JP2006085985A - 有機el表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光の取り出し効率に優れた有機EL表示装置を提供すること。
【解決手段】本発明の有機EL表示装置1は、光透過性の第1電極41と、前記第1電極41と対向した第2電極43と、前記第1及び第2電極41,43間に介在するとともに発光層を含んだ有機物層42とを備えた有機EL素子40と、前記第1電極41と対向するとともに光透過性の第1領域31を含んだ光取り出し層30と、前記第1電極41と前記光取り出し層30との間に介在するとともに前記第1電極41及び前記第1領域31と比較して屈折率がより小さい光透過性のフォトントンネリング層35とを具備し、前記第1電極41から前記第1領域31までの距離は、前記発光層が放出する光が前記第1電極41と前記フォトントンネリング層35との界面に臨界角よりも大きな入射角で入射したときに生じるエバネッセント波のしみ出し深さの最大値未満であることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の有機EL表示装置1は、光透過性の第1電極41と、前記第1電極41と対向した第2電極43と、前記第1及び第2電極41,43間に介在するとともに発光層を含んだ有機物層42とを備えた有機EL素子40と、前記第1電極41と対向するとともに光透過性の第1領域31を含んだ光取り出し層30と、前記第1電極41と前記光取り出し層30との間に介在するとともに前記第1電極41及び前記第1領域31と比較して屈折率がより小さい光透過性のフォトントンネリング層35とを具備し、前記第1電極41から前記第1領域31までの距離は、前記発光層が放出する光が前記第1電極41と前記フォトントンネリング層35との界面に臨界角よりも大きな入射角で入射したときに生じるエバネッセント波のしみ出し深さの最大値未満であることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置に関する。
有機EL表示装置は自己発光表示装置であるため、視野角が広く、応答速度が速い。また、バックライトが不要であるため、薄型軽量化が可能である。これらの理由から、近年、有機EL表示装置は、液晶表示装置に代わる表示装置として注目されている。
有機EL表示装置の主要部である有機EL素子は、光透過性の前面電極と、これと対向した光反射性または光透過性の背面電極と、それらの間に介在するとともに発光層を含んだ有機物層とで構成されている。有機EL素子は、有機物層に電気を流すことにより発光する電荷注入型の自発光素子である。
ところで、有機EL素子の輝度は、これに流す電流の大きさに応じて増加する。しかしながら、電流密度を高めると、消費電力が大きくなるのに加え、有機EL素子の寿命が著しく短くなる。したがって、高輝度、低消費電力、長寿命を同時に実現するには、有機EL素子が放出する光を有機EL表示装置の外部へとより効率的に取り出すこと,すなわち光の取り出し効率を向上させること,が重要である。
本発明の目的は、光の取り出し効率に優れた有機EL表示装置を提供することにある。
本発明の第1側面によると、光透過性の第1電極と、前記第1電極と対向した第2電極と、前記第1及び第2電極間に介在するとともに発光層を含んだ有機物層とを備えた有機EL素子と、前記第1電極と対向するとともに光透過性の第1領域を含んだ光取り出し層と、前記第1電極と前記光取り出し層との間に介在するとともに前記第1電極及び前記第1領域と比較して屈折率がより小さい光透過性のフォトントンネリング層とを具備し、前記第1電極から前記第1領域までの距離は、前記発光層が放出する光が前記第1電極と前記フォトントンネリング層との界面に臨界角よりも大きな入射角で入射したときに生じるエバネッセント波のしみ出し深さの最大値未満であることを特徴とする有機EL表示装置が提供される。
本発明の第2側面によると、光透過性の第1電極と、前記第1電極と対向した第2電極と、前記第1及び第2電極間に介在するとともに発光層を含んだ有機物層とを備えた有機EL素子と、前記第1電極と対向するとともに光透過性の第1領域を含んだ光取り出し層と、前記第1電極と前記光取り出し層との間に介在するとともに前記第1電極及び前記第1領域と比較して屈折率がより小さい光透過性のフォトントンネリング層とを具備し、前記第1電極から前記第1領域までの距離は160nm以下であることを特徴とする有機EL表示装置が提供される。
本発明によると、光の取り出し効率に優れた有機EL表示装置が提供される。
以下、本発明の幾つかの態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の第1態様に係る有機EL表示装置を概略的に示す断面図である。図1では、有機EL表示装置1を、その表示面,すなわち前面または光出射面,が下方を向き、背面が上方を向くように描いている。
この有機EL表示装置1は、アクティブマトリクス型駆動方式を採用した下面発光型の有機EL表示装置であり、絶縁基板10として、例えば、ガラス基板のような透明基板を含んでいる。この絶縁基板10上では、複数の画素がマトリクス状に配列している。各画素は、例えば、一対の電源端子間で直列に接続された駆動制御素子20及び有機EL素子40と、画素スイッチ(図示せず)とを含んでいる。駆動制御素子20は、その制御端子が画素スイッチを介して映像信号線(図示せず)に接続されており、映像信号線から供給される映像信号に対応した大きさの電流を有機EL素子40へ出力する。また、画素スイッチの制御端子は走査信号線(図示せず)に接続されており、走査信号線から供給される走査信号によりON/OFFが制御される。なお、これら画素には、他の構造を採用することも可能である。
基板10上には、アンダーコート層12として、例えば、SiNx層とSiOx層とが順次積層されている。アンダーコート層12上には、例えばチャネル及びソース・ドレインが形成されたポリシリコン層である半導体層13、例えばTEOS(TetraEthyl OrthoSilicate)などを用いて形成され得るゲート絶縁膜14、及び例えばMoWなどからなるゲート電極15が順次積層されており、それらはトップゲート型の薄膜トランジスタ(以下、TFTという)を構成している。この例では、これらTFTは、駆動制御素子20や画素スイッチのTFTとして利用している。また、ゲート絶縁膜14上には、ゲート電極15と同一の工程で形成可能な走査信号線(図示せず)がさらに設けられている。
ゲート絶縁膜14及びゲート電極15上には、例えばプラズマCVD法などにより成膜されたSiOxなどからなる層間絶縁膜17が設けられている。層間絶縁膜17上にはソース・ドレイン電極21が設けられており、それらは、例えばSiNxなどからなるパッシベーション膜18で埋め込まれている。ソース・ドレイン電極21は、例えば、Mo/Al/Moの三層構造を有しており、層間絶縁膜17に設けられたコンタクトホールを介してTFTのソース・ドレインに電気的に接続されている。また、層間絶縁膜17上には、ソース・ドレイン電極21と同一の工程で形成可能な映像信号線(図示せず)がさらに設けられている。
パッシベーション膜18上には、光取り出し層30が設けられている。ここでは、光取り出し層30として、パッシベーション膜18上に回折格子を配置している。この光取り出し層30は、光透過性の第1領域31と、第1領域31が形成する凹部を埋め込み且つ第1領域31とは屈折率が異なる第2領域32とで構成されている。
光取り出し層30は、この例では、後述する有機EL素子40が放出する光の回折を生じさせる。そのため、この光取り出し層30に比較的大きな入射角で入射した光の一部は、より小さな屈折角で光取り出し層30を出射する。その結果、有機EL素子40が放出する光のうち、絶縁基板10などに比較的小さな入射角で入射する光の割合が増加する。したがって、絶縁基板10などにおける全反射に起因して外部に取り出すことができない光の割合を低減することができる。
光取り出し層30上には、フォトントンネリング層35が設けられている。フォトントンネリング層35は、有機EL素子40に平坦な下地を提供している。
このフォトントンネリング層35は、光透過性であり、光取り出し層30の第1領域31及び有機EL素子40の第1電極41と比較して屈折率がより小さい。例えば、フォトントンネリング層35は、透明樹脂からなる。また、このフォトントンネリング層35の厚さは、後述する有機EL素子40の発光層が放出する光が第1電極41とフォトントンネリング層35との界面に臨界角よりも大きな入射角で入射したときに生じるエバネッセント波のしみ出し深さの最大値未満である。なお、「エバネッセント波のしみ出し深さ」は、上記界面におけるエバネッセント波のエネルギーを1としたときに、エバネッセント波のエネルギーが1/eにまで減少する深さを意味する。
フォトントンネリング層35上には、光透過性の第1電極41が互いから離間して並置されている。第1電極41は、この例では陽極であり、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)のような透明導電性酸化物などからなる。第1電極41は、パッシベーション膜18、光取り出し層30及びフォトントンネリング層35に設けられた貫通孔を介してドレイン電極21に電気的に接続されている。
フォトントンネリング層35上には、さらに、隔壁絶縁層50が設けられている。この隔壁絶縁層50には、第1電極41に対応した位置に貫通孔が設けられている。隔壁絶縁層50は、例えば、有機絶縁層であり、フォトリソグラフィ技術を用いて形成することができる。
隔壁絶縁層50の貫通孔内で露出した第1電極41上には、発光層を含んだ有機物層42が設けられている。発光層は、例えば、発光色が赤色、緑色、または青色のルミネセンス性有機化合物を含んだ薄膜である。この有機物層42は、発光層以外の層をさらに含むことができる。例えば、有機物層42は、第1電極41から発光層への正孔の注入を媒介する役割を果たすバッファ層をさらに含むことができる。また、有機物層42は、正孔輸送層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層などもさらに含むことができる。
隔壁絶縁層50及び有機物層42上には、光反射性の第2電極43が設けられている。第2電極43は、この例では、各画素共通に連続して設けられた陰極である。第2電極43は、パッシベーション膜18、光取り出し層30、フォトントンネリング層35及び隔壁絶縁層50に設けられたコンタクトホール(図示せず)を介して、映像信号線と同一の層上に形成された電極配線に電気的に接続されている。それぞれの有機EL素子40は、これら第1電極41、有機物層42、及び第2電極43で構成されている。
なお、図1に示す有機EL表示装置1は、通常、第2電極43と対向した封止基板(図示せず)と、その第2電極43との対向面周縁に沿って設けられたシール層(図示せず)とをさらに備えており、それにより、第2電極43と封止基板との間に密閉された空間を形成している。この空間は、例えば、Arガスなどの希ガスやN2ガスのような不活性ガスで満たされ得る。
また、この有機EL表示装置1は、絶縁基板10の外側,すなわち前面側または光出射面側,に、光散乱層60をさらに備えている。
ところで、有機EL素子40の発光層は、全方位に光を放出する。そのため、第1電極41とフォトントンネリング層35との界面には、この界面に略垂直な方向に伝搬する光だけでなく、この界面の法線に対して比較的大きな角度を為して伝搬する光も入射する。
上記の通り、この有機EL表示装置1では、フォトントンネリング層35は、有機EL素子40の第1電極41と比較して屈折率がより小さい。そのため、第1電極41とフォトントンネリング層35との界面に臨界角よりも大きな入射角で光が入射すると、フォトントンネリング層35中に近接場光であるエバネッセント波が生じる。
フォトントンネリング層35が厚い場合、先のエバネッセント波は、上記の界面で伝搬光へと変換される。すなわち、フォトントンネリング層35が厚い場合、伝搬光からエバネッセント波への変換とその逆変換とが同一界面で生じる。換言すれば、有機EL素子40の発光層が放出する光のうち、第1電極41とフォトントンネリング層35との界面に臨界角よりも大きな入射角で入射した光は、先の界面で全反射される。そのため、この光を光取り出し層30に入射させることはできない。
本態様に係る有機EL表示装置1では、上記の通り、フォトントンネリング層35を第1領域31よりも低屈折率とするとともに、フォトントンネリング層35の厚さを非常に薄くして、第1電極41と第1領域31との距離を十分に短くしている。そのため、このエバネッセント波を、フォトントンネリング層35と第1領域31との界面で伝搬光へと変換させることができる。すなわち、光がフォトントンネリング層35をトンネルする「フォトントンネリング」を生じさせることができる。したがって、本態様によると、フォトントンネリング層35が厚い場合と比較して、より高い光の取り出し効率を実現することができる。
図2は、伝搬光の入射角とエバネッセント波のしみ出し深さとの関係の一例を示すグラフである。図中、横軸は、有機EL素子40の発光層が放出する伝搬光の第1電極41とフォトントンネリング層35との界面に対する入射角を示し、縦軸は、上記界面からの深さを示している。また、図中、曲線101は、上記界面におけるエバネッセント波のエネルギーを1としたときにエバネッセント波のエネルギーが1/eにまで減少する深さ,すなわち、上記伝搬光が先の界面に入射することによってフォトントンネリング層35中に生じるエバネッセント波のしみ出し深さ,を示している。曲線102は、上記界面におけるエバネッセント波のエネルギーを1としたときにエバネッセント波のエネルギーが1/e2にまで減少する深さを示している。
なお、図2のデータは、以下の条件を仮定してシミュレーションを行うことにより得られたものである。すなわち、ここでは、第1電極41の屈折率を1.78とし、フォトントンネリング層35の屈折率を1.55とした。また、有機EL素子40の発光層は、波長460nmの青色光を放出することとした。
上記の条件のもとでは、第1電極41からフォトントンネリング層35へと入射する光の臨界角は約65°である。それゆえ、図2から明らかなように、この例では、先のエバネッセント波のしみ出し深さの最大値は160nm超である。したがって、この例では、第2領域32の存在を無視すると、第1電極41から第1領域31までの距離が約160nm以下であれば、第1電極41からフォトントンネリング層35へと臨界角で入射した光を1/e以上の効率で光取り出し層30に入射させることができる。また、この場合、第1電極41からフォトントンネリング層35へと入射する全ての光を、その入射角に拘らず、1/e2以上の効率で光取り出し層30に入射させることができる。
曲線101と曲線102との比較から明らかなように、エバネッセント波の電界強度は、第1電極41とフォトントンネリング層35との界面からの距離に対して指数関数的に減少する。すなわち、フォトンのトンネル確率は、第1電極41と第1領域31との距離が長くなると、急激に減少する。第1電極41と第1領域31との距離が、例えば、先のエバネッセント波のしみ出し深さの最大値の約63%以下,図2の例では約100nm以下,である場合、高いトンネル確率を実現することができる。
また、第1電極41と第1領域31との距離は、先のエバネッセント波のしみ出し深さの最大値の約50%以下,図2の例では約80nm以下,としてもよい。こうすると、第1電極41からフォトントンネリング層35へと入射する全ての光を、その入射角に拘らず、1/e以上の効率で光取り出し層30に入射させることができる。
このように、光取り出し効率を考慮すると、第1電極41と第1領域31との距離は、より短いことが望ましい。但し、上記の通り、フォトトンネリング層35は、有機EL素子40に平坦な下地を提供する役割を果たしている。そのため、第1電極41と第1領域31との距離をより短くすべくフォトトンネリング層35を過剰に薄くした場合、有機EL素子40に平坦な下地を提供することが難しくなる。一般に、フォトトンネリング層35の厚さが約50nm以上であれば、有機EL素子40に平坦な下地を比較的容易に提供することができる。
図2を参照しながら説明した第1電極41と第1領域31との距離は、有機EL素子40の発光色が青色であることを前提としている。一般に、発光色が青色の有機EL素子40は、発光色が緑色及び赤色の有機EL素子40と比較して発光効率が低い。したがって、消費電力及び寿命の観点では、発光色が青色の有機EL素子40を考慮して第1電極41と第1領域31との距離を定めることが有利である。また、発光色が青色の有機EL素子40を考慮して第1電極41と第1領域31との距離を定めた場合、緑色及び赤色の発光色についても、青色の発光色について上述したのとほぼ同様の効果を得ることができる。
次に、本発明の第2態様について説明する。
図3は、本発明の第2態様に係る有機EL表示装置を概略的に示す断面図である。図3では、有機EL表示装置1を、その表示面,すなわち前面,が上方を向き、背面が下方を向くように描いている。
図3は、本発明の第2態様に係る有機EL表示装置を概略的に示す断面図である。図3では、有機EL表示装置1を、その表示面,すなわち前面,が上方を向き、背面が下方を向くように描いている。
この有機EL表示装置1は、アクティブマトリクス型駆動方式を採用した上面発光型の有機EL表示装置であり、絶縁基板10として、例えば、ガラス基板などを含んでいる。なお、この有機EL表示装置1は上面発光型であるので、絶縁基板10は光透過性である必要はない。
図1の有機EL表示装置1と同様、この絶縁基板10の主面上には、アンダーコート層12と、半導体層13、ゲート絶縁膜14及びゲート電極15で構成されたTFT20と、走査信号線(図示せず)と、層間絶縁膜17とが設けられている。
層間絶縁膜17上には、ソース・ドレイン電極21、反射層70、及び図示しない映像信号線が設けられている。ソース・ドレイン電極21は、例えば、Mo/Al/Moの三層構造を有しており、層間絶縁膜17に設けられたコンタクトホールを介してTFTのソース・ドレインに電気的に接続されている。映像信号線や反射層70は、ソース・ドレイン電極21と同一の工程で形成することができる。
ソース・ドレイン電極21、反射層70及び映像信号線は、例えばSiNxなどからなるパッシベーション膜18で埋め込まれている。
パッシベーション膜18上には、図1の有機EL表示装置1と同様の光取り出し層30及びフォトントンネリング層35が順次積層されている。
フォトントンネリング層35上には、第1電極41が互いから離間して並置されている。第1電極41は、パッシベーション膜18、光取り出し層30及びフォトントンネリング層35に設けられた貫通孔を介してドレイン電極21に電気的に接続されている。第1電極41は、この例では光透過性の陽極である。
フォトントンネリング層35上には、さらに、隔壁絶縁層50が設けられている。この隔壁絶縁層50には、第1電極41に対応した位置に貫通孔が設けられている。隔壁絶縁層50は、例えば、有機絶縁層であり、フォトリソグラフィ技術を用いて形成することができる。
隔壁絶縁層50の貫通孔内で露出した第1電極41上には、発光層を含んだ有機物層42が設けられている。発光層は、例えば、発光色が赤色、緑色、または青色のルミネセンス性有機化合物を含んだ薄膜である。この有機物層42は、発光層以外の層をさらに含むことができる。例えば、有機物層42は、背面電極43から発光層への正孔の注入を媒介する役割を果たすバッファ層をさらに含むことができる。また、有機物層42は、正孔輸送層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層などもさらに含むことができる。
隔壁絶縁層50及び有機物層42上には、光透過性の第2電極43が設けられている。第2電極43は、この例では、各画素共通に連続して設けられた陰極である。第2電極43は、パッシベーション膜18及び隔壁絶縁層50に設けられたコンタクトホール(図示せず)を介して、映像信号線と同一の層上に形成された電極配線に電気的に接続されている。それぞれの有機EL素子40は、これら第1電極41、有機物層42、及び第2電極43で構成されている。
第2電極43上には、光透過性絶縁層である封止膜80が形成されている。この封止膜80には、光散乱層60が貼り付けられている。封止膜80は、外部から有機EL素子40などへの水分等の侵入を防ぐとともに、光散乱層60に平坦な表面を提供する役割を果たす。封止膜80は、例えば、第2電極43上に樹脂を塗布し、それにより得られる塗膜を硬化させることにより形成することができる。
この有機EL表示装置1では、有機EL素子40の発光層が絶縁基板10側に放出する光について、第1態様で説明したのと同様のフォトントンネリングを生じる。したがって、本態様でも、第1態様で説明したのと同様の効果を得ることができる。
また、本態様では、有機EL表示装置1を上面発光型としている。そのため、本態様によると、有機EL表示装置1を下面発光型とする第1態様と比較して、より高い開口率を実現することができる。
第1及び第2態様において、光取り出し層30は、例えば以下の方法により形成することができる。まず、パッシベーション膜18上に、第1領域31と同一の材料からなる薄膜を形成する。次に、この薄膜上に、フォトリソグラフィを利用して第2領域32に対応した開口を有するレジストパターンを形成する。続いて、このレジストパターンをエッチングマスクとして用いて先の薄膜をエッチングする。これにより、第2領域32に対応して凹部または貫通孔が設けられた第1領域31を得る。レジストパターンを除去した後、第1領域31の凹部または貫通孔を第2領域32の材料で埋め込む。これにより、光取り出し層30を得る。
第1及び第2態様において、フォトントンネリング層35は、例えば以下の方法により形成することができる。まず、光取り出し層30上に、フォトントンネリング層35の材料からなる膜を形成する。ここでは、最終的に得られるフォトントンネリング層35よりも厚い膜を形成する。また、この成膜には、スピンコート法などの溶液塗布法を始めとする様々な薄膜形成法を利用することができる。次いで、この膜に、例えば、エッチバックや研磨などの平坦化処理を施して、先の膜を薄膜化する。これにより、フォトントンネリング層35を得る。
第1及び第2態様において、第1領域31の材料とパッシベーション膜18の材料とは、異なっていてもよく、或いは、同一であってもよい。後者の場合、第1領域31とパッシベーション膜18とは同一工程で形成することができる。
また、第1及び第2態様において、第2領域32の材料とフォトントンネリング層35の材料とは、異なっていてもよく、或いは、同一であってもよい。後者の場合、第2領域32とフォトントンネリング層35とは同一工程で形成することができる。
第1及び第2態様において、第1領域31の材料としては、例えば、SiNx及びSiO2などの透明誘電体やHRCなどの透明樹脂を使用することができる。また、第2領域32及びフォトントンネリング層35の材料としては、例えば、SiN及びITOなどの透明誘電体及び透明導電体やHRC及びSi樹脂などの透明樹脂を使用することができる。
第1領域31の屈折率と第2領域32の屈折率との差や、第1領域31の屈折率とフォトントンネリング層35の屈折率との差は、例えば、0.5以上とする。また、第1電極41の屈折率とフォトントンネリング層35の屈折率との差は、例えば、0.5以上とする。典型的には、第1領域31には屈折率が約2.02乃至約2.05の材料を使用し、第2領域32及びフォトントンネリング層35には屈折率が約1.53乃至約1.55の材料を使用し、第1電極41には屈折率が約2.00乃至約2.11の材料を使用する。
次に、本発明の第3態様について説明する。
図4は、本発明の第3態様に係る有機EL表示装置を概略的に示す断面図である。図4では、有機EL表示装置1を、その表示面,すなわち前面,が下方を向き、背面が上方を向くように描いている。
図4は、本発明の第3態様に係る有機EL表示装置を概略的に示す断面図である。図4では、有機EL表示装置1を、その表示面,すなわち前面,が下方を向き、背面が上方を向くように描いている。
図4に示す有機EL表示装置1は、アクティブマトリクス型駆動方式を採用した下面発光型の有機EL表示装置である。この有機EL表示装置1は、以下の構造を採用したこと以外は、図1の有機EL表示装置1と同様の構造を有している。
すなわち、図4の有機EL表示装置1では、光取り出し層30として、回折格子の代わりに、光散乱層を使用している。この光取り出し層30は、光透過性の第1領域31と、第1領域31とは屈折率が異なる光透過性の第2領域32とで構成されており、第1領域31及び第2領域32の一方は他方の中で粒状に分散している。ここでは、一例として、第2領域32が第1領域31中で粒状に分散している。また、図4の有機EL表示装置1では、絶縁基板10の外面上の光散乱層60を省略している。
この有機EL表示装置1では、第1態様で説明したのと同様のフォトントンネリングを生じる。そのため、フォトントンネリング層35が厚い場合と比較して、有機EL素子40が放出する光をより高い効率で光取り出し層30に入射させることができる。
また、この有機EL表示装置1では、有機EL素子40が放出する光を絶縁基板10と外界との界面が全反射した場合、この反射光は光取り出し層30によって散乱する。そのため、光取り出し層30による散乱後に絶縁基板10に再度入射した反射光の一部は、絶縁基板10と外界との界面に臨界角よりも小さな入射角で入射する。
したがって、この有機EL表示装置1では、光取り出し層30を設けない場合と比較して、より高い光取り出し効率を実現することができる。すなわち、本態様でも、第1態様で説明したのと同様の効果を得ることができる。
次に、本発明の第4態様について説明する。
図5は、本発明の第4態様に係る有機EL表示装置を概略的に示す断面図である。図5では、有機EL表示装置1を、その表示面,すなわち前面,が上方を向き、背面が下方を向くように描いている。
図5は、本発明の第4態様に係る有機EL表示装置を概略的に示す断面図である。図5では、有機EL表示装置1を、その表示面,すなわち前面,が上方を向き、背面が下方を向くように描いている。
この有機EL表示装置1は、アクティブマトリクス型駆動方式を採用した上面発光型の有機EL表示装置である。この有機EL表示装置1は、以下の構造を採用したこと以外は、図3の有機EL表示装置1と同様の構造を有している。
すなわち、図5の有機EL表示装置1では、図4の有機EL表示装置1と同様、光取り出し層30として光散乱層を使用している。この光取り出し層30は、光透過性の第1領域31と、第1領域31とは屈折率が異なる光透過性の第2領域32とで構成されており、第1領域31及び第2領域32の一方は他方の中で粒状に分散している。ここでは、一例として、第2領域32が第1領域31中で粒状に分散している。また、図5の有機EL表示装置1では、封止膜80上の光散乱層60を省略している。
この有機EL表示装置1では、第1態様で説明したのと同様のフォトントンネリングを生じる。そのため、フォトントンネリング層35が厚い場合と比較して、有機EL素子40が放出する光をより高い効率で光取り出し層30に入射させることができる。
また、この有機EL表示装置1では、有機EL素子40が放出する光を絶縁基板10と外界との界面が全反射した場合、この反射光は光取り出し層30によって散乱する。そのため、光取り出し層30による散乱後に絶縁基板10に再度入射した反射光の一部は、絶縁基板10と外界との界面に臨界角よりも小さな入射角で入射する。
したがって、この有機EL表示装置1では、光取り出し層30を設けない場合と比較して、より高い光取り出し効率を実現することができる。すなわち、本態様でも、第3態様で説明したのと同様の効果を得ることができる。
また、本態様では、有機EL表示装置1を上面発光型としている。そのため、本態様によると、有機EL表示装置1を下面発光型とする第3態様と比較して、より高い開口率を実現することができる。
第3及び第4態様において、光取り出し層30は、例えば以下の方法により形成することができる。まず、第1領域31の材料と、第2領域32と同一の材料からなる微粒子とを含有した塗工液を準備する。次いで、スピンコート法などの溶液塗布法により、パッシベーション膜18上に先の塗工液を塗布する。この塗膜を硬化させることにより、光取り出し層30を得る。
第3及び第4態様において、フォトントンネリング層35は、例えば以下の方法により形成することができる。まず、光取り出し層30上に、フォトントンネリング層35の材料からなる膜を形成する。ここでは、最終的に得られるフォトントンネリング層35よりも厚い膜を形成する。また、この成膜には、スピンコート法などの溶液塗布法を始めとする様々な薄膜形成法を利用することができる。次いで、この膜に、例えば、エッチバックや研磨などの平坦化処理を施して、先の膜を薄膜化する。これにより、フォトントンネリング層35を得る。
第3及び第4態様において、第1領域31の材料としては、例えば、HRC及びSi樹脂などの透明樹脂を使用することができる。また、第2領域32の材料としては、例えば、TiO2及びZrO2などの散乱体などを使用することができ、フォトントンネリング層35の材料としては、例えば、HRC及びSi樹脂などの透明樹脂を使用することができる。
第1領域31の屈折率と第2領域32の屈折率との差は、例えば、0.45以上とする。また、第1電極41の屈折率とフォトントンネリング層35の屈折率との差は、例えば、0.5以上とする。典型的には、第1領域31には屈折率が約1.53乃至約1.55の材料を使用し、第2領域32には屈折率が約2.0乃至2.4の材料を使用し、フォトントンネリング層35には屈折率が約1.53乃至約1.55の材料を使用し、第1電極41には屈折率が約2.00乃至約2.11の材料を使用する。
第3及び第4態様では、光取り出し層30に、第2領域32が第1領域31中で粒状に分散した構造を採用したが、第1領域31が第2領域32中で粒状に分散した構造を採用してもよい。この場合、第1領域31の材料としては、第2領域32に関して先に例示した透明誘電体や透明樹脂を使用することができ、第2領域32の材料としては、第1領域31に関して先に例示した透明樹脂を使用することができる。また、光取り出し層30に第1領域31が第2領域32中で粒状に分散した構造を採用する場合、第2領域32の材料とフォトントンネリング層35の材料とは、異なっていてもよく、或いは、同一であってもよい。
第1乃至第4態様では、第1電極41及び第2電極43をそれぞれ陽極及び陰極としたが、第1電極41及び第2電極43をそれぞれ陰極及び陽極としてもよい。
また、第1乃至第4態様では、有機EL表示装置1に、発光色が青、緑、赤色の3種の有機EL素子40を絶縁基板10上に並置した構造を採用しているが、有機EL表示装置1には他の構造を採用することもできる。例えば、発光色が白色の有機EL素子40を絶縁基板10上に並置し、それら有機EL素子40に対向してカラーフィルタを配置した構造を採用してもよい。
1…有機EL表示装置、10…絶縁基板、12…アンダーコート層、13…半導体層、14…ゲート絶縁膜、15…ゲート電極、17…層間絶縁膜、18…パッシベーション膜、20…駆動制御素子、21…ソース・ドレイン電極、30…光取り出し層、31…第1領域、32…第2領域、35…フォトントンネリング層、40…有機EL素子、41…第1電極、42…有機物層、43…第2電極、50…隔壁絶縁層、60…光散乱層、70…反射層、80…封止膜、101…曲線、102…曲線。
Claims (10)
- 光透過性の第1電極と、前記第1電極と対向した第2電極と、前記第1及び第2電極間に介在するとともに発光層を含んだ有機物層とを備えた有機EL素子と、
前記第1電極と対向するとともに光透過性の第1領域を含んだ光取り出し層と、
前記第1電極と前記光取り出し層との間に介在するとともに前記第1電極及び前記第1領域と比較して屈折率がより小さい光透過性のフォトントンネリング層とを具備し、
前記第1電極から前記第1領域までの距離は、前記発光層が放出する光が前記第1電極と前記フォトントンネリング層との界面に臨界角よりも大きな入射角で入射したときに生じるエバネッセント波のしみ出し深さの最大値未満であることを特徴とする有機EL表示装置。 - 光透過性の第1電極と、前記第1電極と対向した第2電極と、前記第1及び第2電極間に介在するとともに発光層を含んだ有機物層とを備えた有機EL素子と、
前記第1電極と対向するとともに光透過性の第1領域を含んだ光取り出し層と、
前記第1電極と前記光取り出し層との間に介在するとともに前記第1電極及び前記第1領域と比較して屈折率がより小さい光透過性のフォトントンネリング層とを具備し、
前記第1電極から前記第1領域までの距離は160nm以下であることを特徴とする有機EL表示装置。 - 前記第1領域は前記第1電極と比較して屈折率がより小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機EL表示装置。
- 前記光取り出し層は、前記第1領域とは屈折率が異なる第2領域をさらに含んだことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の有機EL表示装置。
- 前記第1及び第2領域は回折格子を構成したことを特徴とする請求項4に記載の有機EL表示装置。
- 前記第2領域の材料と前記フォトントンネリング層の材料とは同一であることを特徴とする請求項5に記載の有機EL表示装置。
- 前記光取り出し層は、前記第1及び第2領域の一方が他方の中で粒状に分散してなる光散乱層であることを特徴とする請求項4に記載の有機EL表示装置。
- 絶縁基板をさらに具備し、
前記光取り出し層と前記フォトントンネリング層と前記有機EL素子とは、この順に前記絶縁基板上に積層されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の有機EL表示装置。 - 前記有機EL素子の発光色は青色であることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の有機EL表示装置。
- 発光色が緑色及び赤色の有機EL素子をさらに具備したことを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
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