JP2006089659A - ナフサ留分の精製方法及びナフサ留分を精製する抽出溶剤 - Google Patents

ナフサ留分の精製方法及びナフサ留分を精製する抽出溶剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 脱芳香族処理と脱硫処理を同時に行い、オクタン価を低下させることなく脱硫する。
【解決手段】 抽出塔11の上部に1種又は2種以上のイオン性液体を主成分とする比重1.0〜1.6の溶剤を連続的に供給するとともに抽出塔11の下部に比重0.7〜0.8のナフサ留分を連続的に供給し、比重差により抽出塔11の内部を上昇するナフサ留分を比重差により抽出塔11の内部を下降する溶剤に接触させることによりナフサ留分中のヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を溶剤に溶込ませ、ヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を溶込んだ溶剤を抽出塔11の下部から連続的に抽出するとともにヘテロ化合物及び芳香族炭化水素が減少したナフサ留分を抽出塔11の上部から連続的に抽出する。抽出塔11の下端から抽出した溶剤を回収塔12に供給し、回収塔12においてヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を蒸発させ液状で残存する溶剤を抽出塔11の上部に供給する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、重質油等の分解により生成されたナフサ留分を、低硫黄分であって高オクタン価のガソリン基材等に精製する方法及びその精製方法に用いられる抽出溶剤に関するものである。
石油精製直留ナフサ留分、精製後ナフサ留分、或いは重質油から分解などにより生成されたナフサ留分中の芳香族炭化水素は、非常に高いオクタン価を有し、ガソリンの重要な成分である。しかし、芳香族炭化水素は粒状物質及びスモークの発生原因となり、芳香族炭化水素の1つであるベンゼンは発ガン性物質として知られているため、ガソリン中の芳香族炭化水素、特にベンゼンの許容濃度が規制されている。
また、自動車の排出ガス中に含まれる硫黄化合物に起因する大気の汚染が地域を問わず重大な問題となっている。この大気汚染を改善する方法として、硫黄化合物を低減した高品質燃料油、特にサルファフリーガソリンの製造方法が求められている。ここで、ガソリン中の硫黄化合物は、主にその基材となるナフサ留分をその起源としており、このナフサ留分から硫黄分を除去する技術として水素化脱硫法に基づく水素化脱硫プロセスが確立している。(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−80754号公報(請求項1)
しかし、従来のナフサ留分から硫黄分を除去する水素化脱硫法に基づく水素化脱硫プロセスでは、ナフサ留分の脱硫の過程で、脱硫反応と平行して、高オクタン価成分であるオレフィンの飽和反応が生じてオレフィン含有量が減少し、その結果オクタン価が低下してしまって、オクタン価が比較的高いというガソリン基材としての有用性を損う不具合があった。
また、従来では、ナフサ留分をガソリン基材等に精製する場合に、脱芳香族処理と脱硫処理が別々に行われており、そのプロセスが複雑で、設備投資や製造工数を増大する問題点があった。具体的には、高品質のガソリン基材を得るための上記従来のナフサ留分の精製方法では、脱芳香族処理と脱硫処理が別々に行われ、かつ大量な高圧水素や触媒が必要であり、コストが高く、また操作温度及び操作圧力が高く高エネルギを必要とする不具合があった。
本発明の目的は、脱芳香族処理と脱硫処理を同時に行い得るナフサ留分の精製方法及びナフサ留分を精製する抽出溶剤を提供することにある。
本発明の別の目的は、オクタン価を低下させることなく脱硫し得るナフサ留分の精製方法及びナフサ留分を精製する抽出溶剤を提供することにある。
請求項1に係る発明は、図1に示すように、抽出塔11の上部に1種又は2種以上のイオン性液体を主成分とする比重1.0〜1.6の溶剤を連続的に供給するとともに抽出塔11の下部に比重0.7〜0.8のナフサ留分を連続的に供給し、比重差により抽出塔11の内部を上昇するナフサ留分を比重差により抽出塔11の内部を下降する溶剤に接触させることによりナフサ留分中のヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を溶剤に溶込ませ、ヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を溶込んだ溶剤を抽出塔11の下部から連続的に抽出するとともにヘテロ化合物及び芳香族炭化水素が減少したナフサ留分を抽出塔11の上部から連続的に抽出することを特徴とするナフサ留分の精製方法である。
この請求項1に記載されたナフサ留分の精製方法では、抽出塔11の上部に溶剤を連続的に供給するとともにその抽出塔11の下部にナフサ留分を連続的に供給すると、その比重差によりナフサ留分は抽出塔11の内部を上昇し、溶剤は抽出塔11の内部を下降する。そして、抽出塔11の内部を上昇するナフサ留分中のヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を抽出塔11の内部を下降する溶剤に溶込ませることにより、脱芳香族処理と脱硫処理を同時に行う。また、抽出塔11の上部から抽出されたナフサ留分にあっては、その中のヘテロ化合物及び芳香族炭化水素をイオン性液体を主成分とする溶剤に溶込ませたものであるので、ナフサ留分中のオレフィン分が飽和化せずにヘテロ化合物及び芳香族炭化水素が抽出される。
請求項9に係る発明は、ナフサ留分中のヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を溶込んでナフサ留分からヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を除去することによりナフサ留分を精製する抽出溶剤である。
その特徴ある構成は、70〜99体積%の芳香族系イオン性液体又は脂環式系イオン性液体と、30〜1体積%の脂肪族系イオン性液体からなることを特徴とする。
この請求項9に記載されたナフサ留分を精製する抽出溶剤では、ナフサ留分中のオレフィン分が飽和化せずにヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を抽出する。このため、オクタン価を低減させることなくナフサ留分を精製することができる。ここで、ヘテロ化合物としては、硫黄化合物、窒素化合物、酸素化合物等が挙げられる。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、溶剤が、70〜99体積%の芳香族系イオン性液体又は脂環式系イオン性液体と、30〜1体積%の脂肪族系イオン性液体からなることを特徴とする。
この請求項2に記載されたナフサ留分の精製方法では、ナフサ留分中の直鎖系硫黄化合物、例えば、メルカプタン、サルファイド、ジサルファイドなどを高効率的に溶剤に抽出することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、抽出塔11の下端から抽出した溶剤を回収塔12に供給し、回収塔12においてヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を蒸発させ液状で残存する溶剤を抽出塔11の上部に供給することを特徴とする。
この請求項3に記載されたナフサ留分の精製方法では、イオン性液体を主成分とする溶剤を再利用することができる。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明であって、回収塔12において蒸発したヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を脱硫して高濃度BTX原料とするか或いは脱ベンゼン処理を更に行って高オクタン価ガソリン基材を得ることを特徴とする。
この請求項4に記載されたナフサ留分の精製方法では、比較的単純な設備を用いかつ比較的少ないエネルギで、低コストで高効率に高濃度BTX原料又は高オクタン価ガソリン基材を得ることができる。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれか1項に係る発明であって、抽出塔11内の圧力が0.1〜5MPaであり、抽出塔11内の温度が20〜200℃であることを特徴とする。
この請求項5に記載されたナフサ留分の精製方法では、抽出塔11の内部を上昇するナフサ留分中のヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を抽出塔11の内部を下降する溶剤に有効に溶込ませることができる。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5いずれか1項に係る発明であって、ナフサ留分が、石油精製直留ナフサ留分、精製後ナフサ留分、重質油から生成された接触分解生成ナフサ留分、重質油から生成された熱分解生成ナフサ留分、或いは重質油から生成された水素化分解生成ナフサ留分であることを特徴とする。
この請求項6に記載されたナフサ留分の精製方法では、ナフサ留分中のオレフィン分が飽和化せずにヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を溶剤に有効に溶込ませることができる。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6いずれか1項に係る発明であって、溶剤が親水性液体であり、抽出塔11の上部から抽出されたナフサ留分を水洗し混合した少量の溶剤を除去して脱硫・脱芳香族ガソリン基材又はライトオレフェンの製造基材又は接触改質への原料を得ることを特徴とする。
この請求項7に記載されたナフサ留分の精製方法では、親水性の溶剤を用いると、比重差で抽出塔11の内部を上昇してその上部から抽出されたナフサ留分に残ったイオン性液体を主成分とする溶剤を水洗で簡単に除去することができる。
請求項8に係る発明は、請求項1ないし7いずれか1項に係る発明であって、水、アルコール類、エーテル類、フェノール類の少なくとも一種以上からなる添加剤を1〜50重量%の割合で溶剤に混合してその溶剤とともに抽出塔11の上部に供給することを特徴とする。
この請求項8に記載されたナフサ留分の精製方法では、添加剤を溶剤に混合することにより全体としての粘性を低下させることができる。このためその操作性が向上する結果、抽出率を更に向上させることができる。
以上述べたように、本発明によれば、比重差により抽出塔の内部を上昇するナフサ留分を比重差により抽出塔11の内部を下降する溶剤に接触させることによりナフサ留分中のヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を溶剤に溶込ませ、ヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を溶込んだ溶剤を抽出塔の下部から連続的に抽出するとともにヘテロ化合物及び芳香族炭化水素が減少したナフサ留分を抽出塔の上部から連続的に抽出するので、脱芳香族処理と脱硫処理を同時に行うことができる。また、抽出塔11の上部から抽出されたナフサ留分にあっては、その中のヘテロ化合物及び芳香族炭化水素をイオン性液体を主成分とする溶剤に溶込ませたものであり、ナフサ留分中のオレフィン分が飽和化せずにヘテロ化合物及び芳香族炭化水素が抽出されるので、オクタン価を低減させることなくナフサ留分を精製することができる。
そして、溶剤が、70〜99体積%の芳香族系イオン性液体又は脂環式系イオン性液体と、30〜1体積%の脂肪族系イオン性液体からなるものであれば、ナフサ留分中の直鎖系硫黄化合物、例えば、メルカプタン、サルファイド、ジサルファイドなどを高効率的に抽出することができ、抽出塔の下端から抽出した溶剤を回収塔においてヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を蒸発させ液状で残存する溶剤を抽出塔の上部に供給すれば、イオン性液体を主成分とする溶剤を再利用することができる。
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明におけるナフサ留分の精製方法に抽出塔11が用いられ、この抽出塔11の上部に1種又は2種以上のイオン性液体を主成分とする比重1.0〜1.6の溶剤を連続的に供給するとともに、その抽出塔11の下部からは比重0.7〜0.8のナフサ留分を連続的に供給する。ここで、ナフサ留分とは、石油精製直留ナフサ留分、精製後ナフサ留分、重質油から生成された接触分解生成ナフサ留分、重質油から生成された熱分解生成ナフサ留分、或いは重質油から生成された水素化分解生成ナフサ留分である。石油精製直留ナフサ留分とは、原油を常圧蒸留装置にかけて得られるナフサ留分であり、精製後ナフサ留分とは、水素化精製などの二次処理を行って得られるナフサ留分である。また接触分解生成ナフサ留分とは、石油精製残油などの重質油を流動接触分解法(FCC法)により生成したナフサ留分であり、熱分解生成ナフサ留分とは、石油精製残油などの重質油を熱分解法により生成したナフサ留分であり、水素化分解生成ナフサとは、石油精製残油などの重質油を水素化処理法(水素化分解法)により生成したナフサ留分である。
また、溶剤の主成分であるイオン性液体としては芳香族系イオン性液体又は脂環式系イオン性液体が挙げられる。具体的に、それらはカチオンを有し、そのカチオンは、[R−NC55]+(N-アルキルピリジニウム)、[R−NC48]+(N-アルキルピロリジニウム)、[R,R’−N233]+(1,3-N,N’-ジアルキルイミダゾリウム)からなる群より選ばれた少なくとも1種のカチオンである(カチオン中のR及びR’は炭素数1〜10のアルキル基又は水素であり、カチオン中のXは1〜3である。)。ここで、イオン性液体とは、常温でも結晶化せずに溶融している有機塩であり、蒸気圧がほぼゼロである。またイオン性であるけれども、低粘性かつ高極性であって、化学的に安定であり、400℃以上でも熱安定、非燃性などの特異な性質を有する(耐熱性が高く液体温度範囲が−100〜300℃と広い。)。更にイオンの組合せにより種々の性質を有する。例えば、原料油中のヘテロ化合物(硫黄化合物、窒素化合物、酸素化合物など)や芳香族炭化水素に対する溶解力が高く、ナフサ留分と混合した場合に比重差により2つの液相に分層するイオン性液体を調製できる。
また、溶剤は、70〜99体積%の上述した芳香族系イオン性液体又は脂環式系イオン性液体と、30〜1体積%の脂肪族系イオン性液体からなることが好ましい。この脂肪族系イオン性液体としては、それらのカチオンは、[NRX4-X]+(アルキルアンモニウム)及び[PRX4-X]+(アルキルフォスフォニウム)である(カチオン中のR及びR’は炭素数1〜10のアルキル基又は水素であり、カチオン中のXは1〜3である。)。ここで、脂肪族系イオン性液体を30〜1体積%とするのは、ナフサ留分中の直鎖系硫黄化合物、例えば、メルカプタン、サルファイド、ジサルファイドなどを高効率的に抽出するためであって、脂肪族系イオン性液体が30体積%を越えるとチオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン等の環状硫黄化合物の抽出に不具合があり、脂肪族系イオン性液体が1体積%未満であるとメルカプタン、サルファイド、ジサルファイド等の直鎖系硫黄化合物の抽出に不具合がある。そして更に好ましい溶剤としては、80〜90体積%の芳香族系イオン性液体又は脂環式系イオン性液体と、20〜10体積%の脂肪族系イオン性液体からなるものである。
更に、イオン性液体を主成分とする溶剤は親水性液体であることが好ましい。これにより抽出後ナフサ留分に含まれるイオン性液体を水洗で簡単に除去でき、ナフサ留分を清浄にすることができる。イオン性液体を主成分とする溶剤を親水性にするためには、アニオンとしてBF4 -を用いたり、カチオンのアルキル基を短くしたり、或いはカチオンのアルキル基の代りに極性の無い基を用いることが好ましい。また、溶剤を抽出塔11の上部に供給する際には、水、アルコール類、エーテル類、フェノール類の少なくとも一種以上からなる添加剤を1〜50重量%の割合でその溶剤に混合し、その添加剤を溶剤とともに抽出塔11の上部に供給することもできる。添加剤を溶剤に混合すると全体としての粘性が低下し、操作性が向上する結果、抽出率を向上させることができる。
抽出塔11の上部に上述したような溶剤を連続的に供給するとともにその抽出塔11の下部にナフサ留分を連続的に供給すると、その比重差によりナフサ留分は抽出塔11の内部を上昇し、溶剤は抽出塔11の内部を下降する。そして、抽出塔11の内部を上昇するナフサ留分中のヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を抽出塔11の内部を下降する溶剤に溶込ませる。このとき、抽出塔11内の圧力が0.1〜5MPaであり、抽出塔11内の温度が20〜200℃であることが好ましい。抽出塔11内の圧力が0.1〜5MPaとするのは、0.1MPa未満では抽出塔11内が負圧になって操作が複雑になり、5MPaを越えると操作が難しくなり設備コストが増大するからである。抽出塔11内の温度を20〜200℃の範囲にするのは、20℃未満ではヘテロ化合物及び芳香族炭化水素が溶剤に溶込むのが遅くなりかつ冷凍設備が必要となるからである。また、200℃を越えると操作が難しくなり設備コストが増大するとともに、ナフサ留分の一部が蒸発してしまい、液体での抽出が困難になるからである。
ここで、溶剤とナフサ留分の抽出塔11への供給量は、溶剤とナフサ留分の抽出塔11が抽出塔11の内部で接触する時間が10〜200分の間になるように調整される。ここで、その接触時間を10〜200分間の範囲としたのは、10分間未満ではヘテロ化合物及び芳香族炭化水素が溶剤に溶込むのが十分に進行せず、200分間を越えるといたずらにその接触時間が増大し経済的でないからである。
ヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を溶込んだ溶剤の密度は1.0〜1.6g/cm3であり抽出塔11の内部で下降するが、ヘテロ化合物及び芳香族炭化水素が減じたナフサ留分の密度は0.7〜0.8g/cm3であり抽出塔11の内部で上昇する。従って、ヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を溶込んだ溶剤を抽出塔11の下部から連続的に抽出され、ヘテロ化合物及び芳香族炭化水素が減少したナフサ留分を抽出塔11の上部から連続的に抽出される。そして、抽出塔11の下端から抽出した溶剤を次に回収塔12に供給する。この回収塔12においてヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を蒸発させ液状で残存する溶剤を抽出塔11の上部に供給して溶剤として再利用する。
この回収塔12では、ヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を溶込んだ溶剤を100〜300℃、好ましくは150〜250℃に加熱することが好ましい。溶剤中のイオン性液体の蒸気圧はほぼゼロであり、ナフサ留分の沸点範囲は180℃以下であるため、ヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を溶込んだ溶剤を上記温度(例えば、200℃)に加熱すると、溶剤が全く蒸発せずに、この溶剤に含まれる芳香族炭化水素や硫黄化合物などが全て蒸気になって分離して回収される。これにより清浄な溶剤を再生できる。一方、回収塔12で蒸気になって分離して回収された芳香族炭化水素を多く含む油は、工業的には脱硫(例えば、水素化脱硫)して、ベンゼン、トルエン、キシレン等を製造するための原料として用いることができ、或いは脱ベンゼン処理を更に行って高オクタン価ガソリン基材として用いることもできる。なお、添加剤が溶剤とともに抽出塔11の上部に供給されている場合には、添加剤はこの回収塔12でナフサ留分と一緒に蒸発して回収塔12の上部から抽出されるが、その後の冷却により液体となる。この液体の添加剤は液体のナフサ留分とは相互に不溶解のため分離回収され、再利用される。
一方、抽出塔11の上部から抽出されたナフサ留分にあっては、脱硫・脱芳香族のガソリン基材として用いるか、又はライトオレフェンを製造するための基材とすることもできる。または接触改質への原料として用いることもできる。ここで、溶剤が親水性液体であれば、その後水洗塔13において水洗することにより、抽出塔11の上部から抽出されたナフサ留分に残存する溶剤を有効に除去することができる。この抽出塔11の上部から抽出されたナフサ留分にあっては、その中のヘテロ化合物及び芳香族炭化水素をイオン性液体を主成分とする溶剤に溶込ませたものであるので、ナフサ留分中のオレフィン分が飽和化せずにヘテロ化合物及び芳香族炭化水素が抽出される。このため、オクタン価が低減しないガソリン基材を得ることができる。そして、このガソリン基材に、回収塔12で回収され脱ベンゼン処理された高いオクタン価を有するガソリン基材を加えることにより、脱硫・脱ベンゼンであってかつ高オクタン価のガソリン基材とすることもできる。
即ち、本発明のナフサ留分の精製方法では、水素や高価な固体触媒を用いず、また高温高圧の処理条件を用いずに比較的単純な設備を用いかつ比較的少ないエネルギで、低コストで高効率に高品質かつ高オクタン価のガソリン基材等を製造できるとともに、ナフサ留分からその中のヘテロ化合物(硫黄酸化物、窒素化合物、酸素化合物など)及び芳香族炭化水素を同時に除去でき、溶剤の主成分であるイオン性液体の目減りを抑制できる。
次に本発明の実施例を詳しく説明する。
<実施例1>
イオン性液体による油中の硫黄化合物の抽出分離特性を確認するため、ナフサ留分を模擬したドデカンにチオフェン化合物を溶解し、イオン性液体である1-n-Butyl-3-methylimidazolium Tetrafluoroborate[BMIM][BF4]を用いて抽出実験を行った。実験は、原液20mlとイオン性液体20mlを容器に入れ、50℃、0.5MPaの条件下において5分間攪拌した。その後静置して10分経過後、抽出液と抽残液をそれぞれサンプリングした。サンプリングした抽出液と抽残液を、クロマトグラフを用いて分析した。これらの抽出率および分配係数を表1に示す。この表1の結果から明らかなように全種類の硫黄化合物については、高い抽出率を示している。
Figure 2006089659
<実施例2>
ナフサ留分からの硫黄化合物および芳香族炭化水素の分離を確認するために、ナフサ留分に相当する模擬物を作り、20段の抽出塔11を用いて模擬物中の硫黄化合物や芳香族炭化水素の抽出分離実験を行った。抽出塔11操作温度50℃、操作圧力0.5MPa、模擬物/イオン性液体=1/3(wt)、抽出溶剤はイオン性液体である1-n-Butyl-3-methylimidazolium Hexafluorophosphate[BMIM][PF6]を用いた。実験結果を表2に示す。表2から明らかなように硫黄化合物および芳香族炭化水素はほぼ全量抽出されていることが判る。
Figure 2006089659
本発明実施形態のナフサ留分の精製方法を示す工程図である。
符号の説明
11 抽出塔
12 回収塔

Claims (9)

  1. 抽出塔(11)の上部に1種又は2種以上のイオン性液体を主成分とする比重1.0〜1.6の溶剤を連続的に供給するとともに前記抽出塔(11)の下部に比重0.7〜0.8のナフサ留分を連続的に供給し、
    比重差により前記抽出塔(11)の内部を上昇する前記ナフサ留分を比重差により前記抽出塔(11)の内部を下降する前記溶剤に接触させることにより前記ナフサ留分中のヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を前記溶剤に溶込ませ、
    ヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を溶込んだ溶剤を前記抽出塔(11)の下部から連続的に抽出するとともにヘテロ化合物及び芳香族炭化水素が減少した前記ナフサ留分を前記抽出塔(11)の上部から連続的に抽出する
    ことを特徴とするナフサ留分の精製方法。
  2. 溶剤が、70〜99体積%の芳香族系イオン性液体又は脂環式系イオン性液体と、30〜1体積%の脂肪族系イオン性液体からなる請求項1記載のナフサ留分の精製方法。
  3. 抽出塔(11)の下端から抽出した溶剤を回収塔(12)に供給し、前記回収塔(12)においてヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を蒸発させ液状で残存する溶剤を抽出塔(11)の上部に供給する請求項1又は2記載のナフサ留分の精製方法。
  4. 回収塔(12)において蒸発したヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を脱硫して高濃度BTX原料とするか或いは脱ベンゼン処理を更に行って高オクタン価ガソリン基材を得る請求項3記載のナフサ留分の精製方法。
  5. 抽出塔(11)内の圧力が0.1〜5MPaであり、抽出塔(11)内の温度が20〜200℃である請求項1ないし4いずれか1項に記載のナフサ留分の精製方法。
  6. ナフサ留分が、石油精製直留ナフサ留分、精製後ナフサ留分、重質油から生成された接触分解生成ナフサ留分、重質油から生成された熱分解生成ナフサ留分、或いは重質油から生成された水素化分解生成ナフサ留分である請求項1ないし5いずれか1項に記載のナフサ留分の精製方法。
  7. 溶剤が親水性液体であり、抽出塔(11)の上部から抽出されたナフサ留分を水洗し混合した少量の溶剤を除去して脱硫・脱芳香族ガソリン基材又はライトオレフェンの製造基材又は接触改質への原料を得る請求項1ないし6いずれか1項に記載のナフサ留分の精製方法。
  8. 水、アルコール類、エーテル類、フェノール類の少なくとも一種以上からなる添加剤を1〜50重量%の割合で溶剤に混合して前記溶剤とともに抽出塔(11)の上部に供給する請求項1ないし7いずれか1項に記載のナフサ留分の精製方法。
  9. ナフサ留分中のヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を溶込んで前記ナフサ留分から前記ヘテロ化合物及び芳香族炭化水素を除去することにより前記ナフサ留分を精製する抽出溶剤であって、
    70〜99体積%の芳香族系イオン性液体又は脂環式系イオン性液体と、
    30〜1体積%の脂肪族系イオン性液体からなる
    ことを特徴とする抽出溶剤。
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