JP2006080245A - フレア計測方法、露光方法、及びフレア計測用のマスク - Google Patents

フレア計測方法、露光方法、及びフレア計測用のマスク Download PDF

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Abstract

【課題】 投影光学系のフレアを所定の成分別に計測する。
【解決手段】 開口パターン43A〜43Dとこの内部に配置された遮光パターン44A〜44Dとが形成されたフレア計測用パターン39Aの投影光学系を介した像を、フォトレジストの塗布されたウエハ上の一連の複数のショット領域に露光量を次第に大きくしながら順次露光した後、そのウエハを現像する。現像後に得られるレジストパターンより、開口パターン43A〜43Dの像の部分が感光されるときの露光量と遮光パターン44A〜44Dの像の部分が感光されるときの露光量とを求め、それらの露光量から空間周波数帯域別のフレアの量を求める。
【選択図】 図3

Description

本発明は、第1面上のパターンの像を第2面上に投影する投影光学系のフレアを計測するためのフレア計測技術に関し、例えば半導体集積回路、液晶表示素子、又は薄膜磁気ヘッド等の各種デバイスを製造するためのリソグラフィ工程でマスクパターンを基板上に転写するために使用される投影露光装置の投影光学系のフレアを計測する際に使用されるものである。本発明はさらに、フレア計測技術を用いた露光技術、及びフレアを計測する際に使用できるマスクに関する。
例えば半導体集積回路を製造するためのリソグラフィ工程中で、マスクとしてのレチクル(又はフォトマスク等)のパターンを投影光学系を介して感光基板(感応物体)としてのレジストが塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)の各ショット領域に転写するために、ステッパー等の一括露光型の投影露光装置及びスキャニングステッパー等の走査露光型の投影露光装置が使用されている。近年の集積回路の一層の微細化に伴い、投影露光装置に要求される転写後のパターンに対する線幅均一性も高まっている。そのため、従来は無視することができた投影光学系のフレアによる線幅均一性の劣化が問題となりつつある。なお、光学系で発生するフレアには大きく分けて、光学系を構成する光学部材(レンズ等)の表面やコーティング膜で小さい角度範囲に発生する前方散乱光に起因する結像には望ましくない迷光(又はかぶり光)であるいわゆるローカルフレア(loca1 flare)と、光学部材のコーティング膜における反射に起因する結像には望ましくない迷光であるいわゆるロングレンジフレアとがある。パターンの線幅均一性の劣化に寄与するのは主にローカルフレアであるため、以下ではフレアとしてローカルフレアを例にとって説明する。
ローカルフレアは、ウエハ上の本来の結像パターンの周辺の例えば数100nm〜数10μm程度の幅の範囲内に発生する「かぶり光」である。通常、ローカルフレアの強度は、結像パターンを形成する結像光束の強度に対してほぼ1%程度以下である。このようなローカルフレアによって次のように線幅均一性が劣化する。例えば、転写対象のレチクル上に互いに同一の2つのライン・アンド・スペースパターン(以下、「L&Sパターン」と言う。)が形成され、これら2つのL&Sパターンに近接してそれぞれ互いに大きさの異なる開口パターンが形成されている場合を想定する。そして、そのレチクルのパターンの像をレジストの塗布されたウエハ上に露光して、そのレジストを現像するものとする。
このとき、ローカルフレアが無い理想的な状態では、同一パターンである2つのL&Sパターンに対応するレジスト像は同一形状になる。一方、ローカルフレアが存在する場合、大きい開口パターンに近接しているL&Sパターンの方がローカルフレアの量が大きくなるため、レジスト像の線幅の変化量が大きくなる。これがローカルフレア起因の線幅のばらつきとなり、これによって露光性能が低下して、露光プロセスの歩留まりが悪化する。このようなローカルフレア起因の線幅のばらつきを低減するためには、ローカルフレアを低減する必要がある。そのためには、ローカルフレアを正確に計測する必要がある。
従来、投影光学系のフレアを計測する方法としては、例えばテストレチクルの照明領域の全面にほぼ均一な分布で複数のほぼ同一形状の矩形の遮光パターンを形成しておき、そのテストレチクルのパターンを投影光学系を介してレジストの塗布されたウエハ上に投影露光する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、露光量を変えて複数回の露光を行ってそれぞれ現像によって得られるレジスト像の形状を計測することによって、それらの遮光パターンに対応する部分が感光されないとき(レジスト像が形成されないとき)の露光量と、それらの遮光パターンに対応する部分が感光されるとき(レジスト像が形成されるとき)の露光量との関係からフレアの量が求められる。
国際公開第02/09163号パンフレット
従来計測対象としていたローカルフレア等のフレアについては、空間周波数成分のような成分別の評価は特になされていなかった。しかしながら、例えば投影光学系のフレアを補正するような場合には、全部のフレアの情報よりも特定の空間周波数帯域のフレア成分のような成分別の情報の方が役立つことがある。
また、従来のフレア計測時に用いられる遮光パターンは、通常はほぼ矩形のパターンであり、フレアに方向性があるような場合には、計測誤差が発生する恐れがあった。
本発明は斯かる点に鑑み、投影光学系のフレアを所定の成分別に計測できるフレア計測技術を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、投影光学系のフレアに方向性がある場合に、その平均的なフレアを計測できるフレア計測技術を提供することを第2の目的とする。
また、本発明は、投影光学系のフレアを低減させて高い線幅均一性が得られる露光技術を提供することを第3の目的とする。
また、本発明は、投影光学系の所定の成分別のフレア計測に使用できるマスクを提供することを第4の目的とする。
本発明によるフレア計測方法は、第1面上のパターンの像を第2面上に投影する投影光学系(PL)のフレアを計測するためのフレア計測方法において、その第1面上に配置された開口パターン(43A〜43D)及びこの開口パターンの内部に配置された遮光パターン(44A〜44D)の像をその投影光学系を介してその第2面上に投影する第1工程(ステップ101〜107)と、その第2面上に投影されたその遮光パターンの周囲におけるその開口パターンの像の光量に基づいてその投影光学系のフレアを求める第2工程(ステップ108〜110)とを有するものである。
斯かる本発明において、その投影光学系内で発生するフレアのうちでその投影光学系の瞳面における空間周波数の低い成分は、その投影光学系の像面で狭い領域に集光されるのに対して、その瞳面における空間周波数の高い成分は、その像面で広い領域に集光される。このとき、その開口パターン及びその内部の遮光パターンの大きさによって、それぞれその投影光学系内で発生するフレアのその瞳面における空間周波数の最大値及び最小値が実質的に決定されて、そのフレアのうちで空間周波数がその最小値とその最大値との間にある成分が所定の成分としてその像面に達する。そこで、例えばその遮光パターンの周囲におけるその開口パターンの像の光量(透過部の光量)と、その遮光パターンの像の光量(フレアによる光量)との比の値を求めることで、その所定の成分のフレアの量を計測できる。
本発明において一例として、その第1工程は、その開口パターン及びその遮光パターンの像をその第2面上に配置して感光材料の塗布された基板(W)上に露光量を変えながら複数回投影する工程(ステップ104,106,107)を含み、その第2工程は、その第2面上に投影されたその遮光パターンの像(44AP〜44DP)によってその感光材料が感光されるまでの露光量と、その開口パターンの像(43AP〜43DP)によってその感光材料が感光されるまでの露光量との比に基づいてその投影光学系のフレアを求める工程(ステップ109,110)を含むことができる。
この場合、投影像の光量が少ないときには感光材料が感光されるまでの露光量が多くなるため、その感光材料が感光されるまでの露光量がその投影像の光量に対応している。従って、その感光材料が感光されるまでの露光量を用いることによって、その感光材料の感度を含む形で高精度にフレアを求めることができる。
また、その開口パターン及びその遮光パターンの像をその投影光学系を介して投影する際の露光ビームの波長をλ、その投影光学系の開口数をNAとして、計測対象のフレアのその投影光学系の瞳上での振動の回数によって定まる周波数の下限値をf1、上限値をf2としたとき、一例としてその遮光パターン及びその開口パターンは投影像の直径がそれぞれ次式によって定められるd及びDの円形パターンである。
d=f1(λ/NA) …(1A)
D=f2(λ/NA) …(1B)
ここでは、計測対象のフレアの空間周波数の一つの定義として、その投影光学系の瞳上の光軸を通る直線上でのそのフレアの光量分布の振動の回数をそのフレアの周波数(空間周波数)とする。その周波数は無次元である。そして、(1A)式、(1B)式は、周波数f1,f2が1の場合にはそのフレアはその投影光学系の像面でほぼ解像度に相当するλ/NAを直径とする領域内に集光され、その周波数f1,f2がf(>1)である場合には、そのフレアはその像面で開口数が(NA/f)での解像度に相当するf(λ/NA)を直径とする領域内に集光されることを意味する。これによって、計測対象のフレアの空間周波数の上限及び下限を定量的に規定することができる。
また、その開口パターン及びその遮光パターンが円形(望ましくは同心の円形)であるときには、そのフレアに方向性がある場合でも、方向に関して平均化したフレアを計測することができる。
この場合、一例として、その遮光パターンは投影像の直径が1〜3μmの円形パターンであり、その開口パターンは投影像の直径が100〜300μmの円形パターンである。このとき、露光ビームの波長λを193nm(ArFエキシマレーザ)、開口数NAを0.85とすると、(1A)式、(1B)式より計測対象のフレアの周波数の下限f1及び上限f2は次のようになる。この程度の範囲内のフレアが計測できれば、実用上は十分と考えられる。
4≦f1≦13 …(2A)
400≦f2≦1300 …(2B)
さらに、本発明において、その第1工程は、その第1面上に配置された複数の大きさの異なる開口パターン(43A〜43C)及びこれらの開口パターンの内部にそれぞれ配置された実質的に同じ形状の遮光パターン(44A〜44C)の像をその投影光学系を介してその第2面上に投影する工程を含むことができる。これによって、空間周波数帯域の異なる複数の成分のフレアの計測を行うことができる。
また、本発明による露光方法は、第1物体(R)のパターンを投影光学系(PL)を介して第2物体(W)上に投影露光する露光方法において、本発明のフレア計測方法を用いてその投影光学系のフレアを計測する計測工程(ステップ101〜110)と、その計測工程での計測結果に基づいてその投影光学系のフレアを補正する補正工程(ステップ111)とを有するものである。
この露光方法によれば、本発明のフレア計測方法を用いることにより、その投影光学系のフレアを成分別に正確に計測できる。従って、その補正工程において、例えばその投影光学系中のレンズ等の光学部材の再加工を行うか、又はその光学部材を交換することによって、その投影光学系のフレアを効率的に低減することができる。従って、高い線幅均一性が得られる。
次に、本発明によるマスクは、投影光学系のフレア計測用のマスク(TR)であって、マスク用の基板上に、開口パターン(43A〜43D)とこの開口パターンの内部に配置された遮光パターン(44A〜44D)とが形成されたものである。このマスクを用いることによって、本発明のフレア計測方法を使用できる。
この場合、一例として、計測対象の投影光学系の投影倍率をβとして、そのマスク用の基板上に、直径が100〜300μmの(1/β)倍で互いに異なる円形の複数の開口パターンと、これら複数の開口パターンの内部にそれぞれ配置された直径が1〜3μmの(1/β)倍の遮光パターンとが形成される。このとき、上述のように露光ビームとしてArFエキシマレーザを用い、投影光学系の開口数を0.85とすると、周波数(空間周波数)の下限が4〜13程度で周波数の上限が400〜1300程度の実用的な範囲のフレアを計測できる。
本発明によれば、開口パターン及びその中の遮光パターンの像を投影光学系を介して投影することによって、その開口パターンで定まる成分とその遮光パターンで定まる成分との間の成分(所定の成分)のフレアを計測することができる。
また、その開口パターン及び遮光パターンが円形パターンである場合には、投影光学系のフレアに方向性があっても、その平均的なフレアを計測することができる。
また、本発明の露光方法によれば、フレアの計測結果に基づいて投影光学系のフレアを補正することによって、転写パターンの線幅均一性を高めることができる。さらに、例えば線幅均一性が悪化したような場合に、本発明の計測工程を実施することで、その原因がその投影光学系のフレアであるか否かを正確に判別できるようになる。さらに、フレアの経時変化も正確に計測できるようになる。従って、露光工程で発生するトラブルヘの適切な対応が可能になる。
以下、本発明の好ましい実施の形態の一例につき図面を参照して説明する。本例は、スキャニングステッパー方式よりなる走査露光型の投影露光装置に装着される投影光学系のフレアを計測するために、本発明を適用したものである。投影光学系のフレアは、例えば投影光学系の組立調整時に、照明光学系と、マスク及びウエハを保持する簡単なステージ機構とを備える検査装置を用いても計測することができる。以下では、実際の投影露光装置を検査装置として使用するものとして説明する。このような実際の投影露光装置を用いるフレアの計測は、例えば露光工程において線幅均一性が低下したような場合に、その要因を解析するために行うことができる。
図1は、フレアが計測される投影光学系PLが装着された投影露光装置の概略構成を示し、この図1において、露光光源6としてはArFエキシマレーザ光源(波長193nm)が使用されている。なお、露光光源としては、KrFエキシマレーザ光源(波長247nm)、F2 レーザ光源(波長157nm)、Kr2 レーザ光源(波長146nm)、Ar2 レーザ光源(波長126nm)などの紫外パルスレーザ光源、YAGレーザの高調波発生光源、固体レーザ(半導体レーザなど)の高調波発生装置、又は水銀ランプ(i線等)なども使用することができる。
露光時に露光光源6からパルス発光された露光ビームとしての露光光(露光用の照明光)ILは、ミラー7、不図示のビーム整形光学系、第1レンズ8A、ミラー9、及び第2レンズ8Bを経て断面形状が所定形状に整形されて、オプティカル・インテグレータ(ユニフォマイザ又はホモジナイザ)としてのフライアイレンズ10に入射して、照度分布が均一化される。フライアイレンズ10の射出面(照明光学系の瞳面)には、露光光の光量分布を円形、複数の偏心領域、輪帯状などに設定して照明条件を決定するための開口絞り(σ絞り)13A,13B,13C,13Dを有する照明系開口絞り部材11が、駆動モータ12によって回転自在に配置されている。照明系開口絞り部材11中の開口絞りを通過した露光光ILは、反射率の小さいビームスプリッタ14及びリレーレンズ17Aを経て、固定視野絞りとしての固定ブラインド18A及び可動視野絞りとしての可動ブラインド18Bを順次通過する。この場合、可動ブラインド18Bは、マスクとしてのレチクルRのパターン面(レチクル面)とほぼ共役な面に配置され、固定ブラインド18Aは、そのレチクル面と共役な面から僅かにデフォーカスされた面に配置されている。
固定ブラインド18Aは、レチクル面の照明領域21RをレチクルRの走査方向に直交する非走査方向に細長いスリット状の領域に規定するために使用される。可動ブラインド18Bは、レチクルRの走査方向及び非走査方向に対応する方向にそれぞれ相対移動自在な2対のブレードを備え、露光対象の各ショット領域への走査露光の開始時及び終了時に不要な部分への露光が行われないように、照明領域を走査方向に閉じるために使用される。可動ブラインド18Bは、更に照明領域の非走査方向の中心及び幅を規定するためにも使用される。ブラインド18A,18Bを通過した露光光ILは、サブコンデンサレンズ17B、光路折り曲げ用のミラー19、及びメインコンデンサレンズ20を経て、マスクとしてのレチクルRのパターン領域の照明領域21Rを均一な照度分布で照明する。
一方、ビームスプリッタ14で反射された露光光は、集光レンズ15を介して光電センサよりなるインテグレータセンサ16に受光される。インテグレータセンサ16の検出信号は露光量制御系3に供給され、露光量制御系3は、その検出信号と予め計測されているビームスプリッタ14から基板(感光基板)としてのウエハWまでの光学系の透過率とを用いてウエハW上での露光エネルギーを間接的に算出する。露光量制御系3は、その算出結果の積算値及び装置全体の動作を統轄制御する主制御系1からの制御情報に基づいて、ウエハW上で適正露光量が得られるように露光光源6の発光動作を制御する。露光光源6、ミラー7,9、レンズ8A,8B、フライアイレンズ10、照明系開口絞り部材11、ビームスプリッタ14、リレーレンズ17A、ブラインド18A,18B、サブコンデンサレンズ17B、ミラー19、及びメインコンデンサレンズ20を含んで照明光学系5が構成されている。
露光光ILのもとで、レチクルRの照明領域21R内のパターンは、両側テレセントリックで開口数NAが0.85程度の投影光学系PLを介して投影倍率β(βは例えば1/4,1/5等の縮小倍率)で、フォトレジストが塗布されたウエハW上の一つのショット領域SA上の非走査方向に細長いスリット状の露光領域21Wに投影される。投影光学系PLは例えば屈折系であるが、反射屈折系等も使用できる。ウエハWは、例えば半導体(シリコン等)又はSOI(silicon on insulator)等の直径が200〜300mm程度の円板状の基板である。レチクルRのパターン面(レチクル面)及びウエハWの表面(ウエハ面)がそれぞれ投影光学系の第1面(物体面)及び第2面(像面)に対応している。また、レチクルR及びウエハWをそれぞれ第1物体及び第2物体(感応物体)とみなすこともできる。以下、図1において、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で走査露光時のレチクルR及びウエハWの走査方向に直交する非走査方向に沿ってX軸を取り、その走査方向に沿ってY軸を取って説明する。
先ず、レチクルRはレチクルステージ22上に吸着保持され、レチクルステージ22はレチクルベース23上でY方向に一定速度で移動すると共に、同期誤差を補正するようにX方向、Y方向、回転方向に微動して、レチクルRの走査を行う。レチクルステージ22の位置は、この上に設けられた移動鏡(不図示)及びレーザ干渉計(不図示)によって計測され、この計測値及び主制御系1からの制御情報に基づいて、ステージ駆動系2は不図示の駆動機構(リニアモータなど)を介してレチクルステージ22の位置及び速度を制御する。本例では前述したレチクルステージ22、ステージ駆動系2、駆動機構、及びレーザ干渉計によってレチクルステージ系が構成されている。また、レチクルRの周辺部の上方には、レチクルアライメント用のレチクルアライメント顕微鏡(不図示)が配置されている。さらに、レチクルステージ22の近傍には、不図示であるがレチクルステージ22上のレチクルを交換するレチクルローダ、及び複数のレチクルが収納されたレチクルライブラリが設置され、そのレチクルライブラリ中に投影光学系PLのフレア計測用のパターンが形成されたマスクとしてのテストレチクル(詳細後述)も収納されている。
一方、ウエハWは、ウエハホルダ24を介してウエハステージ28上に吸着保持され、ウエハステージ28はウエハベース27上でY方向に一定速度で移動すると共に、X方向、Y方向にステップ移動するXYステージ26と、Zチルトステージ25とを備えている。Zチルトステージ25は、不図示のオートフォーカスセンサによるウエハWのZ方向の位置の計測値に基づいて、ウエハWのフォーカシング及びレベリングを行う。ウエハステージ28のXY平面内での位置、及びX軸、Y軸、Z軸の回りの回転角はレーザ干渉計(不図示)によって計測され、この計測値及び主制御系1からの制御情報に基づいて、ステージ駆動系2は不図示の駆動機構(リニアモータなど)を介してウエハステージ28の動作を制御する。本例では前述したウエハホルダ24、ウエハステージ28、ステージ駆動系2、駆動機構、及びレーザ干渉計によってウエハステージ系が構成されている。
更に、ウエハステージ28上のウエハWの近傍には、露光領域21Wよりも大きい受光面30Bを有する照射量モニタと、ピンホール状の受光面30Aを有する照度センサとを含む光量センサ部29が固定され、光量センサ部29の2つの検出信号は露光量制御系3に供給されている。また、ウエハステージ28の上方には、ウエハアライメント用のオフ・アクシス方式のアライメントセンサ32が配置されており、この検出結果に基づいて主制御系1はウエハWのアライメントを行う。
露光時には、レチクルステージ22及びウエハステージ28を駆動して、露光光ILを照射した状態でレチクルRとウエハW上の一つのショット領域とをY方向に同期走査する動作と、ウエハステージ28を駆動してウエハWをX方向、Y方向にステップ移動する動作とが繰り返される。これによって、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の各ショット領域にレチクルRのパターン像が露光される。
次に、本例の投影光学系PLのフレアを計測するための動作の一例につき説明する。投影光学系のフレアには、前述のように、光学部材の表面やコーティング膜で小さい角度範囲に発生する前方散乱光に起因するいわゆるローカルフレアと、光学部材表面のコーティングでの反射に起因するいわゆるロングレンジフレアとがあり、以下ではローカルフレアを計測対象とする。なお、例えば後述のテストレチクルのパターンの変更等によって、ロングレンジフレアも同様に計測することができる。
先ず、本例のフレア計測用のマスクとしてのテストレチクルTRのパターンにつき説明する。図2は、テストレチクルTRを図1のレチクルステージ22上にロードした状態を示し、この図2において、X方向及びY方向はそれぞれ図1のX方向(非走査方向)及びY方向(走査方向)に対応している。テストレチクルTRは図1の露光光ILを透過する合成石英又は蛍石(CaF2)等からなる基板のパターン面に、露光光ILに対する透過率の低いクロム等の金属膜よりなる遮光膜を背景として所定パターンを形成したものである。
図2のテストレチクルTRのパターン面において、パターンが形成される領域を非走査方向であるX方向に挟むようにY方向の3箇所に1番目の1対のアライメントマーク37A,37D、2番目の1対のアライメントマーク37B,37E、及び3番目の1対のアライメントマーク37C,37Fが形成されている。4隅に位置するアライメントマーク37A,37C,37D,37Fは、それぞれ例えば十字型のマーク38をX方向に2行でY方向に3列配置したものであり、中央のアライメントマーク37B,37Eはそれぞれそのマーク38をX方向に2個配置したものである。なお、アライメントマーク37A〜37F中のマーク38の個数は1個以上であればよく、さらにアライメントマーク37A〜37Fの個数は2個以上であればよい。
また、テストレチクルTRのパターンが形成される領域には走査方向であるY方向に沿って2箇所に、それぞれ走査露光時の最大の照明領域と実質的に同じ大きさの第1のパターン形成領域35及び第2のパターン形成領域36が設定されている。そして、第1のパターン形成領域35内の−X方向の端部のY方向に等間隔で配置された3箇所、その中央部のY方向に等間隔で配置された3箇所、及びその+X方向の端部のY方向に等間隔で配置された3箇所にそれぞれ互いに同一形状のフレア計測用パターン39A,39B,39C,39D,39E,39F,39G,39H,39Iが形成されている。この第1のパターン形成領域35においては、フレア計測用パターン39A〜39I以外の領域は、露光光を透過させないダーク領域(遮光領域)である。
図3は、図2中のフレア計測用パターン39Aのパターン構成を示す拡大図であり、この図3のフレア計測用パターン39Aにおいて、遮光膜42を背景としてX方向に沿ってそれぞれ直径D1,D2,D3の円形の開口パターン43A,43B,43Cが形成され、これらの開口パターン43A,43B,43Cの中央部にそれぞれ直径が共通にd1の円形の遮光パターン44A,44B,44Cが同心に形成されている。また、フレア計測用パターン39Aの−X方向の端部近傍には、直径D4の開口パターン43Dが形成され、この開口パターン43Dの中央部に直径d2の遮光パターン44Dが同心に形成されている。
ここで、図1のフレア計測対象の投影光学系PLのレチクルからウエハへの投影倍率βは、例えば1/4又は1/5等の縮小倍率であるため、その逆数(1/β)は例えば4又は5等の1より大きい値を取る。その逆数(1/β)を用いて一例として、直径d1,d2,D1〜D4は次のように設定される。
d1=2.3×(1/β)(μm),d2=0.9×(1/β)(μm),D1=23×(1/β)(μm),D2=70×(1/β)(μm),D3=230×(1/β)(μm)、D4=70×(1/β)(μm) …(3)
これは、図3のフレア計測用パターン39Aを図1の投影光学系PLを介して投影した場合には、直径D1,D2,D3,D4の開口パターン43A,43B,43C,4Dの円形の投影像の直径はそれぞれ23μm、70μm、230μm、70μmとなり、直径d1,d2の遮光パターン44A〜44C,44Dの円形の投影像の直径はそれぞれ2.3μm及び0.9μmとなることを意味している。ここで、これらの直径d1,d2,D1〜D4と計測されるフレアとの関係について、図1の投影光学系PLを簡略化して示す図4を参照して説明する。
図4において、開口数NAの投影光学系PLの物体面46(第1面)に図3のフレア計測用パターン39Aが配置され、投影光学系PLの像面47(第2面)に例えば感光材料の塗布されたウエハの露光面が配置される。また、理想的な状態では物体面46上の1点46aからの波長λの露光光ILが、投影光学系PL内の開口絞りASで規定される瞳(物体面に対する光学的なフーリエ変換面上の光束が通過する領域)を通過して像面47上の1点47aを中心とする領域に集光されるものとする。即ち、点46aと点47aとは投影光学系PLに関して光学的に共役である。
この場合、投影光学系PLの解像度はほぼλ/NAであるため、像面47上の点47a上の像の強度分布は直径がほぼλ/NA程度の円形領域で高くなっている。同様に、投影光学系PL内で或る方向に発生するフレアも像面47上でほぼλ/NAを単位とする直径の円形領域に集光される。その円形領域の直径は、投影光学系PLの開口絞りASによって規定される瞳内での空間周波数にほぼ比例する。本例では、投影光学系PLの瞳上の光軸AXを通る直線上での計測対象のフレアの光量分布の振動の回数をそのフレアの空間周波数と定義して、その空間周波数を単に周波数(ここでは無次元)と呼ぶ。
図4において、投影光学系PL内で像面47上の点47aに向かうような角度で発生する全部のフレアを、瞳上での周波数成分に分解して考える。このとき、光量分布48(振動回数が1回)で示すように周波数が1のフレアは、点47a上で直径φ1がほぼλ/NAの円形領域に集光され、光量分布49(振動回数が4回)で示すように周波数が4のフレアは、点47a上で直径φ2がほぼ4×λ/NAの円形領域に集光される。即ち、周波数がfのフレアに対しては投影光学系PLは開口数が実質的にNA/fの光学系として作用するため、そのフレアは像面上でほぼ直径φが次式で定められる円形領域に集光される。
φ=λ/(NA/f)=f(λ/NA) …(4)
そこで、図3のフレア計測用パターン39A中の開口パターン43A〜43Dのうちの任意の一つの開口パターン(以下、「特定開口パターン」と言う。)の投影像の直径をDとして、その特定開口パターン内の遮光パターン(遮光パターン44A〜44Dのいずれか)の投影像の直径をdとする。このとき、その特定開口パターンとこの中の遮光パターンとの組み合わせからなるパターンの投影像には、周波数fの下限値f1及び上限値f2が次式で定められるフレアが混入できることになる。
f1=d(NA/λ) …(5A)
f2=D(NA/λ) …(5B)
f1≦f≦f2 …(5C)
この(5A)式、(5B)式はそれぞれ(1A)式、(1B)式を周波数f1,f2について解いた式に対応している。このように特定開口パターン及びその中の遮光パターンが同心の円形である場合には、周波数fが(5C)の範囲を満たすフレアを方向に関して平均化したフレアを計測することができる。
本例では露光ビームの波長λは193nm(ArFエキシマレーザ)、開口数NAは0.85であり、上述のように図3の開口パターン43A,43B,43C,43Dの投影像の直径Dはそれぞれ23μm、70μm、230μm、70μmであり、遮光パターン44A,44B,44C及び遮光パターン44Dの直径dはそれぞれ2.3μm及び0.9μmであるため、これらの開口パターン及び遮光パターンの投影像を用いて計測されるフレアの周波数の範囲は、(5A)式〜(5C)式から次の表1のようになる。なお、表1の周波数は小数点以下を四捨五入してある。
Figure 2006080245
この表1において、遮光パターンの投影像の直径dが2.3μmのときのフレアの周波数は10であるが、これ以下の周波数のフレアの影響は殆ど無いと考えられるために設定された周波数である。また、開口パターンの投影像の直径Dが70のときのフレアの周波数である308は、フレアがほぼ飽和すると予想されている周波数である。さらに本例では、遮光パターンの投影像の直径dが0.9μm(周波数fが4)の場合についても計測を行うこととしている。
ArFエキシマレーザ光のもとで使用される投影光学系PLのフレア計測を行う場合には、遮光パターンは投影像の直径dが1〜3μmの円形パターンであり、開口パターンは投影像の直径Dが100〜300μmの円形パターンであれば実用上必要な周波数域のフレアの計測を行うことができる。この場合のフレアの周波数fの下限値f1及び上限値f2の範囲は上述の(2A)式及び(2B)式となる。
図3に戻り、表1から分かるように、フレア計測用パターン39A内の開口パターン43Aと遮光パターン44Aとの組み合わせによって周波数fが10から101(ほぼ100)の範囲のフレアを計測でき、開口パターン43Bと遮光パターン44Bとの組み合わせによって周波数fが10から308(ほぼ300)のフレアを計測でき、開口パターン43Cと遮光パターン44Cとの組み合わせによって周波数fが10から1012(ほぼ1k)の範囲のフレアを計測でき、開口パターン43Dと遮光パターン44Dとの組み合わせによって周波数fが4から308(ほぼ300)のフレアを計測できる。このように周波数帯域が設定されたフレアを所定の成分別のフレアとみなすことができる。
また、図2の第1のパターン形成領域35内の他のフレア計測用パターン39B〜39Iの構成もフレア計測用パターン39Aと同じであるため、パターン形成領域35の中心を図1の投影光学系PLの光軸AXに合わせることによって、投影光学系PLの視野内の9箇所においてそれぞれ上記の周波数帯域のフレアを計測することができる。
次に、図2の第2のパターン形成領域36について説明する。第2のパターン形成領域36内の−X方向の端部のY方向に等間隔で配置された3箇所、その中央部のY方向に等間隔で配置された3箇所、及びその+X方向の端部のY方向に等間隔で配置された3箇所にそれぞれ互いに同一形状の従来型のフレア計測用パターン40A,40B,40C,40D,40E,40F,40G,40H,40Iが形成されている。また、パターン形成領域36の−Y方向及び+Y方向の端部の6箇所のフレア計測用パターン40A,40C,40D,40F,40G,40IのY方向の端部にほぼ接するように、それぞれ第1のパターン形成領域35内のフレア計測用パターン39Aと同じ形状のフレア計測用パターン39A,39C,39D,39F,39G,39Iが形成されている。さらに、パターン形成領域36のY方向の中央部の3箇所のフレア計測用パターン40B,40E及び40HをそれぞれY方向に挟むように、第1のパターン形成領域35内のフレア計測用パターン39Aと同じ形状の1対のフレア計測用パターン39B,39J、39E,39K、及び39H,39Lが形成されている。
この第2のパターン形成領域36においては、フレア計測用パターン39A〜39L及び40A〜40I以外の領域は、露光光を透過させないダーク領域(遮光領域)である。ただし、そのテストレチクルTRにおいて、その第2のパターン形成領域36において、フレア計測用パターン39A〜39L及び40A〜40I以外の領域を、露光光を透過するブライト領域(光透過領域)としたものと同じ第3のパターン形成領域(不図示)を形成しておき、このブライト領域を持つパターン形成領域内のフレア計測用パターンの像を用いてフレア計測を行ってもよい。
図9は、従来型のフレア計測用パターン40Aの構成を示す拡大図であり、この図9において、フレア計測用パターン40A内には光透過部を背景として次第に小さくなる10個の正方形の遮光パターン45A,45B,45C,…,45H,45I,45Jが形成されている。一例として、遮光パターン45A,45B,45C,…の1辺の長さは、それぞれ70μm、50μm、20μm、10μm、7μm、5μm、2μm、1μm、0.7μm、0.5μmに投影倍率の逆数(1/β)を乗じた値である。他のフレア計測用パターン40B〜40Iのパターン構成もフレア計測用パターン40Aと同じである。フレア計測用パターン40A〜40Iを用いた場合には、一例として遮光パターン45A〜45Jの周囲の透過部の投影像によって感光材料が感光されるときの露光量と、遮光パターン45A〜45Jの投影像(フレア光を含む)によって感光材料が感光されるときの露光量との比の値からフレアの量を計測することができる。
さらに本例では、遮光パターン45A〜45Jに近接してフレア計測用パターン39A〜39Lが形成されているため、その遮光パターン45A〜45Jを用いるフレア計測とともにフレア計測用パターン39A〜39Lを用いたフレア計測を行うことができる。従って、従来型のフレア計測の結果と本発明に基づいたフレア計測の結果との対応付けを行うことも可能となる。
次に、図2の第1のパターン形成領域35内のフレア計測用パターン39A〜39Iを用いて、図1の投影光学系PLのフレアを計測する場合の動作の一例につき、図8のフローチャートを参照して説明する。
最初に図8のステップ101において、図1の投影露光装置のレチクルステージ22上に図2のテストレチクルTRをロードし、レチクルステージ22を駆動することによって、露光光ILの照明領域21R中にテストレチクルTRの第1のパターン形成領域35を移動させる。この際に不図示のレチクルアライメント顕微鏡によって例えば2箇所のアライメントマーク37B,37Eの位置が計測され、この計測結果に基づいてテストレチクルTRの位置決めが行われる。この結果、パターン形成領域35の中心(フレア計測用パターン39Eの中心)がほぼ投影光学系PLの光軸AXに合致する。さらに、可動ブラインド18Bの非走査方向の幅はパターン形成領域35の非走査方向の幅に合わせて設定され、可動ブラインド18Bの走査方向の幅は固定ブラインド18Aよりも広く設定される。
次のステップ102において、図1のウエハステージ28上にウエハホルダ24を介してフォトレジストの塗布された未露光のウエハWをロードする。説明の便宜上、そのフォトレジストはポジ型とするが、ネガ型のフォトレジストも同様に使用できる。そして、ウエハステージ28を駆動することによって、ウエハW上の1番目のショット領域を投影光学系PLの露光領域21Wに移動する。フレア計測時には、テストレチクルTRとウエハWとはそれぞれ静止した状態で露光が行われる。
次のステップ103で図1の主制御系1は、露光量制御系3に対して目標露光量Eを所定の最小値に設定する。この最小値はウエハW上のフォトレジストの感度(適正露光量)よりも小さい値(例えば感度の1/2程度)に設定される。次のステップ104で主制御系1は、露光量制御系3に対してその目標露光量Eだけ露光光ILを照射するように制御コマンドを発する。これによって、テストレチクルTRのパターン形成領域35内のフレア計測用パターン39A〜39Iの投影光学系PLによる像が、ウエハW上にその目標露光量Eで露光される。次に主制御系1は、目標露光量Eがフォトレジストの感度よりも大きい所定の最大値を超えたかどうかを判定する。この段階では、目標露光量Eはまだ低い値であるため、動作はステップ106に移行して、主制御系1は、目標露光量Eに露光量の増加分であるΔEを加算する。増加分ΔEは、例えばフォトレジストの感度の数10分の1程度に設定される。その後、主制御系1は、ステージ駆動系2を介してウエハステージ28をステップ移動させて、ウエハW上の次の未露光のショット領域を投影光学系PLの露光領域21Wに移動する(ステップ107)。
その後、動作はステップ104に戻り、ステップ106で設定された目標露光量Eに基づいて、テストレチクルTRのパターン形成領域35内のフレア計測用パターン39A〜39Iの像がウエハW上に露光される。そして、目標露光量Eが最大値を超えるまで、ステップ105,106,107,104が繰り返されて、ウエハW上の一連の複数のショット領域にテストレチクルTRのパターン形成領域35のパターンの像が露光される。
図5はウエハWのショット配列の一例を示し、この図5において、ウエハW上のフォトレジストの塗布された露光面はX方向、Y方向に所定ピッチで多数のショット領域50A,50B,50C,50D,…に区分され、これらのショット領域50A,50B,50C,…に順次次第に大きくなる目標露光量Eで、図2のテストレチクルTRのパターン形成領域35のパターンの像35Pが露光される。その像35Pは図2のフレア計測用パターン39A〜39Iの像から構成されている。次にステップ105において、目標露光量Eが上記の最大値を超えた時点で動作はステップ108に移行して、ウエハステージ28からのウエハWの搬出、不図示の現像装置によるウエハWのフォトレジストの現像、及び例えば座標計測装置と顕微鏡とを含むレジストパターン計測装置によるウエハW上の各ショット領域50A,50B,50C,…内のフレア計測用パターン39A〜39Iの像に対応するレジストパターンの形状(凹凸分布)の計測が行われる。なお、そのレジストパターンの形状の計測は、図1のアライメントセンサ32を用いて行うことも可能である。
本例のフォトレジストはポジ型であるため、ウエハW上の各ショット領域50A,50B,50C,…内のフレア計測用パターン39A〜39Iの像中で露光量がフォトレジストの感度を超えた(感光材料が感光された)部分のみが凹部となる。このレジストパターンの凹凸分布の計測結果は、例えば図1の主制御系1に供給される。そのレジストパターンの形状(凹凸分布)の計測は、図2のパターン形成領域35内の9箇所のフレア計測用パターン39A〜39Iの投影像に対応してそれぞれ行われる。以下では、そのうちのフレア計測用パターン39Aの投影像に対応する部分のレジストパターンの形状の計測結果を処理する場合につき説明する。これは、他のフレア計測用パターン39B〜39Iの投影像に対応する部分についても同様に行われる。また、以下のレジストパターンの形状の計測結果の処理は、主制御系1内の演算部のソフトウェアによって実行される。
即ち、それに続くステップ109において、主制御系1内の演算部において、図3のフレア計測用パターン39A内の4個の開口パターン43A〜43Dの像の部分であって、かつその中の遮光パターン44A〜44Dの像の周囲の部分でフォトレジストが感光されるとき(遮光パターン44A〜44Dの像が形成されないとき)の露光量Ethと、各遮光パターン44A〜44Dの像の部分でフォトレジストが感光されるときの露光量Edとが求められる。
図6(A),図6(B),図6(C),図6(D)は、それぞれ目標露光量Eが次第に大きくなるときのフレア計測用パターン39Aの像39APによるレジストパターンの変化の一例を示している。目標露光量Eが少ない状態では図6(A)に示すように、その像39AP中の開口パターン43A〜43Dの像43AP〜43DPはフォトレジストを感光させない(凹のレジストパターンは形成されない)。その状態に対して目標露光量Eが大きくなると、図6(B)に示すように、像39AP中の開口パターン43A〜43Dの像43AP〜43DPの部分(かつ遮光パターン44A〜44Dの像44AP〜44DPの周囲の部分)が凹のレジストパターンとなる。このときの目標露光量Eが開口パターン43A〜43Dの像の露光量Ethとなる。露光量Ethは、開口パターン43A〜43D毎に僅かに異なる場合もある。なお、遮光パターン44A〜44Dの像44AP〜44DPの部分には開口パターン43A〜43Dで発生するフレアが照射されているとともに、フレアの発生量は遮光パターン44C及び44Dの像44CP,44DPで最も大きく、遮光パターン44B及び44Aの像44BP,44APの順に小さくなる。
そのため、次第に目標露光量Eが大きくなると、図6(C)に示すように、遮光パターン44C,44Dの像44CP,44DPの部分が感光されて凹のレジストパターンとなる。そのときの目標露光量Eが遮光パターン44C,44Dの像の露光量Edとなる。露光量Edは遮光パターン44C,44D毎に異なる値になる。さらに目標露光量Eが大きくなると、図6(D)に示すように、遮光パターン44B及び44Aの像44BP,44APの部分が順次感光されて凹のレジストパターンとなる。そのときの目標露光量Eが順次遮光パターン44B,44Aの像の露光量Edとなる。
次のステップ110において、図3のフレア計測用パターン39A内の開口パターン43A〜43Dのそれぞれについて上記の露光量Eth及びEdを用いて次式からフレアFが計算される。本例では、フレアFは、開口パターン43A〜43D内の遮光パターン44A〜44Dの像でフォトレジストが感光されるときの露光量Edに反比例している。
F=(Eth/Ed)×100(%) …(6)
図7は、露光量Edの計測結果の一例及びそれに対応するフレアFを示し、この図7において、横軸は図3の開口パターン43A,43B,43Cの直径D1,D2,D3の投影像での値(直径)Dを示し、縦軸は直径Dの開口パターンで計測される露光量Ed及びフレアFを示している。図7において、計測値A1,A2,A3がそれぞれ直径D1,D2,D3の開口パターンでの露光量Edであり、計測値A1,A2,A3を通る曲線51が全部の直径Dに対する露光量Edの予測値を示している。また、計算値B1,B2,B3はそれぞれ直径D1,D2,D3の開口パターンに関して(6)式に基づいて計算されるフレアFであり、計算値B1,B2,B3を通る曲線52は、全部の直径Dに対するフレアの予測値を示している。この場合、表1より、直径D1,D2,D3におけるフレアFの値は、それぞれ周波数帯域が10〜101、10〜308、及び10〜1012のフレアともみなすことができる。周波数帯域が広くなるほどフレアFは多くなり、周波数帯域の上限が308〜1012の範囲でフレアFはほぼ飽和していることが分かる。このように図3のフレア計測用パターン39Aを用いることによって、異なる周波数帯域のフレアの量を計測することができる。
なお、図8において、ステップ101〜105及びステップ106、107を第1工程とみなし、ステップ108〜110を第2工程とみなすことも可能である。それに続くステップ111において、例えば計測されたフレアFの量が大きい場合には、投影光学系PLのフレアの補正が行われる。この場合、ステップ101〜110をフレアの計測工程とみなし、ステップ111をフレアの補正工程とみなすこともできる。
この補正工程では、その計測工程でのフレアの計測結果を用いて投影光学系PLのフレア(特にローカルフレア)を補正する。具体的に、投影光学系PLを構成する所定の光学部材(レンズ等)を交換する等によって、投影光学系PLのフレアを低減させる。この際に本例では周波数帯域別のフレアが計測されているため、例えば予め投影光学系PL中の光学部材とフレアの周波数帯域との関係を求めておくことによって、計測される周波数帯域別のフレアからそのフレアの要因となる光学部材を特定できる場合がある。さらに、その計測されたフレアに基づいて、最終的に得られるデバイスのパターンの線幅が目標値になるように、露光対象のレチクルのパターン(実パターン)の線幅を補正してもよい。
また、例えばその第1工程を投影光学系PLの組立調整中に実行する場合には、投影光学系PL中の所定の光学部材の再加工等を行うようにしてもよい。
その後、フレアの補正された投影光学系PLを用いて露光工程を実行することによって、最終的に得られる半導体集積回路等のデバイスの線幅均一性を高めることができ、そのデバイスの歩留まりを向上できる。また、例えば露光工程において、線幅均一性が悪化したような場合に、その計測工程を実施することで、その原因がその投影光学系のフレアであるか否かを正確に判別できるようになる。さらに、投影光学系PLのフレアの経時変化も正確に計測できるようになる。従って、露光工程で発生するトラブルヘの適切な対応が可能になる。
また、上記の実施形態では、現像後のレジストパターンの形状(凹凸分布)を計測しているが、例えばウエハ上に塗布されたレジスト像(潜像)の段階でその露光量分布を計測するようにしてもよい。さらに、フォトレジストの代わりに熱感光性樹脂等を用いて、現像を行うことなく潜像から露光量分布を計測し、この計測結果に基づいて(6)式からフレアを求めてもよい。
さらに、図2のテストレチクルTRのパターン形成領域35のフレア計測用パターン39A〜39Iの像を図1の投影光学系PLを介してウエハステージ28上に投影した状態で、ウエハステージ28をX方向及びY方向に移動させて、光量センサ部29のピンホール状の受光面30Aでそれらの像を走査して光量を検出してもよい。これによって、図3の開口パターン43A〜43Dの像の部分の光量Lthと遮光パターン44A〜44Dの像の部分の光量Ldとを直接計測することができる。この場合、光量Lth及びLdと(6)式の露光量Eth及びEdとはほぼ逆比例の関係にあるため、次式からフレアを求めることができる。
F=(Ld/Lth)×100(%) …(7)
これによって、感光材料の塗布及び現像工程を実行することなく、極めて短時間に投影光学系PLのフレアを計測することができる。
また、上記の実施形態では、図3に示すように開口パターン43A〜43D及び遮光パターン44A〜44Dは円形パターンであるが、例えば投影光学系PLのX方向及びY方向のフレアを計測するような場合には、開口パターン43A〜43D及び遮光パターン44A〜44DをX軸及びY軸に平行な辺を持つ矩形のパターンとすることも可能である。また、複数の開口パターン43A〜43D及び遮光パターン44A〜44Dの代わりに、1つの開口パターンとこの中の遮光パターンとの組み合わせのみを使用するようにしてもよい。
なお、上記の実施形態において、フレア計測時にウエハW(基板)上にフォトレジスト(感光材料)を塗布する際には、そのフォトレジストの下面に反射防止膜としての底部反射防止コーティング(BARC:bottom anti-reflection coating)を塗布しておいてもよい。その底部反射防止コーティングを塗布しておくと、フォトレジストの膜厚のフレアの計測値への影響が極めて小さくなることが本発明者によって確かめられた。従って、フォトレジストの下面に底部反射防止コーティングを施しておくことによって、複数回のフレア計測時にフォトレジストの膜厚が異なるような場合でも、フレアの計測結果の安定性が向上する。そして、投影光学系のフレアを長期間に渡ってモニタするような場合にも、底部反射防止コーティングを施しておくことによって、安定かつ高精度にそのフレアの長期的な変動傾向をモニタすることができる。
次に、本発明の他の実施の形態につき図10〜図13を参照して説明する。本例は、投影光学系のローカルフレアとロングレンジフレアとを分離して計測する場合に本発明を適用したものである。本例においても、図1の走査露光型の投影露光装置に装着された状態の投影光学系PLのフレアを計測するものとする。以下、図10〜図12において、図2、図3、図9に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
図10は、本例のテストレチクルTRAを示し、この図10において、テストレチクルTRAのパターンが形成される領域にはY方向(走査方向)に沿って2箇所に、それぞれ走査露光時の最大の照明領域と実質的に同じ大きさの第1のパターン形成領域35A及び第2のパターン形成領域36Aが設定されている。第1のパターン形成領域35A内の−X方向の端部のY方向に等間隔で配置された3箇所、その中央部のY方向に等間隔で配置された3箇所、及びその+X方向の端部のY方向に等間隔で配置された3箇所にそれぞれ図9のフレア計測用パターン40Aと同一形状のフレア計測用パターン40A,40B,40C,40D,40E,40F,40G,40H,40Iが形成されている。また、パターン形成領域35Aの−Y方向及び+Y方向の端部の6箇所のフレア計測用パターン40A,40C,40D,40F,40G,40IのY方向の端部にほぼ接するように、それぞれ図3のフレア計測用パターン39Aと実質的に同一形状のフレア計測用パターン39A,39C,39D,39F,39G,39Iが形成されている。さらに、パターン形成領域35AのY方向の中央部の3箇所のフレア計測用パターン40B,40E及び40HをそれぞれY方向に挟むように、図3のフレア計測用パターン39Aと実質的に同一形状の1対のフレア計測用パターン39B,39J、39E,39K、及び39H,39Lが形成されている。
この第1のパターン形成領域35Aにおいては、フレア計測用パターン39A〜39L及び40A〜40I以外の領域は、露光光を透過するブライト領域(光透過領域)である。
また、第2のパターン形成領域36A内にも、第1のパターン形成領域35A内と同じ配置で図9のフレア計測用パターン40Aと同一形状のフレア計測用パターン40A〜40Iと、図3のフレア計測用パターン39Aと実質的に同一形状のフレア計測用パターン39A〜39Lとが形成されている。ただし、この第2のパターン形成領域36Aにおいては、フレア計測用パターン39A〜39L及び40A〜40I以外の領域は、露光光を透過させないダーク領域(遮光領域)である。
次に、本例において、図1の投影光学系PLのローカルフレアとロングレンジフレアとを分離して計測する方法の一例につき説明する。このために、図1のレチクルステージ22上に図10のテストレチクルTRAをロードして、アライメントを行う。そして、始めに図10のテストレチクルTRA中の第1のパターン形成領域35A(ブライト領域)を露光対象に選択してから、図8のステップ102〜110を実行する。そして、フレア計測用パターン39A〜39L及びフレア計測用パターン40A〜40Iのそれぞれについて、遮光パターンの像の周囲の部分のフォトレジストが感光されるときの露光量Ethと、その遮光パターンの像の部分のフォトレジストが感光されるときの露光量Edとから、(6)式よりフレアFを求める。
次に、図10のテストレチクルTRA中の第2のパターン形成領域36A(ダーク領域)を露光対象に選択してから、図8のステップ102〜110を実行する。そして、フレア計測用パターン39A〜39L及びフレア計測用パターン40A〜40Iのそれぞれについて、遮光パターンの像の周囲の部分のフォトレジストが感光されるときの露光量Ethと、その遮光パターンの像の部分のフォトレジストが感光されるときの露光量Edとから、(6)式よりフレアFを求める。本例では、その第2のパターン形成領域36A(ダーク領域)で求めたフレアFは、図2のテストレチクルTRを用いる実施形態と同様にローカルフレアとなる。
一方、その第1のパターン形成領域35A(ブライト領域)で求めたフレアFと、その第2のパターン形成領域36A(ダーク領域)で求めたフレアFとの差分がロングレンジフレアとなる。以下、これについて詳細に説明する。
図11(A)は、図10のパターン形成領域35A又は36A中のフレア計測用パターン39A(図3参照)中の一つの遮光パターンの像44EP及び開口パターンの像43EPを示す拡大図であり、像44EPは図3の遮光パターン44A〜44Dのいずれかの像を示し、像43EPはその遮光パターンに対応する開口パターン43A〜43Dのいずれかの像を示している。また、図11(B)は、図10のパターン形成領域35A又は36A中のフレア計測用パターン40A(図9参照)の3つの遮光パターン45G,45F,45Dの像45GP,45FP,45DPを示す拡大図であり、図11(C)は図11(B)の像に対応するウエハ上での光強度分布の一例を示す図である。図11(C)の横軸は像面上の光軸に垂直な方向の位置(像面上ポジション)であり、縦軸はその像面上ポジションにおける光強度である。
また、図11(C)の上側の実線の曲線63が、図10の第1のパターン形成領域35A(ブライト領域)中のフレア計測用パターンの像の光強度分布を示し、下側の実線の曲線61が、図10の第2のパターン形成領域36A(ダーク領域)中のフレア計測用パターンの像の光強度分布を示し、ほぼ一定レベルの点線の直線62は、ロングレンジフレアの光強度を示している。即ち、曲線63のレベルは曲線61のレベルに直線62(ロングレンジフレア)のレベルを加算したものである。このようなロングレンジフレアの影響を受けた光強度分布は、図11(A)の遮光パターンの像44EPについても同様に得られる。なお、実際には、遮光パターンの像45GP,45FP,45DPの間の光強度が大きい領域でも、曲線63のレベルは曲線61のレベルよりも大きくなるが、その差の影響は小さいため、説明の便宜上、遮光パターンの像45GP,45FP,45DPの間の光強度が大きい領域では、曲線63のレベルは曲線61のレベルと同じものとして表している(以下、図12でも同様)。
一般にロングレンジフレアの主要因は、投影光学系PL内のレンズ表面の残存反射による投影光学系PL内の多重反射である。従って、投影光学系PL内の多重反射によるロングレンジフレアは、露光領域(露光視野)の全体に広がるとともに、その露光領域内の平均的な光量に比例する。
これに関して、図10の第2のパターン形成領域36A(ダーク領域)中のフレア計測用パターンの像のフレア計測を行う際には、ロングレンジフレアの量が極めて少ないため、その計測結果(曲線61)は実質的にローカルフレアのみの計測結果となる。一方、図10の第1のパターン形成領域35A(ブライト領域)中のフレア計測用パターンの像のフレア計測を行う際には、その計測結果(曲線63)は、ローカルフレア(曲線61)にロングレンジフレア(直線62)をオフセットとして加えた結果となる。
従って、第2のパターン形成領域36A(ダーク領域)中のフレア計測用パターンの像のフレア計測結果からはローカルフレアを求めることができ、第1のパターン形成領域35A(ブライト領域)中のフレア計測用パターンの像のフレア計測結果と、その第2のパターン形成領域36A(ダーク領域)中のフレア計測用パターンの像のフレア計測結果との差分からロングレンジフレアを求めることができる。
図12は、図11(B)の遮光パターンの像45GP,45FP,45DPのうちの任意の一つの遮光パターンの像45Pの光強度分布の一部を示し、この図12において、実線の曲線61及び63で表される光強度(又は露光量)のレベルは、遮光パターンの像45Pのエッジ位置から中心にいくほど低くなっている。これは、ロングレンジフレア(直線62)が広い範囲でほぼ一定であるのに対して、ローカルフレア(曲線61)は遮光パターンの像45Pのエッジ位置から中心に行くほど少なくなることを意味している。
次に、本例において、ローカルフレア及びロングレンジフレアを具体的に求める方法の一例につき説明する。
図13は、遮光パターンの像の大きさとそれに対応して計測されたフレア量との関係の一例を示す図であり、図13において、横軸は図10のパターン形成領域35A又は36A中のフレア計測用パターン40A(図9参照)中の正方形の遮光パターン45A〜45Jの像の1辺の幅(以下、「パッド幅」と呼ぶ。)(μm)であり、縦軸はそのパッド幅の遮光パターンの像に関して計測されたフレアF(%)である。そして、折れ線65は、第1のパターン形成領域35A(ブライト領域)中のフレア計測用パターンの像のフレア計測結果(ローカルフレアとロングレンジフレアとの和)であり、折れ線64は、第2のパターン形成領域36A(ダーク領域)中のフレア計測用パターンの像のフレア計測結果(ローカルフレア)である。また、図13において、折れ線64及び65の折れ点以外の部分を実質的に直線とするために、横軸のパッド幅は対数表示されているとともに、その横軸において、一例として、所定の小さいパッド幅dAは2μm、所定の大きいパッド幅dCは70μmである。
図13において、パッド幅がdA以下の領域66は、収差及びフレアの混在領域で、収差の影響を受け易いため、フレア計測にはあまり適さない。また、パッド幅がdAからほぼ100μmまでの領域67は、ダーク領域では実質的にローカルフレアのみが計測できるローカルフレア領域(ブライト領域ではロングレンジフレアも含めて計測される領域)であり、パッド幅がほぼ100μmより大きい領域68は、計測されるフレアがほぼロングレンジフレアのみとなるロングレンジフレア領域である。また、パッド幅が1μm(実際には0.5μm)程度からdCまでの領域69は、図9の全部の遮光パターン45A〜45Jを用いてフレア(収差が混在している場合もある)を計測できる領域であり、パッド幅がdA〜dCの範囲の領域70は、収差の影響を受けることなくローカルフレアとロングレンジフレアとを分離して計測できる領域(例えば「有効計測領域」と呼ぶこともできる。)である。
また、図13の計測結果から、図1の投影光学系PLのフレアを定量的に求める方法の一例は、パッド幅がdA(本例では2μm)の位置での折れ線64上のフレアF1(ダーク領域で計測されたフレア)をローカルフレアとする方法である。この方法では、パッド幅がdAの位置での折れ線65上のフレア(ブライト領域で計測されたフレア)からそのローカルフレアF1を差し引いて得られるフレアF2が、投影光学系PLのロングレンジフレアとされる。このようにフレアを計測する際のパッド幅(遮光パターンの像の幅)を所定値dAに決めておくことによって、例えば投影光学系PLの長期的なフレア変動を計測する場合にも、ローカルフレア及びロングレンジフレアの変動を互いに独立に定量的に計測できる。
なお、本例では、ローカルフレアとロングレンジフレアとを分離して計測するために図9のフレア計測用パターン40A〜40Iを用いたが、図3のフレア計測用パターン39A〜30Lを用いてもよい。この場合にも、それぞれダーク領域でのフレアの計測値とブライト領域でのフレアの計測値とを求めることで、フレアに方向性があるような場合でも正確にローカルフレアとロングレンジフレアとを分離して計測することができる。
なお、上記の実施の形態の投影露光装置は、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をして、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより製造することができる。なお、その露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
また、上記の実施の形態の投影露光装置を用いて半導体デバイスを製造する場合、この半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、このステップに基づいてレチクルを製造するステップ、シリコン材料からウエハを形成するステップ、上記の実施の形態の投影露光装置によりアライメントを行ってレチクルのパターンをウエハに露光するステップ、エッチング等の回路パターンを形成するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、及び検査ステップ等を経て製造される。
なお、本発明は、走査露光型の投影露光装置のみならず、一括露光型の投影露光装置の投影光学系のフレアを計測する場合にも同様に適用することができる。また、例えば国際公開(WO)第99/49504号などに開示される液浸型露光装置で投影光学系のフレアを計測する場合にも本発明を適用することができる。また、本発明によってフレアが計測される投影光学系は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明によってフレアが計測される投影光学系は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。
本発明のフレア計測方法を用いることにより、投影光学系のフレアを正確に計測できるため、例えばその計測結果に基づいてフレアを低減させた投影光学系を用いて露光を行うことによって、各種デバイスを高い線幅均一性で高精度に製造することが可能となる。
本発明の実施形態の一例の投影露光装置を示す斜視図である。 投影光学系のフレア計測用のテストレチクルのパターンの一例を示す平面図である。 図2のパターン形成領域35内のフレア計測用パターン39Aを示す拡大平面図である。 図1の投影光学系PLを簡略化して示す図である。 図2のフレア計測用のテストレチクルのパターンの像が露光されるウエハWのショット配列の一例を示す平面図である。 図3のフレア計測用パターン39Aの像を露光量を変えながら順次ウエハ上に転写して得られる複数のレジストパターンを示す平面図である。 フレア計測用パターンの開口パターンの像の直径と、フォトレジストが感光されるときの露光量Ed及びフレアFとの関係の一例を示す図である。 本発明の実施形態におけるフレア計測動作の一例を示すフローチャートである。 図2のパターン形成領域36内のフレア計測用パターン40Aを示す拡大平面図である。 本発明の他の実施形態で使用されるフレア計測用のテストレチクルのパターンを示す平面図である。 (A)は図10中のフレア計測用パターン39A中の一つの遮光パターン及び開口パターンの像を示す拡大図、(B)は図10中のフレア計測用パターン40A中の3つの遮光パターンの像を示す拡大図、(C)は図11(B)の像に対応する光強度分布の一例を示す図である。 図11(B)の一つの遮光パターンの像の光強度分布を示す図である。 遮光パターンの像の大きさとフレア量との関係の一例を示す図である。
符号の説明
TR,TRA…テストレチクル、PL…投影光学系、W…ウエハ、1…主制御系、5…照明光学系、22…レチクルステージ、28…ウエハステージ、29…光量センサ部、35,36,35A,36A…パターン形成領域、39A〜39I,39J〜39L…フレア計測用パターン、39AP…フレア計測用パターンの像、40A〜40I…フレア計測用パターン、43A〜43D…開口パターン、44A〜44D…遮光パターン

Claims (8)

  1. 第1面上のパターンの像を第2面上に投影する投影光学系のフレアを計測するためのフレア計測方法において、
    前記第1面上に配置された開口パターン及びこの開口パターンの内部に配置された遮光パターンの像を前記投影光学系を介して前記第2面上に投影する第1工程と、
    前記第2面上に投影された前記遮光パターンの周囲における前記開口パターンの像の光量に基づいて前記投影光学系のフレアを求める第2工程とを有することを特徴とするフレア計測方法。
  2. 前記第1工程は、前記開口パターン及び前記遮光パターンの像を前記第2面上に配置して感光材料の塗布された基板上に露光量を変えながら複数回投影する工程を含み、
    前記第2工程は、前記第2面上に投影された前記遮光パターンの像によって前記感光材料が感光されるまでの露光量と、前記開口パターンの像によって前記感光材料が感光されるまでの露光量との比に基づいて前記投影光学系のフレアを求める工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のフレア計測方法。
  3. 前記開口パターン及び前記遮光パターンの像を前記投影光学系を介して投影する際の露光ビームの波長をλ、前記投影光学系の開口数をNAとして、計測対象のフレアの前記投影光学系の瞳上での振動の回数によって定まる周波数の下限値をf1、上限値をf2としたとき、
    前記遮光パターン及び前記開口パターンは投影像の直径がそれぞれ次式によって定められるd及びDの円形パターンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレア計測方法。
    d=f1(λ/NA),D=f2(λ/NA)
  4. 前記遮光パターンは投影像の直径が1〜3μmの円形パターンであり、前記開口パターンは投影像の直径が100〜300μmの円形パターンであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のフレア計測方法。
  5. 前記第1工程は、前記第1面上に配置された複数の大きさの異なる開口パターン及びこれらの開口パターンの内部にそれぞれ配置された実質的に同じ形状の遮光パターンの像を前記投影光学系を介して前記第2面上に投影する工程を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のフレア計測方法。
  6. 第1物体のパターンを投影光学系を介して第2物体上に投影露光する露光方法において、
    請求項1から5のいずれか一項に記載のフレア計測方法を用いて前記投影光学系のフレアを計測する計測工程と、
    前記計測工程での計測結果に基づいて前記投影光学系のフレアを補正する補正工程とを有することを特徴とする露光方法。
  7. 投影光学系のフレア計測用のマスクであって、
    マスク用の基板上に、開口パターンとこの開口パターンの内部に配置された遮光パターンとが形成されたことを特徴とするフレア計測用のマスク。
  8. 計測対象の投影光学系の投影倍率をβとして、
    前記マスク用の基板上に、直径が100〜300μmの(1/β)倍で互いに異なる円形の複数の開口パターンと、該複数の開口パターンの内部にそれぞれ配置された直径が1〜3μmの(1/β)倍の遮光パターンとが形成されたことを特徴とする請求項7に記載のフレア計測用のマスク。
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