JP2003522155A - 細胞損傷または細胞死を治療または阻害する方法 - Google Patents

細胞損傷または細胞死を治療または阻害する方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、TNFα拮抗薬による療法を提供することにより、虚血性イベント後の細胞損傷または細胞死を治療または阻害する、再灌流障害を治療または阻害する、および心筋梗塞後の死亡率を低下させる方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、TNFα拮抗薬による療法を提供することにより、虚血性イベント
(ischemic event)後の細胞損傷または細胞死を治療または阻害すること、再灌流
障害を治療または阻害すること、および心筋梗塞後の死亡率を低下させることに
関する。
【0002】 血管床に対する血流の減少または停止は、危険になった臓器または組織への適
当な灌流の即時の介入および回復を必要とする様々な臨床イベントの原因である
。様々な組織は様々な程度の虚血性損傷に耐えることができる。しかし、すべて
の組織は、再灌流されなければ、不可逆的な損傷および細胞壊死に進行する。心
臓組織の減少した灌流(虚血)は、組織が酸素およびエネルギーを奪われるように
なるにつれて、適切に機能する心臓の能力の喪失をもたらす。恒久的な損傷は、
心筋が経験する酸素不足の継続時間に直接関係している。虚血組織の再灌流は、
単純に、その組織または臓器系への流れの回復を意味する。機械的または薬理学
的な手段により達成される再灌流の必要性は、特に心筋梗塞の臨床環境において
、医学界により受け入れられている。データは、「再灌流障害」が、血流が組織
に戻る際に組織救助の程度を損なうことを示唆している。
【0003】 冠動脈血管形成術および血栓溶解療法などの治療的介入は、急性の心筋虚血の
治療に向けられている。心筋梗塞を経験している患者の死亡率が左心室の機能不
全の程度に依存していることは、よく認識されている。左心室の機能不全の程度
は、梗塞を起こし、それゆえ機能的でなくなった心筋の量に直接関係している。
虚血時間に曝された心筋組織が細胞の生存能および回復すべき機能に関して定ま
った期間内における血流の回復に依存するという一般的な了解が存在する。
【0004】 虚血後の損なわれた組織は、それを再灌流することによってのみ回復させるこ
とができる。もっとも再灌流の作用が損傷をさらに広げることができるが。研究
者らがこのことを認識し始めるにつれて、研究は再灌流障害に関連する細胞障害
を抑制する可能性のある療法を開発することだけでなく、原因である機構を探究
することに向けられた。数多くの細胞機構が虚血に誘発された再灌流障害の原因
であると考えられる。
【0005】 THFαは、マクロファージおよび単球により分泌されるサイトカインであり
、数多くの細胞タイプに多種多様の効果を引き起こす。TNFタンパクは、TN
F応答性細胞の原形質膜上に発現された特異的なTNF受容体(TNFR)タンパ
クに結合することにより、細胞に対するそれらの生物学的効果を開始する。TH
Fαにより引き起こされる効果としては、腫瘍細胞系に対する阻害または細胞毒
性効果、繊維芽細胞の増殖および骨髄細胞の食細胞/細胞毒性活性の刺激、内皮
細胞における接着分子の誘発、含脂肪細胞における特異的な酵素の合成の阻害、
ならびに組織適合抗原の発現の誘発が挙げられる[米国特許第5,610,279号を参照
]。THFαは、組織損傷(例えば、軟骨および骨の分解)をもたらす前炎症作用
をも引き起こす[Saklatvala, Nature 322:547(1986);Bertolini, Nature 319:5
16(1986)]。TNFαは、感染症、免疫障害、新生物の病理、自己免疫の病理、
および移植片対宿主疾患にも関連している。THFαは、癌に関連する悪液質と
して知られる消耗症候群(悪性新生物に応答した、進行性の体重低下、食欲不振
および除脂肪体重の持続的な減少を包含する)を引き起こすのにも関係している[
WO 98/51344を参照]。
【0006】 TNFαは、心室の機能不全、肺の浮腫および心筋症の誘発にも寄与している
と考えられる。[Torre-Amione G, J Am Coll Cardiol 27:1201-1206(1996)]。T
NF受容体IおよびII(TNFR、p55、p75)に対するTNFの結合により
引金が引かれる炎症カスケードの成分が心筋で観察される急性の有害な効果の直
接的な原因であることを示唆する一連の証拠が増加している[Oral, H., J Biol
Chem. 272(8):4836-4842(1997);Kapadia, S., Am J. Physiol. 268:H517-H525(
1995)]。
【0007】 炎症性サイトカイン(例えば、TNF)は、虚血の発症後、直ちに筋細胞により
放出されることが示されており[Meldrum, D.R., J Mol Cell Cardiol. 30:1683-
1689(1998)]、好中球の管外溢出において役立つ接着分子の発現に関係している
と考えられる。スフィンゴミエリナーゼ経路は、TNFの放出により開始するこ
とができ、サイトカインの有力なシグナリング経路であるとみなされている[Kim
ら, J Biol Chem 266:484-489(1991);Dresslerら, Science 255:1715-1718(199
2);Yangら, J Biol Chem 268:20520-20523(1993)]。この経路は、心臓の筋細胞
において立証されている。[Oralら, J Biol Chem 272:4836-4842(1997)]。スフ
ィンゴミエリナーゼは、TNFにより活性化され、膜に結合したスフィンゴミエ
リンをセラミドに分解することができる。次には、内生のセラミダーゼがセラミ
ドをスフィンゴシンに代謝分解する。セラミドおよびスフィンゴシンの両方は、
第二メッセンジャーの性質を有することが示されている。スフィンゴシンは、L
型カルシウム電流を直接抑制する能力だけでなく、筋小胞体からのカルシウム誘
発性カルシウム放出を減少させることにより、心臓機能を低下させることが示さ
れている。ケイン(Cain)ら[Crit Care Med. 27(7):1309-1318(1999)]は、器官槽
に懸垂させた刺激ヒト心房梁柱を利用して、発生した組織の力を記録した。勾配
濃度のTNF-α、IL-1βまたはTNF-α+IL-1βを加え、機能を評価し
た。加えて、TNF-αまたはIL-1βの前に、組織をN-オレイルエタノール
アミン(NOE)に曝露した。TNF-αおよびIL-1βは、各々、濃度に依存す
る様式で、ヒト心筋機能を低下させた。NOEによる心筋スフィンゴシンの阻害
は、TNF-αまたはIL-1βのいずれかの心筋を弱める効果を廃止した。研究
者らは、TNF-αおよびIL-1βが別々にかつ相乗的にヒト心筋機能を低下さ
せると結論づけた。スフィンゴシンは、同様に、ヒト心筋機能の低下に至るTN
F-αおよびIL-1βシグナルに関与している。
【0008】 細胞損傷は、他の組織においても立証されている。成人ヒト腎臓近位尿細管(
HK-2)細胞がスフィンゴシンおよび代謝物ならびにC2、C8またはC16セ
ラミドの存在下または非存在下で0〜20時間培養された。スフィンゴシン(>
または=10マイクロM)および選択されたセラミド(C2およびC8)は、各々
、DNAラダーリングの非存在下における急速な濃度依存性の細胞毒性、または
細胞死の壊死形態を示唆するアポトーシスの形態学的変化を誘発した。研究者ら
は、ヒト包皮繊維芽細胞において結果を再現することができたが、このことは急
性の細胞損傷および修復の範囲に対する幅広い関連性を示唆している[Iwataら,
PNAS 92(19):8970-8974(1995)]。
【0009】 ENBREL(エタナセプト;p75TNFR:Fc)は、ヒトIgG1のFc
部分に連結したヒト75キロダルトン(p75)腫瘍壊死因子受容体(TNFR)の
細胞外リガンド結合タンパクからなる二量体融合タンパクである。エタナセプト
は、慢性関節リウマチの治療用として現在市販されているTNFα拮抗薬であり
、慢性心不全の治療用として臨床試験を受けている[Bozkurt B, JACC(補遺)184-
185A(1999);Deswal A., Circulation(補遺) 96(8):I-323(1997)]。
【0010】 WO 98/51344は、TNF媒介性の疾患(例えば、慢性関節リウマチ、クローン病
)ならびに移植に関連した急性および慢性の免疫疾患の治療または予防のための
、VEGF拮抗薬と組み合わせたTHFα拮抗薬の使用を開示している。
【0011】 発明の説明 本発明は、有効量のTNFα拮抗薬を与えることからなる、虚血性イベント後
の細胞損傷または細胞死を治療または阻害する方法を提供する。さらに詳しくは
、本発明は、有効量のTNFα拮抗薬を与えることにより、心筋梗塞、心筋虚血
、網膜虚血、網膜中心閉塞症、末梢動脈閉塞症(すなわち、塞栓症)、一過性脳虚
血発作(すなわち、脳虚血性発作)、虚血性脳卒中、虚血性動脈閉塞症;凍傷、動
脈血栓症および閉塞症から生じる再灌流障害、ならびに挫滅外傷から生じる細胞
損傷または細胞死を治療または阻害する方法を提供する。また、本発明は、有効
量のTNFα拮抗薬を与えることにより、心筋梗塞後の死亡率を低下させる方法
を提供する。そのうえ、本発明は、有効量のTNFα拮抗薬を与えることにより
、心臓の虚血性イベント後の心臓障害を阻害する方法を提供する。さらに、本発
明は、有効量のTNFα拮抗薬を与えることにより、再灌流障害を治療または阻
害する方法を提供する。
【0012】 本発明に従って用いられるように、「有効量のTNFα拮抗薬を与える」なる
用語は、かかる拮抗薬を直接投与すること、あるいは体内で有効量の拮抗薬を形
成するプロドラッグ、誘導体または類似体を投与することのいずれかを意味する
【0013】 「TNFα拮抗薬」なる用語は、WO 98/51344で十分に定義されており、イン
ビボでTNFα活性を減少、遮断、阻害、排除または妨害するものとして定義さ
れる。例えば、適当なTNFα拮抗薬は、TNFαを結合することができ、抗T
NFα抗体、その抗原結合断片、ならびにTNFαに特異的に結合する受容体分
子および誘導体が挙げられる。また、適当なTNFα拮抗薬は、TNFα合成お
よび/またはTNFα放出を防止または阻害することができ、サリドマイド、テ
ニダップ、およびホスホジエステラーゼ阻害薬(例えば、ペントキシフィリンお
よびロリプラムであるが、これらに限定されない)などの化合物が挙げられる。
TNFα合成および/またはTNFα放出を予防または阻害することができる適
当なTNFα拮抗薬としては、A2bアデノシン受容体エンハンサーおよびA2
bアデノシン受容体作動薬(例えば、51-(N-シクロプロピル)カルボキシアミ
ドアデノシン、51-N-エチルカルボキシアミドアデノシン、シクロヘキシルア
デノシンおよびR-N6-フェニル-2-プロピルアデノシン)も挙げられる。例え
ば、Jacobson, GB 2 289 218Aを参照。適当なTNFα拮抗薬は、TNFα受容
体シグナリングを防止または阻害することができ、マイトジェン活性化タンパク
(MAP)キナーゼ阻害薬が挙げられる。他の適当なTNFα拮抗薬としては、膜
TNFα開裂を減少、遮断、阻害、排除または妨害する薬剤(例えば、メタロプ
ロテイナーゼ阻害薬であるが、これに限定されない);TNFα活性を減少、遮
断、阻害、排除または妨害する薬剤(例えば、アンジオテンシン変換酵素(ACE
)阻害薬(例えば、カプトプリル、エナラプリルおよびリシノプリル)であるが、
これに限定されない);およびTNFα産生および/または合成を減少、遮断、阻
害、排除または妨害する薬剤(例えば、MAPキナーゼ阻害薬であるが、これに
限定されない)が挙げられる。
【0014】 TNFα拮抗薬はTNFαを結合するTNF受容体分子であることが好ましい
。TNF受容体分子はTNF受容体断片/免疫グロブリン融合タンパクであるこ
とがより好ましい。この融合タンパクはTNFRの断片とヒト免疫グロブリン重
鎖の一部または全定常領域とからなることがさらにより好ましい。
【0015】 特に好ましいTNFα拮抗薬は、エタナセプト(p75TNFR:Fc)であり
、これはヒトIgG1のFc部分に連結したヒト75キロダルトン(p75)腫瘍
壊死因子受容体(TNFR)の細胞外リガンド結合タンパクからなる二量体融合タ
ンパクである。エタナセプトはENBRELとして市販されており、慢性関節リ
ウマチを治療する際の使用が現在承認されている。エタナセプトは、米国特許第
5,605,690号、第5,478,925号、EP 464533およびEP 670730(これらは出典を示す
ことにより本明細書の一部をなす)に記載されている方法に従って製造すること
ができる。
【0016】 別の好ましいTNFα拮抗薬は、p55TNFR:Fcと呼ばれ、これはヒト
IgG1のFc部分に連結したヒト55キロダルトン(p55)腫瘍壊死因子受容
体(TNFR)の細胞外リガンド結合タンパクからなる二量体融合タンパクである
。p55TNFR:Fcの製造は、米国特許第5,610,279号(これは出典を示すこ
とにより本明細書の一部をなす)に開示されている。
【0017】 虚血性イベント後の細胞損傷または細胞死を治療または阻害する、および再灌
流障害を治療または阻害するTNFα拮抗薬の能力は、2つのインビボでの標準
的な薬理学的試験法で評価された。第1の試験法は心臓機能に対するTNFおよ
びスフィンゴシンの効果を評価し、第2の試験法は主冠動脈を30分間閉塞させ
た後に再灌流した時の生存率を評価した。エタナセプトは急性の心筋梗塞をまね
た第2の試験法における代表的なTNFα拮抗薬として評価された。筋細胞に対
するスフィンゴシンの心臓抑制効果を評価するために、インビトロでの標準的な
薬理学的試験法も実施した。用いた方法および得られた結果を以下に示す。
【0018】 方法 外科手術による準備 体重505±5gの雄スプラーグ-ドーリー(Sprague-Da
wley)ラットをペントバルビタールナトリウム(50mg/kg I.P.)で麻酔した
。気管内チューブを適所に固定し、100呼吸/分(1回呼吸気量は2〜3mL/
呼吸)に設定した小動物用の人工呼吸装置(Harvard Apparatus, モデル683, Sout
h Natick, MA)に接続した。温水を循環させる加熱パッド(K-モデル100, Baxter
Laboratories)を用いて、体温を維持した。左開胸術を行い、心臓を露出させ、
心膜を除去した。心臓の頂部を通して挿入し、P23 IDステーサム(Statham)
/グールド(Gould)圧変換器に接続したアンジオカテーテル(20ゲージ)に取り付
けた、塩水を満たしたポリエチレンカテーテルを用いて、左心室の圧を測定した
。動脈圧は、左頸動脈に導入した、塩水を満たしたポリエチレンカテーテル(P
E50)によりモニターした。右頸静脈にもIV薬物注入および容量充満(0.9
%NaCl)用のポリエチレンカテーテル(PE50)をカニューレ挿入した。E
CG記録用の皮下針を四肢に配置した。すべてのデータ出力は、Po-Ne-Mahデー
タ取得システム(Valley View, OH)を備えたグールド(Gould)モデル6600(Valley
View, OH)シリーズの記録計で記録し、生理学プラットフォームのCRS800W/CRS40
0W記録計(General Scanning Inc., Bedford MA)に表示した。
【0019】 第1の試験法では、ラットを外科手術により準備し(開胸したが、閉塞しなか
った)、緩慢なi.v.注入(0.1mg/kg、5分間かけて)により、TNF、スフ
ィンゴミエリンまたはスフィンゴシンを投与した。各動物は15分間絶えず観察
し、その後、第2の投与量を緩慢なi.v.注入(0.3mg/kg、5分間かけて)に
より投与し、各動物を再び15分間観察した。
【0020】 第2の試験法では、冠動脈閉塞を受けるラットの主冠動脈を位置確認し、血管
の下側に通過させた5-0縫糸(PEチューブ(PE20)の短い切れ端上で堅く結
ぶことができた)を用いて、その起点の近くで閉塞させて、局部的な虚血を開始
した。再灌流はPEチューブの短い切れ端を取り除くことにより回復させた。
【0021】 梗塞部の寸法の測定 心臓を取り出し、5〜6個の冠状切片にスライスした。
これらを1%トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)に10〜15分間浸
漬した。心臓切片を取り出し、水気を取って乾燥させ、アセテートシート上にト
レースした。梗塞の面積は、虚血領域の淡い外見と梗塞していない心筋の赤レン
ガ色とにより明確に区別した。全切片の面積を面積測定法で求め、梗塞部の面積
を左心室の百分率(%)として表した。
【0022】 ラット血清中のTNF定量 血液試料を抗凝血薬の非存在下でシリンジに採取
し、直ちにマイクロテイナー(Microtainer;登録商標)血清セパレーターチュー
ブ(Becton Dickinson)に入れ、2000gで6分間遠心分離した。血清を取り出
し、直ちに凍結させ、分析を行うことができるまで−20℃で保存した。予め選
択された時点で採取した血清TNFの濃度は、製造業者の指示書に従って、ファ
クター-テスト-X(Genzyme Inc, Cambridge, MA., Cat #80-3905-01)を利用する
酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)により個々のラットについて測定した。簡
単には、100μLの血清を0.1%ウシ血清アルブミン/リン酸緩衝食塩水で1
:2に希釈し、96ウェルマイクロタイタープレートに2通りに加えた。標準曲
線は、ラットTNF標準物質の濃度-対-それらの吸光度をプロットすることによ
り生成させた。この測定法の製造業者および我々の実験室での確認は、この測定
法が遊離のTNFおよびエタナセプトに結合したTNFの両方を検出することが
できることを示している(データは非表示)。この測定法の検出限界は10pg/
mLであった。加えて、製造業者は、このELISAがラットTNFに対して非
常に特異的であることを確定している。10pg/mLに達する濃度のラット
IFN-γ、GRO-β/MIP-2、GRO/KCと、インターロイキンIL-1β
、IL-2およびIL-4、ならびにマウスLIF、SCF、GM-CSFと、イ
ンターロイキンIL-1α、IL-3、IL-5、IL-6、IL-7およびIL-1
0とは、検出可能な交差反応性を与えなかった。
【0023】 心室筋細胞の単離 Silverら(13)により概説された改変ランゲンドルフ(Lan
gendorff)灌流法を用いて、心室筋細胞を単離した。簡単には、いずれかの性別
の体重2〜4kgのネコをペントバルビタールナトリウム(40mg/kg I.P.)
で麻酔した。麻酔下、胸骨切開術を行い、心臓を急いで摘出した後、大動脈カニ
ューレ挿入のために、4℃のCa++非含有クレブス(Kerbs)-ヘンセライト(Hen
seleit)緩衝溶液(KHB)に浸漬した。KHBは以下の組成を有した(mM単位)
:130 NaCl、4.8 KCl、1.2 MgSO、1.2 NaHPO
、25 NaHCO、12.5 デキストロース。溶液のpHは、95%O/5
%COガス混合物で平衡化した場合、7.35〜7.40であった。この溶液は
、この方法を通じて、積極的に曝気した。カニューレ挿入した心臓を37℃のK
HBで2〜4分間すすいだ後、0.7mg/mLタイプIIコラゲナーゼ(197U/
mg;Worthington;Freehold, NJ USA)を含有するKHBで12〜15分間灌流
した。次いで、消化した心室組織を心房から切除し、細かく切り刻み、孔サイズ
200μmのナイロンメッシュに通して濾過した。濾液を50×gで1〜2分間
遠心分離し、分離した細胞ペレットを新鮮なKHBに再懸濁した。後者の工程を
3回行った。3回目の反復に際し、ペレットを2%ウシ血清アルブミンおよび1
00μM Ca++を含有するKHBで再懸濁した。得られた細胞懸濁液を2つ
のアリコットに分割した。一方はタイロード(Tyrode)溶液(下記の組成)で1:1
に希釈し、室温(19〜25℃)で維持し、単離の12時間以内に細胞記録のため
に用いた。第2のアリコットは、次の記録に用いた細胞を培養するのに利用し、
硫酸ストレプトマイシン(200μg/mL)およびペニシリン-Gナトリウム塩(
200単位/mL)を補足した、DMEM/F-12培養培地(Bio Whittaker, Walk
ersville, MD, USA)の1:1混合物に懸濁した。培養した細胞をインキュベータ
ー中、室温で維持した(pH7.2)。懸濁培地を2日毎に変更した。
【0024】 筋細胞の電気生理学的な記録 ラプチャード・パッチ・ホールセル・コンフィ
ギュレーション(ruptured patch whole-cell configuration)を用いて、36〜
37℃で、パッチクランプ電流および電圧の記録を行った(14)。L型Ca2+ 電流に関する研究の場合には、細胞を、157 TEA-Cl、5 CaCl
0.5 MgCl、および10 HEPES(mM単位)を含有する改変タイロー
ド(Tyrode)溶液に入れた。電極内部溶液は、10 L-グルタミン酸、20 Cs
Cl、10 EGTA、1 MgCl、1 CaCl、20 HEPES、およ
び5 ATP-Mg(単位mM)を含有していた;pHはCsOHで調節した。す
べての研究で、電極の抵抗は2〜3.5MΩであると測定された。参照ゼロ電位
は、シールを形成する前に槽内で調節した。記録は、デジデータ(DigiData)1200
DA/AD取得システムをインターフェース接続しているアキソン・インスツル
メンツ(Axon Instruments)200B増幅器(Axon Instruments, Culver City, CA
USA)で行った。イオン電流は、周波数1Hzで送達される保持電位−40mV
から増分10mVの−30〜+60mVの脱分極電圧ステップ(長さ1秒)により
誘起した。活動電位は、簡単な脱分極電流パルスの注入により周波数1Hzで誘
起した。データ取得および分析に用いたソフトウェアは、pClamp v.6.04およびO
rigin v.5.0(Microcal Software, Northampton, MA)であった。
【0025】 結果 閉塞されていないラットにおける血行力学的パラメータ 以下の表は、心筋虚
血の存在しない開胸ラットにおける以下の血行力学的パラメータに対するスフィ
ンゴシン、スフィンゴミエリンおよびTNFの効果を示す:心拍数、平均血圧、
左心室血圧(LVL)およびその1次導関数(+dP/dt)。
【0026】
【表1】
【0027】 この試験法の結果は、スフィンゴシン(0.1+0.3mg/kg)の注入後に、
全部の心筋機能は有意に低下した:LVPは24±8%低下し、+dP/dtは
ベースラインから33±12%減少した。この試験法でラットに外部から投与さ
れたTNFの用量は、心筋虚血後に内生的に生成されたTNFのCmaxより2
倍高い血清濃度をもたらした。しかし、TNFの非常に高い血清濃度でさえ、ス
フィンゴ脂質カスケードの開始に必要な、炎症性応答のない急性の心臓機能低下
をもたらさなかった。筋細胞の損傷がなければ、膜スフィンゴミエリナーゼはシ
フィンゴミエリンをセラミド(単離された筋細胞における収縮性を減少させるこ
とが既に示されている代謝物)に分解する上昇濃度のTNFにより刺激されなか
ったので、スフィンゴミエリン投与が機能を低下させることを予想しなかった。
【0028】 単離された筋細胞に対するスフィンゴシンの効果 心臓機能および細胞損傷に
対するスフィンゴシンの効果をさらに評価するために、単離された筋細胞を単離
し、カルシウム電流に対するスフィンゴシンの効果を上記のように測定した。以
前の研究は、スフィンゴシンが筋小胞体からのCa+2放出を減少させることに
より活動電位の電気発生を行うことができることを示している[Yasuiら, Am J.
Physiol. 270:C645-C649(1996);MacDonellら, Am J Physiol. 275:H2291-H2299
(1998)]。上記の標準的な薬理学的試験法で得られた結果は、スフィンゴシンが
濃度の依存する様式で単離されたネコ心室筋細胞の活動電位の間隔(APD)を短
縮することを示した。0.25、2.5および25μMのスフィンゴシンは、全再
分極の95%における間隔(APD95)を、それぞれ16±2%、28±2%お
よび39±2%(n=4)だけ減少させる。APDの短縮は、主として定常期の低
下の結果である。Ca+2電流(ICa-L)は、外部およびピペット溶液の両方
において、K電流のブロッカーであるCsを用いて、他のK電流を抑制す
ることにより単離した。速いNa電流(INa)は、筋細胞を(INa)が非常に
不活性化される電位である−40mVで保持することにより、かつ外部溶液にお
いてNaClをTEA-Clで置き換えることにより排除した。スフィンゴシン(
2.5および25μM)への曝露は、ICa-Lの有意なブロック(25μMで17
±7および75±4%のブロック)を引き起こした。心臓活動電位の短縮および
内向きCa+2電流の減少は、全身投与後に直接的に、またはTNFR1の活性
後に間接的に見られる陰性変力作用の変化と相関していると予想される。最終的
には、スフィンゴシン(25μM)は、高濃度のスフィンゴシンに曝露した直後の
その結果生じる形態および生存能欠如により評価される心筋細胞死をもたらす。
TNF(200〜20,000U/mL)による筋細胞の処理は、活動電位またはI Ca+2-L を変化させなかった。
【0029】 閉塞したラットにおけるTNFレベル 上記のように、ラットを外科術的に準
備し、冠動脈を閉塞した。以下の表は心筋虚血を受けた開胸ラットにおけるTN
Fの血清濃度を示す。
【0030】
【表2】
【0031】 この試験法では、胸を外科手術で開いたが、閉塞を誘発しなかったラット(模
擬手術を受けた動物)は、この方法の間を通じて安定なTNFα濃度を有した。
最高濃度は242±90pg/mLであった。これらのデータは、血管の閉塞が
非常に上昇したレベルのTNFα(虚血期間の終局でピークになった)を生じさせ
たことを示す。また、これらの結果は、エタナセプトが0分での血管閉塞に応答
して大規模なTNFαの濃度スパイクを有意に減少させることを示した。
【0032】 閉塞したラットの死亡率に対するTNFα拮抗薬処理の効果 心筋虚血/再灌
流後の生存率(%)も、この試験法で評価された。得られた結果を以下の表に要約
する。
【0033】
【表3】
【0034】 この標準的な薬理学的試験法では、閉塞直前に投与したエタナセプト(3mg/
kg i.v.)が心筋虚血/再灌流から生じる死亡率を有意に減少させた。後者の再
灌流段階の間(t=90分)に、全死亡率に関して、差が発生し始めた。例えば、
エタナセプト処理グループでは、9匹のうち1匹であるのに比べて、賦形剤処理
グループでは、9匹のラットのうち4匹がt=90分に死亡した。もっともこの
差は統計学的な有意に達していないが(p=0.08)。エタナセプトおよび賦形
剤-対照グループ間の差は、再灌流の120分および150分で統計学的な有意
を達成した。賦形剤処理グループで観察された7匹の死亡のうち、6匹は急性心
力不全および進行性徐脈によるもであり、1匹の動物は再灌流後の早期に心室性
不整脈で死亡した。エタナセプト処理グループにおける2匹の死亡は、いずれも
徐脈および心力不全によるものであった。左心室の百分率(%)として表した梗塞
部の寸法は、エタナセプトでは24±3%であり、賦形剤-対照グループでは2
6±2%であった。このことは生存率の差は等しくない梗塞部の寸法の結果では
ないことを示している。これらの結果は、TNFα拮抗薬による処理が、おそら
く虚血/再灌流障害に応答してTNFR1に対するTNFα結合に続くスフィン
ゴミエリンからスフィンゴシンを生成するカスケードを妨げることにより、心筋
虚血/再灌流から生じる死亡率を減少させたことを立証している。
【0035】 上記の標準的な薬理学的試験法で得られた結果に基づいて、TNFα拮抗薬は
、心筋梗塞後の死亡率を減少させるのに有用である。得られた結果に基いて、T
NFα拮抗薬は、虚血性イベント後の細胞損傷または細胞死を治療または阻害す
るのにも有用である。さらに詳しくは、本発明は、心筋梗塞、心筋虚血、網膜虚
血、網膜中心閉塞症、末梢動脈閉塞症(すなわち、塞栓症)、一過性脳虚血発作(
すなわち、脳虚血性発作)、虚血性脳卒中、虚血性動脈閉塞症;凍傷、動脈血栓
症および閉塞症から生じる損傷、ならびに挫滅外傷から生じる細胞損傷または細
胞死を治療または阻害する方法を提供する。また、本発明は、再灌流障害を治療
または阻害するのに有用である。また、TNFα拮抗薬による処理は、虚血性イ
ベントとその後の再灌流を伴う方法(例えば、移植手術、ドナーの臓器がある期
間の虚血を受けた後、レシピエントの血流により再灌流される場合;血管形成術
または冠動脈ステント植え込み;血栓溶解療法;心臓弁置換術;およびバイパス
手術)の前または間に有用である。
【0036】 TNFα拮抗薬は、医薬剤の標準的な製剤方法に従って、そのまま製剤しても
よいし、医薬上許容される1種またはそれ以上の担体と共に製剤してもよい。投
与の経路としては、経口的、非経口的(例えば、静脈内、筋肉内注射、皮下注射
が挙げられる)、鼻腔内、腹腔内、直腸内、膣内および経皮的が挙げられる。投
与の経路は、TNFα拮抗薬の性質および投与の理由により様々である。例えば
、TNFα拮抗薬が腸内で急速に分解する場合には、投与は非経口的に行うのが
好ましい。虚血性イベント後の細胞損傷または細胞死を治療または阻害するのに
は、エタナセプトの酸に不安定な性質と急速な作用開始の必要性とから、エタナ
セプトを静脈内に与えるのが好ましい。
【0037】 TNFα拮抗薬を経口的に与えるべき場合には、それは錠剤、カプセル剤、分
散性散剤、顆粒剤、または懸濁剤(例えば、約0.05〜5%の懸濁化剤を含有す
る)、シロップ剤(例えば、約10〜50%の砂糖を含有する)、およびエリキシ
ル剤(例えば、約20〜50%のエタノールを含有する)などの形態で与えること
ができ、また、等張性媒体中に約0.05〜5%の懸濁化剤を含有する無菌注射
液剤または懸濁剤の形態で非経口的に与えることができる。かかる医薬製剤は、
例えば、0.05〜約90%までの有効成分を担体と組み合わせて含有しうる。
より通常には、約5重量%と60重量%との間である。
【0038】 錠剤またはカプセル剤を投与するための製剤は、有効成分の性質および望まれ
る投与の特定形態に適当であるので、デンプン、乳糖、リン酸二カルシウム、微
結晶性セルロース、ショ糖およびカオリンなどの固形担体を含有しうるのに対し
、液状担体としては、滅菌水、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤
および食用油(例えば、コーン油、落花生油およびゴマ油)が挙げられる。医薬組
成物の製造に習慣的に採用される補助剤、例えば、香味剤、着色剤、保存剤およ
び酸化防止剤(例えば、ビタミンE、アルコルビン酸、BHTおよびBHA)を含
有させても有利である。
【0039】 TNFα拮抗薬を非経口的または腹腔内に投与すべき場合には、遊離塩基また
は医薬上許容される塩としてのこれら活性化合物の液剤または懸濁剤をヒドロキ
シプロピルセルロースなどの界面活性剤と適当に混合した水中に製造することが
できる。油中のグリセロール、液状ポリエチレングリコールおよびその混合物中
に分散剤を製造することもできる。保存および使用の通常の条件下では、これら
の製剤は微生物の増殖を防止するために保存剤を含有する。
【0040】 注射可能な使用に適した医薬形態としては、無菌の水溶液剤および懸濁剤、な
らびに無菌の注射可能な溶剤または懸濁剤を即席で調製するための無菌の散剤が
挙げられる。いずれの場合も、その形態は無菌でなければならず、容易な注射可
能性が存在する程度に流体でなければならない。それは製造および保存の条件下
で安定でなければならず、細菌およびカビなどの微生物の汚染作用に対して保存
されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば
、グリセロール、プロピレングリコールおよび液状ポリエチレングリコール)、
その適当な混合物、および植物油を含有する溶剤または分散媒とすることができ
る。例えば、エタナセプトは、水で再構成した後に非経口投与するための白色で
保存剤を含まない凍結乾燥された粉末として市販されている。
【0041】 THFα拮抗薬の用量はTNFα拮抗薬の性質、投与の理由および療法を受け
る個々の患者に従って変化すると予期される。長期にわたる療法の場合、最低の
有効量から治療を始めて、医師のモニタリングにより用量の調節を行うことが一
般的に推奨される。エタナセプトによる治療の場合、計画的な静脈内用量は0.
05〜25mg/kgのエタナセプトである。TNFα拮抗薬は、特定の虚血性
イベントに応答して、一回量または数回量で投与したり、さらなる虚血性イベン
トに応答して、細胞の障害または死を阻害するために長期にわたって投与しても
よいことが意図される。例えば、TNFα拮抗薬は、しばしば長期間にわたって
起こる一過性の虚血性イベントに罹患している患者に長期にわたって投与しても
よいと予期される。あるいは、TNFα拮抗薬は、虚血性イベントが起こると予
期される状況(例えば、移植手術または血管形成術の前)において予防的に投与し
てもよいことも意図される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 9/10 A61P 17/02 17/02 27/02 27/02 43/00 105 43/00 105 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ブライアン・ホン−エヌ・ジャウ アメリカ合衆国08534ニュージャージー州 ペニントン、ネイブシンク・ドライブ42番 (72)発明者 テリー・ロイ・ブライダル アメリカ合衆国18901ペンシルベニア州ド イルズタウン、アスペン・ウェイ11−02番 (72)発明者 ランドール・エドワード・ニューマン アメリカ合衆国92128カリフォルニア州サ ンディエゴ、ハーベストビュー・ウェイ 10456番 (72)発明者 リンダ・マリー・ワーナー アメリカ合衆国19382ペンシルベニア州ウ エスト・チェスター、コルブ・レイン1130 番 (72)発明者 ローラン・マリー・キラー アメリカ合衆国18940ペンシルベニア州ニ ュータウン、ファームビュー・ドライブ 2061番 Fターム(参考) 4C084 AA02 AA17 BA44 CA18 DA53 NA14 ZA332 ZA362 ZA402 ZA542 ZA892 ZB212 4C085 AA34 BB31 CC03 DD22

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それを必要とする哺乳動物における虚血性イベント後の細胞
    損傷を治療または阻害するあるいは細胞死を阻害する方法であって、有効量のT
    NFα拮抗薬を該哺乳動物に与えることからなる方法。
  2. 【請求項2】 細胞の損傷または死が心筋梗塞、心筋虚血、網膜虚血、網膜
    中心閉塞症、末梢動脈閉塞症、一過性脳虚血発作、虚血性脳卒中、虚血性動脈閉
    塞症、凍傷、動脈血栓症および閉塞症、または挫滅外傷から生じる請求項1記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 TNFα拮抗薬がTNF受容体/免疫グロブリン融合タンパ
    クである請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 TNFα拮抗薬がTNFRの断片とヒト免疫グロブリン重鎖
    の一部または全定常領域とからなる請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 TNFα拮抗薬がエタナセプトである請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 TNFα拮抗薬がp55TNFR:Fcである請求項4記載
    の方法。
  7. 【請求項7】 それを必要とする哺乳動物における再灌流障害を治療または
    阻害する方法であって、有効量のTNFα拮抗薬を該哺乳動物に与えることから
    なる方法。
  8. 【請求項8】 損傷が移植手術、血管形成術、冠動脈ステント植え込み、血
    栓溶解療法、心臓弁置換術またはバイパス手術から生じる請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 TNFα拮抗薬がTNF受容体/免疫グロブリン融合タンパ
    クである請求項7記載の方法。
  10. 【請求項10】 TNFα拮抗薬がTNFRの断片とヒト免疫グロブリン重
    鎖の一部または全定常領域とからなる請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 TNFα拮抗薬がエタナセプトである請求項10記載の方
    法。
  12. 【請求項12】 TNFα拮抗薬がp55TNFR:Fcである請求項10
    記載の方法。
  13. 【請求項13】 それを必要とする哺乳動物における心筋梗塞後の死亡率を
    低下させる方法であって、有効量のTNFα拮抗薬を該哺乳動物に与えることか
    らなる方法。
  14. 【請求項14】 TNFα拮抗薬がTNF受容体/免疫グロブリン融合タン
    パクである請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 TNFα拮抗薬がTNFRの断片とヒト免疫グロブリン重
    鎖の一部または全定常領域とからなる請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 TNFα拮抗薬がエタナセプトである請求項15記載の方
    法。
  17. 【請求項17】 TNFα拮抗薬がp55TNFR:Fcである請求項15
    記載の方法。
  18. 【請求項18】 虚血性イベントによる細胞損傷または細胞死を予防、治療
    または阻害するための医薬品の製造におけるTNFα拮抗薬の使用。
  19. 【請求項19】 再灌流障害を予防、治療または阻害するための医薬品の製
    造におけるTNFα拮抗薬の使用。
  20. 【請求項20】 心筋梗塞後の死亡率を低下させるための医薬品の製造にお
    けるTNFα拮抗薬の使用。
  21. 【請求項21】 細胞の損傷または死が心筋梗塞、心筋虚血、網膜虚血、網
    膜中心閉塞症、末梢動脈閉塞症、一過性脳虚血発作、虚血性脳卒中、虚血性動脈
    閉塞症、凍傷、動脈血栓症および閉塞症、または挫滅外傷から生じる請求項18
    記載の使用。
  22. 【請求項22】 TNFα拮抗薬がTNF受容体/免疫グロブリン融合タン
    パクである請求項18〜21のいずれか1項記載の使用。
  23. 【請求項23】 TNFα拮抗薬がTNFRの断片とヒト免疫グロブリン重
    鎖の一部または全定常領域とからなる請求項18〜21のいずれか1項記載の使
    用。
  24. 【請求項24】 TNFα拮抗薬がエタナセプトである請求項18〜21の
    いずれか1項記載の使用。
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