JP2006091072A - 画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光を網膜に直接投影することにより、画像を表示する画像表示装置において、表示画像の構成を改良する。
【解決手段】 表示される全体画像の少なくとも一部分が、互いに異なるピント位置を有する複数の部分画像の合成画像として表示され得るように、光源部からの出射光の波面曲率を波面変調部によって制御する。光源部は、複数の部分画像をそれぞれ表示するために複数の光をそれぞれ出射する複数の出射部を含み、波面変調部は、複数の部分画像について複数のピント位置に応じた波面曲率をそれぞれ実現するための複数のピント別変調部を含んでいる。したがって、各部分画像ごとに色およびピント位置を他の部分画像から独立して設定することが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、光を網膜に直接投影することにより、画像を表示する画像表示装置に関するものであり、特に、表示画像の構成の改良に関するものである。
光を網膜に直接投影することにより、画像を表示する画像表示装置が既に知られている(例えば、特許文献1参照。)。この種の画像表示装置は一般に、(a)光源部と、(b)その光源部からの出射光の波面曲率を変調する波面変調部とを含むように構成される。
特許第2874208号公報
従来の画像表示装置においては、通常、画像フレームの全体に共通の波面曲率すなわちピント位置が設定される。そのため、表示される画像が複数のオブジェクトを含むように構成される場合であっても、それらオブジェクトがそれらに共通のピント位置を有するように表示される。
しかしながら、表示される画像が複数のオブジェクトを含むように構成される場合に、それらオブジェクトが互いに異なる複数のピント位置をそれぞれ有するように表示されることが要望される場合がある。
具体的に説明すれば、例えば、画像が、メインオブジェクトと、そのメインオブジェクトを観察する観察者によってそのメインオブジェクトに関連して参照されるべき情報をその観察者に提供するために表示される補助オブジェクトとを含むように構成される場合がある。その補助オブジェクトの一例は、スケールであり、別の例は、カーソルである。
この場合、それらメインオブジェクトと補助オブジェクトとが完全に同じピント位置を有すると、観察者は、眼のレンズの同じ焦点距離のもとに、それらメインオブジェクトと補助オブジェクトとを一緒に観察することになる。
そのため、観察者は、機能、用途等、属性に関して互いに異なる2種類のオブジェクトを視覚的に、すなわち、距離感または奥行き感の違いによって互いに識別することができない。その結果、観察者は、属性が互いに異なる2種類のオブジェクトを属性に関して混同して認識してしまい、観察者の使い勝手が悪化する可能性がある。
このような可能性は、画像が、メインオブジェクトと、そのメインオブジェクトを観察する観察者により、そのメインオブジェクトのピント位置より遠いピント位置において知覚されるように表示されるべき背景オブジェクトとを含むように構成される場合にも、同様に存在する。
以上説明した事情を背景とし、本発明は、光を網膜に直接投影することにより、画像を表示する画像表示装置において、表示画像の構成を改良することを課題としてなされたものである。
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
(1) 光を網膜に直接投影することにより、画像を表示する画像表示装置であって、
光源部と、
その光源部からの出射光の波面曲率を変調する波面変調部と、
表示される全体画像の少なくとも一部分が、互いに異なるピント位置を有する複数の部分画像の合成画像として表示され得るように、前記波面変調部を制御する制御部と
を含む画像表示装置。
この画像表示装置においては、表示される全体画像の少なくとも一部分が、互いに異なるピント位置を有する複数の部分画像の合成画像として表示され得るように、光源部からの出射光の波面曲率が制御される。
よって、この画像表示装置によれば、全体画像が、例えば、ピント位置に関して互いに異なるように表示されることが望ましい複数個のオブジェクトを含むように構成される場合に、例えば、各オブジェクトに各部分画像を割り当ててオブジェクト単位で全体画像を表示すれば、各オブジェクトごとにピント位置を異ならせることが可能である。この場合、その全体画像は、マルチフォーカルな画像ということが可能である。
したがって、本項に係る画像表示装置によれば、各部分画像ごとにピント位置を他の部分画像から独立して設定することが可能となり、その結果、画像を表現する自由度が向上して観察者の使い勝手も向上する。
この画像表示装置は、例えば、複数の部分画像が、色(輝度の違いを含む。)と波面曲率とに関して互いに異なる複数の光によって表示される態様で実施することが可能である。ただし、この態様においては、各部分画像ごとに専用の光源部を有することは不可欠ではない。同じ光源部を複数の部分画像について時間的に切り換えて使用することが可能であるからである。
この画像表示装置は、複数の部分画像が、互いに異なるピント位置を常に有して表示されるように実施することは不可欠でなく、互いに異なるピント位置を有して表示される可能性を有するように実際すれば足りる。したがって、この画像表示装置を実施するに際し、この画像表示装置によって複数の部分画像が互いに同じピント位置を有して表示される可能性を排除しない。
本項における「部分画像」は、それによって表現されるオブジェクトが全体画像のうちの一部分に過ぎない場合であっても、例えば、全体画像と同じ大きさを有して、情報(オブジェクトまたはコンテンツ)を表示する部分と表示しない部分(黒部分)とを有する画像として定義することが可能である。
(2) 前記複数の部分画像は、互いに視覚的に識別可能な状態で表示される(1)項に記載の画像表示装置。
この画像表示装置によれば、全体画像を構成するために合成される複数の部分画像が互いに異なるピント位置を有するように表示される場合には、それら複数の部分画像は、互いに視覚的に識別可能な状態で表示されることになる。
したがって、観察者は、それら複数の部分画像の属性を互いに区別して知覚することが可能となり、表示画像から観察者に伝達される情報量が増す。それら複数の部分画像は、互いにピント位置が異なるほど、互いに視覚的に識別する容易さは増すが、互いにピント位置が一致しない限り、その違いがわずかであっても、観察者は、それら複数の部分画像を互いに視覚的に識別することが可能である。
(3) 前記複数の部分画像は、いずれも前記全体画像と同じ大きさを有して互いに重なるように表示される(1)または(2)項に記載の画像表示装置。
この画像表示装置においては、各部分画像が、情報(オブジェクトまたはコンテンツ)を表示する部分と表示しない部分(黒部分)とを有する画像として定義される。
(4) 前記複数の部分画像は、第1部分画像と第2部分画像とを含み、前記第1部分画像は、前記全体画像のうちのメイン画像であり、前記第2部分画像は、前記全体画像のうちの補助画像である(1)ないし(3)項のいずれかに記載の画像表示装置。
この画像表示装置によれば、観察者が、眼のレンズの同じ焦点距離のもとに、全体画像のうちのメイン画像と補助画像とを一緒に、かつ、同じ奥行きを有する2個の画像として観察し得ないように表示することが可能となる。
(5) 前記補助画像は、前記メイン画像を観察する観察者によってそのメイン画像に関連して参照されるべき情報をその観察者に提供するために表示される(4)項に記載の画像表示装置。
この画像表示装置においては、全体画像の面上において補助画像がメイン画像に重なり合うか(少なくとも補助画像がシースルー画像であれば、補助画像がメイン画像に重ねて表示されても、メイン画像の表示が阻害されずに済む。)または近接して表示されることが望ましい。このようにすれば、例えば、その全体画像を観察する観察者は、メイン画像と補助画像とを一緒に(同じ視野内において)、かつ、両者間の距離感(ピント位置に依存する。)の違いから両者を知覚的に区別しつつ、観察することが容易となる。
この場合、それらメイン画像と補助画像との間におけるピント位置のずれ量を、観察者がそれらメイン画像と補助画像とを一緒に、実用的に十分な程度に鮮明に観察し得るように設定すれば、観察者は、それらメイン画像と補助画像とを、両者間の距離感の違いから両者を知覚的に区別しつつ、ピンボケしない状態で観察することが可能となり、使い勝手が向上する。
(6) 前記補助画像は、前記メイン画像を観察する観察者により、そのメイン画像のピント位置より観察者に近いピント位置において知覚されるように表示される(4)または(5)項に記載の画像表示装置。
(7) 前記複数の部分画像は、第1部分画像と第2部分画像とを含み、前記第1部分画像は、前記全体画像のうちのメイン画像であり、前記第2部分画像は、前記全体画像のうちの背景画像である(1)ないし(3)項のいずれかに記載の画像表示装置。
この画像表示装置によれば、観察者が、眼のレンズの同じ焦点距離のもとに、全体画像のうちのメイン画像と背景画像とを一緒に、かつ、同じ奥行きを有する2個の画像として観察し得ないように表示することが可能となる。
本項における「背景画像」は、例えば、任意のメイン画像と組み合わせて表示されることを目的として、静止画像として構成したり、一定のパターンでコンテンツが展開する動画像として構成することが可能である。
(8) 前記背景画像は、前記メイン画像を観察する観察者により、そのメイン画像のピント位置より遠いピント位置において知覚されるように表示される(7)項に記載の画像表示装置。
この画像表示装置においては、背景画像が全体画像と同じ大きさを有して表示される場合には、背景画像が部分的に必ずメイン画像と重なることになる。この場合には、背景画像のうちメイン画像と重なる部分は表示しないようにこの画像表示装置を作動させることが、背景画像とメイン画像との混合を回避して自然な画像表現を実現するために望ましい。
(9) 前記光源部は、前記複数の部分画像をそれぞれ表示するために複数の光をそれぞれ出射する複数の出射部を含み、
前記波面変調部は、前記複数の部分画像について前記複数のピント位置に応じた波面曲率をそれぞれ実現するための複数のピント別変調部を含み、
当該画像表示装置は、さらに、前記複数のピント別変調部からの複数の出射光を合成する合成部を含み、
前記制御部は、前記複数の出射部にはそれぞれ複数の輝度信号を供給し、前記複数のピント別変調部にはそれぞれ、前記複数のピント位置をそれぞれ実現するために複数の奥行き信号を供給する(1)ないし(8)項のいずれかに記載の画像表示装置。
この画像表示装置においては、光源部が、複数の部分画像をそれぞれ表示するために複数の光をそれぞれ出射する複数の出射部を含み、波面変調部が、複数の部分画像について複数のピント位置に応じた波面曲率をそれぞれ実現するための複数のピント別変調部を含んでいる。したがって、この画像表示装置によれば、各部分画像ごとに色およびピント位置を他の部分画像から独立して設定することが可能となる。
この画像表示装置においては、出射部およびピント別変調部はそれぞれ、各部分画像ごとに設けられるのに対し、合成部より下流側の光学素子は、複数の部分画像に共通に設けられる。したがって、合成部より下流側の光学素子も、各部分画像ごとに設けられる場合に比較し、当該画像表示装置の単純化、小型化、軽量化および低コスト化が容易となる。
(10) 前記制御部は、外部から供給された映像信号に基づく全体輝度信号を前記複数の輝度信号に分離し、外部から供給された映像信号と共に供給されるかまたはその映像信号に含まれる全体奥行き信号を前記複数の奥行き信号に分離する(9)項に記載の画像表示装置。
(11) 前記光源部は、前記複数の部分画像をそれぞれ表示するために複数の光をそれぞれ出射する複数の出射部を含み、
前記波面変調部は、前記複数のピント位置のいずれかに応じた波面曲率を実現し、
当該画像表示装置は、さらに、前記波面変調部からの出射光と、前記複数の出射部のうち、前記いずれかのピント位置を有する部分画像を除く部分画像を表示するために光を出射するものからの出射光とを合成する合成部を含み、
前記制御部は、前記複数の出射部にはそれぞれ複数の輝度信号を供給し、前記波面変調部には前記いずれかのピント位置を実現するために奥行き信号を供給する(1)ないし(8)項のいずれかに記載の画像表示装置。
この画像表示装置によれば、複数の部分画像のいずれかについては、ピント位置が可変に設定されるのに対し、残りの部分画像については、ピント位置が固定的に設定され、これにより、それら部分画像が、互いに異なる複数のピント位置を有して表示されることが可能となる。
この画像表示装置によれば、複数の部分画像のいずれかのみについてピント位置が可変に設定されるため、すべてについてピント位置が可変に設定される場合に比較し、当該画像表示装置の単純化、小型化、軽量化および低コスト化が容易となる。
(12) さらに、前記波面変調部からの出射光を2次元的に走査する走査部を含み、
前記合成部は、その走査部より上流側に配置される(9)ないし(11)項のいずれかに記載の画像表示装置。
この画像表示装置によれば、合成部が、走査部またはそれの下流側に配置される場合に比較し、各部分画像ごとに専用の光路が短くて済み、当該画像表示装置の単純化、小型化、軽量化および低コスト化が容易となる。
(13) さらに、前記波面変調部からの出射光を2次元的に走査する走査部を含み、
前記制御部は、表示すべき全体画像の1フレームを構成する複数本の走査線を前記部分画像の数と同数の複数の走査線セットに、前記複数本の走査線の各々が属する走査線セットがそれら複数本の走査線が並ぶ方向において予め定められた順序で切り換わるように分割し、その分割された各走査線セットごとに、対応する部分画像のピント位置に応じた波面曲率を実現するための奥行き信号を前記波面変調部に供給する(1)ないし(8)項のいずれかに記載の画像表示装置。
この画像表示装置によれば、複数の部分画像が、1フレームを構成する複数本の走査線が分割された複数の走査線セットにそれぞれ同期することにより、ピント位置に関して他の部分画像とは異なり得るように、順次表示される。
この画像表示装置においては、全体画像を構成する複数本の走査線が、その全体画像に属する部分画像の数と同数の複数の走査線セットに分割されるが、その際、各走査線が属する走査線セットが、それら複数本の走査線が並ぶ方向において、同じ本数ごとに切り換わるようにしたり、互いに異なる本数ごとに切り換わるようにすることが可能である。前者の例は、複数本の走査線が複数の走査線セットに互いに均等に分割される例であり、これに対し、後者の例は、複数本の走査線が複数の走査線セットに互いに不均等に分割される例である。このようにして複数本の走査線を分割する手法は、後述の(14)項に係る画像表示装置にも適用可能である。
(14) 前記制御部は、表示すべき全体画像を構成する複数枚のフレームを前記部分画像の数と同数の複数のフレームセットに、前記複数枚のフレームの各々が属するフレームセットがそれら複数枚のフレームが並ぶ方向において予め定められた順序で切り換わるように分割し、その分割された各フレームセットごとに、対応する部分画像のピント位置に応じた波面曲率を実現するための奥行き信号を前記波面変調部に供給する(1)ないし(8)項のいずれかに記載の画像表示装置。
この画像表示装置によれば、複数の部分画像が、全体画像を構成する複数枚のフレームが分割された複数のフレームセットにそれぞれ同期することにより、ピント位置に関して他の部分画像とは異なり得るように、順次表示される。
(15) 前記光源部は、前記複数の部分画像をそれぞれ表示するために複数の光をそれぞれ出射する複数の出射部と、それら複数の出射部のうち、前記波面変調部への入射光を出射するものを選択する選択部とを含み、
前記制御部は、外部から供給される信号に基づき、前記選択部を制御する(13)または(14)項に記載の画像表示装置。
この画像表示装置によれば、波面変調部が同時には一つの波面曲率しか変調できない場合であっても、各部分画像ごとに波面曲率を変調してピント位置を他の部分画像から独立して実現することが可能である。
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に従う網膜走査型ディスプレイ(以下、「RSD」と略称する。)が系統的に表されている。このRSDは、レーザビームを観察者の眼10の瞳孔12を経て網膜14上に投影することにより、表示対象を虚像によって観察者に視認させる形式の画像表示装置である。
具体的には、このRSDは、入力される映像信号に応じてレーザビームの強度を変調し、そのレーザビームを2次元的に走査するとともに瞳孔12において集光させ、さらに、そのレーザビームを瞳孔12を経て網膜14上に結像させ、それにより、その網膜14上に画像を直接に投影表示する。
図1に示すように、このRSDは、第1光源ユニット20と第2光源ユニット22とをそれぞれ光源として備えている。このRSDが2個の光源を備えている理由は、このRSDによって表示される全体画像が2個の部分画像によって構成される場合に、それら部分画像のコンテンツがそれぞれ、互いに独立した2個の光源によって一緒に表示されるようにするためである。いずれの部分画像も、複数個の画素によって形成されている。
それら2個の部分画像は、互いに異なるピント位置を有して表示可能である。ただし、本実施形態においては、システム構成の都合により、第1部分画像はピント位置が時間的に可変であるのに対し、第2部分画像はピント位置が時間的に不変である。このようなピント位置を実現するための構成については後に詳述する。もっとも、それら2個の部分画像が共に、ピント位置が時間的に可変である態様で本発明を実施することは可能である。
それら2個の部分画像の一例は、メイン画像と、そのメイン画像を観察する観察者によってそのメイン画像に関連して参照されるべき補助画像とを含んでいる。
ここに、補助画像の一例は、メイン画像によって表現されるオブジェクト(コンテンツ)の実際の大きさを観察者が正確に認識することを助けるスケールである。
補助画像の別の例は、メイン画像によって表現される複数個のオブジェクトのうち観察者の注目を惹きたいオブジェクトを指し示すカーソルまたはポインタである。
補助画像のさらに別の例は、メイン画像によって表現されるオブジェクトの距離感、または同じ補助画像のうちの別のオブジェクトの距離感を視覚的に表現することにより、観察者がその距離感を正確に抱くことを支援する距離感支援画像である。
その距離感支援画像の一例は、メイン画像の表示位置から観察者に向かって延びる線遠近像パターンである。別の例は、メイン画像の表示位置から観察者に向かって延びるテクスチャ密度変化パターンであって、そのテクスチャ密度変化パターンの延びる方向の各位置におけるテクスチャの密度がその各位置と観察者との距離に応じて変化するものである。さらに別の例は、メイン画像の表示位置から観察者に向かって延びるグラデーションパターンであって、そのグラデーションパターンの延びる方向の各位置における明るさがその各位置と観察者との距離に応じて変化するものである。さらに別の例は、メイン画像の前記主表示領域の位置から観察者に向かって並んだ複数個の独立虚像の集合体であって、各独立虚像の大きさが各独立虚像の位置と観察者との距離に応じて変化するものである。
いずれの例においても、それらスケール、カーソル、ポインタまたは距離感支援画像(以下、「補助画像用オブジェクト」と総称する。)は、例えば、メイン画像を観察する観察者により、そのメイン画像のピント位置より観察者に近いピント位置において知覚されるように表示される。さらに、それら補助画像用オブジェクトは、シースルー画像としてメイン画像に重ねて表示されるか、またはメイン画像に近接して表示される。さらに、それら補助画像用オブジェクトとメイン画像との間におけるピント位置のずれ量が、それら補助画像用オブジェクトとメイン画像とを観察者が一緒に観察した場合に、観察者が両者をピンボケしない状態で観察し得るように設定されている。
図2(a)には、メイン画像の一例が示され、図2(b)には、そのメイン画像と合成されるべき補助画像の一例が示され、図2(c)には、それらメイン画像と補助画像とが合成されて成る全体画像の一例が示されている。図2(a)(b)および(c)のいずれにおいても、このRSDにおいて観察者が観察し得る領域の外枠が、最も外側に位置する実線の枠線で示されている。
図2に示す例においては、補助画像のピント位置が、メイン画像のピント位置より手前に存在している。このことは、図2(b)において、補助画像の表示面(レイヤ)であってそれの外枠が部分的に破線の枠線で示されているものが、メイン画像の表示面(レイヤ)であってそれの外枠が図2(b)において最も内側の枠線で示されているものより、遠近法的に、手前に表示されていることとして、表現されている。
それら補助画像とメイン画像とはピント位置に関して互いに異なっているため、観察者は、厳密には、それら両画像を一緒に全くピンボケしない状態で観察することはできない。しかしながら、それら補助画像とメイン画像とは、ピント位置に関し、実用的にはピンボケしない状態で一緒に観察し得る距離だけ互いに異なっているにすぎない。したがって、観察者は、それら補助画像とメイン画像とを、視覚的に互いに識別する状態で、一緒に観察し得る。
図2に示す例においては、補助画像が、(a)メイン画像を構成する複数のオブジェクトのうち選択されたものを強調するかまたは特定するために、その選択されたオブジェクトを囲む閉じた線より成る囲みと、(b)その選択されたオブジェクトを指し示す矢印より成るポインタとを含んでいる。それら囲みおよびポインタはいずれも、観察者の注意を特定のオブジェクトに向けるように機能する。それら図形はいずれも、図2(c)に示すように、シースルー画像として表示されるため、それらの背後に位置するメイン画像が補助画像によって隠されずに済む。
図2に示す例においては、補助画像がさらに、メイン画像の表示領域の外枠を表す図形と、その図形から観察者に向かって延びる線遠近像パターンと、補助画像の表示位置をその線遠近像パターン上において視覚的に表現するための図形(図2においては、水平で真直ぐな実線)とを含んでいる。
以上、2個の部分画像の一例を具体的に説明したが、別の例は、メイン画像と、背景画像とを含んでいる。その背景画像は、例えば、メイン画像を観察する観察者により、そのメイン画像のピント位置より遠いピント位置において知覚されるように表示される。背景画像は、一般に、静止画像等、表示内容の時間的変化がまったくないかまたはあるにしても少ない画像である場合が多い。
この例においては、背景画像がメイン画像と重なるが、メイン画像と背景画像とは、ピント位置に関しては互いに異なっているものの、輝度情報に関しては合成されて渾然一体となるため、メイン画像は、背景画像が透けて見えるシースルー画像となってしまう。このような事情を考慮し、この例においては、背景画像のうちメイン画像と重なり合う部分が、黒色(輝度が存在しない状態)で表示される(事実上、表示されない)ことにより、それら背景画像とメイン画像との混合が回避される。
図3(a)には、メイン画像の一例が示され、図3(b)には、そのメイン画像と合成されるべき背景画像の一例が示され、図3(c)には、それらメイン画像と補助画像とが合成されて成る全体画像の一例が示されている。図3(a)(b)および(c)のいずれにおいても、このRSDにおいて観察者が観察し得る領域の外枠が、実線の枠線で示されている。
図3に示す例においては、背景画像のピント位置が、メイン画像のピント位置より奥に存在している。このようにそれら背景画像とメイン画像との相対位置関係(相対的奥行き関係)が設定されたのは、その相対位置関係は、できる限り現実の相対位置関係を忠実に再現する距離感を観察者に知覚させるものであることが望ましいからである。
図3に示す例においては、図3(c)に示すように、背景画像のうち、メイン画像と重なる部分が、黒画像として表示される。したがって、メイン画像に背景画像が混じって表示されずに済む。
以上、このRSDによって表示される全体画像の構成を例示したが、このRSDは、図1に示すように、2個の光源ユニット20,22と観察者の眼10との間において波面曲率変調器24と走査装置26とをそれらの順に並んで備えている。
以下、第1光源ユニット20および第2光源ユニット22を説明するが、それらは構成に関して互いに共通するため、第1光源ユニット20の構成のみを代表的に、図1を参照しつつ説明する。
第1光源ユニット20は、3原色(RGB)を有する3本のレーザビームを1本のレーザビームに集束して任意色のレーザビームを生成するために、赤色のレーザビームを発するRレーザ30と、緑色のレーザビームを発するGレーザ32と、青色のレーザビームを発するBレーザ34とを備えている。各レーザ30,32,34は、例えば、半導体レーザによって構成することが可能である。
各レーザ30,32,34から出射したレーザビームは、それらを合成するために、各コリメート光学系40,42,44によって平行光化された後に、波長依存性を有する各ダイクロイックミラー50,52,54に入射させられ、それにより、各レーザビームが波長に関して選択的に反射・透過させられる。
具体的には、Rレーザ30から出射した赤色レーザビームは、コリメート光学系40によって平行光化された後に、ダイクロイックミラー50に入射させられる。Gレーザ32から出射した緑色レーザビームは、コリメート光学系42を経てダイクロイックミラー52に入射させられる。Bレーザ34から出射した青色レーザビームは、コリメート光学系44を経てダイクロイックミラー54に入射させられる。
それら3個のダイクロイックミラー50,52,54にそれぞれ入射した3原色のレーザビームは、それら3個のダイクロイックミラー50,52,54を代表する1個のダイクロイックミラー50に最終的に入射して集束され、その後、結合光学系56によって集光される。
以上説明した第1光源ユニット20および第2光源ユニット22は、それらに共通の信号処理回路60に電気的に接続されている。信号処理回路60は、各光源ユニット20,22につき、外部から供給された映像信号に基づき、各レーザ30,32,34を駆動するための信号処理と、後述の、レーザビームの波面を変調するための信号処理と、後述の、レーザビームの走査を行うための信号処理とを行うように設計されている。
具体的には、信号処理回路60は、各レーザ30,32,34を駆動するため、外部から供給された映像信号に基づき、網膜14上に投影すべき画像上の各画素ごとに、レーザビームにとって必要な色と輝度とを実現するために必要な駆動信号を、各レーザドライバ70,72,74を介して各レーザ30,32,34に供給する。
外部から信号処理回路60に供給される映像信号は、2個の部分画像の一方である第1部分画像と他方である第2部分画像とのそれぞれにつき、各光源ユニット20,21からの出射光の輝度を個別にかつ時間的に変化させて画像を表示するためのR,GおよびB映像信号(輝度信号)と、第1部分画像のみにつき、第1光源ユニット20からの出射光の波面曲率を変調するための奥行き信号とを含むように構成されている。
したがって、信号処理回路60は、外部から供給された映像信号から、第1部分画像を表示するために必要なR,GおよびB映像信号を抽出(生成)して第1光源ユニット20に供給し、さらに、外部から供給された映像信号から、第2部分画像を表示するために必要なR,GおよびB映像信号を抽出(生成)して第2光源ユニット22に供給する。この信号処理回路60は、さらに、外部から供給された映像信号から、第1部分画像のピント位置を実現するために必要な奥行き信号を抽出して波面曲率変調器24に供給する。
第1光源ユニット20は、信号処理回路60から供給されたR,GおよびB映像信号に応じて、強度変調されたレーザビームを結合光学系56から出射する。その出射されたレーザビームは、光伝送媒体としての光ファイバ80と、その光ファイバ80の後端から放射させられる第1レーザビームを平行光化するコリメート光学系84とをそれらの順に経て波面曲率変調器24に入射光A(図4参照)として入射させられる。
波面曲率変調器24は、信号処理回路60から供給された奥行き信号に応じて、入射光Aの波面曲率を変調する。この波面曲率変調器24は、概略的に説明すれば、収束レンズ90と、それの光軸上において変位可能なミラー92との組合せを主体として構成されている。
図1および図4に示すように、この波面曲率変調器24は、入射光Aが平行光として入射するビームスプリッタ94と、そのビームスプリッタ94において反射して出射した光を集光する収束レンズ90とを備えている。この波面曲率変調器24は、さらに、その収束レンズ90から出射した光を平坦な反射面において反射するミラー92と、そのミラー92の位置を光軸上において変化させるアクチュエータ96とを備えている。そのアクチュエータ96の一例は、圧電素子を利用する形式である。このアクチュエータ96は、信号処理回路60から入力された奥行き信号に応じてミラー92を移動させることにより、収束レンズ90とミラー92との距離(以下、「レンズ−ミラー間距離」という。)を変化させ、波面曲率変調器24から出射する出射光Aの波面曲率を変調する。
図4に示すように、レンズ−ミラー間距離がレンズの焦点距離fに一致する場合には、ミラー92から反射して収束レンズ90に再度入射した光は、その収束レンズ90から平行光として出射し、その後、ビームスプリッタ94を平行光のまま透過して波面曲率変調器24から出射光Aとして出射する。その出射光Aは平行光として走査装置26に向かう。
これに対し、図5に示すように、レンズ−ミラー間距離が焦点距離fより短い距離(f−d)に減少した場合には、ミラー92から反射して収束レンズ90に再度入射した光は、その収束レンズ90から拡散光として出射し、その後、ビームスプリッタ94を拡散光のまま透過して波面曲率変調器24から出射光Aとして出射する。この場合、出射光Aは、この波面曲率変調器24への入射光Aより波面曲率が大きい拡散光、すなわち、曲率半径が小さい拡散光としてこの波面曲率変調器24から出射する。その出射光Aは拡散光として走査装置26に向かう。
一般に、レーザビームの波面の曲率半径は、波面曲率の逆数で表され、レーザビームに基づく虚像は、その曲率半径が小さいほど観察者に近い位置に観察者によって認識される。したがって、虚像は、アクチュエータ96によりレンズ−ミラー間距離が短くされるほど観察者に近い位置に観察者によって認識されることとなる。
以上、第1光源ユニット20からの出射光(波面曲率変調器24への入射光A)の波面曲率が波面曲率変調器24によって変調される様子を説明したが、図1に示すように、第2光源ユニット22からの出射光(波面曲率変調器24への入射光B)は、第1光源ユニット20からの出射光の光路とは別の光路に沿ってビームスプリッタ94に、第1光源ユニット20からの出射光が入射する入射面Aとは異なる入射面Bに入射する。
具体的には、第2光源ユニット22からの出射光は、光伝送媒体としての光ファイバ100と、その出射光を平行光として出射するコリメート光学系102とをそれらの順に経てビームスプリッタ94の入射面Bに平行光として入射する。図4において破線で示すように、第2光源ユニット22からの出射光は入射光Bとしてビームスプリッタ94に平行光として入射する。その入射光Bは、その後、ビームスプリッタ94において、収束レンズ90から遠ざかる向きに反射し、やがてビームスプリッタ94から平行光である出射光Bとして出射する。
図4には、レンズ−ミラー間距離が焦点距離fに一致する場合における光路が示されているが、同様にして、レンズ−ミラー間距離が焦点距離fより短い場合でも、図5に破線で示すように、入射光Bは、ビームスプリッタ94への入射後、収束レンズ90から遠ざかる向きに反射し、やがてビームスプリッタ94から平行光である出射光Bとして出射する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、第1光源ユニット20からの出射光が、第1部分画像を表示する光として波面曲率変調器24に入射する。その入射光Aは、観察者によってメイン画像が、奥行き信号により表されるピント位置において知覚される波面曲率を有するように、波面曲率変調器24によって変調される。その波面曲率変調器24からの出射光Aは、走査装置26を経て眼10に投入される。
これに対し、第2光源ユニット22からの出射光は、第2部分画像を表示する光として波面曲率変調器24に入射する。その入射光Bは、上述の入射光Aと同様にビームスプリッタ94に入射するものの、収束レンズ90およびミラー92を経由することなく、直ちにビームスプリッタ94から出射光Bとして出射する。この際、出射光Bは、ビームスプリッタ94において上述の出射光Aと結合され、波面曲率が互いに異なる2種類の光が合成された合成光としてビームスプリッタ94を出射する。
そのビームスプリッタ94から出射した合波光は、走査装置26によって走査されつつ、瞳孔12を経て網膜14上に投影表示される。その結果、観察者は、第1部分画像と第2部分画像とであってピント位置に関して互いに異なる2枚の部分画像が重ね合わされて成る全体画像を観察する。この際、第1部分画像のピント位置は時間的に変化する可能性があるのに対し、第2部分画像のピント位置は固定されている。
さらに、本実施形態においては、それら2枚の部分画像はいずれも、全体画像と同じ大きさの画像フレームを有する。すなわち、本実施形態においては、全体画像を構成するすべての画素のそれぞれが、互いに波面曲率が異なる可能性がある2種類の光が合成された合成光によって表示されるのである。
例えば、図2に示す全体画像の例を表示するためには、ピント位置が可変である第1部分画像として補助画像が選択される一方、ピント位置が実質的に無限遠に位置する第2部分画像としてメイン画像が選択される。これに対し、図3に示す全体画像の例を表示するために、ピント位置が可変である第1部分画像としてメイン画像が選択される一方、ピント位置が実質的に無限遠に位置する第2部分画像として背景画像が選択される。
以上説明した波面曲率変調器24から出射したレーザビーム、すなわち、出射光AおよびBの合成光は、図1に示すように、走査装置26に入射する。この走査装置26は、水平走査系110と垂直走査系112とを備えている。
水平走査系110は、表示すべき画像の1フレームごとに、レーザビームを水平な複数の走査線に沿って水平にラスタ走査する水平走査を行う光学系である。これに対し、垂直走査系112は、表示すべき画像の1フレームごとに、レーザビームを最初の走査線から最後の走査線に向かって垂直に走査する垂直走査を行う光学系である。
具体的に説明するに、水平走査系110は、本実施形態においては、機械的偏向を行う一方向回転ミラーとしてポリゴンミラー114を備えている。このポリゴンミラー114は、それに入射したレーザビームの光軸と交差する回転軸線まわりに図示しないモータによって高速で回転させられる。このポリゴンミラー114の回転は、信号処理回路60から供給される水平同期信号に基づいて同期制御される。
ポリゴンミラー114は、回転軸線のまわりに並んだ複数の反射面116を備えており、入射レーザビームが1つの反射面116を通過するごとに1回偏向が行われる。その偏向されたレーザビームは、リレー光学系110によって垂直走査系112に伝送される。本実施形態においては、リレー光学系120が光路上において光学素子122を備えている。
以上、水平走査系110を説明したが、垂直走査系112は、機械的偏向を行う揺動ミラーとしてのガルバノミラー130を備えている。ガルバノミラー130には、水平走査系110から出射したレーザビームがリレー光学系120によって集光されて入射するようになっている。このガルバノミラー130は、それに入射したレーザビームの光軸と交差する回転軸線まわりに揺動させられる。このガルバノミラー130の起動タイミングおよび回転速度は、信号処理回路60から供給される垂直同期信号に基づいて同期制御される。
以上説明した水平走査系110と垂直走査系112との共同により、レーザビームが2次元的に走査され、その走査されたレーザビームによって表現される画像が、リレー光学系140を経て観察者の眼10に照射される。本実施形態においては、リレー光学系140が光路上において光学素子142を備えている。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、RSDが前記(1)項に係る「画像表示装置」の一例を構成し、第1光源ユニット20と第2光源ユニット22とが互いに共同して同項における「光源部」の一例を構成し、波面曲率変調器24が同項における「波面変調部」の一例を構成し、信号処理回路60が同項における「制御部」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、第1光源ユニット20と第2光源ユニット22とが互いに共同して前記(11)項における「複数の出射部」の一例を構成し、波面曲率変調器24が同項における「波面変調部」の一例を構成し、ビームスプリッタ94が同項における「合成部」の一例を構成し、信号処理回路60が同項における「制御部」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、走査装置26が前記(12)項における「走査部」の一例を構成し、ビームスプリッタ94が同項における「合成部」の一例を構成しているのである。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多く、異なる要素は、波面曲率変調器24に関する要素のみであるため、異なる要素についてのみ詳細に説明し、共通する要素については同一の符号または名称を使用して引用することにより、詳細な説明を省略する。
第1実施形態においては、2個の光源ユニット20,22からそれぞれ出射した2本のレーザビームが一緒に、それらに共通の1個の波面曲率変調器24に入射するが、その波面曲率変調器24は、第1光源ユニット20からの入射光Aについては、それの波面曲率を変調する機能を果たす一方、第2光源ユニット22からの入射光Bについては、第1光源ユニット20からの入射光Aと合成する機能を果たす。
その結果、第1実施形態においては、第1光源ユニット20からの出射光によって表示される第1部分画像(メイン画像)のピント位置は可変であるのに対し、第2光源ユニット22からの出射光によって表示される第2部分画像(補助画像)のピント位置は不変である。このようにして、同じ全体画像における2枚の部分画像がそれぞれ互いに異なるピント位置を有するように表示可能とされる。
これに対し、本実施形態においては、図6に示すように、2個の光源ユニット20,22について2個の波面曲率変調器150,152がぞれぞれ設けられている。それら波面曲率変調器150,152は、第1光源ユニット20からの出射光の波面曲率を可変に変調する第1波面曲率変調器150と、第2光源ユニット22からの出射光の波面曲率を可変に変調する第2波面曲率変調器152とを含んでいる。
第1波面曲率変調器150は、第1実施形態における波面曲率変調器24と共通する構成を有しており、具体的には、ビームスプリッタ160と、収束レンズ162と、ミラー164と、アクチュエータ166とを備えている。第1光源ユニット20からの出射光が、光ファイバ170によって伝送され、コリメート光学系170によってコリメートされた後に、この第1波面曲率変調器150のビームスプリッタ160に入射光Aとして入射する。
これに対し、第2波面曲率変調器152は、第1波面曲率変調器150と同様に、ビームスプリッタ180と、収束レンズ182と、ミラー184と、アクチュエータ186とを備えている。第2光源ユニット22からの出射光が、光ファイバ190によって伝送され、コリメート光学系192によってコリメートされた後に、この第2波面曲率変調器152のビームスプリッタ180に入射光Bとして入射する。ただし、この第2波面曲率変調器152におけるビームスプリッタ180は、それからの出射光Bと、第1波面曲率変調器150からの出射光Bとを合成する機能をも果たす。そのため、このビームスプリッタ180は、第1波面曲率変調器150におけるビームスプリッタ180の出射側において、第1波面曲率変調器150における収束レンズ162およびミラー164の光軸と、第2波面曲率変調器152における収束レンズ182およびミラー184の光軸とが互いに直交するレイアウトを有するように、配置されている。
図6に示すように、信号処理回路200は、外部から供給された映像信号から、第1部分画像を表示するために必要なR,GおよびB映像信号(輝度信号)を抽出して第1光源ユニット20に供給し、さらに、外部から供給された映像信号から、第2部分画像を表示するために必要なR,GおよびB映像信号(輝度信号)を抽出して第2光源ユニット22に供給する。
この信号処理回路200は、さらに、外部から供給された映像信号から、第1部分画像のピント位置を実現するために必要な第1奥行き信号を抽出して第1波面曲率変調器150に供給し、さらに、外部から供給された映像信号から、第2部分画像のピント位置を実現するために必要な第2奥行き信号を抽出して第2波面曲率変調器152に供給する。
ここで、図7および図8を参照することにより、第1および第2波面曲率変調器150,152の作動を具体的に説明する。
図7には、第1波面曲率変調器150のレンズ−ミラー間距離も、第2波面曲率変調器152のレンズ−ミラー間距離も、焦点距離fに一致する場合における光路が一例として示されている。
図7に示す例においては、第1光源ユニット20から入射光Aが平行光として第1波面曲率変調器150のビームスプリッタ160に入射すると、レンズ−ミラー間距離が収束レンズ162の焦点距離fに一致するため、収束レンズ162からの出射光が平行光に維持され、ビームスプリッタ160から出射光Aが平行光として出射する。同様にして、第2光源ユニット22から入射光Bが平行光として第2波面曲率変調器152のビームスプリッタ180に入射すると、レンズ−ミラー間距離が収束レンズ182の焦点距離fに一致するため、収束レンズ182からの出射光が平行光に維持され、ビームスプリッタ180から出射光Bが平行光として出射する。それら出射光AおよびBは、ビームスプリッタ180において合成された後、走査装置26に向かう。
この例においては、第1波面曲率変調器150からの出射光Aによって表示される第1部分画像(メイン画像)と、第2波面曲率変調器152からの出射光Bによって表示される第2部分画像(補助画像)とが互いに重ね合わされて全体画像が形成される。この例においては、その全体画像においてそれら2枚の部分画像が同じピント位置を有するように観察者によって知覚される。
図8には、第1波面曲率変調器150のレンズ−ミラー間距離は焦点距離fより短いが、第2波面曲率変調器152のレンズ−ミラー間距離は焦点距離fに一致する場合における光路が別の例として示されている。
この例においては、第1光源ユニット20から入射光Aが平行光として第1波面曲率変調器150のビームスプリッタ160に入射すると、レンズ−ミラー間距離が収束レンズ162の焦点距離fより短いため、収束レンズ162からの出射光が拡散光に変換され、ビームスプリッタ160から出射光Aが拡散光として出射する。同様にして、第2光源ユニット22から入射光Bが平行光として第2波面曲率変調器152のビームスプリッタ180に入射すると、レンズ−ミラー間距離が収束レンズ182の焦点距離fに一致するため、収束レンズ182からの出射光が平行光に維持され、ビームスプリッタ180から出射光Bが平行光として出射する。それら出射光AおよびBは、ビームスプリッタ180において合成された後、走査装置26に向かう。
この例においても、先の例と同様に、第1波面曲率変調器150からの出射光Aによって表示される第1部分画像(メイン画像)と、第2波面曲率変調器152からの出射光Bによって表示される第2部分画像(補助画像)とが互いに重ね合わされて全体画像が形成される。ただし、この例においては、その全体画像においてそれら2枚の部分画像が互いに異なるピント位置を有するように観察者によって知覚される。
なお付言するに、以上説明した2つの例においてはいずれも、第2光源ユニット22からの出射光の波面曲率が第2波面曲率変調器152によって変調されないが、変調されるようにして本実施形態を実施することは可能である。すなわち、本実施形態においては、第1実施形態とは異なり、第2光源ユニット22からの出射光の波面曲率が変調可能であり、よって、第1部分画像のピント位置のみならず第2部分画像のピント位置も可変であるのである。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、第1および第2光源ユニット20,22が互いに共同して前記(1)項における「光源部」の一例を構成し、第1および第2波面曲率変調器150,152が互いに共同して同項における「波面変調部」の一例を構成し、信号処理回路200が同項における「制御部」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、第1および第2光源ユニット20,22が互いに共同して前記(9)項における「複数の出射部」の一例を構成し、第1および第2波面曲率変調器150,152が互いに共同して同項における「複数のピント別変調部」の一例を構成し、ビームスプリッタ180が同項における「合成部」の一例を構成し、信号処理回路200が同項における「制御部」の一例を構成しているのである。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多く、異なる要素は、波面曲率変調器24に関する要素のみであるため、異なる要素についてのみ詳細に説明し、共通する要素については同一の符号または名称を使用して引用することにより、詳細な説明を省略する。
第1実施形態においては、2個の光源ユニット20,22からそれぞれ出射した2つのレーザビームが一緒に、それらに共通の1個の波面曲率変調器24に入射するが、その波面曲率変調器24は、第1光源ユニット20からの入射光Aについては、それの波面曲率を変調する機能を果たす一方、第2光源ユニット22からの入射光Bについては、第1光源ユニット20からの入射光Aと合成する機能を果たす。
その結果、第1実施形態においては、第1光源ユニット20からの出射光によって表示される第1部分画像(メイン画像)のピント位置は可変であるのに対し、第2光源ユニット22からの出射光によって表示される第2部分画像(補助画像)のピント位置は不変である。このようにして、同じ全体画像における2枚の部分画像がそれぞれ互いに異なるピント位置を有するように表示可能とされる。
これに対し、本実施形態においては、図9に示すように、2個の光源ユニット20,22と、それらに共通の1個の波面曲率変調器24との間に、2個の光源ユニット20,22のうちのいずれかを選択してその選択された光源ユニットからの出射光を波面曲率変調器220に入射させるための光スイッチ222が配置されている。
この光スイッチ222は、信号処理回路230によって制御される。信号処理回路230は、光スイッチ222の作動状態に応じて、波面曲率変調器220に供給する奥行き信号を切り換える。具体的には、信号処理回路230は、光スイッチ222によって第1光源ユニット20が選択されている状態においては、その第1光源ユニット20からの出射光によって表示される第1部分画像のピント位置を実現するための第1奥行き信号を波面曲率変調器220に供給する。これに対し、信号処理回路230は、光スイッチ222によって第2光源ユニット22が選択されている状態においては、その第2光源ユニット22からの出射光によって表示される第2部分画像のピント位置を実現するための第2奥行き信号を波面曲率変調器220に供給する。
ただし、本実施形態においては、信号処理回路230が、各光源ユニット20,22に、それが光スイッチ222によって選択されているか否かを問わず、対応する部分画像を表示するための輝度信号を供給するように設計されている。
図10には、光スイッチ222および波面曲率変調器220を制御するために信号処理回路230のコンピュータ232によって実行されるピント位置制御プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。このピント位置制御プログラムはそのコンピュータ232によって繰り返し実行される。
このピント位置制御プログラムの各回の実行時には、まず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。他のステップについても同じとする。)において、垂直同期信号に基づき、垂直走査の実行中であるか否かが判定される。
今回は、何らかの異常により、垂直走査の実行中でないためにこのS1の判定がNOとなれば、直ちにこのピント位置制御プログラムの一回の実行が終了する。その後、その異常からの復旧が待たれる。復旧したならば、このピント位置制御プログラムの実行が再開される。
これに対し、今回は、垂直走査の実行中であると仮定すれば、S1の判定がYESとなり、S2に移行する。このS2においては、これから開始されようとする水平走査が、1フレーム分の全体走査領域のうち画像が有効に表示される有効表示領域についての水平走査に該当するか否かが判定される。
今回の水平走査が有効表示領域についての水平走査に該当しないと仮定すれば、S2の判定がNOとなり、S8に移行する。このS8においては、今回の垂直走査帰線期間が開始されたか否かが判定される。未だ開始されていない場合には、S9において、次の水平走査タイミングが到来することが待たれる。次の水平走査タイミングが到来したならば、S2に戻る。
S2、S8およびS9の実行が必要回数繰り返された結果、有効表示領域についての水平走査が開始されれば、S2の判定がYESとなり、S3に移行する。
このS3においては、今回の水平走査が奇数番目の走査線に沿った水平走査に該当するか否かが判定される。奇数回の水平走査に該当する場合には、判定がYESとなり、S4において、第1光源ユニット20を選択するための信号が光スイッチ222に出力される。その後、S5において、外部から供給された映像信号から、第1部分画像を表示するための第1奥行き信号が抽出され、その抽出された第1奥行き信号が波面曲率変調器220に出力される。続いて、S9に移行する。
これに対し、今回の水平走査が奇数番目の走査線に沿った水平走査に該当しない場合、すなわち、偶数番目の走査線に沿った水平走査に該当する場合には、S3の判定がNOとなり、S6に移行する。このS6においては、第2光源ユニット22を選択するための信号が光スイッチ222に出力される。その後、S7において、外部から供給された映像信号から、第2部分画像を表示するための第2奥行き信号が抽出され、その抽出された第2奥行き信号が波面曲率変調器220に出力される。続いて、S9に移行する。
水平走査が有効表示領域について行われる限り、S2の判定がYESとなるため、その間、S2ないしS7およびS9の実行が繰り返される。その結果、2個の部分画像が、互いにインターレースの関係にあるかのように合成表示される。
それら2個の部分画像につき、1フレーム分の表示が終了すれば、今回の水平走査が有効表示領域についての水平走査に該当しない状態となる。そのため、S2の判定がYESからNOに変化し、その後、S8に移行する。
このS8においては、今回の垂直走査帰線期間が開始されたか否かが判定される。このS8の判定がYESとなれば、S10において、次のフレームを構成する信号の読出しのために準備が行われ、さらに、次の垂直走査タイミングが到来することが待たれる。なお、本実施形態においては、垂直帰線消去期間の開始点が有効走査終了直後の時点に設定されている。
このS10の実行が終了すると、このピント位置制御プログラムの実行が今回のフレームについて終了する。図示しないが、ユーザからその後に停止指令が発令された場合およびS1の判定がNOである場合を除き、このピント位置制御プログラムの実行が次回のフレーム以後の複数のフレームについて繰り返される。
したがって、このピント位置制御プログラムが実行されると、同じ画像フレームにおける複数回の水平走査について交互に、第1光源ユニット20の選択および第1奥行き信号による波面曲率変調器220の作動と、第2光源ユニット22の選択および第2奥行き信号による波面曲率変調器220の作動とが行われる。
本実施形態においては、一回の垂直走査中、複数本の水平走査線が1本おきに間引きされることにより、半分の水平走査線によって第1部分画像が表示されることと、残りの半分の水平走査線によって第2部分画像が表示されることとが、眼10の残像現象を利用することにより、実質的に同時に行われる。
すなわち、本実施形態においては、同じ波面曲率変調器220に第1奥行き信号と第2奥行き信号とが、複数本の水平走査線に時間的に関連付けて交互に供給され、それにより、波面曲率変調器220の数が1個でありながら、第1部分画像と第2部分画像との双方についてピント位置が可変であるようになっているのである。
図11には、上記ピント位置制御プログラムの実行によって表示される全体画像の一例が示されている。この全体画像は、2個の部分画像の合成画像として構成されている。一方の部分画像は、家の如き図形をオブジェクトとして含むメイン画像であり、他方の部分図形は、楕円の如き図形をオブジェクトして含む補助画像である。
図11においては、複数本の水平走査線が、説明の便宜上、水平な複数本の一点鎖線および水平な複数本の二点鎖線によって可視化されて示されている。さらに、図11においては、それら複数本の水平走査線が、説明の便宜上、実際の間隔より広い間隔をおいて互いに隣接するように示されている。図11においては、複数本の一点鎖線は、走査線番号が奇数である複数本の走査線を示しており、一方、複数本の二点鎖線は、走査線番号が偶数である複数本の走査線を示している。
図11に示す例においては、奇数番目の走査線によってメイン画像が表示され、また、偶数番目の走査線によって補助画像が表示されている。メイン画像のうちのオブジェクトの外形線と、補助画像のうちのオブジェクトの外形線とは、いずれも、説明の便宜上、強調のために点線によって可視化されて示されている。
図11に示す例においては、メイン画像と補助画像との間に互いに重なる部分が存在しない。これに対し、重なる部分が存在する場合には、メイン画像と一緒に表示される部分画像が、そのメイン画像に近接して表示されてそのメイン画像を補助する役割を有することに鑑み、その重なる部分については、メイン画像と補助画像とを一緒に表示することが望ましい。
これに対し、メイン画像と一緒に表示される部分画像が背景画像である場合には、それらメイン画像と背景画像との相対的位置関係の現実をできる限り忠実に再現すべく、それらメイン画像と背景画像との間の重なり部分については、背景画像のうち、メイン画像と重なる部分は消去して表示されないようにする一方、メイン画像のうち、背景画像と重なる部分はそのまま表示されるようにすることが望ましい。
なお、本実施形態においては、外部から信号処理回路60に供給される映像信号がノンインターレース方式であるが、本実施形態とは異なり、その映像信号がインターレース方式である場合には、特別な信号処理を必要とすることなく、各走査線が、フレームを構成する各フィールドごとに互いに異なる軌跡で描かれる。具体的には、1フレームの走査中、1番目のフィールド上の走査線と、2番目のフィールド上の走査線とは、重なり合うことなく、一方の走査線間空間が他方の走査線で埋められる相対位置関係を有する。
したがって、外部から供給される映像信号により2個の映像すなわち2個の部分画像が交互に表されるようにされている限り、特別な信号処理なしで、1番目のフィールドによって1番目の部分画像が表示され、2番目のフィールドによって2番目の部分画像が表示されるというように、各部分画像を各フィールドへ割り振って表示することが可能である。
また、本実施形態のように、1番目の部分画像と2番目の部分画像とを1本の走査線ごとに交互に表示するのではなく、設定複数本の走査線ごとに交互に表示する場合や、各部分画像を構成する走査線数の比率が1:1ではない状態(例えば、走査線の飛び越しが、1番目の部分画像については2本の走査線おきに行われ、2番目の部分画像については1本の走査線おきに行われる状態)でそれら2個の部分画像が交互に表示される場合でも、走査線の番号をカウントすれば、走査線によって表示される部分画像を切り換えるタイミングを容易に設定することが可能である。
また、各部分画像が表示されるタイミングをフレームごとに切り換える場合においても、垂直走査開始タイミングごとに、フレームによって表示される部分画像を切り換えれば、2個の部分画像を交互に表示することが可能である。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、走査装置26が前記(13)項における「走査部」の一例を構成し、信号処理装置230が同項における「制御部」の一例を構成し、第1および第2光源ユニット20,22が互いに共同して前記(15)項における「複数の出射部」の一例を構成し、光スイッチ222が同項における「選択部」の一例を構成しているのである。
なお付言するに、本実施形態においては、図9に示すハードウエアを使用しつつ、図10に示すピント位置制御プログラムを実行することにより、表示すべき全体画像の1フレームを構成する複数本の走査線にそれぞれ関連付けて、2個の光源ユニット20,22が交互に選択され、かつ、2枚の部分画像の2個のピント位置に応じた波面曲率をそれぞれ実現するための2つの奥行き信号が交互に波面曲率変調器220に供給される。
これに対し、図9に示すハードウエアを使用しつつ、表示すべき全体画像を構成する複数枚のフレームにそれぞれ関連付けて、2個の光源ユニット20,22が交互に選択され、かつ、2枚の部分画像の2個のピント位置に応じた波面曲率をそれぞれ実現するための2つの奥行き信号が交互に波面曲率変調器220に供給されるようにピント位置制御プログラムを変更することが可能である。
さらに付言するに、以上説明したいくつかの実施形態はいずれも、本発明の理解を容易にするという役割を優先し、便宜上、1個の全体画像を表示するために合成される複数個の部分画像をそれぞれ表す複数の映像信号が、互いに形式が共通しているなどの理由で、合成することが容易であることが前提とされて説明されている。
しかしながら、現実には、それら複数の映像信号は、例えばフレーム周波数に関して互いに一致しないことが多い。この場合には、フレームシンクロナイザ等に用いられるメモリ制御技術を利用してそれら複数の映像信号を同期させて合成することが可能である。
さらに、それら複数の映像信号が水平・垂直走査線数に関して互いに一致しない場合もある。この場合には、テレビやビデオ等において利用されるピクチャインピクチャ(マルチ画面化技術も含む。)や、放送機器等の画像合成装置等において利用される画像処理技術を利用することにより、画像を構成する走査線の数を変換する処理を行い、それにより、それら複数の映像信号が、走査線数やフレーム数に関して互いに一致するかまたは一定の関係を有するように変換されれば、それら複数の映像信号を合成することが可能である。図10に示す実施形態においても、通常は、2つの映像信号に対し、互いに同期させる処理と、走査線数を半分ずつにする間引き処理とが事前に施される。
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の開示]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
本発明の第1実施形態に従う網膜走査型ディスプレイを示す系統図である。 図1に示す網膜走査型ディスプレイにおいて観察者によって観察される画像の一例を示す正面図である。 図1に示す網膜走査型ディスプレイにおいて観察者によって観察される画像の別の例を示す正面図である。 図1における波面曲率変調器24を示す平面図である。 図1における波面曲率変調器24を図4に示す作動状態とは別の作動状態において示す平面図である。 本発明の第2実施形態に従う網膜走査型ディスプレイを示す系統図である。 図6における第1および第2波面曲率変調器150,152を示す平面図である。 図6における第1および第2波面曲率変調器150,152を図7に示す作動状態とは別の作動状態において示す平面図である。 本発明の第3実施形態に従う網膜走査型ディスプレイを示す系統図である。 図9における信号処理回路230のコンピュータ232によって実行されるピント位置制御プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。 図10に示すピント位置制御プログラムの実行によって表示される全体画像の一例を示す正面図である。
符号の説明
14 網膜
20 第1光源ユニット
22 第2光源ユニット
24,220 波面曲率変調器
60,200,230 信号処理回路
94,160,180 ビームスプリッタ
150 第1波面曲率変調器
152 第2波面曲率変調器
222 光スイッチ
232 コンピュータ

Claims (15)

  1. 光を網膜に直接投影することにより、画像を表示する画像表示装置であって、
    光源部と、
    その光源部からの出射光の波面曲率を変調する波面変調部と、
    表示される全体画像の少なくとも一部分が、互いに異なるピント位置を有する複数の部分画像の合成画像として表示され得るように、前記波面変調部を制御する制御部と
    を含む画像表示装置。
  2. 前記複数の部分画像は、互いに視覚的に識別可能な状態で表示される請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記複数の部分画像は、いずれも前記全体画像と同じ大きさを有して互いに重なるように表示される請求項1または2に記載の画像表示装置。
  4. 前記複数の部分画像は、第1部分画像と第2部分画像とを含み、前記第1部分画像は、前記全体画像のうちのメイン画像であり、前記第2部分画像は、前記全体画像のうちの補助画像である請求項1ないし3のいずれかに記載の画像表示装置。
  5. 前記補助画像は、前記メイン画像を観察する観察者によってそのメイン画像に関連して参照されるべき情報をその観察者に提供するために表示される請求項4に記載の画像表示装置。
  6. 前記補助画像は、前記メイン画像を観察する観察者により、そのメイン画像のピント位置より観察者に近いピント位置において知覚されるように表示される請求項4または5に記載の画像表示装置。
  7. 前記複数の部分画像は、第1部分画像と第2部分画像とを含み、前記第1部分画像は、前記全体画像のうちのメイン画像であり、前記第2部分画像は、前記全体画像のうちの背景画像である請求項1ないし3のいずれかに記載の画像表示装置。
  8. 前記背景画像は、前記メイン画像を観察する観察者により、そのメイン画像のピント位置より遠いピント位置において知覚されるように表示される請求項7に記載の画像表示装置。
  9. 前記光源部は、前記複数の部分画像をそれぞれ表示するために複数の光をそれぞれ出射する複数の出射部を含み、
    前記波面変調部は、前記複数の部分画像について前記複数のピント位置に応じた波面曲率をそれぞれ実現するための複数のピント別変調部を含み、
    当該画像表示装置は、さらに、前記複数のピント別変調部からの複数の出射光を合成する合成部を含み、
    前記制御部は、前記複数の出射部にはそれぞれ複数の輝度信号を供給し、前記複数のピント別変調部にはそれぞれ、前記複数のピント位置をそれぞれ実現するために複数の奥行き信号を供給する請求項1ないし8のいずれかに記載の画像表示装置。
  10. 前記制御部は、外部から供給された映像信号に基づく全体輝度信号を前記複数の輝度信号に分離し、外部から供給された映像信号と共に供給されるかまたはその映像信号に含まれる全体奥行き信号を前記複数の奥行き信号に分離する請求項9に記載の画像表示装置。
  11. 前記光源部は、前記複数の部分画像をそれぞれ表示するために複数の光をそれぞれ出射する複数の出射部を含み、
    前記波面変調部は、前記複数のピント位置のいずれかに応じた波面曲率を実現し、
    当該画像表示装置は、さらに、前記波面変調部からの出射光と、前記複数の出射部のうち、前記いずれかのピント位置を有する部分画像を除く部分画像を表示するために光を出射するものからの出射光とを合成する合成部を含み、
    前記制御部は、前記複数の出射部にはそれぞれ複数の輝度信号を供給し、前記波面変調部には前記いずれかのピント位置を実現するために奥行き信号を供給する請求項1ないし8のいずれかに記載の画像表示装置。
  12. さらに、前記波面変調部からの出射光を2次元的に走査する走査部を含み、
    前記合成部は、その走査部より上流側に配置される請求項9ないし11のいずれかに記載の画像表示装置。
  13. さらに、前記波面変調部からの出射光を2次元的に走査する走査部を含み、
    前記制御部は、表示すべき全体画像の1フレームを構成する複数本の走査線を前記部分画像の数と同数の複数の走査線セットに、前記複数本の走査線の各々が属する走査線セットがそれら複数本の走査線が並ぶ方向において予め定められた順序で切り換わるように分割し、その分割された各走査線セットごとに、対応する部分画像のピント位置に応じた波面曲率を実現するための奥行き信号を前記波面変調部に供給する請求項1ないし8のいずれかに記載の画像表示装置。
  14. 前記制御部は、表示すべき全体画像を構成する複数枚のフレームを前記部分画像の数と同数の複数のフレームセットに、前記複数枚のフレームの各々が属するフレームセットがそれら複数枚のフレームが並ぶ方向において予め定められた順序で切り換わるように分割し、その分割された各フレームセットごとに、対応する部分画像のピント位置に応じた波面曲率を実現するための奥行き信号を前記波面変調部に供給する請求項1ないし8のいずれかに記載の画像表示装置。
  15. 前記光源部は、前記複数の部分画像をそれぞれ表示するために複数の光をそれぞれ出射する複数の出射部と、それら複数の出射部のうち、前記波面変調部への入射光を出射するものを選択する選択部とを含み、
    前記制御部は、外部から供給される信号に基づき、前記選択部を制御する請求項13または14に記載の画像表示装置。
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