JP2006090158A - 内燃機関用ピストン - Google Patents

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Abstract

【課題】ピストンの軸方向と直交する平面内に位置する主通路を流れる冷却油を、主通路より下方に位置する出口開口から円滑に排出し、冷却効率を高めることを可能にする。
【解決手段】ピストン13の頭部内に設けられた冷却通路19は、ほぼ円環状に形成されるとともに、入口部20と、入口部20から互いに逆方向に冷却油を案内可能に分かれた2系統の通路21,22を備えている。通路21,22はピストン13の軸方向と直交する平面上に位置する主通路21a,22aを備え、主通路21a,22aと通路の出口開口21c,22cとが、ピストン13の軸方向と直交する平面及びピストン13の軸心を通る平面に対して傾斜するように形成された傾斜部21b,22bで連結されている。傾斜部21b,22bは互いに逆方向に傾斜するとともに、ピストン13の径方向から見た状態においてその中間部で交差するように形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関用ピストンに係り、詳しくは冷却油を循環させるほぼ環状の冷却通路を頭部内に備えた内燃機関用ピストンに関する。
内燃機関は、シリンダ内にピストンを往復動可能に配置して燃焼室を区画し、燃焼室内で燃料を燃焼爆発させることによって出力を得るようになっている。また、ピストンの外周には、圧縮及び爆発ガス圧に対して気密を保つことと、燃焼によって発生した熱のうちピストンが受ける分をシリンダ壁に伝えてピストンの過熱を防止するためのピストンリング(コンプレッションリング)が嵌合される溝が形成されている。従来、ピストン頭部及び前記溝の過熱を抑制するため、ピストンの頭部内に環状の冷却通路(クーリングチャネル)を設けるとともに、この冷却通路に冷却用オイルを環流させてピストンの冷却を行うようにしているものがある。一般に冷却通路には、ほぼ対称位置に入口通路と出口通路とがそれぞれ下向きに形成されている。そして、シリンダブロックに取り付けられた噴射ノズルからオイルが入口に向けて噴射される。入口から冷却通路に入ったオイルは冷却通路内を2系統に分かれて流れてピストンを冷却した後、図14(a)に示すように、2系統の各通路51a,51bを流れるオイルの流れが流出口52で合流してピストン53の外部に排出される。
ところが、前記の構造においては、各通路51a,51b内を左右両側より流れてきたオイル54(矢印で図示)が流出口52付近で衝突し、流れが乱れて流出口52からオイル54が円滑に排出されることの支障となる。そして、オイル54が円滑に排出されないと、各通路51a,51b内にピストン53との熱交換で温度が上昇したオイル54が滞留し、熱交換前の温度の低いオイルが通路51a,51bに供給され難くなり冷却効果が低下する。
冷却効果を高めるため、噴射ノズルからのオイルの単位時間当たりの噴射量を増加させる方法もあるが、オイルポンプの駆動負荷増につながり、エンジン全体として燃費悪化となる。
噴射ノズルからのオイル噴射量を増加させずに、流出口におけるオイルの流れの乱れを減少させて冷却効果を高める形状の冷却通路を備えたピストンが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、図14(b)に示すように、オイルの流出口52の近傍に、冷却油案内隔壁55が設けられ、各通路51a,51bを流れたオイルは冷却油案内隔壁55により2つに分けられた流出口56a,56bを流れ、最後に流出口56で合流して外へ排出される構成のピストンが提案されている。また、図14(c)に示すように、通路51aの流出口56aと、通路51bの流出口56bの流路とは相互に入り交じることなく全く別々に形成され、それぞれの流路内を流れるオイル54a,54bにより別々にピストンの冷却が行われる構成も提案されている。これらの構成では、通路51a,51bの流出口におけるオイルの衝突による流れの乱れを減少させて円滑なオイルの流れを可能とし、冷却効果を高めることが可能となる。
また、環状の冷却通路に対して入口通路及び出口通路がそれぞれT字型の分岐通路となることにより冷却油の円滑な流動が阻害されるのを防止するため、冷却通路を一方通行としたピストンも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2には、図15に示すように、肉厚部に、ほぼ環状の冷却孔57と、冷却油供給孔58と、冷却油排出孔59と、冷却孔57及び冷却油供給孔58を曲線で結ぶ湾曲通路60と、冷却孔57及び冷却油排出孔59を曲線で結ぶ湾曲通路61とからなる冷却通路を備えたピストン53が提案されている。
実開平5−61423号公報(第6,7頁、図1,2) 実開昭56−59948号公報(第1頁、図3)
ところが、特許文献1に記載の構成においても、冷却通路は従来の冷却通路と同様に合流する通路の出口端は両通路51a,51bともピストンの中心を中心とする同一円周上に存在する。従って、図14(b)に示す構成では、両流出口56a,56bを区画する冷却油案内隔壁55を薄く形成する必要があり製造が難しいだけでなく、冷却油案内隔壁55の強度を確保するのも難しい。図14(c)に示す構成では、両通路51a,51bが完全に独立しており冷却油案内隔壁55が厚いため、強度の心配はない。しかし、図14(b),(c)に示す構成では、いずれも流出口56a,56bがピストンの軸方向と平行に延びるように形成されているため、流出口56a,56bからいったん排出された冷却油が、ピストンの下降行程において高速で下降するピストンの流出口56a,56bで捕捉され易い。その結果、冷却油の円滑な供給に支障を来すという問題がある。
一方、特許文献2に記載された冷却通路の場合は、冷却油は1本の経路を一方向へ向かって流れるため、2系統の経路の出口部で冷却油が相互に干渉する虞はない。しかし、冷却通路の冷却油排出孔59がピストンの軸方向と平行に延びるように形成されているため、冷却油排出孔59からいったん排出された冷却油が、ピストンの下降行程において高速で下降するピストンの冷却油排出孔59で捕捉され易く、前記冷却油の円滑な供給に支障を来すという問題がある。
本発明の目的は、冷却油を循環させるほぼ環状の冷却通路を頭部内に備え、ピストンの軸方向と直交する平面内に位置する主通路を流れる冷却油が、出口開口から円滑に排出されるとともに、冷却油の円滑な供給に支障を来さず、冷却効率を高めることができる内燃機関用ピストンを提供することにある。
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、冷却油を循環させるほぼ環状の冷却通路を頭部内に備えている。前記冷却通路は、ピストンの軸方向と直交する平面上に配置された主通路と、前記主通路よりピストン頭部と反対側に設けられた出口開口とが、ピストンの軸方向と直交する平面及びピストンの軸心を通る平面に対して傾斜するように形成された傾斜部で連結されている。ここで、「ほぼ環状」とは、冷却通路を構成する通路が完全な環状ではなく、環の一部が切れた状態の通路あるいは二つの通路がほぼ環状に配置されたものも含むことを意味する。
この発明では、冷却通路の主通路を流れてピストンを冷却した冷却油は、傾斜部を経て出口開口から排出される。また、傾斜部は、ピストンの軸方向と直交する平面及びピストンの軸心を通る平面に対して傾斜するように形成されているため、冷却油は、ピストンの移動方向と交差する方向に向かって排出される。従って、出口開口からいったん排出された冷却油が、ピストンの下降行程において高速で下降するピストンの出口開口で捕捉され難くなり、冷却油の円滑な供給に支障を来すことが抑制され、冷却効率が高めるられる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記出口開口と、前記冷却通路の入口開口とはそれぞれ出口専用の開口と入口専用の開口である。従って、この発明では、入口開口と出口開口とをそれぞれに適した形状に形成する自由度が増える。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記冷却通路は、入口部から互いに逆方向に冷却油を案内可能に分かれた2系統の通路を備え、各通路の出口側に設けられた前記傾斜部は、ピストンの軸方向と直交する平面に対して互いに逆方向に傾斜するように形成されている。この発明では、冷却油は、2系統に分かれた通路を流れてピストンを冷却した後、出口開口から排出される。従って、冷却通路が1系統の構成に比較して、各通路の長さを短くでき、冷却通路全体として冷却油の抵抗を低くでき、通路の断面積が同じであれば冷却効果が向上する。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記両通路の出口開口は独立して形成され、かつピストンの径方向から見た状態において前記傾斜部がその中間部で交差するように形成されている。この発明では、2系統の通路の出口開口から排出される冷却油は互いに干渉せずに排出される。また、ピストンの径方向から見た状態において両傾斜部がその中間部で交差しない構成に比較して主通路を長く形成することができ、ピストンの冷却機能を高めることが可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記両通路は、前記傾斜部の中心線と直交する断面における面積が、主通路の中心線と直交する断面における断面積と同等で幅が狭く形成されている。この発明では、傾斜部が主通路と同じ幅に形成された場合に比較して、傾斜部における冷却油の流動抵抗を高めずに、主通路の幅を広く確保することができる。従って、同じ径のピストンにおいて、冷却通路の断面積を大きくでき、冷却効果を高めることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記両通路の出口開口は、ピストンの径方向から見た状態において重なる状態で、かつピストンの径方向にオフセットされている。この発明では、2系統の通路の出口開口が接近していても、2系統の通路を経て排出される冷却油が、出口部において互いに干渉するのを回避することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記両通路の出口開口は共通に形成されている。一般に、両通路はピストンを鋳造する際に中子を使用して形成される。両通路の出口開口が独立している構成では、中子は出口側端部が離れた構造となり、入口側端部が連続していない通路の場合は、中子が2個必要となる。また、入口側端部が連続していても中子は出口側端部において環の一部が切れた形状となるため、中子が破損し易くなって取り扱いが難しくなる。しかし、この発明では、出口開口が共通のため、入口側端部が連続していない通路でも1個の中子で形成でき、ピストンを鋳造する際に通路となる部分の中子の取り扱いが簡単になり、入口側端部が連続している通路では中子が環状となるため、破損し難くなって取り扱いがより簡単になる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発明において、前記傾斜部は湾曲するように形成されている。この発明では、傾斜部が直線状に形成される場合に比較して、通路全体の抵抗が小さくなって冷却油がより円滑に排出される。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発明において、前記傾斜部は少なくとも出口端がドリル加工で直線状に形成されている。この発明では、傾斜部全体を主通路と同時に、中子を使用して形成する場合に比較して中子の構造が簡単になる。
請求項10に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載の発明において、前記両通路の出口開口は、各通路の断面積より大きな断面積の空間部に開口されている。この発明では、2系統の通路の出口開口から排出された冷却油が互いにより干渉し難くなる。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の発明において、前記傾斜部は全体的に傾斜している。この発明では、一部に垂直部がある場合に比較して、傾斜部を流れる冷却液の流れが円滑になる。
請求項12に記載の発明は、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の発明において、前記両通路の傾斜部は、その開口側端部に、ピストンの軸方向に平行に延びる直線部を備え、前記直線部は該直線部より上流側の傾斜部の中心線が該直線部の壁面と交差しない長さに形成されている。この発明では、開口側端部に、ピストンの軸方向に平行に延びる直線部が存在するが、その直線部より上流側の傾斜部の中心線が該直線部の壁面と交差しないため、冷却油は出口開口からピストンの軸方向と交差する方向に排出される。従って、出口開口からいったん排出された冷却油が、ピストンの下降行程において高速で下降するピストンの出口開口で捕捉され難くなる。
本発明によれば、冷却油を循環させるほぼ環状の冷却通路を頭部内に備え、ピストンの軸方向と直交する平面内に位置する主通路を流れる冷却油が、出口開口から円滑に排出されるとともに、冷却油の円滑な供給に支障を来さず、冷却効率を高めることができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明をディーゼルエンジンに使用されるピストンに具体化した第1の実施形態を図1及び図2に従って説明する。図1(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(a)のB−B線における模式断面図、図2は内燃機関の模式断面図である。
図2に示すように、ディーゼルエンジンは、複数のシリンダ11a(図2では1個のみ図示)が形成されたシリンダブロック11と、シリンダヘッド12とを備え、各シリンダ11a内にはピストン13が往復動可能に設けられている。シリンダ11a、シリンダヘッド12及びピストン13によって各気筒毎に燃焼室14が形成されている。ピストン13は燃焼室14での吸気・圧縮行程後の燃焼から得られる推進力によってシリンダ11a内を往復運動し、ピストン13の往復運動がコンロッド15を介してクランクシャフト16の回転運動に変換されて出力が得られる。
図1(a)に示すように、ピストン13の上面中央には燃焼室14を構成する凹部(キャビティ)13aが形成されている。なお、図示の都合上、凹部13aは平面図にのみ図示する。図1(b)に示すように、ピストン13の上部外周には、ピストンリング(図示せず)が嵌合される溝17と、オイルリング(図示せず)が嵌合される溝18とが形成されている。ピストン13の頭部内には冷却油を循環させるほぼ環状の冷却通路19が凹部13aより下方位置に設けられている。冷却通路19は、ほぼ円環状に形成されるとともに、入口部20と、入口部20から互いに逆方向に冷却油を案内可能に分かれた2系統の通路として、第1の通路21及び第2の通路22とを備えている。両通路21,22は、ピストンピン23を挟んで入口部20と出口とが反対側に位置するように形成され、両通路21,22は、上側から見た状態において、それぞれ、ほぼ半円弧状に形成されている。
図1(c)に示すように、入口開口を構成する入口部20は、上部が冷却油案内隔壁24により二つの流入口20a,20bに分離されており、各流入口20a,20bが通路21,22に連通している。各流入口20a,20bは、シリンダブロック11に装備されたオイル噴射ノズル25の噴射口25a,25bと対向するように配置されている。即ち、オイル噴射ノズル25から入口部20に噴射された冷却油は、各流入口20a,20bから2系統の通路21,22に供給されるようになっている。
両通路21,22はピストン13の軸方向(図1(b)において上下方向)と直交する平面上に位置する主通路21a,22aを備え、主通路21a,22aと通路の出口開口21c,22cとが、ピストン13の軸方向と直交する平面及びピストン13の軸心を通る平面に対して傾斜するように形成された傾斜部21b,22bで連結されている。即ち、傾斜部21b,22bは、その中心線の延びる方向が、ピストン13の軸方向に対して斜め方向となるように形成されている。また、傾斜部21b,22bは、図1(a)に示すように、ほぼピストン13の円周方向に沿った形状をしており、ピストンの軸心を通る平面に沿った形状にはなっていない。図1(b)に示すように、両通路21,22は、その出口開口21c,22cが独立して形成され、かつ傾斜部21b,22bが互いに逆方向に傾斜するとともに、ピストン13の径方向から見た状態において傾斜部21b,22bがその中間部で交差するように形成されている。傾斜部21b,22bは上側に凸に湾曲するように形成されている。
この実施形態では、出口開口21c,22cと、冷却通路19の入口開口(入口部20)とはそれぞれ出口専用の開口と入口専用の開口として形成されている。また、傾斜部21b,22bは、一部が垂直とならずに全体的に傾斜している。
ピストン13はアルミニウム合金により鋳造されている。各流入口20a,20b及び通路21,22は、ピストン13を鋳造する際にほぼリング状の塩中子を型内に配置して鋳造した後、塩中子を水で溶解して形成される。入口部20の下部は、ピストン13の鋳造後にドリル加工で形成される。
次に前記のように構成されたピストン13の作用を説明する。
ピストン13は、シリンダ11a内を往復移動し、所定位置に配置されたオイル噴射ノズル25の噴射口25a,25bから冷却油26(図1(c)に矢印で図示)が、入口部20へ向けて噴射される。噴射された冷却油26は、冷却油案内隔壁24に案内されて各流入口20a,20bを経て各通路21,22に供給され、2系統の流れとなってピストン13を冷却する。各通路21,22の主通路21a,22aを流れてピストン13を冷却した冷却油26は傾斜部21b,22bを経て出口開口21c,22cから排出される。
各通路21,22は、傾斜部21b,22bが互いに逆方向に傾斜するとともに、ピストン13の径方向から見た状態において傾斜部21b,22bがその中間部で交差するように形成されているため、出口開口21c,22cから排出される冷却油が互いに干渉するのが回避される。従って、出口開口が共通あるいは一部が共通となる構成に比較して、出口開口21c,22cにおける流路抵抗が小さくなり、通路21,22を流れる間にピストン13との熱交換で高温となった冷却油26が円滑に排出され、温度の低い新たな冷却油が通路21,22に供給され易くなり、高い冷却効果を得ることができる。
また、主通路21a,22aと出口開口とがピストン13の軸方向と平行な経路で連結されている構成では、出口開口21c,22cからいったん排出された冷却油が、ピストン13の下降行程において高速で下降するピストン13の出口開口で捕捉されて通路内に入り込み易い。しかし、この実施形態では主通路21a,22aと出口開口とが傾斜部21b,22bで連結(連通)されているため、出口開口21c,22cから排出された冷却油は、ピストン13の移動方向と交差する方向に向かって排出される。従って、出口開口21c,22cからいったん排出された冷却油は、出口開口21c,22cで捕捉され難い。また、主通路21a,22aと出口開口とがピストン13の軸方向と平行な経路で連結されている構成では、冷却油が主通路21a,22aから前記経路へ流入する際の抵抗が大きくなる。しかし、この実施形態では、経路が傾斜部21b,22bで構成されているため、前記抵抗が小さくなり、冷却油26は第1及び第2の通路21,22内を円滑に流れて、出口開口21c,22cから円滑に排出される。
この実施形態では以下の効果を有する。
(1)ほぼ環状の冷却通路19は、入口部20から互いに逆方向に冷却油26を案内可能に分かれた2系統の通路21,22を備えている。両通路21,22はピストン13の軸方向と直交する平面上に位置する主通路21a,22aを備え、主通路21a,22aと通路の出口開口21c,22cとが、ピストン13の軸方向と直交する平面及びピストン13の軸心を通る平面に対して傾斜するように形成された傾斜部21b,22bで連結されている。従って、2系統の通路21,22を経て排出される冷却油26が、出口開口21c,22c付近において互いに干渉するのを回避することができる。また、傾斜部21b,22bの中心線の延びる方向が、ピストン13の軸方向に対して斜め方向となるように形成されているため、出口開口21c,22cから排出された冷却油は、出口開口21c,22cで捕捉され難くなるため、出口部における抵抗が小さくなるとともに、冷却効率を高めることができる。
(2)傾斜部21b,22bは上側に凸に湾曲するように形成されている。従って、傾斜部21b,22bが直線状に形成される場合に比較して、通路21,22全体の抵抗が小さくなって冷却油26がより円滑に排出される。
(3)冷却通路19の入口部20の上部が冷却油案内隔壁24により二つの流入口20a,20bに分離されており、各流入口20a,20bに対応した噴射口25a,25bを備えたオイル噴射ノズル25から噴射された冷却油が各流入口20a,20bを介して各通路21,22に導かれる。従って、入口部20における流路抵抗が小さくなり、冷却油26がより円滑に冷却通路19を流れることができ、冷却効率がより高められる。
(4)両通路21,22は、ピストンピン23を挟んで入口部20と出口とが反対側に位置するように形成されている。従って、入口部20及び出口開口21c,22cの配置にピストンピン23がほとんど影響を与えず、傾斜部21b,22bの配置や湾曲具合等の設計の自由度が高くなる。
(5)冷却通路19の出口開口21c,22cと、入口開口(入口部20)とはそれぞれ出口専用の開口と入口専用の開口である。従って、入口開口(入口部20)と出口開口21c,22cとをそれぞれに適した形状に形成する自由度が増える。
(6)傾斜部21b,22bは全体的に傾斜している。従って、一部に垂直部がある場合に比較して、傾斜部21b,22bを流れる冷却液の流れが円滑になる。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を図3(a),(b)に従って説明する。この実施形態は、冷却通路19の入口側の構成が前記第1の実施形態と異なり、その他の構成は基本的に第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同一部分に関しては同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分について説明する。なお、図3(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のC−C線における模式断面図である。
冷却通路19を構成する第1の通路21及び第2の通路22は、それぞれ互いに完全に独立した通路として構成されている。図3(a)に示すように、各通路21,22の入口部21d,22d及び入口開口21e,22eは、入口開口21eと入口開口22eの中間を通りピストンの径方向に延びる直線に対して対称な位置に設けられている。入口開口21e,22eは、シリンダブロック11に装備されたオイル噴射ノズル25の噴射口25a,25bと対向するように配置されている。即ち、オイル噴射ノズル25から噴射された冷却油は、各入口開口21e,22eから入口部21d,22dを経て2系統の通路21,22の主通路21a,22aに供給されるようになっている。両通路21,22が完全に独立しているため、ピストン13を鋳造で製造する際、第1の通路21用及び第2の通路22用として2個の塩中子が必要となる。
この実施形態においては、前記第1の実施形態の効果(1)〜(6)と同様な効果が得られる他に、次の効果が得られる。
(7)第1及び第2の通路21,22が完全に独立した2系統の通路となっているため、両通路21,22を流れる冷却油26相互の流れの干渉は全く無く、流路抵抗がより小さくなり、更に高い冷却効果が得られる。
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態を図4(a),(b)に従って説明する。この実施形態は、冷却通路19を構成する第1及び第2の通路21,22の傾斜部21b,22bがピストンピン23を中心としてほぼ対称となるように配置されている点が、前記両実施形態と大きく異なっている。入口部の構成は配置を除いて第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同一部分に関しては同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分について説明する。なお、図4(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のD−D線における模式断面図である。
図4(a)に示すように、第1及び第2の通路21,22の入口部20は、ピストンピン23の一端側でピストンピン23に近い位置に形成されている。入口部20は、図1(c)に示されたものと同様に、上部が冷却油案内隔壁24により二つの流入口20a,20bに分離されており、各流入口20a,20bが各通路21,22の主通路21a,22aに連通している。両通路21,22は入口部20から分岐し、第1の通路21は平面視ほぼ半円弧状に形成され、第2の通路22は第1の通路21より長く、即ち平面視ほぼ半円弧状より長く形成されている。そして、図4(b)に示すように、各通路21,22の傾斜部21b,22bは、ピストンピン23の周面とほぼ一定の間隔をもって沿うように延びるとともにピンボス部27に出口開口21c,22cが形成されている。
この実施形態の構成では、第1の実施形態の効果(1)〜(3),(5),(6)と同様な効果が得られる他に、次の効果が得られる。
(8)各通路21,22の傾斜部21b,22bがピンボス部27において、ピストンピン23の周面に沿って延びるように形成されているため、ピンボス部27の冷却にも寄与し、ピストン13のより高い冷却効果が得られる。
(第4の実施形態)
次に第4の実施形態を図5(a),(b)に従って説明する。この実施形態は、冷却通路19の入口側の構成が前記第3の実施形態と異なり、その他の構成は基本的に第3の実施形態と同じである。第3の実施形態と同一部分に関しては同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分について説明する。なお、図5(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のE−E線における模式断面図である。
前記第3の実施形態では冷却通路19を構成する第1の通路21及び第2の通路22の長さが異なるように形成されているが、この実施の形態では両通路21,22の長さを同等とするため、各通路21,22の入口部21d,22dがピストンピン23を中心としてほぼ対称となるように配置されている。図5(b)に示すように、各入口部21d,22dは、ピンボス部27においてピストンピン23の周面に沿って延びるように形成されている。入口開口21e,22eは、シリンダブロック11に装備されたオイル噴射ノズル25(図示せず)の噴射口25a,25bと対向するように配置されている。両通路21,22が完全に独立しているため、ピストン13を鋳造で製造する際、第1の通路21用及び第2の通路22用として2個の塩中子が必要となる。
この実施形態においては、第1の実施形態の効果(1),(2),(5),(6)、第2の実施形態の効果(7)と同様な効果が得られる他に、次の効果が得られる。
(9)各通路21,22の傾斜部21b,22b及び入口部21d,22dがピンボス部27において、ピストンピン23の周面に沿って延びるように形成されているため、ピンボス部27の冷却にも寄与し、ピストン13のより高い冷却効果が得られる。
(10)各通路21,22の長さが同じため、冷却油26による冷却効果が均等になる。
(第5の実施形態)
次に第5の実施形態を図6(a),(b)に従って説明する。この実施形態は、冷却通路19の出口側の構成が第1の実施形態と異なり、その他の構成は基本的に第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同一部分に関しては同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分について説明する。なお、図6(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のF−F線における模式断面図である。
この実施形態では第1及び第2の通路21,22の出口側の傾斜部21b,22bの断面積、即ち傾斜部21b,22bの中心線と直交する断面における断面積が主通路21a,22aの断面積と同等で、幅が狭く形成されている点が第1の実施形態と大きく異なっている。図6(a)に示すように、両通路21,22は上側から見た状態において、それぞれ、ほぼ半円弧状に形成されている。各通路21,22は、出口側である傾斜部21b,22bの幅が主通路21a,22aの幅より狭くなるように形成されている。そして、断面積を主通路21a,22aの断面積と同じとするため、図6(b)に示すように、傾斜部21b,22bは、その幅方向と直交する方向(図6(b)において上下方向)の長さが主通路21a,22aより大きく形成されている。
この実施形態においては、第1の実施形態の効果(1)〜(6)と同様な効果が得られる他に、次の効果が得られる。
(11)第1及び第2の通路21,22の出口側、即ち傾斜部21b,22bの前記断面積が主通路21a,22aの断面積と同等で、幅が狭く形成されている。従って、傾斜部21b,22bが主通路21a,22aと同じ幅に形成された場合に比較して、第1及び第2の通路21,22の主通路21a,22aの幅を広く確保することができ、同じ径のピストン13において、冷却通路19の断面積を大きくでき、冷却効果を高めることができる。
また、冷却通路19のためにピストンの径方向に広いスペースをとれない構造のピストンであっても、このように冷却通路の幅を狭くすることで、傾斜部を交差させる構造を用いることができる。
(第6の実施形態)
次に第6の実施形態を図7(a),(b)に従って説明する。この実施形態は、冷却通路19を構成する第1及び第2の通路21,22が、出口部で合流する点が前記第1〜第5の実施形態と大きく異なっている。出口部以外の構成は基本的に第1の実施形態と同じであり、第1の実施形態と同一部分に関しては同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分について説明する。なお、図7(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のG−G線における模式断面図である。
両通路21,22は、傾斜部21b,22bがピストン13の軸方向と直交する平面及びピストン13の軸心を通る平面に対して互いに逆方向に傾斜するように形成されて出口部で合流するとともに、各通路21,22の出口開口21c,22cがピストン13の径方向にオフセットされるように形成されている。両傾斜部21b,22bの出口側端部は径方向において連通されている。即ち、両出口開口21c,22cは一つの大きな出口を構成している。
各通路21,22の出口開口21c,22cは一つの大きな出口を構成しているが、各出口開口21c,22cがピストン13の径方向にオフセットされているため、2系統の通路21,22を経て排出される冷却油26が、出口部において互いに干渉するのが回避される。従って、流路抵抗が小さくなり、通路21,22を流れる間にピストン13との熱交換で高温となった冷却油26が円滑に排出され、高い冷却効果を得ることができる。
この実施形態においては、第1の実施形態の効果(1)〜(3),(5),(6)と同様な効果が得られる他に、次の効果が得られる。
(12)両通路21,22の出口側端部は径方向において連通されている。両通路21,22はピストン13を鋳造する際に中子を使用して形成されるため、両出口側端部が径方向において連通されていない構成では、中子は出口側端部が離れた構造となる。そのため、入口側端部が連続していない通路の場合は、中子が2個必要となる。また、入口側端部が連続していても中子は出口側端部において環の一部が切れた形状となるため、中子が破損し易くなって取り扱いが難しくなる。しかし、この実施形態では、入口側端部が連続していない第1及び第2の通路21,22でも1個の中子で形成でき、ピストン13を鋳造する際に通路21,22となる部分の中子の取り扱いが簡単になり、入口側端部が連続している通路21,22では中子が環状となるため、破損し難くなって取り扱いがより簡単になる。
(第7の実施形態)
次に第7の実施形態を図8(a),(b)に従って説明する。この実施形態は、冷却通路19を構成する第1及び第2の通路21,22の出口開口21c,22cが一致するように構成されている点が前記第6の実施形態と異なっており、その他の構成は基本的に第6の実施形態と同じである。第6の実施形態と同一部分に関しては同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分について説明する。なお、図8(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のH−H線における模式断面図である。
両通路21,22は、傾斜部21b,22bがピストン13の軸方向と直交する平面及びピストン13の軸心を通る平面に対して互いに逆方向に傾斜するように形成されるとともに、出口部で合流するように形成されている。各通路21,22は、両傾斜部21b,22bの出口開口寄り部分が一平面上に存在し、その中心線が出口部の開口で交差するように形成され、出口開口21c,22cが一致している。
この実施形態では各通路21,22の出口開口21c,22cが一致しているため、前記第6の実施形態に比較して、両通路21,22の出口部における冷却油26の干渉が多少あるが、両傾斜部21b,22bの中心線は出口開口より流れの上流側で交差しないため、抵抗は小さい。
この実施形態においては、前記第6の実施形態とほぼ同様の効果が得られる他に、次の効果が得られる。
(13)両傾斜部21b,22bの出口開口寄り部分が一平面上に存在するため、各通路21,22の出口開口21c,22cがピストン13の径方向にオフセットされている構成に比較して、両通路21,22の主通路21a,22aの幅を広く確保することができる。
(第8の実施形態)
次に第8の実施形態を図9(a),(b)に従って説明する。この実施形態は、冷却通路19が1本の通路29で構成されている点が前記第1〜第7の実施形態と大きく異なっている。前記第1の実施形態と同一部分に関しては同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分について説明する。なお、図9(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のI−I線における模式断面図である。
図9(a)に示すように、冷却通路19は、入口部20及びほぼ円環状の通路29で構成されている。そして、通路29の入口部20付近と、出口付近はピストン13の径方向から見た状態で一部が重なるように配置されている。図9(b)に示すように、入口部20は、開口端側からピストン13の軸方向と平行に延びる直線部20cを有し、ピストン13の軸方向と直交する平面上に位置する主通路29aに対して湾曲部を介して直線部20cが接続されている。主通路29aと通路29の出口開口29cとが、ピストン13の軸方向と直交する平面及びピストン13の軸心を通る平面に対して傾斜するように形成された傾斜部29bで連結されている。傾斜部29bは、その中心線の延びる方向が、ピストン13の軸方向に対して斜め方向となるとともに、上側に凸に湾曲するように形成されている。
この実施形態のピストン13を使用する場合、オイル噴射ノズル25は噴射口が1個のものが使用される。そして、オイル噴射ノズル25から入口部20に噴射された冷却油は通路29に沿ってほぼ一周してピストン13を冷却した後、傾斜部29bを経て出口開口29cから排出される。
この実施形態においては次の効果が得られる。
(14)冷却通路19は1系統の通路29で構成されているため、2系統の通路を備える場合と異なり、出口開口29cから排出される冷却油の干渉や、2系統の通路が径方向に重なる際の通路の配置を考慮する必要がない。
(15)傾斜部29bの中心線の延びる方向が、ピストン13の軸方向に対して斜め方向となるように形成されているため、出口開口29cから排出された冷却油は、出口開口29cで捕捉され難くなるため、出口部における抵抗が小さくなるとともに、冷却効率を高めることができる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
○ 両通路21,22の傾斜部21b,22bは、その出口開口21c,22c側端部に、ピストン13の軸方向に平行に延びる直線部を備えていてもよい。例えば、第1及び第2の実施形態においては、両通路21,22の傾斜部21b,22bの出口開口21c,22c側端部まで傾斜部が延びていたが、図10(a)に示すように、両通路21,22の傾斜部21b,22bの出口開口21c,22c側端部に直線部21f,22fを設ける。直線部21f,22fの長さは、該直線部21f,22fより上流側の傾斜部21b,22bの中心線が該直線部21f,22fの壁面と交差しない長さに形成されている。この場合も、対応する各実施形態と同様な効果が得られる。この構成は、通路が1系統の第8の実施形態に適用してもよい。
○ 傾斜部21b,22bは、上側に凸の湾曲形状に限らず、例えば、図10(b)に示すように、傾斜部21b,22bの全体を直線状に形成してもよい。また、傾斜部は、円弧の角度あるいは傾きが一定になっていることに限定されず、湾曲形状と直線形状が連続する形状にしたり、直線状部が途中で屈曲する形状にしたりしてもよい。この構成は、傾斜部21b,22bがピストン13の径方向から見た状態で、途中で交差する第1〜第5の実施形態に限らず、第6及び第7の実施形態の構成に適用してもよい。傾斜部21b,22bの全体が直線状に形成された場合、あるいは出口開口21c,22c側が直線状に形成された場合、直線状部分をドリル加工で形成すれば、通路21,22全体を中子を使用して形成するのに比較して製造が容易になる。この構成は、通路が1系統の第8の実施形態に適用してもよい。
○ 第1〜第5の実施形態において、前記2系統の通路21,22は、傾斜部21b,22bがピストン13の径方向から見た状態で、交差する箇所において連通されるように形成されていてもよい。例えば、図11(a),(b)に示すように、第1及び第2の実施形態において、両傾斜部21b,22bを、その対向する側面が同一平面上となるように形成し、交差部において連通されるように形成する。両傾斜部21b,22bは交差部が径方向において連通されている。しかし、両傾斜部21b,22b内を流れる冷却油26は、連通部においても連通部と平行に移動するため、流れの抵抗を増加させることはほとんどない。
両通路21,22はピストン13を鋳造する際に中子を使用して形成されるため、両傾斜部21b,22bが径方向において連通されていない構成では、中子は傾斜部21b,22bが離れた構造となる。そのため、入口側端部が連続していない通路の場合は、中子が2個必要となる。また、入口側端部が連続していても中子は出口側において環の一部が切れた形状となるため、中子が破損し易くなって取り扱いが難しくなる。しかし、この実施形態では、入口側端部が連続していない通路21,22でも1個の中子で形成でき、ピストン13を鋳造する際に通路21,22となる部分の中子の取り扱いが簡単になり、入口側端部が連続している通路21,22では中子が環状となるため、破損し難くなって取り扱いがより簡単になる。なお、傾斜部21b,22bを、その対向する側面が同一平面上となるように形成せずに、両傾斜部21b,22bをその交差部において連通されるように形成してもよい。
○ 第6及び第7の実施形態のように、両通路21,22が、出口部で合流する構成の傾斜部21b,22bを備える構成において、両通路21,22の出口開口21c,22cが、各通路21,22の断面積より大きな断面積の空間部に開口された構成としてもよい。例えば、両傾斜部21b,22bの出口開口21c,22cがピストン13の径方向にずれない状態に形成される第7の実施形態と同様な構成において、ピストン13の頭部が肉厚の場合、図12(a),(b)に示すように、両傾斜部21b,22bを頭部の肉厚の途中まで形成された構成とする。そして、両通路21,22の両出口開口21c,22cと対向する位置に両通路21,22の断面積の合計面積以上の断面積の空間部28が形成され、両傾斜部21b,22bの中心線が空間部28内で交差するように傾斜部21b,22bを設けてもよい。また、第6の実施形態のように、両傾斜部21b,22bの出口開口21c,22cがピストン13の径方向にずれた状態に形成された構成で、ピストン13の頭部が肉厚の場合、図13(a)に示すように、両傾斜部21b,22bの出口開口21c,22cと対応する箇所に空間部28を形成してもよい。これらの構成では、第6及び第7の実施形態と同様な効果が得られる。なお、空間部28をドリル加工で形成すれば、中子を使用する場合に比較して形成が簡単になる。
○ 図13(b)に示すように、空間部28を円錐台形状として、傾斜部21b,22bの中心線だけでなく傾斜部21b,22b全体の延長部が空間部28の壁面と交差しないようにしてもよい。空間部28はテーパ状のドリルで容易に加工することができる。この場合、冷却油26がより排出され易くなる。
○ 傾斜部21b,22b,29bは、断面積が一定に限らず、出口開口21c,22c,29c側に向かって次第に大きくなるように形成したり、複数段階(例えば、2段階)で断面積が増加するように形成してもよい。傾斜部21b,22b,29bをドリル加工で形成する場合、テーパ状のドリルを使用したり、径の異なるドリルを使用して複数段階でドリル加工する。この場合、冷却油26がより排出され易くなる。
○ 通路21,22,29を鋳造で製造するための中子は塩中子に限らず、砂や他の粒子で形成された中子を使用してもよい。
○ 通路21,22,29の断面形状は、角部の面取りされた矩形状に限らず円形、楕円形等に適宜変更してもよい。
○ 傾斜部の断面形状は、円形に限らず、角部の面取りされた矩形状、楕円形等に適宜変更してもよい。
○ ディーゼルエンジン用のピストンに限らず、ガソリンエンジン等他の内燃機関用のピストンに適用してもよい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項3〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記2系統の通路は、傾斜部が一部で連通されている。
(2)請求項3〜請求項5及び前記技術的思想(1)のいずれか一項に記載の発明において、前記2系統の通路は、入口が独立して形成されている。
(3)請求項4に記載の発明において、前記両通路の出口開口は、ピンボス部のピンを挟んで異なる側にそれぞれ開口されている。
(4)請求項1〜請求項12及び前記技術的思想(1)〜(3)のいずれか一項に記載の発明において、前記傾斜部はその中心線がピストンの軸方向に対して斜め方向となるように形成されている。
第1の実施形態を示し、(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(a)のB−B線における部分拡大模式断面図。 内燃機関の模式断面図。 第2の実施形態を示し、(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のC−C線における部分拡大模式断面図。 第3の実施形態を示し、(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のD−D線断面図。 第4の実施形態を示し、(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のE−E線断面図。 第5の実施形態を示し、(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のF−F線断面図。 第6の実施形態を示し、(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のG−G線断面図。 第7の実施形態を示し、(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のH−H線断面図。 第8の実施形態を示し、(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のI−I線断面図。 (a),(b)はそれぞれ別の実施形態のピストンの模式断面図。 別の実施形態を示し、(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のJ−J線断面図。 別の実施形態を示し、(a)はピストンの平面図、(b)は(a)のK−K線断面図。 (a),(b)は別の実施形態のピストンの模式断面図。 (a),(b),(c)はそれぞれ従来技術における通路の出口部の断面図。 別の従来技術の模式斜視図。
符号の説明
13…ピストン、19…冷却通路、20,21d,22d…入口部、20c,21f,22f…直線部、21,22,29…通路、21a,22a,29a…主通路、21b,22b,29b…傾斜部、21c,22c,29c…出口開口、21e,22e…入口開口、26…冷却油、28…空間部。

Claims (12)

  1. 冷却油を循環させるほぼ環状の冷却通路を頭部内に備えた内燃機関用ピストンであって、前記冷却通路は、ピストンの軸方向と直交する平面上に配置された主通路と、前記主通路よりピストン頭部と反対側に設けられた出口開口とが、ピストンの軸方向と直交する平面及びピストンの軸心を通る平面に対して傾斜するように形成された傾斜部で連結されている内燃機関用ピストン。
  2. 前記出口開口と、前記冷却通路の入口開口とはそれぞれ出口専用の開口と入口専用の開口である請求項1に記載の内燃機関用ピストン。
  3. 前記冷却通路は、入口部から互いに逆方向に冷却油を案内可能に分かれた2系統の通路を備え、各通路の出口側に設けられた前記傾斜部は、ピストンの軸方向と直交する平面に対して互いに逆方向に傾斜するように形成されている請求項1又は請求項2に記載の内燃機関用ピストン。
  4. 前記両通路の出口開口は独立して形成され、かつピストンの径方向から見た状態において前記傾斜部がその中間部で交差するように形成されている請求項3に記載の内燃機関用ピストン。
  5. 前記両通路は、前記傾斜部の中心線と直交する断面における面積が、主通路の中心線と直交する断面における断面積と同等で幅が狭く形成されている請求項4に記載の内燃機関用ピストン。
  6. 前記両通路の出口開口は、ピストンの径方向から見た状態において重なる状態で、かつピストンの径方向にオフセットされている請求項3に記載の内燃機関用ピストン。
  7. 前記両通路の出口開口は共通に形成されている請求項3に記載の内燃機関用ピストン。
  8. 前記傾斜部は湾曲するように形成されている請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の内燃機関用ピストン。
  9. 前記傾斜部は少なくとも出口端がドリル加工で直線状に形成されている請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の内燃機関用ピストン。
  10. 前記両通路の出口開口は、各通路の断面積より大きな断面積の空間部に開口されている請求項6又は請求項7に記載の内燃機関用ピストン。
  11. 前記傾斜部は全体的に傾斜している請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の内燃機関用ピストン。
  12. 前記両通路の傾斜部は、その開口側端部に、ピストンの軸方向に平行に延びる直線部を備え、前記直線部は該直線部より上流側の傾斜部の中心線が該直線部の壁面と交差しない長さに形成されている請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の内燃機関用ピストン。
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