JP2006090184A - 共鳴器 - Google Patents

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Shintaro Okawa
新太朗 大川
Tomoyuki Saruwatari
智之 猿渡
Yoshikazu Hirose
吉一 広瀬
Minoru Toyoda
稔 豊田
Masaru Hattori
勝 服部
Tatsuo Suzuki
達雄 鈴木
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Abstract

【課題】 高い吸気騒音抑制効果と高い放射騒音抑制効果とを併有する共鳴器を提供することを課題とする。
【解決手段】 共鳴器1は、一端が管体部に分岐接続され、他端が閉口し、吸気通路95から吸気騒音が伝播する分岐管体部2と、分岐管体部2の内部に配置され、吸気騒音の抑制対象周波数と略同じ固有周波数を持つ第一隔壁30と、分岐管体部2の内部において、第一隔壁30に対して吸気通路95から離間する方向に配置される第二隔壁31と、分岐管体部2の内部に区画され、第二隔壁31に対して吸気通路95から離間する方向に配置される空気ばね室51と、を備え、第二隔壁31と空気ばね室51との対は、分岐管体部2における吸気騒音の伝播方向に直列に、少なくとも一つ配置され、第二隔壁31と空気ばね室51との共鳴周波数は、第一隔壁30の固有周波数と、略等しいことを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、車両の吸気システムの吸気騒音を抑制する共鳴器に関する。
例えば、特許文献1には、吸気システムのサージタンクに取り付けられる共鳴器が紹介されている。同文献記載の共鳴器は、弾性膜とカップ部材とを備えている。カップ部材は、カップ開口が伏せられた状態で、サージタンクに取り付けられている。カップ開口とサージタンクとの間には、弾性膜が介装されている。弾性膜により、カップ内部とサージタンク内部とは、遮断されている。
弾性膜の固有周波数は、サージタンク内部の気柱共鳴の共鳴周波数と等しくなるように、設定されている。同文献記載の共鳴器によると、当該弾性膜の膜振動効果により、サージタンク内部の気柱脈動を抑制することができる。
実開平2−80710号公報
ところで、弾性膜の振動により、カップ部材の内部には放射騒音が発生する。放射騒音は、カップ底壁により反射され、弾性膜を介してサージタンク内部に戻される。このため、同文献記載の共鳴器の吸気騒音(吸気口から漏出する騒音)抑制効果は、満足のいくレベルに無かった。
ここで、吸気騒音の抑制効果を高くするためには、音響インピーダンスを小さくすればよい。すなわち、カップ部材を撤去すればよい。しかしながら、こうすると、弾性膜がエンジンルーム内に表出してしまう。このため、吸気騒音が小さくなる反面、弾性膜からエンジンルーム内に漏出する放射騒音が大きくなってしまう。このように、吸気騒音抑制効果と放射騒音抑制効果とは、両立しにくい。
本発明の共鳴器は、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、高い吸気騒音抑制効果と高い放射騒音抑制効果とを併有する共鳴器を提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明の共鳴器は、車両の外部に開口し外気を取り入れる吸気口と、該吸気口とエンジンの燃焼室とを連通する吸気通路と、を区画する管体部を持つ吸気システムに配置される共鳴器であって、一端が前記管体部に分岐接続され、他端が閉口し、前記吸気通路から吸気騒音が伝播する分岐管体部と、該分岐管体部の内部に配置され、該吸気騒音の抑制対象周波数と略同じ固有周波数を持つ第一隔壁と、該分岐管体部の内部において、該第一隔壁に対して該吸気通路から離間する方向に配置される第二隔壁と、該分岐管体部の内部に区画され、該第二隔壁に対して該吸気通路から離間する方向に配置される空気ばね室と、を備え、該第二隔壁と該空気ばね室との対は、該分岐管体部における該吸気騒音の伝播方向に直列に、少なくとも一つ配置され、該第二隔壁と該空気ばね室との共鳴周波数は、該第一隔壁の該固有周波数と、略等しいことを特徴とする。
本発明の共鳴器は、吸気通路に近い順に、第一隔壁と第二隔壁と空気ばね室とを備えている。第一隔壁の固有周波数は、吸気騒音の抑制対象周波数と、略等しく設定されている。第二隔壁と空気ばね室との共鳴周波数は、第一隔壁の固有周波数と、略等しく設定されている。
吸気騒音が第一隔壁に到達すると、吸気騒音の抑制対象周波数と第一隔壁とが共鳴する。そして、第一隔壁が振動する。振動により、吸気騒音の抑制対象周波数の音圧が低減する。ここで、第一隔壁の振動により、放射騒音が発生する。しかしながら、放射騒音は、第二隔壁および空気ばね室により消費される。このため、放射騒音が第一隔壁方向に反射されにくい。したがって、第一隔壁の吸気騒音抑制効果が低下しにくい。加えて、分岐管体部の他端は閉口しているため、放射騒音は外部に漏出しない。このように、本発明の共鳴器は、高い吸気騒音抑制効果と高い放射騒音抑制効果とを併有している。
なお、第二隔壁と空気ばね室との対が複数配置されている場合は、第二隔壁と空気ばね室との対が、直列に配置される。一例として、第二隔壁と空気ばね室との対が三つ配置される場合、各部材は、吸気通路に近い方から、第一隔壁→第二隔壁→空気ばね室→第二隔壁→空気ばね室→第二隔壁→空気ばね室の順に配置される。この場合、本発明における「第二隔壁と空気ばね室との共鳴周波数」とは、三つの対全てによる共鳴周波数をいう。すなわち、第二隔壁と空気ばね室との対が複数配置されている場合、「第二隔壁と空気ばね室との共鳴周波数」とは、全第二隔壁と全空気ばね室との共鳴周波数をいう。
(2)好ましくは、前記分岐管体部は、前記管体部において、前記吸気騒音の前記抑制対象周波数の定在波の腹が位置している部位に、配置されている構成とする方がよい。定在波の腹は音圧が大きい。このため、本構成によると、より効果的に抑制対象周波数の音圧を抑制することができる。
(3)好ましくは、前記吸気騒音の前記抑制対象周波数は、20Hz以上600Hz以下である構成とする方がよい。前記特許文献1に記載の共鳴器の場合、カップ内部に封入された空気層が空気ばねとして作用する。このため、弾性膜の共鳴周波数が高周波数側にシフトしてしまう。したがって、抑制対象周波数が比較的低い場合、弾性膜の共鳴周波数の調整が困難である。
これに対して、本発明の共鳴器の場合は、第一隔壁の共鳴周波数が高周波数側にシフトするおそれがない。このため、抑制対象周波数が比較的低い場合であっても、弾性膜の共鳴周波数の調整が容易である。
加えて、抑制対象周波数が比較的低い場合、共鳴器の配置スペースが大きくなりがちである。例えば、サイドブランチタイプの共鳴器の場合、固有の共鳴周波数は、サイドブランチの長さに依存している。一方、抑制対象周波数が比較的低い場合、波長は比較的長くなる。このため、サイドブランチタイプの共鳴器により、比較的低い周波数成分を抑制しようとすると、サイドブランチの長さを長くする必要がある。したがって、共鳴器の配置スペースが大きくなる。
また、ヘルムホルツタイプの共鳴器の場合、固有の共鳴周波数は、次式により表すことができる。
Figure 2006090184
式中、fは共鳴周波数を、cは音速を、lはスロート室の長さを、Vは空洞の体積を、Sはスロート室の断面積を、それぞれ示す。比較的低い周波数成分を抑制する場合、共鳴周波数fを小さくする必要がある。共鳴周波数fを小さくするためには、Sに対してlあるいはVを大きくする必要がある。したがって、この場合も、共鳴器の配置スペースが大きくなる。この点、本構成によると、配置スペースを大型化することなく、比較的低い低周波数成分を抑制することができる。
なお、抑制対象周波数を20Hz以上600Hz以下としたのは、20Hzは人間の可聴限界であり、20Hz未満は問題とならないからである。また、600Hz超過の場合、小容積の共鳴器で充分に消音可能だからである。
本発明によると、高い吸気騒音抑制効果と高い放射騒音抑制効果とを併有する共鳴器を提供することができる。
以下、本発明の共鳴器の実施の形態について説明する。
まず、本実施形態の共鳴器の配置について説明する。図1に、本実施形態の共鳴器が配置された吸気システムの概要図を示す。図に示すように、吸気システム9は、吸気ダクト90とエアクリーナ91とエアクリーナホース92とスロットルボディ93とインテークマニホールド94とを備えている。吸気システム9の内部には、吸気ダクト90上流端(以下、空気の流れ方向に沿って、上流側、下流側を定義する。)に形成された吸気口900と、インテークマニホールド94の下流端に分岐接続された燃焼室96と、を連通する吸気通路95が区画されている。吸気通路95を介して、外部から燃焼室96に吸気が導入される。また、吸気通路95を介して、燃焼室96から外部に吸気騒音が伝播する。共鳴器1は、吸気ダクト90に分岐接続されている。共鳴器1は、吸気騒音の抑制対象周波数の定在波の腹位置に接続されている。
図2に、本実施形態の共鳴器の断面図を示す。図に示すように、共鳴器1は、分岐管体部2と第一隔膜30と第二隔膜31とを備えている。第一隔膜30は、本発明の第一隔壁に含まれる。第二隔膜31は、本発明の第二隔壁に含まれる。分岐管体部2は、取り付け部20と連結部21と底部22とを備えている。
取り付け部20は、樹脂製であって、小径部200と大径部201とを備えている。小径部200は、円筒状を呈している。小径部200の開口端には、小径部側フランジ部200aが形成されている。一方、吸気ダクト90の側壁からは、ダクト側フランジ部901が突設されている。小径部側フランジ部200aは、ダクト側フランジ部901に、スクリュー(図略)により、固定されている。小径部200の内部には、スロート室4が区画されている。吸気通路95は、スロート室4に連通している。大径部201は、小径部よりも大径の円筒状を呈している。大径部201の開口端には、大径部側フランジ部201aが形成されている。
連結部21は、樹脂製であって、大径部201と同径の円筒状を呈している。連結部21の内部には、隔室50が区画されている。連結部21の両方の開口端には、各々、連結部側フランジ部210、211が形成されている。連結部側フランジ部210は、大径部側フランジ部201aに、スクリュー(図略)により、固定されている。
第一隔膜30は、ゴム製であって、肉厚の薄い円板状を呈している。第一隔膜30は、前記スクリューにより、連結部側フランジ部210と大径部側フランジ部201aとの間に、挟持固定されている。第一隔膜30の固有周波数は、スロート室4を介して吸気通路95から伝播する吸気騒音の抑制対象周波数と、一致している。
底部22は、樹脂製であって有底円筒状を呈している。底部22の内部には、隔室51が区画されている。隔室51は、本発明の空気ばね室に含まれる。底部22の開口端には、底部側フランジ部220が形成されている。底部側フランジ部220は、連結部21の連結部側フランジ部211に、スクリュー(図略)により、固定されている。
第二隔膜31は、第一隔膜30同様の形状を呈している。第二隔膜31は、前記スクリューにより、底部側フランジ部220と連結部21の連結部側フランジ部211との間に、挟持固定されている。第二隔膜31と隔室51との共鳴周波数は、第一隔膜30の固有周波数と、一致している。
以上、本発明の共鳴器の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
例えば、上記実施形態においては、ヘルムホルツタイプの共鳴器を基に共鳴器1を形成したが、サイドブランチタイプの共鳴器を基に共鳴器1を形成してもよい。また、共鳴器1の外形を円筒状としたが、角筒状としてもよい。
また、上記実施形態においては、第二隔膜31と隔室51との対を一つだけ配置したが、複数配置してもよい。この場合、隔室51の背面側(吸気通路95から離間する側)に、第二隔膜と隔室とを、交互に配置すればよい。
また、上記実施形態においては、本発明の第一隔壁として第一隔膜30を、第二隔壁として第二隔膜31を、それぞれ配置したが、第一隔壁、第二隔壁は膜状でなくてもよい。例えば、ブロック状であってもよい。
また、上記実施形態においては、第一隔膜30、第二隔膜31を、それぞれスクリューにより固定したが、第一隔膜30、第二隔膜31は接着あるいは溶着などにより固定してもよい。また、第一隔膜30あるいは第二隔膜31と、分岐管体部2の一部あるいは全部とを、一体に形成してもよい。
また、吸気システム9に対する共鳴器1の取り付け位置も特に限定しない。例えば、エアクリーナ91、エアクリーナホース92、スロットルボディ93、インテークマニホールド94などであってもよい。また、単一の吸気システム9に、複数の共鳴器1を配置してもよい。この場合、各共鳴器1ごとに、抑制対象周波数を変えてもよい。
以下、本発明の共鳴器に対して行った数値試験(伝達マトリックス法)について説明する。
[試験サンプル]
まず、試験サンプルのスペックについて説明する。図3に、実施例サンプルの模式図を示す。図4に比較例2サンプルの模式図を示す。これらの図において、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。
図3の実施例の分岐管体部2の内径Dは、84mmである。スロート室4の軸方向長さlは、10mmである。スロート室4の内径dは、42mmである。隔室51の軸方向長さLは、100mmである。第一隔膜30の質量m1は、2.00gである。第一隔膜30のばね定数k1は、1.55×103N/mである。第二隔膜31の質量m2は、10.0gである。第二隔膜31のばね定数k2は、1.58×102N/mである。
比較例1は、吸気ダクトに共鳴器自体が配置されていない場合を想定したものである。また、図4の比較例2と図3の実施例との相違点は、第二隔膜31が配置されていない点である。それ以外は実施例と同様である。したがって説明を割愛する。
[計算方法]
次に、計算方法について説明する。計算は、伝達マトリックス法を用いて行う。すなわち、吸気システム9を複数の管路要素の連なりとして模式化し、吸気騒音を一次元として取り扱う。伝達的マトリックス法については公知であるため、これ以上の説明は割愛する。
[計算結果]
次に、計算結果について説明する。図5に、伝達マトリックス法により算出された吸気騒音の周波数と音圧との関係を示す。図中、太線データは実施例を、細線データは比較例を、それぞれ示す。図から、実施例は、138Hz付近に共鳴周波数を有することが判る。すなわち、実施例は、比較例1、2に対して、138Hz付近の音圧を、25dB程度抑制できることが判る。
本発明の共鳴器の一実施形態となる共鳴器が配置された吸気システムの概要図である。 同共鳴器の断面図である。 数値試験に用いる実施例サンプルの模式図である。 数値試験に用いる比較例2サンプルの模式図である。 伝達マトリックス法により算出された吸気騒音の周波数と音圧との関係を示すグラフである。
符号の説明
1:共鳴器、2:分岐管体部、20:取り付け部、200:小径部、200a:小径部側フランジ部、201:大径部、201a:大径部側フランジ部、21:連結部、210:連結部側フランジ部、211:連結部側フランジ部、22:底部、220:底部側フランジ部、30:第一隔膜(第一隔壁)、31:第二隔膜(第二隔壁)、4:スロート室、50:隔室、51:隔室(空気ばね室)、9:吸気システム、90:吸気ダクト、900:吸気口、901:ダクト側フランジ部、91:エアクリーナ、92:エアクリーナホース、93:スロットルボディ、94:インテークマニホールド、95:吸気通路、96:燃焼室。

Claims (3)

  1. 車両の外部に開口し外気を取り入れる吸気口と、該吸気口とエンジンの燃焼室とを連通する吸気通路と、を区画する管体部を持つ吸気システムに配置される共鳴器であって、
    一端が前記管体部に分岐接続され、他端が閉口し、前記吸気通路から吸気騒音が伝播する分岐管体部と、
    該分岐管体部の内部に配置され、該吸気騒音の抑制対象周波数と略同じ固有周波数を持つ第一隔壁と、
    該分岐管体部の内部において、該第一隔壁に対して該吸気通路から離間する方向に配置される第二隔壁と、
    該分岐管体部の内部に区画され、該第二隔壁に対して該吸気通路から離間する方向に配置される空気ばね室と、を備え、
    該第二隔壁と該空気ばね室との対は、該分岐管体部における該吸気騒音の伝播方向に直列に、少なくとも一つ配置され、
    該第二隔壁と該空気ばね室との共鳴周波数は、該第一隔壁の該固有周波数と、略等しいことを特徴とする共鳴器。
  2. 前記分岐管体部は、前記管体部において、前記吸気騒音の前記抑制対象周波数の定在波の腹が位置している部位に、配置されている請求項1に記載の共鳴器。
  3. 前記吸気騒音の前記抑制対象周波数は、20Hz以上600Hz以下である請求項1に記載の共鳴器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010168902A (ja) * 2009-01-20 2010-08-05 Mahle Filter Systems Japan Corp 内燃機関の吸気装置
JP2018035700A (ja) * 2016-08-29 2018-03-08 トヨタ紡織株式会社 エアクリーナ
KR20200029704A (ko) * 2018-09-11 2020-03-19 백영인 소음 저감 진동융착기

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