JP2006080907A - 画像処理方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被写体画像とその再現画像との見えの一致のための見えの変換処理を、被写体画像もしくはその被写体を照明する第1の観察条件から求められる順応輝度より高い順応輝度の場合の色度値をもとに被写体画像の測色値を変換するコントラスト変換および彩度変換の少なくとも一方と、得られた変換済測色値を第1の観察条件および再現画像の第2の観察条件を用いて補正する色順応補正およびコントラスト補正と、補正された測色値のフレア補正とで構成し、これらの変換および補正の少なくとも1つの処理は、変換強度の異なる複数の変換過程を備え、被写体画像に応じて1つの変換過程を選択し、選択された変換過程を用いて見えの変換処理を行うことにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
なお、カラーリバーサルフィルムの透過画像も、カラーネガフィルムの撮影画像と同様に、写真プリント(反射画像、ハードコピー画像)として再現され、観察されることも行われている。
上述したように、カラーリバーサルフィルムは、カラーネガフィルムに比べて、輝いた鮮やかな色や微妙な色など、色を豊富に表現できるので、カラーリバーサルフィルムから作製されたプリントは、プロ写真家や写真熟練者(ハイアマチュア)などには用いられているが、一般のユーザには、カラーネガフィルムから作製されたプリントに比べて、利用が少ないのが現状である。
また、近年、カラーリバーサルフィルムの高彩度化に伴い、光学プリントにおいても、高彩度の色再現が求められるようになってきている。
しかしながら、現在市場で販売されているカラーリバーサルフィルムの透過画像を基に作製する写真プリントは、観察される透過画像のオリジナルの持つ階調や、色再現の特徴“輝く美しさ”を忠実に再現しているとは言い難く、透過画像のオリジナルの美しさのプリント上での再現を期待するユーザを十分に満足させることはできていないという問題があった。すなわち、カラーリバーサルフィルムの透過画像を基に作製するプリントは、人間(観察者)が透過画像を見たときの印象に近い再現をするという画像処理方法で作製されているとは言いがたく、プリント感光材料の性能に左右されるものであるという問題があった。
1.シーン(被写体や観察される透過画像)の絶対的な明るさとプリントを観察する際の絶対的明るさに差がある場合、
2.シーンの照明色とプリント観察時の照明色とが異なる場合、
3.プリント観察環境に依存した観察フレアが存在する場合
が挙げられる。
また、前記見えの変換処理の全ての処理は、1つの変換処理として行われ、1つの変換処理に対する前記1種の変換過程として1種の色変換テーブルが設定され、前記1種の変換過程に対する前記変換強度の異なる複数の変換過程として、前記1種の色変換テーブルに対して、強調パラメータが異なる複数の色変換テーブルが設定されるのが好ましい。
また、前記強調パラメータは、前記第1の照明光源の下での輝度に対する輝度比および彩度であるのが好ましい。
あるいは、前記被写体画像は、観察される透過画像であり、前記第1のデジタル画像データは、前記透過画像の画像データであり、第1の照明光源は、前記透過画像を観察する時に前記透過画像を照明する光源であるのが好ましい。
また、前記透過画像は、観察されるカラーリバーサルフィルムの透過画像であり、前記透過画像の画像データは、前記カラーリバーサルフィルムから光電的に読み取られた画像データであるのが好ましい。
また、前記反射画像は、写真プリント画像であるのが好ましい。
また、前記1つの変換過程の選択は、前記複数の変換過程の中から、前記被写体画像の前記第1のデジタル画像データから求められる前記被写体画像の画像特徴量によって行われるのが好ましい。
また、前記被写体画像の画像特徴量は、前記被写体画像の明度および彩度を含む1つ以上の属性値に基づいて求められるのが好ましい。
また、前記測色値は、三刺激値であるのが好ましい。
前記第1および前記第2の照明光源の色度情報および照度情報を用いて、前記被写体画像が再現された再現画像の見えと、前記被写体画像との見えを一致させるための見えの変換処理を、前記第1のデジタル画像データに施す見えの変換処理手段とを有する画像処理装置であって、前記見えの変換処理手段は、前記見えの変換処理として、前記第1の照明光源の色度情報および照度情報から求められる順応輝度より高い順応輝度に設定した場合の色度値をもとに、前記第1のデジタル画像データから得られた前記被写体画像の測色値に対して行って前記被写体画像の変換済測色値を得るコントラスト変換および彩度変換の少なくとも一方と、前記第1および第2の照明光源の色度情報および照度情報から前記被写体画像の変換済測色値に対して行う色順応補正と、前記第1および第2の照明光源の照度情報から前記被写体画像の変換済測色値に対して行うコントラスト補正と、前記被写体画像を前記再現画像として出力する際のフレア量から前記色順応補正処理および前記コントラスト補正処理が行われた前記被写体画像の測色値を補正して前記再現画像の出力すべき測色値を得るフレア補正とを行うものであり、前記見えの変換処理手段は、前記コントラスト変換、前記彩度変換、前記色順応補正、前記コントラスト補正およびフレア補正の少なくとも1つの処理を行うための1種の色変換テーブルに対し、変換強度の異なる複数の色変換テーブルを備える格納手段と、前記被写体画像の前記第1のデジタル画像データに応じて、前記複数の色変換テーブルの中から1つの色変換テーブルを選択する選択手段とを有し、選択された前記1つの色変換テーブルを用いて、前記少なくとも1つの処理を行うことにより、前記見えの変換処理を行い、前記再現画像の前記出力すべき測色値から前記再現画像の第2のデジタル画像データを得ることを特徴とする画像処理装置を提供するものである。
また、前記強調パラメータは、前記第1の照明光源の下での輝度に対する輝度比および彩度であるのが好ましい。
また、前記選択手段は、前記複数の色変換テーブルの中から、前記被写体画像の前記第1のデジタル画像データから求められる前記被写体画像の画像特徴量によって前記1つの色変換テーブルを選択するのが好ましい。
また、前記被写体画像の画像特徴量は、前記被写体画像の明度および彩度を含む1つ以上の属性値に基づいて求められるのが好ましい。
また、上記目的を達成するために、本発明の第4の態様は、上記の第1の態様の画像処理方法をコンピュータ制御により実行させるための画像処理プログラムを提供するものである。
また、上記目的を達成するために、本発明の第5の態様は、上記の第4の態様の画像処理プログラムを記録したコンピュータにより読み取り可能な記録媒体を提供するものである。
特に、本発明によれば、カラーリバーサルフィルムの場合にも、透過オリジナル画像の持つ美しく高品位なイメージを忠実に再現した写真プリント、さらには、このような忠実再現に加え、さらに好ましい色再現を行った写真プリントをユーザに提供することができる。その結果、本発明によれば、観察される透過画像のオリジナルの美しさのプリント上での再現を期待するユーザを満足させることはできる。
さらに、本発明によれば、色変換テーブルの使用により、見えの変換を画像処理ソフトとして組込んで、自動化することで、被写体画像の印象を容易に写真プリント上やモニタ上に再現でき、特に、写真プリントを作製するラボでのプリント作業効率を大幅に向上させることができる。
以下においては、画像再現の対象となる被写体画像が、リバーサルフィルムに記録された透過画像であり、観察されるリバーサルフィルムの透過画像と見えが一致するように再現された再現画像が、写真プリント画像である場合を代表例として説明するが、本発明はこれに限定されず、被写体画像が、被写体を撮影したカラーネガフィルムから得られる画像、あるいは被写体をデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどのデジタルカメラによって撮影して直接得られた画像である場合であっても良いし、また、再現画像が、被写体と見えが一致するように再現された写真プリント画像などのハードコピー画像、もしくはモニタ表示画像などのソフトコピー画像であっても良い。
同図に示すように、画像形成装置10は、被写体を撮像したリバーサルフィルムに記録された透過画像(透過原稿画像)Fを光電的に読み取って、デジタル画像データD0を取得する画像入力ユニット11と、観察されているリバーサルフィルムの透過画像Fの見えをそのまま忠実に再現するのみならず、さらに好ましい色再現となるように、画像入力ユニット11で取得した画像データD0に見えの再現処理を含む画像変換処理を行う画像処理ユニット12と、この画像処理ユニット12で見えの再現変換処理を行って得た画像データに基づいてハードコピー画像(写真プリントP)などの目視用画像を出力する画像出力ユニット14とを有する。
なお、画像入力ユニット11は、カラーリバーサルフィルムFに撮影された透過被写体画像の各点のRGBデータなどのデジタル画像データD0、あるいは透過被写体画像の各点の測色値D1を取得できるものであればどのようなものでも良く、例えば、被写体を撮影して得られたカラーリバーサルフィルムFの透過被写体画像をCCDやCMOSセンサなど撮像素子を用いて読み取り、透過被写体画像のデジタルデータとしてRGBデータ(デジタル画像データD0)を得るものであっても良いし、さらに、RGBデータD0を測色値D1、例えば透過被写体画像の色の三刺激値XYZに変換するものであっても良い。なお、本発明において用いられる測色値は、色の三刺激値(XYZ)に限定されない。
画像処理ユニット12は、色の見えの変換式に基づく色変換を行うための複数の色変換テーブルを作成する色変換テーブル作成部12aと、色変換テーブル作成部12aで作成された複数の色変換テーブルを格納する色変換テーブル格納部12bと、画像入力ユニット11で得られたカラーリバーサルフィルムFの透過被写体画像の測色値D1から画像特徴量を算出する画像特徴量算出部12cと、画像特徴量算出部12cで算出された画像特徴量に基づいて、色変換テーブル格納部12bに格納された複数の色変換テーブルから、適切な色変換テーブルを選択する色変換テーブル選択部12dと、色変換テーブル選択部12dで選択された色変換テーブルを用いて、画像入力ユニット11で得られた透過被写体画像の測色値D1に見えの変換処理を行い、プリンタに入力すべき画像信号(プリント出力用画像データD7)を得る変換処理部12eとを有する。
なお、好ましい色再現処理ユニット34では、強調パラメータ(輝度比、彩度C)を変化させることにより、複数種類の測色値D6(3DLUT用パッチ画像)を得ることができ、見えの忠実再現処理ユニット32では、強調パラメータ(彩度C)を変化させることにより、複数種類の測色値D4(3DLUT用パッチ画像)を得ることができる。
図3は、忠実再現処理ユニットの一実施形態のブロック図である。同図に示す忠実再現処理ユニット32は、観察されているリバーサルフィルムFの透過被写体画像の見えを忠実に再現できるように画像処理を行うためのものであって、前段の好ましい色再現処理ユニット34から送られる透過被写体画像の測色値D6(透過被写体画像の変換三刺激値(XaYaZa))を変換画像の測色値D3(出力用画像の三刺激値(X’Y’Z’)に変換するものである。
同図に示すように、忠実再現処理ユニット32は、ビュアーやプロジェクタにおいて観察されているリバーサルフィルムFの透過被写体画像を観察する透過被写体画像の観察照明条件を取得する透過画像観察条件取得ユニット18と、透過被写体画像が再現された再現画像(反射画像)の観察照明条件を取得し、設定する再現画像観察条件取得ユニット20と、透過画像観察条件を用いて透過被写体画像の測色値D6を順変換して色の見えの属性値(色相h、明度J、彩度C)D2を得るとともに、こうして得られた見えの属性値D2を、再現画像観察条件を用いて逆変換して見えの忠実再現補正がなされた変換画像の測色値D3(出力用画像の三刺激値(X’Y’Z’))を得る見えの忠実再現変換ユニット22(22a,22b)とを有する。
観察条件取得ユニット20は、予め透過被写体画像が再現された再現画像(反射プリント画像)を観察する際の観察照明条件を取得し、設定するためのもので、再現画像を照明している光源の照明光の三刺激値、被写体の輝度および被写体の周囲条件を取得するためのもので、本発明では特に、予め再現画像観察時の照明光の色度値および絶対照度値を測定し、記録しておくためのものである。
見えの忠実再現変換ユニット22(22a,22b)は、本発明では、CIECAM02(国際照明委員会("Commission Internationale de l'Eclairage")の2002年の色の見えモデル(CIECAM02 Color Appearance Model;IS&T/SID 10th Color Imaging Conference 予稿集pp.23-27参照))に基づいて構成されたものであり、色順応補正を行う色順応変換部26(26a,26b)と、コントラスト補正を行う非線形信号変換部28(28a,28b)と、彩度補正を行う色属性(色知覚属性)変換部30(30a,30b)とを有する。
なお、CIECAM02では、見えの属性値として、マンセル表色系のHVCにそれぞれ相当する色相h、明度Jおよび彩度Cの他、絶対的な明るさ、すなわち人が感じる明るさの絶対的な感覚量を表す指標であるブライトネスQおよび人が感じる鮮やかさの絶対的な感覚量を表す指標であるカラフルネスMの5種があるが、本実施態様では、色相h、明度Jおよび彩度Cを対象とする。
なお、図示例では、色順応変換部26は、CIECAM02によって推奨されるものを用いているが、本発明はこれに限定されず、色順応変換として提案されているものであれば、様々な手法を行うもののいずれも採用することができる。
ここで、非線形信号変換部28は、具体的には、例えば、順変換(28a参照)においては、透過画像観察時の照明の絶対照度値と再現画像観察時の照明の絶対照度値とから、コントラスト変換特性を算出し、色順応変換部26で色順応補正された対応色の測色値に対してコントラスト変換を施す。
こうして、見えの忠実再現変換ユニット22において、見えの忠実再現補正が施された透過被写体画像、すなわち変換画像の測色値D3を得ることができ、この変換画像の測色値D3は、フレア補正部24(図2参照)に入力される。
図4は、好ましい色再現処理ユニットの一実施形態のブロック図である。好ましい色再現処理ユニット34は、後段での見えの忠実再現処理ユニット32での処理が、忠実再現に加え、好ましい色再現になるように、予め透過被写体画像上の各点の測色値D1に、所定の順応度変換、コントラストおよび/または彩度変換を行っておくものである。
なお、この実施形態では、彩度Cの値を、好ましい色再現処理ユニット34の色の見え順変換ユニット36aにおいて変化させているが、本発明はこれに限定されず、図3に示す後段の見えの忠実再現処理ユニット32の見えの忠実再現順変換ユニット22aにおいて変化させても良い。すなわち、見えの忠実再現順変換ユニット22aにおいて、彩度Cの値を1.00〜1.20倍に変化させることにより、後述する複数の色変換テーブルを作成するために、強度パラメータとしての彩度Cの値の異なる複数種類の属性値D2(3DLUT用パッチ画像)を得るようにしても良い。
こうして、好ましい色再現処理ユニット34および見えの忠実再現処理ユニット32において、透過被写体画像の見えが忠実に再現されるとともに、好ましい色再現がなされた透過被写体画像、すなわち再現画像の測色値D4(三刺激値(XYZ))を得ることができる。こうして得られた再現画像の測色値D4は、画像出力ユニット14において、プリント画像などの再現画像として出力されるべき画像データ、すなわちプリント出力用デジタル画像データD7、例えばRGBデータに変換される。
なお、本発明においては、フレア補正部24は、変換画像の測色値D3をフレア補正して、プリンタに入力すべき画像信号となるプリント出力用デジタル画像データD7を直接得るようにしても良く、そのための変換テーブルとして設定しておいても良い。
こうして、色変換テーブル作成部12aの3DLUT生成部25において、輝度比(強調パラメータ1)および彩度C(強調パラメータ2)の複数の組み合わせ毎に、複数の色変換テーブルが生成される。
色変換テーブル格納部12bは、メモリやデータベースとして構成され、色変換テーブル作成部12aにおいて生成された複数の色変換テーブルを輝度比(強調パラメータ1)および彩度C(強調パラメータ2)の個々の組み合わせに対応させて格納する。
なお、本発明において色変換テーブルの選択に用いられる画像特徴量としては、見えの一致の画像再現の対象となるカラーリバーサルフィルムFの透過被写体画像に対して、適切な色変換テーブルを選択するための強調パラメータ(輝度比および彩度C)を決めることができるものであれば、どのような画像特徴量でも良い。
変換処理部12eは、色変換テーブル選択部12dによって、カラーリバーサルフィルムFの透過被写体画像に応じて選択された見えの変換に適切な色変換テーブルを用いて、
カラーリバーサルフィルムFの透過被写体画像の測色値D1からプリンタに入力すべき画像信号(プリント出力用デジタル画像データD7)を得るための見えの変換処理を行う。
変換処理部12eは、色変換テーブル作成部12aにおいて行われる見えの変換、すなわち、見えの好ましい色再現処理ユニット34による見えの好ましい色再現、見えの忠実再現処理ユニット32による見えの忠実再現およびフレア補正部24によるフレア補正と、測色値D4からプリンタに入力すべきプリント出力用デジタル画像データD7への信号変換までを1つの色変換テーブルで行うものである。
こうして画像処理ユニット12の変換処理部12eで得られたプリンタに入力すべき画像データD7は、見えの忠実再現に加え、見えの好ましい再現も加えられたプリント画像を出力可能なものである。
こうして出力された再現画像は、被写体の見えがそのまま忠実に再現されているとともに好ましい色再現がなされた写真プリントなどのハードコピー画像である。すなわち、このようにして得られた再現画像は、見えの忠実再現のみならず、好ましい色再現がなされたものであり、人間にとって自然に感じられる画像である。
本発明の第2の態様の画像処理装置および第3の態様の画像形成装置は、基本的に以上のように構成される。
本発明においては、予め、図1に示す画像形成装置10の画像処理ユニット12の色変換テーブル作成部12aで複数の色変換テーブルを作成して、色変換テーブル格納部12bに格納しておく。次に、色変換テーブル選択部12dにおいて、画像特徴量算出部12cで算出されたリバーサルフィルムの透過画像の画像特徴量に応じた色変換テーブルを色変換テーブル格納部12bから選択し、変換処理部12eにおいて選択された色変換テーブルを用いて、リバーサルフィルムの透過画像の画像データ(測色値D1)に色変換を行い、好適プリントとして再現するのに適した画像データ(デジタル画像データD7)を得る。なお、透過画像観察条件および再現画像観察条件が変わらない限り、作り直す必要はないので、一度作成しておけば良い。
以下に、具体的に説明する。
2)また、画像処理ユニット12の色変換テーブル作成部12aの透過画像観察条件取得ユニット18(図3参照)によって、予め、透過画像観察条件データ、すなわち透過被写体画像が観察される際に透過被写体画像を照明している照明光の絶対照度値等の照度情報と色度値等の色度情報とが測定され、記録されている。
3)さらに、再現画像観察条件取得ユニット20(図3参照)によって、予め、プリント画像(再現画像)観察条件データ、すなわちプリント等の再現画像を観察する際の照明の絶対照度値等の照度情報と色度値等の色度情報とが設定されている。
画像入力ユニット11において算出された、透過被写体画像上の各点の測色値D1(透過被写体画像の三刺激値(XYZ))が、画像処理ユニット12の色変換テーブル作成部12aの好ましい色再現処理ユニット34に入力される。
図4に示す好ましい色再現処理ユニット34においては、透過被写体画像上の各点の測色値D1が、コントラスト・彩度変換ユニット36に入力される。
ここで、コントラスト・彩度変換ユニット36の見え順変換ユニット36aでは、透過画像観察条件設定ユニット38aによって設定された透過画像観察条件に基づく色の見えの変換式を用いて、コントラスト変換、彩度変換を行い、見えの属性値D5として、明度J、色相hおよびカラフルネスMの値を求める。この際、観察者は、照明色に対して、透過画像観察条件取得ユニット18によって得られる透過画像観察条件で定まる順応輝度より高い順応輝度に設定されたときの順応度(Da)で順応する、好ましくは、ほぼ、もしくは完全に順応する(D=1)と仮定して、見え順変換ユニット36aの色順応変換部40aによる色順応変換を行い、また、コントラストおよびカラフルネスMは、透過原稿画像観察時の輝度が5〜150倍、好ましくは10〜100倍程度に相当する変化量(強調パラメータ1)として、それぞれ非線形信号変換部42aによるコントラスト変換、色属性変換部44aによる彩度変換を行う。また、彩度Cの値を1.00〜1.20倍の値にする(強調パラメータ2)。
なお、ここでは、見え順変換ユニット36aおよび見え順変換ユニット36bにおける色の見えの変換式は、IS&T/SID 10th Color Imaging Conference 予稿集pp.23-27「CIECAM02色の見えモデル」に記載されているものを用いる。
1.色順応変換部40aによる色順応変換では、順応度DをDa(透過画像観察条件で定まる順応輝度より高い順応輝度に設定されたときの順応度;後述する式(1)で計算する)、最も好ましくは、Da=1とし、
2.非線形信号変換部42aによるコントラスト変換(非線形応答変換)では、パラメータFLの値(後述する式(2))を透過画像観察条件で定まる順応輝度より高い順応輝度の輝度値LAで計算し、
3.色属性変換部44aによる彩度変換(色知覚属性計算)では、カラフルネスMの計算(後述する式(3))に用いる透過被写体画像の輝度値LAを、透過画像観察条件で定まる順応輝度より高い順応輝度の輝度値、ここでは、実際の透過被写体画像の輝度値の5倍から150倍、概略10倍から100倍にする(強調パラメータ1)。
以上の手順で、明度J、色相h、カラフルネスMの値を求める。
また、彩度Cの値を1.00〜1.20倍変化させる(強調パラメータ2)。
このように、これらの変換操作を強調パラメータ1(輝度比)および強調パラメータ2(彩度C)の組み合わせで行い、複数の色変換パスを得ることができる。
なお、コントラストに関連するものとしては、下記式(2)に示されるように、輝度値LAの変化に対して、パラメータFLの値は、単調増加する。また、カラフルネス(彩度知覚)に関連するものとしては、下記式(3)に示されるように、カラフルネスMは、パラメータFLの(1/4)乗に比例しているので、これらの関係からも、仮想的に、より高い輝度値LAを設定すると、カラフルネスMが向上して、鮮やかな印象が得られることがわかる。
この際に、透過画像観察条件取得ユニット38bによって設定される観察条件パラメータとしては、順応度Dとして見え順変換ユニット36aで用いた順応度Daを用いる以外は、透過画像観察条件取得ユニット18によって得られる透過画像観察条件そのものを用いる。
従って、具体的には、見え逆変換ユニット36bにおいては、実際の観察される透過被写体画像の輝度値を用いて色属性変換部44bによる彩度変換および非線形信号変換部42bによるコントラスト変換を行い、順応度Dを前述のDaに設定して、色順応変換部40aによる色順応変換を行う。
こうすることで、透過被写体画像が仮想的に観察環境下でのコントラストを持ち、また、彩度が所定量アップしたデータとなる。
このようなコントラスト・彩度変換は、人間の明るさ変化を伴うコントラスト・彩度変化の感覚を模したものであり、人間にとって自然に感じられる好ましい色再現を実現するコントラスト・彩度変換手法であるといえる。
見えの忠実再現処理ユニット32に入力された透過被写体画像の測色値D6は、上述したように、図3に示す見えの忠実再現処理ユニット32の見えの忠実再現変換ユニット22に入力される。
次に、透過画像観察時の照明の絶対照度値と再現画像(プリント画像)観察時の照明の絶対照度値とから、コントラスト変換特性を算出し、色順応変換部26で色順応補正された対応色の測色値に対してコントラスト変換を施す(非線形信号変換部28(28aおよび28b)参照)。
こうして、見えの忠実再現処理ユニット32では、透過被写体画像の測色値D6から、見えの忠実再現補正が施された変換画像の測色値D3を得ることができる。
図2に示すように、こうして得られた変換画像の測色値D3は、忠実再現処理ユニット32からフレア補正部24に入力される。
こうして得られた再現画像の測色値D4は、色変換テーブル作成部12aでプリンタに入力すべきデジタル画像データD7に信号変換される。
こうして、カラーリバーサルフィルムの透過画像の測色値D1をプリンタに入力すべきデジタル画像データD7に変換するための見えの再現のための色変換を行う複数の色変換テーブルが得られる。なお、色変換テーブル作成部12aでは、一度、これらの複数の色変換テーブルを作成しておけば良い。
こうして、色変換テーブル作成部12aで得られた複数の色変換テーブルは、色変換テーブル格納部12bに格納される。
10)上記の8)で色変換テーブル作成部12aにおいて作成された複数の色変換テーブルの中から、上記の8)で画像特徴量算出部12cにおいて抽出された画像特徴量に応じて、色変換テーブル選択部12bで適切な色変換テーブルを選択する。
11)色変換テーブル選択部12bで選択された色変換テーブルを用いて、上記の1)で画像入力ユニット11によって得られた透過被写体画像の測色値D1を、画像処理ユニット12の変換処理部12eで色変換して、透過被写体画像の見えを忠実に再現できるとともに、見えの好ましい色再現がなされた再現画像の、プリンタに入力すべきデジタル画像データD7を得ることができる。
こうして、画像処理ユニット12において得られた、プリンタに入力すべきデジタル画像データD7は、画像出力ユニット14に入力される。
こうして出力された再現画像は、被写体の見えがそのまま忠実に再現されているとともに好ましい色再現がなされた写真プリントなどのハードコピー画像である。すなわち、このようにして得られた再現画像は、見えの忠実再現のみならず、好ましい色再現がなされたものであり、人間にとって自然に感じられる画像である。
以下、本発明の第1の態様に係る画像処理方法により算出したR,G,B信号を本発明の第3の態様の画像形成装置としてのカラーデジタルプリンタに入力して再現画像として好ましい彩度変換(コントラスト変換)プリント画像を得る場合について、図5および図6を用いて説明する。
図5および図6は、カラーリバーサルフィルムの透過画像から銀塩写真感光材料を用いる写真プリントとして出力する場合の本実施形態における一連の処理の流れを説明するフローチャートである。
富士写真フイルム製カラーリバーサルフィルムRPOVIA l00F professionalによって撮影された透過画像を、大日本スクリーン製スキャナSG‐1000により収録してデジタル画像データを濃度値として得た。
上記カラーリバーサルフィルムの透過画像を観察するイルミネーター((株)プロラボクリエイト製クリエイトビュアー、光源としては色温度5000Kの色評価蛍光灯を使用)の発光面をトプコン製SR−3を用い測定し、分光輝度および輝度のXYZ三刺激値を測定した。また、絶対照度3000Luxの値を得た。
上記カラーリバーサルフィルムの透過画像に対して、SPIE vol.1079 pp90‐98に記載されているレーザーカラープリンタを用いてRGBの露光量をそれぞれ変化させた複数のパッチを出力し、上記スキャナSG‐1000で収録して,感光材料に与えた各露光量と発色濃度の関係を記述したテーブル(1)を作成した。
また、同パッチの分光反射率を東京電色社製TC‐1800Mにて分光測色した。この分光測色データより、ステップS102のデータを観察光源の分光分布と考えて,各パッチのCIE XYZ三刺激値を求め、感光材料に与えた各露光量とCIE XYZ三刺激値の関係を記述したテーブル(2)を作成した。
ステップS101で得た濃度のデジタル画像データに対して、ステップS103で作成したテーブル(1)を適用して画像データの各点に与えられた露光量R,G,Bを算出した。
ステップS104で求められた露光量R,G,Bに対して、ステップS103で作成したテーブル(2)を適用して画像データの各点で観測されるCIE XYZ三刺激値(測色値D1)を求めた。
色温度5000Kの色評価蛍光灯により照度300Luxで照明された写真プリント観察環境のプリントを置く位置と同じ位置に標準白色板を設置し、色彩輝度計CS‐100により三刺激値を測定した。
IS&T/SID 10th Color Imaging Conference 予稿集pp.23-27に記載の式を用いて、透過被写体画像(測色値D1;三刺激値(XYZ))に対して彩度変換(コントラスト変換)を施した画像である3次元テーブル用パッチ画像(見えの属性値D5)を作成した。ここでは、カラーリバーサルフィルムの透過画像観察環境のX,Y,Z値からプリント観察環境下で再現すべき三刺激値X’,Y’,Z’を算出し、また、観察者がカラーリバーサルフィルムの透過画像を照明する光源に完全に順応する(上記式(1)で表される順応度Dの値を強制的に1とする)(設定観察条件)として計算を行い、また、コントラスト変換では、カラーリバーサルフィルムの透過オリジナル画像の観察照度値を定数倍(輝度比(強調パラメータ1))に変換させた(FLを計算する際に使用する上記式(2)の順応輝度LAの値を変化させる)ことに相当する値を複数代入し、色相h、明度J、カラフルネスMの3つの見えの属性値D5の値を算出し、彩度C(強調パラメータ2)のみを定数倍に変化させた画像である3次元(ルックアップ)テーブル(3DLUT)用パッチ画像を一連作製した。
次に、IS&T/SID 10th Color Imaging Conference 予稿集pp.23-27に記載の式を用いて、ステップS107で算出された色相h、明度J、カラフルネスMの3つの見えの属性値D5からカラーリバーサルフィルムの透過オリジナル画像の照明条件(設定観察条件)を用いて、彩度変換後の透過被写体画像の三刺激値(XaYaZa)(測色値D6)で表される画像(3次元テーブル用パッチ画像)を一連算出した。
この後、ステップS108で得られた三刺激値(XaYaZa)(測色値D6)の画像を出発として、IS&T/SID 10th Color Imaging Conference 予稿集pp.23-27に記載の手法により、ステップS2で求めた透過画像観察条件を用いて、色順応変換およびコントラスト変換を行い、色相h、明度J、彩度Cの3つの見えの属性値D2を算出し、一連の画像(3次元テーブル用パッチ画像)を作製した。
次に、IS&T/SID 10th Color Imaging Conference 予稿集pp.23-27に記載の見えの変換式を用いて、ステップS109で算出された色相h、明度J、彩度Cの3つの見えの属性値D2から、ステップS106で求めたプリントを観察する際の観察照明条件を用いて、プリント上に出力すべき変換画像の三刺激値(X’,Y’,Z’)(測色値D3)で表される見えの忠実再現処理および好ましい色再現処理がなされた再現画像(3次元テーブル用パッチ画像)を一連算出した。
プリント装置として、SPIE vol.1079 pp90‐98に記載されているレーザカラープリンタを使用することとし、予め、R,G,Bの入力信号をそれぞれ変化させたパッチを富士写真フィルム社製プロフェッショナルカラーペーパ・プロレーザークリスタルTYPE II‐Eに出力し、各パッチの分光反射率を東京電色社製TC‐1800Mにて分光測色した。
ステップS111で測定された分光反射率データR(λ)に対して、下記の式(4)によりフレア補正後の分光反射率R’(λ)を算出した。
ステップS112で求めたフレア補正後の分光反射率R’(λ)に対して、プリント観察照明の分光分布を掛け合わせてX,Y,Z三刺激値を求め、プリンタの入力信号と、フレア補正後のX,Y,Z三刺激値(測色値D4)の関係を示すテーブルを作成した。
図6に示すように、図5に示す以上のステップS107〜ステップS113の操作により、輝度比(強調パラメータ1)および彩度C(強調パラメータ2)の複数の組み合わせの3次元テーブル(3DLUT)生成用パッチ画像を作成した。こうして作成された3次元テーブル(3DLUT)生成用パッチ画像を用いて、輝度比および彩度Cが以下の複数の組み合わせである3次元色変換テーブル(3DLUT)を作成した。
ここでは、輝度比:10,30,50,100、
彩度C:1.00(0%),1.05(5%アップ),1.10(10%アップ),1.20(20%アップ)として、16個の3次元色変換テーブルを作成した。
ステップS105で求められたX,Y,Z三刺激値画像(測色値D1)からCIE1976にて規定されるLab色空間への変換を行い、L*a*b*にて表現される画像を作成した。更に、その画像から、画像特徴量として、画像の平均明度(Lave)および平均彩度(Cave)を計算により求めた。
ステップS115で求めた平均明度(Lave)および平均彩度(Cave)より、ステップS114で作成した複数の3次元色変換テーブルの中から、色の見えの変換に適当な色変換テーブルを選択した。
本実施例1では、以下に示す回帰式(5)および(6)を選択に用いた。
カラーリバーサルフィルムに撮影された10種類のシーンについて、強調パラメータ(輝度比パラメータRおよび彩度パラメータC)の種々の組み合わせに対して、観察環境下の透過画像から見えの再現変換を行って、各シーン毎にそれぞれの組み合わせの複数のプリント画像を出力し、10名の観察者(いずれも富士写真フイルム社員であり,カラーリバーサルフィルムの設計開発評価業務に携わる者)による官能評価を行って、各シーン毎に得られた複数のプリント画像の中から、各シーン毎に最適な見えの再現が行われた1枚のプリント画像を選び出した。
こうして選び出された各シーンの最適なプリント画像を得た強調パラメータ(輝度比パラメータRおよび彩度パラメータC)の最適値と、各シーンの画像特徴量(平均明度Laveおよび平均彩度Cave)を求めた。
こうして得られた各シーンの平均明度Lave、平均彩度Cave、および輝度比パラメータRの最適値、彩度パラメータCの最適値を下記の表1に示す。
こうして得られた回帰式(5)および(6)による各シーンの輝度比パラメータRの計算値および彩度パラメータCの計算値を下記の表1に示す。
表1から、各シーンの輝度比パラメータRおよび彩度パラメータCの計算値は、それぞれ、輝度比パラメータRおよび彩度パラメータCの最適値に近い値であることが分かる。
但し、被写体が人物中心であるものについては、彩度パラメータ0%、輝度パラメータ20を固定的に使用した。
ステップS105で求められたX,Y,Z三刺激値画像(測色値D1)を、ステップS116で選択された色変換テーブルを用いて、観察環境下で出力すべきフレア補正後の三刺激値X,Y,Z(測色値D4)が変換された、プリンタに入力すべきRGB信号を算出し、これをプリンタに入力して最終的な出力画像を得た。
プリント観察条件下にて得られた出力画像(11シーン)について10名の観察者(いずれも富士写真フイルム社員であり、カラーリバーサルフィルムの設計開発評価業務に携わる者)によって好ましさの心理評価を行った結果、全シーンを平均して、輝度比を30倍、彩度Cを2.5%向上させた値の場合に比べ、さらに良好な結果が得られた。
しかしながら、見えの忠実再現処理およびフレア補正処理は、透過画像および写真プリント等の反射画像の観察環境に応じた固定の処理となるのに対し、好ましい見えの再現処理は、複数の強調パラメータにそれぞれ応じた複数の処理となるので、見えの忠実再現処理およびフレア補正処理をする固定の色変換テーブルを作成しておくとともに、好ましい見えの再現処理をする色変換テーブルとして、複数の強調パラメータに応じて、それぞれ複数の色変換テーブルを作成しておき、作成された複数の色変換テーブルの中から、シーンに応じて適切な強調パラメータを持つ色変換テーブルを選択して、選択された色変換テーブルによる処理を行った後に、見えの忠実再現処理およびフレア補正処理をする固定の色変換テーブルによる処理を行うのが好ましい。この場合にも、見えの忠実再現処理およびフレア補正処理をそれぞれ行う固定の色変換テーブルをそれぞれ作成して用いても良いのはもちろんである。
これは、
1.本発明の画像処理方法による色変換のマッピングの目標と、システムの色再現域との関係から、
a)色が飽和するような現象(高彩度色の明暗コントラストが上手く表現されないケース)、および
b)高彩度域で必要以上にコントラストが発生するケースが生じる可能性があるためである。
2.再現色をさらに好みの方向(色相、彩度、明度)へ再現することを可能にすることで、より好ましい画像再現を達成するためである。
すなわち、上記理由1のようなケースでは、本発明の画像処理方法の色変換のみの場合には、システムの色再現域の制限が原因で、色域外へのマッピングの必要が生じてしまうことがある。従って、本発明においては、システムの色再現域を考慮した色変換を行うことがさらに好ましいからである。
この補正法は、色変換テーブルに対し、現状の色と目標色を与え、色変換テーブル(3DLUT)を部分的に変更する方法である。
まず、高精度3DLUT(M×M×M段)が生成され、メモリに格納されているとする。一方、目的色および所望色は、予め決定され、その濃度が計測され、それぞれ目的色データおよび所望色データとして入力され、メモリに格納され、もしくは、画像処理ユニット12のCPUなどの作業用メモリ等に保持され、いつでも利用可能であるものとする。
・L*a*b*空間の距離
色空間上の2点(L1、a1、b1)と(L2、a2、b2)との距離の定義は、色差の式と同じで下記式(7)で定義される。
ΔE=√{(L1−L2)2+(a1−a2)2+(b1−b2)2} ……(7)
・RGB濃度空間の距離
濃度の場合も同様に色空間上の2点(Db1、Dg1、Dr1)と(Db2、Dg2、Dr2)との距離は、下記式(8)で定義される。
ΔD=√{(Db1−Db2)2+(Dg1−Dg2)2+(Dr1−Dr2)2} ……(8)
次に、図5および図6に示す本実施形態の画像処理方法を実施して得られた複数の色変換テーブルの中の1つによって、カラーリバーサルフィルムの透過画像からプリント画像への色変換を行ったところ、赤色の再現が飽和気味にて、明暗の描写が乏しい画像再現であった。
表2に示す修正前の現状色と目標色との組み合わせを与え、図7に示す補正法で修正した色変換テーブルを作成した。
また、リバーサルフィルムの透過画像を観察するための光源の照度は、リバーサルフィルムの透過画像を観察するビュアーやプロジェクタの性能値から推測することが可能である。
さらに、式(4)で表わされるフレア補正は、いわゆる階調変更として実装することが可能であり、通常は、フレア率に対応した複数の補正テーブル(1DLUT)を用意しておくことで対応可能である。
11 画像入力ユニット
12 画像処理ユニット
12a 色変換テーブル作成部
12b 色変換テーブル格納部
12c 画像特徴量算出部
12d 色変換テーブル選択部
12e 変換処理部
14 画像出力ユニット
18 透過画像観察条件取得ユニット
20 再現画像観察条件取得ユニット
22 見えの忠実再現変換ユニット
22a 見えの忠実再現順変換ユニット
22b 見えの忠実再現逆変換ユニット
24 フレア補正部
26,26a,26b,40a,40b 色順応変換部
28,28a,28b,42a,42b 非線形信号変換部
30,30a,30b,44a,44b 色属性変換部
32 見えの忠実再現処理ユニット
34 好ましい色再現処理ユニット
36 コントラスト・彩度変換ユニット
36a 色の見え順変換ユニット
36b 色の見え逆変換ユニット
38a,38b 透過画像観察条件設定ユニット
Claims (23)
- 被写体画像の第1のデジタル画像データを取得し、
前記被写体画像もしくはその被写体を照明する第1の照明光源の色度情報および照度情報を取得し、
前記被写体画像の再現画像を観察する際の第2の照明光源の色度情報および照度情報を取得し、
前記第1および前記第2の照明光源の色度情報および照度情報を用いて、前記被写体画像が再現された前記再現画像の見えと、前記被写体画像との見えとを一致させるための見えの変換処理を、前記第1のデジタル画像データに施す画像処理方法であって、
前記見えの変換処理は、
前記第1の照明光源の色度情報および照度情報から求められる順応輝度より高い順応輝度に設定した場合の色度値をもとに、前記第1のデジタル画像データから得られた前記被写体画像の測色値に対して行って前記被写体画像の変換済測色値を得るコントラスト変換および彩度変換の少なくとも一方と、
前記第1および第2の照明光源の色度情報および照度情報から前記被写体画像の変換済測色値に対して行う色順応補正と、
前記第1および第2の照明光源の照度情報から前記被写体画像の変換済測色値に対して行うコントラスト補正と、
前記被写体画像を前記再現画像として出力する際のフレア量から前記色順応補正処理および前記コントラスト補正処理が行われた前記被写体画像の測色値を補正して前記再現画像の出力すべき測色値を得るフレア補正とを備え、
前記コントラスト変換、前記彩度変換、前記色順応補正、前記コントラスト補正およびフレア補正の少なくとも1つの処理は、1種の変換過程に対して、変換強度の異なる複数の変換過程を備えており、
前記被写体画像の前記第1のデジタル画像データに応じて前記複数の変換過程の中から1つの変換過程を選択し、
選択された前記1つの変換過程を用いて、前記少なくとも1つの処理を行うことにより、前記見えの変換処理を行い、前記再現画像の前記出力すべき測色値から前記再現画像の第2のデジタル画像データを得ることを特徴とする画像処理方法。 - 前記変換過程は、色変換テーブルを用いて行われる請求項1に記載の画像処理方法。
- 前記見えの変換処理の全ての処理は、1つの変換処理として行われ、1つの変換処理に対する前記1種の変換過程として1種の色変換テーブルが設定され、前記1種の変換過程に対する前記変換強度の異なる複数の変換過程として、前記1種の色変換テーブルに対して、強調パラメータが異なる複数の色変換テーブルが設定される請求項1または2に記載の画像処理方法。
- 前記強調パラメータは、前記第1の照明光源の下での輝度に対する輝度比および彩度である請求項3に記載の画像処理方法。
- 前記被写体画像は、前記被写体を撮影して得られたものであり、
前記第1のデジタル画像データは、前記被写体を撮影したカラーネガフィルムから光電的に読み取られた画像データまたは、前記被写体を撮影して直接光電的に取得された画像データであり、
第1の照明光源は、前記被写体を撮影する時に前記被写体を照明する光源である請求項1〜4のいずれかに記載の画像処理方法。 - 前記被写体画像は、観察される透過画像であり、
前記第1のデジタル画像データは、前記透過画像の画像データであり、
第1の照明光源は、前記透過画像を観察する時に前記透過画像を照明する光源である請求項1〜4のいずれかに記載の画像処理方法。 - 前記透過画像は、観察されるカラーリバーサルフィルムの透過画像であり、
前記透過画像の画像データは、前記カラーリバーサルフィルムから光電的に読み取られた画像データである請求項6に記載の画像処理方法。 - 前記再現画像は、前記被写体画像が再現された、観察される反射画像であり、
前記第2のデジタル画像データは、前記反射画像を出力するための画像データであり、
第2の照明光源は、前記反射画像を観察する時に前記反射画像を照明する光源である請求項1〜7のいずれかに記載の画像処理方法。 - 前記反射画像は、写真プリント画像である請求項8に記載の画像処理方法。
- 前記複数の変換過程は、前記被写体画像の画像特徴量によって設定される請求項1〜9のいずれかに記載の画像処理方法。
- 前記1つの変換過程の選択は、前記複数の変換過程の中から、前記被写体画像の前記第1のデジタル画像データから求められる前記被写体画像の画像特徴量によって行われる請求項1〜10のいずれかに記載の画像処理方法。
- 前記被写体画像の画像特徴量は、前記被写体画像の明度および彩度を含む1つ以上の属性値に基づいて求められる請求項10または11に記載の画像処理方法。
- 前記第1の照明光源の色度情報および照度情報から求められる順応輝度より高い順応輝度に設定した場合の色度値は、前記光源に完全にまたはほぼ順応したと仮定した場合の色度値である請求項1〜12のいずれかに記載の画像処理方法。
- 前記測色値は、三刺激値である請求項1〜13のいずれかに記載の画像処理方法。
- 被写体画像の第1のデジタル画像データを取得する第1の取得手段と、
前記被写体画像もしくはその被写体を照明する第1の照明光源の色度情報および照度情報を取得する第2の取得手段と、
前記再現画像を観察する際の第2の照明光源の色度情報および照度情報を取得する第3の取得手段と、
前記第1および前記第2の照明光源の色度情報および照度情報を用いて、前記被写体画像が再現された再現画像の見えと、前記被写体画像との見えを一致させるための見えの変換処理を、前記第1のデジタル画像データに施す見えの変換処理手段とを有する画像処理装置であって、
前記見えの変換処理手段は、前記見えの変換処理として、
前記第1の照明光源の色度情報および照度情報から求められる順応輝度より高い順応輝度に設定した場合の色度値をもとに、前記第1のデジタル画像データから得られた前記被写体画像の測色値に対して行って前記被写体画像の変換済測色値を得るコントラスト変換および彩度変換の少なくとも一方と、
前記第1および第2の照明光源の色度情報および照度情報から前記被写体画像の変換済測色値に対して行う色順応補正と、
前記第1および第2の照明光源の照度情報から前記被写体画像の変換済測色値に対して行うコントラスト補正と、
前記被写体画像を前記再現画像として出力する際のフレア量から前記色順応補正処理および前記コントラスト補正処理が行われた前記被写体画像の測色値を補正して前記再現画像の出力すべき測色値を得るフレア補正とを行うものであり、
前記見えの変換処理手段は、
前記コントラスト変換、前記彩度変換、前記色順応補正、前記コントラスト補正およびフレア補正の少なくとも1つの処理を行うための1種の色変換テーブルに対し、変換強度の異なる複数の色変換テーブルを備える格納手段と、
前記被写体画像の前記第1のデジタル画像データに応じて、前記複数の色変換テーブルの中から1つの色変換テーブルを選択する選択手段とを有し、
選択された前記1つの色変換テーブルを用いて、前記少なくとも1つの処理を行うことにより、前記見えの変換処理を行い、前記再現画像の前記出力すべき測色値から前記再現画像の第2のデジタル画像データを得ることを特徴とする画像処理装置。 - 前記見えの変換処理手段は、前記見えの変換処理の全ての処理を、1つの変換処理として行い、1つの変換処理に対して前記1種の色変換テーブルが設定され、この1種の色変換テーブルに対する前記変換強度の異なる複数の色変換テーブルとして、強調パラメータが異なる複数の色変換テーブルが設定される請求項15に記載の画像処理方法。
- 前記強調パラメータは、前記第1の照明光源の下での輝度に対する輝度比および彩度である請求項16に記載の画像処理方法。
- 前記複数の色変換テーブルは、前記被写体画像の画像特徴量によって設定される請求項15〜17のいずれかに記載の画像処理装置。
- 前記選択手段は、前記複数の色変換テーブルの中から、前記被写体画像の前記第1のデジタル画像データから求められる前記被写体画像の画像特徴量によって前記1つの色変換テーブルを選択する請求項15〜18のいずれかに記載の画像処理装置。
- 前記被写体画像の画像特徴量は、前記被写体画像の明度および彩度を含む1つ以上の属性値に基づいて求められる請求項18または19に記載の画像処理装置。
- 請求項15〜20のいずれかに記載の画像処理装置と、
この画像処理装置で前記見えの変換処理を行った前記再現画像の第2のデジタル画像データに基づいて写真プリント画像を出力する画像出力手段とを有することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1〜14のいずれかに記載の画像処理方法をコンピュータ制御により実行させるための画像処理プログラム。
- 請求項22に記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータにより読み取り可能な記録媒体。
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