JP2007286324A - 光学補償シート、楕円偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

光学補償シート、楕円偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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友則 市之瀬
洋平 ▲高▼橋
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Abstract

【課題】良好な光学補償能を有し、高い生産性で製造可能な光学補償シートを提供する。
【解決手段】配向秩序度Sが0.35≦S≦0.7を満足し、且つ層厚が800〜1400nmである光学異方性層を少なくとも一層有することを特徴とする光学補償シートである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶性化合物等を利用して形成された光学異方性層を有する光学補償シート、並びに該光学補償シートを備えた楕円偏光板及び液晶表示装置に関する。
光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大したりするために、様々な液晶表示装置で用いられている。従来、光学補償シートとしては、延伸複屈折フィルムが使用されている。また、近年、延伸複屈折フィルムに代えて、透明支持体上にディスコティック液晶性化合物を含む光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。この光学異方性層は、通常、ディスコティック液晶性化合物を含むディスコティック液晶組成物を配向膜の上に塗布し、配向温度よりも高い温度で加熱してディスコティック液晶性化合物を配向させ、その配向状態を固定することにより形成される。一般に、ディスコティック液晶性化合物は、大きな複屈折率を有するとともに、多様な配向形態がある。ディスコティック液晶性化合物を用いることで、従来の延伸複屈折フィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。
一方、ディスコティック液晶性化合物は、多様な配向形態があるため、所望の光学特性を発現させるためには、光学異方性層におけるディスコティック液晶性化合物の配向を制御する必要がある。ディスコティック液晶性化合物を平均傾斜角が5°未満の水平配向状態に制御する方法として、ディスコティック液晶性化合物に、セルロース低級脂肪酸エステル、含フッ素界面活性剤又は1,3,5−トリアジン環を有する化合物を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、フッ素置換アルキル基と親水基(スルホ基が連結基を介してベンゼン環に結合した)を有する化合物を光学異方性層に添加し、ディスコティック液晶性化合物の傾斜角を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、疎水性排除体積効果化合物を光学異方性層に併用して、液晶性化合物の配向を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平11−352328号公報 特開2001−330725号公報 特開2002−20363号公報
しかし、これらの技術において、所望のハイブリッド配向、また光学補償性能を得るためには、光学異方性層の層厚を大きくする必要があり、このため光学異方性層の硬化欠陥によるヘイズの増加、多量の光学異方性層の塗布液を必要とするための生産性低下の問題、更に液晶表示装置に適応した場合には、コントラストが低下する問題があった。
本発明は、光学補償機能が良好で、且つ高い生産性で製造可能な光学補償シートを提供することを課題とする。また、本発明は、前記光学補償シートを利用して、液晶表示装置の視野角拡大に寄与する楕円偏光板、及び視野角特性に優れ、表示品位の高い液晶表示装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 配向秩序度Sが0.35≦S≦0.7を満足し、且つ層厚が1400〜800nmである光学異方性層を少なくとも一層有することを特徴とする光学補償シート。
[2] 前記光学異方性層が、液晶化合物の少なくとも一種を含有する液晶組成物から形成され、液晶化合物を配向させた状態で固定した層である[1]の光学補償シート。
[3] 前記液晶性化合物が、ディスコティック液晶性化合物である[2]の光学補償シート。
[4] 前記光学異方性層が、下記一般式(1)で表されるモノマーから導かれる繰り返し単位を含むフルオロ脂肪族基含有ポリマーの少なくとも2種を含有する[1]〜[3]のいずれかの光学補償シート。
一般式(1):
Figure 2007286324
式中、R11は水素原子又はメチル基を表し、X11は酸素原子、イオウ原子又は−N(R12)−を表し、Z11は水素原子又はフッ素原子を表し、m1は1〜6の整数、n1は2〜4の整数を表す。R12は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
[5] 前記一般式(1)におけるZ11が、水素原子である[4]の光学補償シート。
[6] 前記フルオロ脂肪族基含有ポリマーの少なくとも1種が、さらに下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含む共重合体である[4]又は[5]の光学補償シート。
一般式(2):
Figure 2007286324
式中、R21、R22及びR23はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し;L21は、単結合、−O−、−CO−、−NR24−(R24は水素原子、アルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR25)−(R25はアルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基から選ばれる2価の連結基、又はこれらの連結基群から選ばれる2つ以上の連結基を組み合わせて形成される2価の連結基を表し;Q21はカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、又はホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、又は、ポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基を表す。
[7] 少なくとも、偏光膜と該偏光膜の片面に設けられた透明保護膜とを有し、該透明保護膜が[1]〜[6]のいずれかの光学補償シートである楕円偏光板。
[8] [1]〜[6]のいずれかの光学補償シート、又は[7]の楕円偏光板を有する液晶表示装置。
[9] 前記光学補償シートが有する光学異方性層の層厚が、駆動電圧非印加時の液晶セルのレターデーションの200%〜350%である[8]の液晶表示装置。
本発明の光学補償シートは、配向秩序度Sが所定の範囲である光学異方性層を有しているので、層厚が小さい場合であっても良好な光学補償能を有する。その結果、光学異方性層を薄膜化することで生産性が向上し、且つ従来の光学補償シートと同等の光学補償能を有する光学補償シートを提供することができる。本発明の光学補償シートは、液晶表示装置に適用した場合に、正面コントラストを低下させることなく、視野角特性の改善に寄与することができる。また、本発明によれば、液晶表示装置の視野角拡大に寄与する楕円偏光板、及び視野角特性に優れ、表示品位の高い液晶表示装置を提供することができる。
発明の実施の形態
本明細書において「〜」とは、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、本明細書でいう「重合」には、共重合も含む趣旨である。さらに、本明細書でいう「支持体上」又は「配向膜上」には、該支持体等の直接の表面をいう場合と、該支持体等の上に何らかの層(膜)を設けた表面をいう場合の両方を含む趣旨である。
また、本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
Figure 2007286324
式(2)
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
注記:
式中、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
また、式中、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
<光学補償シート>
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の光学補償シートは、配向秩序度Sが、0.35〜0.7であり、かつ層厚が800〜1400nmである光学異方性層を少なくとも一層有することを特徴とする。
(配向秩序度)
「配向秩序度」(以下Sと表記することがある)は、高分子フィルムの配向度、液晶配向度を表す指標として用いられ、0≦S≦1の範囲で定義される。S=0であれば、液体状態のように完全にランダムな状態を示す。S=1であれば結晶のように分子の揺らぎがなく1方向に完全に配向している状態を示す。
一般に結晶性高分子フィルムの配向秩序度はX線回折パターンにより測定されるが、ネマチック液晶性のフィルムを測定する場合、この方法では感度が悪く測定方法としては好ましくない。本明細書における「配向秩序度」は、(株)東京インスツルメンツ製“Nanofinder”を用いて、励起レーザー波長を532nm、励起レーザー出力を試料部で約400μWとして、分光器前に偏光解消子を取り付けて測定を行い、得られた値である。測定試料として、測定対象のフィルムをフィルム面に対して約1〜2度で斜めに切削したものを用いる。
上記試料にレーザー偏光を入射して、偏光ラマン測定を行う。測定個所は、フィルム厚さを1とした時に、0〜0.19、0.19〜0.5、0.5〜0.81、0.81〜1のドメインについてそれぞれ測定し、以下の方法でそれぞれのドメインの配向秩序度を算出し、これらの平均値を、光学異方性層の「配向秩序度」とする。測定は、フィルムを回転し、フィルム面の方位と入射レーザー偏光の電場方向がなす角度を変えていくつかの角度で測定を行い、散乱光の成分のうち、入射レーザー偏光電場と平行な偏光成分(I平行)と、垂直な偏光成分(I垂直)を、検光子を用いてそれぞれ分光検出した。さらに液晶性化合物の骨格に由来するピークをもつバンドに対し、配向オーダーパラメータP2、P4をパラメータとして最小二乗法に基づくフィッティング解析を行い、配向秩序度を得た。
本発明では、前記光学異方性層の層厚は、1400〜800nmであり、1300〜900nmであることがより好ましい。
また、本発明では、前記光学異方性層の配向秩序度Sは、0.35≦S≦0.7を満足する。配向秩序度Sは、0.4≦S≦0.65を満足するのが好ましい。配向秩序度がこの範囲で、且つ層厚が800〜1400nmの光学異方性層を有する本発明の光学補償シートは、光学異方性層の厚さが従来のものと比較して薄いので、生産性が良好であり、且つ従来の光学補償シートと同等の光学補償能を有する。
次に、本発明の光学補償シートの製造に用いられる種々の材料について説明する。
〔光学異方性層〕
前記光学異方性層を、液晶性化合物を少なくとも1種を含有する組成物から形成してもよい。前記光学異方性層は、フルオロ脂肪族基含有ポリマーを少なくとも2種含有しているのが好ましい。フルオロ脂肪族基含有ポリマーは、液晶性化合物の配向、特にハイブリッド配向を効果的に促進するので、フルオロ脂肪族基含有ポリマーを使用することにより、配向秩序度及びヘイズの悪化の原因となる従来のハイブリッド配向促進剤の使用量を低減することができる。さらに、フルオロ脂肪族基含有ポリマーを少なくとも2種を含有する液晶性組成物に、UV照射して硬化させて光学異方性層を形成する際に、該組成物の温度を低減して、分子運動による分子の揺らぎを低減した状態で硬化を行い、配向秩序度を向上するのがさらに好ましい。
[フルオロ脂肪族基含有ポリマー]
(フルオロ脂肪族基含有モノマー)
本発明における光学異方性層は、後述する一般式(1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーから導かれる繰り返し単位を含むフルオロ脂肪族基含有ポリマー(以下、「フッ素系ポリマー」と略記することもある)を少なくとも2種含有することが好ましい。また該フッ素系ポリマーは、さらに、後述する一般式(2)で表される繰り返し単位をも含む共重合体であるのがさらに好ましい。該フッ素系ポリマーとしては、フルオロ脂肪族基を有するアクリル樹脂又はメタアクリル樹脂であることが好ましい。また、一般式(1)で表されるモノマーと共重合可能なビニル系モノマーが共重合体したアクリル樹脂又はメタアクリル樹脂も好ましい。
上記フッ素系ポリマーにおけるフルオロ脂肪族基の一つは、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)又はオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれるものである。これらのフルオロ脂肪族化合物の製造法に関しては、例えば、「フッ素化合物の合成と機能」(監修:石川延男、発行:株式会社シーエムシー、1987年)のp.117〜118や、“Chemistry of Organic Fluorine Compounds II”,(Monograph 187,Ed by Milos Hudlicky and Attila E.Pavlath,American Chemical Society,1995年)のp.747〜752に記載されている。
テロメリゼーション法とは、ヨウ化物等の連鎖移動常数の大きいアルキルハリドをテローゲンとして、テトラフルオロエチレン等のフッ素含有ビニル化合物のラジカル重合を行い、テロマーを合成する方法である(下記Scheme−1に例を示した)。
Scheme−1:
Figure 2007286324
得られた、末端ヨウ素化テロマーは、通常、例えば[Scheme2]のごとき適切な末端化学修飾を施され、フルオロ脂肪族化合物へと導かれる。これらの化合物は必要に応じ、さらに所望のモノマー構造へと変換され、フルオロ脂肪族基含有ポリマーの製造に使用される。
Scheme−2:
Figure 2007286324
本発明で用いられるフッ素系ポリマーは、下記一般式(1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーから導かれる繰り返し単位を含むことが好ましい。
一般式(1):
Figure 2007286324
上記一般式(1)において、R11は水素原子又はメチル基を表し、X11は酸素原子、イオウ原子又は−N(R12)−を表し(R12は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは水素原子又はメチル基である)、Z11は水素原子又はフッ素原子を表し、m1は1〜6の整数、n1は2〜4の整数を表す。
11は好ましくは酸素原子であり、Z11は好ましくは水素原子であり、m1は好ましくは1又は2であり、n1は好ましくは3又は4であり、これらの混合物を用いてもよい。中でもZ11が水素原子であることがより好ましい。
本発明に使用可能な、フッ素系ポリマーの製造に利用可能なモノマーの具体例を以下に挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
Figure 2007286324
Figure 2007286324
(親水性基を含有する繰り返し単位)
本発明に使用可能なフッ素系ポリマーの一態様は、以上述べた、前記一般式(1)で表されるモノマーを含むフルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位と、下記一般式(2)で表される親水性基を含有する繰り返し単位とを有する共重合体である。
一般式(2):
Figure 2007286324
上記一般式(2)において、R21、R22及びR23はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Q21はカルボキシル基(−COOH)又はその塩、スルホ基(−SO3H)又はその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}又はその塩、又は、ポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基を表す。L21は、単結合、−O−、−CO−、−NR24−(R24は水素原子、アルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR25)−(R25はアルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基から選ばれる任意の基、又はそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。
上記R21、R22及びR23における置換基としては、以下に例示する置換基群から選ばれる置換基が好ましい。
(置換基群)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基などが挙げられる)、置換又は無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)。
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)。
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を2つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
21、R22及びR23はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、又は後述する−L21−Q21で表される基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、塩素原子、−L21−Q21で表される基であることがより好ましく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基であることが特に好ましく、R22及びR23が水素原子で、R21が水素原子又はメチル基であることが最も好ましい。該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基等が挙げられる。該アルキル基は、適当な置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、スルホリル基、カルボキシル基などが挙げられる。なお、アルキル基の炭素数は、置換基の炭素原子を含まない。以下、他の基の炭素数についても同様である。
21は、上記連結基群から選ばれる2価の連結基、又はそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。上記連結基群中、−NR24−のR24は、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、好ましくは水素原子又はアルキル基である。また、−PO(OR25)−のR25はアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、好ましくはアルキル基である。R24及びR25がアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す場合の炭素数は「置換基群」で説明したものと同じである。L21としては、単結合、−O−、−CO−、−NR24−、−S−、−SO2−、アルキレン基又はアリーレン基を含むことが好ましく、単結合、−CO−、−O−、−NR24−、アルキレン基又はアリーレン基を含んでいることが特に好ましく、単結合であることが最も好ましい。L21がアルキレン基を含む場合、アルキレン基の炭素数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6である。特に好ましいアルキレン基の具体例として、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラブチレン、ヘキサメチレン基等が挙げられる。L21が、アリーレン基を含む場合、アリーレン基の炭素数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12である。特に好ましいアリーレン基の具体例として、フェニレン、ナフタレン基等が挙げられる。L21が、アルキレン基とアリーレン基を組み合わせて得られる2価の連結基(すなわちアラルキレン基)を含む場合、アラルキレン基の炭素数は、好ましくは7〜34、より好ましくは7〜26、特に好ましくは7〜16である。特に好ましいアラルキレン基の具体例として、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、メチレンフェニレン基等が挙げられる。L21として挙げられた基は、適当な置換基を有していてもよい。このような置換基としては先にR21〜R23における置換基として挙げた置換基と同様なものを挙げることができる。
以下にL21の具体的構造を例示するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2007286324
前記一般式(2)中、Q21はカルボキシル基、カルボキシル基の塩{例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩(例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、ジメチルフェニルアンモニウムなど)、ピリジニウム塩など}、スルホ基、スルホ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)、ホスホノキシ基、ホスホノキシ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)、又はポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基を表す。
上記のポリ(アルキレンオキシ)基は(OR26xで表すことができ、R26は2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基、例えば−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、又は−CH(CH3)CH(CH3)−であることが好ましい。該ポリ(オキシアルキレン)基中のオキシアルキレン単位はポリ(オキシプロピレン)におけるように同一であってもよく、また互いに異なる2種以上のオキシアルキレンが不規則に分布されたものであってもよく、直鎖又は分岐状のオキシプロピレン又はオキシエチレン単位であったり、又は直鎖又は分岐状のオキシプロピレン単位のブロック及びオキシエチレン単位のブロックのように存在するものであってもよい。
このポリ(オキシアルキレン)鎖は1つ又はそれ以上の連結基(例えば−CONH−Ph−NHCO−、−S−など:Phはフェニレン基を表す)で連結されたものも含むことができる。連結基が3価以上の原子価を有する場合には、分岐状のオキシアルキレン単位が得られる。
また、ポリ(オキシアルキレン)基を有する重合単位を含む共重合体を本発明に用いる場合には、ポリ(オキシアルキレン)基の分子量は250〜3000が適当である。
ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及びメタクリレートは、市販のヒドロキシポリ(オキシアルキレン)材料、例えば商品名「プルロニック(Pluronic)」{旭電化工業(株)製}、「アデカポリエーテル」{旭電化工業(株)製}、「カルボワックス(Carbowax)」{グリコ・プロダクス)、「トリトン(Toriton)」{ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)社製}及び“P.E.G”{第一工業製薬(株)製}として販売されているものを、公知の方法でアクリル酸、メタクリル酸、アクリルクロリド、メタクリルクロリド又は無水アクリル酸等と反応させることによって製造できる。別に、公知の方法で製造したポリ(オキシアルキレン)ジアクリレート等を用いることもできる。
本発明に使用できるフッ素系ポリマーを製造するために利用可能な、前記式(2)に対応するモノマーの具体例を以下に挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。ポリ(アルキレンオキシ)は重合度2〜70の範囲の異なるものの混合物であることが多く、具体例として示す化合物においても重合度の平均に近い整数で重合度を表している。
Figure 2007286324
Figure 2007286324
本発明に用いられるフッ素系ポリマーは、前記一般式(2)で表される繰り返し単位を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。また、該フッ素系ポリマーは、前記一般式(1)及び(2)で表される各繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を1種又は2種以上有していてもよい。該フッ素系ポリマー中における前記一般式(2)で表される繰り返し単位を含む共重合体、又は前記一般式(2)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含む共重合体の量は、該ポリマーの構成モノマー総量の5質量%以上であるのが好ましく、10質量%以上であるのがより好ましく、30質量%以上であるのがさらに好ましい。前記他の繰り返し単位については特に制限されず、通常のラジカル重合反応可能なモノマーから誘導される繰り返し単位が好ましい例として挙げられる。以下、他の繰り返し単位を誘導するモノマーの具体例を挙げる。該フッ素系ポリマーは、下記モノマー群から選ばれる1種又は2種以上のモノマーから誘導される繰り返し単位を含有していてもよい。
(他の繰り返し単位を誘導するモノマー群)
(1)アルケン類
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど;
(2)ジエン類
1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、1−クロロブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロロ−1,3−ブタジエン及び2−シアノ−1,3−ブタジエン、1,4−ジビニルシクロヘキサンなど;
(3)α,β−不飽和カルボン酸の誘導体
(3a)アルキルアクリレート類
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、t−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2〜100のもの)、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなど);
(3b)アルキルメタクリレート類
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、s−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アリルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2〜100のもの)、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなど;
(3c)不飽和多価カルボン酸のジエステル類
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、タコン酸ジブチル、クロトン酸ジブチル、クロトン酸ジヘキシル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなど;
(3e)α,β−不飽和カルボン酸のアミド類
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−t−オクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチルマレイミドなど;
(4)不飽和ニトリル類
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
(5)スチレン及びその誘導体
スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−アセトキシスチレンなど;
(6)ビニルエステル類
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、メトキシ酢酸ビニル、フェニル酢酸ビニルなど;
(7)ビニルエーテル類
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フルオロブチルビニルエーテル、フルオロブトキシエチルビニルエーテルなど;及び
(8)その他の重合性単量体
N−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリンなど。
他の繰り返し単位を誘導するモノマーとしては、下記一般式(3)で表されるモノマーが好適に用いられる。
一般式(3):
Figure 2007286324
上記一般式(3)において、R31は水素原子又はメチル基を表し、L31は2価の連結基を表し、R32は置換基を有してもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基を表す。L31で表される2価の連結基としては、酸素原子、イオウ原子、又は−N(R33)−が好ましい。ここで、R33は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチルであることが好ましく、水素原子又はメチルであるであることがより好ましい。L31は、酸素原子、−NH−、又は−N(CH3)−であることが特に好ましい。
32で表される炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
32で表されるアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。
上記一般式(3)で表されるモノマーは、アルキル(メタ)アクリレート又はポリ(アルキレンオキシ)(メタ)アクリレートであることが特に好ましい。
上記一般式(3)で示されるモノマーの具体例を次に示すが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
Figure 2007286324
前記フッ素系ポリマー中における、前記一般式(1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該ポリマーの構成モノマー総量の95質量%以下であるのが好ましく、90質量%以下であるのがより好ましく、70質量%以下であるのがさらに好ましい。
本発明に用いられる前記フッ素系ポリマーの質量平均分子量は、1000〜1,000,000であるのが好ましく、1000〜500,000であるのがより好ましく、1000〜100,000であるのがさらに好ましい。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン(PS)換算の値として測定可能である。
(フルオロ脂肪族基含有ポリマーの重合方法)
前記フッ素系ポリマーの重合方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ビニル基を利用したカチオン重合やラジカル重合、又は、アニオン重合等の重合方法を採ることができ、これらの中ではラジカル重合が汎用に利用できる点で特に好ましい。
ラジカル重合の重合開始剤としては、ラジカル熱重合開始剤や、ラジカル光重合開始剤等の公知の化合物を使用することができるが、特に、ラジカル熱重合開始剤を使用することが好ましい。ここで、ラジカル熱重合開始剤は、分解温度以上に加熱することにより、ラジカルを発生させる化合物である。このようなラジカル熱重合開始剤としては、例えば、ジアシルペルオキシド(アセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド等)、ケトンペルオキシド(メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド等)、ヒドロペルオキシド(過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド等)、ジアルキルペルオキシド(ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド等)、ペルオキシエステル類(t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシピバレート等)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等)、過硫酸塩類(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等)が挙げられる。このようなラジカル熱重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
ラジカル重合方法は、特に制限されるものでなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法等を採ることが可能である。典型的なラジカル重合方法である溶液重合についてさらに具体的に説明する。他の重合方法についても概要は同等であり、その詳細は例えば「高分子科学実験法」高分子学会編(東京化学同人、1981年)等に記載されている。
溶液重合を行うためには有機溶媒を使用する。これらの有機溶媒は本発明の目的、効果を損なわない範囲で任意に選択可能である。これらの有機溶媒は通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有する有機化合物であり、各構成成分を均一に溶解させる有機化合物が好ましい。好ましい有機溶媒の例を示すと、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;が挙げられる。なお、これらの有機溶媒は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。さらに、モノマーや生成するポリマーの溶解性の観点から上記有機溶媒に水を併用した水混合有機溶媒も適用可能である。
また、溶液重合条件も特に制限されるものではないが、例えば、50〜200℃の温度範囲内で、10分〜30時間加熱することが好ましい。さらに、発生したラジカルが失活しないように、溶液重合中はもちろんのこと、溶液重合開始前にも、不活性ガスパージを行うことが好ましい。不活性ガスとしては通常窒素ガスが好適に用いられる。
前記フッ素系ポリマーを好ましい分子量範囲で得るためには、連鎖移動剤を用いたラジカル重合法が特に有効である。連鎖移動剤としてはメルカプタン類(例えば、オクチルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン、チオフェノール、p−ノニルチオフェノール等)、ポリハロゲン化アルキル(例えば、四塩化炭素、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1−トリブロモオクタンなど)、低活性モノマー類(α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等)のいずれも用いることができるが、好ましくは炭素数4〜16のメルカプタン類である。
これらの連鎖移動剤の使用量は、連鎖移動剤の活性やモノマーの組み合わせ、重合条件などにより著しく影響され精密な制御が必要であるが、通常は使用するモノマーの全モル数に対して0.01モル%〜50モル%程度であり、好ましくは0.05モル%〜30モル%、特に好ましくは0.08モル%〜25モル%である。これらの連鎖移動剤は、重合過程において重合度を制御するべき対象のモノマーと同時に系内に存在させればよく、その添加方法については特に問わない。モノマーに溶解して添加してもよいし、モノマーと別途に添加することも可能である。
(フルオロ脂肪族基含有ポリマーの具体例)
以下に、フッ素系ポリマーとして本発明に好ましく用いられるフルオロ脂肪族基含有ポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらの具体例によってなんら限定されるものではない。ここで式中の数値は、それぞれ各モノマーの組成比を示す質量百分率であり、MwはGPCにより測定されたPS換算の質量平均分子量である。a、b、c、d等の数値は質量比を表す。
Figure 2007286324
Figure 2007286324
Figure 2007286324
上記フッ素系ポリマーの含有量の好ましい範囲は、光学異方性層の形成に用いられる組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.007〜5質量%であるのがより好ましい。前記フッ素系ポリマーの添加量が0.005質量%以上であれば、本発明の効果が十分に発揮され、また8質量%以下であれば、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、光学補償シートとしての性能(例えばレターデーションの均一性等)に悪影響を及ぼしたりするなどの不具合が生じないので、該フッ素系ポリマーは該使用範囲内で使用することが好ましい。前記フッ素系ポリマーを2種以上用いる場合は、いずれのポリマーの含有量も前記範囲であるのが好ましい。
本発明では、前記光学異方性層中に、前記フッ素系ポリマーを2種以上含有させるのが好ましい。前記2種以上のフッ素系ポリマーのいずれも前記一般式(1)で表されるモノマーから誘導される繰り返し単位と、前記一般式(2)で表される親水性基を有する繰り返し単位を含有する共重合体であるのが好ましい。組み合わせについては特に制限されないが、例えば、一般式(1)で表されるモノマーから誘導される繰り返し単位が同一種で、前記一般式(2)で表される繰り返し単位が異なる(例えば、親水性基Q21が異なる)ポリマーを組み合わせてもよい。
なお、本明細書では、モノマーの組成比が互いに異なる(モノマー種が同一であっても、そのモル比が互いに異なる)ポリマー、及び分子量が互いに異なる(モノマー種及びそのモル比が同一であっても、分子量が互いに異なる)ポリマーは、異種ポリマーとする。
本発明の光学補償シートは、液晶性化合物、前記フッ素系ポリマー、及びその他必要に応じて添加する各種化合物を含有する組成物を、配向膜上に、後述する方法により塗布し、液晶性化合物の分子を配向させることにより光学異方性層を形成する工程を含む方法によって作製することができる。該光学異方性層は、液晶性化合物の分子の配向によって発現された光学異方性を示す。次に、本発明の光学補償シートに必要な構成材料のうち、前記で説明したフッ素系ポリマー以外の材料について詳細に説明する。
[液晶性化合物]
本発明における光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶性化合物を補償するように設計することが好ましい。黒表示における液晶セル中の液晶性化合物の配向状態は、液晶表示装置のモードにより異なる。この液晶セル中の液晶性化合物の配向状態に関しては、“IDW’00、FMC7−2”のp.411〜414等に記載されている。
光学異方性層の形成に用いられる液晶性化合物には、ディスコティック液晶性化合物が挙げられる。さらに棒状液晶性化合物を含んでいてもよい。ディスコティック液晶性化合物及び棒状液晶性化合物は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
(ディスコティック液晶性化合物)
ディスコティック液晶性化合物には、C.Destradeらの研究報告“Mol.Cryst.”,71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告“Mol.Cryst.”,122巻、141頁(1985年)及び“Physics lett,A”,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告“Angew.Chem.”,96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体、並びにJ.M.Lehnらの研究報告“J.Chem.Commun.”,1794頁(1985年)及びJ.Zhangらの研究報告“J.Am.Chem.Soc.”,116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
ディスコティック液晶性化合物としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造の化合物も含まれる。分子又は分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。ディスコティック液晶性化合物から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物がディスコティック液晶性化合物である必要はなく、例えば、低分子のディスコティック液晶性分子が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合又は架橋し、高分子量化し液晶性を失った化合物も含まれる。ディスコティック液晶性化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
ディスコティック液晶性化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物は、下記一般式(4)で表わされる化合物であることが好ましい。
一般式(4):D(−LY)p
{一般式(4)中、Dは円盤状コアであり、Lは2価の連結基であり、Yは重合性基であり、pは4〜12の整数である。}
円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LY(又はYL)は、2価の連結基(L)と重合性基(Y)との組み合わせを意味する。
Figure 2007286324
Figure 2007286324
Figure 2007286324
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Figure 2007286324
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一般式(4)において、2価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。2価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−及び−S−からなる群より選ばれる2価の基を少なくとも2つ組み合わせた基であることがさらに好ましい。2価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる2価の基を少なくとも2つ組み合わせた基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、置換基(例えば、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
2価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Y)に結合する。ALはアルキレン基又はアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L21:−S−AL−
L22:−S−AL−O−
L23:−S−AL−O−CO−
L24:−S−AL−S−AL−
L25:−S−AR−AL−
一般式(4)の重合性基(Y)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(Y)の例を以下に示す。
Figure 2007286324
重合性基(Y)は、不飽和重合性基(Y1、Y2、Y3、Y7、Y8、Y15、Y16、Y17)又はエポキシ基(Y6、Y18)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Y1、Y7、Y8、Y15、Y16、Y17)であることが最も好ましい。
一般式(4)において、pは4〜12の整数である。具体的な数字は、ディスコティックコア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数の連結基Lと重合性基Yの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。2種類以上のディスコティック液晶性分子(例えば、2価の連結基に不斉炭素原子を有する分子と有していない分子)を併用してもよい。
本発明に使用される、重合性基を有するディスコティック液晶化合物の別の例として、下記式(5)で表わされる化合物であることが好ましい。
一般式(5)
Figure 2007286324
一般式(5)中、Y11、Y12及びY13は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。
11、Y12及びY13がメチンの場合、メチンの水素原子は置換基によって置換されていてもよい。ここで、メチンとは、メタンから水素原子を3個除いて得られる原子団をいう。
メチンの炭素原子が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子及びシアノ基を好ましい例として挙げることができる。これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基がさらに好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12アルコキシカルボニル基、炭素数2〜12アシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基が最も好ましい。
11、Y12及びY13は、いずれもメチンであることがより好ましく、メチンは無置換であることが最も好ましい。
一般式(5)中、L1、L2及びL3は、それぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。L1、L2及びL3が二価の連結基の場合、それぞれ独立に、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−、−C≡C−、二価の環状基及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
1、L2及びL3における二価の環状基とは、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基(以下、環状基と呼ぶことがある)である。環状基は5員環、6員環、又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環及びナフタレン環が好ましい例として挙げられる。脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。複素環としては、ピリジン環及びピリミジン環が好ましい例として挙げられる。環状基は、芳香族環及び複素環がより好ましい。なお、本発明における2価の環状基は、環状構造のみ(但し、置換基を含む)からなる2価の連結基であることがより好ましい(以下、同じ)。
1、L2及びL3で表される二価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。
1、L2及びL3で表される二価の環状基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数が2〜16アルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。
1、L2及びL3としては、単結合、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−二価の環状基−、*−O−CO−二価の環状基−、*−CO−O−二価の環状基−、*−CH=CH−二価の環状基−、*−C≡C−二価の環状基−、*−二価の環状基−O−CO−、*−二価の環状基−CO−O−、*−二価の環状基−CH=CH−及び*−二価の環状基−C≡C−が好ましい。特に、単結合、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−二価の環状基−O−CO−、*−CH=CH−二価の環状基−及び*−C≡C−二価の環状基−が好ましく、単結合が最も好ましい。ここで、*は一般式(5)中のY11、Y12及びY13を含む6員環側に結合する位置を表す。
1、H2及びH3は、それぞれ独立に下記一般式(5−A)又は下記一般式(5−B)を表す。
一般式(5−A)
Figure 2007286324
一般式(5−A)中、YA1及びYA2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。YA1及びYA2は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が、窒素原子であることがより好ましい。XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。*は上記一般式(5)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し、**は上記一般式(5)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。ここで、イミノは、−NH−で表されるものをいう。
一般式(5−B)
Figure 2007286324
一般式(5−B)中、YB1及びYB2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。YB1及びYB2は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が、窒素原子であることがより好ましい。XBは、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。*は上記一般式(D5)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し、**は上記一般式(5)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。
1、R2及びR3は、それぞれ独立に下記一般式(5−R)を表す。
一般式(5−R)
*−(−L21−Q2)n1−L22−L23−Q1
一般式(5−R)中、*は一般式(5)におけるH1〜H3側と結合する位置を表す。
21は単結合又は二価の連結基である。L21が二価の連結基の場合、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−及びC≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
21は単結合、ならびに、***−O−CO−、***−CO−O−、***−CH=CH−及び***−C≡C−(ここで、***は一般式(5−R)中の*側を表す)のいずれかが好ましく、単結合がより好ましい。
2は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の基(環状基)を表す。このような環状基としては、5員環、6員環、又は7員環を有する環状基が好ましく、5員環又は6員環を有する環状基がより好ましく、6員環を有する環状基がさらに好ましい。上記環状基に含まれる環状構造は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環及びナフタレン環が好ましい例として挙げられる。脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。複素環としては、ピリジン環及びピリミジン環が好ましい例として挙げられる。
上記Q2のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。これらの中でも、特に、1,4−フェニレン基及び1,4−シクロへキシレン基が好ましい。
2は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
1は、0〜4の整数を表す。n1としては、1〜3の整数が好ましく、1もしくは2がさらに好ましい。
22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、*−N(R)−、**−CH2−、**−CH=CH−又は**−C≡C−を表し、**はQ2側と結合する位置を表す。
22は、好ましくは、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−CH2−、**−CH=CH−、**−C≡C−であり、より好ましくは、**−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、**−CH2−である。Rは、炭素数1〜5のアルキル基を表す。
23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−及びC≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。ここで、−NH−、−CH2−、−CH=CH−の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
23は、−O−、−C(=O)−、−CH2−、−CH=CH−及びC≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれることが好ましい。L23は、炭素原子を1〜20個含有することが好ましく、炭素原子を2〜14個を含有することがより好ましい。さらに、L23は、−CH2−を1〜16個含有することが好ましく、−CH2−を2〜12個含有することがさらに好ましい。
1は重合性基又は水素原子を表す。本発明で用いる液晶性化合物を位相差の大きさが熱により変化しないものが好ましい光学補償シート等に用いる場合には、Q1は重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。すなわち、重合性基は、付加重合反応又は縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 2007286324
さらに、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基又は開環重合性基が好ましい。
重合性エチレン性不飽和基の例としては、下記の式(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
Figure 2007286324
式(M−3)、(M−4)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、水素原子又はメチル基が好ましい。
上記式(M−1)〜(M−6)の中、(M−1)又は(M−2)が好ましく、(M−1)がより好ましい。
開環重合性基は、環状エーテル基が好ましく、エポキシ基又はオキセタニル基がより好ましく、エポキシ基が最も好ましい。
本発明で用いる液晶性化合物としては、下記一般式(6)で表される液晶性化合物が特に好ましい。
一般式(6)
Figure 2007286324
一般式(6)中、Y31、Y32及びY33は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し、一般式(5)中の、Y11、Y12及びY13と同義であり、好ましい範囲も同義である。
一般式(6)中、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に下記一般式(6−R)を表す。
一般式(6−R)
Figure 2007286324
一般式(6−R)中、A31及びA32は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがさらに好ましい。X3は酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
31は、6員環状構造を有する二価の連結基(以下、6員環環状基と呼ぶことがある)を表す。6員環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、6員環環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環及びナフタレン環が好ましい例として挙げられる。脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。複素環としては、ピリジン環及びピリミジン環が好ましい例として挙げられる。
31のうち、ベンゼン環を有する6員環環状基としては、1,4−フェニレン基、及び1,3−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状構造としては、ナフタレン−1,5−ジイル基及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状構造としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状構造としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状構造としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。これらの中でも、特に、1,4−フェニレン基及び1,3−フェニレン基がより好ましい。
31の環状構造は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。6員環環状基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基が好ましく、さらに、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲン原子で置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がより好ましい。
n3は、1〜3の整数を表し、1もしくは2が好ましい。
31は、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−N(R)−、*−CH2−、*−CH=CH−又は*−C≡C−を表しRは、炭素数1〜5のアルキル基を表す。*はQ31側と結合する位置を表し、具体的には、一般式(5−R)中のL22と同義であり、好ましい範囲も同義である。
32は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−及びC≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、具体的には、一般式(5−R)中のL23と同義であり、好ましい範囲も同義である。
一般式(6−R)中のQ32は、重合性基又は水素原子を表す。具体的には、一般式(5−R)中のQ1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
以下に、一般式(5)ないし(6)で表される液晶性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。特許文献9(特開平11−316378号公報)にはさまざまなディスコティック液晶化合物が挙げられており、以下に示される液晶化合物と合わせて使用することができる。
Figure 2007286324
Figure 2007286324
Figure 2007286324
Figure 2007286324
Figure 2007286324
ハイブリッド配向では、ディスコティック液晶性化合物の長軸(円盤面)と支持体の面との角度、すなわち傾斜角が、光学異方性層の深さ(すなわち、透明支持体に垂直な)方向で且つ偏光膜の面からの距離の増加と共に増加又は減少している。角度は、距離の増加と共に減少することが好ましい。さらに、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加又は減少していればよい。しかしながら、傾斜角は連続的に変化することが好ましい。
ディスコティック液晶性化合物の長軸(円盤面)の平均方向(各分子の長軸方向の平均)は、一般にディスコティック液晶性化合物もしくは配向膜の材料を選択することにより、又はラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)のディスコティック液晶性化合物の長軸(円盤面)方向は、一般にディスコティック液晶性化合物又はディスコティック液晶性化合物と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。
ディスコティック液晶性化合物と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマーなどを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶性分子と添加剤との選択により調整できる。
ディスコティック液晶性化合物と共に使用する可塑剤、界面活性剤及び重合性モノマーは、ディスコティック液晶性化合物と相溶性を有し、ディスコティック液晶性化合物の傾斜角の変化を与えられるか、又は配向を阻害しないことが好ましい。添加成分の中でも重合性モノマー(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する化合物)の添加が好ましい。上記化合物の添加量は、ディスコティック液晶性化合物に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。なお、重合性の反応性官能基数が4以上のモノマーを混合して用いると、配向膜と光学異方性層間の密着性を高めることができる。
光学異方性層には、前記フルオロ脂肪族基含有ポリマーが含まれているが、さらに別のポリマーをディスコティック液晶性化合物とともに使用してもよく、そのポリマーは、ディスコティック液晶性化合物とある程度の相溶性を有し、ディスコティック液晶性化合物に傾斜角の変化を与えられるか、又は配向を阻害しないことが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。但し、本発明の効果は、上記した通り、液晶性化合物のハイブリッド配向を効果的に促進する上記フルオロ脂肪族基含有ポリマーを使用して、配向秩序度やヘイズ悪化の原因となる上記したセルロースエステル等の従来のハイブリッド配向促進剤の使用量を低減した場合に特に顕著となる。したがって、上記ポリマーの添加量は、液晶性化合物に対して0.1〜5質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜3質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜1.5質量%の範囲にあることがさらに好ましく、配向秩序度を高める観点からは、できるだけ使用量を低減することが好ましい。
ディスコティック液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
(棒状液晶性化合物)
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶性化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性化合物を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性化合物として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性化合物については、例えば、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章及び第11章、及び液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載のものを採用できる。
棒状液晶性化合物の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶性化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、不飽和重合性基又はエポキシ基が好ましく、不飽和重合性基がさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基が最も好ましい。
ハイブリッド配向では、棒状液晶性化合物の長軸と支持体の面との角度、すなわち傾斜角が、光学異方性層の深さ(すなわち、透明支持体に垂直な)方向で且つ偏光膜の面からの距離の増加と共に増加又は減少している。角度は、距離の増加と共に減少することが好ましい。さらに、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。
棒状液晶性化合物の長軸の平均方向(各分子の長軸方向の平均)は、一般に棒状液晶性化合物もしくは配向膜の材料を選択することにより、又はラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の棒状液晶性化合物の長軸方向は、一般に棒状液晶性化合物又は棒状液晶性化合物と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。
[液晶性化合物の配向状態の固定]
配向させた液晶性化合物の分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同第2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同第2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20mJ/cm2〜5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100mJ/cm2〜800mJ/cm2の範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
なお、上記した通り、上記範囲の配向秩序度Sを示す光学異方性層を安定的に作製するためには、UV照射時の前記液晶性組成物の温度は低いほうが好ましく、具体的には、40〜90℃であるのが好ましく、50〜70℃であるのがより好ましい。
保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例えばN、N−ジメチルホルムアミド等)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド等)、ヘテロ環化合物(えば例、ピリジン等)、炭化水素(例えば、ベンゼン、ヘキサン等)、アルキルハリド(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン等)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル等)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1、2−ジメトキシエタン等)が含まれる。アルキルハリド及びケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法等)により実施できる。
本発明のように非常に均一性の高い光学フィルムを作製する場合には、表面張力が25mN/m以下であることが好ましく、22mN/m以下であることが更に好ましい。
〔配向膜〕
前記光学異方性層を形成する際に、配向膜を利用してもよい。例えば、配向膜の表面に上記塗布液を塗布して、前記光学異方性層を形成してもよい。本発明において、好ましい配向膜の例としては、特開平8−338913号公報に記載の、架橋されたポリマー、より好ましくは架橋されたポリビニルアルコールからなる配向膜が挙げられる。配向膜は、従来公知の塗布方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)を利用して形成することができる。
配向膜は、10μm以下の膜厚を有することが好ましい。
〔支持体〕
本発明の光学補償シートは、前記光学異方性層を支持する支持体を有していてもよい。支持体は、ガラス又は透明なポリマーフィルムであることが好ましい。支持体は、光透過率が80%以上であることが好ましい。ポリマーフィルムを構成するポリマーの例には、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテート、セルロースジアセテート等)、ノルボルネン系ポリマー及びポリメチルメタクリレートが含まれる。市販のポリマー{ノルボルネン系ポリマーでは、「アートン」及び「ゼオネックス」(いずれも商品名)}を用いてもよい。
これらの中でもセルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。特に炭素原子数が2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)又は4(セルロースブチレート)が好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
なお、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような、複屈折の発現しやすいポリマーであっても、国際公開第00/26705号パンフレットに記載のように、分子を修飾することで複屈折の発現性を制御すれば、本発明の光学補償シートに用いることもできる。
また、偏光板の保護フィルム又は位相差フィルムに本発明の光学補償シートを使用する場合は、光学異方性層の支持体として用いるポリマーフィルムとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度は、57.0〜62.0%であることがさらに好ましい。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算によって求められる。
セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.0〜1.65であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
セルロースアセテートでは、セルロースの2位、3位、6位のヒドロキシルが均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。本発明に用いるポリマーフィルムでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度又は多い方が好ましい。2位、3位、6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30〜40%であることが好ましく、31〜40%であることがさらに好ましく、32〜40%であることが最も好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。各位置の置換度は、NMRによって測定することできる。
6位置換度が高いセルロースアセテートは、特開平11−5851号公報の段落番号[0043]〜[0044]に記載の合成例1、段落番号[0048]〜[0049]に記載の合成例2、そして段落番号[0051]〜[0052]に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
<光学補償シートの用途>
〔楕円偏光板〕
また、本発明は、少なくとも、偏光膜と、該偏光膜の片面に設けられた透明保護膜とを有し、該透明保護膜が、本発明の光学補償シートである楕円偏光板にも関する。例えば、本発明の光学補償シートを、偏光膜と貼り合せてもよいし、偏光板の偏光膜を保護する保護フィルムとして使用してもよい。楕円偏光板の構成とすることで、その機能を著しく発揮することができる。
[偏光膜]
本発明に使用可能な偏光膜は、Optiva社製のものに代表される塗布型偏光膜、又はバインダーと、ヨウ素もしくは二色性色素からなる偏光膜が好ましい。偏光膜におけるヨウ素及び二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素及び二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、又は二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。
汎用の偏光膜は、例えば、延伸したポリマー基材を、浴槽中のヨウ素又は二色性色素の溶液に浸漬し、ポリマー基材中にヨウ素又は二色性色素を浸透させることで作製することができる。
汎用の偏光膜は、ポリマー基材の表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素又は二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素又は二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。
上記のように、ポリマー基材厚みの下限は10μmであることが好ましい。一方、厚みの上限については、特に限定はしないが、偏光板を液晶表示装置に使用した場合に発生する光漏れ現象の観点からは、薄ければ薄い程よい。現在、汎用の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下がさらに好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置では、観察されなくなる。
偏光膜のポリマー基材は架橋していてもよい。架橋しているポリマー基材には、それ自体架橋可能なポリマーを用いることができる。官能基を有するポリマー又はポリマーに官能基を導入して得られるポリマー基材を、光、熱又はpH変化により、ポリマー間で反応させて偏光膜を形成することができる。
また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてポリマー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、ポリマー間を架橋することにより形成することができる。架橋は一般に、ポリマー又はポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布したのち、加熱を行うことにより実施される。最終商品の段階で耐久性が確保できればよいため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なってもよい。
偏光膜のポリマー基材には、それ自体架橋可能なポリマー又は、架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。ポリマーの例には、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリビニルトルエン、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、塩素化ポリオレフィン(例えば、ポリ塩化ビニル等)、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びそれらのコポリマー(例又は、アクリル酸/メタクリル酸重合体、スチレン/マレインイミド重合体、スチレン/ビニルトルエン重合体、酢酸ビニル/塩化ビニル重合体、エチレン/酢酸ビニル重合体等)が含まれる。水溶性ポリマー{例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール等}が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールのケン化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましく、95〜100%が最も好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000が好ましい。
変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに対して、共重合変性、連鎖移動変性又はブロック重合変性により変性基を導入して得られる。共重合変性では、変性基として、−COONa、−Si(OH)3、N(CH33・Cl、C919COO−、−SO3Na、−C1225を導入することができる。連鎖移動変性では、変性基として、−COONa、−SH、−SC1225を導入することができる。変性ポリビニルアルコールの重合度は、100〜3000が好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号及び同9−316127号の各公報に記載がある。
ケン化度が85〜95%の未変性ポリビニルアルコール及びアルキルチオ変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールは、2種以上を併用してもよい。
ポリマーの架橋剤は、多く添加することにより偏光膜の耐湿熱性を向上させることができる。ただし、ポリマーに対する架橋剤の量が多すぎると、ヨウ素又は二色性色素の配向性が低下することがあるので、架橋剤の量は50質量%以下とすることが好ましい。架橋剤の添加量は、ポリマーに対して、0.1〜20質量%がより好ましく、1.2〜1.45質量%がさらに好ましい。
ポリマー基材は、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいることがある。この場合、残存する架橋剤の量は、ポリマー基材中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。ポリマー基材中の架橋剤の残留量が1.0質量%以下であれば、耐久性に問題が生じることがない。すなわち、液晶表示装置に組み込む偏光膜中の架橋剤残留量がすくなければ、長期の使用、又は高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合にも、偏光度の低下が生じることがないので好ましい。
架橋剤については、米国再発行特許第23297号明細書に記載がある。また、ホウ素化合物(例えば、ホウ酸、硼砂等)も、架橋剤として用いることができる。
二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素又はアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例えば、スルホ、アミノ、ヒドロキシル等)を有することが好ましい。
二色性色素の例には、C.I.ダイレクト・イエロー12、C.I.ダイレクト・オレンジ39、C.I.ダイレクト・オレンジ72、C.I.ダイレクト・レッド39、C.I.ダイレクト・レッド79、C.I.ダイレクト・レッド81、C.I.ダイレクト・レッド83、C.I.ダイレクト・レッド89、C.I.ダイレクト・バイオレット48、C.I.ダイレクト・ブルー67、C.I.ダイレクト・ブルー90、C.I.ダイレクト・グリーン59、C.I.アシッド・レッド37などが含まれる。二色性色素については、特開平1−161202号、同1−172906号、同1−172907号、同1−183602号、同1−248105号、同1−265205号、同7−261024号の各公報に記載がある。
二色性色素は、遊離酸、又はアルカリ金属塩、アンモニウム塩もしくはアミン塩として用いられる。2種類以上の二色性色素を配合することにより、各種の色相を有する偏光膜を製造することができる。偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)を用いた偏光膜、又は黒色を呈するように各種の二色性分子を配合した偏光膜もしくは偏光板が、単板透過率及び偏光率とも優れており好ましい。
液晶表示装置のコントラスト比を高めるためには、偏光板の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30〜50%の範囲にあることが好ましく、35〜50%の範囲にあることがさらに好ましく、40〜50%の範囲にある(偏光板の単板透過率の最大値は50%である)ことが最も好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90〜100%の範囲にあることが好ましく、95〜100%の範囲にあることがさらに好ましく、99〜100%の範囲にあることが最も好ましい。
偏光膜と光学異方性層、偏光膜と支持体、又は偏光膜と配向膜を、接着剤を介して配置することも可能性である。接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基による変性ポリビニルアルコールを含む)やホウ素化合物水溶液を用いることができる。その中でもポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。接着剤層の厚みは、乾燥後に0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜5μmの範囲にあることが特に好ましい。
(偏光膜の製造)
偏光膜は、歩留まりの観点から、バインダーを偏光膜の長手方向(MD方向)に対して、10〜80°傾斜して延伸するか(延伸法)、又はラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。傾斜角度は、LCDを構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦又は横方向のなす角度に合わせるように延伸することが好ましい。
通常の傾斜角度は45°である。しかし、最近は、透過型、反射型及び半透過型LCDにおいて必ずしも45°でない装置が開発されており、延伸方向はLCDの設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
(延伸法)
延伸法の場合、延伸倍率は2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍がさらに好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。延伸工程は、斜め延伸を含め数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。斜め延伸前に、横又は縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。
延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行うことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフィルム製膜において行われている延伸方法と同様である。二軸延伸では、左右異なる速度によって延伸されるため、延伸前のバインダーフィルムの厚みが左右で異なるようにする必要がある。流延製膜では、ダイにテーパーを付けることにより、バインダー溶液の流量に左右の差をつけることができる。
以上のように、偏光膜のMD方向に対して10〜80°斜め延伸されたバインダーフィルムが製造される。
(ラビング法)
ラビング法では、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されているラビング処理方法を応用することができる。すなわち、膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴム又はナイロン、ポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより配向を得る。一般には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。ロール自身の真円度、円筒度、振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラビングロールを用いて実施することが好ましい。ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1〜90度が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360度以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。
長尺フィルムをラビング処理する場合は、フィルムを搬送装置により一定張力の状態で1〜100m/分の速度で搬送することが好ましい。ラビングロールは、任意のラビング角度設定のためフィルム進行方向に対し水平方向に回転自在とされることが好ましい。0〜60°の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40〜50°が好ましい。45°が特に好ましい。
偏光膜の光学異方性層とは反対側の表面には、ポリマーフィルムを配置する(光学異方性層/偏光膜/ポリマーフィルムの配置とする)ことが好ましい。ポリマーフィルムとしては、特に限定なく、例えば従来偏光板に用いられる保護膜の何れも用いることができる。
〔液晶表示装置〕
本発明は、本発明の光学補償シート又は本発明の楕円偏光板を有する液晶表示装置にも関する。以下、液晶表示装置の各液晶モードにおける光学異方性層の好ましい形態について説明する。
[TNモード液晶表示装置]
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性化合物が寝た配向状態にある。
セル中央部分の棒状液晶性化合物に対しては、ホメオトロピック配向(円盤面が寝ている水平配向)のディスコティック液晶性化合物又は(透明)支持体で補償し、セルの基板近傍の棒状液晶性化合物に対しては、ハイブリット配向(長軸の傾きが偏光膜との距離に伴って変化している配向)のディスコティック液晶性化合物で補償することができる。
また、セル中央部分の棒状液晶性化合物に対しては、ホモジニアス配向(長軸が寝ている水平配向)の棒状液晶性化合物又は(透明)支持体で補償し、セルの基板近傍の棒状液晶性化合物に対しては、ハイブリット配向のディスコティック液晶性化合物で補償することもできる。
ホメオトロピック配向の液晶性化合物は、液晶性化合物の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が85〜95°の状態で配向している。
ホモジニアス配向の液晶性化合物は、液晶性化合物の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が5°未満の状態で配向している。
ハイブリット配向のディスコティック液晶性化合物は、液晶性化合物の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が15°以上であることが好ましく、15°〜85°であることがさらに好ましい。
ハイブリット配向の棒状液晶性化合物は、液晶性化合物の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が75°以下であることが好ましく、75°〜5°であることがさらに好ましい。
本態様の液晶表示装置に本発明の光学補償シートを用いる場合は、該光学異方性層のRthレターデーション値は40nm〜200nmであるのが好ましく、Reレターデーション値は0〜70nmであることが好ましい。
[OCBモード液晶表示装置]
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性化合物を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許第4583825号、同第5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性化合物が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性化合物が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性化合物が寝た配向状態にある。
黒表示にTNモードと液晶の配向は同じ状態であるため、好ましい態様もTNモード対応を同じである。ただし、TNモードに比べ、OCBモードの方がセル中央部で液晶性化合物が立ち上がった範囲が大きいために、ディスコティック液晶性化合物がホメオトロピック配向している光学異方性層、又は棒状液晶性化合物がホモジニアス配向している光学異方性層について、若干のレターデーション値の調整が必要である。具体的には、ディスコティック液晶性化合物がホメオトロピック配向している光学異方性層、又は棒状液晶性化合物がホモジニアス配向している光学異方性層を有する光学補償シートを用い、Rthレターデーション値が150nm〜500nmであり、Reレターデーション値が20〜70nmであることが好ましい。
[その他液晶表示装置]
ECBモード、STNモードの液晶表示装置に対しては、上記と同様の考え方で光学的に補償することができる。
なお、本発明の液晶表示装置が、TNモードの液晶表示装置である場合は、前記光学異方性層の層厚は、液晶セルのレターデーションの200%〜350%であるのが好ましい。層厚が前記範囲であると、正面コントラストを低下させることなく、高い視野角特性を有する液晶表示装置となり、好ましい。
なお、本明細書において「液晶セルのレターデーション」とは、非駆動状態における(非駆動電圧印加時の)液晶セルのレターデーションをいい、2次元複屈折率計を用いて測定される値をいう。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例に制限されるものではない。
[フルオロ脂肪族基含有ポリマーの合成]
合成例1:フルオロ脂肪族基含有ポリマー(P−3)の合成
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート39.13g、アクリル酸0.80g、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート1.1g、2−ブタノン30gを加え窒素雰囲気下で6時間78℃に加熱して反応を完結させた。得られたフルオロ脂肪族基含有ポリマー(P−3)は下記構造式のとおりであり、質量平均分子量は2.5×104であった。
Figure 2007286324
合成例2〜4:フルオロ脂肪族基含有ポリマー(P−4)、(P−24)及び(P−26)の合成
合成例1において、フルオロ脂肪族基含有ポリマー(P−3)の合成と類似の方法で、下記構造式のフルオロ脂肪族基含有ポリマー(P−4)、(P−24)及び(P−26)をそれぞれ合成した。
Figure 2007286324
〔光学補償シートの作製〕
[実施例1]
[透明支持体(CF−1)の作製]
{内層用ドープ(D−1)及び外層用ドープ(D−2)の調製}
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、2種のセルロースアセテート溶液、すなわち内層用ドープ(D−1)及び外層用ドープ(D−2)を調製した。
{内層用ドープ(D−1)及び外層用ドープ(D−2)組成(質量部)}
D−1 D−2
セルロースアセテート(酢化度60.9%) 100 100
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8 7.8
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9 3.9
メチレンクロリド(第1溶媒) 293 314
メタノール(第2溶媒) 71 76
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5 1.6
シリカ微粒子 0 0.8
“AEROSIL R972”日本アエロジル(株)製
下記レターデーション上昇剤 1.7 0
Figure 2007286324
得られた内層用ドープ及び外層用ドープを、三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶媒量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を110%として搬送しながら80℃で乾燥させ、残留溶媒量が10%となったところで、110℃で乾燥させた。その後、140℃の温度で30分乾燥し、残留溶媒が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(外層:3μm、内層:74μm、外層:3μm)を製造した。作製したセルロースアセテートフィルムである透明支持体(CF−1)について、光学特性を測定した。
得られた透明支持体(CF−1)の幅は1340mmであり、厚さは、80μmであった。自動複屈折率計“KOBRA−21ADH”{王子計測機器(株)製}を用いて、波長500nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、6nmであった。また、波長500nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、83nmであった。
作製した透明支持体(CF−1)を2.0mol/L水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥した。この(CF−1)の表面エネルギーを接触角法により求めたところ、63mN/mであった。
[光学異方性層の形成]
(配向膜の形成)
以下、より具体的に、各工程について説明する。
上記透明支持体(CF−1)の表面に、下記組成の配向膜形成用塗布液を塗布して、60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥し、配向膜の樹脂層を形成した。
(配向膜塗布液組成)
下記構造の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
Figure 2007286324
(光学異方性層の形成)
次に、上記で形成した配向膜上に、下記の塗布液を、#2.6ワイヤーバーで4.5cc/m2塗布した。
(光学異方性層形成用塗布液の組成)
下記の組成物を、102kgのメチルエチルケトンに溶解して塗布液を調製した。
下記構造のディスコティック液晶性化合物(1) 41.01質量部
エチレンオキシド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
“V#360”大阪有機化学(株)製 4.06質量部
セルロースアセテートブチレート 0.34質量部
“CAB551−0.2”イーストマンケミカル社製
セルロースアセテートブチレート 0.11質量部
「CAB531−1」イーストマンケミカル社製
フルオロ脂肪族基含有ポリマー(P−4) 0.01質量部
フルオロ脂肪族基含有ポリマー(P−24) 0.18質量部
光重合開始剤 1.35質量部
「イルガキュア907」チバガイギー社製
増感剤 0.45質量部
「カヤキュアーDETX」日本化薬(株)製
Figure 2007286324
130℃の恒温ゾーンで2分間加熱し、円盤状液晶性化合物を配向させた。次に、40℃の雰囲気下で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷して光学異方性層を形成し、光学補償シート(KH−1)を得た。
自動複屈折率計“KOBRA−21ADH”{王子計測機器(株)製}を用いて、波長546nmで測定した光学異方性層のReレターデーション値は50nmであった。また、偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償シートのムラを観察したところ、正面、及び法線から60°まで傾けた方向から見ても、ムラは検出されなかった。さらに、形成した光学異方性層について、上記方法により配向秩序度Sを測定し、また層厚を測定した。測定値を、表1に併せて示す。
〔偏光板の作製〕
ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、光学補償シート(KH−1)を、偏光膜(HF−1)の片側表面に貼り付けた。また、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム“TD−80U”{富士写真フイルム(株)製}にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜(HF−1)の反対側表面に貼り付けた。偏光膜(HF−1)の透過軸と、光学補償シートの支持体であるポリマーフィルム(CF−1)の遅相軸とが平行になるように配置した。偏光子(HF−1)の透過軸と上記トリアセチルセルロースフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光板(HB−1)を作製した。
[TN液晶セルでの評価]
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置“LL191A”{シャープ(株)製}に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記の実施例で作製した偏光板(HB−1)を、光学補償シートが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側及びバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。また、偏向板を剥がした液晶セルのレターデーションを2次元複屈折率計(シンテック(株)製)で測定したところ、375nmであった。
作製した液晶表示装置について、測定機“EZ−Contrast160D”(ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までで視野角を測定した。上下左右で、コントラスト比(白透過率/黒透過率)が10以上、かつ黒側の階調反転(L1とL2での反転)のない領域を視野角として求めた。更に、正面のコントラストを求めた。正面コントラストは一般に500以上が必要な値とされ、600を超えると十分な値とされる。測定結果を表1に示す。
[実施例2、比較例1〜3]
表1に記載の如く、フルオロ脂肪族基含有ポリマーの種類と添加量、セルロースアシレートの添加量を代え、ワイヤーバー径を代えて光学異方性層の厚さを代えた以外は、実施例1と同様にして光学補償シート(KH−2及びKHr−1〜KHr−3)をそれぞれ作製し、光学異方性層の配向秩序度S、及び層厚を同様に測定した。測定値を、表1に併せて示す。
さらに、実施例1と同様に偏光板を作製し、さらにTN液晶セルでの視野角評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
光学補償シートに富士写真フイルム(株)製“WV−SA(07D)”を使用した以外は、実施例1と同様に偏光板を作製し、さらにTN液晶セルでの視野角評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2007286324
上記表1の結果から分かるように、配向秩序度Sが、0.35≦S≦0.7であり、かつ層厚が1400〜800nmである光学異方性層を有する液晶表示装置は、従来の光学補償シート{富士写真フイルム(株)製“WV−SA(07D)”}を使用した液晶表示装置と同等の視野角特性を有しながら、コントラストを向上することができる。

Claims (9)

  1. 配向秩序度Sが0.35≦S≦0.7を満足し、且つ層厚が1400〜800nmである光学異方性層を少なくとも一層有することを特徴とする光学補償シート。
  2. 前記光学異方性層が、液晶化合物の少なくとも一種を含有する液晶組成物から形成され、液晶化合物を配向させた状態で固定した層である請求項1に記載の光学補償シート。
  3. 前記液晶化合物が、ディスコティック液晶化合物である請求項2に記載の光学補償シート。
  4. 前記光学異方性層が、下記一般式(1)で表されるモノマーから導かれる繰り返し単位を含むフルオロ脂肪族基含有ポリマーの少なくとも2種を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学補償シート:
    一般式(1)
    Figure 2007286324
    式中、R11は水素原子又はメチル基を表し、X11は酸素原子、イオウ原子又は−N(R12)−を表し、Z11は水素原子又はフッ素原子を表し、m1は1〜6の整数、n1は2〜4の整数を表す。R12は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
  5. 前記一般式(1)におけるZ11が、水素原子である請求項4に記載の光学補償シート。
  6. 前記フルオロ脂肪族基含有ポリマーの少なくとも1種が、さらに下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含む共重合体である請求項4又は5に記載の光学補償シート:
    一般式(2)
    Figure 2007286324
    式中、R21、R22及びR23はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し;L21は、単結合、−O−、−CO−、−NR24−(R24は水素原子、アルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR25)−(R25はアルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基から選ばれる2価の連結基、又はこれらの連結基群から選ばれる2つ以上の連結基を組み合わせて形成される2価の連結基を表し;Q21はカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、又はホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、又は、ポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基を表す。
  7. 少なくとも、偏光膜と該偏光膜の片面に設けられた透明保護膜とを有し、該透明保護膜が請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学補償シートである楕円偏光板。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学補償シート、又は請求項7に記載の楕円偏光板を有する液晶表示装置。
  9. 前記光学補償シートが有する光学異方性層の層厚が、駆動電圧非印加時の液晶セルのレターデーションの200%〜350%である請求項8に記載の液晶表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015007700A (ja) * 2013-06-25 2015-01-15 大日本印刷株式会社 光学フィルム用転写体の製造方法、光学フィルムの製造方法、光学フィルム用転写体、光学フィルム及び画像表示装置

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