JP2006090142A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 最進角位置にてハウジングとベーンロータにおけるコイルスプリングの当接面を略平行とすることで、組み付け性を向上させ、コストを低減した内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供する。
【解決手段】 遅角油室及び/または進角油室のそれぞれ1つの油室に複数設けられたコイルスプリングと、ベーン及びシューの周方向側面側にコイルスプリングを保持可能に設けられ、少なくともシュー側が回転軸方向少なくとも一端側に開口して形成されたコイルスプリング保持部と、を有し、ベーン側のコイルスプリング保持部とハウジング側のコイルスプリング保持部におけるコイルスプリングの当接面は、ハウジングに対してベーンロータが最進角位置にて略平行となるように構成した。
【選択図】 図5

Description

本発明は、内燃機関のバルブタイミング制御装置に関し、特にハウジングとベーンロータにより隔成された遅角・進角油室内に設けられたコイルスプリングに関する。
従来、バルブタイミング制御装置においては、エンジン停止時にはバルブタイミングをエンジン再始動可能な位相とするため、スプリングを作動室である進角/遅角油室内に設けてベーンロータをロックピン嵌合位置まで付勢することで、エンジン再始動に適した位置とするものがある。また、この技術にあっては、スプリングはハウジング及びベーンに設けた凹部内に配置されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
特表2002−541380号公報
しかしながら上記従来技術にあっては、スプリング長が最小となる最遅角位置においてハウジング及びベーンのスプリング保持面が平行となり、コイルスプリングの軸線が一直線となる。一方、スプリング長が最大となる最進角位置においてはハウジング及びベーンのスプリング保持面は平行とならない。したがって最遅角位置以外では、ハウジング及びベーンロータの曲率によりコイルスプリングの軸線は曲がった状態で保持されることとなる。そのため最遅角位置以外の状態で組み付けを行う場合は、スプリングの軸線を曲げた状態で組み付けなければならないという問題がある。また、最遅角位置で組み付けを行う場合、スプリングは平行ではあるが最も縮小させなければならないため、組み付け性が悪く、工数の増加によるコストアップという問題があった。
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、組み付け性を向上させ、コストを低減した内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明では、内燃機関のクランクシャフトから回転が伝達される回転伝達部材と、前記回転伝達部材もしくはカムシャフトの一方に固定され、少なくとも軸方向一端側に開口を有するハウジング本体と、このハウジング本体の開口を封止する少なくとも1枚のプレートとによって構成されるハウジングと、前記ハウジング本体の内周側に突出するように形成されることにより作動室が隔成されるシューと、前記回転伝達部材もしくはカムシャフトの他方に固定され、径方向に突出するベーンを有するとともに前記ハウジング内に配置されるベーンロータと、前記作動室を前記ベーンロータによって隔成することで形成される遅角油室と進角油室と、前記遅角油室と進角油室への油の供給及び排出を行う流体給排手段と、前記遅角油室及び/または前記進角油室内に配置され、前記ベーンと前記シューが互いに離れる方向に付勢力を作用させるように、前記遅角油室及び/または前記進角油室のそれぞれ1つの油室に複数設けられたコイルスプリングと、前記ベーン及び前記シューの周方向側面側に前記コイルスプリングを保持可能に設けられ、少なくとも前記シュー側が回転軸方向少なくとも一端側に開口して形成されたコイルスプリング保持部と、を有し、前記ベーン側のコイルスプリング保持部と前記ハウジング側のコイルスプリング保持部における前記コイルスプリングの当接面は、前記ハウジングに対して前記ベーンロータが最進角位置にて略平行となるように構成した。
よって、最進角位置にてハウジングとベーンロータにおけるコイルスプリングの当接面を略平行とすることで、組み付け性を向上させ、コストを低減した内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供できる。
以下、本発明の内燃機関のバルブタイミング制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
[バルブタイミング制御装置の概略]
実施例1につき図1ないし図6に基づき説明する。図1は、エンジン始動時におけるバルブタイミング制御装置1(以下、VTC1と記載する。)の軸方向断面図及び制御構成を示す図である。図1におけるx軸は、カムシャフト2と平行とする。VTC1はエンジンと接続するカムシャフト2のx軸負方向端部に設けられ、チェーンを介してクランクシャフトから回転が伝達される。
VTC1はハウジング10とベーンロータ20を有する。ベーンロータ20は、カムシャフト2に対しカムボルト3により一体的に固定され、ハウジング10内に設けられてハウジング10の回転軸に対し相対回転自在に収容されている。また、ハウジング10のx軸正方向側にはスプロケット30が隣接して設けられ、巻装されたチェーンによりクランクシャフトの回転が伝達される。
ベーンロータ20とハウジング10の間には複数の油室が隔成され、シール40により液密とされている。また、このシール40は内径方向からシールスプリング41により外径方向に付勢されて液密性を確保する。これにより液密とされた油室にオイルポンプ4から供給される作動油を導入し、作動油を介してベーンロータ20とハウジング10との間の回転伝達を行う。
その際、作動油の給排を調整して油室容積を変更することにより、ベーンロータ20とハウジング10を相対回転可能に設けている。すなわち、ベーンロータ20に対してハウジング10が相対回転された状態で両者間の回転力伝達が行われることにより、クランクシャフトの回転に対するカムシャフト2の回転位相を変更する。
また、エンジン停止時にはバルブタイミングをエンジン再始動可能な位相とするため、ベーンロータ20内にはロックピン21が設けられている。エンジン停止時にはこのロックピン21をハウジング10のスリーブ11に嵌め込むことで、ベーンロータ20とハウジング10の相対回転を規制し、バルブタイミングをエンジン再始動に適した位相とする。
このロックピン21はリテーナ22に保持されたスプリング23によってx軸正方向に付勢されており、供給された作動油が作用することによってスプリング力に抗して係合を解除するよう構成される。ベーンロータ20は他のスプリングによって周方向に付勢されているため、エンジンが停止して作動油圧が解消するとベーンロータ20は付勢力に従って径方向に移動し、ハウジング10とベーンロータ20の相対回転によってロックピン21がスリーブ11に対応する位置に達するとスリーブ11に嵌め込まれる構成となっている。
このように、エンジン再始動に最適な位置にスリーブ11を設けることで、エンジン停止に伴ってロックピン21はスリーブ11に嵌め込まれ、バルブタイミングの位相をエンジン再始動に好適な位相としている。また、油圧が発生しない状態であってもハウジング10とベーンロータ20とを保持状態とし、吸気及び排気バルブに設けられたバルブスプリングとカムの作用により発生する交番トルクに伴って生じるベーンロータ20のばたつきを防止する。
オイルポンプ4とVTC1の間には油圧制御アクチュエータ5が設けられ、ベーンロータ20とハウジング10の間に隔成された油室に給排される作動油圧を制御する。油圧制御アクチュエータ5は、エンジンの作動状態、すなわち水温センサ、クランク角センサ、スロットル開度センサにより検出されるエンジンの温度、エンジン回転数、エンジン負荷等をコントローラ6に入力し、算出された指令信号に応じて駆動され、ベーンロータ20内部に設けられた油圧供給ブロック7を介して作動油の給排を行う。コントローラ6からの指令信号に基づき油圧制御アクチュエータ5が駆動され、複数の油室に作動油が選択的に給排される。
油圧供給ブロック7内には、油圧制御アクチュエータ5から供給される油圧を進角油室500及び遅角油室600に連通する進角油路72及び遅角油路71が形成されている。油圧供給ブロック7を用いることで、カムシャフト2側に軸心油路等を構成する必要が無く、カムシャフト2の加工工数を低減することができるが特に限定しない。
本願実施例において、VTC1は吸気カムシャフトもしくは排気カムシャフトのいずれか一方または両方に設けられていればよく、特に限定しない。また、クランクシャフトの回転がチェーンにより直接両方のカムシャフトに伝達される構成としてもよく、一方のカムシャフトに伝達された後、別途回転伝達部材によって他方のカムシャフトに回転が伝達される構成でもよく、特に限定しない。
[バルブタイミング制御装置の構成]
図2は、VTC1の分解斜視図である。上述のようにVTC1はハウジング10、ベーンロータ20、及びスプロケット30を有する。ベーンロータ20は外周部において略等間隔に設けられた第1、第2ベーン210,220を有し、第1ベーン210は3枚、第2ベーン220は1枚設けられている。第2ベーン220は第1ベーン210よりも周方向幅を大きく設けられており、この第2ベーン220にはx軸方向貫通孔が設けられてロックピン21を軸方向摺動可能に収装する。また、第1、第2ベーン210,220の外径面にはシール40が設けられてハウジング10の内周面と液密に摺接する。
ハウジング10は内周面において径方向内側に突出するシュー110を有し、このシュー110の内径面にはシール50が設けられてベーンロータ20のロータ部230と液密に摺接する。これにより、シュー110と第1、第2ベーン210,220により複数(8
つ)の油室が液密に隔成される。
また、図中x軸を回転軸として反時計回りの回転を正とすれば、第1、第2ベーン210,220とシュー110により隔成される油室のうち、回転正方向をシュー110に、回転負方向を第1または第2ベーン210,220により隔成される4つの油室にはスプリングユニット300が設けられている。本願実施例ではこのスプリングユニット300が設けられている油室を進角油室500、スプリングユニット300が設けられていない油室を遅角油室600と定義する(図3参照)。なお、スプリングユニット300を遅角油室600に設けてもよく特に限定しない。
スプリングユニット300は2つの第1、第2コイルスプリング310,320及びホルダ部材330から形成され、第1、第2コイルスプリング310,320は同一の付勢力に設けられている。また、シュー110及び第1、第2ベーン210,220の進角油室側側面111及び211,221にはそれぞれx軸方向に凹形状の溝112,212,222が設けられ、ホルダ部材330の径方向移動を規制する。
第1、第2コイルスプリング310,320はそれぞれ両端においてホルダ部材330と嵌合して保持され、スプリングユニット300を形成している。ユニット化することで組み付けを容易なものとする。本願実施例1においては、第1、第2コイルスプリング310,320は同径同長とされ、互いに巻線方向が逆向きとなるよう設けられている。
このホルダ部材330は金属薄板をプレス加工することで形成される長方形状部材であり、短辺は曲げ加工により内側に曲げられている。また、円筒状かつ同一方向に垂直に突出する突出部331(図3,4参照)が2つ設けられ、この突出部331は第1、第2コイルスプリング310,320を嵌合可能な径に設けられている。
突出部331を第1、第2コイルスプリング310,320の両端と嵌合させることで第1、第2コイルスプリング310,320をそれぞれホルダ部材330に対し垂直に嵌合させる。この突出部331により各コイルスプリングの傾きを極力防止し、圧縮した際にコイルスプリング同士が接触することを極力回避して耐久性を向上させた構成となっている。
また、第1、第2コイルスプリング310,320は同径であり、かつ互いに巻線方向が逆巻きに設けられているため、伸縮時における第1、第2コイルスプリング310,320同士の絡み合うことがない。なお、ホルダ部材330は金型成型であってもよく、さらに樹脂により形成されることとしてもよく特に限定しない。
組み付け時にはスプリングユニット300を進角油室500にx軸負方向から挿入し、ホルダ部材330を各溝112,212,222に係合させて組み付けを行う。すなわち、1つの進角油室500に2つの第1、第2コイルスプリング310,320が設けられることとなる。
また、この第1、第2コイルスプリング310,320は、VTC1の回転方向に対し並列、かつx軸に対し対称に設けられる。したがって、スプリングユニット300の付勢力はVTC1の回転方向に作用する。なお、本願実施例では1つのスプリングユニット300に設けられるコイルスプリングは2つであるが、1つまたは3つ以上であってもよく特に限定しない。
第2ベーン220にはx軸方向貫通孔224が設けられ、ロックピン21をx軸方向摺動可能に収装する。ロックピン21には、スプリング23及びリテーナ22が嵌め込まれてx軸正方向に付勢される。さらに、スプロケット30にはスリーブ11をx軸正方向に規制するスリーブ係止部31が設けられ、スリーブ11はスリーブ係止部31においてスプロケット30と当接して係止される。
組みつけの際には、まずハウジング10にベーンロータ20を挿入し、ロックピン21をx軸方向貫通孔224に挿入し、スプリング23、リテーナ22をロックピン21に挿入する。次に4つの進角油室500にスプリングユニット300をそれぞれ係合させ、x軸正方向からスプロケット30をハウジング10に当接させる。その際、スリーブ11及びスリーブ係止部31がx軸方向貫通孔224と同軸上となるよう当接させる。そして、ハウジング10のx軸負方向からフロントプレート60を当接させ、ボルト61により締結し、各部材を一体とする。
[VTC径方向断面]
図3はVTC1の最進角位置における径方向断面図、図4は最遅角位置における径方向断面図である。上述のように各進角油室500にはスプリングユニット300が設けられ、ベーンロータ20を負方向回転側に付勢している。
図3においてはVTC1は最進角位置であり、進角及び遅角油室500,600に油圧が作用していない、または進角油室500の作動油圧とスプリングユニット300の付勢力の和が遅角油室600の作動油圧よりも大きい状態である。この進角位置においては、ハウジング10は正回転方向に付勢され、ベーンロータ20は負回転方向に付勢されるため進角油室500の容積は最大となり、遅角油室600の容積は最小となってVTC1は最進角位置となる。
また、図3に示すように、最進角位置においてハウジング進角側油室側面111に設けられた溝112の溝底面114と、ベーンロータ20の第1、第2ベーン進角油室側側面211,221に設けられた溝212,222の溝底面214,224は略平行となるよう設けられている。これにより、スプリングユニット300の両端に設けられたホルダ部材330は互いに平行となり、第1、第2コイルスプリング310,320は最進角位置において軸線が直線かつ最も伸びた状態となる。
図4においてはVTC1は最遅角位置であり、遅角油室600の作動油圧が進角油室500の作動油圧とスプリングユニット300の付勢力の和よりも大きい状態である。この遅角位置においては、ハウジング10は負回転方向に付勢され、ベーンロータ20は正回転方向に付勢されるため遅角油室600の容積は最大となり、進角油室500の容積は最小となってVTC1は最遅角位置となる。
最進角位置においてハウジング10の進角油室側側面111と第1、第2ベーン210、220の進角油室側側面211,221は略平行である。そのため、最進角位置からハウジング10とベーンロータ20が相対回転した場合、ハウジング10の溝底面114と第1、第2ベーン210,220の溝底面214,224は内径側が大きく開口する。したがって、ホルダ部材330は内径方向を下としてハの字形となり、第1、第2コイルスプリング310,320の軸線は内径方向に屈曲することとなる。図4に示すように最遅角位置において最も内径方向に屈曲する。
このときハウジング10及び第1、第2ベーン210,220に設けられた溝112,212,222は凹形状であり、この溝112,212,222をスプリングユニット300の保持部として用いる。これにより、スプリングユニット300の保持部が進角油室500内に突出することを防止し、ハウジング10に対するベーンロータ20の相対回転角(変換角)を大きくとることができる構成となっている。
[第2ベーン付近の詳細]
(最進角位置)
図5は、最進角位置における第2ベーン220付近の詳細断面図である。上述のように、最進角位置においてはハウジング10及び第2ベーン210の各進角油室側側面111,221は略平行に設けられ、これに伴ってホルダ部材330も互いに平行となるため、スプリングユニット300の第1、第2コイルスプリング310,320の軸線が直線かつ最も伸びた状態となる。
この最進角位置で組み付けを行うこととすれば、第1、第2コイルスプリング310,320の軸線が直線かつ最も伸びた状態で組み付けを行うことで、第1、第2コイルスプリング310,320を縮小させることなく容易な組み付けを達成可能な構成となっている。
(最遅角位置)
図6は、最遅角位置における第2ベーン220付近の詳細断面図である。上述のように、最進角位置からハウジング10とベーンロータ20が相対回転した場合、溝底面114,224は互いに内径側が大きく開口する。したがって、ホルダ部材330は内径方向を下としてハの字形となり、第1、第2コイルスプリング310,320の軸線は内径方向に屈曲して最遅角位置において最も内径方向に屈曲する。
図5に示すように、最進角位置においてハウジング10の溝112と第2ベーン220の溝222は、第1、第2コイルスプリング310,320の軸方向に対し同一位置となるよう設けられている。すなわち、スプリングユニット300の両端に設けられたホルダ部材330が、互いに第1、第2コイルスプリング310,320の軸方向に対し同一位置となるよう設けられる。
これにより、最進角位置において第1、第2コイルスプリング310,320はホルダ部材330及び溝底面114,224に対し垂直となり、最進角位置で組み付けを行う場合に第1、第2コイルスプリング310,320を縮小させることなく組み付けを行うことを可能とし、組みつけの容易性を向上させる構成となっている。
また、第1,第2コイルスプリング310,320の両端を保持するホルダ部材330を設けたことで、第1、第2コイルスプリング310,320及びホルダ部材330をユニット化したスプリングユニット300として組み付けを行うこととし、組み付け容易性を確保する。
なお、図5及び図6では第2ベーン220付近についてのみ説明したが、第1ベーン210に隣接する進角油室500においても同様にスプリングユニット300が配設されるとともに、溝112,212及び溝底面114,214が設けられており、図5及び図6において説明したものと同様の作用を得る。
[従来例と本願実施例1における作用効果の対比]
従来、バルブタイミング制御装置においては、エンジン停止時にはバルブタイミングをエンジン再始動可能な位相とするため、スプリングを作動室である進角/遅角油室内に設けてベーンロータをロックピン嵌合位置まで付勢することで、エンジン再始動に適した位置とするものがある。
しかしながら従来技術にあっては、スプリング長が最小となる最遅角位置においてハウジング及びベーンのスプリング保持面が平行となり、スプリング長が最大となる最進角位置においてはハウジング及びベーンのスプリング保持面は平行とならない。
このため、最遅角位置以外ではハウジング及びベーンロータの曲率によりコイルスプリングの軸線は曲がった状態で保持されることとなり、最遅角位置以外の状態で組み付けを行う場合はスプリングの軸線を曲げた状態で組み付けなければならないという問題がある。また、最遅角位置で組み付けを行う場合は、スプリングは平行ではあるが最も縮小させなければならないため、組み付け性が悪く、工数の増加によるコストアップという問題があった。
これに対し本願実施例1では、最進角位置におけるハウジング10の溝底面114と第1、第2ベーン210,220の溝底面214,224は略平行に設けられることとした。これにより、最進角位置においてホルダ部材330を互いに平行とし、スプリングユニット300の第1、第2コイルスプリング310,320の軸線を直線かつ最も伸びた状態とすることが可能となる。よって、組み付け時に第1、第2コイルスプリング310,320を縮小させる必要を回避し、加工工数を低減した安価な内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することができる(請求項1に対応。)。
実施例2につき図7ないし図9に基づき説明する。基本的な構成は実施例1と同様であるため異なる点についてのみ説明する。実施例1では、最進角位置においてハウジング10の溝底面114と、第1、第2ベーンの溝底面214,224が互いに略平行となることとしているが、実施例2では最進角位置と最遅角位置の間の位置において溝底面114と214及び114と224が略平行となるように設ける点で実施例1と異なる。
図7は、最進角位置と最遅角位置のほぼ中間位置における第2ベーン220付近の詳細断面図である。実施例2においては、最進角位置と最遅角位置の中間位置においてハウジング10の溝底面114と第2ベーン220の溝底面224が互いに平行となることとする。したがって、実施例2では最進角位置と最遅角位置の中間位置においてホルダ部材330が互いに平行となり、この中間位置において第1、第2コイルスプリング310,320の軸線は直線となる。
図8は最進角位置における第2ベーン220付近の詳細断面図、図9は最遅角位置における第2ベーン220付近の詳細断面図である。図7に示すように中間位置においてハウジング10の溝底面114と第2ベーン220の溝底面224が互いに平行となるため、中間位置よりも進角側もしくは遅角側であれば溝底面114,224は互いに平行とはならないこととなる。
したがって中間位置よりも進角側では第1、第2コイルスプリング310,320はVTC1の曲率に従って外径方向に屈曲して最進角位置において最も外径方向に屈曲する。また、中間位置よりも遅角側であれば内径方向に屈曲し、最遅角位置において最も内径方向に屈曲する。
実施例2においては、最進角位置と最遅角位置のほぼ中間位置において第1、第2コイルスプリング310,320の軸線が直線となる。この中間位置において組み付けを行うこととすれば、各コイルスプリング310,320の軸線を曲げることなく組み付けを行うことが可能である。
また、最進角位置と最遅角位置のほぼ中間位置において第1、第2コイルスプリング310,320の軸線が直線となるため、各コイルスプリング310,320の屈曲量を進角側及び遅角側に分散し、遅角側においてのみ屈曲させる実施例1に比べ屈曲量を抑制することが可能である。また、屈曲量を低減させることでホルダ部材330による、各コイルスプリング310,320の保持性向上を図っている。
なお、図7ないし図9では第2ベーン220付近についてのみ説明したが、第1ベーン210に隣接する進角油室500においても同様にスプリングユニット300が配設されるとともに、溝112,212及び溝底面114,214が設けられており、図5及び図6において説明したものと同様の作用を得る。
[実施例2における作用効果]
実施例2においては、最進角位置と最遅角位置の間の位置において溝底面114と214及び114と224が略平行となるように設けることとした。これにより、溝底面114と214及び114と224が略平行となる位置において組み付けを行うこととすれば、各コイルスプリング310,320の軸線を曲げることなく組み付けを行うことが可能となる。よって、組み付け時に第1、第2コイルスプリング310,320を縮小させる必要を回避し、加工工数を低減した安価な内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することができる。
また、底面114と214及び114と224はハウジング10とベーン20の相対回転に伴い、最進角位置と最遅角位置との間で略平行となるように設けているため、略平行位置よりも進角側では外周側に屈曲し、遅角側では内周側に屈曲する。したがって、第1、第2コイルスプリング310,320の軸線の屈曲量を分散させ、屈曲量の最大値を低減することが可能である。よって、遅角側においてのみ屈曲させる実施例1に比べ屈曲量を抑制することが可能となり、第1、第2コイルスプリング310,320の付勢力を安定させるとともに、ホルダ部材330による保持性も向上させることができる(請求項2に対応。)。
また、最進角位置と最遅角位置のほぼ中間位置において第1、第2コイルスプリング310,320の軸線が直線となることとした。これにより、各コイルスプリング310,320の屈曲量を進角側及び遅角側に均等に分散し、屈曲量を最小限に抑えることで、付勢力及び保持性をさらに改善することができる(請求項3に対応。)。
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
実施例1ではホルダ部材330を用いて第1、第2コイルスプリング310,320を保持したが、図10に示すようにホルダ部材330を用いずにハウジング10の溝112及び第1、第2ベーン210,220の溝212,222により各コイルスプリング310,320を直接保持させることとしてもよい。ホルダ部材330を省略することで、部品点数の低減を図ることができる。
更に、上記実施例から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ) 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記コイルスプリング保持部は、凹形状に形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
コイルスプリング保持部が進角油室内に突出することがないため、ハウジングに対するベーンの変換角を大きくすることができる。
(ロ) 上記(イ)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記ベーン側の前記コイルスプリング保持部と前記ハウジング側の前記コイルスプリング保持部における前記コイルスプリングの当接面が略平行となった状態において、前記ベーン側と前記ハウジング側のそれぞれの凹部軸方向側面が前記コイルスプリングの軸方向に対し同一位置となるように構成したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
略平行状態においてコイルスプリングと当接面を垂直に配置し、変形を極力防止しながら組み付けることが可能となるため、コイルスプリングの組み付け容易性がさらに高まる。
(ハ) 請求項1ないし請求項3及び上記(イ)、(ロ)のいずれか1項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記コイルスプリングと少なくとも前記シュー側の前記コイルスプリング保持部との間には、前記コイルスプリングを保持するホルダ部材が設けられていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
ホルダ部材とコイルスプリング、もしくはホルダ部材とコイルスプリングとベーンロータをユニット化できるため、組み付けが容易となる。
実施例1のバルブタイミング制御装置におけるエンジン始動時の側面断面図を含むバルブタイミング制御装置の構成を表す図である。 実施例1におけるバルブタイミング制御装置の分解斜視図である。 実施例1におけるバルブタイミング制御装置の最進角位置における径方向断面図である。 実施例1におけるバルブタイミング制御装置の最遅角位置における径方向断面図である。 実施例1における最進角位置での第2ベーン付近の詳細断面図である。 実施例1における最遅角位置での第2ベーン付近の詳細断面図である。 実施例2における最進角位置と最遅角位置のほぼ中間位置での第2ベーン付近の詳細断面図である。 実施例2における最進角位置での第2ベーン付近の詳細断面図である。 実施例2における最遅角位置での第2ベーン付近の詳細断面図である。 本願実施例の他の実施例を示す図である。
符号の説明
1 バルブタイミング制御装置
2 カムシャフト
3 カムボルト
4 オイルポンプ
5 油圧制御アクチュエータ
6 コントローラ
7 油圧供給ブロック
10 ハウジング
11 スリーブ
20 ベーンロータ
21 ロックピン
22 リテーナ
23 スプリング
30 スプロケット
31 スリーブ係止部
60 フロントプレート
11 シュー
111、211,221 進角油室側側面
112,212,222 溝
114,214,224 溝底面
110,120 コイルスプリング
210,220 第1、第2ベーン
224 軸方向貫通孔
230 ロータ部
300 スプリングユニット
310 第1コイルスプリング
320 第2コイルスプリング
330 ホルダ部材
500 進角油室
600 遅角油室

Claims (3)

  1. 内燃機関のクランクシャフトから回転が伝達される回転伝達部材と、
    前記回転伝達部材もしくはカムシャフトの一方に固定され、少なくとも軸方向一端側に開口を有するハウジング本体と、このハウジング本体の開口を封止する少なくとも1枚のプレートとによって構成されるハウジングと、
    前記ハウジング本体の内周側に突出するように形成されることにより作動室が隔成されるシューと、
    前記回転伝達部材もしくはカムシャフトの他方に固定され、径方向に突出するベーンを有するとともに前記ハウジング内に配置されるベーンロータと、
    前記作動室を前記ベーンロータによって隔成することで形成される遅角油室と進角油室と、
    前記遅角油室と進角油室への油の供給及び排出を行う流体給排手段と、
    前記遅角油室及び/または前記進角油室内に配置され、前記ベーンと前記シューが互いに離れる方向に付勢力を作用させるように、前記遅角油室及び/または前記進角油室のそれぞれ1つの油室に複数設けられたコイルスプリングと、
    前記ベーン及び前記シューの周方向側面側に前記コイルスプリングを保持可能に設けられ、少なくとも前記シュー側が回転軸方向少なくとも一端側に開口して形成されたコイルスプリング保持部と、
    を有し、
    前記ベーン側のコイルスプリング保持部と前記ハウジング側のコイルスプリング保持部における前記コイルスプリングの当接面は、前記ハウジングに対して前記ベーンロータが最進角位置にて略平行となるように構成したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 内燃機関のクランクシャフトから回転が伝達される回転伝達部材と、
    前記回転伝達部材もしくはカムシャフトの一方に固定され、少なくとも軸方向一端側に開口を有するハウジング本体と、このハウジング本体の開口を封止する少なくとも1枚のプレートとによって構成されるハウジングと、
    前記ハウジング本体の内周側に突出するように形成されることにより作動室が隔成されるシューと、
    前記回転伝達部材もしくはカムシャフトの他方に固定され、径方向に突出するベーンを有するとともに前記ハウジング内に配置されるベーンロータと、
    前記作動室を前記ベーンロータによって隔成することで形成される遅角油室と進角油室と、
    前記遅角油室と進角油室への油の供給及び排出を行う流体給排手段と、
    前記遅角油室及び/または前記進角油室内に配置され、前記ベーンと前記シューが互いに離れる方向に付勢力を作用させるように、前記遅角油室及び/または前記進角油室のそれぞれ1つの油室に複数設けられたコイルスプリングと、
    前記ベーン及び前記シューの周方向側面側に前記コイルスプリングを保持可能に設けられ、少なくとも前記シュー側が回転軸方向少なくとも一端側に開口して形成されたコイルスプリング保持部と、
    を有し、
    前記ベーン側のコイルスプリング保持部と前記ハウジング側のコイルスプリング保持部における前記コイルスプリングの当接面は、前記ハウジングに対して前記ベーンロータが最進角位置と最遅角位置の間の位置にて略平行となるように構成したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記ベーン側の前記コイルスプリング保持部と前記ハウジング側のコイルスプリング保持部における前記コイルスプリングの当接面は、前記ハウジングに対して前記ベーンロータが最進角位置と最遅角位置のほぼ中央の位置にて略平行となるように構成したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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