以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
本発明の第1の実施形態を図1〜図13により説明する。
図1は、本実施形態による画像データ処理装置の全体概略構成を表す図である。
図1において、画像データ処理装置100は、この例では、被印刷媒体としてTシャツTS(後述の図3参照)を印刷対象とするTシャツプリンタ1(後述の図2参照)の画像印刷用のデータを処理するものであり、装置本体101と、この装置本体101に接続された操作手段としてのマウス102及びキーボード103と、イメージスキャナ104と、表示手段としての表示装置105とから構成されている。
図2は、上記装置本体101の機能的構成を表すブロック図である。
図2において、装置本体101は、演算手段としてのCPU101Aと、Tシャツプリンタ1の駆動制御用のプログラム(いわゆるプリンタドライバ)や本発明の画像データ処理方法の手順(後述の図7参照)を実行する画像データ処理プログラム等を格納したROM101Bと、各種データや演算結果を一時的に記憶するRAM101Cと、これらCPU101A及びRAM101C等と装置本体101外部の上記マウス102、キーボード103、イメージスキャナ104、表示装置105、及び前述したTシャツプリンタ1との信号の入出力を制御する入出力インターフェース(I/O)101Dとから構成されている。なお、これらの中の一部について(例えば上記表示装置105)上記入出力インターフェース(I/O)101D以外を介さずCPU101A及びRAM101等と接続されていてもよいし、別途の信号変換手段等を介して接続してもよい。
図3は、上記画像データ処理装置101で処理した画像データの適用対象である上記Tシャツプリンタ(インクジェット式記録装置)1の全体構造を表す斜視図であり、図4はその正面図であり、図5はその側面図である。なお、図4における紙面に向かって手前側方向(図5における左方向)がTシャツプリンタ1の前方向であり、図5における上方向(図5における上方向)がTシャツプリンタ1の上方向となる。
これら図3、図4、及び図5において、このTシャツプリンタ1は、底部に位置する水平部2v及びこの水平部2vの正面視両端から垂直に立ち上がる垂直部2hからなるフレーム2と、フレーム2に設けられ、Tシャツプリンタ1の内部を覆い保護するケージング3(但し煩雑を避けるため2点鎖線で図示)と、上記フレーム2の左右の垂直部2hの上部同士を連結するように水平に架設されたガイドレール4と、このガイドレール4によってその長手方向に移動方向が案内される略直方体形状のキャリッジ5と、このキャリッジ5の底面に設けられた圧電式の4つのインクジェットヘッド6と、上記ガイドレール4の左端付近に設けられたキャリッジモータ7と、ガイドレール4の右端付近に設けられたプーリ8と、ガイドレール4よりも下方の位置にてキャリッジモータ7とプーリ8との間に架設されるとともにキャリッジ5の背面に固定され、キャリッジモータ7の駆動によってガイドレール4の長手方向(図1中左右方向)に往復動するキャリッジベルト9と、上記フレーム2の水平部2vの上に設けられたプラテン駆動機構10と、Tシャツプリンタ1の左右の側面に設けられ、各インクを収容したインクカートリッジ11を着脱可能に収容するためのカートリッジ収容部12と、ガイドレール4に沿ってその右端に移動した状態のキャリッジ5に対応する位置に設けられ、各インクジェットヘッド6のノズル面に対して密着・離脱が可能な吸引キャップ13を備えたパージユニット14と、上記ケーシング3の右側上部に設けられ、Tシャツプリンタ1の操作を行うための操作パネル40とを有する。
インクジェットヘッド6は、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のカラーインクのそれぞれに対応して設けられており、各インクを噴射するための、例えば128個のチャンネル(図示せず)をそれぞれ備えている。そして、各チャンネルには、各々個別に駆動される圧電アクチュエータ(図示せず)が設けられており、各チャンネルに対応してインクジェットヘッド6の底面に孔説された微細な噴射ノズル(図示せず)から下向きに、インクの液滴が噴射されるように制御される。
各カートリッジ収容部12は、インクカートリッジ11をそれぞれ2つずつ装着できるようになっている。そして、各インクカートリッジ11と、各インクジェットヘッド6とはチューブ(図示せず)によってそれぞれ接続され、各チャンネルにインクが供給されるようになっている。
パージユニット14は、吸引ポンプ(図示せず)を備えており、各吸引キャップ13がインクジェットヘッド6に密着しているときに、吸引キャップ13を介してインクの吸引を行うことが可能となっている。また、印刷が行われないときには吸引キャップ13でインクジェットヘッド6のノズル面が覆われ、インクの乾燥が防止されている。
プラテン駆動機構10は、水平部2vの前方及び後方においてそれぞれ垂直方向に立上がり、各頂点にて略長方形を形成する基部35,35及び基部36,36と、基部35,35及び基部36,36の上部にそれぞれ設けられたプーリ28,28及びプーリ29,29と、プーリ28及びプーリ29を一対としてそれぞれ架設された無端ベルト27,27と、それら無端ベルト27,27の上方にそれぞれ設けられたプラテン用レール26,26と、無端ベルト27,27に固定部材24を介し固定された略長方形の板状のスライド基部23と、スライド基部23から立ち上がった支柱(支持部材)21を介し支持されるプラテン20とを備えている。
プラテン20は、この例では、TシャツTSの身頃部分(前見頃又は後見頃)に印刷を行うためのものであり、インクジェットヘッドに対向する面がインクジェットヘッド6が往復運動する経路に平行な平面となるように、略長方形の板状の形状を備えている。そして、後方のプーリ29に設けられたプラテンモータ25がプーリ29を介し無端ベルト27を駆動することにより、固定部材24、スライド基部23、及び支柱21を介し、プラテン20がプラテン用レール26に沿ってTシャツプリンタ1の前後方向(図1の紙面に垂直方向)に往復動するようになっている。ここで、前述のように、インクジェットヘッド6はキャリッジ5に搭載されてキャリッジモータ7の駆動によりガイドレール4に沿ってTシャツプリンタ1の左右方向(図1中における左右方向)に往復移動する。この結果、印刷が行われる際には、これら前後方向に移動するプラテン20と左右方向に移動するインクジェットヘッド6により、TシャツTSに対してインクジェットヘッドを相対的に前後左右に自在に移動させ、所望の位置に所望の印刷を行えるようになっている。
図6は、上記Tシャツプリンタ1の電気的な構成を示すブロック図である。
図6において、Tシャツプリンタ1は、その電気的制御に係る構成として、前述の操作パネル40のほかに、制御部80を備えている。
制御部80は、Tシャツプリンタ1全体の制御を司るCPU81と、CPU81が実行する各種の制御プログラム等を記憶したROM82と、データを一時的に記憶するRAM83と、インクジェットヘッド6の各チャンネルに設けられた上記圧電アクチュエータを駆動させるためのヘッド駆動部84と、キャリッジモータ7やプラテンモータ25を駆動させるためのモータ駆動部85と、操作パネル40に設けられているディスプレイ41やランプ42の表示制御を行う表示制御部87と、操作パネルに設けられている種々のボタン43の入力を受け付ける入力検知部88と、操作パネルに設けられているスピーカー44の音声出力を制御する音声制御部89と、Tシャツプリンタ1の上位装置としての前述の本実施形態による画像データ処理装置100の装置本体101に接続するための通信制御部90とを有しており、それぞれがバス86を介して接続されている。
本実施形態の要部は、以上のような構成のTシャツプリンタ1で印刷対象のTシャツTSの表側に所定の画像(元画像)の印刷を行う際に、その画像が裏側に透けて見える透け画像を元画像とともにモニター可能とすることで、当該画像の印刷における透け具合の制御を容易に行えるようにすることである。以下、その内容を詳細に説明する。
図7は、上記画像データ処理装置100に備えられた装置本体101のCPU101Aが実行する、制御手順を表すフローチャートである。
図7において、まずステップS10において、操作者(ユーザ)によって予め設定される、対象とするTシャツTSにおける色の透け具合(表側から裏側、裏側から表側)の程度を入力する。
この設定入力の手法の一例としては、例えば、図8(a)に示すような色合い及び明るさが連続的に変化するカラーパターンを用いる。すなわち、図8(b)に示すように、上記のようなカラーパターンを、実際にTシャツプリンタ1(又は別のものでもよい)で対象とするTシャツTS(又は同じ生地の布)に印刷して作成し、その表面及び裏面をそれぞれスキャナ104で読み取る。CPU101Aは、これらのスキャン結果の信号を上記I/O101読み込み、そのデータに基づき、図9に示すように、各カラーパターンを構成する色区分(表側)と、表側の各色区分に対応する裏側の透け色区分とを一対一に対応した色データ(この例ではRGB値のデータ)として対応づけ、画像データ変換用の相関テーブル(リスト)として適宜の記憶手段(例えばRAM101C)に記憶させる。このときの相関は更新可能とし、印刷作業を行うたび(あるいは適宜のタイミングで)スキャンし直すようにしてもよいし、TシャツTSの種類等に応じて複数の相関テーブルを選択的に切替読み出し可能に記憶してもよい。
なお、上記はカラーパターンの表側も裏側もスキャンしたが、例えば当該Tシャツプリンタ1でカラーパターンの印刷を行った場合等、カラーパターンの表側についてその色データがわかっている場合には、裏側のみを実際にスキャンして色データを取得するようにしてもよい。
また、上記のような実際のカラーパターン印刷物のスキャンにも限られず、予め布質等に応じて透け具合の相関テーブルがわかっている場合には、それを用いてもよい(ROM101B等に予め設定記憶してもよいし、印刷の都度外部より適宜のネットワーク等を介して当該相関テーブルを読み込むようにしてもよい)。
図7に戻り、上記ステップS10が終了したら、ステップS20に移り、TシャツTSの表側の面に印刷したい画像(第1元画像)を取り込む。この画像は、別途ハードディスク(図示せず)等の記録媒体に保存されたものを操作者によるキーボード103またはマウス102等の操作入力に応じて取り込むようにしてもよいし、あるいはインターネット等の通信手段を介して取り込んでもよいし、上記スキャナ104を利用して読み込んでもよいし、さらにはデジタルカメラ等の外部機器の画像を利用してもよい。なお画像データの形式としては特に限定されるものではなく、RGB空間やCMYK空間におけるデータや、又は装置に依存しない国際標準機関CIEが規定するXYZ三刺激値やL*a*b*均等色空間によるデータでもよいし、あるいは、分光反射率、分光透過率、分光放射輝度、分光光度等をベースにした分光色空間によるデータでもよい。
その後、ステップS30において、上記元画像がTシャツTSの裏側の面に透けたときの透け画像(裏側からみたもの;第1透け画像)を生成する。これは、上記ステップS20で読み込んだ画像データの各画素の色について、上記ステップS10で設定した色の透け具合の程度に係わる相関を適用する変換処理を行うとともに、左右を反転させることによって透け画像の画像データを生成する(先に左右反転させた後に相関を用いて色の変換処理を行ってもよい)。
その後、ステップS40に移り、上記ステップS20で読み込んだ元画像及び上記ステップS30で作成した対応する透け画像をそれぞれ表示させるための表示信号を生成して表示装置105へ出力し、表示装置105の表示画面に、それら元画像及び透け画像を操作者が一覧対比可能に表示させる。
図10は、このときの表示装置105の画面表示例を表す図である。図10において、この例では、左側の画面(又はウィンドウでもよい)に元画像Aが表示されており、右側の画面(又はウィンドウ)にその元画像AがTシャツTSの裏側に透けたときの透け画像A′(当然元画像Aより薄い色となる)が左右対比可能に表示されている。
そして、ステップS50において、操作者からの元画像Aの大きさ、角度、位置等に係わる画像編集信号(キーボード103またはマウス102等で入力された編集操作信号)を上記I/O101Dを介して取り込み、その信号に応じて元画像Aの画像データの修正を行って大きさ、角度、位置等を修正した後の元画像Aの表示信号を生成して表示装置105の画面にその修正後の元画像Aを表示させ(言い換えれば大きさ、角度、位置等の編集操作を画面に反映させる、画面上で編集を可能とする)るとともに、その元画像Aの画像データの修正に応じて透け画像A′の画像データの修正を行って修正した後の透け画像A′の表示信号を生成し表示装置105の画面にその修正後の透け画像A′を表示させる。
なお、上記とは逆に、透け画像A′側からの編集操作を元画像Aに反映させるようにしてもよい。すなわち、操作者からの透け画像A′の大きさ、角度、位置等に係わる画像編集信号に応じて透け画像A′の画像データの修正を行ってその表示信号を表示装置105に出力して表示させるとともに、その透け画像A′の修正に応じ元画像Aの修正を行って修正後の元画像Aの表示信号を表示装置105に出力して表示させてもよい。
なお、このときの大きさ、角度、位置等の編集操作に応じた画像データの細かい処理の詳細については公知の手法で足りるので詳細な説明を省略する。例えば回転処理、スケーリング処理、平行移動処理等における画像データ処理の詳細態様については、以下のような方法が公知である。
画像の移動は、例えば図11(a)のように移動元の画素の画素値を移動後の画素にコピーし、移動元の画素にはブランクを示す値(例えば白)を設定することで実現できる。
画像の縮小は、例えば図11(b)に示すように4×4ドットの画像を2×2ドットに縮小する場合、縮小後の画素に相当する縮小前の4つの画素の平均値を設定する。
図で、各画素の中に示されているのは画素値である。ここでは簡単のため、1値のみとしている。縮小後の値が、縮小前の4つの値の平均値となっている。
画像の拡大は、例えば図11(c)に示すように2×2ドットの画像を4×4ドットに拡大する場合、拡大後の画素に相当する拡大前の画素の値を設定する。
画像の回転は、例えば入力点(x1,y1)を、画像の中心(cx,cy)を中心として、θ度回転させた時の回転後の点(x2,y2)とすると、
x2 = (x1-cx) * cos(θ) - (y1-cy) * sin(θ) +
cx
y2 = (x1-cx) * sin(θ) + (y1-cy) * cos(θ) +
cy
と計算できる。(図11(d))
つまり、回転前の画素(x1,x2)の画素値を、回転後の画素(x2,y2)にコピーすることで、画像の回転処理を実行する。
これらはいずれも画像編集処理の一例を示したものであり、いずれもごく基本的な、公知のものである。これらの処理は、ここに示した方法に限るものではなく、その他の手法でもよい。
その後、ステップS60に移り、操作者からの元画像Aの色合いに係わる画像編集信号(キーボード103またはマウス102等で入力された編集操作信号)を上記I/O101Dを介して取り込み、その信号に応じて元画像Aの画像データの修正を行って色合いを修正した後の元画像Aの表示信号を生成して表示装置105の画面にその修正後の元画像Aを表示させ(言い換えれば色合いの編集操作を画面に反映させる、画面上で編集を可能とする)るとともに、その元画像Aの画像データの修正に応じて透け画像A′の画像データの修正を行って修正した後の透け画像A′の表示信号を生成し表示装置105の画面にその修正後の透け画像A′を表示させる。
なお、上記とは逆に、透け画像A′側からの編集操作を元画像Aに反映させるようにしてもよい。すなわち、操作者からの透け画像A′の色合いに係わる画像編集信号に応じて透け画像A′の画像データの修正を行ってその表示信号を表示装置105に出力して表示させるとともに、その透け画像A′の修正に応じ元画像Aの修正を行って修正後の元画像Aの表示信号を表示装置105に出力して表示させてもよい。
なお、このときの色合いの編集操作に応じた画像データの細かい処理の詳細についても公知の手法で足りるので詳細な説明を省略する。例えば分光色空間における画像データの明度や彩度に係わる画像データ処理の詳細態様については、画像のRGB値に対して値を増減させ明度を調整する方法が知られている。具体的には、RGB値(200,100,0)の時明るさを10上げて、RGB値(210,110,10)とするような方法である。
またこの他にも、特開2004−5566号に記載のように、分光色をHLS空間変換部で人間が扱いやすい低次元の色空間に変換し、HLS色編集部で低次元色空間内で色編集および色補正を行った後、さらに分光空間逆変換部で変換後の低次元色から適切な分光値を生成し、また分光色編集部で分光編集指示信号を受けて分光色のピークの波長幅を狭く変換し鮮やかさを向上させた色編集を行うようにすればよい。また、その他の公知の手法でもよい。
上記ステップS60が終了したら、ステップS70に移り、操作者から印刷指示信号(キーボード103またはマウス102等による印刷指示操作)が上記I/O101Dを介し入力されたかどうかを判定する。判定が満たされない場合、ステップS30に戻って同様の手順を繰り返す。操作者の編集操作が完了し印刷指示操作がされた場合にはこのステップS70の判定が満たされてステップS80へ移り、これまでに作成した画像データを印刷データとしてI/O101Dを介しTシャツプリンタ1の通信制御部90へ転送し、このフローを終了する。
Tシャツプリンタ1では、上記転送された印刷データを通信制御部90を介してRAM83に格納する。そして、操作者が印刷対象のTシャツTSをプラテン20に表向きにしてセットした後、操作パネル40の適宜の手段(例えば印刷開始ボタン)を操作することにより、上記RAM83に格納された印刷データに基づき、CPU81がヘッド駆動部84及びモータ駆動部85を介してインクジェットヘッド6の圧電アクチュエータやキャリッジモータ7及びプラテンモータ25を駆動制御し、上記元画像Aの印刷を行う。
上記において、画像データ処理装置100の装置本体101に備えられたCPU101Aが、各請求項記載の、被印刷媒体の所定の印刷面へ印刷する第1元画像を表示するための表示信号を生成する第1元画像表示信号生成手段を構成するとともに、所定の印刷面の第1元画像が被印刷媒体を透かして見た状態の第1透け画像を表示するための表示信号を生成する第1透け画像表示信号生成手段をも構成する(図7のフローのステップS20〜ステップS40参照)。またCPU101Aは、第1元画像の画像データを変換して第1透け画像の画像データを算出する透け画像データ演算手段(図7のフローのステップS30参照)、外部より入力された、第1元画像の画像編集信号に応じ、対応する第1元画像の画像データの修正を行い、修正後の第1元画像を表示するための表示信号を生成する修正元画像表示信号生成手段(図7のフローのステップS50及びステップS60参照)、第1元画像の画像データの修正に応じて、対応する第1透け画像の画像データの修正を行い、修正後の第1透け画像を表示するための表示信号を生成する修正透け画像表示信号生成手段(図7のフローのステップS50及びステップS60参照)をも構成する。
また、入出力インターフェイス(I/O)101Dは、第1元画像及び第1透け画像を対比可能に表示するように、第1元画像表示信号生成手段及び第1透け画像表示信号生成手段で生成した表示信号を所定の表示手段に出力する表示信号出力手段を構成する。
また、表示装置105が所定の表示手段を構成し、装置本体101全体がその所定の表示手段に接続された制御装置を構成する。
以上説明したように、本実施形態の画像データ処理装置100によれば、TシャツTSの表側の印刷面へ印刷される元画像Aと、この元画像AをTシャツTS裏側から透かして見た透け画像A′とが、表示装置105の画面において対比可能に表示される。これにより、ユーザは、Tシャツプリンタ1を用いてTシャツTSの表側へ画像の印刷を行うにあたり、その画像がTシャツTS越しに裏側にどのように透けて見えるかを容易に確認しながら画像の印刷態様を調整し、その透け状態を所望に制御することが可能となる(例えば、あまり透けないように透け状態の上限値を制限することもできるし、逆にわざと透けるように透け状態の下限値を制限することもできるし、好みの透け状態になるように調整することもできる)。この結果、透け調整のために試行錯誤して印刷を何度もやり直すしかなかった従来に比べ、ユーザの手間を大幅に低減することができる。
また、図7のフローのステップS50及びステップS60において説明したように、ユーザが表示装置105の画面に表示された元画像A(又は透け画像A′、以下この段落においてかっこ内対応関係同じ)の編集操作を行うと、これに応じた修正が対応する透け画像A′(又は元画像A)にも自動的に連動して行われ、それら修正後の元画像A及び透け画像A′とが対比可能に表示される。このように、編集作業に伴う一方側画像の修正に連動して他方側画像も自動的に修正して表示されるので、ユーザの前述の透け制御操作時における手間をさらに低減し、利便性を向上することができる。
なお、上記実施形態においては、TシャツTSの片面(表側)からのみ印刷を行う場合であったが、これに限られず、両面(表側と裏側)から印刷を行う場合(例えばリバーシブルシャツ)にも適用できる。以下、そのような変形例を説明する。
図12は、本変形例の画像データ処理装置100に備えられた装置本体101のCPU101Aが実行する、制御手順を表すフローチャートであり、前述の図7にほぼ相当する図である。図7と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を簡略化又は省略する。
図12において、図7と同様、ステップS10において、色の透け具合(表側から裏側、裏側から表側)の程度を入力した後、ステップS20において、TシャツTSの表側の面に印刷したい画像(第1元画像)を取り込む。
その後、新たに設けたステップS25に移り、TシャツTSの裏側の面に印刷したい画像(第2元画像)を取り込む。この画像は、上記ステップS20の第1元画像と同様、ハードディスク等、インターネット等、スキャナ104、デジタルカメラ等から取り込めばよく、また画像データの形式は特に限定されるものではない。
そして、図7のステップS30に相当するステップS30′に移り、上記第1元画像がTシャツTSの裏側の面に透けたときの透け画像(裏側からみたもの;第1透け画像)と、上記第2元画像がTシャツTSの表側の面に透けたときの透け画像(表側からみたもの;第2透け画像)とを生成する。これは、ステップS30と同様、上記ステップS20及びステップS25で読み込んだ画像データの各画素の色について、上記ステップS10で設定した色の透け具合の程度に係わる相関を適用する変換処理を行いかつ左右を反転させることによって透け画像の画像データを生成する。
その後、図7のステップS40に相当するステップS40′に移り、上記ステップS20及びステップS25で読み込んだ第1元画像及び第2元画像と、上記ステップS30′で作成したそれらに対応する第1透け画像及び第2透け画像をそれぞれ表示させるための表示信号を生成して表示装置105へ出力し、表示装置105の表示画面に、それら元画像及び透け画像を操作者が一覧対比可能に表示させる。
図13は、このときの表示装置105の画面表示例を表す図であり、前述の図10にほぼ相当する図である。図13において、この例では、まず、図10と同様、左側の画面(又はウィンドウでもよい)に第1元画像Aが表示されており、右側の画面(又はウィンドウ)にその第1元画像AがTシャツTSの裏側に透けたときの第1透け画像A′(元画像Aより薄い色となる)が対比可能に表示されている。またこれらに加え、右側の画面(又はウィンドウ)には第2元画像Bが、左側の画面(又はウィンドウ)にはその第2元画像BがTシャツTSの表側に透けたときの第2透け画像B′(元画像Bより薄い色となる)が対比可能に表示されている。
なお、図13の例では、各画面(ウィンドウ)における2つの画像、すなわちTシャツTSの表側に相当する図13中の左側画面における第1元画像Aと第2透け画像B′、あるいはTシャツTSの裏側に相当する図13中の右側画面における第2元画像Bと第1透け画像A′が、それぞれ互いに表裏で重なり合わない位置となる場合を例にとって説明したが、重なり合う位置にある場合は、一方側からの印刷色と他方側からの印刷による透け色とが干渉しうるため、別途これを考慮した手法で表示を行う。以下、その手法の一例を詳細に説明する。
一般に、表示装置105のような画面上の画像の表示は加法混色の三原色であるRGB値で表現される。これに対して、Tシャツプリンタ100のような印刷後の色の具合は、減法混色の三原色であるCMY値で表現される。このCMY値とRGB値との関係は、RGBの最大値をRGB_MAXとしたとき、
C=RGB_MAX−R …(1a)
M=RGB_MAX−G …(1b)
Y=RGB_MAX−B …(1c)
によって計算することができる。
なお、本実施形態では、CMYの最大値をCMY_MAXとし、CMY_MAX = RGB_MAXとしている。つまり、R=RGB_MAXのとき、C=0となる。
CMY値は最大(=CMY_MAX)の時最も暗く、RGB値は最大(=RGB_MAX)の時最も明るくなる。
これら式(1a)(1b)(1c)を用いて、前述した干渉の発生する領域における色の表示を計算することができる。
例えば第1元画像Aと第2透け画像B′が重なり合っている干渉領域については、まず、この領域の画素の、元画像AのRGB値(r1,g1,b1)より上記式(1a)(1b)(1c)によりCMY値(c1,m1,y1)を計算する。その後、透け画像B′のRGB値(r2,g2,b2;元画像BのRGB値より前述の変換を行って求めたRGB値)から同様に式(1a)(1b)(1c)によりCMY値(c2,m2,y2)を計算する。
このように、元画像Aに係るCMY値(c1,m1,y1)及び透け画像B′に係るCMY値(c2,m2,y2)が求められたとき、上記干渉領域の画素の色を表現するCMY値(c3,m3,y3)は、前述の2つのCMY値の合算値とみなすことができ、
c3=c1+c2(但しc3>CMY_MAXの時c3=CMY_MAX)
m3=m1+m2(但しm3>CMY_MAXの時m3=CMY_MAX)
y3=y1+y2(但しy3>CMY_MAXの時y3=CMY_MAX)
となる。
以上のようにして干渉領域のCMY値を求めた後、これを表示装置105における画面表示に対応させるために、RGB値に変換する。このときの干渉領域の画素を表現するRGB値(r3,g3,b3)としては、前述の式(1a)(1b)(1c)より、
r3=CMY_MAX−c3
g3=CMY_MAX−m3
b3=CMY_MAX−y3
によって計算することができる。
なお、第2元画像Bと第1透け画像A′が重なり合っている干渉領域についても、同様の手法で求めることができる。
なお、上記の手法は一例であり、元画像と透け画像が表裏で重なり合う位置にある場合のシミュレーション方法は上記方法に限られるわけではなく、このように表裏で画像が重なった時に、そうでない場合と色の表示を変化させるような方法であれば、他のどのような方法でも良い。
以上のようにしてステップS40′が終了したら、図7と同様のステップS50及びステップS60において、操作者からの第1元画像A及び第2元画像Bの大きさ、角度、位置等及び色合いに係わる画像編集信号(キーボード103またはマウス102等で入力された編集操作信号)に基づき、第1元画像A及び第2元画像B側からの編集操作を第1透け画像A′及び第2透け画像B′に反映させる。これにより、表裏の画像の重なり具合や、反対側への色の影響具合を調整する。なお、上記とは逆に、第1透け画像A′及び第2透け画像B′側からの編集操作を第1元画像A及び第2元画像Bに反映させるようにしてもよい。
ステップS60が終了したら、図7と同様のステップS70において印刷指示の判定を行い、判定が満たされない場合はステップS30′に戻って同様の手順を繰り返し、判定が満たされたら図7と同様のステップS80へ移り、これまでに作成した画像データを印刷データとしてTシャツプリンタ1へ転送する。なおこのとき、例えば、TシャツTSの表側への第1元画像Aの印刷を第1ページ、裏側への第2元画像Bの印刷を第2ページとした印刷データを転送する。
そして、上記実施形態と同様、操作者が印刷対象のTシャツTSをプラテン20に表向きにしてセットして上記第1ページの印刷データにより上記元画像Aの印刷を行った後、プラテン20にTシャツTSを裏向きにセットし直して上記第2ページの印刷データにより上記元画像Bの印刷を行う。ただしこのとき、プラテン20とTシャツTSとの相対的な位置関係が、TシャツTSを表向きにセットしたときと同じになるようにする。例えば、表向きセット時にTシャツTSのうちプラテン20の4隅に当たる部分にチャコなどで印を付けておき、裏向きセット時に印を付けた4点がプラテン20の4隅に来るようにセットすれば、プラテン20とTシャツTSとの相対的な位置関係を保つことができる。
なお、上記のように片面印刷機能のプリンタにおいてTシャツTSの向きを手作業で変えるのでなく、両面印刷機能を備えたプリンタを用いてもよい。
上記において、この変形例のCPU101Aは、各請求項記載の、反対側の面へ印刷する第2元画像を表示するための表示信号を生成する第2元画像表示信号生成手段や、反対側の面の第2元画像が被印刷媒体越しに所定の印刷面側に透けて見える第2透け画像を表示するための表示信号を生成する第2透け画像表示信号生成手段を構成する(図12に示すフローのステップS20、ステップS25、ステップS30′、ステップS40′参照)。
本変形例においては、印刷面であるTシャツの表側へ印刷される第1元画像Aと、これが印刷面と反対側であるTシャツの裏側へ透けて見えたときの第1透け画像A′と、印刷面であるTシャツの裏側へ印刷される第2元画像Bと、これが印刷面と反対側であるTシャツの表側へ透けて見えたときの第2透け画像B′とが、表示装置105の画面において対比可能に表示される。これにより、ユーザは、Tシャツプリンタ1を用いてTシャツの両面へそれぞれ画像の印刷を行うにあたり、表側の第1元画像AがTシャツTS越しに裏側にどのように透けて見えるか、及び裏側の第2元画像がTシャツTS越しに裏側にどのように透けて見えるかを容易に確認しながら画像の印刷態様を調整し、その透け状態を所望に制御することが可能となる(例えば、あまり透けないように透け状態の上限値を制限することもできるし、逆にわざと透けるように透け状態の下限を制限値することもできるし、好みの透け状態になるように調整することもできる)。この結果、上記実施形態と同様、従来に比べ、ユーザの手間を大幅に低減することができる。
また、裏側から印刷する第2元画像B及びこれに対応した表側の透け画像B′のみの透け制御を行い、当該第2元画像BのみをTシャツTSの裏側に印刷するようにしてもよい(裏側のみ印刷で、表側への透け制御)。
本発明の第2の実施形態を図14〜図22により説明する。本実施形態は、上記図12及び図13を用いて説明した変形例と同様に両面から印刷を行う場合において、基準となる一方側(例えば表側)の第1元画像に対し他方側(例えば裏側)より第2元画像の描画を行う場合に際し、第2元画像に基づく第2透け画像がはみ出さないように、また第1元画像に白色領域があれば第2元画像に基づく第2透け画像がその白色領域に透けないように、第2元画像の描画を第1元画像に整合させる場合の実施形態である。上記第1実施形態やその変形例と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
図14は、本実施形態の画像データ処理装置100に備えられた装置本体101のCPU101Aが実行する、制御手順を表すフローチャートであり、前述の図7や図12にほぼ相当する図である。図7及び図12と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を簡略化又は省略する。
図14において、図12と同様、まずステップS10において、色の透け具合(表側から裏側、裏側から表側)の程度を入力した後、ステップS20において、TシャツTSの表側の面に印刷したい画像(第1元画像)を取り込む。
そして、上記図7と同様のステップS30において、上記第1元画像がTシャツTSの裏側の面に透けたときの第1透け画像を生成する。
その後、新たに設けたステップS35に移り、上記ステップS20で読み込んだ第1元画像及び上記ステップS30で生成した第1透け画像をそれぞれ表示させるための表示信号を生成して表示装置105へ出力し、表示装置105の表示画面に、第1元画像及び第1透け画像を表示させる。
ステップS35が終了したら、新たに設けたステップS200に移り、TシャツTSの裏側の面に印刷したい画像(第2元画像)の描画処理を行う。第2元画像は、前述のように上記第1透け画像に対してはみ出さないように描画するが、この例では、第1元画像の反転画像を予め描画枠として用意し、その描画枠内をマウス102でドラッグすることにより色づけを行う(但し第1元画像の白い部分には)という一般的な手法を例にとって説明する。
図15は、このステップS200の詳細処理手順を表すフローチャートである。図15において、まずステップS201で、TシャツTSの表側の上記第1元画像と同じ大きさで左右反転した空の画像を、第2元画像の描画用の画像枠として生成し、このデータをRAM101Cに記憶するとともに、その表示信号を表示装置105に出力して(第1元画像の表示側とは別の側に、後述の図16も参照)表示させる。
その後、ステップS202に移り、マウス102による入力操作信号を上記I/O101Dを介して取り込み、ステップS203で、そのマウス102による描画(色つけ)操作指示位置(ドラッグ位置)が、上記ステップS201で用意した画像枠内にあるかどうかを判定する。
画像枠範囲内であれば判定が満たされ、ステップS204において、当該ドラッグ位置に対応する上記第1元画像中の画素が何色であるかを検査し、ステップS205でその画素が白色であるかどうかを判定する。当該箇所の画素が白色でなければ判定が満たされず、第1元画像中の当該箇所は白色ではないから描画(色つけ)可能とみなされてステップS206に移り、マウス102のドラッグ箇所の画素を、操作者により選択された色に変換(すなわち色づけ、着色)し、このデータをRAM101Cに記憶するとともに、その表示信号を表示装置105に出力して(第1元画像の表示側とは別の側に、後述の図16参照)前述の描画枠内に表示させる。このステップS206が終了したら、ステップS207に移る。なお、前述のステップS203の判定が満たされなかった場合、及びステップS205での判定が満たされた場合も、直接ステップS207へと移る。
ステップS207では、操作者から第2元画像Bの描画が終了した旨の指示信号(キーボード103またはマウス102等による指示操作)が上記I/O101Dを介し入力されたかどうかを判定する。判定が満たされない場合、ステップS202に戻って同様の手順を繰り返す。このようにして、第1元画像相当領域からはみ出さないように整合させつつ、マウス102のドラッグ操作によって第2元画像を描画していく。なお、このような第2元画像の描画に伴い対応する第2透け画像のデータを生成するようにしてもよいが、いずれにしてもこの第2透け画像は上記第1元画像と干渉し表示装置105の画面上にも表示されなくなる。よってこれを見越して当初より第2透け画像の画像データ自体の算出を省略してもよい。
図16は、上記のようにして第2元画像の描画を行っているときの表示装置105の画面表示例を表す図である。図16において、この例では、左側の画面(又はウィンドウでもよい)に第1元画像A(この例では「θθθ」のような文字)が表示されている。また、右側の画面(又はウィンドウ)には、その第1元画像AがTシャツTSの裏側に透けたときの第1透け画像A′(当然第1元画像Aより薄い色となる)が左右対比可能に表示されるとともに、その第1透け画像A′からはみ出さないように上記整合制御されつつ描画されている第2元画像B(この例では「USA」の文字)が表示されている。なお、この図16では、第2元画像Bの描画のときの上記描画枠については、煩雑化を避けるため図示を省略している。
図15に戻り、操作者の第2元画像Bの描画操作が完了し終了指示操作がされた場合にはこのステップS207の判定が満たされて以上のステップS200のルーチンが終了し、前述の図14のフローのステップS50に戻る。
図14に戻り、上記図12のステップS50に対応するステップS50′に移り、ステップS50と同様に、操作者からの元画像Aの大きさ、角度、位置等に係わる画像編集信号(キーボード103またはマウス102等で入力された編集操作信号)を上記I/O101Dを介して取り込み、その信号に応じて元画像Aの画像データの修正を行って大きさ、角度、位置等を修正した後の元画像Aの表示信号を生成して表示装置105の画面にその修正後の元画像Aを表示させるとともに、その元画像Aの画像データの修正に応じて透け画像A′の画像データの修正を行って修正した後の透け画像A′の表示信号を生成し表示装置105の画面にその修正後の透け画像A′を表示させる。
またさらに、上記元画像Aの画像データの修正に応じてこれに同期させてもう一方の元画像Bの画像データの同期修正を行って、この同期修正した後の元画像Bの表示信号を生成し表示装置105の画面にその同期修正後の元画像Bをも表示させる(つまり元画像A側の修正に同期して元画像B側も自動的に修正し表示を行う)。すなわち、元画像Aがα倍に拡大されたら元画像Bもα倍に拡大、元画像Aが1/α倍に縮小されたら元画像Bも1/α倍に縮小、元画像Aが右へ(座標X1,Y1だけ)移動したら元画像Bは左へ(座標−X1,Y1だけ)移動し、元画像Aが左へ移動したら元画像Bは右へ移動し、元画像Aが右へ(角度θだけ)回転したら元画像Bは左へ(角度−θだけ)回転し、元画像Aが左へ回転したら元画像Bは右へ回転し、と言うように、常に元画像Bが元画像Aの裏側に来るように、元画像Aの編集結果にあわせて元画像Bも自動的に編集される。
なお、上記とは逆に、元画像B側からの編集操作を元画像Aに反映させるようにしてもよい。すなわち、操作者からの元画像Bの大きさ、角度、位置等に係わる画像編集信号に応じて元画像Bの画像データの修正を行ってその表示信号を表示装置105に出力して表示させるとともに、その元画像Bの修正に応じ元画像Aの修正を行って修正後の元画像Aの表示信号を表示装置105に出力して表示させてもよい。
以上の際の大きさ、角度、位置等の編集操作に応じた画像データの細かい処理の詳細については公知の手法で足りる。
上記ステップS50′の後、上記図12と同様のステップS60に移り、操作者からの元画像A及び元画像Bの色合いに係わる画像編集信号に応じて表示装置105の画面に編集後の元画像A及び元画像Bを表示させるとともに、それに応じて修正した透け画像A′を表示させる(透け画像B′については元画像Aと干渉し表示されなくなる。あるいはこれを見越して透け画像B′の画像データ自体の算出を省略してもよい)。なお、逆に、透け画像A′側からの編集操作を元画像Aに反映させるようにしてもよい。このときの色合いの編集操作に応じた画像データの細かい処理の詳細についても公知の手法で足りるので詳細な説明を省略する。
上記ステップS60が終了したステップS70以降は、図7及び図12と同様であるので説明を省略する。
上記において、CPU101Aが、各請求項記載の、修正元画像表示信号生成手段による第1又は第2元画像の画像データの修正に応じて、これに同期して修正すべく対応づけられる第2又は第1元画像の画像データの同期修正を行い、この同期修正後の第2又は第1元画像を表示するための表示信号を生成する同期後元画像表示信号生成手段を構成する。
本変形例においては、ユーザが表示装置105の画面に表示された第1元画像Aの編集操作を行うと、これに応じてもう一方の第2元画像Bが自動的に同期して編集され、編集後の第1元画像A及び第2元画像Bがそれぞれ表示装置105に対比可能に表示される。このように、編集作業に伴う一方の元画像の修正に連動して他方の元画像も自動的に修正して表示されるので、第2元画像Bを第1元画像Aの透け画像A′内に存在させたい(=第2元画像Bの位置を第1元画像相当位置からはみ出さないようにして第2透け画像B′が第1元画像Aの印刷側から見えないようにしたい)場合等のユーザのニーズに対応し、この場合の手間を低減し利便性を向上できる。
なお、本実施形態についても、その趣旨及び技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
(1)別の原図のうち第1元画像相当領域のみを第2元画像とする場合
図17は、この変形例の画像データ処理装置100に備えられた装置本体101のCPU101Aが実行する、制御手順を表すフローチャートであり、前述の図7にほぼ相当する図である。図7と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を簡略化又は省略する。
図17において、図7と同様、ステップS10において、色の透け具合(表側から裏側、裏側から表側)の程度を入力した後、ステップS20において、TシャツTSの表側の面に印刷したい画像(第1元画像A)の画像データを取り込む(図18(a)参照)。
その後、ステップS300に移り、第2元画像Bの原図となる原図Cの画像データを取り込む(図18(b)参照)。
その後、ステップS310に移り、表側の元画像Aの白い部分に相当する領域には元画像Bを印刷しないようにするために、上記ステップS20で取り込んだ第1元画像Aの画像データを元に、その元画像Aの左右反転画像を生成する。
その後、ステップS320に移り、原図Cのコピー先として、上記ステップS310で生成した元画像Aの反転画像と同一形状同一大きさの画像枠を用意する。
そして、ステップS330において、原図Cの全ての画素について、それと同じ位置にある上記反転画像の画素を検査し、ステップS340において、その画素が白色であるかどうかを判定する。当該箇所の画素が白色でなければ判定が満たされず、コピー可能とみなされてステップS350に移り、原図Cの当該画素を上記ステップS320で用意した画像枠内にコピーする。このステップS350が終了したら、ステップS360に移る。なお、前述のステップS340での判定が満たされた場合も、直接ステップS360へと移る。
ステップS360では、原図Cの全ての画素の検査が終了したかどうかを判定する。検査が全画素についてまだ終了していなければ判定が満たされず、ステップS330に戻って同様の手順を繰り返す。このようにして、表側の第1元画像Aより原図Cをくりぬいた態様の第2元画像Bの画像データを自動的に生成することができる(図18(c)参照)。
全画素の検査が終了したら、判定が満たされ、ステップS370に移る。
ステップS370では、操作者からの第1元画像Aの大きさ、角度、位置あるいは色合い等に係わる編集操作があったかどうか、すなわち画像編集信号(キーボード103またはマウス102等で入力された編集操作信号)が上記I/O101Dを介して取り込まれたかどうかを判定する。本変形例では、上記第2の実施形態のように第1元画像Aの編集操作を第2元画像B側に同期させない。したがって、上記編集操作がありステップS370の判定が満たされると、ステップS10に戻り、もう一度最初から同じ手順をやり直すこととなる。
編集操作が特になく、ステップS370の判定が満たされなかったら、ステップS70に移る。このステップS70及びその後のステップS80については、図7と同様であるので説明を省略する。
(2)別の原図のうち第1元画像相当領域以外の部分のみを第2元画像とする場合
上記(1)の変形例では、元画像Aの白い部分について裏側から元画像Bの印刷を行わないような例であったが、本変形例はそれとは逆に、元画像Aの白い部分についてのみ裏側から元画像Bの印刷を行う場合の例である。
すなわち、例えば図19(a)に示す顔写真を表から印刷し、図19(b)に示す風景画を裏から印刷したいとする。このように印刷することで、表の顔写真ははっきりと視認でき、裏側から印刷された風景画は透けて見える状態となり、立体的な雰囲気を強調する効果が期待できる。しかし、このまま両側から印刷したのでは、顔写真を印刷する部分については表からの印刷と裏からの印刷とが重なり合って干渉してしまう。本変形例は、この干渉による弊害を回避するために、写真に相当する領域をよけて(逆に言えば写真まわりの白い部分についてのみ)裏から風景画を印刷するようにするものである。
図20は、この変形例の画像データ処理装置100に備えられた装置本体101のCPU101Aが実行する、制御手順を表すフローチャートであり、上記変形例(1)の図17にほぼ相当する図である。図17と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を簡略化又は省略する。
図20において、図17と異なるのは、ステップS340に代えてステップS340′が設けられることである。その他は図17と同一である。
すなわち、ステップS10で色の透け具合を入力し、ステップS20でTシャツTSの表側の面に印刷したい画像(図19(a)に示す前述の顔写真;第1元画像A)の画像データを取り込んだ後、ステップS300で、裏側の面に印刷したい第2元画像Bの原図となる画像(図19(b)に示す前述の風景画;原図C)の画像データを取り込む。
その後、ステップS310で第1元画像Aの左右反転画像(図19(c)参照)を生成し、ステップS320で上記反転画像と同一形状同一大きさの画像枠を用意し、ステップS330において、原図Cの全ての画素について、それと同じ位置にある上記反転画像の画素を検査する。
ステップS330が終了したら、ステップS340に代えて新たに設けた上記ステップS340′において、その画素が白色であるかどうかを判定する。このステップS340′はステップS340の「Yes」「No」を入れ替えたものに相当しており、当該箇所の画素が白色であれば判定が満たされ、コピー可能とみなされてステップS350に移り、原図Cの当該画素を上記ステップS320で用意した画像枠内にコピーする。
ステップS350が終了したら、あるいは前述のステップS340での判定が満たされなかた場合(画素が白色ではなかった場合)は、直接ステップS360へと移り、原図Cの全ての画素の検査が終了したかどうかを判定する。判定が満たされない場合はステップS330に戻って同様の手順を繰り返す。これにより、表側の第1元画像Aに相当する部分のみ原図Cをくりぬいて白くした態様の第2元画像Bの画像データを自動的に生成することができる(図19(d)参照)。
ステップS360の判定が満たされたらステップS370に移る。以降の手順は図17と同一であるので説明を省略する。
以上の手順を元に画像データ処理を行い、プリンタ100でTシャツTSの表側に第1元画像A(顔写真)を、TシャツTSの裏側に第2元画像(風景画)を印刷することで、図19(e)に示すように、表の顔写真ははっきりと視認でき、裏側から印刷された風景画は透けて見える状態となり、しかも顔写真部分における表裏の印刷干渉のない、立体的で鮮明な印刷を行うことができる。
(3)1枚の原図の一部を第1元画像にし、残りの部分より第2元画像を作成する場合
例えば図21(a)に示す人物と風景とからなる1枚の画像から、人物に相当する部分だけを切り抜いて表側に印刷するとともに残りの部分を裏側から印刷し透けて見える状態とし、立体的な雰囲気を強調するような場合である。
図22は、この変形例の画像データ処理装置100に備えられた装置本体101のCPU101Aが実行する、制御手順を表すフローチャートであり、上記変形例(1)(2)の図17や図20にほぼ相当する図である。図7、図17、図20等と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を簡略化又は省略する。
図22において、図7等と同様、ステップS10において、色の透け具合(表側から裏側、裏側から表側)の程度を入力した後、新たに設けたステップS400において、TシャツTSの表側の面に印刷したい画像(第1元画像A)及び裏側に印刷したい画像(第2元画像B)の元となる、原図D(図21(a)参照)の画像データを取り込む。
その後、ステップS410に移り、第1元画像Aに用いるために、上記原図Dのコピー図を作成する。
そして、ステップS420において、上記コピー図から第2元画像B部分を切り取ったものの貼り付け先として、上記コピー図と同一形状同一大きさの、第2元画像B用の画像枠を用意する。
次に、上記コピー図のうち、第2元画像Bとして裏面に印刷するために切り取る領域を指定するが、この例では画像上をマウスでなぞって各画素を指定する手法とする。したがって、ステップS430では、マウス102による入力操作信号を上記I/O101Dを介して取り込み、操作指示位置(ドラッグ位置)を検出する。
その後、ステップS440において、そのドラッグ位置が、上記ステップS410で用意したコピー図の範囲内にあるかどうかを判定する。
コピー図の範囲内であれば判定が満たされ、ステップS450に移って、コピー図の上記ドラッグ位置の該当画素を削除し(切り取り)、上記ステップS420で用意した画像枠のうち対応する位置にコピーする(貼り付ける)。このステップS450が終了したら、ステップS460に移る。なお、前述のステップS440での判定が満たされた場合も、直接ステップS460へと移る。
ステップS460では、この時点でのコピー図の画像データ及び画像枠内の画像データを元に当該コピー図及び画像枠内画像の反転画像の表示信号を表示装置105に出力し、それらを表示させる。
その後、ステップS470では、コピー図における上記マウス102による切り取り作業が終了したかどうか、例えば、操作者から上記切り取り作業が終了した旨の指示信号(キーボード103またはマウス102等による指示操作)が上記I/O101Dを介し入力されたかどうかを判定する。
すべての切り取り作業が終了していなければ判定が満たされず、ステップS430に戻って同様の手順を繰り返す。このようにして、上記コピー図のうち、第2元画像Bとして裏面に印刷するための領域がすべて切り取られ、コピー図には第1元画像Aとなる部分だけが残る(図21(b)参照)とともに、上記画像枠内には、上記切り取られた第2元画像Bとして裏面に印刷するための画像が貼り付け形成される。図21(c)は、その貼り付け形成された画像の左右反転画像(=第2元画像B)を表している。
すべての切り取り作業が終了したら、ステップS470の判定が満たされ、ステップS70に移る。このステップS70及びその後のステップS80については、前述と同様であるので説明を省略する。
以上のようにして、本変形例によれば、人物が表側に印刷されるとともに裏側から風景画が印刷されて透けて見え、立体的な雰囲気が強調された図柄を実現できる(図21(d)参照)。
本発明の第3の実施形態を図23により説明する。本実施形態は、透け具合の程度の制限値に基づき、元画像の色合いを自動調整する実施形態である。前述の第1及び第2の実施形態並びに各変形例と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図23は、本実施形態の画像データ処理装置100に備えられた装置本体101のCPU101Aが実行する、制御手順を表すフローチャートであり、前述の図7にほぼ相当する図である。図7と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を簡略化又は省略する。
図23において、図7と同様、まずステップS10において、色の透け具合(表側から裏側、裏側から表側)の程度を入力した後、新たに設けたステップS15に移る。
ステップS15では、裏側について、表側から透ける限度t1を設定入力する。この値は、例えばTシャツTSの裏側から見たとき、表側から印刷した絵柄がどの程度透けてよいか、透け許容値の限度を設定するものであり、マウス102又はキーボード103によって操作者より入力された値を上記I/O101Dを介して取り込み、RAM101Cに設定記憶する。その設定値の一例としては、色の濃さとしてのRGB値の最低値(値が小さいほど色が濃くなる)として定義することができる。
その後、図7と同様、ステップS20において、TシャツTSの表側の面に印刷したい画像(第1元画像)の画像データを取り込み、図7と同様のステップS30に移り、上記第1元画像A(図示省略)がTシャツTSの裏側の面に透けたときの第1透け画像A′(図示省略)を生成する。
その後、ステップS500で、上記ステップS30で生成した第1透け画像A′の全画素中、最も濃い(RGB値の小さい)画素のRGB値をt1aとする。
そして、ステップS510において、上記t1aの値が、前述のステップS15で設定したt1よりも大きいかどうかを判定する。
t1a>t1であれば、第1透け画像A′の最も濃い画素が前述の透け許容値よりも薄いこととなるから判定が満たされ、制限補正の必要は特にないとみなされて後述のステップS70に移る。t1a≦t1であれば、第1透け画像A′の最も濃い画素が前述の透け許容値より濃くなって判定が満たされず、制限補正の必要があるとみなされてステップS520に移る。
ステップS520では、透け画像A′の最も濃い画素が前述の透け許容値より薄くなるように(言い換えれば透け画像A′の全画素が透け許容値を満たすように)、画像データの制限補正(変換)を行う。具体的には、透け画像A′の各画素のRGB値について、それぞれ、
(t-t1a)/(RGB_MAX-t1a)*(RGB_MAX-t1)+t1
ただし、t:任意の画素のRGB値
RGB_MAX:RGB値の最大値
の式によって変換を行う。このようにして制限補正された透け画像A′の画像データは、例えばRAM101Cに格納保持される。
その後、ステップS530では、透け画像A′のすべての画素について、上記制限補正が終了したかどうかを判定する。まだすべての画素について補正が終了していなければ判定が満たされずステップS520に戻って同様の手順を繰り返し、すべての画素の補正が終了すればステップS530の判定が満たされ、ステップS540に移る。
ステップS540では、上記ステップS530で制限補正された透け画像A′の画像データを元に、これを逆変換して、元画像Aの補正画像データを算出する。具体的には、すべての透け画像A′の各画素の色データについて、先に図9を用いて説明した、各カラーパターンを構成する色区分(表側)と裏側の透け色区分との色データからなる画像データ変換用の相関テーブル(リスト)を参照して前述とは逆の変換を行い、元画像Aの各画素の色データを算出する。このようにして算出された補正後の元画像Aの画像データは、例えばRAM101Cに格納保持される。
そして、ステップS550に移り、上記ステップS530及びステップS540で算出された補正後の透け画像A′及び元画像Aの表示信号を表示装置105に出力し、それら透け画像A′及び元画像Aを表示させる。
ステップS550が終了したら、ステップS70に移る。ステップS70及びステップS80は、図7と同様であるので説明を省略する。
上記において、CPU101Aが、各請求項記載の、外部より入力された、第1透け画像に係わる透け状態制限信号に応じ、対応する第1透け画像の画像データの制限補正を行う透け画像データ制限補正手段を構成する(図23に示すフローのステップS520参照)とともに、この透け画像データ制限補正手段で補正した第1透け画像の補正画像データを変換して、第1元画像の補正画像データを算出する補正元画像データ演算手段をも構成する(図23に示すフローのステップS540参照)。
本変形例においては、上述したように、ユーザが第1透け画像A′の透け状態の制限を行う上記t1を操作入力すると、これに応じて第1透け画像A′が自動的に制限補正されるとともに、その補正後の第1透け画像A′がさらに逆変換されることで上記制限補正に応じた第1元画像Aが作成され、それら補正後の第1元画像A及び第1透け画像A′が表示装置105に対比可能に表示される。このように、ユーザ側による透け画像A′の透け状態の制限指定の入力に基づき元画像Aが自動的に修正して表示されるので、ユーザの透け制御操作時における手間をさらに低減し、利便性を向上することができる。
なお、上記実施形態においては、TシャツTSの表側から印刷する1つの第1元画像Aの色合いを、その裏側に透けた第1透け画像A′の透け具合を制限補正することで自動的に調整したが、前述の第1の実施形態の変形例と同様、同時に裏側から印刷する第2元画像Bの色合いを、表側に透けた第2透け画像B′の透け具合を制限補正することで自動的に調整するようにしてもよい。また逆に、裏側から印刷する第2元画像Bの色合いのみを調整し、当該第2元画像BのみをTシャツTSに印刷するようにしてもよい(裏側のみ印刷で、表側への透け制御)。
また、以上においては、被印刷媒体であるTシャツTS越しの透け、すなわち表側から裏側への透けや、裏側から表側への透けをモニターしつつその透け具合を制御する場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えば表側に画像を印刷したTシャツ(被印刷媒体)の上に、さらに別のシャツやジャケット、トレーナー等(別の被印刷媒体)の衣服を重ね着したときの当該別のシャツ等越しに透けて見える上記Tシャツの画像の透け具合を制御する場合に適用してもよい。この場合も、上記同様、ユーザは、被印刷媒体の印刷面へ画像の印刷を行うにあたり、その画像が、当該印刷面上に重ねられた上記別の被印刷媒体越しにどのように透けて見えるかを容易に確認しながら画像の印刷態様を調整し、その透け状態を所望に制御できるという効果を得る。
また、以上においては、被印刷媒体としてTシャツTSを対象としたTシャツプリンタを例にとって説明したが、これに限られず、ハンカチ、カーテン、風呂敷等、他の布帛に対して印刷を行うプリンタに本発明を適用してもよい。さらに布帛にも限られず、包装紙、色紙、各種カード類等の紙、さらには薄いプラスチック・樹脂製の半透明・透明(光の透過性のある)シート等、他の被印刷物に対して印刷を行うプリンタに本発明を適用してもよい。また透け程度の制御を行う際に前述のように上限値の制限、下限値の制限、所望値への制御等があるが、例えば下限値の制限を行い裏側からの印刷を意図的に表側に透けるようにする場合、文字等を形成する画像の場合には鏡面画像の印刷を裏側から行い、表側に透けた状態で上記画像(文字)が正常に見えるようにすればよい。以上の場合も、上記実施形態及び変形例と同様の効果を得る。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。