合をシュミレーションしてみる。オーストラリア大陸の面積は、860万kmになるので、図13において代わりに長辺が、3000kmで短辺が2867kmの長方形ABCDの大きさの海洋に置き換えて考える。
ブロアー式高発泡機に使うブロアーには、トンネルなどの換気に使用されている大型のジェットファン58を使用する。1秒当たり138mの吐出量のジェットファン58が制作されているので、それを使用する。発泡ネット60や、噴霧ノズル59などによる圧力損失等を無視して、噴霧された起泡性の水溶液とジェットファン58で圧送された空気で、毎秒138mの泡沫が連続して作られるとする。発泡機12台を同時に作動させると、毎秒1656mの泡沫が作られる。尚、泡の大きさは、ファインバルブの大きさから、数十cm、数百cmなど、安定して大気中に存在できるのであれば、どのような大きさの泡でも良い。
タンカー1隻の泡の散布の分担幅を1航路10kmとする。つまり、1隻のタンカーの塔から散布した泡沫は、乱流や、回転羽根などで分解し、更に風に晒されて分裂し、海上に落下後は、波や風、また泡自体の流動性により時間の経過とともに、10kmの幅まで広がると想定する。毎秒1656mの量の泡沫は、1隻の分担幅10kmで、2cm程度の厚みにすると、進行方向に毎秒8.28mの長さになる。1秒で8.28m進む場合、1時間では、29.8kmの距離になる。速さと考えることができるので29.8km/時の速さで、縦の2867kmを横断するのに、約96.2時間かかり、日数にすると、約4日になる。
横幅の3000kmを10km幅で分けると、300回になる。泡の寿命を5日ほどとした場合、一隻では、対処できないので複数隻で分担する。1隻の分担を2867kmの1横断だけにすると、全部で300隻のタンカーが必要になる。なお、図13の下は1隻の分担範囲の拡大模式図である。300隻のタンカー52をAB間のラインに10km間隔で離して横並びにし、同時にスタートして泡を散布すると、5日ほどの寿命の泡があれば、毎時29.8km(16.1ノット)の速度で4日で、オーストラリア大陸と同等の面積の海洋を、2cmの厚みの泡で、まだらながら覆う事が可能になり、その領域の海洋アルベドを改善させることができる。
発泡装置の発泡度は1000倍とし、更に1%発泡の泡原液を用いると、1航路に必要な泡水溶液は573400mであり、99%は海水なので、タンカーに積載する泡原液量は、1%の5734mになり、1万トンクラスの積載量のタンカーだと、途中補充無く、泡の散布を行うことができることになる。もし、期間を、半分の2日にしようとすれば、長方形ABCDの領域をABFEとEFDCの2つに2分割し、タンカーを300隻増して600隻にして、追加した300隻をEFラインに10km間隔で離して横並びにし、ABラインのタンカー群と同時にスタートすれば、半分の2日ほどでABCDの領域を泡で覆う事が可能になる。
860万kmの面積全体に要する泡原液量は、約172万mになる。全世界の二酸化炭素の年間の排出量は330億トン(2019年)であり、泡原液量の比重を1とすると、二酸化炭素の年間の排出量の約0.00005%にしか当たらない。10日ごとに月に3回繰り返して、夏場の3カ月間、合計9回散布すると、泡原料の使用量は、二酸化炭素の年間排出量の約0.00047%程度にしか当たらない。
泡を、魚の油を原料とした界面活性剤や、魚のタンパク質、コンブなどの海藻などを原料とすれば、海や環境への負担を抑える事ができ、また寿命の長い泡ができる可能性がある。消火に使用される泡は、可燃性液体の上を覆う事で、可燃性蒸気の抑制効果があることが知られているが、水性泡の寿命は、泡膜の成分である水分が蒸発し、泡膜が薄くなることで膜を維持できず破裂するが、泡が海面の上を覆う事で、海洋からの水蒸気の蒸発は、泡膜に吸収されて泡膜の寿命を延ばすことになり、本来、海面から蒸発して、雨雲や熱帯低気圧にエネルギーを与えていた水蒸気が、泡膜に吸収されて、泡膜の寿命を延ばしながら上空への水蒸気蒸発を抑えられることになる。
上記が可能であれば、泡沫を海洋に散布する事で、アルベドを改善させることができ、海水温の上昇を抑えて、蒸発水蒸気量を抑えられれば、豪雨の原因になっている雨雲の発達を抑えられることになる。現在の豪雨対策は、ダムや堤防などの拡大、強化などの豪雨発生事後の水利事業が主要になっている。泡を散布する事は、豪雨雲の発生、発達抑制であり発生源対策と言える。
熱帯海域の日射により温められた高温多湿な空気に含まれる水蒸気が上昇し凝結して雲粒になる時に出す多量の潜熱が、その周りの空気を暖めて軽くし上昇気流を強めるため、台風を発達させるエネルギー源ともなるが、台風発達領域に、前もって多量の泡沫を散布して置くことで、海洋を温めていた日射を海洋に吸収される前に、宇宙空間に反射し、海洋の海水の温度上昇を抑制し、それは台風のエネルギー源である水蒸気の発生量を抑える事になり、台風の発達を抑えることが可能になる。
南極や北極の氷が融ける現象が起きていて、それが偏西風を弱めたり、熱波の遠因とも考えられているが、南極海などの氷海に入り込める砕氷船などに、前述の泡発泡装置を搭載して、極地の海に散布する事で、海水温を温めていた日射エネルギーを減じ、海水温上昇を抑える事で、極地の氷の溶解を抑える事が可能である。海洋から散布した泡が風で流れて沿岸部の氷山の上に乗り、そのまま雪が降って泡ごと凍ってしまうと、断熱性の高い空気混じりの氷ができるので、日射や外気温で溶けにくい氷ができることになる。
また、エルニーニョ現象の監視海域の海面水温が平年より高くなることで、エルニーニョ現象が生じ、それが原因で様々な異常気象が生じているとの説がある。海水温上昇の元は太陽エネルギーなので、所望時期、所望期間で、所望海域を泡で覆う事で、海面水温上昇の原因である日射エネルギーの量を減じる事ができ、エルニーニョ現象など、海水温上昇により生じる現象を抑制する事が可能である。
尚、外気を排気ガスに混ぜる事ができて、排気ガス温度を下げる事の出来るターボプロップエンジンや、ターボファンエンジンの排気ガスに、外気を大幅に増したり水を噴霧したりして、泡の生成温度に影響がないほどに下げられるなら、それらのエンジンを、ジェットファン58の代わりに用いても良く、小型化が図れる可能性がある。また、上記の実施例は、専用船を用いる事を前提にしていたが、小型化、または後付け可能なユニット化した泡発泡装置を、定期航路船の船腹や船尾などにおき設置し、泡を航路に散布しても良い。
実施例3では、ジオエンジニアリングのための泡発泡装置を備えた構造体が、乱流を生成し易い上空の強風域まで上昇できる係留式気球装置を搭載した船舶の場合であり、図14を用いて説明する。
塔53より、高さを得やすい係留式気球の場合であり、高さが高いほど地上との摩擦が少なく、より強い風を得やすい事から、タンカー甲板73上に係留式気球装置51を搭載した場合であり、甲板73上に、係留気球70の離着艦用の拘束装置71や係留装置72が設置されている。
離着艦用の拘束装置71の拘束ユニット74は、回転タイヤ形の軟式エアー袋の組み合わせでなり、気球が、接触したときに、気球外皮が動く方向に抗わないように、上下方向や左右方向に、それぞれ一緒に動き気球外皮への衝撃を少なくするようになっている。その拘束ユニット74は6か所に設置されていて、気球の離着陸時に、中央左右及び前後の斜め左右から、係留気球70をソフトに把持して拘束するようになっている。
係留装置72は、係留ロープ75の収納装置76、係留ロープ75の繰り出し装置77などで成っていて、繰り出された係留ロープ75で係留されながら、上空にあげられる係留気球70は、下部に発泡機56を吊り下げてある。発泡機56の入口側の開口部は空気取入口62になっていて、外部の気流速度が大きい時は、外部からケーシング64内に流入する空気で発泡させるようになっていて、外部の気流速度が小さい時は、ジェットファン58を稼働させて空気を送り込み発泡させ、放出した泡沫を動力や又は風で回転する乱流発生装置と泡沫切断機を兼ねた回転羽根47で小さく切断し、分解して放出する仕組みである。
実施例2の場合は、タンカー52の船体から発泡性の水溶液を塔53の上部の発泡機56まで送るのは、塔53のブーム54に沿って設置した配管57であった。風に吹かれて動く係留気球70の場合には、硬質なパイプ類は使用できないので、引っ張り強度の強いケプラー繊維などを織り込んだ消防設備で使用されていると同様な、柔軟で強靭な織物のホースを使用している。つまり係留ロープ75は、中空のホース状に成っていて、内部を発泡性の水溶液を圧送するホースとして使用しながら、係留可能な強度を持たせた筒状ホースを係留ロープ75として兼用している。
その係留ロープ75には、ジェットファン駆動用の送電ケーブル(図示せず)や方向舵駆動用の制御用ケーブル(図示せず)なども配置されている。尚、近年、消防車に、圧縮空気泡方式(CAFS)が採用されて来ている。その事により、泡水溶液が軽くなり、ホースの取り回しが楽になるなどの利点があるが、送水に関しては、その方式を採用しても良い。
実施例4では、ジオエンジニアリングのための泡発泡装置を備えた構造体が、乱流を生成し易い上空の強風域まで上昇できる係留式気球装置51を搭載した車両の場合であり、図15~図16を用いて説明する。
図15では、悪路や陸上を走行できるキャタピラー式またはタイヤ式の牽引車78に、トレーラー79を取付けて、実施例3で用いた係留式気球設備51を搭載し、所望の陸上の地域に入り込み、そこで係留式気球70を上空に上げて、上空から泡36を散布しようとの事である。牽引車78に係留ロープ収納装置76や泡水溶液供給設備(図示せず)を搭載し、トレーラー79に係留式気球70の離着陸時の拘束装置71や泡水溶液などの貯蔵タンク80や係留ロープ繰り出し装置77などを搭載していて、係留ロープ75を繰り出して、係留気球70を所望高度まで上げ発泡機56を作動させて、泡を散布する仕組みである。
砂漠地帯、草原、雪原や氷上など、船舶では入り込めない地域に入り込んで、泡を散布する事が可能になる。砂漠地帯だと、泡を散布する事で日射を上空へ反射する割合を増し、地面の温度や気温の上昇を抑えて水蒸気の蒸発を抑制し、砂漠地帯の乾燥を軽減することが可能になり、植林がやり易くなる。また、都市の上空に散布することも可能である。都市近辺に配置して都市上空に泡を散布する事で、建物のコンクリートや道路のアスファルトなどの人工被覆物の温度上昇を抑制し、都市部の気温上昇を抑え、都市の空調に使用される電力使用量の抑制や、またヒートアイランド現象の緩和など図ることもできる。
図16に、これまでの実施例を組み合わせて、砂漠に泡を散布する案を示した。図15で示したトレーラー79に係留式気球70の設備を搭載した方式や、また、実施例2を車両に応用し、トレーラー79に、折り畳み式の塔53方式の泡発泡装置を搭載して配置しても良く、また風上に位置する地上設置型の塔81に、泡発泡装置を設置して、塔の上部の発泡機56から泡を散布しても良い。また、泡送風機を兼ねた泡沫切断機を備えた発泡機42を持つ泡発泡装置を搭載した砂漠を走行可能な車両82を配置して、泡沫を散布しても良い。
実施例5では、ジオエンジニアリングのための泡発泡装置を設置した構造体が、気流速度が速く乱流を生成し易い大気の上空を航行可能な自由飛行船に泡発泡装置を搭載して泡を散布する場合であり、図17、図18を用いて説明する。
自由飛行船83は、積載能力が小さく、また泡水溶液貯蔵槽や加圧送水装置や発泡機56などの泡発泡装置に必要な発泡用機器類一式を単独で搭載しなければならない不便さがあり、原料が無くなると、供給基地に戻り供給してもらわねばならない不自由さがある。しかし、係留式でない自由式であれば、係留ロープに制限されないので、自由に航行でき、様々な場所や、飛行船が上昇できる高さの大気の高層域で泡を散布することができる。なお発泡機56は、実施例3と同じ放出口に回転羽根47を取り付けたものを搭載している。
図17は、上空10kmの高さの成層圏を航行する自由飛行船83が泡36を散布している有様を模式的に示した斜視図である。泡36の分布を見易くするために、自由飛行船83の後ろに、平面が1km四方の正方形で高さ10kmの範囲の直方体84の領域を考えて、そこに散布した後の浮遊している泡36を表している。また泡36は、大きく模式的に描いてある。自由飛行船83の後方に散布された泡36は乱流や風で、分離し拡散して次第に落下して行き、最後は海面2に落ちて、壊れるまでは海面2に浮かんでいる事になる。
図17は模式的な斜視図であり、図18の上図は、その横から見た(A)側面図であり、下図は上から見た(B)平面図である。(A)側面図においては、泡36は互いに大きな間隔で離れているが、(B)平面図においては、隙間が小さく密集している。(A)側面図の水平投影面積は、(B)平面図の面積の10倍になる。泡の数量は同じなので、よって(B)平面図での泡の間隔は、(A)側面図の10分の1倍になり、密集した状態に成る。
実施例1と実施例2は、海面2をできるだけ隈なく泡で覆い、いわば、海面を泡36のフイルターで覆う事を目的としていた。ところが、図18の(B)平面図では、上方の日射から見ると泡を隙間少なく敷き詰めていて実施例1と実施例2の目的の海面に泡を敷き詰めると同じ効果の状態に成っている。実施例1の泡36の量と、実施例4での日射方向から見た泡36の量が単位面積当たり同じであれば、日射の反射においては、同じ程度の効果があるという事になる。なお、実施例5の自由気球船は、専用の航行体の場合であるが、普通の航空機の巡航速度で安定して放出できる泡があれば、定期航空機に小型化した泡発泡装置を搭載し航路に泡を散布するのも良い。
海面上の泡や大気の低層での泡より、大気の高層に位置する泡による反射光が、地球外へ抜ける距離が短い分だけ、温室効果ガスに衝突する確率が少なくなる事から、日射の反射においては有利である。また、泡36は一般的に吸着性があるので、大気の高層で散布した泡は、地上に落下するまでの間に、温室効果ガスを吸着して地上や海面に落下する事が考えられる。また、二酸化炭素は、比較的水に溶けやすいので、水分が多い泡の膜に吸着され易いと考えられる。海面に落下した泡が海水に溶けにくい材料で作られていれば、海面に浮かんでいるので、吸着した大気汚染物質ごと回収が可能である。
自由飛行船は、森林地帯にも入り易く、森林地帯の上空で散布すると、泡は日射を反射しながら森林地帯に落下して行く。更に、落下しながら大気中の二酸化炭素や水蒸気を吸着して落下し、森林地帯に落ちて分解して二酸化炭素や水蒸気を放出すれば、光合成活動で二酸化炭素や水蒸気の吸収・消費活動が活発な森林に吸収され易い事になる。また泡は、水と異なり地面に吸収され難く、森林地帯に落下した泡は、木の葉や、枝や幹に付着し、地表面上に滞留している時間が長いので、その箇所の日射を反射し、気温上昇を抑え、また木の葉や地面から蒸発してきた水蒸気を吸収捕獲する事で、地表の湿度を高め乾燥化を抑えられるので森林火災を抑えられる可能性がある。
実施例6では、放出する泡が、付近の大気より、比重が小さい時のジオエンジニアリングのための泡発泡装置を備えた構造体が、船舶の場合であり、図19~図21を用いて説明する。
図19において、タンカー52に、膜が樹脂製膜の場合のフイルム膜泡発泡機85と、膜が液体の場合の水性膜泡発泡機86の両方を搭載してある。尚、膜の種類を区別する必要がある時には、樹脂製膜の場合をフイルム膜泡87、水が主成分の膜の場合を水性膜泡89と表記する。これまでの実施例の発泡機は、外部に開口した空気取入口から外気を取り入れて、それを泡水溶液で一様に濡らした発泡ネットに当てて発泡させていた。
ここでは、液体膜泡の場合は、それぞれ専用ボンベ(図示せず)に貯蔵してある水素や窒素またはヘリウムなどの気体を、ガス混合機(図示せず)で混ぜて適切な密度の浮揚ガスを作り、それを泡水溶液で一様に濡らした発泡ネットに当てて発泡させる仕組みになっている。つまり、これまで外気を泡内部に充填していたのを、外気の代わりに密度を調整した浮揚ガスを充填するという事である。なお、ここで言う比重とは、泡の膜と内部気体を合わせた重さ、つまり泡の重さと、それと同じ体積の温室効果ガス又は周辺の大気との重さを比べた事を指している。
フイルム包装袋の場合、ガスを充填するのは、一般的に行われていて、ポテトチップスなどのスナック菓子のフイルム包装袋(a)では、中の菓子の腐敗や劣化や破損などを防止するために、窒素ガスや二酸化炭素などを適切に配合して充填する包装が一般的に行われていて、また、エアー緩衝材のフイルム袋(b)、(c)では、空気を充填する方法が一般的に行われている。ここでは、水性膜泡89と同様に、それぞれ専用ボンベに貯蔵してある水素や窒素またはヘリウムなどの気体を、ガス混合機(図示せず)で混ぜて適切な重さの浮揚ガスを作り、それをフイルム膜泡87に充填するようにしている。
フイルム袋と同じ形状のフイルム膜泡87の製法は、一般的なエアー緩衝材製造機を用い、上記の適切な密度に調整した浮揚ガスを充填するようにすれば良い。また直接、押し出し機で押し出された溶融樹脂を、従来空気を使用していたカレンダー製法で、空気の代わりに浮揚ガスを使用して筒形のフイルムに加工し、浮揚ガスを充填したままの筒形フイルムを、所望長さで、横断方向で熱シール等して、切断してフイルム膜泡87を作っても良い。
空気より軽い浮揚ガスを泡の内部に入れて、泡の重さを同じ体積の周りの空気より軽くすれば、放出口から離脱後に大気から浮力を得て自ら加速して上昇し続けるので、後続の泡らから分離して距離が大きくなり拡散して行く事になる。尚、フイルム膜泡88は拡大図であり、水性膜泡90は、泡沫状態の拡大図である。尚それぞれ泡沫でも、または単独の気泡でも良い。浮力を受けて上昇して行き、高度が高くなるにしたがって空気の密度は薄くなり軽くなるので、周りの空気と同じ重さになるところまで、泡は上昇する事になる。ということは、所望の高さに照準を合わせて、泡を上昇させることができる。もし、大気のある高度に温室効果ガスの密度の濃い層91があれば、その高さに照準を合わせて、泡の浮揚ガス込みの重さを調整して上げればその高さまで上昇してそこに留まることになる。
実施例5までの泡が次第に海面に落下する泡であったのに対し、比重を調整した泡は上方へ移動する泡となる。泡の数量が増して多量になれば、活性炭のように、泡全体の延べ表面積は増すことになり、泡全体での、温室効果ガスに接近し、直接、接触し、吸着するなどのチャンスが増える。水性膜泡89は一般に吸着性があるので、温室効果ガスを吸着する可能性がある。二酸化炭素を吸収させるのに、泡膜に温室効果ガスと結合し易い物質を混ぜておくなどすれば、吸着、吸収または化学結合などの捕獲の可能性が出てくる。
また、膜に電荷を帯びさせる事で、温室効果ガスの吸着能力が高まるのであれば、電荷を帯びさせても良い。イオン性界面活性剤は、水に溶けた時にイオンに電離する。例えば、カチオン界面活性剤は泡膜の表面側、疎水部分がプラスイオンに電離し、マイナスに帯電している固体表面に強く吸着する性質があり、アニオン界面活性剤はその逆であるが、温室効果ガスが、電荷を帯びている泡に吸着し易ければ、泡の材料をそのように構成すれば良い。また、乾燥した泡であれば、静電気発生機を泡放出口や発泡ネットに連結して所望の電荷を帯びさせて、放出泡が触れるようにして電荷を帯びさせれば良い。
また、泡の大きさや中に詰める気体の密度を適切に管理して、泡の重さを同じ程度にして、それらの泡を上昇させれば、泡が上昇し終わった付近に泡が、まとまるので、大気の所望の高度に、泡の層または泡の雲92を作ることができる。温室効果ガスは、貿易風、ジェット気流、季節風などと共に動いていると考えられる。泡の重さを、それと同じ体積の温室効果ガスの重さと同じ程度にすると、温室効果ガスと共に移動する事が可能だと考えられて、移動する温室効果ガスに追随して動けば、接近、接触、吸着、吸収、化学結合などの捕獲可能性が大きくなり、泡が地上に落下すれば、回収可能になる。
大気層に、多量の泡を散布すれば、その大気層に拡散している温室効果ガスを回収可能であり、泡の量によっては、産業革命以前の大気の二酸化炭素濃度に、戻すことも不可能ではない。フイルム膜泡87は、日射反射率の大きいセラミックや金属の薄膜の真空蒸着加工や、スパッタリング加工が可能であり、前もってフイルムに日射反射率の大きい薄膜処理を行っていても良い。
地上から浮揚ガスを入れて、泡を上昇させた場合、気圧の薄い高層では、泡は膨張して破裂する確率が高まり、それ以上の高層を狙えないことになる。図21は、大きい泡の中に、小さい泡が入った膜を共有しないタイプの泡沫93である。大泡94は、地上などの低層から放球して、中層あたりで破裂するような密度の浮揚ガスの構成になっている。中層に達すると、膨張して破裂し、内包していた中泡95を放出するようになっている。中泡95は中層では破裂しない密度のガスを充填してあり、更に上昇していく。高層に達し高層で破裂した中泡95は、小泡96を放出し、小さい小泡96は、その高さでは破裂せず、上昇を始めて、中泡95が狙えなかった超高層まで上昇するようにしてある。
また、図19では、気圧の大きい海上のタンカーから泡を散布したが、気圧の小さい高度を航行する気球から、散布すれば、より高い高度まで上昇させることが可能である。上記は泡発泡装置を備えた構造体が船舶の場合であったが、専用の発泡装置を設置できるのであれば、船舶に限定される事はなく、地上を走行可能な車両や列車、航空機、また、地上設置の塔や、高層ビルでも良い。ジオエンジニアリングは、主に日射の反射の太陽放射管理と二酸化炭素除去の二つに分類されるが、大気中に散布する泡は、その両方の働きをする事になる。
実施例7は、図22、図23を用いて、これまでの実施例の手法を利用して、熱波への対処方法を提案する。
北半球のジェット気流は、北極の冷たい空気と熱帯の暑い空気との温度差によって生じるが、ところが近年、北極では特に温暖化が進行していて、海氷が失われることで気温が上昇し、熱帯との温度差が小さくなった事でジェット気流は遅くなり、それにより蛇行を深め、夏の間、場合によっては数週間にもわたって同じ場所に留まるようになり、Ω状になったところに、背の高い高気圧が閉じ込められて、いわばブロッキング状態に成り、晴天が続き気温が上昇し、そこに、北アフリカのサハラ砂漠の熱い空気が偏西風に乗り流入することで、気温が更に高くなり、それらの事が2003年のヨーロッパで死者52000人を出した熱波の原因だとの説がある。
また、エルニーニョ現象の発生に伴い、対流圏の気温には半年程度遅れて上昇する事で、海流や偏西風の動きに変化が生じ、熱波に影響を与えるとの説がある。ヨーロッパの熱波は、複数の国を巻き込むヨーロッパ大陸の大きな範囲で発生しているが、それで、上記の熱波の直接的及び間接的な原因に対処するために、熱波が発生する地域や原因に、これまで提案した手法を組み合わせて対処する方法を提案する。
熱波の現象は、ヨーロッパ大陸や北米大陸、オーストリア大陸などの陸地で起きているが、その面積は実施例2のオーストリア大陸と同規模の面積の陸地になる。海洋であれば、船舶の数量を増せば対応できたが、大陸は船舶が沿岸にしか近寄れず、車両が走行できる箇所、できない箇所があり、起伏があり、川があり都市があり、圃場、森林など様々な形態がある。それぞれの地形に対応できる形態の構造体を配置して対応することになる。
道路97は、22図にある道路走行用の車両97に泡発泡装置を積載して、泡を散布し道路のアルベドを改善する。尚、22図は、専用車であるが、泡発泡装置を小型化または後付けできるユニット化して、自家用車や、定期バスや長距離トラックなどに搭載し、後方用のモニターと併用して、後方車に影響のないように散布するのも良い。砂漠で使用した非舗装地を走行できる車両82を使用して、圃場や河川敷、荒地などに泡を散布する。風上に位置して風が強い地域の丘99に地上設置型塔81を設置し、熱波の恐れのある所望時期に、塔の上部に設置した発泡機から泡を大気中に散布する。都市近辺の風上に位置する地域に、上記、地上設置型塔81を設置し、また都市101の高層ビルに泡発泡装置を設置して、都市上空に泡を散布する。
砂漠で使用した、トレーラーに搭載した塔53の上部に発泡機56を設置した構造体を、所望地域に配置して発泡させる。折り畳み式塔方式の泡発泡装置を搭載した列車100を、所望地域に配置して泡散布を行う。実施例4で、係留式気球70方式の泡発泡装置を搭載したトレーラー型の構造体79を提案したが、それを所望地域に配置して泡散布を行う。実施例2で、塔方式の泡発泡装置を搭載したタンカー型の構造体52を提案したが、その船舶を高気圧に覆われる地域の風上に当たる場所の湖や川、または近辺の海に配置して泡を散布する。湖や海だと泡の原料の水の確保に有利である。
実施例6で、軽い気体を充填した泡をタンカーから散布する方式の構造体を提案したが、その方式を、車両や列車、地上の施設など内陸部に位置する構造体に搭載し、上空に向けて散布する。都市上空の気流の安定した領域があれば、泡の雲が作られる可能性があり、都市上空に日傘を差したような効果を作ることができる。自由飛行船は、道路や河川がない箇所にも入り込めて散布できる。所望領域に、泡発泡装置を搭載した自由飛行船83を用いて、大気中に泡を散布する。
上述は、高気圧に直接覆われる地域用の対策であった。下記にその地域と離れているが熱波に間接的に影響すると言われている領域の現象への対応を提案する。ヨーロッパの熱波が悪化する要因の一つにサハラ砂漠で熱せられた空気が偏西風に乗りヨーロッパ大陸に流れ込んでいたとの説がある。影響する砂漠に、実施例4で提案した方法を実施し、砂漠の気温が上昇することを抑制する。また、エルニーニョ現象が一因との説があるので、実施例1~実施例6の所望の方法を選び、エルニーニョ現象で海水温の上昇が予想される地域に前もって泡を散布して海水温の上昇を抑制する。また、エルニーニョ現象監視海域だけでなく、海水温の上昇が熱波に影響している地域に同様の処置を行う。
北極などの極地の気温が上がり、氷が解けるのを抑制するために、第1実施例~第6実施例の所望の方法を使用して北極の海、氷上、上空などに泡を散布して、アルベドを改善する。極地の陸地や海、氷上に散布した泡が降雪で雪に埋まり、泡つまり空気を含んだ雪、氷になり、空気と雪、氷が入混じった構成になると熱伝達率は小さくなって行くので、溶けにくい氷に成っていく。極地では、多量の泡を散布して熱伝達率の小さい氷の面積が大きくなると、氷を解かす要因の気温や、風に対して溶ける速度が遅くなり有利になる。南半球の熱波現象は、北極の代わりに、南極の温暖化が関わっていると考えられる事から、上記を南極への泡の散布を組み合わせることで、南半球の似た現象に対処しうるものと思われる。
実施例2では、オーストラリア程度の面積の海洋への対処であったが、これに対し、熱波は同程度の面積の陸地の問題になる。泡沫は現在の技術や機器を相当数量用いれば短期間で多量に広大な面積を覆う量を発生させることが可能であり、さらに本発明では多量の泡沫を薄く広大な面積に広げて散布する事が可能であり、陸上でも海上同様に、提案した方法を組み合わせれば、所望時期に短期間でヨーロッパ大陸のような広大な陸地の領域の日射による熱的環境の悪化を改善する事も可能になる。
1 独立気泡
(b) エアー緩衝材
2 海面
3 入射光
4 反射光
5 海水
6 屈折光
9 泡
10 膜
11、12、17、18 反射面
13,15,19、21 透過光
14,16,18 反射光
22 泡沫
23 膜
24 反射面
31 泡層
32 発泡ネット
33 船舶
36 泡、泡沫
37 航跡波
42 発泡機
46 泡放出口
47 回転羽根
48 造波機
51 係留式気球装置
52 タンカー
53 塔
56 発泡機
58 ジェットファン
59 噴霧ノズル
60 発泡ネット
65 放出口
66 乱流発生機
69 切断刃
70 係留気球
75 係留ロープ
81 地上設置型の塔
83 自由飛行船
84 直方体
(A)側面図
(B)平面図
91 温室効果ガスの密度が濃い層
92 泡の層または泡の雲
93 膜を共有しないタイプの泡沫
100 列車





Claims (7)

  1. ジオエンジニアリングのための泡発泡装置を備えた構造体であって、
    構造体は、
    (A)大気と接触する構造体の所望箇所が泡を分解する乱流を生成できるようにするために、大気と有効な相対的速度差を有している構造体、
    または、
    (B)泡放出口から水面に落下した泡沫を分解する航跡波を生成できるようにするために、海水と有効な相対的速度差を維持できる構造体、
    であり、
    いずれかの構造体に、泡放出口近辺に乱流発生装置と泡沫切断機を兼ねた回転羽根を取り付けた発泡機が少なくとも一台以上設置されている
    ことを特徴とする構造体。
  2. ジオエンジニアリングのための泡発泡装置を備えた構造体であって、
    構造体は、
    (A)大気と接触する構造体の所望箇所が泡を分解する乱流を生成できるようにするために、大気と有効な相対的速度差を有している構造体、
    または、
    (B)泡放出口から水面に落下した泡沫を分解する航跡波を生成できるようにするために、海水と有効な相対的速度差を維持できる構造体、
    であり、
    放出した泡を分解するための乱流発生装置、泡沫切断機または造機を有し、
    いずれかの構造体に、泡放出口近辺に乱流発生装置と泡沫切断機を兼ねた回転羽根を取り付けた発泡機が少なくとも一台以上設置されている
    ことを特徴とする構造体。
  3. 前記の構造体
    泡発泡装置を備えた船舶であって、該船舶の甲板上に、船舷から海面上にせり出し可能な伸縮式フレーム取付けられ、該伸縮式フレーム上には、発泡機が、伸縮式フレームが該船舶の外側に延伸した時に発泡機の各泡放出口が下向きまたは後向きになるように取付けられていて、さらに該船舶の船腹に造波機が取り付けられている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の構造体。
  4. 前記の構造体
    泡発泡装置を備えた船舶であって、該船舶の甲板上に、大気と接触する所望箇所において泡を分解する乱流を生成するため、大気と有効な相対速度差を有する強風域まで伸ばし立てた塔が設置され、該塔の上部には、左右に張り出した翼が取付けられ、該翼には、発泡機が、放出する泡が互いに干渉しないように距離を離し、さらに放出口が船舶の進行方向と逆向きになるように取付けられている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の構造体。
  5. 前記の構造体
    泡発泡装置を備えた船舶であって、該船舶の甲板上に、大気と接触する所望箇所において泡を分解する乱流を生成するための、大気と有効な相対速度差を生じさせる強風域まで上昇させた係留式気球が設置され該係留式気球には、発泡機が吊り下げられ、該発泡機には、船舶と係留式気球を繋ぐための係留ロープを兼ねた、泡発泡装置から発泡性水溶液を圧送するためのホースが取り付けられている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の構造体。
  6. 前記の構造体
    大気と接触する所望箇所において泡を分解する乱流を生成するための、大気と有効な相対速度差を生じさせる強風域を航行できる自由飛行船であって、該自由飛行船は、泡発泡装置を搭載し、該泡発泡装置には、泡放出口近辺に乱流発生装置と泡沫切断機を兼ねた回転羽根を取り付けた発泡機が設置されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の構造体。
  7. 前記の泡発泡装置が、
    泡放出口から離脱後に大気から浮力を得て自ら加速して上昇し続け、後続の泡らから分離して距離を大きくなるにつれて拡散して行くようにするため、放出される泡が大気よりも比重が軽い泡を生成する
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の構造体。

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