以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態における包装容器の斜視図である。
図において、包装容器10は、前面12、後面13、側面14、15、頂面16及び底面17を備え、前記各側面14、15には、頂面16側から側面14、15側に折り曲げられた、三角形の形状を有する第1の耳片としての一対のトップフラップ19(図においてはそのうちの一つのトップフラップ19だけが示される。)が、前記底面17には、側面14、15側から底面17側に折り曲げられた、三角形の形状を有する第2の耳片としての一対の図示されないボトムフラップが形成される。なお、S1は、頂面16、後面13及び底面17にわたって形成された第1のシール部分としての縦シール部分、Stは頂面16及び各トップフラップ19にわたって形成されたトップシール部である。なお、底面17及び各ボトムフラップにわたって図示されないボトムシール部が形成され、前記トップシール部St及びボトムシール部によって、第2のシール部分としての横シール部分が形成される。
本実施の形態において、包装容器10は、四角柱の形状を有するが、少なくとも底面を備え、底面のほかに、側面、頂面等の他の面を備える、三角錐(すい)、多角柱(例えば、五つ以上の側面を備えた五角柱、六角柱、七角柱、八角柱等)等の形状を有するもの、又は、ブロック型、ゲーブルトップ型等のものを使用することができる。
前記包装容器10は充填機において次の手順で形成される。
図3は本発明の第1の実施の形態における充填機の概念図、図4は本発明の第1の実施の形態における原型容器の正面図である。
図において、21はウェブ状の包材であり、該包材21は、リール22の状態で充填機にセットされ、図示されない繰出機によって繰り出されて、充填機内をウェブ状の形状で搬送される。
前記包材21は、包装容器10を形成した状態における外側から順に、最外層、印刷層、紙基材及び最内層から成る積層体構造を有する。前記最外層及び最内層として、透明性が高く、耐破断強度が大きい、エチレン又はα−オレフィンの単独重合体又はエチレンとα−オレフィンとの共重合体等、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒を使用して製造された線状低密度ポリエチレン(mLLDPE))、ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体等)、ポリブテン−1、ポリ4−メチル−ペンテン−1等の樹脂フィルムが使用される。また、必要に応じて紙基材と最内層との間にバリヤ層を形成することができる。そして、該バリヤ層として、例えば、ポリエステル(PET)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ナイロン(登録商標)、ポリ塩化ビニリデン等の非オレフィン系の樹脂フィルムが使用される。本実施の形態において、前記最外層、印刷層、紙基材、バリヤ層及び最内層は、いずれも電気的に絶縁性を有し、包材21によって電気的絶縁体が構成される。
続いて、ウェブ状の包材21は、図示されないガイドローラによって案内されながら、図示されない成形用のフォーミングリングによって徐々に湾曲させられてチューブ状にされ、このとき、包材21の一方の縁部の外側面と他方の縁部の内側面とがオーバラップさせられ、図示されない縦シール装置によって縦方向にシールされ、縦シール部分S1が形成される。
続いて、流動性食品としての、例えば、牛乳、茶、ジュース、スープ、アルコール類等の図示されない液体食品が、充填管23を介して上方から供給され、チューブ状の包材24内に充填される。なお、前記流動性食品には、液体食品のほかに、液状調味料等の流動性を有するコロイド状、ゾル状の物質等も含まれる。また、全体として流動性を有するものであれば、流動性を有しない固体、ゲル等の成分を含有する物質も前記流動性食品に含まれる。
次に、図示されない横シール装置が、前記包材24を両側から挟持し、所定の間隔ごとに横方向にシールすることによって、横シール部分S2を形成し、それに伴って、該横シール部分S2によって分離させられた枕状、袋状等の原型容器25を形成する。続いて、前記包材24は、横シール部分S2において切断され、各原型容器25が切り離される。次に、該原型容器25は、所定の図示されない成形装置によって成形され、各トップフラップ19が側面14、15側に、各ボトムフラップ20が底面17側に向けて折り曲げられ、かつ、融着されて包装容器10が完成する。
なお、前記横シール部分S2は、わずかな距離を置いて、隣接させて形成された二つの平行な第1、第2のシール部から成り、包材24が前記第1、第2のシール部間で切断されるのに伴って、前記第1のシール部は、包装容器10の底面17側に位置させられてボトムシール部Sbとなり、前記第2のシール部は、包装容器10の頂面16側に位置させられてトップシール部Stとなる。図4において、12は前面、c1は切断線である。
前記横シール装置には、ヒータ、インダクタ等を利用してヒートシールを行うもの、及び超音波を利用して超音波シールを行うものが提供されている。このうちの、ヒートシールを行う横シール装置においては、ヒートシールジョーとカウンタジョーとが対向させられ、ヒートシールジョーの前端にヒートシールバーが、カウンタジョーの前端にカウンタレールが配設される。そして、前記ヒートシールジョー及びカウンタジョーが前進させられ、包材24を挟んでヒートシールバーがカウンタレールに押し付けられると、ヒートシールバーによって発生させられた熱によって包材が融着させられる。
なお、ウェブ状の包材21のほかに、板状の包材から包装容器10を製造することもできる。その場合、包材は、あらかじめ所定の形状を備え、所定の箇所に折り目が作られたブランケットとして形成される。続いて、該ブランケットは、前記折り目に沿って折り曲げられて筒状カートンにされた後、一端が閉鎖され、他端が開口させられた有底筒状カートンにされる。次に、該有底筒状カートンは、充填機に送られ、該充填機において、有底筒状カートンの中に液体食品が充填される。そして、有底筒状カートンの他端を閉鎖することによって包装容器10が完成する。
ところで、例えば、前記横シール装置において、ヒートシールバーに印加されるエネルギーが小さくなると、十分なシールを行うことができなくなり、シール部分におけるシールの品質が低下する。そこで、該シールの品質が低下しないように、前記エネルギーを管理したり、ヒートシールバー、カウンタレール等の構成部品を定期的又は随時交換したりしてシールの品質を維持するようにしている。
この場合、完成され、充填機から排出され、搬送コンベヤを搬送される包装容器10のうちの所定のものを定期的に被検体として抜き取り、抜き取った各包装容器10における縦シール部分S1、ボトムシール部Sb、トップシール部St等のシール部分について、シール状態をシール状態検査装置によって検査し、包装容器10の良否を判定するようにしている。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるシール状態検査装置の概念図である。
図において、AR1は被検体として抜き取られた包装容器10を置くための検査部であり、該検査部AR1に、第1の電極としてのフィードバック電極31、及び該フィードバック電極31より上方において、フィードバック電極31と対向させて配設された第2の電極としての検査電極32が配設される。また、包装容器10が、前記フィードバック電極31と検査電極32との間に配設され、フィードバック電極31上の所定の検査位置に載置される。
すなわち、前記フィードバック電極31は、包装容器10の所定の面、本実施の形態においては、底面17と対向させられ、かつ、接触させられる。また、フィードバック電極31は、平板状の形状を有し、包装容器10を載置するのに十分な面積を有し、下方において包装容器10を支持する。
前記検査電極32は、包装容器10の所定の面、本実施の形態においては、頂面16におけるトップシール部St(図4)と非接触で対向させられる。そして、前記検査電極32は、ピン状の形状を有し、先端部が徐々に細くされ、前記検査位置において、検査電極32と頂面16とは、所定の距離(1〜2〔mm〕)を置いて配設される。そのために、検査電極32は、図示されない高さ調整機構に取り付けられ、該高さ調整機構を作動させることによって検査電極32の高さを調整し、前記頂面16と検査電極32との間の距離を設定することができる。なお、この場合、検査電極32とトップシール部Stとが対向させられるので、トップシール部Stがシール状態の検査における検査部位となるが、検査電極32と、縦シール部分S1、ボトムシール部Sb等とを対向させて、縦シール部分S1、ボトムシール部Sb等を検査部位とすることができる。
包装容器10は図示されない搬送装置によって検査部AR1に送られ、前記検査位置にセットされる。前記検査部AR1には、所定の箇所に被検体検出部としてのセンサ33が配設され、該センサ33は、包装容器10を検出すると、検出信号を制御部35に送る。制御部35は、検出信号が送られると、シール状態の検査を開始する。
前記フィードバック電極31と検査電極32との間には、所定の検査用の交流の電圧を印加することができるようになっていて、そのために、前記フィードバック電極31及び検査電極32は電源装置36と接続され、該電源装置36は電圧制御部37に接続される。該電圧制御部37の図示されない電圧印加処理手段は、電圧印加処理を行い、電源装置36に指示を送り、500〔Hz〕で10〔kV〕の電圧を発生させ、フィードバック電極31と検査電極32との間に印加する。本実施の形態においては、電圧制御部37に電圧印加処理手段が配設されるようになっているが、制御部35に電圧印加処理手段を配設することができる。また、前記電圧制御部37に操作部としての操作スイッチが配設され、検査員は、操作スイッチを操作して、各種の設定を行うことができる。
なお、38は電圧表示部であり、該電圧表示部38は、電圧制御部37によって発生させられた電圧を、0.5〜10〔kV〕の範囲で表示する。
ところで、フィードバック電極31と検査電極32との間に包装容器10を配設して、フィードバック電極31と検査電極32との間に所定の電圧を印加すると、フィードバック電極31、検査電極32、包装容器10等がコンデンサとして機能し、フィードバック電極31と検査電極32との間に電束が形成されるとともに、該電束の電束密度によって決まる所定の電気量が蓄えられる。また、前記フィードバック電極31、検査電極32、包装容器10等がコンデンサとして機能するときの静電容量は、包装容器10の各縦シール部分S1、ボトムシール部Sb、トップシール部St等におけるシール状態によって異なる。
そこで、本実施の形態においては、フィードバック電極31と検査電極32との間に交流の電圧が印加されたときの、フィードバック電極31を流れる電流に基づいてトップシール部Stにおけるシール状態を検査し、包装容器10の良否を判定するようにしている。なお、前記電流は、フィードバック電極31及び検査電極32に交流の電圧が印加されるのに伴って、フィードバック電極31において変化する第1の電気的変量を構成する。
そのために、前記電圧制御部37の電気的変量検出部としての図示されない電流検出部はフィードバック電極31を流れる電流を検出し、検出された電流が前記電圧制御部37の図示されない電流・電圧変換部によって直流の電圧である検出電圧に変換される。なお、該検出電圧は、フィードバック電極31及び検査電極32に交流の電圧が印加されるのに伴って、フィードバック電極31において変化する第2の電気的変量を構成する。
そして、制御部35の図示されないシール状態検出処理手段は、シール状態検出処理を行い、前記検出電圧を読み込み、検出電圧に基づいてシール状態を検出する。そのために、前記シール状態検出処理手段は、検出電圧が設定値より高いかどうかを判断し、検出電圧が設定値より高い場合に、シール状態が不良であること、すなわち、シール不良を検出し、検出電圧が設定値以下である場合に、シール状態が良好であること、すなわち、シール良好を検出する。その結果、包装容器10が不良品であるか良品であるかの良否を判定することができる。
なお、本実施の形態においては、フィードバック電極31を流れる電流に基づいてシール状態を検出するようになっているが、検査電極32を流れる電流に基づいてシール状態を検出することができる。
次に、本実施の形態において包装容器10の検査方法の原理について説明する。
図5は本発明の第1の実施の形態における包装容器の検査方法の原理を説明する第1の図、図6は本発明の第1の実施の形態における包装容器の検査方法の原理を説明する第2の図、図7は本発明の第1の実施の形態における包装容器の検査方法の原理を説明する第3の図、図8は本発明の第1の実施の形態における包装容器の検査方法の原理を説明する第4の図、図9は本発明の第1の実施の形態における包装容器の検査方法の原理を説明する第5の図、図10は本発明の第1の実施の形態における包装容器の検査方法の原理を説明する第6の図、図11は本発明の第1の実施の形態における包装容器の検査方法を示す第1の図、図12は本発明の第1の実施の形態における包装容器の検査方法を示す第2の図、図13は本発明の第1の実施の形態における包装容器の検査方法を示す第3の図である。
図において、31はフィードバック電極、32は検査電極、41は絶縁性の材料から成り、上端が開口させられた有底の容器である。
図5及び6においては、容器41内に液体食品が収容されず、検査電極32の先端が容器41内に深く進入させられる。この場合、容器41内に液体食品が収容されていないので、フィードバック電極31と検査電極32とで容器41を挟んでコンデンサが形成される。したがって、コンデンサの有効な面積は検査電極32の先端の面積によって決まり、静電容量が小さくなり、フィードバック電極31と検査電極32との間に溜(た)まる電荷の量は極めて小さくなる。
これに対して、図7においては、容器41内に液体食品Lqが収容され、検査電極32の先端が液体食品Lqの液面に近接させられる。この場合、容器41内に液体食品Lqが収容されるので、液体食品Lqの底部分(容器41の底面と接触する部分)とフィードバック電極31とで容器41を挟んでコンデンサが形成される。したがって、コンデンサの有効な面積は、容器41の底面の面積によって決まり、静電容量が大きくなり、図9に示されるように、フィードバック電極31と液体食品Lqの下面との間、及び液体食品Lqの上面と検査電極32との間に溜まる電荷の量は多くなる(図9においては、6+)。
また、図8においては、容器41内に液体食品Lqが収容され、該液体食品Lqの液面に、容器41の材料と同じ絶縁性の材料から成る板部材43が浮かべて配設され、検査電極32の先端が板部材43の表面に近接させられる。この場合、容器41内に液体食品Lqが収容されるが、フィードバック電極31と検査電極32とで容器41、液体食品Lq及び板部材43を挟んでコンデンサが形成される。したがって、コンデンサの有効な面積は検査電極32の先端の面積によって決まり、静電容量が小さくなり、図10に示されるように、フィードバック電極31と液体食品Lqの下面との間、及び液体食品Lqの上面と検査電極32との間に溜まる電荷の量は少なくなる(図10においては、3+)。
本実施の形態においては、図11に示されるように、フィードバック電極31上に包装容器10を載置し、検査電極32をトップシール部Stと対向させ、検査電極32の先端を切断線c1に向け、頂面16と検査電極32との間の距離を設定された値にし、その後、フィードバック電極31と検査電極32との間に交流の電圧を印加する。そして、前記シール状態検出処理手段は、検出電圧を読み込む。
ところで、前記トップシール部Stのシール状態が良好でなく、図12に示されるように、包材24にピンホール90が形成されて包装容器10内外が連通させられると、前記ピンホール90に液体食品Lqが浸透し、検査電極32と液体食品Lqとが導通させられ、包装容器10は図7及び9に示される容器41と同じ状態に置かれる。したがって、前記センサ33(図1)によって包装容器10が検出され、フィードバック電極31と検査電極32との間との間に電圧が印加されると、フィードバック電極31と液体食品Lqの下面との間、及び液体食品Lqの上面と検査電極32との間に溜まる電荷の量が多くなり、これに伴って、フィードバック電極31を流れる電流が大きくなる。その結果、前記検出電圧が前記設定値より高くなり、前記シール状態検出処理手段はシール不良を検出する。
一方、前記トップシール部Stのシール状態が良好であり、図13に示されるように、検査電極32と液体食品Lqとが包材24によって遮断させられると、包装容器10は図8及び10に示される容器41と同じ状態に置かれる。したがって、前記センサ33によって包装容器10が検出され、フィードバック電極31と検査電極32との間との間に電圧が印加されると、フィードバック電極31と液体食品Lqの下面との間、及び液体食品Lqの上面と検査電極32との間に溜まる電荷の量が少なくなり、これに伴って、フィードバック電極31を流れる電流が小さくなる。その結果、前記検出電圧が前記設定値以下になり、前記シール状態検出処理手段はシール良好を検出する。
図14は本発明の第1の実施の形態におけるシール状態検査装置の回路図である。
図において、10は包装容器、31はフィードバック電極、32は検査電極、33はセンサ、35は制御部、36は電源装置、37は電圧制御部である。
前記電源装置36は、発振器51、交流の電圧の波形を発生させる波形発生回路52、前記発振器51の発振に伴って、前記波形発生回路52から送られた波形を整形し、電圧を発生させる波形整形回路53、シール状態検査装置が置かれた環境、すなわち、温度及び湿度によって電圧を変更する環境調整処理手段としての温・湿度コントローラ54、電圧を増幅する増幅器55、電圧を高くする昇圧トランス56等を備え、該昇圧トランス56に前記フィードバック電極31及び検査電極32が接続される。前記温・湿度コントローラ54は、環境調整処理を行い、図示されない温度検出部によって検出された温度、及び図示されない湿度検出部によって検出された湿度を読み込み、温度及び湿度に対応させて電圧を変更する。なお、温度及び湿度によって環境指標が構成される。
また、波形発生回路52から波形整形回路53に波形を送る動作をオン・オフさせるためにスイッチ装置として、オンスイッチ61及びオフスイッチ62が配設される。そして、63は、検査員による操作に基づいて、シール状態の検査を手動で行う手動モードと、シール状態の検査を自動で行う自動モードとでモードを切り替えるモード切替器、64はシール状態の検出感度を調整するための感度調整器、66は出力部としての表示器である。
検査員が感度調整器64を操作すると、電圧制御部37の図示されない感度調整処理手段は、感度調整処理を行い、増幅器55のゲインを調整し、電圧を変化させる。したがって、シール状態の検出感度を、求められる品質基準に対応させて任意に調整することができる。また、電圧制御部37の図示されない出力処理手段は、出力処理を行い、シール状態の検査結果を表示器66に送り、表示する。
このように、本実施の形態においては、底面17(図2)とフィードバック電極31とを対向させ、トップシール部Stと検査電極32とを対向させるだけで、トップシール部Stのシール状態を検査することができる。しかも、検査結果をリアルタイムで収集することができる。したがって、検査員がシール状態を目視及び触感で検査する必要がなくなり、包装容器10の良否の判定が検査員の熟練度に依存しないので、包装容器10の良否を確実に判定することができる。
また、検査電極32を包装容器10に接触させることなく、シール状態を検査することができるので、シール状態を検査するための作業を簡素化することができるだけでなく、包装容器10を破損することがない。
さらに、検査電極32と液体食品Lqとが導通させられるかどうかによる電流の変化に基づいてシール状態を検査するようになっているので、ピンホール90(図12)等のように、空気の流通が微細で、目視及び触感では検出が不可能なシール状態であっても、確実に検出することができる。
本実施の形態においては、充填機から排出され、搬送コンベヤを搬送される包装容器10のうちの所定のものを定期的に被検体として抜き取り、各被検体についてシール状態を検査するようになっているが、搬送コンベヤを搬送されるすべての包装容器10を被検体とし、各被検体についてシール状態を検査することができる。
次に、すべての包装容器10を被検体とするようにした本発明の第2の形態について説明する。
図15は本発明の第2の実施の形態におけるシール状態検査装置の概念図である。
図において、71は充填機の最終工程において原型容器25(図4)を搬送しながら成形し、被検体である包装容器10にする成形搬送部材としてのファイナルホルダユニットであり、該ファイナルホルダユニット71は、矢印A方向に走行させられる搬送部材としてのステーションチェーン72を備える。原型容器25は供給ステーションSn1でファイナルホルダユニット71に供給され、ステーションチェーン72によって搬送され、図示されない成形装置によって成形されて包装容器10になり、排出ステーションSn2から排出される。
そして、該排出ステーションSn2の近傍に、第1の電極としてのフィードバック電極74が、ステーションチェーン72に沿って、かつ、包装容器10の所定の面、本実施の形態においては、側面14又は側面15と対向させて、かつ、接触させて配設され、排出ステーションSnの近傍の上方に、第2の電極としての検査電極75が包装容器10のシール部分、本実施の形態においては、ボトムシール部Sbと対向させて、かつ、所定の距離を置いて配設される。前記フィードバック電極74は、帯状の形状を有する。また、前記検査電極75はピン状の形状を有し、先端部が徐々に細くされる。
この場合、ステーションチェーン72によって搬送される各包装容器10を被検体とし、各被検体について検査部位であるボトムシール部Sbのシール状態を検査することができる。
次に、本発明の第3の形態について説明する。
図16は本発明の第3の実施の形態におけるシール状態検査装置の概念図である。
図において、77は搬送部材としての搬送コンベヤであり、充填機から排出された被検体である包装容器10は搬送コンベヤ77によって搬送される。そして、搬送路の所定の箇所において、搬送コンベヤ77の下方に、第1の電極としてのフィードバック電極81が、包装容器10の所定の面、本実施の形態においては、底面17と対向させて、かつ、所定の距離を置いて配設され、搬送コンベヤ77の上方に、フィードバック電極81と対向させて、かつ、包装容器10のシール部分、本実施の形態においては、トップシール部St(図2)と対向させて第2の電極としての検査電極82が配設される。前記フィードバック電極81は、ロッド状の形状を有し、先端部が徐々に細くされる。また、前記検査電極82はピン状の形状を有し、先端部が徐々に細くされる。
この場合、搬送コンベヤ77によって搬送されるすべての各包装容器10を被検体とし、各被検体について検査部位であるトップシール部Stのシール状態を検査することができる。
前記各実施の形態において、包装容器10には、液体食品がほぼ全体にわたり充填され、液体食品の液面と頂面16又は底面17との間の空間、すなわち、ヘッドスペースがないようになっているが、ヘッドスペースが形成された包装容器10についてもシール状態を検査することができる。その場合、包装容器10を横に寝かせることによって、頂面16又は底面17に液体食品を接触させた状態を形成し、シール状態を検査する。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。