JP2006081968A - 濾過膜の洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【目的】濾過膜に蓄積した汚染物質が効果的に除去される洗浄方法を得る。
【構成】濾過膜モジュールを膜濾過水槽の濾過水で逆洗処理したのち、濾過水にアルカリ性薬液あるいは酸性薬液を加えて得た薬液含有水による逆洗処理と浸漬処理をそれぞれ2回に分けて同一の薬液を用いて実施する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、上水道、下水道、工業用水等の処理装置や、廃水処理装置において、水中に含まれる汚濁物質の分離除去に用いられる濾過膜の洗浄方法に関する。
膜濾過方式の水処理装置では、長時間運転を継続するとファウリングが起こり、濾過性能が低下する。したがって、この種の水処理装置では、ファウリングによって低下した膜濾過性能を回復させるために適宜濾過膜の洗浄処理が行われる。
濾過膜の洗浄方法には、物理洗浄法と薬品洗浄法がある。このうち物理洗浄法は物理的な作用によって付着物質を取り除くもので、膜濾過水を逆流させる逆流洗浄法(逆洗法)、膜の一次側で水流によりフラッシングするフラッシング法、空気により膜を振動させるエアースクラビング法などがある。これらの物理洗浄法では、長時間の膜濾過運転を行うと、除去しきれないファウリング物質が徐々に蓄積し、所定の濾過量が得られなくなる。このような場合には、アルカリや酸等を用いた薬品洗浄法が用いられる。薬品洗浄法は、物理洗浄法では除去しきれない物質を薬品によって分解または溶解させて除去する洗浄方法で、この薬品洗浄法を適用すれば濾過膜の濾過性能をほぼ初期の状態まで回復させることができる。しかしながら、薬品洗浄法として、装置から濾過膜のモジュールを取り外して洗浄する場合は、コストが高くなること、高濃度薬品の排水処理を行わなければならないこと、また、装置の稼働率が低下すること等の難点があり、できるだけ処理回数を少なくすることが望ましい。
これらの問題を解決する方法の一つとして、特許文献1には、上述の薬品洗浄に用いる薬品よりも低濃度の薬品を用いて、物理洗浄工程と組み合わせ、一定期間毎に薬品による逆洗、浸漬洗浄を行う方法が提案されている。この洗浄方法は、物理洗浄を行っても除去できないファウリング物質が徐々に蓄積し、強固に目詰まりする事態となる前に、薬品によりファウリング物質を除去し、膜面上の汚れが常に少ない状態で運転を行うこととするもので、この方法を用いれば、長期間安定して濾過が行え、かつ、装置の停止を必要とする洗浄の回数も減らすことができる。
また、特許文献2に開示されている洗浄方法では、膜濾過水を逆洗水に用いて行う逆洗と、膜の一次側に酸またはアルカリを注入して一次側から排出する酸洗浄またはアルカリ洗浄を行う膜分離装置が開示されており、例えば、酸を注入して酸洗浄を行ったのち、膜濾過水で逆洗し、次いでアルカリを注入してアルカリ洗浄を行って、膜濾過水で逆洗する方法としている。また、特許文献3に開示されている膜濾過装置の洗浄方法では、硫酸と過酸化水素の混合薬液を膜モジュールへ供給、保持、押出す工程からなる薬液逆洗を行ったのち、水酸化ナトリウムと過酸化水素の混合薬液を膜モジュールへ供給、保持、押出す工程からなる第2次の薬液逆洗を行っている。
特開平08 - 197053号公報 特開平08 - 243361号公報 特開 2004 - 41935号公報
しかしながら、上記の膜洗浄方法を用い、例えば、薬品使用量の削減による運転コストの削減を目標として、用いる薬液の濃度を下げる方策をとっても、薬液の濃度が低いと洗浄効果が低くなるので、結果的に目標とする薬品使用量の削減が達成できない事態が生じる。また、所定の洗浄効果を得るために濾過を停止して薬液に浸漬させる時間が長くなるので、装置の稼働率が低下する。
したがって、本発明の目的は、濾過操作に伴って濾過膜に蓄積したファウリング物質が効果的に除去され、この濾過膜を装着した濾過装置が高い稼働率で安定して濾過運転できる濾過膜の洗浄方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明においては、
(1)被処理水を濾過膜の一次側から二次側へと流通して濾過水を得る処理装置の濾過膜の洗浄方法において、第一の薬液含有水を前記濾過膜の二次側から一次側へと流通する第一の逆洗工程と、前記第一の薬液含有水の流通を停止し、前記第一の薬液含有水中に前記濾過膜を浸漬する第一の浸漬工程とを実施したのち、前記濾過膜を浸漬した前記第一の薬液含有水を排出する工程を実施し、次いで、前記第一の薬液含有水と同一の薬液からなる第二の薬液含有水を前記濾過膜の二次側から一次側へと流通する第二の逆洗工程と、前記第二の薬液含有水の流通を停止し、前記第二の薬液含有水中に前記濾過膜を浸漬する第二の浸漬工程を実施することとする。
(2)さらに、上記(1)の洗浄方法において、前記第一の薬液含有水と前記第二の薬液含有水として、前記濾過膜透過後の濾過水に薬液を添加して生成されたものを用いることとする。
(3)また、上記(1)または(2)の洗浄方法において、前記の薬液含有水を排出する工程を、前記濾過膜の下部に設けたドレン弁を開放し、重力により前記濾過膜内の前記薬液含有水を排出することにより行うこととする。あるいは、濾過水による逆洗により、前記濾過膜の一次側に設けられた排出口より系外へ排出することにより行う。あるいは、前記の第二の逆洗工程の実施により行うこととする。
(4)また、上記の(1)乃至(3)のいずれかにおいて、前記第一の薬液含有水と前記第二の薬液含有水に含まれる薬液を、アルカリ性薬液、例えば次亜塩素酸ナトリウムあるいは苛性ソーダとする。
(5)また、上記の(1)乃至(3)のいずれかにおいて、前記第一の薬液含有水と前記第二の薬液含有水に含まれる薬液を、酸性薬液、例えば硫酸または塩酸またはクエン酸またはシュウ酸とする。
一般に、濾過膜を用いる処理装置において濾過膜に生じる目詰まりには、濾過膜の膜孔径よりサイズの大きい汚染物質が膜の表面で捕捉され、表面にケーキ層として堆積することにより生じる目詰まりと、濾過膜の膜孔径と同等かそれ以下のサイズの汚染物質が膜の細孔の内部で補足されることにより生じる目詰まりがあり、特に前者は膜の目詰まりに大きく影響し、膜の差圧を上昇させている。これに対して、濾過運転を停止して濾過膜の二次側から一次側へと逆洗水、例えば濾過膜透過後の濾過水よりなる逆洗水を通流させる逆洗処理を行えば、膜の内部あるいは表面に蓄積した汚染物質が物理的な作用によって剥離、除去されるので、濾過膜の目詰まりが低く抑えられる。
特に、上記の逆洗水に替えて薬液を含む逆洗水、例えば次亜塩素酸ナトリウムや苛性ソーダ等のアルカリ性薬液、あるいは硫酸または塩酸またはクエン酸またはシュウ酸等の酸性薬液を含む逆洗水を用いて逆洗処理を行えば、濾過膜に蓄積した汚染物質と薬液が化学反応を生じ、物理的な逆洗作用のみでは剥離が困難な汚染物質についても剥離が容易となるので、目詰まりの解消がより効果的に行われる。また、薬液と汚染物質とが反応し、汚染物質の剥離が容易になるには、少なくとも所定の時間が必要となるので、膜モジュール中に薬液を注入し、濾過膜を薬液中に浸漬して一定時間保持することとすれば、より効果的に汚染物質が剥離され、目詰まりが解消される。
なお、このように濾過膜を薬液中に一定時間浸漬、保持すれば、濾過膜に付着した汚染物質を効果的に剥離させることができるが、すでに濾過膜から剥離した汚染物質については薬液が無為に消費されることとなる。したがって、上記の(1)に記載のように、第一の薬液含有水を濾過膜の二次側から一次側へと流通する第一の逆洗工程と、第一の薬液含有水の流通を停止し、第一の薬液含有水中に濾過膜を浸漬する第一の浸漬工程とを実施したのち、濾過膜を浸漬した第一の薬液含有水を排出する工程を実施し、次いで、前記第一の薬液含有水と同一の薬液からなる第二の薬液含有水を濾過膜の二次側から一次側へと流通する第二の逆洗工程と、第二の薬液含有水の流通を停止し、第二の薬液含有水中に濾過膜を浸漬する第二の浸漬工程を実施することとすれば、濾過運転にともなって膜モジュールの濾過膜に付着した汚染物質が、少量の薬液を使用するだけで短時間に効果的に剥離、除去されることとなり、薬液が効果的に使用され、効果的に洗浄されることとなる。
また、上記の(2)に記載のように、前記第一の薬液含有水と前記第二の薬液含有水として濾過膜透過後の濾過水に薬液を添加して生成したものを用いることとすれば、逆洗水の供給系統を別途備える必要がないため、シンプルに構成することができ、低コストで処理できることとなる。
また、薬液含有水を排出する工程を上記の(3)に記載のような工程とすれば、第一の逆洗工程および第一の浸漬工程に用いられた薬液含有水が、容易に、かつ効果的に排出されるので、低コストで濾過膜の洗浄処理ができることとなる。
本発明による濾過膜の洗浄方法の最良の実施形態は、
被処理水を濾過膜の一次側から二次側へと流通して濾過水を得る処理装置の濾過膜の洗浄方法において、薬液、例えば次亜塩素酸ナトリウムや苛性ソーダ等のアルカリ性薬液、あるいは硫酸または塩酸またはクエン酸またはシュウ酸等の酸性薬液を含む第一の薬液含有水を上記の濾過膜の二次側から一次側へと流通する第一の逆洗工程と、第一の薬液含有水中に濾過膜を浸漬する第一の浸漬工程とを実施したのち、上記の第一の薬液含有水を排出する工程を実施し、次いで、第一の薬液含有水と同一の薬液を含んだ第二の薬液含有水を上記の濾過膜の二次側から一次側へと流通して逆洗する第二の逆洗工程と、第二の薬液含有水中に濾過膜を浸漬する第二の浸漬工程を実施する濾過膜の洗浄方法にある。
図1は、本発明の濾過膜の洗浄方法が適用される濾過装置のフロー図である。
本図の濾過装置において、原水の濾過処理は以下のように行われる。すなわち、まず、原水が原水槽1に貯留される。この原水槽1への流入水量は、通常、水槽内に設置した図示しない水位センサー等により制御される。原水槽1に貯留された上記の原水を運転ポンプ2により濾過膜モジュール3へと送り、濾過することによって、膜濾過水槽4へ膜濾過水が貯えられる。なお、このとき、図示しない循環ポンプによって濾過膜モジュール3の一次側で原水を循環させるクロスフロー濾過を行っても良い。
本濾過装置においては、濾過処理によって濾過膜に付着した汚染物質を洗浄、除去するために、逆洗水による逆洗、薬液含有水による洗浄が行われる。このうち、薬液含有水による洗浄では、第一の薬液含有水を濾過膜の二次側から一次側へと流通する第一の逆洗工程と、第一の薬液含有水中に濾過膜を浸漬する第一の浸漬工程と、上記の薬液含有水を排出する工程と、第一の薬液含有水と同一の薬液よりなる第二の薬液含有水を濾過膜の二次側から一次側へと流通して逆洗する第二の逆洗工程と、第二の薬液含有水中に上記の濾過膜を浸漬する第二の浸漬工程が実施される。なお、薬液には次亜塩素酸ナトリウムや苛性ソーダ等のアルカリ性薬液や、硫酸、塩酸、クエン酸、シュウ酸等の酸性薬液が用いられる。
逆洗水による逆洗は、膜濾過水槽4に貯えられた膜濾過水を、逆洗ポンプ5により濾過膜モジュール3の二次側から一次側へと供給することによって行われる。一次側へ流出した水はドレンより系外へ排出される。この時、洗浄効果をより高めるために、図示しないコンプレッサーにより生成された圧縮空気を濾過膜モジュール3の一次側から供給するエアースクラビングの工程、およびフラッシングの工程を加えてもよい。また本逆洗処理で用いられる逆洗水は濾過処理水のほか清澄水でもよく、例えば純水などを用いてもよいが、上記のように膜濾過水を用いることとすれば、専用の逆洗水供給系を備える必要がなく、装置がシンプルに構成できるので好適である。
アルカリ性薬液を含む薬液含有水による逆洗工程は、逆洗ポンプ5によって膜濾過水槽4から送られる膜濾過水に、アルカリ注入ポンプ7を用いてアルカリ槽6に貯えられたアルカリ性薬液を注入し、得られた薬液含有水を濾過膜モジュール3の二次側から一次側へと通流させて逆洗することによって行われる。濾過膜モジュール3の一次側へと流れたアルカリ性薬液含有水は、ドレンより系外へ排出される。アルカリ性薬液を含む薬液含有水による浸漬工程は、上記の逆洗工程終了後、濾過膜モジュール3の一次側および二次側に設けられた弁を閉止してアルカリ性薬液含有水を濾過膜モジュール3内に封入することにより行われる。所定の時間保持した後、ドレンよりモジュール内の洗浄水を排出することにより浸漬工程は終了する。
なお、アルカリ性薬液としては、次亜塩素酸ナトリウムや苛性ソーダが好ましく用いられるが、使用する膜の耐薬品性などを考慮して、薬品及び濃度が選定される。また、アルカリ性薬液の注入方法としては、上記のようなライン注入のほか、あらかじめ膜濾過水で所定濃度となるように希釈したアルカリ性薬液含有水を直接注入することとしてもよい。
酸性薬液を含む薬液含有水による逆洗工程は、膜濾過水槽4から濾過膜モジュール3の二次側へと送られる膜濾過水中に、酸槽8に貯えられた酸性薬液を酸注入ポンプ9によって注入し、得られた酸性薬液の含有水を濾過膜モジュール3の二次側から一次側へと通流させて逆洗することによって行われる。濾過膜モジュール3の一次側へと流れた酸性薬液含有水はドレンより系外へ排出される。酸性薬液を含む薬液含有水を用いた浸漬工程は、上記の逆洗工程終了後、濾過膜モジュール3の一次側および二次側に設けられた弁を閉止して酸性薬液含有水を濾過膜モジュール3内に封入することにより行われる。所定の時間保持した後、ドレンより排出することにより浸漬工程は終了する。
なお、酸性薬液としては、硫酸や、塩酸、クエン酸、シュウ酸が好ましく用いられるが、使用する膜の耐薬品性などを考慮して、薬品及び濃度が選定される。上記のアルカリ性薬液の場合と同様に、酸性薬液も、図1のように、ライン注入により注入することとすればよく、また、あらかじめ膜濾過水で所定濃度に希釈した酸性の薬液含有水を用いることとしてもよい。
次に、上記のアルカリ性薬液や酸性薬液の含有水による浸漬工程における処理時間、すなわち薬液含有水への濾過膜モジュール3の浸漬時間は、濾過膜モジュール3の膜面の汚染状況、薬液の濃度等を加味して適宜決定する必要があるが、一般に1分以上 60分以下の程度が好ましい。浸漬時間が1分未満の場合には、薬液と汚染物質との反応が不十分で、洗浄効果が低くなる可能性があり、一方、浸漬時間を 60分 以上とすれば、洗浄効果は高くなるが、濾過装置の運転停止時間が長くなるので装置の稼働率が低下してしまう恐れがある。
また、薬液含有水を用いた逆洗工程および浸漬工程の実施後に行う濾過膜モジュール3のリンス工程について説明する。アルカリ性薬液や酸性薬液を含む水を用いた逆洗、浸漬処理を行ったのち濾過処理を行う場合には、濾過水中へのアルカリ性薬液または酸性薬液の流出を回避するために、薬液を含まない水によるリンス工程が実施される。これらの工程においては、膜濾過水槽4に貯えられた膜濾過水を、薬液を混入させずに逆洗ポンプ5により濾過膜モジュール3の二次側へと供給し、一次側へ流出した水をドレンより系外へと排出することにより、濾過膜モジュール3内に残っているアルカリ性薬液あるいは酸性薬液が除去される。
図1の濾過装置の濾過膜モジュール3には、中空糸状、チューブラ状等の濾過膜が好適に用いられるが、上述のごとき逆洗、浸漬操作が可能なものであれば、その他の形式の濾過膜でもよく、膜の孔径や膜材質についても各種の濾過膜が使用可能である。また、膜の濾過方式には、大別して全量濾過方式とクロスフロー濾過方式とがあるが、いずれの濾過方式を用いることとしてもよい。また、膜への通水方式には、外圧型と内圧型とがあるが、どちらの通水方式を用いてもよい。
図1に示した濾過装置を用いて実施した本発明の濾過膜の洗浄方法の実施例は以下のとおりである。なお、以下の実施例は本発明に限定を加えるものではなく、濾過運転、洗浄運転等の条件は、原水の水質等により変化することは改めて説明するまでもない。
本実施例は、河川水からなる原水を濾過する濾過装置について濾過運転、洗浄運転を行ったもので、実験に用いた原水の水質は、TOC 1.2〜5.4 mg/L、濁度 2.5〜30 度、水温 20〜25℃であった。膜モジュール3には公称孔径 0.03μmの内圧式中空糸膜を用い、全量濾過方式で膜濾過流束 3 m3/(m2・日)の定流量濾過を行った。逆洗時の流束は 12 m3/(m2・日)とした。濾過運転条件、洗浄運転条件は次の1)〜5)の通りである。
1) 〔濾過工程(30分)→ 逆洗水による逆洗工程(1分)〕を30 回繰り返して実施。
2) アルカリ性薬液含有水による洗浄工程〔アルカリ第一逆洗工程(1分)→ アルカリ第一浸漬工程(10分)→ (排出工程) → アルカリ第二逆洗工程(1分)→ アルカリ第二浸漬工程(20分)→ 逆洗水(薬液なし)リンス工程(1分)〕を1回実施。
3) 〔1)〜2)〕を5回繰り返して実施。
4) 酸性薬液含有水による洗浄工程〔酸第一逆洗工程(1分)→ 酸第一浸漬工程(10分)→ (排出工程)→ 酸第二逆洗工程(1分)→ 酸第二浸漬工程(20分)→逆洗水(薬液なし)リンス工程(1分)〕を1回実施。
5) 1)へ戻って繰り返し運転。
従来のアルカリ性薬液含有水や酸性薬液含有水による濾過膜の洗浄工程においては、薬液含有水による逆洗工程と浸漬工程、排出工程をそれぞれ1回実施して洗浄していたのに対して、本実施例の洗浄方法では、各洗浄工程の実施時間の総和は変えないで、1回の洗浄工程中の逆洗工程と浸漬工程をそれぞれ2回に分けて繰り返して実施する方法が採られており、この点が本実施例の洗浄方法の特徴である。なお、上記の洗浄工程の薬液含有水による浸漬工程終了後の排出工程においては、膜モジュールの一次側から、膜面から取り除かれた堆積(不純)物とともに浸漬薬液を排水してもよいし、あるいは、次工程(薬液含有水による第二の逆洗工程またはリンス工程)の逆洗水により押し流してもよい。
なお、本実施例の洗浄方法では、上記のアルカリ性薬液含有水による洗浄工程では、アルカリ性薬液として次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を用い、注入時の濃度は 50 mg/L とした。また、酸性薬液含有水による洗浄工程では、酸性薬液として硫酸(H2SO4)を用い、注入時のpH が 3.0 となるように濃度を調整した。
上記条件にて30日間連続運転したのち、濾過膜モジュールの膜間差圧を測定した。通水開始時を基準とする膜間差圧の上昇量は、2 kPaであった。
本実施例の濾過膜の洗浄方法を用いた場合の効果を従来の洗浄方法を用いた場合の効果と比較検討するために、実施例と同じ濾過膜モジュールを備えた濾過装置において、同一水質の原水を用いて、以下の三つの比較例として示す運転試験を行い、濾過膜モジュールの特性を調べた。
<比較例1>
比較例1の洗浄方法においては、上記実施例の 2)アルカリ性薬液含有水による洗浄工程に替えて、アルカリ逆洗工程(2分)→ アルカリ浸漬工程(30分)→逆洗水(薬液なし)リンス工程(1分)からなるアルカリ性薬液含有水による洗浄工程を用い、かつ、上記実施例の酸性薬液含有水による洗浄工程に替えて、 酸逆洗工程(2分)→ 酸浸漬工程(30分)→逆洗水(薬液なし)リンス工程(1分)からなる酸性薬液含有水による洗浄工程を用いている。なお、得られた特性の比較を容易にするために、比較例1の各逆洗工程、各浸漬工程の処理時間は、上記実施例の各工程の処理時間の総和と等しくなるよう設定されている。また、上記実施例と同様に、アルカリ性薬液には次亜塩素酸ナトリウムを用い、注入時の濃度が 50mg/Lとなるようにした。また、酸性薬液には硫酸を用い、注入時の pH が 3.0 となるようにした。
実施例と同様に、上記条件にて30日間連続運転したのち濾過膜モジュールの膜間差圧を測定した。測定結果によれば、通水開始時に比較して 32 kPaの膜間差圧の上昇が認められた。
<比較例2>
比較例2の運転条件は、洗浄に用いたアルカリ性薬液含有水の濃度、および酸性薬液含有水の濃度を除いて、上記の比較例1と同様であり、実験に用いた膜、原水水質も実施例や比較例1と同一である。すなわち、比較例2の比較例1との相違点は、アルカリ性薬液含有水による洗浄工程で用いる次亜塩素酸ナトリウムの注入時の濃度が 150 mg/L に設定され、酸性薬液含有水による洗浄工程で用いる硫酸の注入時の pH が 2.5 に設定されていることにある。
上記条件にて30日間連続運転したのち測定した結果によれば、通水開始時を基準とする濾過膜モジュールの膜間差圧の上昇は 10 kPaであった。
<比較例3>
比較例3の運転条件の特徴は、アルカリ性薬液含有水による洗浄工程の浸漬工程の処理時間、ならびに酸性薬液含有水による洗浄工程の浸漬工程の処理時間を、比較例2の30分から50分に増大させたことにあり、その他の条件は比較例2の条件と同一である。
本運転条件にて30日間連続運転したのち測定した結果によれば、通水開始時を基準とする濾過膜モジュールの膜間差圧の上昇は 3 kPaであった。
表1は、上記の実施例のアルカリ性薬液含有水による洗浄工程および酸性薬液含有水による洗浄工程の条件と連続運転実施後の濾過膜モジュールの膜間差圧の上昇特性を三つの比較例と比較して示した特性表である。表に見られるように、従来の濾過膜の洗浄方法のように、アルカリ性薬液含有水による洗浄工程が、単一の逆洗工程と単一の浸漬工程とリンス工程からなり、酸性薬液含有水による洗浄工程が、単一の逆洗工程と単一の浸漬工程とリンス工程とからなる三つの比較例においては、比較例1と比較例2との対比で明らかなように、アルカリ性薬液として用いる次亜塩素酸ナトリウムの注入時の濃度を50mg/L から150mg/Lへと上昇させ、酸性薬液とし用いる硫酸の注入時の pH を 3 から 2.5 へと変えて酸性度を上げると、洗浄作用が強まり、濾過膜モジュールに付着した不純物がより効果的に除去される。したがって、濾過膜モジュールの目詰まりが少なくなり、膜間差圧の上昇が32 kPaから10kPaへと抑制されることとなる。また、比較例2と比較例3との対比で明らかなように、アルカリ性薬液含有水による洗浄工程の浸漬工程ならびに酸性薬液含有水による洗浄工程の浸漬工程の処理時間を30分から50分に増大させれば、浸漬時間の増加に伴って付着した不純物がより効果的に除去される。したがって、濾過膜モジュールの目詰まりがより少なくなって、膜間差圧の上昇が10 kPaから3kPaへと抑制される。
Figure 2006081968
一方、実施例と比較例1とを比較すると、これらの二つの例においてはアルカリ性薬液含有水による洗浄工程と酸性薬液含有水による洗浄工程の逆洗工程および浸漬工程の処理時間の総和が等しく設定されているにもかかわらず、30日間連続運転後に測定された濾過膜モジュールの膜間差圧の上昇は、比較例1においては32 kPaであったのに対して、実施例では 1/10以下の 2kPaであり、濃度の高い薬液を用い、浸漬時間を長くして処理した比較例3の場合の膜間差圧の上昇よりもさらに小さな値に抑えられている。この結果より、逆洗工程と浸漬工程を分割して繰り返して実施すれば、濾過膜モジュールが効果的に洗浄され、付着した不純物がより効果的に除去されて、濾過膜モジュールの目詰まりが少なくなることがわかる。
なお、このように逆洗工程と浸漬工程を分割して繰り返し行えば、第1回の浸漬工程により分離された不純物を外部に除去したのち、新たに供給された薬液によって残存する不純物を除去することとなるので効果的に洗浄されることとなる。繰り返す回数を増やせばより多量の不純物が除去されることとなるが、浸漬工程の回数が増えると浸漬に用いられる薬液量が増大して処理コストの上昇をまねくこととなるので、繰り返しの回数を上記の実施例のように2回にして洗浄処理を行うのが実用的である。
また、本実施例においては、アルカリ性薬液含有水の逆洗による洗浄工程を5回繰り返して実施し、その後、酸性薬液含有水の逆洗による洗浄工程を1回実施しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、最初に酸性薬液含有水の逆洗による洗浄工程を実施することとしてもよく、また、洗浄工程の繰り返しの回数も、処理水の水質等を勘案して決めることができる。
以上述べたように、この発明の濾過膜の洗浄方法を用いれば、濾過操作に伴って膜モジュールに蓄積するファウリング物質が効果的に除去されるので、洗浄処理に使用される薬液の使用量の削減や、処理所要時間の短縮が可能となる。したがって、本発明の濾過膜の洗浄方法は、この種の濾過膜を装着した濾過装置に高い稼働率での安定した濾過運転を保証する洗浄方法として、各種の濾過装置に効果的に利用されることが期待できる。
本発明の濾過膜の洗浄方法の実施例が適用される濾過装置のフロー図
符号の説明
1 原水槽
2 運転ポンプ
3 濾過膜モジュール
4 膜濾過水槽
6 アルカリ槽
8 酸槽

Claims (9)

  1. 被処理水を濾過膜の一次側から二次側へと流通して濾過水を得る処理装置の濾過膜の洗浄方法において、
    第一の薬液含有水を前記濾過膜の二次側から一次側へと流通する第一の逆洗工程と、前記第一の薬液含有水の流通を停止し、前記第一の薬液含有水中に前記濾過膜を浸漬する第一の浸漬工程とを実施したのち、
    前記濾過膜を浸漬した前記第一の薬液含有水を排出する工程を実施し、
    次いで、前記第一の薬液含有水と同一の薬液からなる第二の薬液含有水を前記濾過膜の二次側から一次側へと流通する第二の逆洗工程と、前記第二の薬液含有水の流通を停止し、前記第二の薬液含有水中に前記濾過膜を浸漬する第二の浸漬工程を実施する
    ことを特徴とする濾過膜の洗浄方法。
  2. 前記第一の薬液含有水と前記第二の薬液含有水が、前記濾過膜透過後の濾過水に薬液を添加して生成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の濾過膜の洗浄方法。
  3. 前記の薬液含有水を排出する工程が、前記濾過膜の下部に設けたドレン弁を開放し、重力により前記濾過膜内の前記薬液含有水を排出することにより行われることを特徴とする請求項1または2に記載の濾過膜の洗浄方法。
  4. 前記の薬液含有水を排出する工程が、濾過水による逆洗により、前記濾過膜の一次側に設けられた排出口より系外へ排出することにより行われることを特徴とする請求項1または2に記載の濾過膜の洗浄方法。
  5. 前記の薬液含有水を排出する工程が、前記第二の逆洗工程の実施によりなされることを特徴とする請求項1または2に記載の濾過膜の洗浄方法。
  6. 前記第一の薬液含有水と前記第二の薬液含有水に含まれる薬液が、アルカリ性薬液であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の濾過膜の洗浄方法。
  7. 前記第一の薬液含有水と前記第二の薬液含有水に含まれる薬液が、酸性薬液であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の濾過膜の洗浄方法。
  8. 前記のアルカリ性薬液が次亜塩素酸ナトリウムまたは苛性ソーダであることを特徴とする請求項6に記載の濾過膜の洗浄方法。
  9. 前記の酸性薬液が硫酸または塩酸またはクエン酸またはシュウ酸であることを特徴とする請求項7に記載の濾過膜の洗浄方法。
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