JP2006091202A - 多層膜ミラーの製造方法、多層膜ミラー、露光装置及びデバイス製造方法 - Google Patents

多層膜ミラーの製造方法、多層膜ミラー、露光装置及びデバイス製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 膜の界面の粗さ及び表面粗さを低減し、優れた光学特性を有する多層膜ミラーを比較的低コストで製造することができる多層膜ミラーの製造方法及び多層膜ミラーを提供する。
【解決手段】 第1の物質からなる第1の層と、前記第1の物質とは異なる第2の物質からなる第2の層とを積層した多層膜を有し、所定の光を反射する多層膜ミラーの製造方法であって、前記多層膜を成膜するステップであって、前記第1の層を第1の成膜条件で形成する第1の形成ステップと、前記第2の層を第2の成膜条件で形成する第2の形成ステップと、前記第1の成膜条件又は前記第2の成膜条件とは異なる第3の成膜条件で前記第1の層又は前記第2の層を形成する第3の形成ステップとを有するステップを有することを特徴とする製造方法を提供する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、一般には、多層膜ミラーの製造方法及び多層膜ミラーに係り、特に、露光光源として紫外線や極端紫外線(EUV:extreme ultraviolet)光を利用する露光装置に用いられる多層膜ミラーの製造方法及び多層膜ミラーに関する。
フォトリソグラフィー(焼き付け)技術を用いて半導体メモリや論理回路などの微細な半導体素子を製造する際に、レチクル又はマスクに描画された回路パターンを投影光学系によってウェハ等に投影して回路パターンを転写する縮小投影露光装置が従来から使用されている。
縮小投影露光装置で転写できる最小の寸法(解像度)は、露光に用いる光の波長に比例し、投影光学系の開口数(NA)に反比例する。従って、波長を短くすればするほど、解像度はよくなる。このため、近年の半導体素子の微細化への要求に伴い露光光の短波長化が進められ、超高圧水銀ランプ(i線(波長約365nm))、KrFエキシマレーザー(波長約248nm)、ArFエキシマレーザー(波長約193nm)、Fレーザー(波長約157nm)と用いられる紫外線光の波長は短くなってきた。
しかし、半導体素子は急速に微細化しており、紫外線光を用いたリソグラフィーでは限界がある。そこで、例えば、0.1μm以下の非常に微細な回路パターンを効率よく転写するために、紫外線光よりも更に波長が短い、波長10nm乃至15nm程度の極端紫外線(EUV)光を用いた縮小投影露光装置(以下、「EUV露光装置」と称する。)が開発されている。
EUV光の波長領域では、物質による光の吸収が非常に大きくなるので、可視光や紫外線光で用いられるような光の屈折を利用した屈折型光学素子、即ち、レンズを用いることは実用的ではなく、光の反射を利用した反射型光学素子、即ち、ミラーが用いられる。
EUV露光装置を構成する反射型光学素子としては、光学定数の異なる2種類の薄膜(物質)を交互に積層した多層膜ミラーが用いられる。なお、EUV光の波長領域では、物質の屈折率差が極めて小さいため、多層膜ミラーには数十層以上の膜厚が必要となる。一般に、薄膜は、多く積層するほど界面及び表面の粗さが粗くなる傾向を有する。従って、多層膜ミラーにおいては、膜の界面の粗さ及び表面粗さが積算されて反射面に伝達され(即ち、反射面の平坦度が極めて悪化し)、光の散乱を生じたりして、所望の光学特性(例えば、反射率)を得ることができない場合がある。このような多層膜ミラーをEUV露光装置に用いると、露光性能の劣化を招いてしまう。
そこで、薄膜を成膜する際に、イオンビームアシストを用いることによって、膜の界面の粗さを改善させた多層膜ミラー及び多層膜ミラーの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2000−147198号公報
しかしながら、従来の多層膜ミラー及び多層膜ミラーの製造方法は、膜の界面及び表面の粗さを十分に抑えることができず、近年の多層膜ミラーに要求されている光学性能を達成することができなかった。また、特許文献1に提案されている多層膜ミラーの製造方法は、非常に高価なイオンビームアシスト源を設けなければならず、多層膜ミラーの製造コストの増加を招いてしまう。
そこで、本発明は、このような従来の課題を解決し、膜の界面の粗さ及び表面粗さを低減し、優れた光学特性を有する多層膜ミラーを比較的低コストで製造することができる多層膜ミラーの製造方法及び多層膜ミラーを提供することを例示的目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての製造方法は、第1の物質からなる第1の層と、前記第1の物質とは異なる第2の物質からなる第2の層とを積層した多層膜を有し、所定の光を反射する多層膜ミラーの製造方法であって、前記第1の層を第1の成膜条件で形成する第1の形成ステップと、前記第2の層を第2の成膜条件で形成する第2の形成ステップと、前記第1の成膜条件又は前記第2の成膜条件とは異なる第3の成膜条件で前記第1の層又は前記第2の層を形成する第3の形成ステップとを有するステップを有することを特徴とする。
本発明の別の側面としての製造方法は、第1の物質からなる第1の層と、前記第1の物質とは異なる第2の物質からなる第2の層とを積層した多層膜を有し、所定の光を反射する多層膜ミラーの製造方法であって、前記多層膜を成膜するステップであって、前記第1の層と前記第2の層との界面の粗さを取得するステップと、前記取得ステップで取得した界面の粗さが所定の値以上になった場合に、前記第1の層又は前記第2の層の成膜条件を変更するステップとを有するステップを有することを特徴とする。
本発明の更に別の側面としての製造方法は、複数の層を積層した多層膜を有し、所定の光を反射する多層膜ミラーの製造方法であって、前記複数の層のうち少なくとも一の層について、成膜条件を変更して前記一の層を成膜するステップを有することを特徴とする。
本発明の更に別の側面としての多層膜ミラーは、複数の層を積層した多層膜を有し、所定の光を反射する多層膜ミラーであって、前記多層膜の間に挿入され、前記複数の層の表面粗さを緩衝する緩衝層を有することを特徴とする。
本発明の更に別の側面としての多層膜ミラーは、光源からの光を、上述の製造方法を用いて製造される多層膜ミラー又は上述の多層膜ミラーを含む光学系を介して被処理体に照射して当該被処理体を露光することを特徴とする。
本発明の更に別の側面としてのデバイス製造方法は、上述の露光装置を用いて被処理体を露光するステップと、露光された前記被処理体を現像するステップとを有することを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、膜の界面の粗さ及び表面粗さを低減し、優れた光学特性を有する多層膜ミラーを比較的低コストで製造することができる多層膜ミラーの製造方法及び多層膜ミラーを提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面としての多層膜ミラーの製造方法及び多層膜ミラーについて説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
本発明者らは、多層膜ミラーについて鋭意検討した結果、多層膜の間に、膜の表面の粗さを緩衝(低減)させる層を少なくとも1層以上挿入することにより、多くの層を積層した場合に生じる界面の粗さ及び表面の粗さが上層に伝達されることを防止することができる(即ち、界面の粗さ及び表面の粗さを低減することができる)ことを見いだした。また、膜の表面の粗さを緩衝させる層の材料(物質)は、多層膜ミラーの光学特性を考慮すると、多層膜を構成する材料(物質)であることが望ましい。本発明者らは、膜の表面の粗さを緩衝させる層に、多層膜を構成する材料と同じ材料を用いても、成膜条件を変えることにより、下層の粗さをカバーする効果(ステップカバレージの向上)を得ることができることを確認した。その際、膜の密度は変化すると考えられ、所望の光学物性からは若干ずれるが、かかるずれは、多層膜と同じ材料であるため無視することが出来る程度に小さい。
図1及び図2を参照して、本発明の多層膜ミラーの製造方法及び多層膜ミラーを具体的に説明する。図1は、多層膜ミラーの製造方法1000を説明するためのフローチャートである。図2は、ステップ1200の多層膜の成膜の詳細なフローチャートである。図3は、多層膜ミラー10の構成を示す概略断面図である。
まず、図1及び図3を参照するに、多層膜ミラー10の基板12を用意する(ステップ1100)。基板12は、精密な形状に研磨されたガラス基板である。基板12は、後述する多層膜14が成膜される表面に、多層膜ミラー10の形状と同一の形状を有する。例えば、多層膜ミラー10が凹面ミラー、凸面ミラー、平面ミラーの場合、基板12は、凹面、凸面、平面の表面を有する。
次いで、基板12に多層膜14を成膜する(ステップ1200)。多層膜14は、本実施形態では、光学定数の異なる2種類の物質(第1の層14a及び第2の層14b)を交互に積層することで構成される。多層膜14は、例えば、第1の層14aとしてモリブデン(Mo)、第2の層14bとしてシリコン(Si)を基板12の表面に交互に積層したMo/Si多層膜、又は、第1の層14aとしてモリブデン(Mo)、第2の層14bとしてベリリウム(Be)を基板12の表面に交互に積層したMo/Be多層膜などが考えられる。波長13.4nm付近の波長域を用いた場合、Mo/Si多層膜を有する多層膜ミラー10は67.5%の反射率を得ることができ、また、波長11.3nm付近の波長域を用いた場合、Mo/Be多層膜を有する多層膜ミラー10では70.2%の反射率を得ることができる。但し、多層膜14は、上記した物質に限定されず、これと同様の作用及び効果を有する多層膜の使用を妨げるものではない。また、多層膜14がMo/Si多層膜である場合、例えば、Mo層(第1の層14a)の厚さは2nm、Si層(第2の層14b)の厚さは5nm程度である。一般に、2種類の層の厚さを加えたものは膜周期と呼ばれ、上記例では膜周期は7nmとなる。
ここで、ステップ1200の多層膜14の成膜について詳細に説明する。図2を参照するに、まず、第1の層14aを第1の成膜条件で形成する(ステップ1210)。第1の層14aの成膜には、例えば、マグネトロンスパッタリングやイオンビームスパッタリング等のスパッタリングや真空蒸着が成膜方法として用いられる。続いて、第2の層14bを第2の成膜条件で形成する(ステップ1220)。第2の層14bの成膜には、第1の層14aと同様に、スパッタリングが用いられる。なお、成膜条件とは、本実施形態では、成膜圧力であり、第1の成膜条件と第2の成膜条件は同じであってもよい。ステップ1210及びステップ1220を交互に繰り返すことによって多層膜14が形成される。
次いで、第1の層14aと第2の層14bとの界面の粗さ及び/又は多層膜14の表面の粗さを取得する(ステップ1230)。界面の粗さ及び表面粗さの測定には公知のいかなる手段も適用することが可能である。
そして、ステップ1230で取得した第1の層14aと第2の層14bとの界面の粗さ及び/又は多層膜14の表面の粗さが所定の値以上であるかどうか判断する(ステップ1240)。本実施形態では、第1の層14aと第2の層14bとの界面及び/又は多層膜14における波面収差を基に、例えば、0.3nmRMS以上であるかどうかを判断する。
ステップ1240において、第1の層14aと第2の層14bとの界面の粗さ及び/又は多層膜14の表面の粗さが所定の値よりも小さければ第1の層14a及び第2の層14bの形成(ステップ1210以下)を続ける。一方、第1の層14aと第2の層14bとの界面の粗さ及び/又は多層膜14の表面の粗さが所定の値以上であれば、第1の成膜条件又は第2の成膜条件とは異なる第3の成膜条件で緩衝層16を形成する(ステップ1250)。
緩衝層16は、第1の層14aと第2の層14bとの界面の粗さを緩衝(低減)させる機能を有する。換言すれば、緩衝層16は、第1の層14aと第2の層14bとの界面の粗さが多層膜ミラー10の反射面に伝達されることを遮断(防止)する。緩衝層16は、多層膜ミラー10の光学性能(反射率)に影響を与えないように、第1の層14a及び第2の層14bと同じ物質の層であることが望ましい。また、緩衝層16は、本実施形態では、1種類の物質(即ち、1層)から構成されているが、複数の物質(即ち、複数の層)で構成してもよい。
本発明者らの実験によって、以下の表1に示すように、第1の層14aと第2の層14bの成膜条件から変えて(即ち、成膜圧力を下げて)緩衝層16を形成することで、第1の層14aと第2の層14bとの界面の粗さが低減することが確かめられた。
緩衝層16を形成した後は、第1の成膜条件又は第2の成膜条件に戻し、第1の層14a又は第2の層14bの形成(ステップ1210以下)を続ける。緩衝層16は表面粗さは低減できるものの、膜密度が他の層と異なり、光学特性も異なる。従って、緩衝層を成膜した後は成膜条件を第1又は第2の条件に戻し、第1の層14a又は第2の層14bを形成することにより、光学特性の優れた多層膜ミラーを得ることができる。
再び、図1に戻って、多層膜14の成膜(ステップ1200)が終わると、例えば、波面収差を低減するために多層膜14の一部を除去するなどの多層膜14の調整が行われ(ステップ1300)、図3に示すような、多層膜ミラー10が完成する。
製造方法1000によれば、緩衝層16を形成することで第1の層14a及び第2の層14bの界面の粗さを緩衝(低減)し、かかる粗さが多層膜ミラー10の反射面に伝達されることを防止して、優れた光学特性を有する多層膜ミラー10を製造することができる。また、成膜条件を変更するだけで緩衝層16を形成することができる(更には、緩衝層16は、第1の層14a又は第2の層14bと同じ物質である)ため、製造コストが増加することもない。
本発明者らは、製造方法1000を利用して、多層膜を構成する物質や成膜条件を変えて数多くの多層膜ミラーを製造し、多層膜ミラーの反射面の評価を行った。なお、多層膜ミラーの反射面の評価には、波面収差を用いた。
図4は、実施例1で製造された多層膜ミラー20を模式的に示す概略断面図である。基板22上に、マグネトロンスパッタリングによって、Moを主とする第1の層24aとSiを主とする第2の層24bの交互層から構成される多層膜24を形成した。更に、第1の層24aと第2の層24bの界面の粗さが0.3nmRMS以上となった位置で、Moからなる緩衝層26を挿入した。この際、緩衝層26は、成膜中に成膜圧力を徐々に下げていきながら形成した。緩衝層26を挿入することで、緩衝層26より下の層(下地層)までの粗さをカバーし、且つ、緩衝層26よりも上の層(上層)では、表面が滑らかな膜となる。その後、Mo及びSiを主とする多層膜24を形成した。この繰り返しにより、反射面の粗さが少なく、高い反射率を有する多層膜ミラー20を製造することができた。
図5は、実施例2で製造された多層膜ミラー30を模式的に示す概略断面図である。基板32上に、マグネトロンスパッタリングによって、Moを主とする第1の層34aとSiを主とする第2の層34bの交互層から構成される多層膜34を形成した。更に、第1の層34aとSiを主とする第2の層34bの界面の粗さが0.3nmRMS以上となった位置で、緩衝層36を挿入した。緩衝層36は、Siを主とする層36aと、B4Cを主とする層36bと、Moを主とする層36cとの3層の交互層で構成した。この際、Moを主とする層36cは、成膜中に成膜圧力を徐々に下げていきながら形成した。その後、Mo及びSiを主とする多層膜34を形成した。この繰り返しにより、反射面の粗さが少なく、高い反射率を有する多層膜ミラー30を製造することができた。なお、緩衝層36に複数の物質を用いると共に、成膜条件を変えていることによって、光学特性を損なうことなく、粗さを抑えた多層膜34を実現することができた。
以下、図6を参照して、本発明の多層膜ミラーを適用した例示的な露光装置100について説明する。ここで、図6は、本発明の一側面としての露光装置100の構成を示す概略ブロック図である。
本発明の露光装置100は、露光用の照明光としてEUV光(例えば、波長13.4nm)を用いて、例えば、ステップ・アンド・スキャン方式やステップ・アンド・リピート方式でレチクル120に形成された回路パターンを被処理体140に露光する投影露光装置である。かかる露光装置は、サブミクロンやクオーターミクロン以下のリソグラフィー工程に好適であり、以下、本実施形態ではステップ・アンド・スキャン方式の露光装置(「スキャナー」とも呼ばれる。)を例に説明する。ここで、「ステップ・アンド・スキャン方式」とは、レチクルに対してウェハを連続的にスキャン(走査)してレチクルパターンをウェハに露光すると共に、1ショットの露光終了後ウェハをステップ移動して、次の露光領域に移動する露光方法である。「ステップ・アンド・リピート方式」は、ウェハの一括露光ごとにウェハをステップ移動して次のショットの露光領域に移動する露光方法である。
図6を参照するに、露光装置100は、照明装置110と、レチクル120を載置するレチクルステージ125と、投影光学系130と、被処理体140を載置するウェハステージ145と、アライメント検出機構150と、フォーカス位置検出機構160とを有する。
また、図6に示すように、EUV光は、大気に対する透過率が低く、残留ガス(高分子有機ガスなど)成分との反応によりコンタミを生成してしまうため、少なくとも、EUV光が通る光路中(即ち、光学系全体)は真空雰囲気CAとなっている。
照明装置110は、投影光学系130の円弧状の視野に対する円弧状のEUV光(例えば、波長13.4nm)によりレチクル120を照明する照明装置であって、EUV光源112と、照明光学系114とを有する。
EUV光源112は、例えば、レーザープラズマ光源が用いられる。これは、真空容器中のターゲット材に高強度のパルスレーザー光を照射し、高温のプラズマを発生させ、これから放射される、例えば、波長13nm程度のEUV光を利用するものである。ターゲット材としては、金属膜、ガスジェット、液滴などが用いられる。放射されるEUV光の平均強度を高くするためにはパルスレーザーの繰り返し周波数は高い方がよく、通常数kHzの繰り返し周波数で運転される。
照明光学系114は、多層膜ミラー(集光ミラー)114a、オプティカルインテグレーター114bから構成される。多層膜ミラー114aは、レーザープラズマからほぼ等方的に放射されるEUV光集める役割を果たす。オプティカルインテグレーター114bは、レチクル120を均一に所定の開口数で照明する役割を持っている。また、照明光学系114は、レチクル120と共役な位置に、レチクル120の照明領域を円弧状に限定するためのアパーチャ114cが設けられている。かかる照明光学系114を構成する多層膜ミラー114aに、上述した本発明の多層膜ミラーを適用することができ、優れた光学性能を発揮する。
レチクル120は、反射型レチクルで、その上には転写されるべき回路パターン(又は像)が形成され、レチクルステージ125に支持及び駆動されている。レチクル120から発せられた反射光は、投影光学系130で反射されて被処理体140上に投影される。レチクル120と被処理体140とは、光学的に共役の関係に配置される。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であるため、レチクル120と被処理体140を走査することによりレチクル120のパターンを被処理体140上に縮小投影する。
レチクルステージ125は、レチクルチャック125aを介してレチクル120を支持し、図示しない移動機構に接続されている。レチクルステージ125は、当業界周知のいかなる構成をも適用することができる。図示しない移動機構はリニアモーターなどで構成され、少なくともX方向にレチクルステージ125を駆動することでレチクル120を移動することができる。露光装置100は、レチクル120と被処理体140を同期した状態で走査する。ここで、レチクル120又は被処理体140面内で走査方向をX、それに垂直な方向をY、レチクル120又は被処理体140面に垂直な方向をZとする。
投影光学系130は、複数の反射ミラー(即ち、多層膜ミラー)130aを用いて、レチクル120面上のパターンを像面である被処理体140上に縮小投影する。複数のミラー130aの枚数は、4枚乃至6枚程度である。少ない枚数のミラーで広い露光領域を実現するには、光軸から一定の距離だけ離れた細い円弧状の領域(リングフィールド)だけを用いて、レチクル120と被処理体140を同時に走査して広い面積を転写する。投影光学系130の開口数(NA)は、0.2乃至0.3程度である。かかる投影光学系130を構成するミラー130aに、上述した本発明の多層膜ミラーを適用することができ、優れた光学性能を発揮する。
被処理体140は、本実施形態ではウェハであるが、球状半導体、液晶基板その他の被処理体を広く含む。被処理体140には、フォトレジストが塗布されている。
ウェハステージ145は、ウェハチャック145aによって被処理体140を支持する。ウェハステージ145は、例えば、リニアモーターを利用してXYZ方向に被処理体140を移動する。レチクル120と被処理体140は、同期して走査される。また、レチクルステージ125の位置とウェハステージ145の位置は、例えば、レーザー干渉計などにより監視され、両者は一定の速度比率で駆動される。
アライメント検出機構150は、レチクル120の位置と投影光学系130の光軸との位置関係、及び、被処理体140の位置と投影光学系130の光軸との位置関係を計測し、レチクル120の投影像が被処理体140の所定の位置に一致するようにレチクルステージ125及びウェハステージ145の位置と角度を設定する。
フォーカス位置検出機構160は、被処理体140面でZ方向のフォーカス位置を計測し、ウェハステージ145の位置及び角度を制御することによって、露光中、常時被処理体140面を投影光学系130による結像位置に保つ。
露光において、照明装置110から射出されたEUV光はレチクル120を照明し、投影光学系130によりレチクル120面上のパターンを被処理体140面上に結像する。本実施形態において、像面は円弧状(リング状)の像面となり、レチクル120と被処理体140を縮小倍率比の速度比で走査することにより、レチクル120の全面を露光する。露光装置100に用いられる多層膜ミラーは、優れた光学特性を有するため、高いスループットで経済性よくデバイス(半導体素子、LCD素子、撮像素子(CCDなど)、薄膜磁気ヘッドなど)を提供することができる。
次に、図7及び図8を参照して、上述の露光装置100を利用したデバイスの製造方法の実施例を説明する。図7は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造を例に説明する。ステップ1(回路設計)では、デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。ステップ3(ウェハ製造)では、シリコンなどの材料を用いてウェハを製造する。ステップ4(ウェハプロセス)は、前工程と呼ばれ、マスクとウェハを用いて本発明のリソグラフィー技術によってウェハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作成されたウェハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
図8は、ステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウェハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウェハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウェハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ14(イオン打ち込み)では、ウェハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウェハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、上述の露光装置100によってマスクの回路パターンをウェハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウェハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウェハ上に多重に回路パターンが形成される。かかるデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。このように、露光装置500を使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面を構成する。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
本発明の一側面としての多層膜ミラーの製造方法を説明するためのフローチャートである。 図1に示すステップ1200の多層膜の成膜の詳細なフローチャートである。 本発明の一側面としての多層膜ミラーの構成を示す概略断面図である。 実施例1で製造された多層膜ミラーを模式的に示す概略断面図である。 実施例2で製造された多層膜ミラーを模式的に示す概略断面図である。 本発明の一側面としての露光装置の構成を示す概略ブロック図である。 デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。 図7に示すステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。
符号の説明
10 多層膜ミラー
12 基板
14 多層膜
14a 第1の層
14b 第2の層
16 緩衝層
100 露光装置
110 照明装置
114 照明光学系
114a 多層膜ミラー
130 投影光学系
130a ミラー

Claims (14)

  1. 第1の物質からなる第1の層と、前記第1の物質とは異なる第2の物質からなる第2の層とを積層した多層膜を有し、所定の光を反射する多層膜ミラーの製造方法であって、
    前記第1の層を第1の成膜条件で形成する第1の形成ステップと、前記第2の層を第2の成膜条件で形成する第2の形成ステップと、前記第1の成膜条件又は前記第2の成膜条件とは異なる第3の成膜条件で前記第1の層又は前記第2の層を形成する第3の形成ステップとを有するステップを有することを特徴とする製造方法。
  2. 第1の物質からなる第1の層と、前記第1の物質とは異なる第2の物質からなる第2の層とを積層した多層膜を有し、所定の光を反射する多層膜ミラーの製造方法であって、
    前記多層膜を成膜するステップであって、前記第1の層と前記第2の層との界面の粗さを取得するステップと、前記取得ステップで取得した界面の粗さが所定の値以上になった場合に、前記第1の層又は前記第2の層の成膜条件を変更するステップとを有するステップを有することを特徴とする製造方法。
  3. 複数の層を積層した多層膜を有し、所定の光を反射する多層膜ミラーの製造方法であって、
    前記複数の層のうち少なくとも一の層について、成膜条件を変更して前記一の層を成膜するステップを有することを特徴とする製造方法。
  4. 前記成膜条件は、成膜圧力であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の製造方法。
  5. 前記成膜ステップは、スパッタリングを用いることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の製造方法。
  6. 前記スパッタリングは、マグネトロンスパッタリングであることを特徴とする請求項5記載の製造方法。
  7. 前記スパッタリングは、イオンビームスパッタリングであることを特徴とする請求項5記載の製造方法。
  8. 前記所定の光は、10nm乃至15nmの波長を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の製造方法。
  9. 複数の層を積層した多層膜を有し、所定の光を反射する多層膜ミラーであって、
    前記多層膜の間に挿入され、前記複数の層の表面粗さを緩衝する緩衝層を有することを特徴とする多層膜ミラー。
  10. 前記緩衝層は、前記複数の層を構成する物質からなることを特徴とする請求項9記載の多層膜ミラー。
  11. 前記緩衝層は、前記複数の層の膜密度と異なる膜密度を有することを特徴とする請求項9記載の多層膜ミラー。
  12. 光源からの光を、請求項1乃至8のうちいずれか一項記載の製造方法を用いて製造される多層膜ミラーを含む光学系を介して被処理体に照射して当該被処理体を露光することを特徴とする露光装置。
  13. 光源からの光を、請求項9乃至11のうちいずれか一項記載の多層膜ミラーを含む光学系を介して被処理体に照射して当該被処理体を露光することを特徴とする露光装置。
  14. 請求項12又は13記載の露光装置を用いて被処理体を露光するステップと、
    露光された前記被処理体を現像するステップとを有することを特徴とするデバイス製造方法。
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