JP2006098800A - 光学補償シートおよび液晶表示装置 - Google Patents

光学補償シートおよび液晶表示装置 Download PDF

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JP2006098800A JP2004285466A JP2004285466A JP2006098800A JP 2006098800 A JP2006098800 A JP 2006098800A JP 2004285466 A JP2004285466 A JP 2004285466A JP 2004285466 A JP2004285466 A JP 2004285466A JP 2006098800 A JP2006098800 A JP 2006098800A
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Abstract

【課題】 光学的均一性が高く、大量生産に適し、配向膜界面における傾斜角を制御した新規な光学補償シートを提供する。
【解決手段】
透明支持体上に配向膜と光学異方性層とを有する光学補償シートであって、前記配向膜が下記一般式(1)で表されるモノマーから導かれる繰り返し単位を含むアゾ化合物の少なくとも一種を含有し、且つ、前記光学異方性層が重合性基を一つ以上有するディスコティック液晶性化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする光学補償シート。
【化1】
Figure 2006098800

〔Rは水素原子または置換基、Lは単結合または2価の連結基、Aはアゾ基を表す。〕
【選択図】 なし

Description

本発明は、透明支持体上に配向膜および光学異方性層を有する光学補償シートに関する。さらに本発明は、光学補償シートを用いた液晶表示装置に関する。
光学補償シートは画像着色解消や視野角拡大のために、様々な液晶表示装置で用いられている。従来から光学補償シートとしては延伸複屈折フィルムが使用されていたが、近年、延伸複屈折フィルムに代えて、透明支持体上にディスコティック液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。この光学異方性層は、通常、ディスコティック液晶性化合物を含む組成物を、あらかじめラビング処理した配向膜上に塗布し、配向温度よりも高い温度に加熱してディスコティック液晶性化合物を配向させ、その配向状態を固定することにより形成される。一般に、ディスコティック液晶性化合物は、大きな複屈折率を有するとともに、多様な配向形態がある。ディスコティック液晶性化合物を用いることで、従来の延伸複屈折フィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。
上述のように、ディスコティック液晶性化合物では多様な配向形態が存在するため、所望の光学特性の発現には光学異方性層におけるディスコティック液晶性化合物の配向を制御する必要がある。特に光学補償性能の発現には、ディスコティック液晶性化合物の傾斜角を支持体面からの距離に伴って変化するように配向させる、いわゆる「ハイブリッド配向」の状態を実現することが重要であり、光学補償シートの性能、すなわち、視野角拡大、視角変化によるコントラスト低下、階調反転、黒白反転、および色相変化等を決める最も重要な因子となる。このハイブリッド配向は、ディスコティック液晶性化合物の配向の方位角を規制する目的で支持体上に設けられる配向膜表面のチルト角と光学補償シートの最外面である空気側界面のチルト角との差を利用して実現されている。ディスコティック液晶性化合物を用いて光学補償シートを塗設、乾燥した後、ディスコティック液晶性化合物は、空気界面と配向膜界面との両方でそれぞれ安定なチルト角でモノドメイン配向する。その結果、膜の厚み方向に連続的に傾斜角が変化した配向状態が形成される。ディスコティック液晶性化合物は、空気界面では50°以上の高いチルト角を持つ性質がある。さらに、50°を凌ぐ角度を得る方法としてセルロース部分エステル化物を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方で所望の光学補償機能を得るためには、配向膜面側のチルト角を精密に制御する必要がある。ポリビニルアルコールを用いた配向膜は、配向膜をラビング処理することによって、配向膜界面のチルト角を0°近くに制御できるため、目的のハイブリッド配向の実現に好適に用いられてきた(例えば、特許文献2参照)。しかし、本発明者がこれらの光学補償シートを実際に使用してみたところ、偏光板の斜め方向からの光漏れが認められ、視野角が充分に(理論的に期待できる程度まで)拡大しないものもあることが判明した。光学補償機能が不充分になる理由の一つとしては、ディスコティック液晶性化合物の傾斜角、特に配向膜界面のチルト角が充分に制御できていないことがある。
ラビング以外の配向制御方法としては、光を用いた光配向技術が知られており、ディスコティック液晶性化合物を配向させるために、アゾ基が置換した重合体を配向膜とし、これに非偏光照射を行う事で配向性を付与させる技術がすでに開示されている。しかしながら、これらに開示された方法では、85℃に加熱した状態で光照射しなければならず、製造工程上大きな負荷があった(例えば、特許文献3参照)。また、非光反応性ディスコティック液晶性化合物は均一に配向するものの、数日間放置後には結晶相が成長しており光学補償シートとしての機能が失われる問題があった(例えば、特許文献4参照)。
特開平8−95030号公報 特開平8−50206号公報 特開平10−278123号公報 特開平11−326638号公報
本発明は、光学異方性層に重合性基を一つ以上有するディスコティック液晶性化合物を用いるために最適な配向膜を利用し、光学的均一性が高く、大量生産に適し、配向膜界面における傾斜角を制御した新規な光学補償シートを提供することを目的とする。さらに、該光学補償シートを用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
<1> 透明支持体上に配向膜と光学異方性層とを有する光学補償シートであって、前記配向膜が下記一般式(1)で表されるモノマーから導かれる繰り返し単位を含むアゾ化合物の少なくとも一種を含有し、且つ、前記光学異方性層が重合性基を一つ以上有するディスコティック液晶性化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする光学補償シート。
Figure 2006098800
〔一般式(1)中、Rは水素原子または置換基を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、Aはアゾ基を表す。〕
<2> 前記一般式(1)で表されるモノマーが、下記一般式(1a)で表されるモノマーであることを特徴とする<1>に記載の光学補償シート。
Figure 2006098800
〔一般式(1a)中、R、R1およびR2は水素原子または置換基を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、mは0〜4の整数を表し、nは0〜5の整数を表す。〕
<3> 前記配向膜の配向機能が光照射することによって付与されていることを特徴とする<1>または<2>に記載の光学補償シート。
<4> 光照射が、単一方向からの非偏光照射であることを特徴とする<3>に記載の光学補償シート。
<5> 前記ディスコティック液晶性化合物が、トリフェニレン液晶性化合物であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の光学補償シート。
<6> 前記光学異方性層が、ハイブリッド配向したディスコティック液晶性化合物から形成される層であり、かつハイブリッド配向が固定されていることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の光学補償シート。
<7> 前記光学異方性層の配向膜界面のディスコティック液晶性化合物のチルト角θ1が10°≦θ1≦30°を満足することを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載の光学補償シート。
<8> <1>〜<6>のいずれかに記載の光学補償シートを有することを特徴とする液晶表示装置。
本発明によれば、光学的均一性が高く、大量生産に適し、配向膜界面における傾斜角を制御した新規な光学補償シート、およびこれを用いた液晶表示装置を提供することができる。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
《光学補償シート》
本発明の光学補償シートは、透明支持体上に配向膜と光学異方性層とを有し、前記配向膜が下記一般式(1)で表されるモノマーから導かれる繰り返し単位を含むアゾ化合物の少なくとも一種を含有し、且つ、前記光学異方性層が重合性基を一つ以上有するディスコティック液晶性化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする。
Figure 2006098800
〔一般式(1)中、Rは水素原子または置換基を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、Aはアゾ基を表す。〕
本発明の光学補償シートは、特定構造のアゾ化合物を配向膜として利用することによって、加熱等の他の手段を併用することなく単一方向からの非偏光照射のみで重合性基を一つ以上有するディスコティック液晶性化合物を配向させる機能を付与できる。また、光照射により配向機能を付与する方法はラビング屑が発生しないため、配向欠陥の無い光学的均一性の高い光学補償シートが作製することができる。さらに、光学異方性層に重合性基を一つ以上有するディスコティック液晶性化合物を用いることによって、配向の均一性を保持できる。
以下、本発明の光学補償シートについて詳細に説明する。
〈配向膜〉
本発明における配向膜は、下記一般式(1)で表されるモノマーから導かれる繰り返し単位を含むアゾ化合物を少なくとも1種含有する。
(アゾ化合物)
まず、本発明の配向膜に用いられる下記一般式(1)で表されるモノマーから導かれる繰り返し単位を含むアゾ化合物について説明する。
Figure 2006098800
〔一般式(1)中、Rは水素原子または置換基を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、Aはアゾ基を表す。〕
本発明におけるアゾ化合物について詳細に説明すると、上記一般式(1)中、Rで表される置換基は、下記に例示した置換基群から選ばれる置換基を表す。
(置換基群)
上記置換基群としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、1,3,5−トリアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)、アゾ基が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(1)においてRは、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、水素原子またはメチル基であることが特に好ましい。
一般式(1)においてLは、単結合または2価の連結基を表し、好ましくは、下記の連結基群から選ばれる任意の基、またはそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。
(連結基群)
上記連結基群としては、単結合、−O−、−CO−、−NR4−、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−、アルキレン基およびアリーレン基が挙げられる。
上記連結基群中、−NR4−のR4は、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、好ましくは水素原子またはアルキル基である。また、−PO(OR5)−のR5はアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、好ましくはアルキル基である。
一般式(1)におけるLとしては、単結合、−O−、−CO−、−NR4−、アルキレン基またはアリーレン基を含むことが好ましく、単結合、−O−、またはアルキレン基を含んでいることが特に好ましい。Lがアルキレン基を含む場合、アルキレン基の炭素数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8であり、特に好ましくは1〜6である。特に好ましいアルキレン基の具体例として、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラブチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。Lが、アリーレン基を含む場合、アリーレン基の炭素数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12である。特に好ましいアリーレン基の具体例として、フェニレン基、ナフタレン基等が挙げられる。Lが、アルキレン基とアリーレン基とを組み合わせて得られる2価の連結基(即ちアラルキレン基)を含む場合、アラルキレン基の炭素数は、好ましくは7〜34であり、より好ましくは7〜26であり、特に好ましくは7〜16である。特に好ましいアラルキレン基の具体例として、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、メチレンフェニレン基等が挙げられる。Lとして挙げられた基は、適当な置換基を有していてもよい。このような置換基としては上述のRにおける置換基として挙げた置換基と同様なものを挙げることができる。
以下にLの具体的構造(L−1〜L−19)を例示するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。具体例中、特に好ましくは、L−1、L−2、L−3、L−4、またはL−5である。
Figure 2006098800
Aはアゾ基を表し、好ましくは、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環を有するアゾ基、ビスアゾ基を表す。
上記一般式(1)で表されるモノマーの中でも、下記一般式(1a)で表されるモノマーが好ましい。
Figure 2006098800
〔一般式(1a)中、R、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、mは0〜4の整数を表し、nは0〜5の整数を表す。〕
更に詳細に説明すると、上記一般式(1a)中、R、R1、およびR2で表される置換基は、それぞれ独立に、上記一般式(1)におけるRと同義でありその好ましい範囲も同一である。
R、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、シアノ基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、シアノ基であることがより好ましく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、シアノ基であることがさらに好ましい。Rは、水素原子またはメチル基であることが特に好ましい。
mは0〜4の整数を表し、好ましくは0である。mが2以上の整数を表すとき、複数個のR1は同一でも異なっていてもよい。nは0〜5の整数を表し、好ましくは0または1であり、nが2以上の整数を表すとき、複数個のR2は同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(1a)中、Lで表される置換基は、上記一般式(1)におけるLと同義でありその好ましい範囲も同一である。
以下に本発明で使用可能なアゾ化合物の製造に利用可能な上記一般式(1)に対応するモノマーの具体例(M−1〜M−27)を挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
Figure 2006098800
Figure 2006098800
Figure 2006098800
本発明におけるアゾ化合物は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。また、上記各繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を1種または2種以上有していてもよい。上記他の繰り返し単位については特に制限されず、通常のラジカル重合反応可能なモノマーから誘導される繰り返し単位が好ましい例として挙げられる。以下、他の繰り返し単位を誘導するモノマーの具体例を挙げる。本発明におけるアゾ化合物は、下記モノマー群から選ばれる1種または2種以上のモノマーから誘導される繰り返し単位を含有していてもよい。
(モノマー群)
(1)アルケン類
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど;
(2)ジエン類
1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、1−クロロブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロロ−1,3−ブタジエンおよび2−シアノ−1,3−ブタジエン、1,4−ジビニルシクロヘキサンなど;
(3)α,β−不飽和カルボン酸の誘導体
(3a)アルキルアクリレート類
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなど);
(3b)アルキルメタクリレート類
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アリルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2〜100のもの)、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなど;
(3c)不飽和多価カルボン酸のジエステル類
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、タコン酸ジブチル、クロトン酸ジブチル、クロトン酸ジヘキシル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなど;
(3d)α、β−不飽和カルボン酸のアミド類
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチルマレイミドなど;
(4)不飽和ニトリル類
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
(5)スチレンおよびその誘導体
スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−tertブチルスチレン、p−ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−アセトキシスチレンなど;
(6)ビニルエステル類
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、メトキシ酢酸ビニル、フェニル酢酸ビニルなど;
(7)ビニルエーテル類
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フルオロブチルビニルエーテル、フルオロブトキシエチルビニルエーテルなど;および
(8)その他の重合性単量体
N−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリンなどが挙げられる。
上記以外の他の繰り返し単位を誘導するモノマーとしては下記一般式(2)で表されるモノマーが好適に用いられる。
Figure 2006098800
上記一般式(2)において、R6は水素原子またはメチル基を表し、Zは2価の連結基を表し、R7は置換基を有してもよいポリ(アルキレンオキシ)基または置換基を有してもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基を表す。Zで表される2価の連結基としては、酸素原子、イオウ原子、または−N(R5)−が好ましい。ここで、R5は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。R5はより好ましくは、水素原子またはメチル基である。Zは、酸素原子、−NH−、または−N(CH3)−であることが特に好ましい。
上記一般式(2)においてR7で表される、ポリ(アルキレンオキシ)基は(RO)xで表すことができ、Rは2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基、例えば−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、または−CH(CH3)CH(CH3)−であることが好ましい。
上記ポリ(アルキレンオキシ)基中のアルキレンオキシ単位は、例えばポリ(プロピレンオキシ)のように全ての単位が同一であってもよく、また互いに異なる2種以上のアルキレンオキシ単位が不規則に分布したもの(例えば、直鎖プロピレンオキシ単位、分岐状プロピレンオキシ単位およびエチレンオキシ単位が不規則に分布したもの)であってもよく、また互いに異なる2種以上のアルキレンオキシ単位のブロックが結合したもの(例えば、直鎖または分岐状のプロピレンオキシ単位のブロックとエチレンオキシ単位のブロックが結合したもの)であってもよい。
上記ポリ(アルキレンオキシ)鎖として、複数のポリ(アルキレンオキシ)単位同士が1つまたはそれ以上の連結基(例えば−CONH−Ph−NHCO−、−S−など、ここでPhはフェニレン基を表す)で連結されたものも含むことができる。連結基が3価またはそれ以上の原子価を有する場合には、これにより分岐鎖状のアルキレンオキシ単位を得ることができる。またこの共重合体を本発明に用いる場合には、ポリ(アルキレンオキシ)基の分子量は250〜3000が適当である。
7で表される炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖および分岐してもよいメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基およびビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
7で表されるポリ(アルキレンオキシ)基またはアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等が挙げられるがこの限りではない。
上記一般式(2)で表されるモノマーは、アルキル(メタ)アクリレートまたはポリ(アルキレンオキシ)(メタ)アクリレートであることが特に好ましい。
上記一般式(2)で示されるモノマーの具体例(A−1〜A−150)を次に示すが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない
Figure 2006098800
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なお、ポリ(アルキレンオキシ)アクリレートおよびメタクリレートは、市販のヒドロキシポリ(アルキレンオキシ)材料、例えば商品名“プルロニック”[Pluronic(旭電化工業(株)製)、“アデカポリエーテル”(旭電化工業(株)製)“カルボワックス”[Carbowax(グリコ・プロダクス)]、“トリトン”[Toriton(ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas製))および“P.E.G”(第一工業製薬(株)製)として販売されているものを公知の方法でアクリル酸、メタクリル酸、アクリルクロリド、メタクリルクロリドまたは無水アクリル酸等と反応させることによって製造できる。
別に、公知の方法で製造したポリ(オキシアルキレン)ジアクリレート等を用いることもできる。
本発明におけるアゾ化合物中、上記一般式(1)で表されるモノマーの量は、該アゾ化合物の構成モノマー総量の50質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましく、80質量%以上であるのがさらに好ましい。
本発明におけるアゾ化合物の質量平均分子量は500〜100,000であることが好ましく、1000〜50,000であることがより好ましく、1000〜20,000であることがさらに好ましい。上記質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン(PS)換算の値として測定可能である。
本発明におけるアゾ化合物の重合方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ビニル基を利用したカチオン重合やラジカル重合、あるいは、アニオン重合等の重合方法を採用することができ、これらの中ではラジカル重合が汎用に利用できる点で特に好ましい。ラジカル重合の重合開始剤としては、ラジカル熱重合開始剤や、ラジカル光重合開始剤等の公知の化合物を使用することができるが、特に、ラジカル熱重合開始剤を使用することが好ましい。ここで、ラジカル熱重合開始剤は、分解温度以上に加熱することにより、ラジカルを発生させる化合物である。このようなラジカル熱重合開始剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド(アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、ケトンパーオキサイド(メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等)、ハイドロパーオキサイド(過酸化水素、tert−ブチルハイドパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等)、ジアルキルパーオキサイド(ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等)、パーオキシエステル類(tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等)、過硫酸塩類(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等)が挙げられる。このようなラジカル熱重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記ラジカル重合方法は、特に制限されるものでなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法等を採ることが可能である。典型的なラジカル重合方法である溶液重合についてさらに具体的に説明する。他の重合方法についても概要は同等であり、その詳細は例えば「高分子科学実験法」高分子学会編(東京化学同人、1981年)等に記載されている。
上記溶液重合を行うためには有機溶媒を使用する。これらの有機溶媒は本発明の目的、効果を損なわない範囲で任意に選択可能である。これらの有機溶媒は通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有する有機化合物であり、各構成成分を均一に溶解させる有機化合物が好ましい。好ましい有機溶媒の例を示すと、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;が挙げられる。なお、これらの有機溶媒は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることが可能である。さらに、モノマーや生成するポリマーの溶解性の観点から上記有機溶媒に水を併用した水混合有機溶媒も適用可能である。
また、溶液重合条件も特に制限されるものではないが、例えば、50〜200℃の温度範囲内で、10分〜30時間加熱することが好ましい。さらに、発生したラジカルが失活しないように、溶液重合中はもちろんのこと、溶液重合開始前にも、不活性ガスパージを行うことが好ましい。不活性ガスとしては通常窒素ガスが好適に用いられる。
本発明におけるアゾ化合物を好ましい分子量範囲で得るためには、連鎖移動剤を用いたラジカル重合法が特に有効である。上記連鎖移動剤としてはメルカプタン類(例えば、オクチルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン、チオフェノール、p−ノニルチオフェノール等)、ポリハロゲン化アルキル(例えば、四塩化炭素、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1−トリブロモオクタンなど)、低活性モノマー類(α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等)のいずれも用いることができるが、好ましくは炭素数4〜16のメルカプタン類である。これらの連鎖移動剤の使用量は、連鎖移動剤の活性やモノマーの組み合わせ、重合条件などにより著しく影響され精密な制御が必要であるが、通常は使用するモノマーの全モル数に対して0.01モル%〜50モル%程度であり、好ましくは0.05モル%〜30モル%、特に好ましくは0.08モル%〜25モル%である。これらの連鎖移動剤は、重合過程において重合度を制御するべき対象のモノマーと同時に系内に存在させればよく、その添加方法については特に問わない。モノマーに溶解して添加してもよいし、モノマーと別途に添加することも可能である。
以下に、本発明におけるアゾ化合物として好ましく用いられる共重合体の具体例(P−1〜P−26)を示すが、本発明はこれらの具体例によってなんら限定されるものではない。ここで式中の数値は、それぞれ各モノマーの組成比を示す質量百分率であり、MwはGPCにより測定されたPS換算の質量平均分子量である。a、b等の数値は質量比を表す。
Figure 2006098800
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本発明における配向膜は、アゾ化合物を水または極性有機溶媒に溶解した塗布液を、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により塗布した後、水あるいは極性有機溶媒を除去することによって配向膜を形成することができる。配向膜の厚さは、0.01μm〜2μmであることが好ましく、0.01μm〜0.1μmであることが特に好ましい。
また、本発明における配向膜は、配向膜に配向機能を付与するため、膜に対して単一な方向から光を照射されたものであることが好ましい。この際、照射光としてはX線、電子線、紫外線、可視光線または赤外線(熱線)が用いられ、紫外線を用いることが特に好ましい。紫外線の波長は400nm以下であることが好ましく、180nm〜360nmであることがさらに好ましい。光源としては低圧水銀ランプ、高圧放電ランプ、あるいはショートアーク放電ランプが好ましく用いられる。
光は可能な限り単一方向に揃えて膜に照射することが好ましい。この「単一方向」とは、膜平面(光の方向を膜平面に投影した向き)において単一の方向であることを意味し、膜平面に対して水平または垂直の方向も含む。ただし、膜平面に対して斜め方向から照射することが好ましい。照射方向はディスコティック液晶性化合物を配向させたい方向によって調節する。
液晶セルに配向膜を用いる従来技術では、両面配向膜の間に液晶層を設けてから光照射を実施していた。しかしながら本発明ではディスコティック液晶性化合物からなる光学異方性層を設ける前に光照射を実施することが好ましい。よって、透明支持体側からではなく、直接、配向膜に対して光照射を実施することができる。また、一般には直線偏光を照射していたが、本発明では非偏光の光照射によっても配向機能を付与することができる。照射量は10mJ/cm2〜30000mJ/cm2が好ましく、20mJ/cm2〜6000mJ/cm2であることが最も好ましい。これらのことから、本発明においては、上記光照射が単一方向からの非偏光照射であることが好ましい。
〈光学異方性層〉
本発明における光学異方性層は、重合性基を一つ以上有するディスコティック液晶性化合物の少なくとも一種を含有する。
本発明の光学補償シートは、ディスコティック液晶性化合物、およびその他必要に応じて添加する各種化合物を含有する組成物(以下、「本発明における組成物」と称する。)を、本発明における配向膜上に塗布し、ディスコティック液晶性化合物を配向させることにより光学異方性層を形成する工程を含む方法によって作製することができる。上記光学異方性層は、ディスコティック液晶性化合物の配向によって発現された光学異方性を示す。以下に、本発明の光学補償シートの光学異方性層に用いられる材料のうち、上記で説明したアゾ化合物系配向膜以外の材料について詳細に説明する。
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明におけるディスコティック液晶性化合物(以下、単に「液晶性化合物」と称する場合がある。)としては、ディスコティックコアに置換基として重合性基が結合した液晶性化合物が用いられる。本発明における光学異方性層は、本発明におけるディスコティック液晶性化合物をハイブリッド配向させた後、上記液晶性化合物を重合させてハイブリッド配向を固定されることが好ましい。但し、ディスコティックコアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる傾向にある。そこで、ディスコティックコアと重合性基との間に、連結基を導入することが好ましい。重合性基を有する好ましいディスコティック液晶性化合物としては、下記一般式(3)で表わされる化合物が挙げられる。
一般式(3)
D(−L−P)n
式中、Dはディスコティックコアを表し、Lは二価の連結基を表し、Pは重合性基を表し、nは2〜12のいずれかの整数を表す。本発明におけるディスコティック液晶性化合物としては、上記Dがトリフェニレンコアであることが特に好ましい。上記ディスコティック液晶性化合物の具体例としては、国際公開WO01/88574A1号公報の58頁6行〜65頁8行に記載されている。
本発明で用いられる最も好ましいディスコティック液晶性化合物としては、特開平7−306317号公報記載の一般式(1)〜(3)にて表されるトリフェニレン誘導体、および特開2001−100028号公報記載の一般式(I)で表されるトリフェニレン誘導体の中で、トリフェニレンコアと重合性基との間に連結基を有する化合物を挙げることができる。
本発明では、2種類以上のディスコティック液晶性化合物を併用してもよい。また、例えば、上記の重合性ディスコティック液晶性化合物と非重合性ディスコティック液晶性化合物とを併用することも可能である。非重合性ディスコティック液晶性化合物は、前述した重合性ディスコティック液晶性化合物の重合性基(一般式(3)中のP)を、水素原子またはアルキル基に変更した化合物であることが好ましい。すなわち、非重合性ディスコティック液晶性化合物は、下記式(4)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(4)
D(−L−R)n
〔一般式(4)中、Dはディスコティックコアを、Lは二価の連結基を、Rは水素原子またはアルキル基を表し、nは4〜12の整数である。〕
光学異方性層が最終的に形成された際に、液晶性化合物はもはや液晶性化合物である必要はない。例えば、本発明における重合性基を有するディスコティック液晶性化合物が、熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化して、液晶性を失っていてもよい。ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載があり、本発明にも適用することができる。
(光学異方性層の添加剤)
本発明における光学異方性層を、上記液晶性化合物を含む組成物を用いて形成する場合、上記組成物中には、上記ディスコティック液晶性化合物の他に、任意の添加剤を併用することができる。上記添加剤の例としては、風ムラ防止剤、ハジキ防止剤、配向膜のチルト角(光学異方性層/配向膜界面での液晶性化合物のチルト角)を制御するための添加剤、重合開始剤、配向温度を低下させる添加剤(可塑剤)、重合性モノマー等が挙げられる。以下、各添加剤について説明する。
−風ムラ防止剤−
ディスコティック液晶性化合物とともに使用して、塗布時の風ムラを防止するための風ムラ防止剤としては、一般にフッ素系ポリマーを好適に用いることができる。上記ディスコティック液晶性化合物とフッ素系ポリマーとを併用することによって、ムラを生じることなく表示品位の高い画像を表示することができる。さらに、ハジキなどの塗布性も改善される。液晶性化合物の配向を阻害しないように、風ムラ防止目的で使用されるフッ素系ポリマーの添加量は、上記液晶性化合物に対して一般に0.1〜2質量%の範囲であるのが好ましく、0.1〜1質量%の範囲にあるのがより好ましく、0.4〜1質量%の範囲にあるのがさらに好ましい。
使用するフッ素系ポリマーとしては、液晶性化合物のチルト角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。風ムラ防止剤として使用可能なフッ素系ポリマーの例としては、特開2004−198511公報、特願2003−129354号明細書、特願2004−12139号明細書に記載がある。また、以下のフッ素系ポリマーを用いることができる。
本発明に使用可能なフッ素系ポリマーは、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含有することを特徴とする。ポリマーの種類としては、「改訂 高分子合成の化学」(大津隆行著、発行:株式会社化学同人、1968)1〜4ページに記載があり、例えば、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリスルホン類、ポリカーボナート類、ポリエーテル類、ポリアセタール類、ポリケトン類、ポリフェニレンオキシド類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリアリレート類、PTFE類、ポリビニリデンフロライド類、セルロース誘導体などが挙げられる。前記フッ素系ポリマーは、ポリオレフィン類であることが好ましい。
前記フッ素系ポリマーは、フルオロ脂肪族基を側鎖に有するポリマーである。前記フルオロ脂肪族基は、炭素数1〜12であるのが好ましく、6〜10であるのがより好ましい。脂肪族基は、鎖状であっても環状であってもよく、鎖状である場合は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。中でも、直鎖状の炭素数6 〜10のフルオロ脂肪族基が好ましい。フッ素原子による置換の程度については特に制限はないが、脂肪族基中の50%以上の水素原子がフッ素原子に置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましい。フルオロ脂肪族基は、エステル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合、チオエーテル結合、芳香族環などを介してポリマー主鎖と結合した側鎖に含まれる。フルオロ脂肪族基の一つは、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)又はオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれるものである。これらのフルオロ脂肪族化合物の製造法に関しては、例えば、「フッ素化合物の合成と機能」(監修:石川延男、発行:株式会社シーエムシー、1987)の117〜118ページや、「Chemistry of Organic Fluorine Compounds II」(Monograph 187,Ed by Milos Hudlicky and Attila E.Pavlath,American Chemical Society 1995)の747−752ページに記載されている。テロメリゼーション法とは、ヨウ化物等の連鎖移動常数の大きいアルキルハライドをテローゲンとして、テトラフルオロエチレン等のフッ素含有ビニル化合物のラジカル重合を行い、テロマーを合成する方法である(Scheme−1に例を示した)。
Figure 2006098800
得られた、末端ヨウ素化テロマーは通常、例えば[Scheme2]のごとき適切な末端化学修飾を施され、フルオロ脂肪族化合物へと導かれる。これらの化合物は必要に応じ、さらに所望のモノマー構造へと変換され、フルオロ脂肪族基含有ポリマーの製造に使用される。
Figure 2006098800
本発明に使用可能なフッ素系ポリマーの製造に利用可能なモノマーの具体例を以下に挙げるが、本発明で用いることができるフッ素系ポリマーは以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
Figure 2006098800
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本発明に使用可能なフッ素系ポリマーの一態様は、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位と、下記一般式(1)で表される親水性基を含有する繰り返し単位とを有する共重合体である。
Figure 2006098800
上記一般式(1)において、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。Qはカルボキシル基(−COOH)またはその塩、スルホ基(−SO3H)またはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}またはその塩を表す。Lは下記の連結基群から選ばれる任意の基、またはそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、アルキレン基およびアリーレン基。
一般式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または下記に例示した置換基群から選ばれる置換基を表す。
(置換基群)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
1、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、または後述する−L−Qで表される基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、塩素原子、−L−Qで表される基であることがより好ましく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましく、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基であることが最も好ましい。該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。該アルキル基は、適当な置換基を有していても良い。該置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、スルホリル基、カルボキシル基などが挙げられる。なお、アルキル基の炭素数は、置換基の炭素原子を含まない。以下、他の基の炭素数についても同様である。
Lは、上記連結基群から選ばれる2価の連結基、またはそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。上記連結基群中、−NR4−のR4は、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、好ましくは水素原子又はアルキル基である。また、−PO(OR5)−のR5はアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、好ましくはアルキル基である。R4およびR5がアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す場合の炭素数は「置換基群」で説明したものと同じである。Lとしては、単結合、−O−、−CO−、−NR4−、−S−、−SO2−、アルキレン基またはアリーレン基を含むことが好ましく、−CO−、−O−、−NR4−、アルキレン基又はアリーレン基を含んでいることが特に好ましい。Lがアルキレン基を含む場合、アルキレン基の炭素数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6である。特に好ましいアルキレン基の具体例として、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラブチレン、ヘキサメチレン基等が挙げられる。Lが、アリーレン基を含む場合、アリーレン基の炭素数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12である。特に好ましいアリーレン基の具体例として、フェニレン、ナフタレン基等が挙げられる。Lが、アルキレン基とアリーレン基を組み合わせて得られる2価の連結基(即ちアラルキレン基)を含む場合、アラルキレン基の炭素数は、好ましくは7〜34、より好ましくは7〜26、特に好ましくは7〜16である。特に好ましいアラルキレン基の具体例として、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、メチレンフェニレン基等が挙げられる。Lとして挙げられた基は、適当な置換基を有していてもよい。このような置換基としては先にR1〜R3における置換基として挙げた置換基と同様なものを挙げることができる。
以下にLの具体的構造を例示するが、本発明で採用しうるLはこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006098800
Figure 2006098800
前記式(I)中、Qはカルボキシル基、カルボキシル基の塩(例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩(例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、ジメチルフェニルアンモニウムなど)、ピリジニウム塩など)、スルホ基、スルホ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)、ホスホノキシ基、ホスホノキシ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)を表す。より好ましくはカルボキシル基、スルホ基、ホスホ基であり、特に好ましいのはカルボキシル基またはスルホ基である。
前記フッ素系ポリマーは、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。また、前記フッ素系ポリマーは、上記各繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を1種または2種以上有していてもよい。前記他の繰り返し単位については特に制限されず、通常のラジカル重合反応可能なモノマーから誘導される繰り返し単位が好ましい例として挙げられる。以下、他の繰り返し単位を誘導するモノマーの具体例を挙げる。前記フッ素系ポリマーは、下記モノマー群から選ばれる1種または2種以上のモノマーから誘導される繰り返し単位を含有していてもよい。
モノマー群
(1)アルケン類
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど;
(2)ジエン類
1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、1−クロロブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロロ−1,3−ブタジエン及び2−シアノ−1,3−ブタジエン、1,4−ジビニルシクロヘキサンなど;
(3)α,β−不飽和カルボン酸の誘導体
(3a)アルキルアクリレート類
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなど);
(3b)アルキルメタクリレート類
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アリルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなど;
(3c)不飽和多価カルボン酸のジエステル類
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、タコン酸ジブチル、クロトン酸ジブチル、クロトン酸ジヘキシル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなど;
(3e)α、β−不飽和カルボン酸のアミド類
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチルマレイミドなど;
(4)不飽和ニトリル類
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
(5)スチレンおよびその誘導体
スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−tertブチルスチレン、p−ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−アセトキシスチレンなど;
(6)ビニルエステル類
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、メトキシ酢酸ビニル、フェニル酢酸ビニルなど;
(7)ビニルエーテル類
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フルオロブチルビニルエーテル、フルオロブトキシエチルビニルエーテルなど;および
(8)その他の重合性単量体
N−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリンなど。
前記フッ素系ポリマー中、フルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該ポリマーの構成モノマー総量の5モル%以上であるのが好ましく、10モル%以上であるのがより好ましく、30モル%以上であるのがさらに好ましい。前記フッ素系ポリマーにおいて、前記一般式(1)で表される繰り返し単位の量は、該フッ素ポリマーの構成モノマー総量の3モル%以上であるのが好ましく、5〜50モル%であるのがより好ましく、10〜40モル%であるのがさらに好ましい。上記の質量百分率は使用するモノマーの分子量により好ましい範囲の数値が変動し易いため、ポリマーの単位質量当たりの官能基モル数で表す方が、一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量を正確に規定できる。該表記を用いた場合、前記フッ素系ポリマー中に含有される親水性基(式(1)中のQ)の好ましい量は、0.1mmol/g〜10mmol/gであり、より好ましい量は0.2mmol/g〜8mmol/gである。
本発明に用いる前記フッ素系ポリマーの質量平均分子量は1,000〜1,000,000であるのが好ましく、1,000〜500,000であるのがより好ましく、1,000〜100,000であるのがさらに好ましい。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリエチレンオキサイド(PEO)換算の値として測定可能である。
前記フッ素系ポリマーの重合方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ビニル基を利用したカチオン重合やラジカル重合、あるいは、アニオン重合等の重合方法を採ることができ、これらの中ではラジカル重合が汎用に利用できる点で特に好ましい。ラジカル重合の重合開始剤としては、ラジカル熱重合開始剤や、ラジカル光重合開始剤等の公知の化合物を使用することができるが、特に、ラジカル熱重合開始剤を使用することが好ましい。ここで、ラジカル熱重合開始剤は、分解温度以上に加熱することにより、ラジカルを発生させる化合物である。このようなラジカル熱重合開始剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド(アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、ケトンパーオキサイド(メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等)、ハイドロパーオキサイド(過酸化水素、tert−ブチルハイドパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等)、ジアルキルパーオキサイド(ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等)、パーオキシエステル類(tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等)、過硫酸塩類(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等)が挙げられる。このようなラジカル熱重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
ラジカル重合方法は、特に制限されるものでなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法等を採ることが可能である。典型的なラジカル重合方法である溶液重合についてさらに具体的に説明する。他の重合方法についても概要は同等であり、その詳細は例えば「高分子科学実験法」高分子学会編(東京化学同人、1981年)等に記載されている。
溶液重合を行うためには有機溶媒を使用する。これらの有機溶媒は本発明の目的、効果を損なわない範囲で任意に選択可能である。これらの有機溶媒は通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有する有機化合物であり、各構成成分を均一に溶解させる有機化合物が好ましい。好ましい有機溶媒の例を示すと、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;が挙げられる。なお、これらの有機溶媒は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることが可能である。さらに、モノマーや生成するポリマーの溶解性の観点から上記有機溶媒に水を併用した水混合有機溶媒も適用可能である。
また、溶液重合条件も特に制限されるものではないが、例えば、50〜200℃の温度範囲内で、10分〜30時間加熱することが好ましい。さらに、発生したラジカルが失活しないように、溶液重合中はもちろんのこと、溶液重合開始前にも、不活性ガスパージを行うことが好ましい。不活性ガスとしては通常窒素ガスが好適に用いられる。
前記フッ素系ポリマーを好ましい分子量範囲で得るためには、連鎖移動剤を用いたラジカル重合法が特に有効である。連鎖移動剤としてはメルカプタン類(例えば、オクチルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン、チオフェノール、p−ノニルチオフェノール等)、ポリハロゲン化アルキル(例えば、四塩化炭素、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1−トリブロモオクタンなど)、低活性モノマー類(α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等)のいずれも用いることができるが、好ましくは炭素数4〜16のメルカプタン類である。これらの連鎖移動剤の使用量は、連鎖移動剤の活性やモノマーの組み合わせ、重合条件などにより著しく影響され精密な制御が必要であるが、通常は使用するモノマーの全モル数に対して0.01モル%〜50モル%程度であり、好ましくは0.05モル%〜30モル%、特に好ましくは0.08モル%〜25モル%である。これらの連鎖移動剤は、重合過程において重合度を制御するべき対象のモノマーと同時に系内に存在させればよく、その添加方法については特に問わない。モノマーに溶解して添加してもよいし、モノマーと別途に添加することも可能である。
以下に、フッ素系ポリマーとして本発明に好ましく用いられるフルオロ脂肪族基含有共重合体の具体例を示すが、本発明で用いることができるフッ素系ポリマーはこれらの具体例によってなんら限定されるものではない。ここで式中の数値は、それぞれ各モノマーの組成比を示す質量百分率であり、MwはGPCにより測定されたPEO換算の質量平均分子量である。a、b、c、d等の数値は重量比を表す。
Figure 2006098800
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Figure 2006098800
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本発明に用いられるフッ素系ポリマーは、公知慣用の方法で製造することができる。例えば先にあげたフルオロ脂肪族基を有するモノマー、水素結合性基を有するモノマー等を含む有機溶媒中に、汎用のラジカル重合開始剤を添加し、重合させることにより製造できる。また、場合によりその他の付加重合性不飽和化合物を、さらに添加して上記と同じ方法にて製造することができる。各モノマーの重合性に応じ、反応容器にモノマーと開始剤を滴下しながら重合する滴下重合法なども、均一な組成のポリマーを得るために有効である。
−ハジキ防止剤−
ディスコティック液晶性化合物とともに使用して、塗布時のハジキを防止するためのハジキ防止剤としては、一般に高分子化合物(ポリマー)を好適に用いることができる。ハジキ防止剤として使用できるポリマーとしては、上記液晶性化合物と相溶性を有し、液晶性化合物のチルト角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。上記ハジキ防止剤として使用可能なポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。該セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。液晶性化合物の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、液晶性化合物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
−配向膜チルト角制御剤−
配向膜のチルト角を制御する配向膜チルト角制御剤としては、分子内に極性基と非極性基との両方を有する化合物を添加することができる。上記極性基を有する化合物としては、R−OH、R−COOH、R−O−R、R−NH2、R−NH−R、R−SH、R−S−R、R−CO−R、R−COO−R、R−CONH−R、R−CONHCO−R、R−SO3H、R−SO3−R、R−SO2NH−R、R−SO2NHSO2−R、R−C=N−R、HO−P(−OR)2、(HO−)2P−OR、P(−OR)3、HO−PO(−OR)2、(HO−)2PO−OR、PO(−OR)3、R−NO2、R−CN、等が例として挙げられる。また、有機塩(例えば、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩)でもよい。上記極性基を有する化合物の中でも、R−OH、R−COOH、R−O−R、R−NH2、R−SO3H、HO−PO(−OR)2、(HO−)2PO−OR、PO(−OR)3もしくは有機塩が好ましい。ここで、上記各Rは非極性基を表し、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30の直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数1〜30の直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数1〜30の直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基)、アリール基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基)が例として挙げられる。これらの非極性基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアゾ基、ヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が例として挙げられる。
本発明における組成物に配向膜チルト制御剤を添加し、配向膜チルト制御剤の存在下で液晶性化合物の分子を配向させることで、配向膜側界面における液晶性化合物のチルト角を調整することができる。配向膜チルト角制御剤の添加量は、一般的には、液晶性化合物の質量に対して0.0001質量%〜30質量%であるのが好ましく、0.001質量%〜20質量%であるのがより好ましく、0.005質量%〜10質量%であるのがさらに好ましい。本発明に使用可能な配向膜チルト制御剤の具体例(T−1〜T−35)を以下に示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。
Figure 2006098800
Figure 2006098800
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−重合開始剤−
光学異方性層は、液晶性化合物の分子を配向状態に固定して形成されることが好ましく、この際、重合反応を利用して液晶性化合物の分子を固定するのが好ましい。上記重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と、光重合開始剤を用いる光重合反応と、が含まれるが、熱により支持体等が変形または変質するのを防ぐためにも、光重合反応が好ましい。上記光重合開始剤の例、光重合開始財の使用量および重合のための光照射エネルギーの値の各々は特開2001−91741号公報の段落[0050]〜[0051]の記載が本発明に適用できる。
−重合性モノマー−
本発明においては、上記液晶性化合物とともに重合性モノマーを使用してもよい。本発明に使用可能な重合性モノマーとしては、液晶性化合物と相溶性を有し、液晶性化合物のチルト角変化や配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。上記重合性モノマーの添加量は、上記液晶性化合物に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを用いると、配向膜と光学異方性層との間の密着性を高める効果が期待できるため、特に好ましい。
−塗布溶剤−
本発明における組成物は、塗布液として調製してもよい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
−塗布方式−
上記塗布液の配向膜表面への塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。また、塗布液における液晶性化合物の含有量は1〜50質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。
(光学異方性層の特性)
光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることが最も好ましい。
また、本発明における組成物を配向膜上に適用すると、液晶性化合物は配向膜との界面では配向膜のチルト角で配向し、空気との界面では空気界面のチルト角で配向する。本発明の組成物を配向膜の表面に塗布後、液晶性化合物を均一配向(モノドメイン配向)させることで、実態ではないが、イメージで表すと空気界面から配向膜界面に向けて、つまり光学異方性層の深さ方向に液晶性化合物のチルト角(ディスコティック液晶性化合物の円盤面の法線と透明支持体の配向膜を設ける面の法線とがなす角)が連続的に変化するハイブリッド配向を実現することができる。上記液晶性化合物をハイブリッド配向させ、且つその配向状態に固定することによって形成された光学異方性層を有する光学補償シートは、液晶表示装置の視野角の拡大に寄与し、並びに視角変化に対するコントラスト低下、階調または黒白反転、および色相変化等を防止するのに寄与する。
一般的に、ディスコティック液晶性化合物は、空気界面のチルト角50°以上で配向させることができる。光学補償シートとして好ましい性能を発揮できる状態のハイブリッド配向を実現するためには、配向膜側の液晶性化合物のチルト角は3°〜30°とするのが好ましい。この配向膜側の液晶性化合物のチルト角は、上記した方法(配向膜の光照射方向、配向膜チルト角制御剤等)により制御することができる。一方、空気界面側の液晶性化合物のチルト角は、所望により添加される他の化合物(例えば、上記水素結合性基を有する少なくとも二種の化合物より形成される水平配向化剤など)を選択することにより調整することができ、本発明の光学補償シートを適用する液晶表示装置の表示モードに応じて、好ましいハイブリッド配向状態を実現することができる。
−チルト角−
「チルト角」とは、液晶性化合物の分子の長軸方向と界面(配向膜界面あるいは空気界面)との法線がなす角度を指し、本発明では、配向膜側のチルト角は3°〜30°、空気界面側のチルト角は40〜80°であるのが好ましい。配向膜側のチルト角は小さすぎると、液晶性化合物、特にディスコティック液晶性化合物をモノドメイン配向させるのに要する時間が長くなるため大きい方が好ましいが、チルト角が大きくなりすぎると、光学補償シートとして好ましい光学性能が得られなくなるため逆に好ましくない。したがって、モノドメイン化時間の短縮と光学補償シートとしての好ましい光学性能との両立の観点から、好ましい配向膜側のチルト角は5°〜50°であり、更に好ましくは10〜50°であり、特に好ましいのは10〜30°である。また、好ましい空気界面側のチルト角は40〜80°であり、更に好ましくは50〜80°であり、特に好ましいのは50〜70°である。配向膜側のチルト角は、配向膜の光照射方向を変える方法、あるいは前述の配向膜チルト角制御剤の添加などにより、数度〜数十度の範囲で制御可能である。なお、上述した様に、光学異方性層が一旦形成された後、転写などにより2つの層間に配置されている場合等は、必ずしも光学異方性層の界面は配向膜界面と空気界面とでなく、かかる態様では、光学異方性層が有する2つの界面のうち一方の界面側および他方の界面側それぞれにおける液晶性化合物のチルト角が、上記配向膜側チルト角の範囲および上記空気界面側のチルト角の範囲であることが好ましい。特に、上記光学異方性層の配向膜界面のディスコティック液晶性化合物のチルト角θ1は10°≦θ1≦30°を満足することが好ましい。
2つの界面のチルト角は、光学異方性層の配向膜側の面における傾斜角(ディスコティック液晶性化合物等における物理的な対称軸が光学異方性層の界面となす角度)θ1および空気界面側の面の傾斜角θ2を求めることによって得られる。θ1およびθ2を直接的にかつ正確に測定することは困難であるため、本明細書においては算出を容易にするために下記の2点の仮定に基づいてθ1及びθ2を算出した。本手法は本発明の実際の配向状態を正確に表現していないが、光学フィルムのもつ一部の光学特性の相対関係を表す手段として有効である。
1.光学異方性層はディスコティック液晶性化合物等を含む層で構成された多層体と仮定する。さらに、それを構成する最小単位の層(ディスコティック液晶性化合物の傾斜角は該層内において一様と仮定)は光学的に一軸と仮定する。
2.各層の傾斜角は光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化すると仮定する。
具体的な算出法は下記のとおりである。
(1)各層内の傾斜角が光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化する面内で、光学異方性層への測定光の入射角を変化させ、3つ以上の測定角でレターデーション値を測定する。測定および計算を簡便にするためには、光学異方性層に対する法線方向を0°とし、−40°、0°、+40°の3つの測定角でレターデーション値を測定することが好ましい。このような測定は、KOBRA-21ADHおよびKOBRA-WR(王子計測器(株)製)、透過型のエリプソメーターAEP-100((株)島津製作所製)、M150およびM520(日本分光(株)製)、ABR10A(ユニオプト(株)製)で行うことができる。
(2)上記のモデルにおいて、各層の常光の屈折率をno、異常光の屈折率をne(neは各々すべての層において同じ値、noも同様とする)、及び多層体全体の厚みをdとする。さらに各層における傾斜方向とその層の一軸の光軸方向とは一致するとの仮定の元に、光学異方性層のレターデーション値の角度依存性の計算が測定値に一致するように、光学異方性層の一方の面における傾斜角θ1および他方の面の傾斜角θ2を変数としてフィッティングを行い、θ1およびθ2を算出する。
ここで、noおよびneは文献値、カタログ値等の既知の値を用いることができる。値が未知の場合はアッベ屈折計を用いて測定することもできる。光学異方性層の厚みは、光学干渉膜厚計、走査型電子顕微鏡の断面写真等により測定数することができる。測定波長は632.8nmである。
なお、液晶性化合物を配向させて、重合等によりその状態を固定すれば、配向膜がなくてもその配向状態を維持することができる。従って、上記光学異方性層を配向膜(例えば仮支持体上に形成された配向膜)上に形成した後、透明支持体上に光学異方性層のみを転写することによって、本発明の光学補償シートを作製することもできる。即ち、本発明には、配向膜を含まない光学補償シートの態様も含まれる。
〈透明支持体〉
本発明に使用する透明支持体は、光透過率が80%以上であることが好ましい。また、本発明における透明支持体としては、光学的等方性のポリマーフィルムを用いることが好ましい。上記光学的等方性のポリマーフィルムの具体例および好ましい態様は、特開2002−22942号公報の段落番号[0013]の記載を適用できる。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても国際WO00/26705号明細書に記載の分子を修飾することで上記発現性を低下させたものを用いることもできる。
上記ポリマーフィルムとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。該セルロースアセテートは、特に酢化度が57.0〜62.0%であることが好ましい。酢化度、およびその範囲、並びにセルロースアセテートの化学構造は、特開2002−196146号公報の段落番号[0021]の記載を適用できる。セルロースアシレートフィルムを、非塩素系溶媒を用いて製造することについては、発明協会公開技報2001−1745号に詳しく記載されており、該技報に記載されたセルロースアシレートフィルムも本発明に好ましく用いることができる。
上記透明支持体として用いるセルロースエステルフィルムの厚み方向のレターデーション値、および複屈折率の範囲は、特開2002−139621号公報の段落番号[0018]〜[0019]の記載を適用できる。
上記透明支持体として用いるポリマーフィルム、特にセルロースアシレートフィルムのレターデーションを調整するためには、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することが好ましい。上記芳香族化合物の好ましい範囲、および使用量は、特開2002−139621号公報の段落番号[0021]〜[0023]の記載を適用できる。このようなレターデーション上昇剤について国際公開はWO01/88574A1、国際公開WO00/2619A1、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、特開2002−363343号公報等に記載されている。
上記セルロースアシレートフィルムは、調製されたセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりを製造することが好ましい。ドープには、上記のレターデーション上昇剤を添加することが好ましい。調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて、ドープの2層以上流延によるフィルム化もできる。フィルムの形成は、特開2002−139621号公報の段落番号[0038]〜[0040]の記載を適用できる。
上記セルロースアシレートフィルムは、さらに延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、3〜100%の範囲にあることが好ましい。上記セルロースアシレートフィルムを延伸する場合には、テンター延伸が好ましく使用され、遅相軸を高精度に制御するために、左右のテンタークリップ速度、離脱タイミング等の差をできる限り小さくすることが好ましい。
セルロースエステルフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、特開2002−139621号公報の段落番号[0043]の態様、および好ましい範囲が本発明に適用できる。
セルロースエステルフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開2002−139621号公報の段落番号[0044]の記載を適用できる。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。
セルロースアシレートフィルムの表面処理、および固体の表面エネルギーについては、特開2002−196146号公報の段落番号[0051]〜[0052]の記載を適用できる。
セルロースアシレートフィルムの厚さは、使用目的によって異なるが、通常5〜500μmの範囲であり、さらに20〜250μmの範囲が好ましく、特に30〜180μmの範囲が最も好ましい。なお、光学用途としては30〜110μmの範囲が特に好ましい。
〈光学補償シートの用途〉
本発明の光学補償シートは、偏光膜と組合せて楕円偏光板の用途に供することができる。さらに、透過型液晶表示装置に、偏光膜と組合せて適用することにより、視野角の拡大に寄与する。以下に、本発明の光学補償シートを利用した楕円偏光板および液晶表示装置について説明する。
[楕円偏光板]
上記楕円偏光板は、本発明の光学補償シートと偏光膜とを積層することによって作製することができる。本発明の光学補償シートを利用することにより、液晶表示装置の視野角を拡大しうる楕円偏光板を提供することができる。上記偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造することができる。偏光膜の偏光軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
上記偏光膜は上記光学補償シートの光学異方性層側に積層する。偏光膜の光学補償シートを積層した側と反対側の面に透明保護膜を形成することが好ましい。透明保護膜は、光透過率が80%以上であるのが好ましい。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
[液晶表示装置]
本発明の光学補償シートの利用により、視野角が拡大された液晶表示装置を提供することができる。また、表示ムラのない高品位の画像を表示し得る液晶表示装置を提供することができる。TNモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平6−214116号公報、米国特許5,583,679号、同5,646,703号、ドイツ特許公報3911620A1号の各明細書に記載がある。また、IPSモードまたはFLCモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平10−54982号公報に記載がある。さらに、OCBモードまたはHANモードの液晶セル用光学補償シートは、米国特許5,805,253号明細書および国際公開WO96/37804号公報に記載がある。さらにまた、STNモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平9−26572号公報に記載がある。そして、VAモードの液晶セル用光学補償シートは、特許番号第2866372号公報に記載がある。
本発明において、上記公報を参考にして各種のモードの液晶セル用光学補償シートを作製することができる。本発明の光学補償シートは、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードなど、種々のモードで駆動される液晶セルと組合わせて液晶表示装置に適用できる。本発明の光学補償シートは、TN(Twisted Nematic)モードまたはOCB(Optically Compensatory Bend)モードの液晶表示装置において特に効果がある。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作などは本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
[実施例1]
(光学補償シートの作製)
厚さ100μm、サイズ270mm×100mmのトリアセチルセルロースフィルム(フジタック、富士写真フイルム(株)製)を透明支持体として用いた。透明支持体上にアゾ化合物(上述の具体例(P−3))を50nmの厚さに塗布、乾燥し、波長365nm付近に輝線スペクトルを有する非偏光の紫外線をフィルム面に対して45°方向(単一方向)から照射し、配向膜を作製した。この時の照射量は30J/cm2であった。配向膜の上に、以下の組成の光学異方性層塗布液をバーコーターを用いて塗布した。
〔光学異方性層塗布液の組成〕
・下記ディスコティック液晶性化合物(1) 100質量部
・エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9.9質量部
・光重合開始剤 3.3質量部
(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)
・増感剤 1.1質量部
(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製)
・メチルエチルケトン 300質量部
Figure 2006098800
次に、上記塗布層を膜面温度120℃で加熱熟成した後、約20秒間で80℃まで冷却した。次いで、同温度を保持したまま0.4J/cm2の紫外線を照射して光学異方性層の配向状態を固定した。形成した光学異方性層の厚さは1.8μmであった。以上の如く光学異方性層を形成し光学補償シートを作製した。
(光学補償シートの評価)
得られた光学補償シートを温度25℃、湿度60%の条件下で1時間放置した。光学補償シートの光学異方性層における液晶性分子の配向膜側のチルト角および空気界面側のチルト角を、段落番号0156に記載の方法にしたがって算出した。結果を下記表1に示す。
[実施例2〜4、比較例1]
表1に記載の如くアゾ化合物をそれぞれ代えた以外は、実施例1と同様にして光学補償シートを作製し、チルト角算出を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1におけるアゾ化合物を比較例1で用いたAA−1に変更し、更に85℃に加熱した状態で実施例1と同条件で光照射し、それ以外は、実施例1と同様にして光学補償シートを作製し、チルト角算出を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1におけるディスコティック液晶性化合物(1)を下記のディスコティック液晶性化合物(2)に代えた以外は、実施例1と同様にして光学補償シートを作製し、チルト角算出を行った。結果を表1に示す。
Figure 2006098800
Figure 2006098800
Figure 2006098800
上記表1に示した結果から、光学異方性層の形成において、本発明におけるアゾ化合物を配向膜として使用した実施例1〜4の場合、ハイブリッド配向を実現できていることが分かる。一方で、従来のアゾ化合物を使用した場合、85℃に加熱した状態で光照射すればディスコティック液晶性化合物(1)は配向する(比較例2)が、光照射のみでは均一配向せずシュリーレン欠陥が見られた(比較例1)。ここで「シュリーレン欠陥」とは透明体の中にできる光学的なむらを有することを意味する。ことがわかった。また、重合性基を有しないディスコティック液晶性化合物を用いた比較例3の場合、全面にマルチドメインの針状模様の結晶相が成長しており、光学補償シートとしての性能が失われていた。
次に、液晶表示装置としての応用例を示す。
[実施例5]
(ポリマー基材の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
Figure 2006098800
Figure 2006098800
得られた内層用ドープおよび外層用ドープを三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶剤量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を110%として搬送しながら80℃で乾燥させ、残留溶剤量が10%となったところで、110℃にて乾燥させた。その後、140℃の温度で30分間乾燥し、残留溶剤が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(外層:3μm、内層:74μm、外層:3μm)を製造した。作製したセルロースアセテートフィルムをポリマー基材として、光学特性を測定した。
得られたポリマー基材(PK−1)の幅は1340mmであり、厚さは、80μmであった。エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長630nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、8nmであった。また、波長630nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、82nmであった。
作製したポリマー基材(PK−1)を2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥した。このPK−1の表面エネルギーを接触角法により求めたところ、63mN/mであった。
このPK−1上に、アゾ化合物(P−3)を50nmの厚さに塗布、乾燥し、波長365nm付近に輝線スペクトルを有する非偏光の紫外線を、ポリマー基材(PK−1)の遅相軸(波長632.8nmで測定)と平行方向、且つ、基材面に対して45°方向(単一方向)から照射し、配向膜を作製した。この時の照射量は30J/cm2であった。
(光学異方性層の形成)
−光学異方性層の組成物A−
・実施例1のディスコティック液晶性化合物 41.01質量部
・エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 4.06質量部
・光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35質量部
・増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.45質量部
組成物Aからなる塗布液を、102kgのメチルエチルケトンに溶解し塗布液とし、これを配向膜上に#3.6のワイヤーバーで連続的に塗布し、130℃の状態で2分間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層付き光学補償シート(KH−1)を作製した。
波長546nmで測定した光学異方性層のReレターデーション値は38nmであった。
(偏光子の作製)
平均重合度4000、鹸化度99.8mol%のPVAを水に溶解し、4.0%の水溶液を得た。この溶液をテーパーのついたダイを用いてバンド流延して乾燥し、延伸前の幅が110mmで厚みは左端が120μm、右端が135μmになるように製膜した。
このフィルムをバンドから剥ぎ取り、ドライ状態で45°方向に斜め延伸してそのままヨウ素0.5g/L、ヨウ化カリウム50g/Lの水溶液中に30℃で1分間浸漬し、次いでホウ酸100g/L、ヨウ化カリウム60g/Lの水溶液中に70℃で5分間浸漬し、さらに水洗槽で、20℃で10秒間水洗したのち80℃で5分間乾燥してヨウ素系偏光子(HF−01)を得た。偏光子は、幅660mm、厚みは左右とも20μmであった。
(偏光板の作製)
ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、KH−1(光学補償シート)をポリマー基材(PK−1)面で偏光子(HF−01)の片側に貼り付けた。また、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80U:富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付けた。
偏光子の透過軸とポリマー基材(PK−1)の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光子の透過軸と上記トリアセチルセルロースフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光板(HB−1)を作製した。
[実施例6〜8]
実施例5で配向膜に用いたアゾ化合物(P−3)を表2のよう変更した以外は、それぞれ実施例5と同様に行い光学補償シートおよび偏光板を作製した。
[比較例4]
実施例5で配向膜に用いたアゾ化合物(P−3)を、アルキル変性ポリビニルアルコール(MP−203、クラレ(株)製)に変更し、更に、0.5μmの厚さに塗布、乾燥し、その表面をラビング処理した以外は、実施例5と同様にして光学補償シートおよび偏光板を作製した。
(TN液晶セルでの評価)
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(AQUOS LC20C1S、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに実施例5で作製した偏光板(HB−1)を、光学補償シート(KH−1)が液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。実施例6〜8、比較例4についても同様にして液晶表示装置を作製し、視野角を測定した。これらの測定結果を表3に示す。
Figure 2006098800
上記表3に示した実施例5〜8と比較例4との結果から分かるように、本発明におけるアゾ化合物を配向膜として使用した実施例5〜8の場合、本発明における光学異方性層を有する光学補償シートは、液晶表示装置の上下左右共に視野角の拡大に大きく寄与する。これは、実施例の光学補償シートでは、光学異方性層において、液晶性化合物のチルト角が増加しているためと考えられる。

Claims (7)

  1. 透明支持体上に配向膜と光学異方性層とを有する光学補償シートであって、前記配向膜が下記一般式(1)で表されるモノマーから導かれる繰り返し単位を含むアゾ化合物の少なくとも一種を含有し、且つ、前記光学異方性層が重合性基を一つ以上有するディスコティック液晶性化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする光学補償シート。
    Figure 2006098800
    〔一般式(1)中、Rは水素原子または置換基を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、Aはアゾ基を表す。〕
  2. 前記一般式(1)で表されるモノマーが、下記一般式(1a)で表されるモノマーであることを特徴とする請求項1に記載の光学補償シート。
    Figure 2006098800
    〔一般式(1a)中、R、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、mは0〜4の整数を表し、nは0〜5の整数を表す。〕
  3. 前記配向膜の配向機能が光照射することによって付与されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学補償シート。
  4. 前記光照射が、単一方向からの非偏光照射であることを特徴とする請求項3に記載の光学補償シート。
  5. 前記ディスコティック液晶性化合物が、トリフェニレン液晶性化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  6. 前記光学異方性層が、ハイブリッド配向したディスコティック液晶性化合物から形成される層であり、且つ、前記ハイブリッド配向が固定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学補償シートを有することを特徴とする液晶表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015172751A (ja) * 2010-07-28 2015-10-01 大阪有機化学工業株式会社 光配向膜の製造方法、光配向膜及び位相差膜

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