JP2006085932A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コスト化、小型化を同時に図ることができる燃料電池を提供する。
【解決手段】電解質膜2と、電解質膜2を狭持する酸化剤触媒層3と燃料触媒層4と、酸化剤触媒層3の平面に略平行に構成され、酸化剤ガスを流通する酸化剤ガス流路5と、燃料極4の平面に略平行に構成され、燃料ガスを流通する燃料ガス流路6を備える。さらに、酸化剤触媒層3と燃料触媒層4に、ガス流路5、6に重なる領域を含め、それより広い領域よりなる、触媒を有する発電電極部31、41と、ガス流路5、6に重ならない領域の、少なくとも流路軸に並行な中央軸部分を含む、触媒を有さない非発電電極部32、42を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池に関する。特に、触媒を有する固体高分子型燃料電池の電極の構成に関する。
固体高分子型燃料電池の電極は、通常、電解質膜の略全域に触媒を有している。しかしながら、電極は、セパレータ表面に設けた溝状のガス流路に挟まれたリブ部に圧接されているため、その付近では構造上ガスの拡散性が阻害される。その結果、セパレータのリブ付近では、電極へのガスの供給が低下してしまうといった傾向があった。
また、電極触媒には、白金等の高価な貴金属が用いられており、この触媒金属により燃料電池のコストを抑えるのが困難であるといった問題があった。
そこで、従来の燃料電池として、ガス拡散性のすぐれたガス流路に対峙する領域のみに触媒を担持させたものが知られている(例えば、特許文献1、参照。)。
特開2003−68321号公報
しかしながら、上記の燃料電池においては、発電性能を確保するための触媒層の有効面積を確保するためには、セル面積の拡大またはセルスタッキング数の増大が避けられず、スペース効率の低下が生じるといった問題があった。
ガスセパレータのリブはスタッキング時の締め付け力を、電極面に対して略垂直方向に受ける構造となっており、リブ幅を狭く設定すると、リブが電極面を強く圧接してしまう。そのため、ガスセパレータ溝幅と比較してリブ幅をあまり狭く設定することはできず、通常、ガスセパレータの(リブ幅)/(溝幅)の割合は0.8〜1.2程度となっている。
上述した燃料電池のように、電極をガスセパレータのリブ間のみに設定した場合には、電極面積が従来の電極面積の0.45〜0.56倍に減少してしまう。この電極面積の減少分を補うためには、触媒利用率の向上代を含まない場合には、1.7〜2.2倍の単位セルあたりの電極面積の拡大、または、セルスタッキング数の増大が必要となるといった問題があった。
そこで、本発明は、上記問題を鑑みて、低コスト化、小型化を同時に図ることができる燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、電解質膜と、前記電解質膜の両面に設けられた酸化剤触媒層と燃料触媒層と、前記酸化剤触媒層に隣接する表面に酸化剤ガスを流通する酸化剤ガス流路を備えた酸化剤ガスセパレータと、前記燃料触媒層に隣接する表面に燃料ガスを流通する燃料ガス流路を有する燃料ガスセパレータと、を備え、さらに、前記酸化剤触媒層と前記燃料触媒層のうち少なくとも一方の触媒層は、前記ガス流路に重なる領域を含めた、それより広い領域よりなる、触媒を有する発電電極部と、前記ガス流路に重ならない領域の、少なくともガス流路軸に略平行な中央軸部分を含む、触媒を有さない非発電電極部と、を備える。
ガス流路に重なる領域を含めた、それより広い領域を、触媒を有する発電電極部とすることで、従来に比較して触媒層の有効面積を広くとることができる。また、ガス流路に重ならない領域の、少なくとも流路軸に並行な中央軸部分を含む領域を、触媒を有さない非発電電極部とすることで、ガスの供給が少なく、触媒の利用効率が悪い領域の触媒を省くことができる。これにより、燃料電池の低コスト化および小型化を図ることができる。
第1の実施形態による燃料電池10について説明する。燃料電池10の構成を、図1の単位セル1の断面図を用いて説明する。なお、ここでは燃料電池10を一つの単位セル1で示しているが、燃料電池10を複数の単位セル1を積層することにより構成したスタック形状としても良い。
単位セル1は、電解質膜2と、電解質膜2の一方の主面に隣接する酸化剤触媒層3と、もう一方の主面に隣接する燃料触媒層4を備える。ここでは、酸化剤触媒層3により酸化剤電極30を、燃料触媒層4により燃料電極40を構成する。
また、酸化剤触媒層3に隣接する表面に酸化剤ガス流路5を有する酸化剤ガスセパレータ7と、燃料触媒層4に隣接する表面に燃料ガス流路6を有する燃料ガスセパレータ8を備える。酸化剤ガス流路5を、酸化剤ガスセパレータ7の表面に形成された、リブ71に挟まれた溝により構成する。燃料ガス流路6も同様に、燃料ガスセパレータ8の表面に形成された、リブ81に挟まれた溝により構成する。
酸化剤触媒層3は、触媒と電子伝導性物質とプロトン伝導性物質を含む発電電極部31と、触媒を含まず、電子伝導性物質とプロトン伝導性物質を含む非発電電極部32を備える。発電電極部31を、酸化剤触媒層3の酸化剤ガス流路5に対峙する領域を含む、それ以上に広い領域に構成する。つまり、発電電極部31を、酸化剤ガス流路5に対峙する領域と、その領域に連続した、リブ71に対峙する領域の一部に構成する。ここでは、図1に示すように、酸化剤触媒層3の酸化剤ガス流路5に対峙する領域を、電極面に沿って両方向に拡大した領域に、発電電極部31を構成する。
一方、非発電電極部32を、少なくとも図1に示すようなリブ71の断面の中央部分に対峙する部分を含む領域に構成する。つまり、非発電電極部32を、酸化剤触媒層3の酸化剤ガス流路5の流路軸に平行なリブ71の軸に沿って形成された、リブ71との接面より狭い領域に構成する。
つまり、酸化剤触媒層3の断面では、酸化剤ガス流路5に対応して、酸化剤触媒層3の面全体に発電電極部31と非発電電極部32が交互に形成される。言い換えれば、流路断面に沿った酸化剤触媒層3の断面には、発電電極部31と非発電電極部32が略均等に構成される。
また、発電電極部31に比較して、非発電電極部32が親水性を有するように構成する。ここでは、非発電電極部32に親水処理を施す。また、発電電極部31に撥水処理を施す。
燃料触媒層4を同様に構成する。つまり、燃料触媒層4のうち、酸化剤ガス流路6に対峙する部分を含むそれ以上の領域に発電電極部41を構成し、リブ81の燃料ガス流路6に平行な断面中央部分を含む、リブ81との接面より狭い領域に、非発電電極部42を構成する。発電電極部41に比較して、非発電電極部42が親水性を示すように構成する。
次に、このような酸化剤触媒層3の発電電極部31と非発電電極部32の形成方法について説明する。なお、燃料触媒層4についても同様に形成する。
それぞれ触媒/電子伝導性物質/プロトン伝導性物質を含むスラリーインクと、電子伝導性物質/プロトン伝導性物質を含み、触媒を含まないスラリーインクを調製する。スクリーンプリンターを用いてテフロン(登録商標)などの離型性の高い基材シート上に複数回塗布を行うことにより、発電電極部31と非発電電極部32を形成する。発電電極部31が構成される領域には、触媒/電子伝導性物質/プロトン伝導性物質を含むスラリーインクを、非発電電極32が構成される領域には、電子伝導性物質/プロトン伝導性物質を含むスラリーインクを塗布する。このように酸化剤触媒層3を形成したテフロン(登録商標)のシートを、電解質膜2と重ね合わせた後、130℃、2MPa、1分間の条件で、ホットプレス転写処理を行う。これにより、発電電極部31と非発電電極部32を所定の形状で得ることができる。撥水処理、親水処理については、通常スラリーインク調製時に撥水剤、親水剤を導入する方法や、スラリーインク組成である電子伝導性物質などを予め撥水処理、親水処理しておく方法等があるが、その方法は限定しない。
または、通常のカラー印刷等にも使用されているバブルジェット(登録商標)式プリンターを用いて、比較的容易にパターン形状の酸化剤触媒層3を得ることもできる。ただし、バブルジェット(登録商標)式プリンターを用いる場合は、粗大粒径インクによる装置の目詰まりを防止するため、塗布するスラリーインクの粒径を〜30μm以下とする必要がある。
次に、このような燃料電池10の単位セル1に酸化剤ガスと燃料ガスを供給した場合の作用について説明する。
酸化剤ガスセパレータ7の酸化剤ガス流路5を流れる酸化剤ガスは、発電電極部31の細孔を通って、発電電極部31内部に拡散する。拡散された酸化剤ガスは、発電電極部31を構成する、触媒とプロトンと電子を伝導する物質により形成された三相界面で反応する。また、燃料ガスセパレータ8の燃料ガス流路6を流れる燃料ガスは、発電電極部41の細孔を通って、発電電極部41内部に拡散する。拡散された燃料ガスは、発電電極部41を構成する、触媒とプロトンと電子を伝導する物質により形成された三相界面で反応する。
これらの反応により発電が成され、酸化剤触媒層3側では水が生成される。この水は、一部が親水性の強い非発電電極部32内に回収され、また一部は、余剰の酸化剤ガスと共に、再び細孔を通って発電電極部31内に拡散し、発電電極部31の酸化剤ガス流路5に対峙する表面から、酸化剤ガス中に回収される。
また、燃料触媒層4には、電解質膜2を酸化剤触媒層3側から燃料触媒層4側に透過した水や、供給される以前に燃料ガスに含有された水が存在する。燃料触媒層4の発電電極部41に存在する水は、一部が親水性の強い非発電電極部42に回収され、また一部は、余剰の燃料ガスと共に発電電極部41内に拡散し、発電電極部41の燃料ガス流路6に対峙する表面から、燃料ガス中に回収される。
ここで、酸化剤ガスが酸化剤触媒層3内を拡散する際には、酸化剤ガス流路5から遠ざかるにつれて、つまり、リブ71の断面中央部分と対峙する領域に近づくにつれて、ガス拡散性が低下していく。これは、移動しなければならない距離が大きいことに加えて、リブ71に対峙する面には略垂直方向に締め付け圧力が加えられて、孔部分が押しつぶされることによりガス拡散性が低下するためである。但し、リブ71に対峙する領域でも、酸化剤ガス流路5付近では、酸化剤ガス流路5からの酸化剤ガス圧力の影響が大きく、十分なガス拡散性が保持されて高い触媒利用効率を保つことができる。
そこで、上述したように、酸化剤ガス流路5に対峙する領域に加えて、この高い触媒利用効率を保つことができる領域に、触媒を有する発電電極部31を構成することで、触媒の利用効率の低下を抑制しつつ、発電にかかわる電極面積を増大する。一方、ガス拡散性の悪いリブ71の中央に対峙する領域については、触媒を有さない非発電電極部32を構成することで、触媒の使用量を低減する。
また、燃料ガスも、燃料触媒層4で同様の傾向を示す。つまり、リブ81の断面中央部分に対峙する領域近傍ではガス拡散性が低下し、リブ81に当接する領域でも燃料ガス流路6近傍では、ガス拡散性が保持される。そこで、燃料触媒層4についても、燃料ガス流路6に対峙する領域に加えて、高い触媒利用効率を保つことができる領域に、触媒を有する発電電極部32を構成し、ガス拡散性の悪いリブ81の中央に対峙する領域には、触媒を有さない非発電電極部32を構成する。
ここでは、酸化剤ガスセパレータ7のリブ71の幅と酸化剤ガス流路5の幅の比を1.0とし、酸化剤ガス流路5の幅に対して発電電極部31の幅が1.6倍となるように構成した。同様に、燃料ガスセパレータ8のリブ81の幅と燃料ガス流路6の幅の比を1.0とし、燃料ガス流路6の幅に対して発電電極部41の幅が1.6倍となるように構成した。この場合、発電性能を低下させることなく触媒量を19%削減でき、スペース効率の悪化も1%程度に抑えることができた。
なお、本実施形態では、酸化剤触媒層3と燃料触媒層4の両方に、発電電極部31、41と非発電電極部32、42を設けたが、この限りではなく、どちらか一方のみに非発電電極部を設けても良い。例えば、燃料触媒層4における反応に比較して、酸化剤触媒層3で生じる反応は起こり難いので、燃料触媒層4のみを発電電極部41と非発電電極部42で構成してもよい。
次に、本実施形態の効果について説明する。
電解質膜2と、電解質膜2の両面に設けられた酸化剤触媒層3と燃料触媒層4と、酸化剤触媒層3に略平行に配置され、酸化剤触媒層3側の表面に酸化剤ガスを流通する酸化剤ガス流路5を備えた酸化剤ガスセパレータ7と、燃料触媒層4に略平行に配置され、燃料触媒層4側の表面に燃料ガスを流通する燃料ガス流路6を有する燃料ガスセパレータ8と、を備える。さらに、酸化剤触媒層3と燃料触媒層4のうち少なくとも一方の触媒層、ここでは両方の触媒層3、4は、ガス流路5、6に重なる領域を含めた、それより広い領域よりなる、触媒を有する発電電極部31、41と、ガス流路5、6に重ならない領域の、少なくとも流路軸に平行な中央軸部分を含む、触媒を有さない非発電電極部32、42を備える。
これにより、触媒利用効率の低下を抑制しつつ、高価なPt等の触媒の使用量を抑えることができるので、燃料電池10の大型化を抑えつつ、コストを抑えることができる。つまり、燃料電池10の低コスト化と小型化を同時に図ることができる。
また、非発電電極部32、42に、プロトン伝導性物質を含む。これにより、隣接する発電電極部31、41へのプロトン伝導パスが増加するので、プロトン伝導性が向上し、単位セル1aの発電効率を向上することができる。
発電電極部31、41に比較して、非発電電極部32、42に親水性を持たせる。これにより、非発電電極部32、42に隣接する発電電極部31、41の余剰水分を吸水させることができることができる。その結果、発電電極部31、41内のガス拡散性を向上させることができ、単位セル1aの発電効率を向上することができる。
次に、第2の実施形態について説明する。図2に、単位セル1の断面を示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
酸化剤触媒層3と酸化剤ガスセパレータ7の間に酸化剤ガス拡散層13を備え、燃料触媒層4と燃料ガスセパレータ8の間に燃料ガス拡散層14を備える。つまり、酸化剤電極30を酸化剤触媒層3と酸化剤ガス拡散層13から構成し、燃料電極40を燃料触媒層4と燃料ガス拡散層14から構成する。
酸化剤ガス拡散層13と燃料ガス拡散層14は、カーボン繊維およびカーボン粒子を含む。ここでは、ガス拡散層13、14として、カーボンペーパタイプの基材にカーボンおよびPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を混合したスラリーを含浸・乾燥させたものを用いる。また、酸化剤ガス拡散層13と燃料ガス拡散層14に撥水処理を施す。
このような単位セル1に酸化剤ガスを供給すると、酸化剤ガス拡散層13を介して酸化剤触媒層3に酸化剤ガスが拡散する。酸化剤ガス拡散層13の、酸化剤ガスセパレータ7のリブ71に対峙する領域では、リブ71の両側に位置する酸化剤ガス流路5から、均等の圧力で酸化剤ガスが拡散される。そのため、リブ71の断面中央部分近傍ではガスの滞留が起こり、ガス拡散性が著しく低下している。酸化剤触媒層3の、この酸化剤ガス拡散層13のガス滞留が生じる領域に対峙する領域を、触媒を有さない非発電電極部32とする。
但し、酸化剤ガスは、酸化剤ガス拡散層13で拡散されて酸化剤触媒層3に導入されるため、第1の実施形態に比較して、酸化剤触媒層3のより広い領域に酸化剤ガスが拡散する。そのため、発電電極部31を、より広い領域に構成することができる。
また、単位セル1に燃料ガスを供給した場合にも同様に、燃料ガス拡散層14のリブ81の中央部分に対峙する領域近傍では、燃料ガスが滞留してガス拡散性が低下する。そこで、この燃料ガスの滞留が生じる部分には非発電電極部42を構成し、その他の領域には発電電極部41を構成する。このとき、酸化剤ガスと同様に、燃料ガス拡散層14を備えることで、ガス拡散性を向上することができ、発電電極部41をより広く構成することができる。
次に、本実施形態の効果を説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
触媒層3、4の、電解質膜2に隣接する面の裏面に、多孔質部材により形成されたガス拡散層13、14を備える。これにより、触媒層3、4の十分なガスが供給される領域を広くすることができる。その結果、発電反応を生じる発電電極部31、41の面積を増大して発電性能を向上することができる。
また、ガス拡散層13、14を、触媒層3、4とガスセパレータ7、8の間に備え、ガス拡散層13、14に撥水処理を施す。これにより、発電電極部31、41からガス拡散層13、14へ移動した余剰水分を、ガス拡散層13、14に保持することなく、速やかに酸化剤ガスまたは燃料ガス内へ拡散させることができる。その結果、発電電極部31、41内からの排水を促進してガス拡散性を向上することができるので、単位セル1の発電性能を向上させることができる。
次に、第3の実施形態について説明する。図3に、単位セル1の断面を示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
酸化剤ガスセパレータ7のリブ71および燃料ガスセパレータ8のリブ81を、多孔質材より構成する。言い換えれば、リブ71とリブ81がガス拡散層の役割を担うように構成する。リブ71と81を、カーボンペーパタイプの基材にカーボンおよびPTFEを混合したスラリーを含浸・乾燥させたものにより構成する。また、触媒層3、4に比較して、リブ71、81の親水性が強くなるように構成する。ここでは、リブ71、81に親水処理を施す。
酸化剤ガス流路5を流通する酸化剤ガスは、酸化剤触媒層3内に、酸化剤ガス流路5に対峙する表面を介して導入される。また、酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路5の壁面を介してリブ71内に拡散し、酸化剤触媒層3内に、リブ71との接面を介して導入される。
酸化剤触媒層3の発電電極部31に到達した酸化剤ガスは、触媒と接触することにより水の生成を伴う発電反応を生じる。生成された水は、一部は酸化剤ガス流路5に対面する発電電極部31表面から酸化剤ガス流中に回収される。また、一部は、親水性を有するリブ71内に移動して細孔を通ってリブ71内に拡散し、リブ71の表面から酸化剤ガス流中に回収される。さらに、生成水の多くは、発電電極部31に隣接する非発電電極部32を経由して、親水性を有するリブ71に吸引された後、リブ71内の酸化剤ガス中に拡散する。
同様に燃料ガス流路6を流通する燃料ガスは、燃料触媒層4内に、燃料ガス流路6に対峙する表面を介して導入される。また、燃料ガス流路6の壁面からリブ81内に拡散し、リブ81と燃焼触媒層4との接面を介して燃料触媒層4内に導入される。燃料触媒層4の発電電極部41に拡散した燃料ガスが触媒に接触することにより、発電反応を生じる。
燃料触媒層4には、予め含有された加湿水や、酸化剤触媒層3側から電解質膜2を介して移動した水などが存在する。このような水は、酸化剤触媒層3に生じた水と同様に、一部は、燃料ガス流路6に対面する燃料触媒層4表面から燃料ガス流中に回収される。また、一部は、親水性を有するリブ81に移動して、リブ81内の細孔中を拡散し、リブ81の表面から燃料ガス流中に回収される。さらに、多くの水は、発電電極部41に隣接する非発電電極部42を経由して、親水性を有するリブ81に吸引された後、リブ81内の燃料ガス中に拡散する。
ここでは、ガスセパレータ7、8それぞれのリブ幅とガス流路幅の比を1.0とし、ガス流路幅に対する発電電極部31、41の幅の比を1.5とした。この場合には、発電性能およびスペース効率を低下させることなく、触媒量を25%削減できた。
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
ガス流路5、6を、セパレータ7、8表面に設けた溝により構成し、溝間に形成されたリブ71、81を、ガス拡散性を有する多孔質部材より構成する。これにより、酸化剤ガスを酸化剤触媒層3の比較的広い範囲に拡散させることができ、同様に、燃料ガスを燃料触媒層4の比較的広い範囲に拡散させることができる。これにより、比較的広い範囲に触媒を有する発電電極部31と41を形成することができ、その結果、触媒の利用効率の向上を図りながら、触媒層3、4の有効面積をより拡大し、低コストで高効率な発電性能を発揮できる。
また、リブ71とリブ81をガス拡散層として使用するため、第2の実施形態に用いたガス拡散層13や14といった個別の層を設ける必要がない。そのため、単位セル1の厚みを抑えることができ、単位セル1を小型化することができ、スペース効率を向上することができる。
また、触媒層3、4に比較して、リブ71、81に親水性を持たせる。これにより、燃料触媒層4側では、供給される燃料ガス中の水分をリブ81で保水し、リブ81に対極する非発電電極部42を通して、電解質膜2および発電電極部41へ水分を供給することができる。また、酸化剤触媒層3側では、発電電極部31で生成した水を非発電電極部32を通してリブ71に吸水し、供給される酸化剤ガスの中に速やかに拡散することができる。リブ71、81に親水性を持たせることにより、反応ガスの流れと水の流れを一部別の流路として保有することができ、発電電極部31、41内および電解質膜2内の水分量を適正化できるとともに、発電電極部31、41内のガス拡散性を向上させることができ、単セル1aの発電性能を向上することができる。
次に、第4の実施形態について説明する。図4に、単位セル1の断面を示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
ここでは、酸化剤ガス流路5と酸化剤触媒層3の発電電極部31とが対向する領域のみにガス拡散層15を備え、燃料ガス流路6と燃料触媒層4の発電電極部41とが対向する領域のみにガス拡散層16を備える。つまり、酸化剤ガスセパレータ7の表面に設けた溝状の酸化剤ガス流路5の開口部分にガス拡散層15を備え、燃料ガスセパレータ8の表面に設けた溝状の燃料ガス流路6の開口部分にガス拡散層16を備える。ガス拡散層15、16としては、カーボンペーパタイプの基材に、カーボンおよびPTFEを混合したスラリーを含浸・乾燥させたものを用いる。また、ガス拡散層15、16は撥水性を示すように構成する。ここでは、ガス拡散層15、16に撥水処理を施す。
このように、発電電極部31の酸化剤ガス流路5に対面する領域のみに酸化剤ガス拡散層15を備える。また、発電電極部41の燃料ガス流路6に対面する領域のみに燃料ガス拡散層16を備える。
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
ガス拡散層15、16を、ガス流路5、6に重なる領域のみに構成する。これにより、発電電極部31、41へのガス拡散性、および、発電電極部31、41で生じた余剰水分の排出性が向上し、単位セル1の発電性能が向上する。
また、ガス拡散層15、16に撥水処理を施す。これにより、発電電極部31、41内からガス拡散層15、16に移動した余剰水分をガス拡散層15、16に保有することなく、速やかに酸化剤ガスまたは燃料ガス内へ拡散することができるので、発電電極部31、41内からの排水を促進し、発電電極部31、41内のガス拡散性を向上させることができ、単セル1aの発電性能を向上することができる。
次に、第5の実施形態について説明する。図5に、単位セル1の断面を示す。以下、第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
ここでは、酸化剤ガスセパレータ7のガス拡散性を有するリブ71の、酸化剤触媒層3に接する頂面に、溝状の排水流路17を備える。排水流路17を、リブ71頂面の非発電電極部32に対面する領域に備える。ここでは、図5に示すリブ71の断面中央付近に排水流路17を備える。また、排水流路17は、リブ71とは気密的に遮断されるように構成し、排水流路17内を酸化剤ガス流路5と比較して圧力が低くなるように外部から吸引する。
酸化剤触媒層3の発電電極部31で生成された水は、一部が酸化剤ガス流路5に対面する酸化剤触媒層3の表面から、一部はガス拡散性を有するリブ71の細孔中を拡散してリブ17の表面から、酸化剤ガス流路5を流れる酸化剤ガス中に回収される。また、生成水の一部は、発電電極部31に隣接する非発電電極部32を経由して排水流路17に吸引されて外部に排出される。
ここでは、酸化剤触媒層3側のみに排水流路17を設けたが、燃料触媒層4側に設けることもできる。または、酸化剤触媒層3と燃料触媒層4の両方に排水流路17を設けても良い。
また、排水流路17をリブ71の頂面に設けたが、この限りではなく、リブ71の内部に設けることもできる。
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第3の実施形態とは異なる効果のみを説明する。
リブ71に、酸化剤ガス流路5内の圧力より低圧となる排水流路17を備える。発電電極部31の水を非発電電極部32を通してリブ71内の排水流路17に吸引・除去することができるため、発電電極部31内よりの排水を促進し、発電電極部31内のガス拡散性を向上させることができる。
なお、ここでは、酸化剤ガスセパレータ7と燃料ガスセパレータ8を別々に構成したが、この限りではなく、一つのプレートで構成してもよい。
また、各部分に対して親水処理を施す旨を記載したが、親水処理は、親水性の強い構成とすることや、親水性の強い部材を用いることも含む。同様に、撥水処理に関しても、撥水性の強い構成とすることや、撥水性の強い部材を用いることも含む。
このように、本発明は、上記発明を実施するための最良の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で、様々な変更を為し得ることはいうまでもない。
本発明は、燃料電池に関する。特に、電極にPt等の金属触媒を有する固体高分子型燃料電池の構成に関する。
第1の実施形態による燃料電池の有する単位セルの断面図である。 第2の実施形態による燃料電池の有する単位セルの断面図である。 第3の実施形態による燃料電池の有する単位セルの断面図である。 第4の実施形態による燃料電池の有する単位セルの断面図である。 第5の実施形態による燃料電池の有する単位セルの断面図である。
符号の説明
1 単位セル
2 電解質膜
3 酸化剤触媒層
4 燃料触媒層
5 酸化剤ガス流路(ガス流路)
6 燃料ガス流路(ガス流路)
7 酸化剤ガスセパレータ
8 燃料ガスセパレータ
13、15 酸化剤ガス拡散層
14、16 燃料ガス拡散層
17 排水流路(流路)
30 酸化剤電極
40 燃料電極
31、41 発電電極部
32、42 非発電電極部
71、81 リブ部

Claims (10)

  1. 電解質膜と、
    前記電解質膜の両面に設けられた酸化剤触媒層と燃料触媒層と、
    前記酸化剤触媒層に略平行に配置され、前記酸化剤触媒層側の表面に酸化剤ガスを流通する酸化剤ガス流路を備えた酸化剤ガスセパレータと、
    前記燃料触媒層に略平行に配置され、前記燃料触媒層側の表面に燃料ガスを流通する燃料ガス流路を有する燃料ガスセパレータと、を備え、
    さらに、前記酸化剤触媒層と前記燃料触媒層のうち少なくとも一方の触媒層は、前記ガス流路に重なる領域を含めた、それより広い領域よりなる、触媒を有する発電電極部と、前記ガス流路に重ならない領域の、少なくともガス流路軸に略平行な中央軸部分を含む、触媒を有さない非発電電極部と、を備えることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記非発電電極部に、プロトン伝導性物質を含む請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記発電電極部に比較して、前記非発電電極部に親水性を持たせる請求項1または2に記載の燃料電池。
  4. 前記触媒層の、前記電解質膜に隣接する面の裏面に、多孔質部材により形成されたガス拡散層を備える請求項1から3のいずれか一つに記載の燃料電池。
  5. 前記ガス拡散層を、前記触媒層と前記ガスセパレータの間に備え、
    前記ガス拡散層に撥水処理を施す請求項4に記載の燃料電池。
  6. 前記ガス拡散層を、前記ガス流路に重なる領域のみに構成する請求項4に記載の燃料電池。
  7. 前記触媒層に比較して、前記ガス拡散層に撥水性を持たせる請求項6に記載の燃料電池。
  8. 前記ガス流路を、前記ガスセパレータ表面に設けた溝により構成し、
    前記溝の間に形成されたリブ部を、ガス拡散性を有する多孔質部材より構成する請求項1から3のいずれか一つに記載の燃料電池。
  9. 前記触媒層に比較して、前記リブ部に親水性を持たせる請求項8に記載の燃料電池。
  10. 前記リブ部に、前記ガス流路内の圧力より低圧となる流路を備える請求項8または
    9に記載の燃料電池。
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