JP2006089313A - 可塑性素材の成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 成形型と可塑性素材との摩擦係数に応じて冷却速度を調整することにより、成形品の形状精度の向上を図ることができ、また、冷却速度を速くしてサイクルタイムを短縮することができる可塑性素材の成形方法を提供する。
【解決手段】 加熱溶融させた可塑性素材16を成形型11,12によりプレス成形した後に冷却する可塑性素材の成形方法において、可塑性素材16と成形型11,12との摩擦係数に応じて、可塑性素材16の冷却速度を設定する。また、可塑性素材16と成形型11,12との摩擦係数が0.1以下のときに、冷却速度を0.3℃/秒以上とする。さらに、可塑性素材16を成形型11,12でプレス成形する前に、成形型11,12にカーボン19を付着させて、可塑性素材16と成形型11,12との摩擦係数を低くする。
【選択図】 図1
【解決手段】 加熱溶融させた可塑性素材16を成形型11,12によりプレス成形した後に冷却する可塑性素材の成形方法において、可塑性素材16と成形型11,12との摩擦係数に応じて、可塑性素材16の冷却速度を設定する。また、可塑性素材16と成形型11,12との摩擦係数が0.1以下のときに、冷却速度を0.3℃/秒以上とする。さらに、可塑性素材16を成形型11,12でプレス成形する前に、成形型11,12にカーボン19を付着させて、可塑性素材16と成形型11,12との摩擦係数を低くする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、加熱溶融させた可塑性素材を成形型によりプレス成形した後に冷却する可塑性素材の成形方法に関し、特に、成形型と可塑性素材との摩擦係数に応じて冷却速度を調整することにより、成形品の形状精度の向上を図ることができ、また、冷却速度を速くしてサイクルタイムを短縮することができる可塑性素材の成形方法に関する。
従来からガラス、金属ガラス又は合成樹脂等の可塑性素材を加熱溶融し、成形型でプレス成形することにより所望の最終形状を得る成形方法が広く知られている。例えば、特許3128928号(特許文献1)では、成形型が、レンズ面形状を転写するための鏡面部と、該鏡面部をとりまくコバ部とからなり、上型と下型とでそれぞれ前記コバ部の摩擦係数を異ならせ、又は摩擦係数に分布を持たせ、前記コバ部にレンズ素材を保持しながら押圧するレンズ成形用金型が提案されている。
このようなレンズ成形用金型では、上型と下型とでコバ部の摩擦係数を異ならせることにより、レンズの曲率に適した成形圧を加えて成形後の形状誤差を抑えている。また、コバ部上で摩擦係数の分布を持たせることにより、結晶材料特有の非対称な誤差成分を取り除いている。
一方、特許3231165号(特許文献2)では、ガラスよりなる光学素子のプレス成形に用いる光学素子成形用型において、該型母材の少なくとも成形表面に、平均ピッチ5〜30nmで平均高さ0.5〜30nmの突起を多数連設した形状の炭素膜を形成した光学素子成形用型が提案されている。
このような光学素子成形用型では、炭素膜に特定の形状を与えることにより、膜の吸着力、摩擦係数を小さくし、かつ膜の型母材への付着強度を高くしている。一方、成形された光学素子の表面粗さを劣化させることがないので、ガラスの融着や反応生成物が生ずることなく、ガラスとの離型性を長期間良好に保持し、ガラスとの離型性を長期間良好に保持し、ガラスの成形において膜の剥離やクラックが発生しない。
特許3128928号公報
特許3231165号公報
上述した従来のレンズ成形用金型では、前記コバ部の摩擦係数を変化させることによって、プレス成形時のレンズ素材の流動方向を制御し、成形品たるレンズの形状誤差を抑えている。しかし、レンズ面形状を転写するための前記鏡面部の摩擦抵抗については何ら考慮されておらず、該鏡面部とレンズ素材との摩擦抵抗が大きい場合は、冷却時にレンズ素材が収縮する際の抵抗となって該収縮が不均等となり、大きな歪みが発生して所望の形状精度が得られないという問題があった。
一方、上述した従来の光学素子成形用型では、所定のピッチ及び高さの突起を多数連設した形状の炭素膜を形成することにより、膜の吸着力、摩擦係数を小さくしている。しかし、例えば、X線ミラーや該X線ミラーを成形する金型に、該X線の波長より大きい突起を連設すると所望の光学性能が得られなくなるために、このような場合には、当該光学素子成形用型を実施することができないという問題があった。また、炭素膜では、成形する可塑性素材によっては焼き付きや曇りが発生するために、全ての可塑性素材に対して使用することができないという問題もあった。
このように、成形品の所望の形状精度を得るためには、プレス成形した可塑性素材が、冷却時において収縮する際の摩擦抵抗を考慮する必要があり、本発明者は、鋭意検討した結果、プレス成形した可塑性素材の冷却工程において、成形型と可塑性素材との摩擦係数に応じて冷却速度を調整すればよいことを見出した。
すなわち、成形型と可塑性素材との摩擦係数が大きい場合は、プレス成形した可塑性素材の冷却速度を遅くして収縮量を小さくすることにより、歪みの少ない所望の形状精度を得ることができる。また、成形型と可塑性素材との摩擦係数が小さい場合は、プレス成形した可塑性素材の冷却速度を早くして収縮量を大きくしても抵抗が少ないので、該可塑性素材が相似的に収縮し、歪みの少ない所望の形状精度を得ることができる。よって、摩擦係数が小さい場合は、冷却速度を速くしてサイクルタイムを短縮することができる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、プレス成形した可塑性素材の冷却工程において、成形型と可塑性素材との摩擦係数に応じて冷却速度を調整することにより、成形品の形状精度の向上を図ることができ、また、冷却速度を速くしてサイクルタイムを短縮することができる可塑性素材の成形方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の可塑性素材の成形方法は、加熱溶融させた可塑性素材を成形型によりプレス成形した後に冷却する可塑性素材の成形方法において、前記可塑性素材と成形型との摩擦係数に応じて、前記可塑性素材の冷却速度を設定するようにしてある。好ましくは、前記可塑性素材と成形型との摩擦係数が0.1以下のときに、冷却速度を0.3℃/秒以上とする。
より好ましくは、前記可塑性素材を成形型でプレス成形する前に、該成形型にカーボンを付着させて、前記可塑性素材と成形型との摩擦係数を低くし、又は、前記可塑性素材の冷却開始時に、前記成形型にカーボンを付着させて、前記可塑性素材と成形型との摩擦係数を低くする。
より好ましくは、炭素元素から構成されるガス雰囲気で、前記可塑性素材を成形型によりプレス成形するようにし、また、前記可塑性素材を、ガラス、金属ガラス又は合成樹脂のいずれとする。
本発明の可塑性素材の成形方法によれば、プレス成形した可塑性素材の冷却工程において、成形型と可塑性素材との摩擦係数に応じて冷却速度を調整することにより、成形品の形状精度の向上を図ることができる。
また、成形型にカーボンを付着させて、可塑性素材と成形型との摩擦係数を低くした場合は、冷却速度を速くしてサイクルタイムを短縮することができる。特に、可塑性素材の冷却開始時に、成形型にカーボンを付着させて、可塑性素材と成形型との摩擦係数を低くした場合は、成形品の外観をより向上させることができる。
さらに、炭素元素から構成されるガス雰囲気で、前記可塑性素材を成形型によりプレス成形するようにしても、可塑性素材と成形型との摩擦係数を低くすることができ、成形品の形状精度の向上、及びサイクルタイムの短縮を図ることができる。
以下、本発明の実施形態に係る可塑性素材の成形方法について、図面を参照しつつ説明する。まず、本発明の第1実施形態に係る可塑性素材の成形方法について、図1〜図5を参照しつつ説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る可塑性素材の成形方法を実施するための成形装置の説明図である。図2は図1における下型の拡大図である。図3は成形型の加熱時におけるカーボンの揮発状態を示す拡大図である。図4は成形型による加圧完了直後のカーボンの付着状態を示す拡大図である。
図1において、本実施形態における成形装置1は、光学素子である両凸レンズをプレス成形するものであり、気密性を確保した成形室10内に、上型11、下型12及び胴型13からなる成形型を配置するとともに、前記胴型13の外周にヒータ14を配置した構成となっている。また、上型11の上部には加圧軸15が取り付けてあり、該加圧軸15によって上型11を加圧し、前記ヒータ14により加熱溶融した可塑性素材16を、上型11と下型12の各型面11a,12aによってプレス成形する。さらに、成形室10の下方両側には、不活性ガスの流入パイプ17と流出パイプ18とがそれぞれ取り付けてあり、各パイプ17,18には、それぞれ流量調整用の弁17a,18aが介設してある。
ここで、図2に示すように、本実施形態では、下型12の型面12aを取り囲むコバ部12b上にあらかじめカーボン19を載置し、図3に示すように、可塑性素材16をプレス成形する前に、ヒータ14の熱で該カーボン19を揮発させて、上型11と下型12の各型面11a,12aにカーボン19を付着させるようにしてある(図4参照)。
次に、上記成形装置を用いた本実施形態に係る可塑性素材の成形方法について、図1〜5を参照しつつ説明する。図5は本発明の第1実施形態に係る可塑性素材の成形方法の各工程図である。なお、図5の縦軸は本可塑性素材の成形方法の各工程を示し、横軸は各工程の実施時間を示す。
まず、図2に示すように、あらかじめ下型12のコバ部12bにカーボン19を塗布する(図5のS1参照)。該カーボン19は、カーボンを主成分とする溶剤であり、各型面11a,12aと可塑性素材16との摩擦係数を低くする役割を果たしている。溶剤中のカーボン含有量を調整することによって、該カーボン19の各型面11a,12aへの付着量を変化させ、各型面11a,12aと可塑性素材16との摩擦係数を調整することができる。
次いで、図1に示すように、前記カーボン19を付着させた下型12、上型11及び胴型13からなる成形型を組み立てて、成形室10内に配置する(図5のS2参照)。そして、流入パイプ17から成形室10内に不活性ガスを流入させる(図5のS3参照)。該不活性ガスは、上型11及び下型12の酸化防止を図るためのものであり、例えば、窒素ガスやアルゴンガスを用いる。
次いで、上型11、下型12及び胴型13からなる成形型をヒータ14で加熱する(図5のS4参照)。その後、図3に示すように、前記成形型の温度が約150℃以上となったところでカーボン19が揮発を開始する(図5のS5参照)。これにより、上型11と下型12の各型面11a,12aに揮発したカーボン19が付着する。
次いで、前記成形型と可塑性素材16とが所定温度になったときに、図示しないサーボモータ又は油圧シリンダ等の駆動手段を駆動させ、加圧軸15により上型11及び下型12の加圧を開始する(図5のS6参照)。その後、図4に示すように、可塑性素材16が所定形状になった時点で、加圧軸15による上型11及び下型12の加圧を終了する(図5のS7参照)。
次いで、上記プレス成形後の可塑性素材16を冷却する(図5のS8参照)。該冷却工程では、上型11及び下型12の各型面11a,12aと可塑性素材16との摩擦係数に応じて冷却速度を調整する。
すなわち、各型面11a,12aと可塑性素材16との摩擦係数が大きい場合は、プレス成形した可塑性素材16の冷却速度を遅くして収縮量を小さくすることにより、歪みの少ない所望の形状精度を得ることができる。また、各型面11a,12aと可塑性素材16との摩擦係数が小さい場合は、プレス成形した可塑性素材16の冷却速度を早くして収縮量を大きくしても抵抗が少ないので、該可塑性素材16が相似的に収縮し、歪みの少ない所望の形状精度を得ることができる。
また、該冷却工程における最適な冷却速度は、プレス成形の対象となる可塑性素材16の種類によっても異なり、後述するガラス、金属ガラス又は合成樹脂を対象とした実施例の結果から、好ましくは、各型面11a,12aと可塑性素材16との摩擦係数が0.1以下のときに、冷却速度を0.3℃/秒以上とするとよい。
その後、上型11及び下型12が所定温度まで冷却されたところで、上型11及び下型12を型開きして成形品(可塑性素材16)を取り出す(図5のS9参照)。
このような本実施形態に係る可塑性素材の成形方法によれば、プレス成形した可塑性素材16の冷却工程において、上型11及び下型12の各型面11a,12aと可塑性素材16との摩擦係数に応じて冷却速度を調整することにより、冷却時における可塑性素材16の収縮による歪みを低減することができ、最終的な成形品の形状精度の向上を図ることができる。
このような本実施形態に係る可塑性素材の成形方法によれば、プレス成形した可塑性素材16の冷却工程において、上型11及び下型12の各型面11a,12aと可塑性素材16との摩擦係数に応じて冷却速度を調整することにより、冷却時における可塑性素材16の収縮による歪みを低減することができ、最終的な成形品の形状精度の向上を図ることができる。
また、上型11及び下型12の各型面11a,12aにカーボン19を付着させて、可塑性素材16との摩擦係数を低くし、冷却速度を速くしてサイクルタイムを短縮することができる。
次に、本発明の第2実施形態に係る可塑性素材の成形方法について、図6〜図8を参照しつつ説明する。
図6は本発明の第2実施形態に係る可塑性素材の成形方法を実施するための成形装置の説明図である。図7は成形型の冷却時におけるカーボンの揮発状態を示す拡大図である。なお、上記第1実施形態と同様の箇所に関しては、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図6は本発明の第2実施形態に係る可塑性素材の成形方法を実施するための成形装置の説明図である。図7は成形型の冷却時におけるカーボンの揮発状態を示す拡大図である。なお、上記第1実施形態と同様の箇所に関しては、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図6において、本実施形態における成形装置2は、成形室10内の流入パイプ17排出口手前に、焼結カーボン21と、該焼結カーボン21を揮発させるためのヒータ等の加熱手段22とを配置するとともに、揮発させたガス状のカーボン21を上型11及び下型12の各型面11a,12aに流入させる(図7参照)ための通気口13aを胴型13に設けた構成としてある。
次に、上記成形装置を用いた本実施形態に係る可塑性素材の成形方法について、図6〜図8を参照しつつ説明する。図8は本発明の第2実施形態に係る可塑性素材の成形方法の各工程図である。なお、図8の縦軸は本可塑性素材の成形方法の各工程を示し、横軸は各工程の実施時間を示す。
まず、図6に示すように、あらかじめ成形室10内の流入パイプ17排出口手前に、焼結カーボン21と、該焼結カーボン21を揮発させるための加熱手段22とを配置する(図8のS11参照)。次いで、上型11、下型12及び胴型13からなる成形型を組み立てて、成形室10内に配置する(図8のS12参照)。そして、流入パイプ17から成形室10内に不活性ガスを流入させる(図8のS13参照)。
次いで、上型11、下型12及び胴型13からなる成形型をヒータ14で加熱する(図8のS14参照)。その後、前記成形型と可塑性素材16とが所定温度になったときに、図示しないサーボモータ又は油圧シリンダ等の駆動手段を駆動させ、加圧軸15により上型11及び下型12の加圧を開始する(図5のS15参照)。その後、可塑性素材16が所定形状になった時点で、加圧軸15による上型11及び下型12の加圧を終了する(図8のS16参照)。
次いで、加熱手段22を駆動させて焼結カーボン21を加熱する(図8のS17参照)。その後、成形室10内に揮発してガス状になったカーボン21が満たされたところで、上記プレス成形後の可塑性素材16の冷却を開始する(図5のS18参照)。
すると、冷却開始時には、上型11及び下型12の各型面11a,12aと可塑性素材16とが密着しているが、冷却が進行するに従って、上型11及び下型12と可塑性素材16との線膨張率の差から、図7に示すような隙間が発生する。これにより、該隙間にガス状になったカーボン21が入り、上型11及び下型12の各型面11a,12aと可塑性素材16との摩擦係数を低減させる。
その後、上型11及び下型12が所定温度まで冷却されたところで、上型11及び下型12を型開きして成形品(可塑性素材16)を取り出す(図8のS19参照)。
このような本実施形態に係る可塑性素材の成形方法によれば、第1実施形態と同様に、プレス成形した可塑性素材16の冷却工程において、上型11及び下型12の各型面11a,12aと可塑性素材16との摩擦係数に応じて冷却速度を調整することにより、冷却時における可塑性素材16の収縮による歪みを低減することができ、最終的な成形品の形状精度の向上を図ることができる。
このような本実施形態に係る可塑性素材の成形方法によれば、第1実施形態と同様に、プレス成形した可塑性素材16の冷却工程において、上型11及び下型12の各型面11a,12aと可塑性素材16との摩擦係数に応じて冷却速度を調整することにより、冷却時における可塑性素材16の収縮による歪みを低減することができ、最終的な成形品の形状精度の向上を図ることができる。
また、第1実施形態と同様に、上型11及び下型12の各型面11a,12aにカーボン19を付着させて、可塑性素材16との摩擦係数を低くし、冷却速度を速くしてサイクルタイムを短縮することができる。
さらに、本実施形態に係る可塑性素材の成形方法によれば、可塑性素材16の冷却開始時に、上型11及び下型12の各型面11a,12aにカーボン21を付着させて、可塑性素材と成形型との摩擦係数を低くしているので、成形品の外観をより向上させることができる。
次に、本発明の第3実施形態に係る可塑性素材の成形方法について、図9を参照しつつ説明する。図9は本発明の第3実施形態に係る可塑性素材の成形方法を実施するための成形装置の説明図である。なお、上記第1実施形態と同様の箇所に関しては、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図9において、本実施形態における成形装置3は、流入パイプ17の吸気口側に不活性ガス発生装置30を接続した構成としてあり、該成形装置3を用いた本可塑性素材の成形方法は、可塑性素材16の加熱開始前時に、前記不活性ガス発生装置30から不活性ガスと揮発させたカーボンとの混合ガスを成形室10内に供給するようにしてある。
このような本実施形態に係る可塑性素材の成形方法によれば、第1実施形態の成形方法と同様の作用効果を奏するとともに、既存の不活性ガス発生装置30をそのまま利用してカーボンガスを供給することができるので、第2実施形態の成形方法と比較して、本成形方法の実施に用いる装置の構成を簡単化することができる。
また、可塑性素材16の冷却開始時にカーボンガスが、上型11及び下型12の各型面11a,12aに付着するようなタイミングで該カーボンガスの供給を行えば、第2実施形態の成形方法と同様に、成形品の外観をより向上させることができる。
なお、本発明の可塑性素材の成形方法は、上述した各実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、上型11及び下型12の各型面11a,12aと可塑性素材16との摩擦係数を低くするためにカーボンを使用したが、これに限らず、カーボン以外の炭素元素から構成されるガス雰囲気で、可塑性素材16を上型11及び下型12によりプレス成形するようにしてもよい。
また、窒化ホウ素(BN)により各型面11a,12aと可塑性素材16との摩擦係数を低くすることもできる。但し、窒化ホウ素(BN)はガス化が困難であるため、この場合は、成形品の所望する製品品質に問題ない微粒子のものを各型面11a,12aに直接塗布することが望ましい。
さらに、本成形方法の対象となる成形品の形状は、上記各実施形態のような凸形状に限定されるものではなく、凹形状、その他形状の成形品のプレス成形に適用することができる。
[摩擦係数の測定]
摩擦係数の測定には、SEM社 TRIBOMETER/HTを使用した。図示を省略した平面の金型(成形型)と球体の可塑性素材により摩擦係数の測定を実施した。摩擦係数を測定する平面の金型は、実際の成形と同じ工程で摩擦を変化させる手段をとった後に、摩擦係数計数測定器を使用し測定した。
[使用した可塑性素材]
可塑性素材としてガラス素材を使用した。ガラス素材を加圧成形し、冷却工程に移行する際の温度である630℃の時点での摩擦係数を測定して、摩擦係数の異なる7種類の金型を準備し、冷却速度を変更し実施した。金型表面は、酸化防止とガラス素材との融着防止のために被覆した。
[成形方法の内容]
上述した第1実施形態と同様の成形装置及び成形方法(図1参照)によって、ヒータによる成形型の加熱時にカーボンを揮発させて該成形型の型面に付着させた。次いで、変形可能な温度まで加熱した時点で加圧を開始し、設定した肉厚となるまで加圧した。その後、冷却時に、ガラス転移点温度までの冷却速度と摩擦係数とを組み合わせ、成形品の形状精度を測定した。
[測定結果]
測定結果を図10の折線グラフに示す。摩擦係数が小さい場合は、ガラス素材の収縮が阻害されないので、収縮時の収縮割合を大きくしても歪みが発生しない。これと逆に、摩擦係数が大きい場合は、ガラス素材が収縮するときの抵抗となり、収縮時の収縮割合が大きい歪みが発生する。ガラス素材の場合、摩擦係数が0.35以下のときは冷却速度に依存しなかった。しかし、摩擦係数が0.4を越えたときは冷却速度を遅くしないと、歪みが発生して形状精度が悪くなってしまった。
摩擦係数の測定には、SEM社 TRIBOMETER/HTを使用した。図示を省略した平面の金型(成形型)と球体の可塑性素材により摩擦係数の測定を実施した。摩擦係数を測定する平面の金型は、実際の成形と同じ工程で摩擦を変化させる手段をとった後に、摩擦係数計数測定器を使用し測定した。
[使用した可塑性素材]
可塑性素材としてガラス素材を使用した。ガラス素材を加圧成形し、冷却工程に移行する際の温度である630℃の時点での摩擦係数を測定して、摩擦係数の異なる7種類の金型を準備し、冷却速度を変更し実施した。金型表面は、酸化防止とガラス素材との融着防止のために被覆した。
[成形方法の内容]
上述した第1実施形態と同様の成形装置及び成形方法(図1参照)によって、ヒータによる成形型の加熱時にカーボンを揮発させて該成形型の型面に付着させた。次いで、変形可能な温度まで加熱した時点で加圧を開始し、設定した肉厚となるまで加圧した。その後、冷却時に、ガラス転移点温度までの冷却速度と摩擦係数とを組み合わせ、成形品の形状精度を測定した。
[測定結果]
測定結果を図10の折線グラフに示す。摩擦係数が小さい場合は、ガラス素材の収縮が阻害されないので、収縮時の収縮割合を大きくしても歪みが発生しない。これと逆に、摩擦係数が大きい場合は、ガラス素材が収縮するときの抵抗となり、収縮時の収縮割合が大きい歪みが発生する。ガラス素材の場合、摩擦係数が0.35以下のときは冷却速度に依存しなかった。しかし、摩擦係数が0.4を越えたときは冷却速度を遅くしないと、歪みが発生して形状精度が悪くなってしまった。
[使用した可塑性素材]
可塑性素材としてオレフィン系樹脂素材(合成樹脂)を使用した。オレフィン系樹脂素材を加圧成形し、冷却工程に移行する際の温度である200℃の時点での摩擦係数を測定し、摩擦係数の異なる7種類の金型を準備し、冷却速度を変更し実施した。
[摩擦係数の測定]
上記実施例1と同様
[成形方法の内容]
上記実施例1と同様
[測定結果]
測定結果を図11の折線グラフに示す。オレフィン系樹脂素材においても、摩擦係数の値が小さいと冷却速度を早くしてもよく、摩擦係数の値が大きいと冷却速度を遅くしなければ、形状精度が悪かった。
可塑性素材としてオレフィン系樹脂素材(合成樹脂)を使用した。オレフィン系樹脂素材を加圧成形し、冷却工程に移行する際の温度である200℃の時点での摩擦係数を測定し、摩擦係数の異なる7種類の金型を準備し、冷却速度を変更し実施した。
[摩擦係数の測定]
上記実施例1と同様
[成形方法の内容]
上記実施例1と同様
[測定結果]
測定結果を図11の折線グラフに示す。オレフィン系樹脂素材においても、摩擦係数の値が小さいと冷却速度を早くしてもよく、摩擦係数の値が大きいと冷却速度を遅くしなければ、形状精度が悪かった。
[使用した可塑性素材]
可塑性素材としてアモルファス金属素材(金属ガラス)を使用した。アモルファス金属素材を加圧成形し、冷却工程に移行する際の温度である480℃の時点での摩擦係数を測定し、摩擦係数の異なる7種類の金型を準備し、冷却速度を変更し実施した。
[摩擦係数の測定]
上記実施例1と同様
[成形方法の内容]
上記実施例1と同様
[測定結果]
測定結果を図12の折線グラフに示す。アモルファス金属素材においても、摩擦係数の値が小さいと冷却速度を早くしてもよく、摩擦係数の値が大きいと冷却速度を遅くしなければ、形状精度が悪かった。
可塑性素材としてアモルファス金属素材(金属ガラス)を使用した。アモルファス金属素材を加圧成形し、冷却工程に移行する際の温度である480℃の時点での摩擦係数を測定し、摩擦係数の異なる7種類の金型を準備し、冷却速度を変更し実施した。
[摩擦係数の測定]
上記実施例1と同様
[成形方法の内容]
上記実施例1と同様
[測定結果]
測定結果を図12の折線グラフに示す。アモルファス金属素材においても、摩擦係数の値が小さいと冷却速度を早くしてもよく、摩擦係数の値が大きいと冷却速度を遅くしなければ、形状精度が悪かった。
1,2,3 成形装置
10 成形室
11 上型(成形型)
12 下型(成形型)
13 胴型(成形型)
13a 通気口
14 ヒータ
15 加圧軸
16 可塑性素材
17 流入パイプ
18 流出パイプ
17a,18a
19 カーボン
21 焼結カーボン
22 加熱手段
30 不活性ガス発生装置
10 成形室
11 上型(成形型)
12 下型(成形型)
13 胴型(成形型)
13a 通気口
14 ヒータ
15 加圧軸
16 可塑性素材
17 流入パイプ
18 流出パイプ
17a,18a
19 カーボン
21 焼結カーボン
22 加熱手段
30 不活性ガス発生装置
Claims (6)
- 加熱溶融させた可塑性素材を成形型によりプレス成形した後に冷却する可塑性素材の成形方法において、前記可塑性素材と成形型との摩擦係数に応じて、前記可塑性素材の冷却速度を設定することを特徴とする可塑性素材の成形方法。
- 前記可塑性素材と成形型との摩擦係数が0.1以下のときに、冷却速度を0.3℃/秒以上としたことを特徴とする請求項1記載の可塑性素材の成形方法。
- 前記可塑性素材を成形型でプレス成形する前に、該成形型にカーボンを付着させて、前記可塑性素材と成形型との摩擦係数を低くすることを特徴とする請求項1又は2記載の可塑性素材の成形方法。
- 前記可塑性素材の冷却開始時に、前記成形型にカーボンを付着させて、前記可塑性素材と成形型との摩擦係数を低くすることを特徴とする請求項1又は2記載の可塑性素材の成形方法。
- 炭素元素から構成されるガス雰囲気で、前記可塑性素材を成形型によりプレス成形することを特徴とする請求項項1又は2記載の可塑性素材の成形方法。
- 前記可塑性素材が、ガラス、金属ガラス又は合成樹脂のいずれかである請求項1〜5記載の可塑性素材の成形方法。
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2004
- 2004-09-22 JP JP2004274647A patent/JP2006089313A/ja active Pending
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