JP2006079691A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】バックコート層にニトロセルロース樹脂を含有するにもかかわらず、NOxガス発生が抑制された磁気記録媒体を提供すること。
【解決手段】非磁性支持体の一方の面に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、他方の面にカーボンブラック、フタロシアニン系分散剤、および結合剤を含むバックコート層を有する磁気記録媒体。前記バックコート層に含まれる結合剤は、ニトロセルロースを含み、前記バックコート層は、フラーレンを更に含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、NOxガス発生が抑制された磁気記録媒体に関する。
近年、高密度記録へのニーズが高まり、高い電磁変換特性を有する磁気記録媒体が求められている。またデータを繰り返し使用し、保存した時の信頼性も同時に要求されている。
一般に、良好な感度を維持するためには、磁性層の表面は平滑であることが好ましい。しかし、磁性層の表面平滑性を高めると、巻き乱れや走行性の悪化が生じる。そこで、この巻き乱れや走行性の悪化を防止するために、支持体の磁性層とは反対側の面にバックコート層を設けることが行われている。
一般に、バックコート層の主成分はカーボンブラックである。しかし、カーボンブラックは凝集しやすく良好に分散することが困難であるため、分散剤を添加して、分散性を高めることが行われている(特許文献1および2)。
また、バックコート層の結合剤として、ニトロセルロース樹脂を使用すると、バックコート層の耐久性が向上することが知られている。例えば、特許文献3には、バックコート層の結合剤として、ニトロセルロース樹脂やポリウレタン樹脂を使用することが記載されており、実施例においては、ニトロセルロース樹脂とポリウレタン樹脂とを約9:1の重量比で使用している。
しかし、バックコート層にニトロセルロース樹脂を含有する磁気記録媒体に対し、従来以上に過酷な耐久試験を行なうと、バックコート層に含まれるニトロセルロースからNOxガスが発生し、薄膜磁気ヘッドを腐食するおそれがあることが判明した。
特開2002−109719号公報 特開2002−117524号公報 特開平9−115134号公報
そこで、本発明は、バックコート層にニトロセルロース樹脂を含有するにもかかわらず、NOxガス発生が抑制された磁気記録媒体を提供することを目的とする。
本発明者らは、バックコート層にニトロセルロースを含む磁気記録媒体におけるNOxガス発生の原因について検討を重ねた結果、バックコート層に含まれるフタロシアニン系分散剤やアゾ系分散剤とニトロセルロース樹脂が反応することが、NOxガス発生の原因となっていることを見出した。しかし、フタロシアニン系分散剤やアゾ系分散剤は、バックコート層に含まれるカーボンブラックの分散性を高めるためにきわめて有効な成分である。そこで、本発明者らは、これら分散剤とニトロセルロースをバックコート層に含む磁気記録媒体においてNOxガス発生を抑制するために、更に検討を重ねた結果、フタロシアニン系分散剤を使用すれば、アゾ系分散剤を使用する場合よりもNOx発生量が低減されることを見出した。更に、本発明者らは、バックコート層にフラーレンを含有させることで、フラーレンによりNOxガスをトラップして、媒体からのNOxガス発生量を顕著に低減できることを見出した。
以上の知見に基づき、本発明者らは、バックコート層にフタロシアニン系分散剤とニトロセルロースを含む磁気記録媒体であって、フラーレンを更に含み、NOxガス発生が抑制された磁気記録媒体を完成するに至った。
即ち、上記本発明の目的を達成するための手段は、以下の通りである。
[請求項1]非磁性支持体の一方の面に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、他方の面にカーボンブラック、フタロシアニン系分散剤、および結合剤を含むバックコート層を有する磁気記録媒体であって、
前記バックコート層に含まれる結合剤は、ニトロセルロースを含み、
前記バックコート層は、フラーレンを更に含むことを特徴とする磁気記録媒体。
[請求項2]前記磁気記録媒体のNOxガス発生量は、70ppm以下である、請求項1に記載の磁気記録媒体。
[請求項3]前記バックコート層は、前記磁気記録媒体のNOxガス発生量が70ppm以下になる量のフラーレンを含有する、請求項2に記載の磁気記録媒体。
[請求項4]前記バックコート層は、ニトロセルロース100質量部に対して3〜6質量部のフラーレンを含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
[請求項5]前記フラーレンは、フラーレンC60である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
[請求項6]前記バックコート層表面の50nm以上の高さを持つ突起個数が220個/265×350μm2以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
[請求項7]前記バックコート層は、バックコート層表面の50nm以上の高さを持つ突起個数が220個/265×350μm2以下になる粒径および量のカーボンブラックを含有する、請求項6に記載の磁気記録媒体。
本発明によれば、バックコート層にニトロセルロース樹脂を含有するにもかかわらず、NOxガス発生が抑制された、優れた保存性を有する磁気記録媒体を提供することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の一方の面に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、他方の面にカーボンブラック、フタロシアニン系分散剤、および結合剤を含むバックコート層を有する磁気記録媒体であって、前記バックコート層に含まれる結合剤は、ニトロセルロースを含み、前記バックコート層は、フラーレンを更に含むことを特徴とする。本発明の磁気記録媒体は、バックコート層にフラーレンを含有することにより、バックコート層にニトロセルロースとフタロシアニン系分散剤を含有するにもかかわらず、NOxガス発生が顕著に抑制される。
本発明の磁気記録媒体のNOxガス発生量は70ppm以下であることが好ましい。NOxガス発生量が70ppm以下であれば、過酷な環境下に長期保存した場合にも、薄膜磁気ヘッドの腐食を起こすことがない。前記NOxガス発生量は、より好ましくは50ppm以下である。理想的には、NOxガス発生量は0ppmであることが好ましいが、バックコート層にフタロシアニン系分散剤とニトロセルロースを含む磁気記録媒体からのNOxガス発生を完全に回避することは困難な場合があり、実用上、その下限値は、10ppmとすることができる。
本発明において、「NOxガス発生量」とは、以下の方法で測定された値をいう。
磁気テープ一巻(長さ600m、幅1/2インチ)を、カートリッジから取り出して、発生ガスの漏れを遮断する袋(容積230ml)に密閉する。この状態で80℃、18時間保存した後の袋内のNOxガス量を測定する。測定は、NOxガス用検知管やガスクロマトグラフィー等で行うことができる。こうして測定された値を、「NOxガス発生量」とする。
本発明では、ニトロセルロースを含むバックコート層に使用する分散剤としてフタロシアニン系分散剤を選択し、かつ、バックコート層にフラーレンを含有させる。これにより、ニトロセルロースとフタロシアニン系分散剤の反応により発生したNOxガスを、フラーレンがトラップすることによって、磁気記録媒体からのNOxガス発生量を大幅に低減することができる。
バックコート層に添加するフラーレンとしては、C60を用いることができ、C70、C76、C78、C82、C84等を用いることもできる。また、公知のフラーレン誘導体や多量体を用いることも可能である。これらフラーレンは、公知の方法で得ることができ、また、市販品として入手可能なものもある。本発明では、コスト面から、フラーレンとしてフラーレンC60を使用することが好ましい。
バックコート層に添加するフラーレンの量は、磁気記録媒体のNOxガス発生量が70ppm以下になるように選択することが好ましい。具体的には、バックコート層におけるフラーレンの添加量を、ニトロセルロース100質量部に対して3〜6質量部にすることが好ましく、4〜5質量部にすることがより好ましい。なお、フラーレンの添加量が多いほど、フラーレンにトラップされるNOx量が多くなるため、磁気記録媒体のNOxガス発生量を低減する上では効果的であるが、過剰量のフラーレンを添加すると、分散性が劣化してドロップアウトが増加するおそれがあるため、フラーレンの添加量は、ニトロセルロース100質量部に対して6質量部以下にすることが好ましい。
バックコート層におけるフタロシアニン系分散剤の添加量は、ニトロセルロース100質量部に対して4〜8質量部にすることが好ましく、6〜7質量部にすることがより好ましい。また、バックコート層におけるフタロシアニン系分散剤の添加量は、カーボンブラック100質量部に対して5〜6質量部にすることが好ましい。また、NOxガス発生量を低減するためには、フラーレンとフタロシアニン系分散剤との割合を、フラーレン/フタロシアニン系分散剤(質量比)=0.2〜1.2にすることが好ましく、0.8〜1.0にすることがより好ましい。
本発明で使用する「フタロシアニン系分散剤」とは、フタロシアニン色素残基を有する化合物であり、具体的には、下記一般式(I)で示される化合物であることができる。
Figure 2006079691
上記一般式(I)中、 Qはフタロシアニン系色素残基である。
Wは直接結合、−(CH2n−、−NH−、−CONH−、またはCH2NH、nは1〜4の整数、mは1〜10の整数、Xは単結合、または下記構造式で表される二価の連結基から選択される基、
Figure 2006079691
および、Yは下記一般式(II)で表される基を表す。
Figure 2006079691
一般式(II)中、Zは、低級アルキレン基を表す。Zは、例えば−(CH2b−と表されるが、該bは1〜5の整数を表し、好ましくは2または3を表す。
一般式(II)中、−NR2が低級アルキルアミノ基を表す場合、例えば−N(Cn2n+12と表され、nは1〜4の整数を表し、好ましくは1または2を表す。一方、該−NR2が窒素原子を含む5員または6員飽和ヘテロ環を表す場合、下記構造式で表されるヘテロ環が好ましい。
Figure 2006079691
前記一般式(II)における、ZおよびNR2は、それぞれ、低級アルキル基、アルコキシ基を置換基として有していてもよい。
前記一般式(II)中、aは、1または2を表し、好ましくは2を表す。
以下に、前記一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。尚、以下Pcはフタロシアニン、CuPcは銅フタロシアニンを表す。
Figure 2006079691
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本発明では、バックコート層に使用するフタロシアニン系分散剤として、塩基性点が2個以上のものを使用することが好ましく、塩基性点が4〜8個のものを使用することが更に好ましい。塩基性点とは、非共有電子対を有する原子の数をいう。バックコート層に使用するフタロシアニン系分散剤の塩基性点が2個以上であれば、カーボンブラックへの吸着が良好であり、少量でもバックコート層の分散性を維持することができる。
バックコート層には、フタロシアニン系分散剤以外の分散剤を添加することもできる。フタロシアニン系分散剤以外の分散剤としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸等の炭素数12〜18個の脂肪酸(RCOOH;Rは炭素数11〜17個のアルキル基、またはアルケニル基)、前記脂肪酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属からなる金属石けん、前記の脂肪酸エステルのフッ素を含有した化合物、前記脂肪酸のアミド、ポリアルキレンオキサイドアルキルリン酸エステル、レシチン、トリアルキルポリオレフィンオキシ第四級アンモニウム塩(アルキルは炭素数1〜5個、オレフィンは、エチレン、プロピレンなど)、硫酸エステル、沈降性硫酸バリウム等を使用することができる。分散剤は、フタロシアニン系分散剤と併せて、結合剤樹脂100質量部に対して、0.5〜20質量部の範囲で添加することができる。
本発明の磁気記録媒体において、バックコート層に含まれる結合剤は、ニトロセルロースを含む。バックコート層に使用するニトロセルロースの質量平均分子量は、40000〜60000の範囲であることが好ましく、45000〜57000の範囲であることが特に好ましい。バックコート層に使用されるニトロセルロースの具体例としては、旭化成製セルノバBTH 1/2を挙げることができる。
本発明では、バックコート層の結合剤として、ニトロセルロースを使用することにより、塗膜強度を高めることができる。但し、ニトロセルロースのように比較的硬い樹脂を使用したバックコート層は、磁気テープ製造工程でのテンションの影響を受けやすく、特に残留した内部応力が蓄積されやすい。この蓄積された内部応力によって、支持体や磁性層が変形を受け、テープ幅方向のカール(カッピング)、長手方向のカール(コイリング)が生じやすくなる。特に薄手化された磁気記録媒体では、上記カッピングが大きくなるとヘッド当たり不良を生じ出力低下やエッジダメージを発生しやすい。また、コイリングが大きくなると各工程での巻きつき作業が困難となる。そのため、本発明では、バックコート層において結合剤としてニトロセルロースとともに、他の樹脂を併用することが好ましい。併用する樹脂としては、ポリウレタンを挙げることができる。
ポリウレタンを併用する場合、ニトロセルロース:ポリウレタン=1:0.2〜1:1.5の割合で使用することが好ましく、1:0.3〜1:1の割合で使用することが特に好ましい。併用するポリウレタンとしては、質量平均分子量30000〜200000のものを用いることが好ましい。そのガラス転移温度(Tg)は、0〜150℃であることが好ましい。また、ポリウレタンは、−SO3M、−COOM、−OSO3M、−PO32(以上につきMは水素原子、またはアルカリ金属塩基)等の極性基を持つことが好ましい。極性基の含有量は、1×10-5〜2×10-4eq/gであることが好ましい。ニトロセルロースとポリウレタンの総量は、バックコート層全固形分に対して30〜80質量%であることが好ましく、40〜70質量%であることがより好ましい。
また、バックコート層においては、ポリウレタン以外の樹脂を併用することもできる。そのような樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ニトロセルロース樹脂以外のセルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂を挙げることができる。これらは、単独でも組み合わせても使用できる。また、バックコート層中の結合剤の合計量は、カーボンブラック100質量部に対して50〜150質量部とすることができる。
本発明の磁気記録媒体において、バックコート層表面の50nm以上の高さを持つ突起個数は、220個/265×350μm2以下であることが好ましい。好ましくは200個/265×350μm2以下、更に好ましくは170個/265×350μm2以下である。バックコート層表面に存在する粗大突起が磁性層に転写されて磁性層に凹みが生じることにより(「裏写り」と呼ばれる)、ドロップアウトが増加する場合があるが、前記突起個数が220個/265×350μm2以下であれば、バックコート層表面の突起の磁性層への裏写りによるドロップアウト増加を抑制することができる。理想的には、バックコート層表面の50nm以上の高さを持つ突起がないことが好ましいが、本発明において、前記突起個数の下限値は、例えば、5個/265×350μm2とすることができる。
前述の突起数は下記のようにして測定される。
本発明において、「バックコート層表面の50nm以上の高さを持つ突起個数」は、バックコート層の自乗平均表面から50nm以上の高さを有する突起の個数をいうものとする。ここで、「自乗平均表面」とは、バックコート層表面の偏差の自乗和が上下で等しくなる面のことである。この自乗平均表面の位置は、原子間力顕微鏡や、光学式表面粗さ計等の表面粗さの測定器により求めることができる。また、バックコート層の自乗平均表面から50nm以上の高さを有する突起個数は、ZYGO社製の表面粗さ計(NewView5000)を使用して265μm×350μmの範囲を測定し、画像解析ソフトにより自乗平均表面から50nm以上の高さの領域の個数を積算して求めることができる。
本発明では、バックコート層表面の50nm以上の高さを持つ突起個数が220個/265×350μm2以下になるように、バックコート層に添加するカーボンブラックの粒径および量を選択することが好ましい。具体的には、バックコート層には、平均粒子サイズの異なる二種類のカーボンブラックを組み合わせて使用することが好ましい。この場合、平均粒子サイズが10〜50nmの微粒子状カーボンブラックと平均粒子サイズが70〜300nmの粗粒子状カーボンブラックを組み合わせて使用することが好ましい。また、微粒子カーボンブラックと粗粒子カーボンブラックの粒径の差は小さくすることが好ましい。微粒子カーボンブラックと粗粒子カーボンブラックの粒径の差は、例えば、20〜80nmとすることができる。
一般に、上記のような微粒子状のカーボンブラックの添加により、バックコート層の表面電気抵抗を低く設定することができ、また光透過率も低く設定することができる。磁気記録装置によっては、テープの光透過率を利用し、動作の信号に使用しているものが多くあるため、このような場合には特に微粒子状のカーボンブラックの添加は有効になる。また微粒子状カーボンブラックは一般に液体潤滑剤の保持力に優れ、潤滑剤併用時、摩擦係数の低減化に寄与する。
本発明で用いることができる微粒子状カーボンブラックの具体的な商品としては、以下のものを挙げることができる。括弧内は、平均粒子サイズを示す。RAVEN2000B(18nm)、RAVEN1500B(17nm)(以上、コロンビアカーボン社製)、BP800(17nm)(キャボット社製)、PRINNTEX90(14nm)、PRINTEX95(15nm)、PRINTEX85(16nm)、PRINTEX75(17nm)(以上、デグサ社製)、#3950(16nm)(三菱化学(株)製)。
また粗粒子カーボンブラックの具体的な商品の例としては、サーマルブラック(270nm)(カーンカルブ社製)、RAVENMTP(275nm)(コロンビアカーボン社製)を挙げることができる。平均粒子サイズ70〜300nmのカーボンブラックは、ゴム用カーボンブラックや、カラー用カーボンブラックより選択することができる。
バックコート層において、平均粒子サイズの異なる二種類のカーボンブラックを使用する場合、平均粒子サイズ10〜50nmの微粒子状カーボンブラックと平均粒子サイズ70〜300nmの粗粒子状カーボンブラックの含有比率(質量比)は、後者/前者=1/100〜1/1の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、1/20(5/100)〜1/2(50/100)の範囲である。
バックコート層中のカーボンブラック(二種類のものを使用する場合には、その全量)の含有量は、結合剤100質量部に対して、通常30〜100質量部の範囲であり、好ましくは、45〜95質量部の範囲である。
バックコート層には無機粉末を用いることが出来る。無機粉末としては、硬さの異なる二種類のものを併用することが好ましい。
具体的には、モース硬度3〜4.5の軟質無機粉末とモース硬度5〜9の硬質無機粉末とを使用することが好ましい。
モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末を添加することで、繰り返し走行による摩擦係数の安定化を図ることができる。しかもこの範囲の硬さでは、摺動ガイドポールが削られることもない。またこの無機粉末の平均粒子サイズは、30〜50nmの範囲にあることが好ましい。
モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末としては、例えば、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、および酸化亜鉛を挙げることができる。これらは、単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では、特に、炭酸カルシウムが好ましい。
バックコート層内の軟質無機粉末の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して0〜140質量部の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、0〜100質量部である。
モース硬度が5〜9の硬質無機粉末を添加することにより、バックコート層の強度が強化され、走行耐久性が向上する。これらの無機粉末をカーボンブラックや前記軟質無機粉末と共に使用すると、繰り返し摺動に対しても劣化が少なく、強いバックコート層となる。またこの無機粉末の添加により、適度の研磨力が付与され、テープガイドポール等への削り屑の付着が低減する。特に軟質無機粉末(中でも、炭酸カルシウム)と併用すると、表面の粗いガイドポールに対しての摺動特性が向上し、バックコート層の摩擦係数の安定化も図ることができる。
硬質無機粉末は、その平均粒子サイズが80〜250nm(更に好ましくは、100〜210nm)の範囲にあることが好ましい。
モース硬度が5〜9の硬質無機質粉末としては、例えば、α−酸化鉄、α−アルミナ、および酸化クロム(Cr23)を挙げることができる。これらの粉末は、それぞれ単独で用いても良いし、あるいは併用しても良い。これらの内では、α−酸化鉄またはα−アルミナを用いることが好ましい。硬質無機粉末の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して通常0〜30質量部であり、好ましくは、0〜20質量部である。
バックコート層に前記軟質無機粉末と硬質無機粉末とを併用する場合、軟質無機粉末と硬質無機粉末との硬さの差が、2以上(更に好ましくは、2.5以上、特に、3以上)であるように軟質無機粉末と硬質無機粉末とを選択して使用することが好ましい。
バックコート層は、前述の特定の平均粒子サイズを有するモース硬度の異なる二種類の無機粉末と、前記平均粒子サイズの異なる二種類のカーボンブラックを含有することができる。特に、この組み合わせにおいて、軟質無機粉末として炭酸カルシウムが含有されていることが好ましい。
バックコート層には、潤滑剤を含有させることができる。潤滑剤は、後述の非磁性層、あるいは磁性層に使用できる潤滑剤として挙げた潤滑剤の中から適宜選択して使用できる。バックコート層において、潤滑剤は、結合剤100質量部に対して通常1〜5質量部の範囲で添加することができる。
本発明において、NOxガス発生を抑制するためにフタロシアニン系分散剤の添加量を低減しつつ、バックコート層の分散性を高めるためには、前述のように、バックコート層に使用するカーボンブラックの粒径および量を調整することに加え、バックコート層塗布液の分散条件を調整することが好ましい。
本発明では、フラーレンとフタロシアニン系分散剤を含む溶媒中で、カーボンブラックの分散処理を行い、バックコート層塗布液を調製し、これを常法の塗布方法に従い、塗布、加熱・硬化することによって、バックコート層を設けることができる。溶媒については、特に制限はなく、水、有機溶媒およびそれらの混合液等を用いることができる。
フラーレン、フタロシアニン系分散剤、および結合剤をオープンニーダー等を用いて混練する時、またはロールミル若しくはサンドミルを用いて分散する時に、カーボンブラックを混合することによって、カーボンブラックを良好に分散することができる。また、分散前に、フタロシアニン系分散剤と結合剤を加熱混合して溶解状態にしておくと、フタロシアニン系分散剤の塩基性基と結合剤との親和性が向上するだけでなく、カーボンブラックと均一かつ速やかに混合されるため、品質および生産性の向上が達成され好ましい。
更に、本発明においては、バックコート層塗布液の分散工程において、カーボンブラックを含む分散液を順次低濃度としつつ多段階分散を行うこと、分散メディアとして高比重、高硬度、かつ小径(例えば0.5μmφ)の分散メディアを使用すること、分散メディアの高充填化、分散機の高周速化、分散時間の長時間化を適宜組み合わせることにより、バックコート層塗布液をきわめて高度に分散させることができる。分散機としては、例えば、ボールミル、アトライター、サンドグラインダー等のメディア型分散機を用いることができ、振動ミル、超音波分散機を用いることも可能である。メディア型分散機を使用する場合、分散メディアの充填率は高くすることが好ましく、例えば60〜100%とすることができる。分散メディアとしては、スチールボール、ガラスビーズ、セラミックビーズ(ジルコニア等)を用いることができ、特に、ジルコニアビーズ等の小径高比重のセラミックビーズを用いることが好ましい。更に、粉体上のカーボンブラックに剪断を加えたい場合には、混練機を使用することもできる。例えば、オープンニーダー、加圧ニーダー、ヘリカルローター、連続ニーダー、ロールミル、テーパーロール、インターナルミキサー、バンパリーミキサー等を使用することができる。分散した液は、塗布しやすいように、通常は粘度調整を行い塗布部に供給される。送液される際には、通常、循環、単一、または多段でろ過される。この際に使用するフィルターは、液質により選択することができ、ディプスタイプ、プリーツタイプのいずれを使用することもできる。ろ過精度は、所望のレベルに応じた精度に合わせて選定することが好ましい。
更に、本発明では、支持体の突起数、カレンダー温度、カレンダー圧力を調整することにより、バックコート層表面の突起を低減し、バックコート層の表面性を高めることが好ましい。カレンダー条件は、一般には強くする(カレンダー圧力、温度、ロール硬度を高める、スピードを下げる)と、バックコート層表面の突起を少なくすることができる。
バックコート層表面に存在する突起は、支持体起因の突起と塗布層に関連する突起とに分類される。通常、支持体表面には、微粒子の無機ないし有機フィラーを含有させて微小な突起を形成している。この微小な突起がバックコート層表面に反映され、微小な表面突起が形成されるが、支持体に含まれるフィラーの粒子サイズを変えることにより、バックコート層表面の突起数を変化させることができる。また、バックコート層への支持体表面の突起の影響は、バックコート層の厚みを厚くすることによって低減することもできる。
また、バックコート層表面を研磨することにより、バックコート層表面の突起を低減し、バックコート層の表面性を高めることもできる。
バックコート層表面処理の方法としては、研磨テープやダイヤモンドホイールをバックコート層表面に押しつけて研磨する方法を挙げることができる。その際に、研磨テープやダイヤモンドホイールの番手や押しつけ圧をコントロールすることにより、表面突起をコントロールすることができる。
テープの場合、特開昭63−259830号報に開示されている、研磨テープを用いた研磨処理法(ラッピングテープブレード法)、サファイヤブレード法、ダイヤモンドホイール法等を用いることができ、これらの方法の選択や、それぞれの処理条件の設定により、バックコート層表面突起をコントロールすることができる。支持体の表面突起や塗布後のバックコート層の突起が多い場合でも、この表面処理を施せば、バックコート層表面の突起を減少させることができる。
[磁性層]
本発明の磁気記録媒体において、磁性層の厚さは、0.01〜0.2μmの範囲であることが好ましく、0.03〜0.18μmの範囲であることが更に好ましく、適用する記録再生システムに応じて最適な厚さに設定することが好ましい。一般には、磁性層厚が0.01μm以上であれば、高出力および良好なC/Nを得ることができる。一方、磁性層厚が0.2μm以下であれば、ノイズが少なく良好なC/Nを得ることができる。
前記磁性層厚は、以下のようにして求めることできる。
透過型電子顕微鏡用試料作製法として公知である超薄切片法にて磁気記録媒体の厚さ方向の超薄切片(約80nm厚)試料を作製し、透過型電子顕微鏡にて超薄切片写真(50000倍)を撮影する。前記写真の上層表面および上下層界面をフィルムベース上にトレースし、上層表面と上下層界面間を0.025μm間隔の厚み方向に平行な直線500本を引き、その長さの平均を、磁性層厚みとすることができる。
本発明の磁気記録媒体には、磁性層に含まれる強磁性粉末として、強磁性六方晶フェライト粉末または強磁性金属粉末を使用することが好ましい。
<強磁性六方晶フェライト粉末>
強磁性六方晶フェライト粉末は、六角状のマグネトプランバイト構造を有し、極めて大きな一軸結晶磁気異方性をもつと共に非常に高い抗磁力(Hc)を有する。このため、強磁性六方晶フェライト粉末を使用した磁気記録媒体は、化学安定性、耐蝕性および耐摩擦性に優れ、かつ、高密度化に伴う磁気スペースシングの減少が可能となり、薄膜化の実現、高C/Nおよび分解能を可能とする。強磁性六方晶フェライト粉末の平均板径は10〜40nmであることが好ましく、より好ましくは13〜35nmであり、更に好ましくは15〜32nmである。一般にトラック密度を上げ、かつ、磁気抵抗ヘッドで再生する場合には、低ノイズにする必要があると共に、強磁性六方晶フェライト粉末の平均板径も小さくする必要がある。また磁気スペーシングを減少させる観点からも六方晶フェライトの平均板径はできるだけ小さい方が好ましい。しかし、強磁性六方晶フェライト粉末の平均板径が小さすぎると熱揺らぎにより磁化が不安定になる。このため、本発明の磁気記録媒体の磁性層に使用する強磁性六方晶フェライト粉末の平均板径の下限値を10nmとすることが好ましい。平均板径が10nm以上であれば、熱揺らぎによる影響が少なく、安定した磁化を得ることができる。一方、強磁性六方晶フェライト粉末の平均板径の上限値は40nmとすることが好ましい。平均板径が40nm以下であれば、ノイズが低減され電磁変換特性が向上し、特に磁気抵抗ヘッド(MRヘッド)での再生に好適となる。
強磁性六方晶フェライト粉末の平均板径は、透過型電子顕微鏡写真で強磁性六方晶フェライト粉末を撮影し、その写真から強磁性六方晶フェライト粉末の板径を直接読みとる方法と、画像解析装置カールツァイス社製IBASSIで透過型電子顕微鏡写真をトレースして読みとる方法とを併用して測定した値の平均値から求めることができる。
本発明において、磁性層に含まれる強磁性六方晶フェライト粉末としては、例えば、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトの各置換体、Co置換体等を用いることができる。より具体的には、マグネトプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、さらに一部にスピネル相を含有したマグネトプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト等が挙げられる。その他、所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般には、Co−Zn、Co−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn−Co、Sb−Zn−Co、Nb−Zn等の元素を添加した物を使用できる。また原料・製法によっては特有の不純物を含有するものもある。
強磁性六方晶フェライト粉末の平均板厚は、1〜30nmであることが好ましく、より好ましくは2〜25nm、更に好ましくは3〜20nmである。板状比(板径/板厚)は1〜15であることができ、1〜7であることが好ましい。板状比が1〜15であれば、磁性層で高充填性を保持しながら充分な配向性が得られ、かつ、粒子間のスタッキングによりノイズ増大を抑えることができる。また、上記粒子サイズの範囲内におけるBET法による比表面積は10〜200m2/gである。この比表面積は、概ね粒子板径と板厚からの計算値と符号する。
強磁性六方晶フェライト粉末の粒子板径・板厚の分布は、通常狭いほど好ましい。粒子板径・板厚を数値化することは困難であるが、粒子TEM写真より500粒子を無作為に測定することで比較できる。粒子板径・板厚の分布は正規分布ではない場合が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差で表すと、σ/平均サイズ=0.1〜2.0である。粒子サイズ分布をシャープにするには、粒子生成反応系をできるだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布改良処理を施すことも行われている。例えば、酸溶液中で超微細粒子を選別的に溶解する方法等も知られている。
六方晶フェライト粒子の抗磁力(Hc)は、119.4〜318.4kA/m(1500〜4000 Oe)の範囲とすることができるが、好ましくは159.2〜278.6kA/m(2000〜3500 Oe)であり、さらに好ましくは175.1〜238.8kA/m(2200〜3000 Oe)である。但し、ヘッドの飽和磁化(σs)が1.4Tを越える場合には159.2kA/m以下にすることが好ましい。抗磁力(Hc)は、粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御できる。
六方晶フェライト粉末の飽和磁化(σs)は40〜80A・m2/kgであることが好ましい。飽和磁化(σs)は高い方が好ましいが、微粒子になるほど小さくなる傾向がある。飽和磁化(σs)の改良のため、マグネトプランバイトフェライトにスピネルフェライトを複合することや、含有元素の種類と添加量の選択等がよく知られている。またW型六方晶フェライトを用いることも可能である。磁性体を分散する際に磁性体粒子表面を分散媒、ポリマーに合った物質で処理することも行われている。表面処理剤としては、無機化合物および有機化合物が使用される。主な化合物としてはSi、Al、P等の酸化物または水酸化物、各種シランカップリング剤、各種チタンカップリング剤が代表例である。添加量は磁性体の質量に対して0.1〜10質量%とすることが適当である。磁性体のpHも分散に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の化学的安定性、保存性から6〜11程度が選択される。磁性体に含まれる水も分散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値があるが、通常0.01〜2.0%が選ばれる。
強磁性六方晶フェライト粉末の製法としては、酸化バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成になるように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得ガラス結晶化法;バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後100以上で液相加熱した後洗浄・乾燥・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法;バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法等があるが、本発明は製法を選ばない。強磁性六方晶フェライト粉末は、必要に応じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量は強磁性粉末に対し0.1〜10%とすることが適当であり、表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m2以下になり好ましい。強磁性粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む場合がある。これらは本質的に無い方が好ましいが、200ppm以下であれば特に特性に影響を与えることは少ない。
<強磁性金属粉末>
本発明の磁気記録媒体の磁性層に使用され得る強磁性金属粉末は、高密度磁気記録特性に優れていることが知られている。強磁性金属粉末を用いることにより、優れた電磁変換特性を有する磁気記録媒体を得ることができる。本発明の磁気記録媒体の磁性層に使用され得る強磁性金属粉末の平均長軸長は20〜70nmであることが好ましく、23〜65nmであることがより好ましく、25〜60nmであることがさらに好ましい。強磁性金属粉末の平均長軸長が20nm以上であれば、熱揺らぎによる磁気特性が低下が生じず、また、平均長軸長が70nm以下であれば、ノイズが低減され、良好なC/N(S/N)を得ることができる。
強磁性金属粉末の平均長軸長は、透過型電子顕微鏡写真で強磁性金属粉末を撮影し、その写真から強磁性金属粉末の長軸長を直接読みとる方法と画像解析装置カールツァイス社製IBASSIで透過型電子顕微鏡写真トレースし読みとる方法を併用して測定した値の平均値から求めることができる。
本発明の磁気記録媒体おいて、磁性層に用いられる強磁性金属粉末としては、Feを主成分とするもの(合金も含む)を用いることができ、α−Feを主成分とする強磁性合金粉末を用いることが好ましい。これらの強磁性粉末は、所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ca、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。特に、Al、Si、Ca、Y、Ba、La、Nd、Co、Ni、Bの少なくとも1つをα−Fe以外に含むことが好ましく、Co、Y、Alの少なくとも一つを含むことがさらに好ましい。Coの含有量は、Feに対して0〜40原子%であることが好ましく、さらに好ましくは15〜35原子%以下、より好ましくは20〜35原子%である。Yの含有量は、Feに対して1.5〜15原子%であることが好ましく、さらに好ましくは3〜12原子%である。Alの含有量は、Feに対して1.5〜15原子%であることが好ましく、さらに好ましくは3〜12原子%以下である。これらの強磁性粉末には、後述する分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。具体的には、特公昭44−14090号公報、特公昭45−18372号公報、特公昭47−22062号公報、特公昭47−22513号公報、特公昭46−28466号公報、特公昭46−38755号公報、特公昭47−4286号公報、特公昭47−12422号公報、特公昭47−17284号公報、特公昭47−18509号公報、特公昭47−18573号公報、特公昭39−10307号公報、特公昭46−39639号公報、米国特許第3026215号、同3031341号、同3100194号、同3242005号、同3389014号などに記載されている。
強磁性金属粉末には、少量の水酸化物、または酸化物が含まれてもよい。強磁性金属粉末としては、公知の製造方法により得られたものを用いることができ、そのような方法としては、下記の方法を挙げることができる。複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいはFe−Co粒子などを得る方法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を得る方法などである。このようにして得られた強磁性金属粉末には、公知の徐酸化処理、例えば、有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機溶剤に浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸化膜を形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず酸素ガスと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜を形成する方法、などを施すことができる。
本発明で用いる強磁性粉末のBET法による比表面積(SBET)は、40〜80m2/gであることができ、好ましくは45〜70m2/gである。BET法による比表面積(SBET)が40m2/g以上であれば、ノイズが低減され、80m2/g以下であれば、良好な表面性を得ることができる。本発明において、磁性層の強磁性粉末の結晶子サイズは80〜180Åであることができ、好ましくは100〜180Å、更に好ましくは110〜175Åである。強磁性金属粉末が針状強磁性金属粉末である場合、平均針状比は5〜15であることが好ましく、さらには6〜12であることが好ましい。針状比は透過型電子顕微鏡によって測定される平均長軸長とX線回折によって得られる結晶子サイズとの比によって表される。強磁性金属粉末のσsは70〜180A・m2/kgであることができ、好ましくは80〜170A・m2/kgである。強磁性金属粉末の抗磁力は119〜318kA/mであることが好ましく、更に好ましくは159〜279kA/m、特に好ましくは183〜239kA/mである。
強磁性金属粉末の含水率は、0.1〜2%であることが好ましい。結合剤の種類によって、強磁性金属粉末の含水率を最適化することが好ましい。強磁性金属粉末のpHは、用いる結合剤との組合せにより最適化することが好ましい。その範囲は6〜12であることができ、好ましくは7〜11である。強磁性金属粉末には、必要に応じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量は強磁性粉末に対し0.1〜10%とすることができ、表面処理を施すと、脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m2以下になり好ましい。強磁性金属粉末のSA(ステアリン酸)吸着量(表面の塩基性点の尺度)は1〜15μmol/m2であることができ、好ましくは2〜10μmol/m2、さらに好ましくは3〜8μmol/m2である。ステアリン酸吸着量が多い強磁性金属粉末を使用する場合、表面に強く吸着する有機物で強磁性金属粉末の表面を修飾して磁気記録媒体を作製することが好ましい。強磁性金属粉末には、可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオンが含まれる場合がある。これらは、本質的に無い方が好ましいが、300ppm以下であれば特に特性に影響を与えることは少ない。また、本発明において用いられる強磁性金属粉末は、空孔が少ないほうが好ましくその値は20容量%以下、さらに好ましくは5容量%以下である。また形状については先に示した粒子サイズについての特性を満足すれば、針状、米粒状、紡錘状のいずれでもかまわない。強磁性粉末自体のSFD(switching−field distribution)は小さい方が好ましく、0.6以下であることが好ましい。尚、SFDが0.6以下であると、電磁変換特性が良好で、出力が高く、また、磁化反転がシャープでピークシフトも少なくなり、高密度デジタル磁気記録に好適である。強磁性金属粉末のHcの分布を小さくすることが好ましいHcの分布を小さくするためには、強磁性金属粉末においてはゲータイトの粒度分布を良くする、単分散α−Fe23を使用する、焼結を防止するなどの方法がある。
磁性層に使用されるカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。カーボンブラックの比表面積(SBET)は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100g、平均粒径は5〜300nm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10質量%、タップ密度は0.1〜1g/mlであることがそれぞれ好ましい。本発明に用いられるカ−ボンブラックの具体的な例としては、キャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、700、VULCAN XC−72、旭カ−ボン社製#80、#60、#55、#50、#35、三菱化成工業社製#2400B、#2300、#900、#1000#30、#40、#10B、コロンビアカ−ボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN 150、50、40、15などが挙げられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを磁性層用塗布液に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは単独、または組合せで使用することができる。
カーボンブラックを使用する場合は、強磁性粉末に対する量の0.1〜30質量%で用いることが好ましい。
カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。従って本発明に使用されるこれらのカーボンブラックは磁性層、非磁性層でその種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分けることはもちろん可能である。本発明において、磁性層で使用され得るカーボンブラックについては、例えば、「カーボンブラック便覧(カーボンブラック協会編)」を参考にすることができる。
本発明において、磁性層にアルミナを含有させることもできる。使用するアルミナとしては、平均粒子径が50〜250nm、好ましくは100〜250nmであるものが好ましい。アルミナの配合量は、強磁性粉末に対して、好ましくは1〜30質量%であり、更に好ましくは3〜15質量%である。該配合量が、1質量%以上であれば、走行耐久性を確保することができ、30質量%以下であれば、S/Nの低下やヘッド磨耗を引き起こすことがなく好ましい。
[非磁性層]
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末と結合剤とを含む非磁性層を有することもできる。
非磁性層の厚さは、例えば、0.05〜5.0μmの範囲とすることができ、好ましくは0.1〜3.0μm、さらに好ましくは0.1〜2.5μmの範囲である。
非磁性層に含まれる非磁性粉末は、例えば、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機質化合物から選択することができる。そのような無機化合物としては、例えば、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ヘマタイト、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどを、単独または組合せて使用することができる。特に好ましいものは、粒度分布の小ささ、機能付与の手段が多いこと等から、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましいものは、二酸化チタン、α酸化鉄である。これら非磁性粉末の粒子サイズは、0.005〜0.5μmであることが好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。非磁性粉末の粒子サイズは、0.01μm〜0.2μmであることが特に好ましい。特に、非磁性粉末が粒状金属酸化物である場合は、平均粒子径0.08μm以下であることが好ましく、針状金属酸化物である場合は、長軸長は0.2μm以下、好ましくは0.15μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下であることが適当である。非磁性粉末の針状比は、2〜20、好ましくは3〜10であることができる。タップ密度は0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜1.5g/mlであることができる。非磁性粉末の含水率は、0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%、更に好ましくは0.3〜1.5質量%であることができる。非磁性粉末のpHは2〜11であることができるが、pHは5.5〜10の間であることが特に好ましい。
非磁性粉末の比表面積は、1〜100m2/g、好ましくは5〜80m2/g、更に好ましくは10〜70m2/gであることができる。非磁性粉末の結晶子サイズは、0.004μm〜1μmであることが好ましく、0.04μm〜0.1μmであることが更に好ましい。DBP(ジブチルフタレート)を用いた吸油量は、5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100gであることができる。比重は1〜12、好ましくは3〜6であることができる。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも良い。モース硬度は4以上、10以下であることが好ましい。非磁性粉末のSA(ステアリン酸)吸着量は、1〜20μmol/m2、好ましくは2〜15μmol/m2、さらに好ましくは3〜8μmol/m2であることができる。pHは3〜6の間にあることが好ましい。
これらの非磁性粉末の表面は、表面処理されてAl23、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23、ZnO、Y23が存在することが好ましい。特に分散性に好ましいものは、Al23、SiO2、TiO2、ZrO2であり、更に好ましいものは、Al23、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用しても良いし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
非磁性層に用いられる非磁性粉末の具体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT−100、ZA−G1、戸田工業社製αヘマタイトDPN−250、DPN−250BX、DPN−245、DPN−270BX、DPN−500BX、DBN−SA1、DBN−SA3、石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−100、αヘマタイトE270、E271、E300、E303、チタン工業製酸化チタンSTT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、αヘマタイトα−40、テイカ製MT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−100F、MT−500HD、堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M、同和鉱業製DEFIC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2BM、TiO2P25、宇部興産製100A、500A、およびそれを焼成したものが挙げられる。
非磁性層にカーボンブラックを混合させて公知の効果である表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率を小さくすることができるとともに、所望のマイクロビッカース硬度を得ることができる。カーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
非磁性層に使用されるカーボンブラックの比表面積(SBET)は、100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好ましくは30〜400ml/100gであることができる。カーボンブラックの平均粒径は、5〜80nm、好ましく10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmであることができる。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlであることがそれぞれ好ましい。非磁性層に使用されるカーボンブラックの具体的な例としては、キャボット社製 BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、880、700、VULCAN XC−72、三菱化成工業社製 #3050B、#3150B、#3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B、#970B、#850B、MA−600、MA−230、#4000、#4010、コロンビアカーボン社製 CONDUCTEX SC、RAVEN 8800、8000、7000、5750、5250、3500、2100、2000、1800、1500、1255、1250、アクゾー社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを非磁性層塗布液に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは非磁性粉末に対して50質量%を越えない範囲、非磁性層総質量の40%を越えない範囲で使用できる。これらのカーボンブラックは単独、または組合せで使用することができる。非磁性層において使用されるカーボンブラックについては、例えば「カーボンブラック便覧(カーボンブラック協会編)」を参考にすることができる。
また、非磁性層には有機質粉末を目的に応じて添加することもできる。有機質粉末としては、例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。その製法としては、特開昭62−18564号公報、特開昭60−255827号公報に記されている方法が挙げられる。
非磁性層に関する結合剤樹脂、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他については、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤樹脂量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
本発明において使用される結合剤としては、従来公知の熱可塑系樹脂、熱硬化系樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を挙げることができる。
熱可塑系樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000、重合度が約50〜1000程度のものを用いることができる。
このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクルリ酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル、等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂が挙げられる。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシーポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーとの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等が挙げられる。これらの樹脂については、朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化型樹脂を各層に使用することも可能である。これらの例とその製造方法については、特開昭62−256219号公報に詳細に記載されている。
以上の樹脂は単独または組合せて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体、から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組合せ、またはこれらにポリイソシアネートを組み合わせたものが挙げられる。
ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用できる。ここに示したすべての結合剤について、より優れた分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)2(以上につきMは水素原子またはアルカリ金属塩基)、−OH、−NR2、−N+3(Rは炭化水素基)、エポキシ基、−SH、−CN、などから選ばれる少なくとも一つ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いることが好ましい。このような極性基の量は10-1〜10-8モル/gとすることができ、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。
本発明において用いられるこれらの結合剤の具体的な例としては、ユニオンカーバイト社製VAGH、VYHH、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、VYES、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、PKHH、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業社製MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TAL、MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、MPR−TM、MPR−TAO、電気化学社製1000W、DX80、DX81、DX82、DX83、100FD、日本ゼオン社製MR−104、MR−105、MR110、MR100、MR555、400X−110A、日本ポリウレタン社製ニッポランN2301、N2302、N2304、大日本インキ社製パンデックスT−5105、T−R3080、T−5201、バーノックD−400、D−210−80、クリスボン6109、7209、東洋紡社製バイロンUR8200、UR8300、UR−8700、RV530、RV280、大日精化社製ダイフェラミン4020、5020、5100、5300、9020、9022、7020、三菱化成社製MX5004、三洋化成社製サンプレンSP−150、旭化成社製サランF310、F210などが挙げられる。
本発明において、非磁性層、磁性層に用いられる結合剤は、非磁性粉末または磁性粉末に対し、5〜50質量%の範囲、好ましくは10〜30質量%の範囲で用いることができる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜30質量%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜20質量%、ポリイソシアネートを用いる場合は2〜20質量%の範囲でこれらを組み合わせて用いることが好ましいが、例えば、微量の脱塩素によりヘッド腐食が起こる場合は、ポリウレタンのみまたはポリウレタンとイソシアネートのみを使用することも可能である。本発明において、ポリウレタンを用いる場合は、ガラス転移温度が−50〜150℃、好ましくは0〜100℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.05〜10Kg/mm2(≒0.49〜98MPa)、降伏点が0.05〜10Kg/mm2(≒0.49〜98MPa)のものを用いることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体が非磁性層を有する場合、結合剤量、結合剤中に占める塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート、あるいはそれ以外の樹脂の量、磁性層を形成する各樹脂の分子量、極性基量、あるいは先に述べた樹脂の物理特性などを必要に応じ各層とで変えることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべきであり、多層磁性層に関する公知技術を適用できる。例えば、各層で結合剤量を変更する場合、磁性層表面の擦傷を減らすためには磁性層の結合剤量を増量することが有効であり、ヘッドに対するヘッドタッチを良好にするためには、非磁性層の結合剤量を多くして柔軟性を持たせることができる。
本発明に用いられるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL、武田薬品社製タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル社製デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL、等が挙げられ、これらを単独または硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで各層とも用いることができる。
本発明に用いられる研磨剤としては、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイヤモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度6以上の公知の材料を単独または組合せで使用することができる。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には、主成分以外の化合物または元素が含まれる場合もあるが、主成分が90質量%以上であれば効果に変わりはない。タップ密度は0.3〜2g/ml、含水率は0.1〜5質量%、pHは2〜11、比表面積(SBET)は1〜30m2/gであることがそれぞれ好ましい。本発明に用いられる研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するものが研磨性が高く好ましい。本発明に用いられる研磨剤の具体的な例としては、住友化学社製AKP−20、AKP−30、AKP−50、HIT−50、HIT−55、HIT−60A、HIT−70、HIT−100、日本化学工業社製G5、G7、S−1、戸田工業社製TF−100、TF−140などが挙げられる。本発明に用いられる研磨剤は、磁性層(上下層)、非磁性層で種類、量および組合せを変え、目的に応じて使い分けることはもちろん可能である。これらの研磨剤はあらかじめ結合剤で分散処理したのち磁性塗料中に添加してもかまわない。
本発明において、磁性層または非磁性層には、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤として、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果などをもつものが使用できる。そのような添加剤としては、二硫化モリブデン、二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、および、これらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール、(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数12〜22のアルコキシアルコール、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミン、などが使用できる。
これらの具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノ−ル酸、リノレン酸、エライジン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、オレイルアルコール、ラウリルアルコールが挙げられる。また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加体等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基、などの酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベダイン型等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分の量は30%以下であることが好ましく、さらに好ましくは10%以下である。
本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面活性剤は磁性層と非磁性層とでその種類、量を必要に応じ使い分けることができる。例えば、非磁性層と磁性層とで融点の異なる脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制御する、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を非磁性層で多くして潤滑効果を向上させるなど考えられ、無論ここに示した例のみに限られるものではない。また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性層塗布液製造のどの工程で添加してもかまわない。例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。また、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐次塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより目的が達成される場合がある。また、目的によってはカレンダーした後、またはスリット終了後、磁性層表面に潤滑剤を塗布することもできる。
本発明で使用される潤滑剤の商品例としては、日本油脂社製NAA−102、NAA−415、NAA−312、NAA−160、NAA−180、NAA−174、NAA−175、NAA−222、NAA−34、NAA−35、NAA−171、NAA−122、NAA−142、NAA−160、NAA−173K、ヒマシ硬化脂肪酸、NAA−42、NAA−44、カチオンSA、カチオンMA、カチオンAB、カチオンBB、ナイミ−ンL−201、ナイミーンL−202、ナイミーンS−202、ノニオンE−208、ノニオンP−208、ノニオンS−207、ノニオンK−204、ノニオンNS−202、ノニオンNS−210、ノニオンHS−206、ノニオンL−2、ノニオンS−2、ノニオンS−4、ノニオンO−2、ノニオンLP−20R、ノニオンPP−40R、ノニオンSP−60R、ノニオンOP−80R、ノニオンOP−85R、ノニオンLT−221、ノニオンST−221、ノニオンOT−221、モノグリMB、ノニオンDS−60、アノンBF、アノンLG、ブチルステアレート、ブチルラウレート、エルカ酸、関東化学社製オレイン酸、竹本油脂社製FAL−205、FAL−123、新日本理化社製エヌジェルブLO、エヌジェルブIPM、サンソサイザーE4030、信越化学社製TA−3、KF−96、KF−96L、KF96H、KF410、KF420、KF965、KF54、KF50、KF56、KF907、KF851、X−22−819、X−22−822、KF905、KF700、KF393、KF−857、KF−860、KF−865、X−22−980、KF−101、KF−102、KF−103、X−22−3710、X−22−3715、KF−910、KF−3935、ライオンアーマー社製アーマイドP、アーマイドC、アーモスリップCP、ライオン油脂社製デュオミンTDO、日清製油社製BA−41G、三洋化成社製プロファン2012E、ニューポールPE61、イオネットMS−400、イオネットMO−200、イオネットDL−200、イオネットDS−300、イオネットDS−1000、イオネットDO−200などが挙げられる。
[層構成]
本発明の磁気記録媒体において、非磁性支持体の厚さは、2〜100μmとすることができ、好ましくは2〜80μmである。本発明の磁気記録媒体がコンピューターテープである場合、非磁性支持体としては、3.0〜10μm(好ましくは、3.0〜9.0μm、更に好ましくは、3.0〜8.0μm)の範囲の厚さのものを使用することができる。また、非磁性可撓性支持体と非磁性層また磁性層の間に密着性向上のための下塗り層を設けてもかまわない。該下塗層厚みは0.01〜0.5μmとすることができ、好ましくは0.02〜0.5μmである。
[非磁性支持体]
本発明において使用される非磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロ−ストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、アラミド、芳香族ポリアミドなどの公知のフィルムが使用できる。これらの支持体には、あらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理などを行っても良い。
非磁性支持体の表面粗さは、必要に応じて支持体に添加されるフィラーの大きさと量により自由にコントロールすることができる。これらのフィラーの一例としては、Ca、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機微粉末が挙げられる。支持体の最大高さSRmaxは1μm以下、十点平均粗さSRzは0.5μm以下、中心面山高さはSRpは0.5μm以下、中心面谷深さSRvは0.5μm以下、中心面面積率SSrは10%以上、90%以下、平均波長Sλaは5μm以上、300μm以下であることがそれぞれ好ましい。所望の電磁変換特性と耐久性を得るため、これら支持体表面に微小な突起を形成させることができ、通常平均粒径0.01〜0.2μmのフィラーを0〜20000個/mm2の範囲で、支持体を形成する樹脂に添加し分散させることで、支持体表面の微小突起をコントロールすることができる。この場合、粒径分布中の粗大粒子や凝集した粒子が通常存在するために、それによって形成される粗大突起が存在することがあるが、本発明では、支持体表面の高さが0.273μm以上の突起数は100個/100cm2以下、更には80個/100cm2以下であることが好ましく、50個/100cm2以下であることが一層好ましい。
非磁性支持体の磁性層(非磁性層を設ける場合には非磁性層)を塗布する面の中心線表面粗さは、10nm以下0.1nm以上であることができ、好ましくは6nm以下0.2nm以上、さらに好ましくは4.5nm以下0.5nm以上である。非磁性支持体の長手方向のヤング率は5GPa以上、好ましくは6GPa以上、さらに好ましくは8GPa以上であることができ、幅方向のヤング率は3GPa以上、好ましくは4GPa以上であることができる。また、支持体の100℃30分での熱収縮率は、好ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以下であることができ、80℃30分での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下であることができる。破断強度は5〜100kg/mm2(≒49〜980MPa)、弾性率は100〜2000kg/mm2(≒0.98〜19.6GPa)であることが好ましい。温度膨張係数は10-4〜10-8/℃であることができ、好ましくは10-5〜10-6/℃である。湿度膨張係数は10-4/RH%以下であることができ、好ましくは10-5/RH%以下である。これらの熱特性、寸法特性、機械強度特性は支持体の面内各方向に対し10%以内の差でほぼ等しいことが好ましい。
[磁気記録媒体の製造方法]
本発明の磁気記録媒体は、各層を形成するための塗布液を塗布・乾燥等することで製造することができる。塗布液を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていてもかまわない。本発明において使用される強磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料は、どの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後に粘度調整をするための混合工程で分割して投入してもよい。
本発明の磁気記録媒体の製造方法で用いられる有機溶媒としては、任意の比率で、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコ−ル等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N、N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等が使用できる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなくてもよく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分の量は30%以下であることが好ましく、更に好ましくは10%以下である。本発明で用いる有機溶媒は、磁性層と非磁性層とでその種類は同じであることが好ましい。その添加量は変えてもかまわない。非磁性層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)を用い塗布の安定性をあげる、具体的には上層溶剤組成の算術平均値が下層溶剤組成の算術平均値を下回らないことが肝要である。分散性を向上させるためにはある程度極性が強い方が好ましく、溶剤組成の内、誘電率が15以上の溶剤が50%以上含まれることが好ましい。また、溶解パラメータは8〜11であることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体を製造するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができることはもちろんであるが、混練工程では、連続ニーダや加圧ニーダなど強い混練力をもつものを使用することにより、高い残留磁束密度(Br)を有する磁気記録媒体を得ることもできる。連続ニーダまたは加圧ニーダを用いる場合は、強磁性粉末と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結合剤の30%以上が好ましい)および強磁性粉末100質量部に対し15〜500質量部の範囲で混練処理される。これらの混練処理の詳細については、特開平1−106338号公報、特開昭64−79274号公報に記載されている。また、非磁性層塗布液を調製する場合には高比重の分散メディアを用いることが望ましく、ジルコニアビーズが好適である。
非磁性粉末と結合剤を含有する非磁性層塗布液および強磁性粉末と結合剤とを含む磁性層塗布液を、非磁性層の上に磁性層が形成されるように、非磁性支持体上に同時または逐次に塗布し、塗布層が湿潤状態にあるうちにスムージング処理と磁場配向とを行う方法を用いることができる。
上記のような重層構成の磁気記録媒体を塗布する装置、方法としては、例えば、以下のような方法および装置を挙げることができる。
1.磁性層塗布液の塗布で一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布装置等により、まず非磁性層を塗布し、非磁性層がウェット状態のうちに、特公平1−46186号公報や特開昭60−238179号公報、特開平2−265672号公報に開示されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により磁性層を塗布する。
2.特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報、特開平2−265672号公報に開示されているような塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つの塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する。
3.特開平2−174965号公報に開示されているバックアップロール付きエクストルージョン塗布装置により上下層をほぼ同時に塗布する。
強磁性粉末の凝集による磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭62−95174号公報や特開平1−236968号公報に開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗布液にせん断を付与することが望ましい。さらに、塗布液の粘度については、特開平3−8471号公報に開示されている数値範囲を満足することが適当である。
さらに、スムージング処理は、例えば、ステンレス板をウェブ上の塗布層表面に当てて行うことができ、これ以外に、特公昭60−57387号公報に記載されているような固体スムーザーによる方法、静止しているか、またはウェブ走行方向と逆方向に回転しているロッドで塗布液を掻き落とし計量する方法、塗布液膜の表面にフレキシブルなシートを面接触させて平滑化する方法等を採用することもできる。
また、磁場配向には、1000G(0.1T)以上のソレノイドと2000G(0.2T)以上のコバルト磁石を同極対向で併用することが好ましい。また、本発明の磁気記録媒体がディスク状媒体である場合は、むしろ配向をランダマイズするような配向法を用いることが好ましい。
カレンダ処理ロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールを使用することができる。また、金属ロール同士で処理することも出来る。処理温度は、好ましくは30℃以上、さらに好ましくは35℃以上100℃以下である。線圧力は、好ましくは200kg/cm、さらに好ましくは300kg/cm以上である。本発明の磁気記録媒体の磁性層面およびその反対面のSUS420Jに対する摩擦係数は、好ましくは0.5以下、さらに0.3以下、表面固有抵抗は好ましくは104〜1012オ−ム/sq、磁性層の0.5%伸びでの弾性率は走行方向、幅方向とも好ましくは100〜2000kg/mm2(≒0.98〜19.6GPa)、破断強度は好ましくは1〜30kg/cm2(≒0.098〜2.94MPa)、磁気記録媒体の弾性率は、走行方向、長手方向とも、好ましくは100〜1500kg/mm2(≒49〜735MPa)、残留伸びは好ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.1%以下である。磁性層のガラス転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性測定の損失弾性率の極大点)は50℃以上120℃以下であることが好ましく、非磁性層のそれは0℃〜100℃であることが好ましい。損失弾性率は1×108〜8×109dyne/cm2(1×107〜8×108Pa)の範囲にあることが好ましく、損失正接は0.2以下であることが好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が出やすい。
磁性層中に含まれる残留溶媒は、好ましくは100mg/m2以下、さらに好ましくは10mg/m2以下である。磁性層が有する空隙率は非磁性層、磁性層とも好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは20容量%以下である。高出力を果たすためには空隙率は小さい方が好ましいが、目的によってはある値を確保した方が良い場合がある。例えば、繰り返し用途が重視されるデータ記録用磁気記録媒体では空隙率が大きい方が走行耐久性は好ましいことが多い。本発明の磁気記録媒体の磁気特性は磁場398kA/m(5KOe)で測定した場合、テープ走行方向の角形比は0.70以上であることができ、好ましくは0.80以上さらに好ましくは0.90以上である。
テープ走行方向に直角な二つの方向の角型比は走行方向の角型比の80%以下となることが好ましい。前述のように、磁性層のSFD(Swiching Field Distribution)は0.6以下であることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性層と磁性層とを有するものであることができ、目的に応じ非磁性層と磁性層とでこれらの物理特性を変えることができることは容易に推定されることである。例えば、磁性層の弾性率を高くし走行耐久性を向上させると同時に非磁性層の弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを良くするなどである。磁性層は二層以上であることもでき、二層以上の磁性層にそれぞれどのような物理特性をもたらすかは、公知の磁性層重層に関する技術を参考にすることができる。例えば上層磁性層のHcを下層磁性層のHcより高くすることは、特公昭37−2218号公報、特開昭58−56228号公報等をはじめ多くの文献に記載されており、本発明のように磁性層を薄層にすることにより、より高いHcの磁性層でも記録が可能になる。
次に、実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。実施例中、「部」との表示は「質量部」を表す。

[実施例1]
磁性層塗布液
強磁性金属粉末 組成 Fe/Co=100/30 100部
Hc:187kA/m(2350Oe)
BET法による比表面積:69m2/g
表面処理剤:Al23、SiO2
粒子サイズ(長軸径):50nm
針状比:7
σs:120A・m2/kg(120emu/g)
表面修飾剤(フェニルホスホン酸) 5部
塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部
ポリウレタン樹脂 Tg 80℃ 5部
α−Al23(モース硬度9、平均粒径0.1μm) 5部
カーボンブラック(平均粒径0.08μm) 0.5部
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 5部
メチルエチルケトン 90部
トルエン 60部
上記の塗布液について、各成分をオープンニーダで混錬した後、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液にメチルエチルケトン、シクロヘキサノン混合溶媒40部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層塗布液を調製した。
非磁性層塗布液
非磁性粉体 αFe23 ヘマタイト 80部
長軸長:0.10μm
BET法による比表面積:52m2/g
pH:6
タップ密度:0.8
DBP吸油量:27〜38g/100g
表面処理剤:Al23、SiO2
表面修飾剤(フェニルホスホン酸) 5部
カーボンブラック 20部
平均一次粒子径:16nm
DBP吸油量:80ml/100g
pH:8.0
BET法による比表面積 :250m2/g
揮発分:1.5%
塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 17部
ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 5部
α−Al23(平均粒径0.2μm) 5部
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 100部
シクロヘキサノン 50部
トルエン 50部
上記の塗布液について、各成分をオープンニーダで混錬した後、サンドミルを用いて分散させた。得られた非磁性層分散液にメチルエチルケトン、シクロヘキサノン混合溶媒40部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層塗布液を調製した。
バックコート層塗布液
混錬物(A)
カーボンブラックA 粒径 40nm 100部
ニトロセルロース(旭化成社製セルノバBTH1/2) 50部
ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡) 40部
分散剤 フタロシアニン系分散剤A(塩基性点:5個) 5部
オレイン酸銅 5部
沈降性硫酸バリウム 5部
メチルエチルケトン 500部
トルエン 500部
フラーレンC60 3部
混錬物(B)
カーボンブラック B 5部
粒径:90nm
DBP吸油量:70ml/100g
ニトロセルロース(旭化成社製セルノバBTH1/2) 40部
ポリウレタン樹脂 UR8200 (東洋紡) 10部
メチルエチルケトン 300部
トルエン 300部
混練物(A)と混練物(B)をサンドグラインダーで分散し、完成後、以下を添加し、バックコート層塗布液を調製した。
ポリエステル樹脂 東洋紡 バイロン300 5部
ポリイソシアネート 日本ポリウレタン社製コロネートL 5部
得られた非磁性層塗布液を乾燥後の厚さが1μmになるように、さらにその直後にその上に磁性層の厚さが0.11μmになるように、厚さ6μmで磁性層塗布面の中心線表面粗さが0.001μmのポリエチレンテレフタレート樹脂支持体上に同時重層塗布を行い、両層がまだ湿潤状態にあるうちに0.5T(5000G)の磁力を持つコバルト磁石と0.4T(4000G)の磁力を持つソレノイドにより配向させ乾燥後、磁性層と反対の面に0.6μmのバック層を塗布した。その後金属ロールから構成される7段のカレンダで温度100℃にて分速200m/minで処理を行い、1/2mm幅にスリットしてデジタル記録用テープを作製した。
実施例1で使用したフタロシアニン系分散剤Aの構造を以下に示す。
Figure 2006079691
[実施例2]
フタロシアニン系分散剤として、下記フタロシアニン系分散剤B(塩基性点:5個)を5部使用し、フラーレンC60の添加量を5部に変更した以外は、実施例1と同様に磁気テープを作製した。
Figure 2006079691
[実施例3]
フタロシアニン系分散剤として、下記フタロシアニン系分散剤C(塩基性点:5個)を6部使用し、フラーレンC60の添加量を6部に変更した以外は、実施例1と同様に磁気テープを作製した。
Figure 2006079691

[実施例4]
フラーレンC60の添加量を1部に変更した以外は、実施例1と同様に磁気テープを作製した。
[実施例5]
フラーレンC60の添加量を7部に変更した以外は、実施例1と同様に磁気テープを作製した。
[実施例6]
表1に示す粒径の微粒子カーボンブラックおよび粗粒子カーボンブラックを使用し、フラーレンC60の添加量を5部に変更した以外は、実施例1と同様に磁気テープを作製した。
[比較例1]
バックコート層にフラーレンC60を添加せず、フタロシアニン系分散剤の添加量を20部に変更した以外は、実施例1と同様に磁気テープを作製した。
[比較例2]
フタロシアニン系分散剤の添加量を10部に変更した以外は、比較例1と同様に磁気テープを作製した。
[比較例3]
フタロシアニン系分散剤の添加量を5部に変更した以外は、比較例1と同様に磁気テープを作製した。
[比較例4]
表1に示す粒径の微粒子カーボンブラックおよび粗粒子カーボンブラックを使用した以外は、比較例3と同様に磁気テープを作製した。
測定方法
(1)NOxガス発生量、パーマロイ腐食
磁気テープ一巻(長さ600m、幅1/2インチ)を、カートリッジから取り出して、発生ガスの漏れを遮断する袋(容積230ml)に密閉した。この状態で80℃、18時間保存した後の袋内のNOxガス量を、NOxガス用検知管で測定した。100μmのベースにMRヘッドと同じ組成のパーマロイ・スパッター膜を作製し、テープとともに袋の中に保存し、保存後のパーマロイ腐食を観察した。パーマロイ腐食は、以下の三段階で評価した。
3点:目視で腐食を観察できる。
2点:目視では変化が観察されないが、光学顕微鏡により腐食が観察される。
1点:変化なし
(2)ドロップアウト
磁気テープ試料に記録トラック幅15μm、記録波長0.36μm、テープ送り速度2.5m/秒で信号を記録し、MRヘッドを用いてリードトラック幅7.5μm、テープ送り速度2.5m/秒で信号を再生した。このとき、0.08μsec以上の時間、出力が50%以上低下したときの、記録1MB当たりのドロップアウト個数を調べた。
(3)バックコート層突起個数
バックコート層の自乗平均表面から50nm以上の高さを有する突起個数を、ZYGO社製の表面粗さ計(NewView5000)を使用して265μm×350μmの範囲を測定し、画像解析ソフトにより自乗平均表面から50nm以上の高さの領域の個数を積算して求めた。
Figure 2006079691
評価結果
バックコート層の結合剤としてニトロセルロースを使用し、かつ、バックコート層にフタロシアニン系分散剤およびフラーレンC60を添加した実施例1〜6の磁気テープは、NOxガス発生量が70ppm以下に低減され、パーマロイ腐食が観察されなかった。また、バックコート層表面の50nm以上の高さの突起個数が220個/265×350μm2以下の実施例1〜5の磁気テープでは、ドロップアウトが低減された。
それに対し、バックコート層にニトロセルロースとフタロシアニン系分散剤を含むがフラーレンC60を含まない比較例1〜4の磁気テープは、NOxガスが多量に発生し、パーマロイ腐食が観察された。
本発明の磁気記録媒体は、長期保存後のNOx発生量が少なく、長期にわたり高い信頼性をもって使用することができる。

Claims (7)

  1. 非磁性支持体の一方の面に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、他方の面にカーボンブラック、フタロシアニン系分散剤、および結合剤を含むバックコート層を有する磁気記録媒体であって、
    前記バックコート層に含まれる結合剤は、ニトロセルロースを含み、
    前記バックコート層は、フラーレンを更に含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記磁気記録媒体のNOxガス発生量は、70ppm以下である、請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記バックコート層は、前記磁気記録媒体のNOxガス発生量が70ppm以下になる量のフラーレンを含有する、請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記バックコート層は、ニトロセルロース100質量部に対して3〜6質量部のフラーレンを含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記フラーレンは、フラーレンC60である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記バックコート層表面の50nm以上の高さを持つ突起個数が220個/265×350μm2以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 前記バックコート層は、バックコート層表面の50nm以上の高さを持つ突起個数が220個/265×350μm2以下になる粒径および量のカーボンブラックを含有する、請求項6に記載の磁気記録媒体。
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