JP2006100266A - 固体高分子電解質膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の貫通孔117が形成された多孔シート113と貫通孔117に充填されるイオン交換樹脂とからなる充填層114を有する固体高分子電解質膜111と、固体高分子電解質膜111の両面に配設される触媒を含む触媒層127、128とを備え、多孔シート113は、貫通孔117を介してプロトン導電性を有する領域1と、貫通孔117が形成されておらず、領域1の外周部に位置する領域2とを有し、触媒層127、128の外縁130は領域2に位置するように配置されており、貫通孔117は、1個あたりの平均面積が1×10-3〜20mm2で、多孔シート113の厚さ方向に対してほぼ平行に形成されており、多孔シート113における領域1は、貫通孔117による開口率が30〜80%である。
【選択図】 図1
Description
ここで、第1および第3の領域のプロトン導電性は、本発明の効果が得られる範囲であれば特には限定しないが、実用的には0.01〜0.5S/cm程度のものが用いられ、第2の領域のプロトン導電性としては、第1および第3の領域より十分に低い0.001S/cm以下のものが用いられる。
触媒層端縁130が、多孔シート113に貫通孔117が形成されていない領域2に位置するように配置したので、電極接合時に触媒層端縁130に圧力が強くかかったり、運転中のクリープによって固体高分子電解質膜111が一部損傷を受けてもガスリークの増大が抑制され、局部的な燃焼反応などによる固体高分子電解質膜111の劣化や電極の短絡を防ぐことが可能となる。このことにより、長寿命の燃料電池用の膜電極接合体131を提供することができる。
図6の燃料電池用単体セルの断面図において、単体セル200の多孔シート213は、領域2の更に外周部に、複数の貫通孔117が形成された領域3が設けられている。この場合の多孔シート213の平面図を図7に、図6中のB−B矢視図を図8に示す。
(膜の作製)
厚さ12μm、200mm角のポリフェニレンスルフィドフィルム(商品名:トレリナ3030−12、東レ社製)の主面中央部分に、多軸ドリルによりφ300μmの貫通孔(1個あたりの平均面積が約0.071mm2)を中心間距離が350μmになるように千鳥配列で213280個開口させ、開口率がおよそ67%で150mm角の領域1と、その外側に開口部を有していない領域2を有する多孔シート113を作製した。
厚さ12μm、200mm角のポリフェニレンスルフィドフィルム(商品名:トレリナ3030−12、東レ社製)を90℃の熱水に16時間浸漬後、取り出し、フィルム表面の水分を濾紙で拭き取り、重量を測定した。測定後25℃で窒素を16時間流し、乾燥させ乾燥重量を測定した。含水率は0.2%であった。
更に、次のようにして、触媒層127、128を作製する。まず、分散液aと、白金をカーボン上に55質量%担持させた担持触媒とを、エタノールと水の混合分散媒(質量比で1:1)に分散させ、得られた固形分濃度14質量%の触媒分散液を固体高分子電解質膜111の片面の中心部に154mm角に塗工し、白金担持量が約0.4mg/cm2の触媒層128を形成しカソード極とする。
次に、この膜触媒層接合体131の両表面中央にカーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン粒子とからなる厚さ約10μmの導電層を厚さ約300μmのカーボンクロス基材上に形成したガス拡散層156mm角をその導電層が膜触媒層接合体131に接するよう配置する。そしてこれを反応ガス供給用のガス流路147、148を備えた一対のセパレータ141、142間ならびにシールする内寸法が158mm角であるフッ素ゴムのガスケット153、154に挟み込んで有効電極面積が225cm2である燃料電池用の単セル100を得る。
(膜の作製)
厚さ12μm、200mm角のポリフェニレンスルフィドフィルム(商品名:トレリナ3030−12、東レ社製)の主面中央部分に、多軸ドリルによりφ300μmの貫通孔117(1個あたりの平均面積が約0.071mm2)を中心間距離が350μmになるように千鳥配列で213280個開口させ、開口率がおよそ67%で150mm角の領域1と162mm角より外側に同じく多軸ドリルによりφ300μmの貫通孔117を中心間距離が350μmの千鳥配列で開口させ、開口率がおよそ67%の領域3をつくり、開口を有さない領域2の幅が7mmの多孔シート213を作製する。
更にこの固体高分子電解質膜211に実施例1と同様にしてカソード極とアノード極を形成し、外形をトムソン型で打ち抜き、165mm角の外形の膜触媒層接合体231(図2の膜触媒層接合体131に相当する)を得る。
次に、この膜触媒層接合体231に対して実施例1と同様にガス拡散層133、134を配置し、有効電極面積が225cm2である燃料電池用の単セル200を得る。そして、この単セル200をセル温度を90℃に制御し、アノード極側に水素ガス、カソード極側に空気をそれぞれ供給する。この供給するガスは、水素ガスの利用率を80%、空気の利用率を50%とし、供給するガスの露点がそれぞれ70℃となるように加湿してから燃料電池に供給する。その結果どの条件でも安定して運転させることができる。セル温度90℃で電流密度を0.15A/cm2として連続運転するときの経過時間とセル電圧の関係を図11に示す。
(膜の作製)
厚さ25μmのパーフルオロアルコキシエチレン重合体からなるフィルム(商品名:トヨフロンPFA、東レ社製)の主面中心に、多軸ドリルによりφ300μmの貫通孔117(1個あたりの平均面積が約0.071mm2)を中心間距離が350μmになるように千鳥配列で213280個開口させ、開口率がおよそ67%で150mm角の領域1と162mm角より外側に同じく多軸ドリルによりφ300μmの貫通孔117を中心間距離が350μmの千鳥配列で開口させ、開口率がおよそ67%の領域3をつくり、実施例2と同様に開口を有さない領域2の幅が7mmの多孔シート213を作製する。
厚さ25μmのパーフルオロアルコキシエチレン重合体からなるフィルム(商品名:トヨフロンPFA、東レ社製)を90℃の熱水に16時間浸漬後、取り出し、フィルム表面の水分を濾紙で拭き取り、重量を測定した。測定後25℃で窒素を16時間流し、乾燥させ乾燥重量を測定した。含水率は0.1%であった。
更にこの固体高分子電解質膜211に実施例1と同様にしてカソード極とアノード極を形成し、外形をトムソン型で打ち抜き、165mm角の外形の膜触媒層接合体231を得る。
次に、この膜触媒層接合体231に対して実施例1と同様にガス拡散層133、134を配置し、有効電極面積が225cm2である燃料電池用の単セル200を得る。そして、この単セル200をセル温度90℃に制御し、アノード極側に水素ガス、カソード極側に空気をそれぞれ供給する。この供給するガスは、水素ガスの利用率を80%、空気の利用率を50%とし、供給するガスの露点がそれぞれ70℃となるように加湿してから燃料電池に供給する。その結果どの条件でも安定して運転させることができる。セル温度90℃で電流密度を0.15A/cm2として連続運転するときの経過時間とセル電圧の関係を図11に示す。
CF2=CF2に基づく繰り返し単位とCF2=CF−OCF2CF(CF3)−OCF2CF2SO3Hに基づく繰り返し単位とからなる厚さ30μmのイオン交換膜(イオン交換容量:1.1ミリ当量/グラム乾燥樹脂、商品名:フレミオンSH−30、旭硝子社製)を膜として用いた(以下、この膜を膜M1という)。
そして、この膜M1に対して実施例1と同様にしてカソード極とアノード極を形成し、外形をトムソン型で打ち抜き、165mm角の外形の膜触媒層接合体CCM1を得た。
次に、この膜触媒層接合体CCM1に対して実施例1と同様にガス拡散層133、134を配置し、有効電極面積が225cm2である燃料電池用の単セルを得た。そして、この単セルをセル温度90℃に制御し、アノード極側に水素ガス、カソード極側に空気をそれぞれ供給する。この供給するガスは、水素ガスの利用率を80%、空気の利用率を50%とし、供給するガスの露点がそれぞれ70℃となるように加湿してから燃料電池に供給する。その結果どの条件でも安定して運転させることができる。セル温度90℃で電流密度を0.15A/cm2として連続運転するときの経過時間とセル電圧の関係を図11に示す。
厚さ12μm、200mm角のポリフェニレンスルフィドフィルム(商品名:トレリナ3030−12、東レ社製)の主面中心に、多軸ドリルによりφ300μmの貫通孔117(1個あたりの平均面積が約0.071mm2)を中心間距離が350μmになるように千鳥配列で275232個開口させ、開口率がおよそ67%で170mmの領域を有する多孔シートを作製した。そして、この多孔シートに対して実施例1と同様にして、分散液aが塗布されたPET基材を分散液aが塗布された側をそれぞれ多孔シート側に当てて挟み、約150℃で20分間熱プレスし、固体高分子電解質膜を得た。
そして、この固体高分子電解質膜に対して実施例1と同様にしてカソード極とアノード極を形成し、外形をトムソン型で打ち抜き、165mm角の外形の膜触媒層接合体CCM2を得た。
次に、この膜触媒層接合体CCM2に対して実施例1と同様にガス拡散層133、134を配置し、有効電極面積が225cm2である燃料電池用の単セルを得た。そして、この単セルのセル温度を90℃に制御し、アノード極側に水素ガス、カソード極側に空気をそれぞれ供給する。この供給するガスは、水素ガスの利用率を80%、空気の利用率を50%とし、供給するガスの露点がそれぞれ70℃となるように加湿してから燃料電池に供給する。その結果どの条件でも安定して運転させることができる。セル温度90℃で電流密度を0.15A/cm2として連続運転するときの経過時間とセル電圧の関係を図11に示す。
11、111、211 固体高分子電解質膜
11a 固体高分子電解質膜の両外面
113、213 多孔シート
114 充填層
117 貫通孔
118、151 仕切り線
121 中心領域
125 樹脂層
27、28、127、128 触媒層
130 触媒層端縁
31、131、231 膜触媒層接合体
31a 膜触媒層接合体の両外面
31b 電極触媒層端部
33、34、133、134 ガス拡散層
33a、34a ガス拡散層端部
37、137、237 膜電極接合体
37a 膜触媒層接合体の両外面
137 膜電極接合体
41、42、141、142 セパレータ
45、46、145、146 溝
47、48、147、148 ガス流路
53、54、153、154 ガスケット
Claims (7)
- 複数の貫通孔が形成された多孔シートと該貫通孔に充填されるイオン交換樹脂とからなる充填層を有する固体高分子電解質膜と、該固体高分子電解質膜の両面に配設される触媒を含む触媒層とを備える固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体において、
前記多孔シートは、前記貫通孔を介してプロトン導電性を有する第1の領域と、
前記貫通孔が形成されておらず、前記第1の領域の外周部に位置する第2の領域とを有し、
前記触媒層の外縁は前記第2の領域に位置するように配置されており、
前記貫通孔は、1個あたりの平均面積が1×10-3〜20mm2で、前記多孔シートの厚さ方向に対してほぼ平行に形成されており、
前記多孔シートにおける前記第1の領域は、前記貫通孔による開口率が30〜80%であることを特徴とする固体高分子電解質膜電極接合体。 - 複数の貫通孔が形成された多孔シートと該貫通孔に充填されるイオン交換樹脂とからなる充填層を有する固体高分子電解質膜と、該固体高分子電解質膜の両面に配設される触媒を含む触媒層とを備える固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体において、
前記多孔シートは、前記貫通孔を介してプロトン導電性を有する第1の領域と、
前記貫通孔が形成されておらず、前記第1の領域の外周部に位置する第2の領域と、
該第2の領域の更に外周部に前記貫通孔が形成され該貫通孔を介してプロトン導電性を有する第3の領域を有し、
前記触媒層の外縁は前記第2の領域に位置するように配置されており、
前記貫通孔は、1個あたりの平均面積が1×10-3〜20mm2で、前記多孔シートの厚さ方向に対してほぼ平行に形成されており、
前記多孔シートにおける前記第1の領域は、前記貫通孔による開口率が30〜80%であることを特徴とする固体高分子電解質膜電極接合体。 - 前記固体高分子電解質膜は、前記充填層と、前記充填層の少なくとも片面に形成された、イオン交換樹脂のみからなる樹脂層とを有する請求項1又は2に記載の固体高分子電解質膜電極接合体。
- 前記各領域の接する境界部であって、該境界部のうちのいずれか少なくとも一つは、前記第2の領域に近づくにつれて貫通孔の1個あたりの平均面積が徐々に小さくなっているか、又は単位面積あたりの貫通孔の数が徐々に減少している請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体高分子電解質膜電極接合体。
- 前記多孔シートが、90℃の熱水に浸漬後の含水率が5%以下の材質で形成された請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体高分子電解質膜電極接合体。
- 前記多孔シートの材質が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、及び、ポリベンズイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体高分子電解質膜電極接合体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の固体高分子電解質膜電極接合体の両側にセパレータが配置されたセルが積層されてなることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
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