JP2006091732A - 光学補償シートおよび液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 透明支持体と、配向状態に固定された液晶性化合物及びフルオロ脂肪族基を有するポリマー(ポリマーA)を少なくとも一種含有する光学異方性層とを有し、該光学異方性層の空気界面側表面のフッ素原子数/炭素原子数が0.5以上である光学補償シートである。
【選択図】 なし
Description
[2] 前記光学異方性層が、さらに、セルロースエステルを含有する[1]の光学補償シート。
[3] 前記光学異方性層が、さらに、ポリマーB(但し、ポリマーBは下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む共重合体である)の少なくとも一種を含有する[1]又は[2]の光学補償シート。
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、アルキレン基およびアリーレン基;
Qはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、またはホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表す。)
[5] 前記光学異方性層が、ハイブリッド配向した液晶性化合物から形成され、かつ、ハイブリッド配向が固定されている[1]〜[4]のいずれかの光学補償シート。
[6] [1]〜[5]のいずれかの光学補償シートを有する液晶表示装置。
[7] 少なくとも、偏光膜と、[1]〜[6]のいずれかの光学補償シートとを有する偏光板。
[8] 少なくとも、液晶セルと、該液晶セルの両側にそれぞれ配置された一対の偏光膜と、前記一対の偏光膜の少なくとも一方と前記液晶セルとの間に[1]〜[6]のいずれかの光学補償シートとを有する液晶表示装置。
本発明は、透明支持体と、配向状態に固定された液晶性化合物及びフルオロ脂肪族基を有するポリマー(ポリマーA)を少なくとも一種含有する光学異方性層とを有し、該光学異方性層の空気界面側表面のフッ素原子数/炭素原子数が0.5以上である光学補償シートに関する。本発明において、光学異方性層の空気界面側表面のフッ素原子数/炭素原子数(以下、「F/C」と省略する場合がある)とは、X線光電子分光法で求めたフッ素原子と炭素原子との光電子エネルギーのピーク強度比をいう。F/Cは0.5以上であるのがより好ましく、1.0以上であるのがさらに好ましく、1.5〜4.0であるのが特に好ましい。F/Cが前記範囲であると、液晶性化合物の分子の空気界面における傾斜角を増加させることができ、その結果、良好な光学補償能を有する光学異方性層となる。
F/C比=(F1sのピーク強度)/(C1sのピーク強度)
[光学異方性層]
本発明の光学補償シートは、配向状態に固定された液晶性化合物とともに、フルオロ脂肪族基を有するポリマーであるポリマーAを少なくとも一種含有する。該ポリマーAは、光学異方性層形成用の組成物、一般的には塗布液中に液晶性化合物とともに含有させることで、光学異方性層中に含有される。
本発明において前記ポリマーAは、フルオロ脂肪族基を側鎖に有するポリマーであるのが好ましい。前記フルオロ脂肪族基は、炭素数1〜12であるのが好ましく、6〜10であるのがより好ましい。脂肪族基は、鎖状であっても環状であってもよく、鎖状である場合は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。中でも、直鎖状の炭素数6〜10のフルオロ脂肪族基が好ましい。フッ素原子による置換の程度については特に制限はないが、脂肪族基中の50%以上の水素原子がフッ素原子に置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましい。フルオロ脂肪族基は、エステル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合、チオエーテル結合、芳香族環などを介してポリマー主鎖と結合した側鎖に含まれる。特に好ましくは下記一般式(2)で表されるフルオロ脂肪族含有モノマーである。
前記のポリ(アルキレンオキシ)基中のアルキレンオキシ単位はポリ(プロピレンオキシ)におけるように同一であってもよく、また互いに異なる2種以上のアルキレンオキシが不規則に分布されたものであっても良く、直鎖または分岐状のプロピレンオキシまたはエチレンオキシ単位、または直鎖または分岐状のプロピレンオキシ単位のブロックおよびエチレンオキシ単位のブロックのように存在するものであってもよい。
別に、公知の方法で製造したポリ(オキシアルキレン)ジアクリレート等を用いることもできる。
アクリル酸エステル類:
フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなど、
メタクリル酸エステル類:
フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなど、
アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノールなど
アルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテルなど
ビニルビチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β―フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレートなど。
イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなど。
フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類:
ジブチルフマレートなど
その他、クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル、スチレンなど。
更に、液晶化合物を主とする塗布組成物(溶媒を除いた塗布成分)に対する本発明に係るフルオロ脂肪族基含有ポリマーの好ましい含有量は、フッ素原子数/炭素原子数が1.5以上になるためには0.2〜8質量%の範囲であり、好ましくは0.2〜1質量%の範囲であり、更に好ましくは0.2〜0.5質量%の範囲である。フルオロ脂肪族基含有ポリマーの添加量が0.2質量%以上とすることにより、より効果的であり、また8質量%以下とすることにより、塗膜の乾燥をより容易に行うことができ、光学フイルムとしての性能(例えばレターデーションの均一性等)に悪影響を及ぼすのをより効果的に防止できる。
前記光学異方性層は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーBを含有しているのが好ましい。
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、アルキレン基およびアリーレン基。
(置換基群)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
以下にLの具体的構造を例示するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
(1)アルケン類
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど;
(2)ジエン類
1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、1−クロロブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロロ−1,3−ブタジエンおよび2−シアノ−1,3−ブタジエン、1,4−ジビニルシクロヘキサンなど;
(3a)アルキルアクリレート類
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなど);
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アリルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなど;
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、タコン酸ジブチル、クロトン酸ジブチル、クロトン酸ジヘキシル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなど;
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチルマレイミドなど;
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
(5)スチレンおよびその誘導体
スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−tertブチルスチレン、p−ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−アセトキシスチレンなど;
(6)ビニルエステル類
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、メトキシ酢酸ビニル、フェニル酢酸ビニルなど;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フルオロブチルビニルエーテル、フルオロブトキシエチルビニルエーテルなど;および
(8)その他の重合性単量体
N−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリンなど。
前記光学異方性層形成用の組成物中に、セルロースエステルを含有させると、空気界面側の液晶性化合物の分子の傾斜角をより増加させることができるので、好ましい。また、セルロースエステルは、組成物を支持体面上等に塗布した際のハジキの発生を軽減するのにも寄与する。本発明に使用可能なセルロースエステルの好ましい例には、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースが含まれる。中でも、セルロースアセテートブチレートが好ましい。前記セルロースエステルの添加量は、液晶性化合物の総量に対して質量百分率で、好ましくは0.01〜8%、より好ましくは0.01〜4%、さらに好ましくは0.01〜2%である。
本発明の光学補償シートは、液晶性化合物の配向によって発現された光学異方性を有する。光学異方性層中において液晶性化合物の分子は、配向状態に固定されているのが好ましく、ハイブリッド配向状態に固定されているのがより好ましい。本発明に用いられる液晶性化合物については特に制限はなく、種々の化合物を用いることができる。棒状液晶性化合物又はディスコティック液晶性化合物を用いるのが好ましく、ディスコティック液晶性化合物を用いるのがより好ましい。また、液晶性化合物は、高分子液晶でも低分子液晶であってもよい。さらに、低分子液晶性化合物が層を形成する際に架橋され、もはや液晶性を示さなくなったものも含まれる。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。なお、棒状液晶性化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性化合物を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、本発明の棒状液晶性化合物として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。棒状液晶性化合物については、例えば、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載のものを採用できる。
棒状液晶性化合物の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
ディスコティック液晶性化合物には、C.Destradeらの研究報告(Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年))に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告(Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990))に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告(Angew.Chem.96巻、70頁(1984年))に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告(J.Chem.Commun.,1794頁(1985年))、J.Zhangらの研究報告(J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年))に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
D(−LQ)n
一般式(III)中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Qは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
光学異方性層は、支持体表面に直接又は配向膜表面に、液晶性化合物等を含有する組成物を適用して形成することができる。光学異方性層形成用の組成物は、液晶性化合物、および種々の添加剤を含有する。これらの原料を溶媒に溶解して塗布液として、支持体表面等に塗布するのが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。均一性の高い光学フイルムを作製する場合には、塗布液の表面張力は、25mN/m以下であることが好ましく、22mN/m以下であることが更に好ましい。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがさらに好ましい。
前記光学異方性層の形成には、配向膜を用いるのが好ましい。前記光学異方性層の形成に用いられる配向膜については特に制限はなく、ポリビニルアルコール等のポリマー層を形成した後、該ポリマー層の表面を所定の方向にラビング処理することによって形成された配向膜などが利用できる。配向膜として好ましい例は、特開平8−338913号公報に記載されている。前記配向膜の膜厚は、10μm以下であるのが好ましい。なお、配向膜は光学異方性層の形成時のみに用い、光学異方性層を形成した後は、剥離可能な場合は剥離してもよい。かかる場合は、仮支持体上に配向膜を形成し、配向膜上で光学異方性層を形成した後に、該光学異方性層を、透明支持体に転写して、本発明の光学補償シートを作製してもよい。
本発明の光学補償シートは、前記光学異方性層を支持する支持体を有する。支持体は、ガラス又は透明なポリマーフイルムであることが好ましい。
支持体は、光透過率が80%以上であることが好ましい。ポリマーフイルムを構成するポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースジアセテート)、ノルボルネン系ポリマーおよびポリメチルメタクリレートが含まれる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、アートンおよびゼオネックスいずれも商品名))を用いてもよい。
中でもセルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。とくに炭素原子数が2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)が好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
偏光板保護フイルム、もしくは位相差フイルムに本発明の光学フイルムを使用する場合は、ポリマーフイルムとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度は、57.0〜62.0%であることがさらに好ましい。
セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが好ましく、1.0乃至1.65であることがさらに好ましく、1.0乃至1.6であることが最も好ましい。
2位、3位、6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30乃至40%であることが好ましく、31乃至40%であることがさらに好ましく、32乃至40%であることが最も好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。
各位置の置換度は、NMRによって測定することできる。
6位置換度が高いセルロースアセテートは、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載の合成例1、段落番号0048〜0049に記載の合成例2、そして段落番号0051〜0052に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
[偏光板]
偏光板は一般に、基材フイルムに二色性物質を吸着、配向させて作製された偏光膜と、該偏光膜の少なくとも片面に貼合された保護膜とを有する。偏光膜の基材フイルムに使用されるポリマーとしては、ポリビニルアルコール(以下、PVA)系ポリマーが一般的である。二色性物質としてはヨウ素あるいは、二色性染料が単独、あるいは組み合わせて用いられる。保護膜としては、低複屈折性、透明性、適度な透湿性、寸度安定性等の物性が求められ、従来はセルロースアセテートフイルムが広く用いられ、その作製において塩素系有機溶媒であるメチレンクロライドを使用しており、環境保全の観点でその改良が望まれている。非塩素系有機溶媒を用いて作製されたセルロースアシレートフイルムは、その作製に際して非塩素系溶媒で流延しフイルム化することで、これらの改良したものである。
(TNモード液晶表示装置)
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性化合物が寝た配向状態にある。
ホモジニアス配向の液晶性化合物は、液晶性化合物の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が5度未満の状態で配向している。
ハイブリット配向の液晶性化合物は、液晶性化合物の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が15度以上であることが好ましく、15度〜85度であることがさらに好ましい。
ホメオトロピック配向(水平配向)しているディスコティック液晶性化合物層およびホモジニアス配向(水平配向)している棒状液晶性化合物層に関しては、特開2000−304931号および同2000−304932号の各公報に記載されている。ハイブリット配向しているディスコティック液晶性化合物層に関しては、特開平8−50206号公報に記載がある。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性化合物を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、同5410422号の各公報に開示されている。棒状液晶性化合物が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードと呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性化合物が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性化合物が寝た配向状態にある。
ECBモードおよびSTNモードの液晶表示装置に対しては、上記と同様の考え方で光学的に補償することができる。
(ポリマー基材の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
────────────────────────────────────
セルロースアセテート溶液組成(質量部) 内層 外層
────────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部 0.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤)
3.9質量部 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 293質量部 314質量部
メタノール(第2溶媒) 71質量部 76質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5質量部 1.6質量部
シリカ微粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
0質量部 0.8質量部
下記レターデーション上昇剤 1.4質量部 0質量部
────────────────────────────────────
作製したポリマー基材(PK−1)を2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥した。このPK−1の表面エネルギーを接触角法により求めたところ、63mN/mであった。
このPK−1上に、下記の組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m2の塗布量で塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
下記の組成物を、102Kgのメチルエチルケトンに溶解して塗布液を調製した。
光学異方性層の組成物
下記のディスコティック液晶性化合物 41.01質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 4.06質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0・2、イーストマンケミカル社製) 0.34質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB531−1、イーストマンケミカル社製) 0.11質量部
ポリマーA(X−72) 0.18質量部
ポリマーB(P−33) 0.03質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 1.35質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.45質量部
光学異方性層における液晶性化合物の配向膜近傍の傾斜角および空気界面近傍の傾斜角を、観察角度を変えてレターデーションを測定し、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)pp.143−147に記載されている手法で算出した。測定波長は632.8nmであった。結果は、第1表に示す。以下に示す実施例2〜4、比較例1〜2についても同様に、傾斜角を求めた。
光学異方性層の空気界面側表面におけるフッ素原子数/炭素原子数(F/C)の評価を、ESCA測定(クレイトスアナリティカル社製X線光電子分光装置ESCA−3400)を用いて評価した。F/Cの結果を第1表に示す。以下に示す実施例2〜6、比較例2、3についても同様にF/Cを算出した。
ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記で作製した光学補償シートKH−1を、偏光子(HF−1)の片側表面に貼り付けた。また、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフイルム(TD−80U:富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子(HF−1)の反対側表面に貼り付けた。
偏光子(HF−1)の透過軸と、光学補償シートの支持体であるポリマーフイルム(PK−1)の遅相軸とが平行になるように配置した。偏光子(HF−1)の透過軸と上記トリアセチルセルロースフイルムの遅相軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光板(HB−1)を作製した。
光学異方性層形成用の塗布液の調製において、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)を除いた以外は、実施例1と同様にして、光学補償シート(KH−2)、さらには、KH−2付偏光板(HB−2)を作製した。波長546nmで測定した光学補償シート中の光学異方性層のReレターデーション値は、46nmであった。得られた光学補償シートのムラを観察したところ、正面、および法線から60度まで傾けた方向から見ても、ムラは検出されなかった。
光学異方性層形成用の塗布液の調製において、ポリマーAをX−72に代わりにX−11添加し、ポリマーBをP−33の代わりにQ−31を添加した以外は、実施例2と同様にして、光学補償シート(KH−3)、さらには、KH−3付偏光板(HB−3)を作製した。波長546nmで測定した光学補償シート中の光学異方性層のReレターデーション値は、48nmであった。また、偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償シートのムラを観察したところ、正面、および法線から60度まで傾けた方向から見ても、ムラは検出されなかった。
光学異方性層形成用の塗布液の調製において、ポリマーBを除き、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)を添加した以外は、実施例3と同様にして、光学補償シート(KH−4)、さらには、KH−4付偏光板(HB−4)を作製した。波長546nmで測定した光学補償シート中の光学異方性層のReレターデーション値は、42nmであった。また、偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償シートのムラを観察したところ、正面、および法線から60度まで傾けた方向から見ても、ムラは検出されなかった。
光学異方性層形成用塗布液の調製において、ポリマーAの添加量を下げた以外は、実施例2と同様にして、光学補償シート(KH−H1)、さらには、KH−H1付偏光板(HB−H1)を作製した。波長546nmで測定した光学補償シート中の光学異方性層のReレターデーション値は、48nmであった。また偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償シートを観察したところ、モヤモヤしたムラが観察された。
(比較例2)
光学異方性層形成用塗布液の調製において、ポリマーAを除いた以外は、実施例4と同様にして、光学補償シート(KH−H2)、さらには、KH−H2付偏光板(HB−H2)を作製した。波長546nmで測定した光学補償シート中の光学異方性層のReレターデーション値は、42nmであった。また偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償シートを観察したところ、ムラが観察された。
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(AQUOS LC20C1S、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに実施例1で作製した偏光板(HB−1)を、光学補償シート(KH−1)が液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。測定結果を第1表に示す。
実施例1で用いたレターデーション上昇剤の添加量を変えて、Rthを80、90、110、120、130nmにしたポリマー基材を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、光学補償シート、さらには光学補償シート付き偏光板を作製した。ポリマー基材のRthを80、90、110、120、130nmに変えても、上下左右の視野角は実施例1で得られた視野角とほぼ同等であることを確認した。
実施例1で用いたレターデーション上昇剤を、下記のレターデーション上昇剤に代え、内層の添加量を1.4質量部にし、Rthを110nmにしたポリマー基材を作製した以外は、実施例1と同様にして、光学補償シート、さらには、光学補償シート付き偏光板を作製した。上下左右の視野角は実施例1で得られた視野角とほぼ同等であることを確認した。
実施例6で用いたレターデーション上昇剤の添加量を変えて、Rthを80、90、100、120、130nmにしたポリマー基材を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、光学補償シート、さらには光学補償シート付き偏光板を作製した。ポリマー基材のRthを80、90、100、120、130nmに変えても、上下左右の視野角は実施例1で得られた視野角とほぼ同等であることを確認した。
Claims (8)
- 透明支持体と、配向状態に固定された液晶性化合物及びフルオロ脂肪族基を有するポリマー(ポリマーA)を少なくとも一種含有する光学異方性層とを有し、該光学異方性層の空気界面側表面のフッ素原子数/炭素原子数が0.5以上である光学補償シート。
- 前記光学異方性層が、さらに、セルロースエステルを含有する請求項1に記載の光学補償シート。
- 前記光学異方性層が、さらに、ポリマーB(但し、ポリマーBは下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む共重合体である)の少なくとも一種を含有する請求項1又は2に記載の光学補償シート。
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、アルキレン基およびアリーレン基;
Qはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、またはホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表す。) - 前記液晶性化合物が、ディスコティック液晶性化合物からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学補償シート。
- 前記光学異方性層が、ハイブリッド配向した液晶性化合物から形成され、かつ、ハイブリッド配向が固定されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学補償シート。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学補償シートを有する液晶表示装置。
- 少なくとも、偏光膜と、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学補償シートとを有する偏光板。
- 少なくとも、液晶セルと、該液晶セルの両側にそれぞれ配置された一対の偏光膜と、前記一対の偏光膜の少なくとも一方と前記液晶セルとの間に請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学補償シートとを有する液晶表示装置。
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