請求項1に記載の発明は、冷蔵庫本体は、第一の天面部と、冷蔵庫背面側で前記第一の天面部より低い位置に設けた第二の天面部とを有して前記冷蔵庫本体の天面部に段差部を形成し、前記第二の天面部に圧縮機を備え、前記段差部と相対する庫内側に形成された庫内凸部の下端面よりも上側に備えられた第一の庫内照明装置と、前記庫内凸部の下端面よりも下側に備えられた第二の庫内照明装置とを備えたことを特徴とする。
これによって、最下段の貯蔵室の内容積を拡大した上で、冷蔵庫の最上段貯蔵室内へのでっぱりである庫内凸部を小さくした上で、庫内凸部によって陰影ができにくいように庫内照明を設置することで、収納性をそこなうことなく照明効果を向上させることができるので、冷蔵庫の使い勝手を大きく向上させることができる。
また、庫内凸部の前方および下方にも光が行き届くこととなり、収納物を明るく照らすことができる上で、使用者が視覚的に感じる庫内凸部の出っ張り感をも軽減することができる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の冷蔵庫において、前記第一の庫内照明装置は前記庫内凸部の角部に備えられ、前記第二の庫内照明装置は前記庫内凸部より下方の背壁面に備えられたことを特徴とする。
これにより、光の照射方向が通常では前面だけになるが、下方にも増えるため、少ない光源で効率よく照明効果を得ることができる。
また、角部であるため平面部より、効率よく照明部の空間を活用でき庫内へのでっぱりを小さくすることができる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の冷蔵庫において、前前記第一の庫内照明装置は前記庫内凸部の前面側の背壁面に備えられ、前記第二の庫内照明装置は前記庫内凸部より下方の背壁面に備えられたことを特徴とする。
これにより、庫内凸部の前方および下方にも光が行き届くこととなり、庫内凸部の陰ができないので、使用者が視覚的感じる庫内凸部の出っ張り感を軽減することができる。
また、人間の視覚は同じスペースであれば、その空間が明るい程広く見えるという視覚効果があるので、このように照明を配置することで、庫内の棚の中で最上段収納棚が照明によって最も明るく照らされ、最も奥行きが狭く収納空間の小さい最上段収納棚が実際の空間よりもより広く感じられるので、使用者が視覚的感じる庫内凸部の出っ張り感をさらに軽減することができる。
また、背面に用いた2つの照明装置は奥行き方向にずらして配置してあるので、ランプ自身が他のランプの影になることがなく、光りの投射方向が異なるので、効率の良い照明が可能である。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫において、前記庫内凸部の下端面よりも下側の庫内空間が、前記第一の庫内照明装置と前記第二の庫内照明装置によって2方向から照射されることを特徴とする。
これにより、第一の庫内照明装置から下方に光が照射されることになり、陰ができやすく暗くなりやすい下面、奥面まで光が届くので、庫内を明るくすることができる。さらに第二の庫内照明装置によって背面側からも庫内が照射されるので、庫内凸部が影になることがなく、庫内全体を明るくすることができる。また、このように2方向から照明することで、より立体的な照射が可能となり、実用面で明るく効果的な庫内照明が実現できる。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の冷蔵庫において、前記庫内には収納棚を有し、前記収納棚は光透過可能な材料で構成されたことを特徴とする。
これにより、第一の庫内照明装置の下方部に収納棚を設置した場合でも、第一の庫内照明装置から下方に光が照射されることになり、陰ができやすく暗くなりやすい下面、奥面まで光が届くので、庫内を明るくすることができる。
また、請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の冷蔵庫において、前記第一の庫内照明装置はランプカバーを有し、前記ランプカバーの前面と下面の少なくとも一部が光透過可能な材料から形成されることを特徴とする。
これによって、第一の庫内照明装置よりも下側の収納空間にも第一の庫内照明装置からの光がランプカバーの下端面を通して庫内に照射されるので、下側の収納空間に上面からの照明を与えることができる。また、このように2方向から照明することで、より立体的な照射が可能となり、実用面で明るく効果的な庫内照明が実現できる。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の冷蔵庫において、前記照明装置の光源には蛍光管もしくはLEDなどの発光素子を設けたものであり、冷蔵庫の消費電力をより低減した上で充分な明るさを確保した照明装置を設けることができる。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の冷蔵庫において、冷蔵庫本体は、前記第二の天面部より冷蔵庫背面側で前記第二の天面部より低い位置に設けられた第三の天面部を有し、前記第三の天面部の上方空間に制御基板と冷媒配管の一部を設け、前記第三の天面と相対する庫内側に庫内第二凸部を形成し、前記庫内第二凸部に照明装置を設けたことを特徴とする。これにより、背面側に制御基板を配置してできる庫内へのでっぱりによって発生する特に奥の影になる部分にも光を照射することができ、かつ照明部の突出のすくない、収納性にすぐれた庫内を提供できる。
また、すぐ背面に基板部があり、組立工程においてコードの長さも最小限にすることができる。さらに、照明部背面が比較的高温であるため、壁厚を薄くしても結露することないため、内容積を拡大することができるとともに庫内へのでっぱりを小さくすることができ、庫内の凸凹を最小限としスッキリ感を向上することができる。
また、請求項9に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の冷蔵庫において、冷蔵庫本体は、前記照明装置の水平方向における投影面以外の背壁面に制御基盤を配置したことを特徴とする。これによって、断熱壁の厚さを確保した上で庫内背面方向の段差を軽減し、凸凹の少ない効率的な構成が可能となり、見栄えよくすることができ、庫内のスッキリ感を向上させることができる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の概略断面図を示すものである。なお、背景技術と同一構成については同一符号を付す。
図1において、例えば硬質発泡ウレタンなどの断熱材で周囲と断熱して構成されている断熱箱体1は複数の断熱区画に区分されており、上から冷蔵室2、引出しタイプの野菜室4と冷凍室3の構成となっている。各断熱区画にはそれぞれ断熱扉がガスケット22を介して設けられている。上から冷蔵室回転扉5、野菜室引出し扉7、冷凍室引出し扉6である。
冷蔵室回転扉5には扉ポケット23が収納スペースとして設けられており、庫内には複数の収納棚8が設けられてある。また冷蔵室2の最下部には引出し可能な貯蔵ケース24が設けてある。
冷蔵室2は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されている。また、貯蔵ケース24は肉魚などの保鮮性向上のため比較的低めの温度、たとえば−3〜1℃で設定される。野菜室4は冷蔵室2と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。低温にすれほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。
冷凍室3は冷凍保存のために通常−22〜−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30や−25℃の低温で設定されることもある。
断熱箱体1の天部は背面方向に向かって階段状に凹みを設けて、第一の天面部25と、第二の天面部26と第三の天面部27とで構成されており、第一の天面部25と第二の天面部26を前後方向に接続する面と第二の天面部26とで段差部26aが形成されており、第二の天面部26と第三の天面部27とを前後方向に接続する面と第三の天面部27とで第二の段差部27aが形成されている。
冷凍サイクルは圧縮機16と凝縮器17とキャピラリなどの減圧器28と水分除去を行う図示しないドライヤと蒸発器20とを環状に接続して構成されている。凝縮器17と蒸発器20は機械室ファン18と冷却ファン21とで強制対流熱交換させている。
また、凝縮器17は強制対流方式のものに加えて、断熱箱体1の周囲鋼板を利用して自然放熱するための配管や、各室断熱扉体間の仕切りに配設して防滴防止を行うための配管を組み合わせてもよい。
冷凍サイクルの構成部品である圧縮機16は断熱箱体1背面に向かって中央寄りの位置に設置してある。
凝縮器17はワイヤータイプやフィンコイルタイプやスパイラルフィンタイプなどの薄型構成で第一の天面部25の上方空間に配設してある。
第二の天面部26の相対する庫内凸部40には照明装置41が配置されており、ランプカバー42、電球43、ソケット44で構成されている。このとき、ランプカバー42は光透過性材料でできており、庫内凸部40の冷蔵庫正面から見て、前面と下面にまたがり、断面は略L字形となっており、照明装置41内の空間を構成している。ランプカバー42の前面部にはスリット穴45、下面には切欠き部46を設けている。
冷凍サイクルを動作させる制御基板32は第三の天面部27の上方空間部に設けた基板収納部33に取外し可能なカバーで密閉して配置されている。制御基板32はプリント基板上に電子部品を実装するので薄く板状の形状をしている。また、第一、第二および第三の天面部25、26、27の上方には天面カバー34がビスなどで取外し可能に設けられており、背面は第三の天面部27から上方まとめて一枚の背面カバー35が取外し可能に設けられている。
また、冷凍サイクルの構成機器である蒸発器20は冷却ファン21と共に、中段に位置する野菜室4の背面部に設けられている。これにより最下段の貯蔵室である冷凍室3の内容積と奥行きを最大限に大きくすることが可能である。
なお、中段の野菜室4と最下段の冷凍室3は逆の構成となれば、野菜室の内容積と奥行きを最大限に大きくすることが可能となる。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板32からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機16の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器17にて放熱して凝縮液化し、キャピラリ28に至る。その後、キャピラリ28ではサクションライン36と熱交換しながら減圧されて低温低圧の液冷媒となって蒸発器20に至る。
冷却ファン21の動作により、庫内の空気と熱交換されて蒸発器20内の冷媒は蒸発気化する。低温の冷気を図示しないダンパなどで分配することで各室の冷却を行う。蒸発器20を出た冷媒はサクションライン36を経て圧縮機16へと吸い込まれる。
このように運転を繰り返して高温になる圧縮機16や凝縮器17を断熱箱体1の天面に配置することにより、熱のこもりによる断熱性能の低下がなく省エネに有利である。
また、庫内へのでっぱりを小さくすることで無効部による内容積の減少を低減できるとともに庫内を階段状にでっぱりを最小限にすることで段差を小さく目立たなくすることができる。
そして、照明装置41は庫内凸部40にあるため、光源である電球が庫内の奥行き方向に中央寄りの最上部に位置できるので、光が庫内全体に届きやすくなっていることに加えて、透明なランプカバー42が、前面と下面にまたがっているため、下方に光が照射されることになり、陰ができやすく暗くなりやすい下面、奥面まで光が届き、少ない光源でも照明効果を高くすることができる。また、ランプ切れなどのサービス時には切欠き部46に指を引っ掛けて取り外しできる。比較的手前にあるため、手が届きやすく、作業しやすい。また、照明装置41内には長時間扉を開けた場合の配慮として、光源の熱でランプカバー42を変形させないために距離をとるための空間と熱がこもらないよう、ランプカバー42の切欠き部46とスリット穴45により熱が逃げるようになっている。また、庫内と庫外を断熱する断熱層とあわせて相当な空間が必要となり、通常であれば照明部は壁面より突出してしまうが、本構成ではすぐ背面に比較的高温である圧縮機16があり、その熱によって前記断熱層は薄壁が可能となる。そのため、照明装置41は庫内凸部40からほとんど突出することなく配設することができ、庫内の収納性を阻害することはない。
また、照明装置41の背面側には制御基板32があり、組立工程においてコード47の長さも最小限に短くすることができ、安価な構成が可能となる。もちろん、前記圧縮機が断熱箱体底部にないので下段の貯蔵室の内容積と奥行きを拡大することができる。
さらに、ランプカバー42の表面にレンズカット形状を用いることによって、光が拡散し、より広範囲を照射することもできる。
一方、凝縮器17を圧縮機16とは別の区画に配設しているので温度影響を受けることなく、薄型で表面積を大きくとることができるので、放熱効率がよく、通風抵抗を小さく設計可能であるので、凝縮器17の能力を最大限に引き出すことが可能となり、さらに最上天面に凝縮器17を配置するため、熱のこもりがないので断熱箱体1への熱負荷が軽減され省エネに効果がある。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の概略正面図を示すものであり、図3は概略背面図を示すものである。なお、背景技術と同一構成については同一符号を付す。
図2と図3において、第二の天面部26と相対する庫内凸部40に、正面から見て左右に離れて照明装置41が複数箇所に設けており、背面の圧縮機16は左右方向に中央寄りに配設され、圧縮機16と接続された配管部48は正面からみて左右方向に配設されている。このため、照明部を背面に配置された圧縮機の配管部の無効空間に突出させることができ、背面に十分な壁厚を確保することが可能になる。照明装置41は、庫内側にランプカバー42が突出することなく、庫内の食品収納性をそこなうことなく構成できる。また、電球43が複数個になるため、庫内の明るさも十分確保できる。さらに、背面側の圧縮機16の配管溶接部も作業性のよい背面に直線部で構成できるとともに、断熱箱体の配管固定部とを距離をもって接続することができるため、配管振動を低減することもできる。
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における冷蔵庫の概略正面図を示すものであり、図5は概略断面図を示すものである。なお、背景技術と同一構成については同一符号を付す。
図4と図5において、第二の天面部26と相対する庫内凸部40の角部に、ランプカバー48が、正面から見て少なくとも中心から左右方向に庫内幅の半分以上の幅にわたって設けてあり、断面は略L字形をしている。光源には、幅方向に長い蛍光管もしくはLED発光素子49が取り付けられている。蛍光管もしくはLED発光素子49の発熱量は比較的低いため、照明装置50内の空間51は電球等を用いる場合とくらべ、大幅にすくなくてすみ、ランプカバー48が庫内に突出することはない。しかも、光源が比較的光量が小さくても、左右方向に長く確保できるため、十分な明るさを得ることが可能である。この構成により、背面の圧縮機16の位置にかかわらず、庫内収納性の向上できる照明装置を提供できる。
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4における冷蔵庫の概略断面図を示すものである。なお、背景技術と同一構成については同一符号を付す。
図6において、背面方向に向かって階段状に凹みを設けて第一の天面部25と第二の天面部26と第三の天面部27を形成した断熱箱体において、第一の天面部25と第二の天面部26を前後方向に接続する面と第二の天面部26とで段差部26aが形成されており、第二の天面部26と第三の天面部27とを前後方向に接続する面と第三の天面部27とで第二の段差部27aが形成されている。段差部26aと相対する庫内側に形成された庫内凸部40の角部を含む領域と、この庫内凸部40の下方に隣接する第二の段差部27aと相対する庫内側に形成された庫内第二凸部52の角部を含む領域にそれぞれ照明装置41a,41bを設けてある。
すなわち、庫内凸部40の下端面を基準として見れば、この下端面より上部の空間となる庫内凸部40の前方空間である庫内最上段収納棚8a上の収納空間に面して一つの照明装置41aが配置され、前記下端面より下部の空間となる庫内凸部40の隣接する下方空間である庫内最上段収納棚8a直下の収納空間に面してもう一つの照明装置41bが配置されるものである。
照明装置41の構造は実施の形態1と同様である。この構成により、庫内への出っ張りによって発生する特に奥の影になる部分にも光を照射することができ、探しにくい奥の食品を探し出すのに有効となる。さらにそれぞれのランプカバー42a,42bは庫内に突出はほとんどないため、スッキリとした、収納性にすぐれた庫内を提供できる。
また、庫内凸部40の下端面の上下両側に照明が配置されることで、庫内凸部の前方および下方にも光が行き届くこととなり、庫内凸部の陰ができないので、使用者が視覚的感じる庫内凸部の出っ張り感自体を軽減することができる。
また、一方の照明装置41aを最上段収納棚8aの背面の角部領域に配置することで、冷蔵室2の天面断熱壁が陰になってキッチンなどの室内照明が届きにくい最上部を照らすことがで、人間の視覚は同じスペースであれば、その空間が明るい程広く見えるという視覚効果があるので、このように照明を配置することで、庫内の棚の中で最上段収納棚8aが照明によって最も明るく照らされ、最も奥行きが狭く収納空間の小さい最上段収納棚8aが実際の空間よりもより広く感じられるので、使用者が視覚的感じる庫内凸部の出っ張り感をさらに軽減することができる。
さらに、2つの照明装置41a,41bは奥行き方向にずらして配置してあるので、光りの投射方向が前後にずれて冷蔵室2内に対して効率の良い照明が可能である。
同時に、照明装置41aは冷蔵室2の背面より前方にシフトして配置されることになるので、2段目以下の収納棚にとっては背面からでなく、上方から照明することとなり、使用頻度の高い2段目以下の収納部分に対しては手元に近い照明で見やすく、使い勝手面で極めて有効である。
すなわち、冷蔵室2内に対する照明配置において、庫内凸部40の下端面より下部のほぼ直方体状の庫内領域に対しての照明は、背面からの照明41bに加えてあたかも上面からの照明が与えられて2方向から照明される構成となり、日常的に使用頻度の高いこの領域の照明を奥行き方向で立体的に照明することができ、冷蔵庫本体の上部に少なくとも圧縮機を含めた冷却ユニットを配置する所謂トップユニット型冷蔵庫にあっても、庫内凸部40の存在によるデメリットと見られがちな一面を逆利用して、実用面で明るく効果的な庫内照明が実現でき、冷蔵室2の使い勝手を、むしろ従来にも増して向上することができるものである。
本実施の形態では、照明装置41aを庫内凸部40の角部領域に配置しているので、最上段収納棚8aに置かれた収納物によっても光が遮られることがなく、2段目以下の収納部分に対しての上述の照明効果による使い勝手の良さを常に享受することができる。
なお、段差部26aは、図6のように圧縮機16の収容に支障がない範囲で傾斜面を形成するようにできれば、照明装置41aを庫内凸部40の角部に食い込んで配置することによっても相対する断熱壁の厚みを薄くせず断熱性を確保したり、発泡断熱材である硬質ウレタンフォームの充填,流動性を確保することが容易となって好都合であるが必ずしもこの構成に限るものではない。また、断熱壁の高断熱化は、厚みを増やさず、たとえば真空断熱材の配設などによっても可能であるので段差部26aの形状は必要に応じた面形状を採用しても構わない。
また、本実施の形態では、照明装置41bを庫内第二凸部52の角部を含む領域に2段目の収納棚上の収納空間に臨むように設けたが、上述の主旨によれば照明装置41bは必ずしもこの位置に特定されなくてもよく、もう少し下方に離れて2段目の収納空間に対応するものでなく冷蔵室2の背面の適所に配置するものであっても期待する効果をほぼ得ることができる。
(実施の形態5)
図7は、本発明の実施の形態5における冷蔵庫の概略断面図を示すものである。なお、背景技術と同一構成については同一符号を付す。
図7において、背面方向に向かって階段状に凹みを設けて第一の天面部25と第二の天面部26を形成し、その間に充填される断熱材で構成される断熱箱体1において、第一の天面部25には凝縮器17および天面カバー34が固定されている。第一の天面部25の相対する庫内面11には、庫内天面部の幅方向におけるほぼ中央部に凹部53を設け、そこに照明装置54を配置してあり、庫内凹部53は、ホルダー56とソケット44と電球43およびランプカバー55で構成されている。また、庫内凸部113の下方の背壁面である庫内の上から2段目の収納空間61の背面の幅方向における中央部にも照明装置64を配置してあり、同様にホルダー65とソケット(図示せず)と電球67およびランプカバー55で構成されている。
また、庫内凸部113の前方に収納空間を区画する最上段収納棚8aは、透光性のたとえば透明の樹脂成形の棚が用いられる。
この構成により、天井面に照明を配置することで、冷蔵庫の天面断熱壁が陰になって、キッチンなどの室内照明が行き届きにくい最上段をほぼ全面に渡って明るく照らすことができる。
また、庫内凸部40の上下両側に照明が配置されることで、庫内凸部の前方および下方にも光が行き届くこととなり、庫内凸部の陰ができないので、使用者が視覚的感じる庫内凸部の出っ張り感を軽減することができる。
また、人間の視覚は同じスペースであれば、その空間が明るい程広く見えるという視覚効果があるので、このように照明を配置することで、庫内の棚の中で最上段収納棚8aが照明によって最も明るく照らされ、最も奥行きが狭く収納空間の小さい最上段収納棚8aが実際の空間よりもより広く感じられるので、使用者が視覚的感じる庫内凸部の出っ張り感をさらに軽減することができる。
また、2つの照明装置はお互いにランプ自身が他方のランプによって影を形成することがないように配置されており、また光の投射方向が異なるので、効率の良い照明が可能である。
また、照明装置54は庫内天面の凹部に収納したことで、照明装置54内の空間を十分確保でき、しかも凝縮器17の熱で第一の天面部25は暖められ、結露することないため、ランプカバー55は庫内にほとんど突出しない。このため、最上段に食品を収納するのにでっぱりがじゃまにならない、スッキリとした、収納性にすぐれた庫内を提供できる。
また、最上段収納棚8aが透光性を有しているので、天井面に照明装置54を配置した場合でも棚によって光が遮られることがなく、2段目収納棚以下の空間にも照明装置54の照明効果を及ぼすことができる。
なお、本実施の形態では、照明装置64を2段目の収納棚上の収納空間に臨むように設けたが、上述の主旨によれば照明装置64は必ずしもこの位置に特定されなくてもよく、もう少し下方に離れて2段目の収納空間に対応するものでなく冷蔵室2の背面の適所に配置するものであっても期待する効果をほぼ得ることができる。
また凝縮器17は薄型で表面積を大きくとることができるので、放熱効率がよく、さらに通風抵抗を小さく設計可能であるので、性能を向上させて省エネを図ることや凝縮器の小型化を図ることも可能である。
(実施の形態6)
図8は、本発明の実施の形態6における冷蔵庫の概略断面図を示すものであり、図9は概略正面図を示すものである。なお、背景技術と同一構成については同一符号を付す。
図8と図9において、例えば硬質発泡ウレタンなどの断熱材で周囲と断熱して構成されている断熱箱体100は複数の断熱区画に区分されており、上から回転扉タイプの冷蔵室101、並列に配置された引出しタイプの製氷室102と切替室103、その下方に引出しタイプの野菜室104、最下段に引出しタイプの冷凍室105の構成となっている。各断熱区画にはそれぞれ断熱扉がガスケットを介して密閉するよう設けられている。
冷蔵室回転扉106には光透過可能な材料で構成された扉ポケット107が収納スペースとして設けられており、冷蔵室庫内には複数の光透過可能な材料で構成された収納棚108と最下部には引出し可能な貯蔵ケース109が設けてある。また、冷蔵室回転扉106の開閉を検知する扉開閉検知手段110が設けられており、冷蔵室回転扉106が開いているか閉まっているかを検出する。扉開閉検知手段110は扉が閉まると動作する庫内に設けたリミットスイッチであり、もしくは、扉閉止時に扉に設けた磁石と近接するホール素子を用いた非接触スイッチであってもよい。
冷蔵室101は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されている。また、貯蔵ケース109は肉魚などの保鮮性向上のため比較的低めの温度、たとえば−3〜1℃で設定される。野菜室104は冷蔵室101と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。なお、野菜室104は低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。
製氷室102や冷凍室105は冷凍保存のために通常−22〜−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30や−25℃の低温で設定されることもある。製氷室102は氷の保存が主体のために−12℃以下の比較的高い冷凍温度設定で省エネ運転を図ることもある。
切替室103は冷凍温度から野菜温度まで多段階で切替可能であり、使用者が使用可能なコントロールパネル(図示せず)で温度設定できる。
断熱箱体100の天部は第一の天面部111と、背面側で第一の天面部111より低い位置に設けた第二の天面部112とで構成されている。したがって、冷蔵室101の庫内天面奥部は第二の天面部112の庫内凸部113が生じている。
庫内凸部113は庫内最上段収納棚108aよりも概ね上方に位置してあり、庫内凸部113と隣接する庫内角部113a、113bを含む領域にはそれぞれ照明装置が設けられており、庫内凸部の上部側の庫内角部113aを含む領域には第一の庫内照明装置114が備えられ、庫内凸部の後方側の隣接する庫内角部113bを含む領域には第二の照明装置119が備えられている。具体的には、庫内凸部の前壁面には第一の庫内照明装置114が中央部に設けてある。収納棚108は照明の光が透過するように、たとえばガラスやプラスチックなどの材料で透明に作られている。
第一の庫内照明装置114は前方と下方に光が拡散するように、第一のランプカバー115が着脱可能に設けられ、内部にランプ116を着脱可能に設けたソケット117が庫内背壁面に取り付けられている。ランプ116はACタイプでもDCタイプでもよく、LEDであってもよい。DCタイプやLEDでは発熱量が小さいので周辺部材の耐熱設計が容易であり、照明装置空間も小さくてすむ。さらにLEDでは寿命が長いので、ランプ交換の手間がなくなる。また、ミシン球のようなACタイプであれば、ランプが低コストとなる。
なお、簡易に着脱可能なカバーとしたのでランプ116の交換が容易にできる。
また、庫内凸部113の下方には照明装置収納部118が設けられ、第二の庫内照明装置119が収納されている。この照明装置収納部118は断熱性の問題が解決できれば、庫内背面の断熱材を窪ませて形成することが望ましく、本発明では凹部の背面に十分な断熱材が確保できる為に冷蔵室の断熱性能に影響が無い範囲でのみ凹部を形成している。
第二の庫内照明装置119は最上段収納棚108aと2段目収納棚108bの間で、正面から見て幅方向のほぼ中央部に配置されており、第一の庫内照明装置114と奥行き方向に位置をずらして配置してある。
また、第二の庫内照明装置119は一部を断熱材壁面から庫内に突出した構成となっており、前面には工具なしで着脱可能な第二のランプカバー120が設けられている。また内部には第一の照明装置114と同様、ランプ116とソケット117が設けられている。
また、断熱箱体100の冷蔵室102背面には基板収納部121が独立した窪み部で構成されている。基板収納部121は照明装置収納部118の下方に、所定の断熱壁厚さを確保したうえで断熱材を窪ませて構成している。ちょうど、第二の天面部112と収納装置収納部118と基板収納部121が上下方向に並んで配置されている。
基板収納部121には制御基板122が収納されており、基板カバー123によってフォームシールして密閉されている。
冷凍サイクルは圧縮機130と凝縮器(図示せず)と減圧器であるキャピラリ(図示せず)と水分除去を行うドライヤ(図示せず)と蒸発器132とを環状に接続して構成されている。凝縮器(図示せず)と蒸発器132は機械室ファン(図示せず)と冷却ファン133とで強制対流熱交換させている。
冷凍サイクルの構成部品である圧縮機130は第二の天面部112の上方空間である機械室134に備えられており、凝縮器(図示せず)はワイヤータイプやフィンコイルタイプやスパイラルフィンタイプなどの薄型構成で第一の天面111上部にダクトを形成するカバーとともに配置してもよいし、断熱箱体100底面に設けてもよい。また、強制対流方式のものに加えて、断熱箱体100の外周鋼板を利用して自然放熱するための配管や、各室断熱扉体間の仕切りに配設して防滴防止を行うための配管を組み合わせてもよい。
また、機械室134には天面部と背面部をビスなどで取外し可能に機械室カバー135が一部品もしくは二部品構成で設けられている。
また、冷凍サイクルの構成機器である蒸発器132は冷却ファン133と共に、中段に位置する野菜室104と最下段の冷凍室105の背面部に設けられている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板122からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。まず圧縮機130の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)にて放熱して凝縮液化し、キャピラリ(図示せず)に至る。その後、キャピラリ(図示せず)では減圧されて低温低圧の液冷媒となって蒸発器132に至る。
冷却ファン133の動作により、庫内の空気と熱交換されて蒸発器132内の冷媒は蒸発気化する。低温の冷気をダンパ(図示せず)やダクト構成などで分配することで各室の冷却を行う。また複数の蒸発器を用いる場合は流路制御手段(図示せず)により必要な蒸発器へ冷媒が供給される。蒸発器132を出た冷媒は吸入配管(図示せず)を経て圧縮機130へと吸い込まれる。
庫内各室の温度が設定温度以下となったら、圧縮機130の運転は停止される。
また、使用者が食品などの出し入れのために冷蔵室回転扉106が開けられると、扉開閉検知手段110が扉の開放を検出し、制御手段により第一、第二の庫内照明装置114、119が点灯される。冷蔵室回転扉106が閉まれば消灯される。
第一の照明装置114を最上段収納棚108aの背面に配置することで、冷蔵室101の天面断熱壁が陰になってキッチンなどの室内照明が届きにくい最上部を照らすとともに、庫内凸部113だけ背面から前方にシフトした位置に照明を配置するので、手元を明るく照らすことができる。また、収納棚108も透明としたので下方への光をさえぎることがない。
また天井面に照明を配置した場合に、最上段収納棚108aに置かれた収納物によって光りがさえぎられる状況を回避し、2段目収納棚108b上の空間およびそれ以下の空間にも第一の照明装置114の下方から照明可能であり、最上段で光がさえぎられることがない。さらに第一の照明装置114は背面より前方にシフトして配置されているので、2段目以下の収納棚にとっては背面からでなく、上方から照明することとなり、手元に近い照明で見やすく、使い勝手の向上面で極めて有効である。
すなわち、冷蔵室101内に対する照明配置において、庫内凸部113の下端面より下部のほぼ直方体状の庫内領域に対しての照明は、背面からの第二の庫内照明装置119に加えてあたかも上面からの照明が与えられて2方向から照明される構成となり、日常的に使用頻度の高いこの領域の照明を奥行き方向で立体的に照明することができ、冷蔵庫本体の上部に少なくとも圧縮機を含めた冷却ユニットを配置する所謂トップユニット型冷蔵庫にあっても、庫内凸部113の存在によるデメリットと見られがちな一面を逆利用して、実用面で明るく効果的な庫内照明が実現でき、冷蔵室101の使い勝手を、むしろ従来にも増して向上することができるものである。
また、第一のランプカバー115が第一の庫内照明装置114の下端面にまで回り込んで形成されたものであると、この下端面のランプカバー部を介して2段目収納棚108b上の空間およびそれ以下の空間にも第一の照明装置114の下方から照明可能であり、最上段で光がさえぎられることを確実に防止できてより好都合である。この場合、この下端面のランプカバー部と透明の最上段収納棚108aをほぼ面一に揃えると外観デザイン的にもすっきりとした統一感があり、照明効果上も段差が目立たず扉開時の庫内の印象が好ましいものになる。
さらに2段目の背面に照明を配置したので、庫内凸部113が影になることなく庫内全面を明るくすることができる。このように、庫内凸部113の上下両側に照明が配置されることで、庫内凸部の前方および下方にも光が行き届くこととなり、庫内凸部の陰ができないので、使用者が視覚的感じる庫内凸部の出っ張り感を軽減することができる。
また、人間の視覚は同じスペースであれば、その空間が明るい程広く見えるという視覚効果があるので、このように照明を配置することで、庫内の棚の中で最上段収納棚108aが照明によって最も明るく照らされ、最も奥行きが狭く収納空間の小さい最上段収納棚108aが実際の空間よりもより広く感じられるので、使用者が視覚的感じる庫内凸部の出っ張り感をさらに軽減することができる。
また庫内に照明装置が突出しているので下方にも光りが届く構成となっている。なお、庫内収納の阻害にならないように断熱壁を窪ませた照明装置収納部118となっているので、汎用で安価なミシン球のようなランプ116を用いても、庫内収納性を確保することができる。
また、背面に用いた2つの照明装置は奥行き方向にずらして配置してあるので、ランプ自身が他のランプの影になることがなく、光りの投射方向が異なるので、効率の良い照明が可能である。
さらに、使用者の最も手の届きにくい冷蔵室101の背面上方の最奥部を避けて、手前と下方に複数の照明装置を配置するので、ランプ116の交換が容易である。
なお、第一、第二のランプカバー115、120は表面にセレーションや凸凹を形成することで光の乱反射を起こし、照明を拡散させることで、均一なやわらかい庫内照明とできる。
また、本実施の形態では、第二の庫内照明装置119を2段目の収納棚上の収納空間に臨むように設けたが、上述の主旨によれば第二の庫内照明装置119は必ずしもこの位置に特定されなくてもよく、もう少し下方に離れて2段目の収納空間に対応するものでなく冷蔵室101の背面の適所に配置するものであっても期待する効果をほぼ得ることができる。
また、第二の照明装置119の第二のランプカバー120を下方に延長することで、下方背面にも導光すれば、より下方の棚の明かりが確保される。
また、第二の照明装置119と制御基板122を上下方向に配置したので、断熱壁の厚さを確保した上で庫内側において凸凹の少ない効率的な構成が可能となった。
なお、第二の照明装置119と制御基板122を庫内凸部113の下方に配置したので、断熱壁の厚さを確保した上で庫内凸部113の庫内背面方向の段差を軽減し、見栄えよくすることができる。
また、凝縮器17を圧縮機16とは別の区画に配設することにより温度影響を受けずに済むので凝縮器17の能力を最大限に引き出すことが可能となり、消費電力量の低減ができる。
またなお、基板収納部121は上部が深く、下部が浅い形状とし、制御基板122上の背の高い部品を上方にあつめ、背の低い部品を下方に集めてあり、収納形状に適合させている。さらに第二の庫内照明装置119より下方の冷蔵室背面を下方に行くほど奥へと傾斜させることで、ランプの下方空間が広がり、より下方に照明が届きやすくすることができる。
またなお、中央に配した照明装置と制御基板の両側を用いて風路などの構成とすると、庫内に無駄な段差を生じさせることなくすっきりした冷蔵室101を提供できる。また照明装置の影の出にくい明るい庫内を提供できる。
なお、第二の照明装置119は断熱壁に設けた窪みに配設するために熱がこもりやすい問題があるが第二のランプカバー120の上下に空気穴を設けることで対流が生じ温度低減が可能である。さらにランプは扉開放時のみ点灯するために通常は短時間の動作であるが、半ドアなどで長時間の点灯時に対応するために、所定時間の連続点灯がつづけば消灯させる制御動作を設けると温度上昇を防止可能である。