JP2006086609A - 電圧制御発振回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】CMOSプロセスが変化しても安定した発振特性を持つことができ、PLL回路に適用した場合にジッタの低減設計が容易になる電圧制御発振回路を得ること。
【解決手段】補正回路2は、製造プロセスのばらつきに依ってリングオシレータ回路63の出力周波数が所望の周波数よりも高くなる条件時にはリングオシレータ回路63に供給する発振制御電流Iaを少なくするようにPMOSトランジスタ15aを制御し、逆にリングオシレータ回路63の出力周波数が所望の周波数よりも低くなる条件時にはリングオシレータ回路63に供給する発振制御電流Iaが多くするようにNMOSトランジスタ15aを制御する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、電圧制御発振回路に関し、特にCMOSトランジスタで構成されるPLL(Phase Locked Loop)回路で用いる電圧制御発振回路に関するものである。
図5は、PLL回路の一般的な構成例を示すブロック図である。図5に示すように、PLL回路は、入力クロック信号CLKを一方の入力とする位相比較器51と、位相比較器51の出力を受けるチャージポンプ回路52と、チャージポンプ回路52の出力をローパスフィルタ(LPF)53を介して受けて発信周波数が制御される電圧制御発振(Voltage Controlled Oscillator:以降「VCO」と記す)回路54と、VCO回路54の出力クロック信号CLKを分周して位相比較器51の他方の入力に与える分周器55とで構成される。
そして、従来のVCO回路54は、例えば図6に示すように、チャージポンプ回路52の出力をローパスフィルタ(LPF)53を介して受ける電圧・電流変換回路(VI変換回路)61と、VI変換回路61の出力を受けるカレントミラー回路62と、カレントミラー回路62の出力電流で発振動作を行うリングオシレータ回路63とで構成されている。
図5において、位相比較器51は、入力クロック信号CLKと分周器55が出力する帰還クロック信号との位相および周波数を比較し、その位相差、周波数差からVCO回路54の発信周波数が高いか低いかを検出し、高い場合はダウン信号をチャージポンプ回路52に与え、低い場合はアップ信号をチャージポンプ回路52に与える。
チャージポンプ回路52は、アップ信号が入力すると発振制御信号の電位を高くし、またダウン信号が入力すると発振制御信号の電位を低くするように動作する。VCO回路54にはこのような発振制御信号がローパスフィルタ(LPF)53を介して入力される。
図6において、V/I変換回路61は、入力された発振制御信号の電圧に対応した発振制御電流を発生する。カレントミラー回路62は、V/I変換回路61からの発振制御電流をカレントミラーさせて所望の電流を生成しリングオシレータ回路63に与える。
リングオシレータ回路63は、例えば3個以上の奇数個のインバータを直列に接続し、最終段の出力信号を初段の入力端に帰還した構成である。発振周波数は、奇数個のインバータを論理が一巡する時間によって決定される。
このようなPLL回路のトータルゲインは、
トータルゲイン=2π×VCO回路のゲイン×位相比較器のゲイン ……(1)
で示される。ここで、式(1)におけるVCO回路のゲインは式(2)で示され、位相比較器のゲインは式(3)で示される。
VCO回路のゲイン=出力周波数/入力電圧値[Hz/V] ……(2)
位相比較器のゲイン=出力平均電流[nA/ns]/(位相差[ns]×10-9
×T/2π) ……(3)
ところで、PLL回路のジッタは、VCO回路のゲインを小さくすることで低減できることが知られているが、高い周波数出力の仕様を持つVCO回路ではゲインを小さくすることができない。そこで、従来では、図6に示すように、VI変換回路61の出力端とカレントミラー回路62の入力端とを接続するラインと接地(GND)との間に抵抗素子R1を介在させて一定電流Ibを流し、VCO回路54の入力電圧がゼロの時でもVCO回路54の出力が“ある程度の周波数を出力”するように“出力周波数の底上げ”を行うことで、高い周波数出力の仕様を持つVCO回路のゲインを小さくし、PLL回路のジッタを低減するようにしている。
特開昭59−228413号公報 特開昭63−127495号公報 特開平2−89422号公報 特開平3−235512号公報 特開平7−99445号公報 特開2001−94399号公報
しかしながら、CMOSプロセスのばらつきに依ってトランジスタの電流増幅率βが変化すると、VCO回路のリングオシレータでは、図7、図8に示すように出力周波数が大きく変化するので、図6に示すように抵抗素子R1を挿入してゲインを低くしても、従来のVCO回路では、CMOSプロセスのばらつき等の要因を考慮しつつ、所望の周波数条件を満たすように設計するには限界がある。以下、図7、図8を参照して具体的に説明する。なお、図7、図8は、図6に示すVCO回路においてトランジスタの電流増幅率βが変化したときの入力電圧と出力周波数の関係を説明する特性図である。
図7、図8において、特性(72)は、電流増幅率βのばらつきが無い場合の入力電圧と出力周波数の関係特性である。特性(73)は、電流増幅率βが大きくなる方にばらついた場合の入力電圧と出力周波数の関係特性である。特性(74)は、電流増幅率βが小さくなる方にばらついた場合の入力電圧と出力周波数の関係特性である。特性(72)、特性(73)、特性(74)は、それぞれ図6に示すように、抵抗素子R1に同じ量の電流が流れている状態での特性である。
図7において、特性(73)での入力電圧がゼロの時の出力周波数75は、特性(72)よりも高くなる。また、特性(74)での入力電圧がゼロの時の出力周波数76は、特性(72)よりも低くなる。また、所望の周波数71を出力できる入力電圧は、特性(73)では、特性(72)よりも低くなり、特性(74)では、特性(72)より高くもなる。そして、特性(73)での入力電圧値と特性(74)での入力電圧値との電位差77は相当に大きくなる。これは、ローパスフィルタ(LPF)の容量値の電圧依存性の影響が大きいことを意味している。
換言すれば、PLL回路のジッタは、トータルゲインを高くすることでも低減が行えるが、従来では、上記のようにローパスフィルタ(LPF)の容量値の電圧依存性の影響が大きいので、ローパスフィルタ(LPF)の容量値をPLL回路のトータルゲインを高くするような値に選択設定することができない。
また、図8において、特性(72)では、入力電圧が増減すると、出力周波数が所望の周波数71の上下に直線的に変化する。これに対し、特性(73)では、入力電圧がゼロの状態でも出力周波数81が所望の周波数71よりも高い状態になる。また、特性(74)では、入力電圧を増加させても出力周波数82は所望の周波数71を超えない状態が起こる。
この発明は、上記に鑑みてなされたものであり、CMOSプロセスが変化しても安定した発振特性を持つことができ、PLL回路に適用した場合にジッタの低減設計が容易になる電圧制御発振回路を得ることを目的とする。
上述した目的を達成するために、この発明は、発振制御電圧から変換された発振制御電流を受けて所望の周波数で発振動作を行うリングオシレータを備えた電圧制御発振回路において、前記発振制御電流の供給ラインと接地との間に設けられ可変抵抗素子として作用するMOSトランジスタと、製造プロセスのばらつきに依って前記リングオシレータの出力周波数が所望の周波数よりも高くなる条件時には前記リングオシレータに供給する前記発振制御電流を少なくするように前記MOSトランジスタを制御し、逆に前記リングオシレータの出力周波数が所望の周波数よりも低くなる条件時には前記リングオシレータに供給する前記発振制御電流が多くするように前記MOSトランジスタを制御する補正回路とを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、CMOSプロセスにて製造される電圧制御発振回路において、リングオシレータに供給する発振制御電流の大きさを、トランジスタの電流増幅率の増減方向とは逆向きの関係で調整することができるので、CMOSプロセスが変化しても安定した発振特性を持つことができる。
この発明によれば、CMOSプロセスが変化しても安定した発振特性を持つことができるという効果を奏する。
以下に図面を参照して、この発明にかかる電圧制御発振回路の好適な実施の形態を詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による電圧制御発振回路が備える補正回路の構成を示す回路図である。この実施の形態1では、NMOSトランジスタの電流増幅率βのばらつきによる電流変化を補正する場合の構成例が示されている。
図1に示すように、実施の形態1による電圧制御発振回路(VCO回路)1では、図6に示した抵抗素子R1に代えて、可変抵抗素子として機能するNMOSトランジスタ15aを設け、このNMOSトランジスタ15aのゲート電圧値を制御する補正回路2が追加されている。
図1において、電源5には、PMOSトランジスタ6,8,9のソース電極がそれぞれ接続されている。PMOSトランジスタ6のドレイン電極とゲート電極は共通に接続されて、NMOSトランジスタ7を介して接地(GND)に接続されるとともに、PMOSトランジスタ10,11の各ゲート電極に接続されている。
PMOSトランジスタ8のドレイン電極はPMOSトランジスタ10のソース電極に接続されている。PMOSトランジスタ10のドレイン電極は、NMOSトランジスタ12のドレイン電極に接続されるとともに、PMOSトランジスタ8,9の各ゲート電極に接続されている。NMOSトランジスタ12のソース電極は、抵抗素子14を介して接地(GND)に接続されている。
PMOSトランジスタ9のドレイン電極はPMOSトランジスタ11のソース電極に接続されている。PMOSトランジスタ11のドレイン電極は、NMOSトランジスタ13のドレイン電極に接続されるとともに、NMOSトランジスタ7,12,13,15の各ゲート電極に接続されている。NMOSトランジスタ13のソース電極は、直接接地(GND)に接続されている。
ここで、NMOSトランジスタ12のサイズは、NMOSトランジスタ13を含む他のトランジスタよりも大きく、その電流増幅率βは4倍以上となっている。この補正回路2では、NMOSトランジスタ12を流れる電流Iaと同じ大きさの電流IaがNMOSトランジスタ13に流れるように動作するので、NMOSトランジスタ12のゲート・ソース間電圧をVgs1とし、抵抗素子14の両端電圧をVaとし、NMOSトランジスタ12とゲート電極が共通接続されるNMOSトランジスタ13のゲート・ソース間電圧をVgs2とすると、
Vgs1+Va=Vgs2 ……(4)
なる関係が維持される。これによって、NMOSトランジスタ15aのゲート電圧値は、同じ大きさの電流Iaが流れるように制御される。NMOSトランジスタ15aに流れる電流Iaは、リングオシレータ回路63に供給される電流と同じ大きさである。
MOSトランジスタではゲート・ソース間電圧Vgsとドレイン電流Iaとの関係は、閾値電圧値をVthとすると、
Vgs=√(2Ia/β)+Vth ……(5)
で示される。この式(5)を式(4)に代入し、抵抗素子14の抵抗値Rを用いてドレイン電流Iaについて整理すると、
Ia=1/(2βR2) ……(6)
となる。
つまり、補正回路2は、Ia=1/(2βR2)なる電流特性を持っている。この式(6)から、NMOSトランジスタ12,13の電流増幅率βが大きくなると、電流Iaの値は小さくなり、逆にNMOSトランジスタ12,13の電流増幅率βが小さくなると、電流Iaの値は大きくなることが解る。このように、補正回路2は、NMOSトランジスタ12,13の電流増幅率βの増減方向と逆向きに電流Iaを増減させる制御を行うようになっている。
したがって、CMOSプロセスのばらつきに依ってNMOSトランジスタの電流増幅率βが大きくなると、リングオシレータ回路63では同じ電流量でも出力周波数は所望の周波数よりも高くなるが、補正回路2では、NMOSトランジスタ12,13の電流増幅率βが大きくなると、式(6)に従って電流Iaが小さくなるので、NMOSトランジスタ15aはリングオシレータ回路63に供給する電流iaを小さくする。これによって、リングオシレータ回路63では出力周波数を低くする方向に制御されるが、電流増幅率βが大きい方にずれているので、出力周波数は所望の周波数よりも低くならず、所望の周波数出力が確保される。
また、逆に、CMOSプロセスのばらつきに依ってNMOSトランジスタの電流増幅率βが小さくなると、リングオシレータ回路63では同じ電流量でも出力周波数は低くなるが、補正回路2では、NMOSトランジスタ12,13の電流増幅率βが小さくなると、式(6)に従って電流Iaが大きくなるので、NMOSトランジスタ15aはリングオシレータ回路63に供給する電流iaを大きくする。これによって、リングオシレータ回路63では出力周波数を高くする方向に制御されるが、電流増幅率βが小さい方にずれているので、出力周波数は所望の周波数よりも高くならず、所望の周波数出力が確保される。
図2は、図1に示す電圧制御発振回路においてトランジスタの電流増幅率βが変化したときの入力電圧と出力周波数との関係を説明する特性図(シミュレーション結果図)である。シミュレーション(sim)の条件は、表1に示してある。
Figure 2006086609
表1に示すように、シミュレーション(sim)条件には、「bestB(ベストB)」「typical(ティピカル)」「worstB(ワーストB)」の3つがある。シミュレーション(sim)条件「bestB」は、NMOSトランジスタの電流増幅率βが大きくなる方にばらついた場合であり、電源電圧3.3V、温度−30℃でシミュレーションした。その結果、図2に示す特性(22)が得られた。なお、ローパスフィルタ(LPF)53での抵抗値、容量値のばらつきは、1としている。
シミュレーション(sim)条件「typical」は、NMOSトランジスタの電流増幅率βにばらつきが無い場合であり、電源電圧3.0V、温度27℃でシミュレーションした。その結果、図2に示す特性(21)が得られた。なお、ローパスフィルタ(LPF)53での抵抗値、容量値のばらつきは、1としている。
シミュレーション(sim)条件「worstB」は、NMOSトランジスタの電流増幅率βが小さくなる方にばらついた場合であり、電源電圧2.7V、温度90℃でシミュレーションした。その結果、図2に示す特性(23)が得られた。なお、ローパスフィルタ(LPF)53での抵抗値、容量値のばらつきは、1としている。
図2において、特性(23)での入力電圧がゼロの時の出力周波数25は、特性(21)よりも高くなる。つまり、電流増幅率βのばらつきが小さくなる条件下では、底上げした出力周波数25は、従来例とは逆に、電流増幅率βにばらつきが無い場合よりも高くなる。また、特性(22)での入力電圧がゼロの時の出力周波数26は、特性(21)よりも低くなる。つまり、電流増幅率βのばらつきが大きくなる条件下では、底上げした出力周波数26は、従来例とは逆に、電流増幅率βにばらつきが無い場合よりも低くなる。
そして、所望の周波数20を出力できる特性(22)での入力電圧値と特性(23)での入力電圧値との電位差24は相当に狭くなる。これは、ローパスフィルタ(LPF)の容量値の電圧依存性の影響が小さいことを意味している。
このように、実施の形態1によれば、プロセス条件が変化してNMOSトランジスタの電流増幅率βがばらついても、所望の周波数出力を確保でき、かつ、VCO回路のゲインを低くする設計が行えるので、これを用いたPLL回路では、ジッタの低減が図れる。
また、この実施の形態1によるVCO回路では、プロセス条件が変化してNMOSトランジスタの電流増幅率βがばらついても、所望の周波数を出力する際の入力電圧の差は小さいので、ローパスフィルタ(LPF)の容量値の電圧依存による特性差が小さくなる。これによって、PLL回路のトータルゲインが高くなるようなローパスフィルタ(LPF)の抵抗値、容量値を選択することができるので、プロセス条件が変化しても高いトータルゲインでPLL回路の設計が可能となり、ジッタ低減のための設計が容易になる。
なお、図1において、PMOSトランジスタ10,11は、電源電圧に変化が生じた場合でも当該補正回路2の式(6)に示した電流特性に悪影響がないようにするために設けてある。したがって、省略可能である。
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2による電圧制御発振回路が備える補正回路の構成を示す回路図である。この実施の形態2では、PMOSトランジスタの電流増幅率βのばらつきによる電流変化を補正する場合の構成例が示されている。
図3に示すように、実施の形態2による電圧制御発振回路(VCO回路)30では、図6に示した抵抗素子R1に代えて、可変抵抗素子として機能するNMOSトランジスタ47aを設け、このNMOSトランジスタ47aのゲート電圧値を制御する補正回路31aが追加されている。
図3において、電源35には、PMOSトランジスタ36,40,45aのソース電極がそれぞれ接続され、また抵抗素子38を介してPMOSトランジスタ39のソース電極がそれぞれ接続されている。PMOSトランジスタ39,40の各ゲート電極は共通に、PMOSトランジスタ36のゲート電極と、PMOSトランジスタ40のドレイン電極とNMOSトランジスタ42のドレイン電極との接続端と、PMOSトランジスタ45aのゲート電極とに接続されている。
PMOSトランジスタ36のドレイン電極は、NMOSトランジスタ37のドレイン電極およびゲート電極と、NMOSトランジスタ41,42の各ゲート電極とに接続されている。NMOSトランジスタ37のソース電極は接地(GND)に接続されている。
NMOSトランジスタ41のソース電極はNMOSトランジスタ43のドレイン電極に接続され、NMOSトランジスタ43のソース電極は接地(GND)に接続されている。NMOSトランジスタ42のソース電極はNMOSトランジスタ44のドレイン電極に接続され、NMOSトランジスタ44のソース電極は接地(GND)に接続されている。
そして、NMOSトランジスタ43,44の各ゲート電極は共通に、PMOSトランジスタ39のドレイン電極とNMOSトランジスタ41のドレイン電極との接続端に接続されている。PMOSトランジスタ45aのドレイン電極は、NMOSトランジスタ46のドレイン電極およびゲート電極と、NMOSトランジスタ47aのゲート電極と接続され、NMOSトランジスタ46のソース電極は接地(GND)に接続されている。
ここで、PMOSトランジスタ39のサイズは、PMOSトランジスタ40を含む他のトランジスタよりも大きく、その電流増幅率βは4倍以上となっている。この補正回路31aにおける電流特性は、式(6)と同様であり、CMOSプロセスのばらつきに依ってリングオシレータの出力周波数が高くなる条件時にはリングオシレータ回路63に供給する電流が少なくなるように、また逆にリングオシレータ回路63の出力周波数が低くなる条件時にはリングオシレータ回路63に供給する電流が大きくなるように、このNMOSトランジスタ47aのゲート電圧値を制御することができる。
したがって、実施の形態2においても、実施の形態1と同様の電流調整動作が行われるので、プロセス条件が変化してPMOSトランジスタの電流増幅率βがばらついても、所望の周波数出力を確保でき、かつ、VCO回路のゲインを低くする設計が行えるので、これを用いたPLL回路では、ジッタの低減が図れる。そして、プロセス条件が変化しても高いトータルゲインでPLL回路の設計が可能となり、ジッタ低減のための設計が容易になる。
なお、図3において、NMOSトランジスタ41,42は、電源電圧に変化が生じた場合でも当該補正回路31aの式(6)に示した電流特性に悪影響がないようにするために設けてある。したがって、省略可能である。
実施の形態3.
図4は、この発明の実施の形態3による電圧制御発振回路が備える補正回路の構成を示す回路図である。この実施の形態3では、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタの双方において電流増幅率βのばらつきによる電流変化を補正する場合の構成例が示されている。なお、図4では、実施の形態1(図1)と実施の形態2(図3)に示した構成要素と同一ないしは同等である要素には同一の符号が付されている。ここでは、実施の形態3に関わる部分について説明する。
図4に示すように、実施の形態3による電圧制御発振回路(VCO回路)49では、NMOSトランジスタの電流増幅率βのばらつきによる電流変化を補正する実施の形態1にて示した補正回路2と、PMOSトランジスタの電流増幅率βのばらつきによる電流変化を補正する補正回路31bとを備えている。
補正回路2が制御するNMOSトランジスタ15bは、NMOSトランジスタ15aよりもサイズが小さく、電流増幅率は、半分のβ/2となっている。
また、補正回路31bでは、実施の形態2(図3)に示した補正回路31aにおいて、PMOSトランジスタ45aに代えてPMOSトランジスタ45bが設けられている。PMOSトランジスタ45bはPMOSトランジスタ45aよりもサイズが小さく、電流増幅率は、半分のβ/2となっている。
そして、補正回路31bが制御するNMOSトランジスタ47bは、NMOSトランジスタ47aよりもサイズが小さく、電流増幅率は、半分のβ/2となっている。
この構成によれば、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタの双方において電流増幅率βのばらつきに対応して(Ia/2)±αの電流を流すことができるので、安定した出力周波数特性が得られる。
以上のように、この発明にかかる電圧制御発振回路は、CMOSプロセスが変化しても安定した発振特性を得るのに有用であり、特に、PLL回路においてジッタの低減設計を行うのに適している。
この発明の実施の形態1による電圧制御発振回路が備える補正回路の構成を示す回路図である。 図1に示す電圧制御発振回路においてトランジスタの電流増幅率βが変化したときの入力電圧と出力周波数の関係を説明する特性図(シミュレーション結果図)である。 この発明の実施の形態2による電圧制御発振回路が備える補正回路の構成を示す回路図である。 この発明の実施の形態3による電圧制御発振回路が備える補正回路の構成を示す回路図である。 PLL回路の一般的な構成例を示すブロック図である。 図5に示すVCO回路の従来例を示すブロック図である。 図6に示すVCO回路においてトランジスタの電流増幅率βが変化したときの入力電圧と出力周波数の関係を説明する特性図である(その1)。 図6に示すVCO回路においてトランジスタの電流増幅率βが変化したときの入力電圧と出力周波数の関係を説明する特性図である(その2)。
符号の説明
1,30,49 電圧制御発振回路(VCO回路)
2 補正回路
5 電源
6,8,9,10,11 PMOSトランジスタ
7,12,13,15a,15b NMOSトランジスタ
14 抵抗素子
31a,31b 補正回路
35 電源
36,39,40,45a,45b PMOSトランジスタ
37,41,42,43,44,45a,45b,46,47a,47b NMOSトランジスタ
61 電圧電流変換回路(VI変換回路)
62 カレントミラー回路
63 リングオシレータ回路

Claims (5)

  1. 発振制御電圧から変換された発振制御電流を受けて所望の周波数で発振動作を行うリングオシレータを備えた電圧制御発振回路において、
    前記発振制御電流の供給ラインと接地との間に設けられ可変抵抗素子として作用するMOSトランジスタと、
    製造プロセスのばらつきに依って前記リングオシレータの出力周波数が所望の周波数よりも高くなる条件時には前記リングオシレータに供給する前記発振制御電流を少なくするように前記MOSトランジスタを制御し、逆に前記リングオシレータの出力周波数が所望の周波数よりも低くなる条件時には前記リングオシレータに供給する前記発振制御電流が多くするように前記MOSトランジスタを制御する補正回路と、
    を備えたことを特徴とする電圧制御発振回路。
  2. 前記補正回路は、
    ソース電極が接地に接続され、ドレイン電極とゲート電極とが共通に前記MOSトランジスタのゲート電極に接続される第1のNMOSトランジスタと、
    ソース電極が抵抗素子を介して接地に接続され、ゲート電極が前記第1のNMOSトランジスタのゲート電極に接続され、前記第1のNMOSトランジスタよりも4倍以上の電流増幅率を有する第2のNMOSトランジスタとを備え、
    電流増幅率をβ、前記抵抗素子の抵抗値をRとしたとき、前記第1および第2のNMOSトランジスタに流れる電流Iは、I=1/(2βR2)なる特性を有している、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電圧制御発振回路。
  3. 前記補正回路は、
    ソース電極が電源に接続され、ドレイン電極とゲート電極とが共通に接続される第1のPMOSトランジスタと、
    ソース電極が抵抗素子を介して電源に接続され、ゲート電極が前記第1のPMOSトランジスタのゲート電極に接続され、前記第1のPMOSトランジスタよりも4倍以上の電流増幅率を有する第2のPMOSトランジスタと、
    ソース電極が電源に接続され、ゲート電極が前記第1のPMOSトランジスタのドレイン電極に接続され、ドレイン電極が前記MOSトランジスタのゲート電極に接続される第3のPMOSトランジスタとを備え、
    電流増幅率をβ、前記抵抗素子の抵抗値をRとしたとき、前記第1および第2のPMOSトランジスタに流れる電流Iは、I=1/(2βR2)なる特性を有している、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電圧制御発振回路。
  4. 前記MOSトランジスタは、第1のMOSトランジスタと第2のMOSトランジスタとからなり、
    前記第1のMOSトランジスタを制御する請求項2に記載のNMOSトランジスタ用の補正回路と、
    前記第2のMOSトランジスタを制御する請求項3に記載のPMOSトランジスタ用の補正回路と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電圧制御発振回路。
  5. 前記第1のMOSトランジスタと第2のMOSトランジスタとは、それぞれ電流増幅率が半分であることを特徴とする請求項4に記載の電圧制御発振回路。
JP2004267056A 2004-09-14 2004-09-14 電圧制御発振回路 Pending JP2006086609A (ja)

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