JP2006083095A - 幹細胞および/または内皮前駆細胞の分化促進剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 血管再生に応用可能な化合物を提供する。
【解決手段】 有効成分として、式(1)もしくは式(2)で表されるピリミジン化合物等を含有する幹細胞および/または内皮前駆細胞の分化促進剤等が提供される。
【化1】
(式(1)または式(2)において、
R1からR8は、各々独立に、水素、低級アルキル基、CH3OCH2CH2−、−CH2CONH2、−COCH3、−COC2H5、または−CH2OCOC2H5を表し、
Xは、>NH、>N−CH3、>N−C2H5、>N−ph、>N−CH2−ph、>N−CH−ph2、>N−COCH3、>N−COOC2H5、>N−SO2CH3、>CH2、>CHCH3、>CHC2H5、−O−、または−S−を表す。
ただし、phはフェニル基を示す。)
【選択図】 なし
【解決手段】 有効成分として、式(1)もしくは式(2)で表されるピリミジン化合物等を含有する幹細胞および/または内皮前駆細胞の分化促進剤等が提供される。
【化1】
(式(1)または式(2)において、
R1からR8は、各々独立に、水素、低級アルキル基、CH3OCH2CH2−、−CH2CONH2、−COCH3、−COC2H5、または−CH2OCOC2H5を表し、
Xは、>NH、>N−CH3、>N−C2H5、>N−ph、>N−CH2−ph、>N−CH−ph2、>N−COCH3、>N−COOC2H5、>N−SO2CH3、>CH2、>CHCH3、>CHC2H5、−O−、または−S−を表す。
ただし、phはフェニル基を示す。)
【選択図】 なし
Description
本発明は、血管新生に関する。特に、本発明は、幹細胞および/または内皮前駆細胞の分化促進剤、血管新生促進剤、虚血性疾患治療剤、幹細胞および/または内皮前駆細胞の培養方法、当該培養方法により得られた細胞、幹細胞および/または内皮前駆細胞の分化を促進する方法、血管内皮細胞の遊走を促進する方法、血管内皮細胞による管腔形成を促進する方法、内皮前駆細胞の血中への動員を促進する方法、ならびに、アンジオジェネシスおよび/またはバスキュロジェネシスを促進する方法、に関する。
胎児の血管形成は、バスキュロジェネシス(血管発生、脈管形成)とアンジオジェネシス(狭義の血管新生)の2つの異なるプロセスからなる。バスキュロジェネシスは、胎生期、中胚葉由来の幹細胞(血管芽細胞、血球血管芽細胞)が内皮細胞(ECs: endothelial cells)へと分化し、原始血管叢を形成するプロセスである。アンジオジェネシスは原始血管叢の再構築によって新しい血管が形成されるプロセスであり、内皮細胞による細胞外基質の消化、遊走、増殖、管腔形成等からなる(非特許文献1,2)。このようにして形成された血管は周囲を壁細胞(平滑筋細胞やペリサイト)によって被覆され、成熟した血管となる(非特許文献3〜5)。生後にも血管は新生される。これまで生後に生じる血管新生はすべてアンジオジェネシスであると考えられていたが、1997年Asaharaらは、生後にもバスキュロジェネシスが生じることを初めて報告した(非特許文献6)。すなわち、血液中には内皮前駆細胞(EPCs: endothelial progenitor cells)が存在し、血管新生部位に到達し、内皮細胞へと分化して血管新生に加担するというのである。内皮前駆細胞は、末梢血(非特許文献6)、骨髄(非特許文献7,8)、臍帯血(非特許文献9,10)、胎児肝臓(非特許文献11)、胎児骨格筋(非特許文献12)などに存在することが示されている。
また、非特許文献13に記載のように、血管新生は既存の血管から内皮細胞が出芽して新しい血管網が形成される現象であるといわれ、胎生期の血管形成、成長に伴う心臓・血管系の発達、子宮粘膜での周期的な血管網の増生、卵巣における卵胞の発育や黄体形成に伴う血管網の発達、創傷治癒などにおいての生理的な血管新生と、固形腫瘍や糖尿病性網膜症などにおける血管の過剰増殖の如き、病的な血管新生に分けられている(非特許文献14,15)。この区分けは、正常状態においては血管新生は一過性であり、異常・病的状態においては持続的で、病態の進展を促進するものという規定に基づくものであると考えられる。
血管新生にかかわる生体物質として、酸性線維芽細胞増殖因子(acidic FGF: acidic fibroblast growth factor)、塩基性線維芽細胞増殖因子(basic FGF: basic fibroblast growth factor)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF: vascular endothelial growth factor)、肝細胞増殖因子(HGF: hepatocyte growth factor)、上皮細胞増殖因子(EGF: epidermal growth factor)などの増殖因子が知られている。血管新生因子の活性はニワトリの受精卵漿尿膜を用いるCAM(chorioallantoic membrane)法や、実験動物の組織に傷害を与えて伸長する血管を検出する方法などによって、測定されている(非特許文献14)。
生体の各組織における恒常的な傷害や外傷を修復するのに、古今、生体の自然治癒能におまかせのところがあるのは事実であるが、創傷の治癒を促進するための医療が、遺伝子組換え技術の進展によって、今日可能となりつつある。すなわち、上にあげた、創傷部位において、発現し、血管新生や様々な細胞の遊走や分化を促進し、細胞の増殖を担う増殖分化因子を遺伝子工学的手法で、大量に調製し臨床効果が検討されている。また、増殖因子タンパクそのものではなく、その遺伝子発現を誘導する遺伝子治療もかたや検討されている。しかしながら、タンパクや遺伝子の生体への投与法と効果発現方法には、多くの解決すべき問題点があることも周知のことであり、これら増殖因子の作用の数分の1でも効果を持つような低分子ペプチドや、生体への投与が比較的容易な合成化合物を見出す努力も加速する必要があると考えられる。
ここで、合成ピリミジン化合物(ピリミジン誘導体とも記す。)である2−ピペラジノ−6−メチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン(2-piperadino-6-methyl-5-oxo-5,6-dihydro(7H) pyrrolo[3,4-d]pyrimidine)(以下、MS-818とも記す。)等は、神経芽腫由来の細胞株において神経突起の伸張を促進する(非特許文献16)。さらにMS-818は神経軸索の伸張、再生(非特許文献17〜20)、神経膠細胞の分化(非特許文献21)、神経細胞の生存(非特許文献22)等を促進することが知られている。神経系以外に対する作用として、Yasuharaらは、鶏受精卵絨毛尿膜におけるbFGFの血管新生作用をMS-818が促進することを報告しているが、MS-818単独の作用については不明である(非特許文献23)。さらに、MS-818には、胃粘膜上皮の再生(非特許文献24)、骨折の治癒(非特許文献25)、大脳虚血後の回復(非特許文献26)、骨格筋の再生(非特許文献27、28)などの効果があることが報告されている。これらに基づき、MS-818等は、神経細胞の再生(特許文献1〜3)や、創傷治療(特許文献4、非特許文献29、30)への応用が期待されている。
具体的には、本発明者らが、かつて神経芽腫瘍細胞の神経突起伸展活性を見出した以下に示すMS-818、MS-820、MS-430などの合成ピリミジン誘導体(非特許文献29,特許文献2,3,5)はまた、NGF添加によってはじめて神経細胞様細胞に分化するラットPC12細胞に対して、NGFと併用すると神経突起伸長効果を増強することが示された(非特許文献16)。この2系統の細胞系への合成ピリミジン誘導体の知見は、シグナルオン状態時の作用という意味で大変示唆的であった。NGFに限らず、神経分化誘導性(neurotrophic)な作用を持つbFGFやIGF−1などの増殖因子をマウスやラットの胎児の大脳や脊髄の神経細胞の初代培養に加える実験で、MS-818を併用すると、同様の神経突起伸展の増強効果も、予想通り見出されたのである(非特許文献22、非特許文献31)。MS-818、MS-430はインビトロの効果のみならず、末梢神経の圧挫や切断されたラット(非特許文献17、32〜39)やマウス(非特許文献18、19、40)の神経傷害モデルや、ラット筋肉切断−縫合モデル(非特許文献27、28)での有効性も見出されている。中枢神経系の傷害モデルにおいても、MS-818は治癒促進効果を有する(非特許文献26、41,42)。
脳神経系疾患は、神経系細胞の傷害のみならず、血管傷害によってもおこるが、山口大学・脳神経外科の伊藤治英教授、柏木史郎講師、安原新子医師はモヤモヤ病に対する間接的血管吻合術の効果を補助する手段としてbFGFの投与を考えておられた。そこでbFGFのニワトリ胚の漿尿膜での血管新生作用をMS-818が促進することを期待して共同研究を行った。bFGFの1ng/ml、10ng/ml、100ng/ml単独群、MS-818の0.01mM、0.1mM、1mM単独群、そして各濃度のbFGFに各濃度のMS-818を添加した混合群の血管新生能をCAM法で測定した(非特許文献23)。
この非特許文献によれば、bFGF単独群は対照に比べ血管新生能があり、濃度依存の傾向があったが、1、10、100ng/mlの各比較では有意差は認められなかった。MS-818単独群でも高濃度では血管新生能を認めたが、対照に比べ有意差はなかった。10ng/mlのbFGFとMS-818の混合群は、各単独群に比べ有意に高い血管新生能を示した。10ng/mlのbFGFに0.01mMという比較的低濃度のMS-818を添加しただけで、100ng/mlのbFGFを凌駕する血管新生が見られたことが特筆された。他の知見も含めてMS-818の併用実験によってbFGFの至適濃度域が10ng/ml付近にあることがわかった。
なお、非特許文献23では、bFGFとMS-818をしみこませたディスクの周囲で血管新生が起きているので、MS-818がbFGFの血管新生作用の増強効果を有することまでは明らかにされたと言える。一方で、この文献においては、ニワトリの受精卵を用いて、MS-818の効果を調べただけであり、どのようなパスウェイで血管新生作用がもたらされたのかは全く不明であった。
近年、心筋虚血、脳虚血、四肢の閉塞性動脈硬化症などで血流障害が生じた場合の血管再生療法が注目されており、血管新生因子の遺伝子を用いた遺伝子療法や骨髄単核球を採取して虚血部位に注入する自家骨髄移植の臨床治験が進められている。しかしながら、薬剤による簡便な治療法が開発されれば、患者にとってメリットは大きい。本発明は薬剤による血管再生療法の開発に繋がるものである。我々は薬物を用いた血管再生療法の可能性について考慮し、血管再生に応用可能な化合物について検討した。
本発明の一の側面によると、有効成分として、式(1)もしくは式(2)で表されるピリミジン化合物またはその塩もしくはそのプロドラッグ(以下、ピリミジン化合物等またはピリミジン誘導体等とも記す。)を含有する幹細胞および/または内皮前駆細胞の分化促進剤が提供される。
式(1)または式(2)において、
R1からR8は、各々独立に、水素、低級アルキル基、CH3OCH2CH2−、−CH2CONH2、−COCH3、−COC2H5、または−CH2OCOC2H5を表し、
Xは、>NH、>N−CH3、>N−C2H5、>N−ph、>N−CH2−ph、>N−CH−ph2、>N−COCH3、>N−COOC2H5、>N−SO2CH3、>CH2、>CHCH3、>CHC2H5、−O−、または−S−を表す。
ただし、phはフェニル基を示す。
R1からR8は、各々独立に、水素、低級アルキル基、CH3OCH2CH2−、−CH2CONH2、−COCH3、−COC2H5、または−CH2OCOC2H5を表し、
Xは、>NH、>N−CH3、>N−C2H5、>N−ph、>N−CH2−ph、>N−CH−ph2、>N−COCH3、>N−COOC2H5、>N−SO2CH3、>CH2、>CHCH3、>CHC2H5、−O−、または−S−を表す。
ただし、phはフェニル基を示す。
また、本発明の他の側面によると、有効成分として、実質的に上記ピリミジン化合物等のみを含有する血管新生促進剤が提供される。また、本発明の他の側面によると、有効成分として、上記ピリミジン化合物等を含有する虚血性疾患治療剤が提供される。
また、本発明の他の側面によると、上記ピリミジン化合物等の存在下で、幹細胞、内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞を培養するステップを含む幹細胞および/または内皮前駆細胞の培養方法が提供される。また、本発明の他の側面によると、当該培養方法により得られた細胞が提供される。また、本発明の他の側面によると、幹細胞および/または内皮前駆細胞を、上記ピリミジン化合物等に暴露するステップを含む幹細胞および/または内皮前駆細胞の分化を促進する方法が提供される。また、本発明の他の側面によると、血管内皮細胞を、上記ピリミジン化合物等に暴露するステップを含む血管内皮細胞の遊走を促進する方法が提供される。また、本発明の他の側面によると、血管内皮細胞を、上記ピリミジン化合物等に暴露するステップを含む血管内皮細胞による管腔形成を促進する方法が提供される。また、本発明の他の側面によると、内皮前駆細胞を、上記ピリミジン化合物等に暴露するステップを含む内皮前駆細胞の血中への動員を促進する方法が提供される。また、本発明の他の側面によると、幹細胞、内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞を、酸塩基性線維芽細胞増殖因子に暴露することなしに、上記ピリミジン化合物等に暴露するステップを含むアンジオジェネシスを促進する方法が提供される。また、本発明の他の側面によると、幹細胞、内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞を、上記ピリミジン化合物等に暴露するステップを含むバスキュロジェネシスを促進する方法が提供される。また、本発明の他の側面によると、幹細胞、内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞を、上記ピリミジン化合物等に暴露するステップを含むアンジオジェネシスおよびバスキュロジェネシスを促進する方法が提供される。また、本発明の他の側面によると、上記ピリミジン化合物等の上記の剤の製造のための使用が提供される。また、本発明の他の側面によると、上記ピリミジン化合物等を、それ必要とする哺乳動物に投与するステップを含む虚血性疾患の治療方法が提供される。
上記したように、合成ピリミジン化合物MS-818は組織傷害に対し、修復・再生作用のあることが知られている。また、合成ピリミジン化合物MS-818がbFGFの血管新生作用を増強することが、in vivoの実験で示されている。しかしながら、合成ピリミジン化合物MS-818自身に血管新生促進作用があるのか、有るとすればその作用は血管内皮細胞や内皮前駆細胞に対する直接作用かどうか不明であった。
本発明者らは、以下に詳細に説明するように、ピリミジン化合物等が、単独で血管内皮細胞に直接作用して血管新生を促進することや、血管内皮細胞の遊走を促進すること、血管内皮細胞による管腔形成を促進すること、骨髄の内皮前駆細胞の血中への動員を促進すること、幹細胞の血管内皮細胞への分化を促進すること、内皮前駆細胞の血管内皮細胞への分化を促進すること、バスキュロジェネシスとアンジオジェネシスの両面で血管新生を促進すること等を証明した。すなわち、本発明によると、ピリミジン化合物等の暴露により、血管内皮細胞や骨髄の内皮前駆細胞に直接作用して、内皮前駆細胞の動員、血管内皮細胞への分化、血管新生等の作用を介して血管再生を促進することができる。
以下に、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら説明する。もっとも、本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
本発明にあっては、ピリミジン誘導体として、特許文献2、3、6〜10などに記載のある2−置換−6−アルキル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン類化合物および2−置換−7−アルキル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン類化合物を用いることができる。より具体的には、式(1)または式(2)で表わされる化合物を用いることができる。
式(1)または式(2)において、R1からR8は、各々独立に、水素、低級アルキル基、CH3OCH2CH2−、−CH2CONH2、−COCH3、−COC2H5、または−CH2OCOC2H5を表し、Xは、>NH、>N−CH3、>N−C2H5、>N−ph、>N−CH2−ph、>N−CH−ph2、>N−COCH3、>N−COOC2H5、>N−SO2CH3、>CH2、>CHCH3、>CHC2H5、−O−、または−S−を表す。ただし、phはフェニル基を示す。また、低級アルキル基は、炭素数が1から7の低級アルキル基が好ましい。
式(1)で表される化合物のうち代表的なものを以下に例挙する。2−ピペラジノ−6−メチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−(4−メチルピペラジノ)−6−メチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−(4−エチルピペラジノ)−6−メチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−ピペリジノ−6−メチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−(4−メチルピペリジノ)−6−メチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−(4−エチルピペリジノ)−6−メチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−モルホリノ−6−メチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−チオモルホリノ−6−メチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−ピペラジノ−6−エチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−ピペラジノ−6−イソプロピル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−ピペラジノ−6−n−ブチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−ピペラジノ−6−sec−ブチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−ピペラジノ−6−t−ブチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−ピペラジノ−4,6−ジメチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−ピペラジノ−6,7−ジメチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−ピペラジノ−6,7,7−トリメチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−ピペリジノ−4,6−ジメチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−ピペリジノ−6,7,7−トリメチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−ピペラジノ−7−メチル−6−エチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−ピペラジノ−4−メチル−6−エチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔3,4−d〕ピリミジン。
式(2)で表される化合物のうち代表的なものを以下に例挙する。2−ピペラジノ−7−メチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−(4−メチルピペラジノ)−7−メチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−(4−エチルピペラジノ)−7−メチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−(4−N−アセチルピペラジノ)−7−メチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−ピペリジノ−7−メチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−(4−メチルピペリジノ)−7−メチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−(4−エチルピペリジノ)−7−メチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−モルホリノ−7−メチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−チオモルホリノ−7−メチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−ピペリジノ−7−エチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−ピペリジノ−7−n−プロピル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−ピペリジノ−7−イソプロピル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−ピペリジノ−7−n−ブチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−ピペリジノ−7−t−ブチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−ピペリジノ−5−メチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−ピペラジノ−5−メチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−ピペラジノ−4,7−ジメチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−ピペリジノ−5,7−ジメチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−ピペリジノ−5,5,7−トリメチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−ピペラジノ−5,7−ジメチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−ピペラジノ−5,5,7−トリメチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−ピペリジノ−4メチル−7−エチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン、2−ピペリジノ−5−メチル−7−エチル−6−オキソ−5,6−ジヒドロ(7H)ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン。
また、本発明にあっては、上記ピリミジン誘導体の塩、好ましくは薬学的に許容される塩を用いることもできる。特に限定されるものではないが、ピリミジン誘導体の薬学的に許容される塩として、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、糖酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩などの薬学的に許容しうるアニオンを有する非毒性酸付加塩を形成する酸から形成される塩類およびそれらの水和物、ならびに第四級アンモニウム(またはアミン)塩類およびそれらの水和物が挙げられる。また、本発明にあっては、上記ピリミジン誘導体のプロドラッグを用いることもできる。
上記ピリミジン誘導体等の製造方法は、既に、本発明者らが特許出願および論文発表をしているので、それらを参照されたい(特許文献2,3,6〜10,非特許文献16等)。
以下に詳細に説明するように、本発明者等により、これらのピリミジン誘導体等が、(a)血管内皮細胞の遊走を促進する作用、(b)血管内皮細胞による管腔形成を促進する作用、(c)内皮前駆細胞の血中への動員を促進する作用、(d)内皮前駆細胞の血管内皮細胞への分化を促進する作用、(e)幹細胞の血管内皮細胞への分化を促進する作用、(f)ERK1/2の活性化を促進する作用を有することが明らかにされた。これらの知見から、上記ピリミジン誘導体等が、(g)アンジオジェネシスを促進する作用、(h)バスキュロジェネシスを促進する作用、ひいては(i)血管新生を促進する作用を有することが、当業者には理解される。ここで、上記したように、MS-818がbFGFの血管新生作用を促進することが報告されていたが、ピリミジン誘導体等の単独の作用については不明であった。このため、本発明者等により、ピリミジン誘導体等が単独でこれらの作用を発揮することが明らかにされたことを特筆すべきである。
これらの知見に基づくと、上記ピリミジン誘導体等が、幹細胞および/または内皮前駆細胞の分化促進剤、血管内皮細胞の遊走剤、血管内皮細胞による管腔形成剤、内皮前駆細胞の血中への動員剤、アンジオジェネシス促進剤、バスキュロジェネシス促進剤、アンジオジェネシスおよびバスキュロジェネシス促進剤、血管新生促進剤ならびに虚血性疾患治療剤として有用であることが、当業者には理解される。特に、有効成分として、上記ピリミジン誘導体等のみを含有するものを、これらの剤として利用できることが理解される。
ここで、バスキュロジェネシスは、幹細胞や内皮前駆細胞が内皮細胞へと分化し、原始血管叢を形成するプロセスである。アンジオジェネシスは、原始血管叢の再構築によって新しい血管が形成されるプロセスであり、内皮細胞による細胞外基質の消化、遊走、増殖、管腔形成等のステップを含む。また、幹細胞は、胚性幹細胞、血管芽細胞、および血球血管芽細胞を含む。また、内皮前駆細胞は、血管内皮前駆細胞を含む。虚血性疾患は、心筋虚血、脳虚血、四肢の閉塞性動脈硬化症等の上肢または下肢閉塞性動脈疾患、閉塞性動脈硬化症、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞等を含む。
なお、これらの剤は、インビトロ、インビボまたはエクスビボのいずれでも用いることができる。ここで、インビトロは、対象とする反応を広く生体外で行わせることをいい、無細胞系、細胞培養系および組織培養系を含むものとする。また、インビボは、対象とする反応を生体内で行わせることをいい、治療の目的で、対象とする反応を、ヒトまたはその他の哺乳動物内で行わせることを含むものとする。また、エクスビボは、対象とする反応を、生体から採取した生きた細胞内で、後に元の生体に戻すことを前提として行わせることをいう。
また、上記剤は、例えば錠剤、カプセル、散剤、顆粒、トローチ、カシエー、エリキシル、乳濁液、乳液、シロップ、懸濁液、エアロゾル、軟膏、無菌注射液、成形パップ、軟質および硬質ゼラチンカプセル、alzet(登録商標)pumpカプセル、ペレット、坐薬および無菌包装粉末などの形にすることができる。特に、上記ピリミジン誘導体等を治療剤として用いる場合には、経口、皮下、筋肉内、静脈内、鼻内、皮膚透過および直腸経路といった種々の経路により投薬することができる。
また、上記剤は、担体または希釈剤、好ましくは薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含有することができる。このような担体または希釈剤の例として、乳糖、ブドウ糖、蔗糖、ソルビトール、マンニトール、とうもろこし澱粉、結晶セルロース、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、ゼラチン、シロップ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシ安息香酸エステル、プロピルヒドロキシ安息香酸エステル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、不活性なポリマー類、水または鉱油などが挙げられる。
上記剤を、固形剤または液剤のいずれとして用いる場合であっても、上記のような担体等のほか、充填剤、結合剤、滑沢剤、湿潤剤、崩壊剤、乳濁および懸濁剤、保存剤、甘味剤あるいは芳香剤などを含有し得る。特に、上記ピリミジン誘導体等を医薬組成物として用いる場合、上記剤は、また患者(動物を含む)に投薬の後、活性成分が急速に、持続的にまたは遅延的に放出されるように調製することができる。
経口投与の場合、上記ピリミジン誘導体等は、担体または希釈剤と混合され、錠剤、カプセル剤などの形にされることが好ましい。非経口投与の場合、活性成分は10%ブドウ糖水溶液、等張食塩水、無菌水あるいは類似の液体に溶解され、静脈内に点滴または注射により、あるいは筋肉内注射により投与されるべくバイアルまたはアンプルに密閉されることが好ましい。好ましくは、溶解補助剤や局所麻酔剤、保存剤および緩衝剤も媒体中に含有させることができる。安定性を増すために、上記剤をバイアルまたはアンプルに注入した後に、凍結乾燥することも可能である。非経口投与の他の製剤としては、例えば軟膏剤、パップ剤などの経皮的に投与される製剤がある。この場合成型パップやテープ剤が有利である。また障害局所、組織、骨などの中に直接埋め込むペレット剤やalzet(登録商標)pumpカプセル剤などもある。ペレット作製に用いる樹脂としては、ポリ(2−ハイドロキシエチルメタアクリレート)や、エチレンビニルアセテートコポリマーなどが挙げられる。
上記剤は、単位投薬量形状にあたり一般に0.1ないし2000mg、好ましくは0.5ないし1000mgの活性成分を含有する。上記ピリミジン誘導体等は広い投薬量範囲にわたって有効である。例えば、1日あたりの投薬量は普通0.03mg/kgないし100mg/kgの範囲である。実際に投与される化合物の量は、投与される化合物により、また個々の患者の年令、体重、反応、症状の程度、投与経路等により、医者により決定される。従って、上記の投薬量範囲は本発明の範囲を限定するものではない。1日あたりの好適な投薬回数は通常1〜6回、好ましくは1〜4回である。
上記ピリミジン誘導体等は、それ自体で有効な各種剤として用いることができるが、目的に応じて1種またはそれ以上の他の各種増殖・分化因子、成長ホルモンやサイトカイン類、亜鉛等の化合物と組合せて用いることもできる。そのような付加的な化合物として、EGF、aFGF、bFGFその他のFGF類、TGF−α、TGF−β、PDGF、PD−ECGF、BMP、HGF、ミッドカイン、TNF、インスリン、IGF−I,II、ケラチノサイト成長因子、ECGF、線維芽細胞由来上皮細胞増殖因子、G−CSF、M−CSF、GM−CSF、TPO、LIF、SCF、EPO、ADF、MIP−α、トランスフェリン、トロンビン、トロンボモジュリン、IL−1、IL−4、IL−6、IL−8、HRF、単球走化性活性因子、CGRP、SOD、アンジオテンシン、プロスタグランジン類、セロトニン、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニンなどおよびその同族体等が挙げられる。
また、上記したように、本発明によると、上記ピリミジン誘導体等の存在下で、幹細胞、内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞を培養するステップを含む幹細胞および/または内皮前駆細胞の培養方法が提供される。幹細胞、内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞は、上記ピリミジン誘導体等の各作用を発揮するために有効な量の上記剤の存在下で培養される。例えば、上記ピリミジン誘導体等の濃度を、好ましくは50nM〜1mM、さらに好ましくは500nM〜500μM、さらに好ましくは1μM〜100μM、さらに好ましくは5μM〜75μM、さらに好ましくは50μMとすることができる。また、例えばインビトロで培養する場合にあっては、幹細胞および/または内皮前駆細胞は、上記ピリミジン誘導体等の各作用を発揮するために有効な時間、上記剤の存在下で培養される。例えば、培養する時間を、好ましくは1〜60日、さらに好ましくは1〜30日、さらに好ましくは1〜15日、さらに好ましくは1〜10日、さらに好ましくは2〜7日、さらに好ましくは5日とすることができる。また、幹細胞および/または内皮前駆細胞は、さらに上記増殖・分化因子、成長ホルモンやサイトカイン類、亜鉛等の化合物の存在下で培養されることができる。添加されるこのような増殖・分化因子等の濃度は、一般に1fg/mL〜1mg/mLであり、一般に1〜100ng/mLで十分である。ただし、上記したように、本発明によると、増殖因子等の付加的な化合物の不存在下で、幹細胞および/または内皮前駆細胞を培養した場合であっても、血管内皮細胞への分化促進等の作用を発揮することができる。
また、本発明によると、上記培養方法により得られた細胞が提供される。このような細胞は、上記ピリミジン誘導体等により、血管内皮細胞への分化が促進された状態、または分化した状態である。また、このように得られた細胞は、虚血性疾患治療剤中の有効成分として用いることができる。当業者には理解されるように、このような虚血性疾患治療剤は、上記ピリミジン誘導体等を含有する虚血性疾患治療剤と同様に、担体または希釈剤等をさらに含有することができ、投与経路、投与形態等を選択することができる。なお、薬物による血管新生療法については、非特許文献43等を、造血幹細胞を利用した血管新生療法については、非特許文献44等をさらに参照されたい。
また、本発明によると、幹細胞および/または内皮前駆細胞を、上記ピリミジン誘導体等に暴露するステップを含む幹細胞および/または内皮前駆細胞の分化を促進する方法が提供される。本発明によると、血管内皮細胞を、上記ピリミジン誘導体等に暴露するステップを含む血管内皮細胞の遊走を促進する方法が提供される。また、本発明によると、血管内皮細胞を、上記ピリミジン誘導体等に暴露するステップを含む血管内皮細胞による管腔形成を促進する方法が提供される。また、本発明によると、内皮前駆細胞を、上記ピリミジン誘導体等に暴露するステップを含む内皮前駆細胞の血中への動員を促進する方法が提供される。また、本発明によると、幹細胞、内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞を、塩基性線維芽細胞増殖因子に暴露することなしに、上記ピリミジン誘導体等に暴露するステップを含むアンジオジェネシスを促進する方法が提供される。また、本発明によると、幹細胞、内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞を、上記ピリミジン誘導体等に暴露するステップを含むバスキュロジェネシスを促進する方法が提供される。また、本発明によると、幹細胞、内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞を、上記ピリミジン誘導体等に暴露するステップを含むアンジオジェネシスおよびバスキュロジェネシスを促進する方法が提供される。
これらの方法において、各細胞を上記ピリミジン誘導体等に暴露する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ヒトまたはその他の哺乳動物に上記ピリミジン誘導体等を投与してもよく、また、各細胞を培養するための液体培地中に、上記ピリミジン誘導体等を添加してもよい。上記ピリミジン誘導体等の投与形態、投与経路、投与量、濃度、培養時間等は、上記と同様とすることができる。
以下に、本発明の実験例を、添付図面を参照しながら説明する。もっとも、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
[方法]
〔細胞遊走〕
ウシ微小結果内皮細胞(BCE細胞)を35mmのプラスティック培養皿に培養し、既報に従ってその一部をカミソリの刃で剥ぎ取った(非特許文献45)。細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS: phosphate-buffered saline)で洗浄し、0.1%ウシアルブミン(BSA)と種々の濃度のMS-818を含むDMEM中で培養した。24時間後、細胞を固定Giemsa染色し、剥ぎ取った部分に這い出した細胞数をカウントした。16〜20視野についてカウントし、平均±標準偏差を算出した。
〔細胞遊走〕
ウシ微小結果内皮細胞(BCE細胞)を35mmのプラスティック培養皿に培養し、既報に従ってその一部をカミソリの刃で剥ぎ取った(非特許文献45)。細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS: phosphate-buffered saline)で洗浄し、0.1%ウシアルブミン(BSA)と種々の濃度のMS-818を含むDMEM中で培養した。24時間後、細胞を固定Giemsa染色し、剥ぎ取った部分に這い出した細胞数をカウントした。16〜20視野についてカウントし、平均±標準偏差を算出した。
〔管腔形成〕
既報に従って、BCE細胞を1型コラーゲンゲル上で培養し、敷石状となったところで培地を0.1%ウシアルブミン(BSA)と種々の濃度のMS-818を含むDMEMに変えてさらに培養した(非特許文献46)。3日後、1型コラーゲンゲル中に侵入した管腔様構造物の1視野当たりの総延長をNIHイメージを用いて定量化した。8つのサンプルについて平均±標準偏差を算出した。
既報に従って、BCE細胞を1型コラーゲンゲル上で培養し、敷石状となったところで培地を0.1%ウシアルブミン(BSA)と種々の濃度のMS-818を含むDMEMに変えてさらに培養した(非特許文献46)。3日後、1型コラーゲンゲル中に侵入した管腔様構造物の1視野当たりの総延長をNIHイメージを用いて定量化した。8つのサンプルについて平均±標準偏差を算出した。
〔マウス末梢血からの単核球の分離〕
C57BL/6NマウスにMS-818(1または10mg/kg/day)あるいはビークル(生理食塩水)を2日に1回腹腔投与した。3日目に心臓から血液採取、Ficoll Paque Plusを用いて比重遠心し、単核球を分離する。混入する赤血球は、塩化アンモニウム溶液(8.99 g/LのNH3Cl2、1.0g/LのKHCO3および37mg/LのEDTA/4Na)を用いて溶血させた。残った単核球の表面マーカーをFACS Vantage SEを用いて解析した。
C57BL/6NマウスにMS-818(1または10mg/kg/day)あるいはビークル(生理食塩水)を2日に1回腹腔投与した。3日目に心臓から血液採取、Ficoll Paque Plusを用いて比重遠心し、単核球を分離する。混入する赤血球は、塩化アンモニウム溶液(8.99 g/LのNH3Cl2、1.0g/LのKHCO3および37mg/LのEDTA/4Na)を用いて溶血させた。残った単核球の表面マーカーをFACS Vantage SEを用いて解析した。
〔マウス骨髄Lin-細胞の単離とインビトロでの内皮細胞への分化〕
C57BL/6Nマウスの大腿骨を0.5%のBSAを含むPBS(BSA/PBS)でフラッシュ、30μmポアのナイロンメッシュを通してデブリスを除去し、細胞浮遊液を得た。細胞浮遊液を4℃で1,500rpmの回転数で10分間遠心し、沈殿した細胞を、40μLのBSA/PBSに対して107個、ビオチン複合化抗体混合物(biotin-conjugated antibody cocktail)(CD5、CD45R、CD11b、anti-Ly-6G、7-4、およびTer-119; Miltenyi Biotech, Auburn, CA)10μLに対して107個となるように再浮遊し、4℃で10分間静置した。さらに、抗ビオチンマイクロビーズを20μLに対して107となるように加え、4℃で15分間静置した。細胞をBSA/PBSで洗浄し、磁気ステンレス鋼ウールカラムに通してLin-細胞を回収した。得られたLin-細胞をフィブロネクチンでコートした培養皿上に、1皿あたり5×105個となるように撒き込み、10%のFCSと内皮増殖添加物(endothelial growth supplements)を含む内皮細胞基本培地2(endothelial cell basal medium 2)(10%のFCS/EBM2およびECGS)で培養した。4日目にMS-818を含む培地(10%のFCS/EBM2およびECGS)に換えて、さらに10日後に以下のごとく免疫染色を行った。
C57BL/6Nマウスの大腿骨を0.5%のBSAを含むPBS(BSA/PBS)でフラッシュ、30μmポアのナイロンメッシュを通してデブリスを除去し、細胞浮遊液を得た。細胞浮遊液を4℃で1,500rpmの回転数で10分間遠心し、沈殿した細胞を、40μLのBSA/PBSに対して107個、ビオチン複合化抗体混合物(biotin-conjugated antibody cocktail)(CD5、CD45R、CD11b、anti-Ly-6G、7-4、およびTer-119; Miltenyi Biotech, Auburn, CA)10μLに対して107個となるように再浮遊し、4℃で10分間静置した。さらに、抗ビオチンマイクロビーズを20μLに対して107となるように加え、4℃で15分間静置した。細胞をBSA/PBSで洗浄し、磁気ステンレス鋼ウールカラムに通してLin-細胞を回収した。得られたLin-細胞をフィブロネクチンでコートした培養皿上に、1皿あたり5×105個となるように撒き込み、10%のFCSと内皮増殖添加物(endothelial growth supplements)を含む内皮細胞基本培地2(endothelial cell basal medium 2)(10%のFCS/EBM2およびECGS)で培養した。4日目にMS-818を含む培地(10%のFCS/EBM2およびECGS)に換えて、さらに10日後に以下のごとく免疫染色を行った。
細胞にBSA/PBSで200倍希釈した抗vWF(von Willebrand factor)抗体の溶液を加え、4℃で一晩静置した。次に、細胞をPBSで3回洗浄し、BSA/PBSで100倍希釈したFITC複合化抗ウサギIgG(FITC-conjugated anti-rabbit IgG)を加え、室温で30分静置した。細胞をPBSで3回洗浄し、460〜490nmの励起フィルターを通し蛍光顕微鏡(Olympus)で観察した。また、細胞核をDAPI(4',6'-diamidino-2-phenylindole, dihydrochloride)で染色した。全体の細胞(DAPI陽性)に対するvWF陽性細胞の割合を、内皮細胞への分化の指標とした。
〔マウス胚性幹(ES)細胞株MG1.19細胞の内皮細胞への分化〕
1.5×104個のMG1.19細胞を、OP9細胞上で、種々の濃度のMS-818を含む分化用培地(LIFを含まないDM、10%のFCS/αMEM、100μMの2-ME)を用いて培養した。3〜5日後、細胞を回収し、FITC複合化抗マウスCD31モノクローナル抗体、PE複合化抗マウスFlk−1モノクローナル抗体、APC複合化抗マウスVE−カドヘリンモノクローナル抗体とFACS Vantage SE(Becton Dickinson, San Jose, CA)を用いて内皮特異的な表面マーカーを解析した(非特許文献47)。
1.5×104個のMG1.19細胞を、OP9細胞上で、種々の濃度のMS-818を含む分化用培地(LIFを含まないDM、10%のFCS/αMEM、100μMの2-ME)を用いて培養した。3〜5日後、細胞を回収し、FITC複合化抗マウスCD31モノクローナル抗体、PE複合化抗マウスFlk−1モノクローナル抗体、APC複合化抗マウスVE−カドヘリンモノクローナル抗体とFACS Vantage SE(Becton Dickinson, San Jose, CA)を用いて内皮特異的な表面マーカーを解析した(非特許文献47)。
〔ウェスタンブロット法〕
BCE細胞を種々の濃度のMS-818を含む0.1%のFCS/DMEMで15分間培養し、既報に従って細胞抽出液を得た(非特許文献48)。細胞抽出液をSDS-PAGEで展開したのち、フィルターにトランスファーした(非特許文献46)。1次抗体として1,000倍希釈の抗リン酸化ERK1/2抗体あるいは抗ERK1/2抗体、または1,000倍希釈の抗リン酸化Akt抗体あるいは抗Akt抗体、2次抗体として4,000希釈のHRP複合化抗マウスIgG抗体、またはHRP複合化抗家兎IgG Aを用いる。フィルターをECL Western blotting detection kit(Amersham)で処理し、LAS-1000(Fuji Film)で観察した。
BCE細胞を種々の濃度のMS-818を含む0.1%のFCS/DMEMで15分間培養し、既報に従って細胞抽出液を得た(非特許文献48)。細胞抽出液をSDS-PAGEで展開したのち、フィルターにトランスファーした(非特許文献46)。1次抗体として1,000倍希釈の抗リン酸化ERK1/2抗体あるいは抗ERK1/2抗体、または1,000倍希釈の抗リン酸化Akt抗体あるいは抗Akt抗体、2次抗体として4,000希釈のHRP複合化抗マウスIgG抗体、またはHRP複合化抗家兎IgG Aを用いる。フィルターをECL Western blotting detection kit(Amersham)で処理し、LAS-1000(Fuji Film)で観察した。
〔統計解析〕
統計解析は、ANOVA(Analysis of variance)を用い、P値をチューキー法(Tukey's methods)によって算出し、P < 0.05を有意と判定した。
統計解析は、ANOVA(Analysis of variance)を用い、P値をチューキー法(Tukey's methods)によって算出し、P < 0.05を有意と判定した。
[結果]
〔培養血管内皮細胞に対するMS-818の作用〕
Yasuharaらによって、MS-818は鶏受精卵絨毛尿膜のbFGFによる血管新生作用を増強することが報告されているが(非特許文献23)、MS-818が内皮細胞に対して直接的に作用して血管新生を促進するかどうかは不明であった。そこでBCE細胞の細胞遊走、管腔形成を指標にて解析したところ、MS-818はそれらをいずれも有意に促進した(図1A,B)。
〔培養血管内皮細胞に対するMS-818の作用〕
Yasuharaらによって、MS-818は鶏受精卵絨毛尿膜のbFGFによる血管新生作用を増強することが報告されているが(非特許文献23)、MS-818が内皮細胞に対して直接的に作用して血管新生を促進するかどうかは不明であった。そこでBCE細胞の細胞遊走、管腔形成を指標にて解析したところ、MS-818はそれらをいずれも有意に促進した(図1A,B)。
〔内皮前駆細胞動員に対するMS-818の作用〕
成熟個体の血管新生では、既存の血管から新生血管が生じるアンジオジェネシスの他に、骨髄由来の内皮前駆細胞が内皮細胞へと分化して血管を形成するバスキュロジェネシスも生じることが判明している。そこで、MS-818のバスキュロジェネシスに対する効果を検討した。マウスにMS-818を腹腔内投与すると、CD34、Flk−1やVE−カドヘリン陽性の内皮前駆細胞の血中への動員が用量依存的に促進された(図2A,B)。
成熟個体の血管新生では、既存の血管から新生血管が生じるアンジオジェネシスの他に、骨髄由来の内皮前駆細胞が内皮細胞へと分化して血管を形成するバスキュロジェネシスも生じることが判明している。そこで、MS-818のバスキュロジェネシスに対する効果を検討した。マウスにMS-818を腹腔内投与すると、CD34、Flk−1やVE−カドヘリン陽性の内皮前駆細胞の血中への動員が用量依存的に促進された(図2A,B)。
〔内皮前駆細胞の内皮分化に対するMS-818の作用〕
動員された内皮前駆細胞は、局所において内皮細胞へと分化して、新生血管の一部を構成すると考えられる。そこでMS-818の内皮細胞分化に対する効果を検討した。骨髄からLin-の幹細胞分画を採取し、フィブロネクチン上で培養し、vWFを指標にして内皮細胞への分化を検討したところ、MS-818は内皮細胞への分化を有意に促進した(図3A,B)。
動員された内皮前駆細胞は、局所において内皮細胞へと分化して、新生血管の一部を構成すると考えられる。そこでMS-818の内皮細胞分化に対する効果を検討した。骨髄からLin-の幹細胞分画を採取し、フィブロネクチン上で培養し、vWFを指標にして内皮細胞への分化を検討したところ、MS-818は内皮細胞への分化を有意に促進した(図3A,B)。
〔マウスES細胞の内皮分化に対するMS-818の作用〕
MS-818の内皮細胞への分化促進作用を再確認するために、マウス胚性幹(ES)細胞を用いた内皮細胞への分化における効果を検討したところ、MS-818はES細胞のOP9細胞上での内皮細胞への分化を有意に促進した(図4)。
MS-818の内皮細胞への分化促進作用を再確認するために、マウス胚性幹(ES)細胞を用いた内皮細胞への分化における効果を検討したところ、MS-818はES細胞のOP9細胞上での内皮細胞への分化を有意に促進した(図4)。
〔内皮細胞のシグナル伝達系に対するMS-818の作用〕
最後にMS-818の作用メカニズムを検討するために、内皮細胞の細胞内シグナル伝達における効果を検討した。血管新生や内皮の分化にはERK1/2やAktの活性化が関与していることが知られている。そこでそれらの活性化をウェスタンブロット法を用いて調べたところ、MS-818はERK1/2の活性化を僅かに促進したが、Aktの活性化には影響を与えなかった(図5A,B)。
最後にMS-818の作用メカニズムを検討するために、内皮細胞の細胞内シグナル伝達における効果を検討した。血管新生や内皮の分化にはERK1/2やAktの活性化が関与していることが知られている。そこでそれらの活性化をウェスタンブロット法を用いて調べたところ、MS-818はERK1/2の活性化を僅かに促進したが、Aktの活性化には影響を与えなかった(図5A,B)。
[結語]
以上のように、MS-818が、血管内皮細胞に直接的に作用して遊走、管腔形成といったアンジオジェネシスに必要なプロセスと、内皮細胞前駆細胞の血中への動員と、内皮分化を促進することが示された。前者に関して、鶏受精卵絨毛尿膜のbFGFによる血管新生作用を増強することは報告されているが、内皮細胞に対して単独で、直接的に作用することを証明したのは、今回が初めてである。一方、後者のバスキュロジェネシスの促進作用に関しては、今回が初めての知見である。そこで、その作用をさらに確認するために、マウスES細胞を用いた内皮分化の実験系を用いたが、この実験からMS-818には確かに内皮分化を促進する作用のあることが証明された。さらに、MS-818の作用機序を明らかにする目的で、内皮細胞の細胞内シグナル伝達系に対する作用を検討した結果、MS-818はERK1/2の活性化を促進するが、Aktについては影響を与えないことが判明した。
以上のように、MS-818が、血管内皮細胞に直接的に作用して遊走、管腔形成といったアンジオジェネシスに必要なプロセスと、内皮細胞前駆細胞の血中への動員と、内皮分化を促進することが示された。前者に関して、鶏受精卵絨毛尿膜のbFGFによる血管新生作用を増強することは報告されているが、内皮細胞に対して単独で、直接的に作用することを証明したのは、今回が初めてである。一方、後者のバスキュロジェネシスの促進作用に関しては、今回が初めての知見である。そこで、その作用をさらに確認するために、マウスES細胞を用いた内皮分化の実験系を用いたが、この実験からMS-818には確かに内皮分化を促進する作用のあることが証明された。さらに、MS-818の作用機序を明らかにする目的で、内皮細胞の細胞内シグナル伝達系に対する作用を検討した結果、MS-818はERK1/2の活性化を促進するが、Aktについては影響を与えないことが判明した。
合成化合物として生後のアンジオジェネシスやバスキュロジェネシスに作用するものとして、HMG-CoA(3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A)還元酵素阻害剤のスタチンがある。スタチンはAktの活性化を介して、これらの効果を発揮すると考えられているが(非特許文献49〜51)、MS-818はAktに作用しなかったことから、MS-818はスタチンとは異なる機序で作用すると考えられる。
これまでに、MS-818は神経系の再生に作用することが知られていたが、神経系と血管系の形成の調節には類似点のあることが知られている(非特許文献52)。MS-818 は、ラットの大脳虚血モデルにおいて梗塞巣を減少させることが報告されているが(非特許文献26)、この作用は、神経再生と血管再生の効果が複合的に現れたためかもしれない。いずれにしても、MS-818は、神経系のみならず、血管系にも作用する低分子量合成化合物として、臨床応用が期待される。
Claims (16)
- 有効成分として、式(1)もしくは式(2)で表されるピリミジン化合物またはその塩もしくはそのプロドラッグを含有する幹細胞および/または内皮前駆細胞の分化促進剤。
R1からR8は、各々独立に、水素、低級アルキル基、CH3OCH2CH2−、−CH2CONH2、−COCH3、−COC2H5、または−CH2OCOC2H5を表し、
Xは、>NH、>N−CH3、>N−C2H5、>N−ph、>N−CH2−ph、>N−CH−ph2、>N−COCH3、>N−COOC2H5、>N−SO2CH3、>CH2、>CHCH3、>CHC2H5、−O−、または−S−を表す。
ただし、phはフェニル基を示す。) - 幹細胞および/または内皮前駆細胞を血管内皮細胞へ分化させるための請求項1に記載の剤。
- 有効成分として、実質的に請求項1に記載のピリミジン化合物またはその塩もしくはそのプロドラッグのみを含有する血管新生促進剤。
- 有効成分として、請求項1に記載のピリミジン化合物またはその塩もしくはそのプロドラッグを含有する虚血性疾患治療剤。
- 請求項1に記載のピリミジン化合物またはその塩もしくはそのプロドラッグの存在下で、幹細胞、内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞を培養するステップを含む幹細胞および/または内皮前駆細胞の培養方法。
- 移植治療用の細胞を調製するための請求項5に記載の培養方法。
- 請求項5または6に記載の方法により得られた細胞。
- 幹細胞および/または内皮前駆細胞を、式(1)もしくは式(2)で表されるピリミジン化合物またはその塩もしくはそのプロドラッグに暴露するステップを含む幹細胞および/または内皮前駆細胞の分化を促進する方法。
R1からR8は、各々独立に、水素、低級アルキル基、CH3OCH2CH2−、−CH2CONH2、−COCH3、−COC2H5、または−CH2OCOC2H5を表し、
Xは、>NH、>N−CH3、>N−C2H5、>N−ph、>N−CH2−ph、>N−CH−ph2、>N−COCH3、>N−COOC2H5、>N−SO2CH3、>CH2、>CHCH3、>CHC2H5、−O−、または−S−を表す。
ただし、phはフェニル基を示す。) - 幹細胞および/または内皮前駆細胞を血管内皮細胞へ分化させるための請求項8に記載の方法。
- 血管内皮細胞を、請求項1に記載のピリミジン化合物またはその塩もしくはそのプロドラッグに暴露するステップを含む血管内皮細胞の遊走を促進する方法。
- 血管内皮細胞を、請求項1に記載のピリミジン化合物またはその塩もしくはそのプロドラッグに暴露するステップを含む血管内皮細胞による管腔形成を促進する方法。
- 内皮前駆細胞を、請求項1に記載のピリミジン化合物またはその塩もしくはそのプロドラッグに暴露するステップを含む内皮前駆細胞の血中への動員を促進する方法。
- 幹細胞、内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞を、塩基性線維芽細胞増殖因子に暴露することなしに、請求項1に記載のピリミジン化合物またはその塩もしくはそのプロドラッグに暴露するステップを含むアンジオジェネシスを促進する方法。
- 幹細胞、内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞を、請求項1に記載のピリミジン化合物またはその塩もしくはそのプロドラッグに暴露するステップを含むバスキュロジェネシスを促進する方法。
- 幹細胞、内皮前駆細胞および/または血管内皮細胞を、請求項1に記載のピリミジン化合物またはその塩もしくはそのプロドラッグに暴露するステップを含むアンジオジェネシスおよびバスキュロジェネシスを促進する方法。
- 前記暴露するステップが、インビトロまたはエクスビボで行われる請求項8〜15のいずれかに記載の方法。
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JP2004269212A JP2006083095A (ja) | 2004-09-16 | 2004-09-16 | 幹細胞および/または内皮前駆細胞の分化促進剤 |
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Cited By (2)
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EP2578246A2 (en) | 2011-09-29 | 2013-04-10 | Fujifilm Corporation | Scaffold for vascular endothelial cell migration |
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2004
- 2004-09-16 JP JP2004269212A patent/JP2006083095A/ja active Pending
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