JP2006078467A - 水晶デバイスとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、振動特性が安定して信頼性が高く、高精度の水晶デバイスを提供することが目的である。さらに本発明は安定した精度の高い角速度の検出が可能な高精度で高い信頼性を有する水晶ジャイロを提供することが目的である。
【解決手段】 基部とこの基部から突出して形成される複数の振動脚とを備えた水晶片を有する音叉型の水晶デバイスであって、この水晶片には基部と複数の振動脚とを一平面に有する主面が構成されている。またこの主面には、振動脚の先端からつけ根を通って、他の振動脚の付け根に向かい、さらにその振動脚の先端へと結ばれる複数の線分からなる又部を有している。さらに、この又部は、一方の振動脚の付け根と接続される線分が、その振動脚と鋭角な角度をなして接続され、他方の振動脚の付け根と接続される線分が、その振動脚と鋭角な角度をなして接続されるM字型形状をしている。
【選択図】 図1

Description

基部とこの基部から突出して形成される複数の振動脚とで構成される音叉型の水晶デバイスとその製造方法に関し、特には角速度センサとして用いる音叉型の水晶ジャイロとその製造方法に関する。
近年の高精度で小型のHDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ、携帯電話、自動車電話、さらに移動体通信機器等の普及によって、それらに用いられる水晶振動子に代表される水晶デバイスにも高信頼性と高精度化の要求が高まっている。
またこうした水晶デバイスの中でも、特にナビゲーションシステムの角速度検出やビデオカメラの手ぶれ制御に使われる水晶ジャイロにおいては、特に高信頼性と高精度化の要求が高まっている。
図10は、従来の水晶デバイスを示した斜視図である。従来の音叉型の水晶デバイスの構造を以下に説明する(例えば、特許文献1参照。)。従来の水晶デバイス3は、水晶からなる基部3aとその基部から突出して形成される振動脚3bとを備えた音叉型形状の水晶片11とその水晶片11に電界を生じさせるための電極501、511とで構成されている。なお振動脚3bとはその先端から基部3aの方向に向かって最初の屈曲部までの領域のことを指し、基部3aとはこの屈曲部以降の領域のことを指す。
電極501と電極511はそれぞれ分離されており、それぞれに異なった電圧を与えることができるようになっている。水晶片11は圧電材料であるので電極501と電極511の間に電圧が印加され水晶片11の内部に電界が生じると、その電界に応じて一定の方向に一定の量だけ伸縮する。これにより水晶片11の振動脚3bを振動させることができ、水晶デバイスの応用製品の一つである水晶振動子として用いることができる。
次に従来の水晶デバイスの製造方法について説明する。図11は一般的な水晶デバイスの製造方法の前半の工程を示した図である。図12は一般的な水晶デバイスの製造方法の後半の工程を示した図である。図9は従来の水晶デバイスの製造に用いられるマスクパターンの形状を示した図である。
まず、図11(a)に示すように、表裏の両面にマスク層21、22とレジスト層31、32を積層して形成した水晶基板15を用意し、さらにマスクパターン41が形成されたマスク40によって、水晶基板15の両面に形成されたレジスト層31、32を、所定の波長の紫外線UVで露光する。するとマスクパターン41が形成されていない部分のみ、レジスト層31、32は露光されることになる。
なお、この露光工程(図11(a))で使用されるマスクパターン41は図9に示すような形状をしている。図9に示すようにマスクパターン41Bは、基部3aの外形をかたどった基部領域1411と振動脚3bの外形をかたどった振動脚領域1412とで構成されている。
さらに従来のマスクパターン41Bでは、振動脚領域1412のつけ根と接続する基部領域1411側の線分1415が、振動脚領域1412の長手方向に垂直な軸に対して約30°の角度をなして形成されているのが特徴であった。すなわち、この線分1415は振動脚領域1412の長手方向である線分1416に対して約120°の角度をなして接
続されていた。
次に図11(b)に示すように、レジスト層31、32を現像してレジスト層パターン131、132を形成する。
その後さらに、図11(c)に示すように、レジスト層パターン131、132をマスクとして使用し、マスク層21、22をエッチングし、マスク層パターン121、122を形成する。以上の工程により、マスク層パターン121、122はマスク40のマスクパターン41と同じ形状で形成される。すなわち従来の水晶デバイスの製造方法においてマスク層パターン121、122は、図9のマスクパターン41Bに示すような平面形状で形成されていた。
次に図12(d)に示すように、レジスト層パターン131、132を除去し、水晶基板15上にマスク層パターン121、122のみが形成されている状態にする。
その後、図12(e)に示すように、水晶基板15をエッチングして水晶片13の外形を形成する。この時、水晶片13のエッチングされなかった面、すなわちマスク層パターン121、122で覆われていた面は、マスク層パターン121、122とほぼ同じ形状で形成される。
最後に、図12(f)に示すように、マスク層パターン121、122を除去し、所望の外形形状を有する水晶片13が完成する。
さらにその後、電極501、511が形成されて、音叉型の水晶デバイス3が完成する。
特開平10−41772号公報(第5頁、図2、図3)
図10に示す従来の水晶デバイス3では、それに構成される水晶片11をエッチングによって形成するのが一般的であった。しかしながら、水晶はエッチングされる方向によって反応速度が異なる特性(これを一般に異方性エッチング特性と称する。)を有しており、その結果、図10に示すように、基部3aの振動脚3bに挟まれた中間領域、すなわち図10において一方の振動脚3bの先端からつけ根を通って、他方の振動脚3bの付け根に向かい、さらに他方の振動脚3bの先端へと結ばれる部分(一般にこの部分を又部と称する。)に側面から突出してできた尾根状のエッチング残り部111が必ず形成されてしまう。
図10に示すように、又部にエッチング残り部111が形成されると、本来X軸方向に振動しなければならない振動脚3bが、W1のようにZ軸方向に少し傾いて振動してしまう。このZ軸に傾いて振動するW1振動はエッチング残り部111が大きくなればなるほどZ軸方向に大きく振れる。
図8は従来の水晶デバイスの音叉の又部近傍の拡大図と側面図である。なお図8(b)は図8(a)におけるC方向から見た側面形状を示している。図8(b)に示すように、エッチング残り部111は、水晶片11の側面を主面211から主面221に向けて斜めに尾根状に形成されている。そのため振動脚3bのつけ根付近に斜めに梁をいれたような状態になり、これが原因でZ軸方向に傾いて振動するW1振動が発生してしまうのである
。なお本明細書において、つけ根とは振動脚3bと基部3aの境界の部分をいい、図8(a)においては、振動脚3bの先端方向から基部3a側に向かう最初の屈曲部がつけ根となる。
また図8(a)に示すようにエッチングによって形成されたエッチング残り部111は音叉の又部の一方の振動脚側のみに形成され、その結果、図10に示すように左右の振動脚3bで振動方向が異なってしまう。
以上のように振動脚3bが不安定な方向に振動することにより、不安定で精度の低い水晶デバイスができあがることが多くなり、従来は水晶片11を形成した後、電極501、511や水晶片11を適度に除去する加工工程を付加して、振動方向のバランスを調節していた。
なお音叉型の水晶デバイスの一つの応用製品である水晶ジャイロにおいては、図10に示すW1振動のようなZ軸に傾いた振動は、非常に大きな問題となる。なぜなら、水晶ジャイロにおいてZ軸方向は、検出しようとする角速度の方向そのものであり、W1のようなZ軸方向の振動は検出しようとする本来の正確な角速度を狂わす要因となってしまうからである。よって、従来水晶ジャイロは精度が低く、且つ信頼性が低かった。
本発明の目的は、高精度で信頼性の高い音叉型の水晶デバイスとその製造方法を提供することであり、特に水晶ジャイロとして用いることで、正確な角速度の検出が可能な高精度で信頼性の高い水晶ジャイロとその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の水晶デバイスは、基部と基部から突出して形成される複数の振動脚とを備えた水晶片を有する水晶デバイスであって、
水晶片には基部と複数の振動脚とを一平面に有する主面が構成されており、その主面には、振動脚の先端からつけ根を通って、他の振動脚の付け根に向かい、さらにその振動脚の先端へと結ばれる複数の線分からなる又部を有しており、又部の一方の振動脚の付け根と接続される線分が、一方の振動脚と鋭角な角度をなして接続されており、又部の他方の振動脚の付け根と接続される線分が、他方の振動脚と鋭角な角度をなして接続されていることを特徴とする。
さらに、又部がM字型をしているのが望ましい。
さらに、振動脚の付け根と接続される線分は、振動脚の長手方向に対して30〜70度の角度をなして振動脚と接続されているのが望ましい。
また、本発明の水晶デバイスの製造方法は、基部と基部から突出して形成される複数の振動脚とを備え、さらに基部と複数の振動脚とを一平面に有する主面を備えた水晶片を有する水晶デバイスの製造方法であって、
水晶基板の平面上に感光性材料からなるレジスト層と水晶のエッチングに対して耐食性を有するマスク層を形成し、所定の形状からなるマスクパターンが描画されたマスクを介して露光する工程と、レジスト層を現像しレジストパターンを形成する工程と、マスク層をエッチングしマスク層パターンを形成する工程と、水晶基板をエッチングし所定の形状からなる主面を備えた水晶片を形成する工程とを有しており、
マスクパターンは、基部を形成するための基部領域と、複数の振動脚を形成するための複数の振動脚領域とを有しており、且つ、一方の振動脚領域の先端からつけ根を通って、他の振動脚領域の付け根に向かい、さらにその振動脚領域の先端へと結ばれる複数の線分からなる形状を有し、
一方の振動脚領域の付け根と接続される線分が、一方の振動脚と鋭角な角度をなして接続され、さらに他方の振動脚の付け根と接続される線分が、他方の振動脚と鋭角な角度をなして接続された形状をしていることを特徴としている。
さらに、一方の振動脚領域の先端からつけ根を通って、他の振動脚領域の付け根に向かい、その振動脚領域の先端へと結ばれる複数の線分がM字型をしているのが望ましい。
振動脚領域の付け根と接続される線分は、振動脚領域の長手方向に対して30〜70度の角度をなして振動脚領域と接続されているのが望ましい。
(作用)
本発明の上記手段では、水晶片の又部の形状をM字形状にしている。また水晶はその結晶面によってエッチング速度が異なるというエッチング特性(これを一般に異方性エッチング特性と称する。)を有している。本発明のように又部をM字形状にすると、水晶の結晶面の方向とM字の形状とが影響し合い、音叉型水晶片の又部側面に形成されるエッチング残り部を、左右の振動脚の両方の付け根に、ほぼ同じ大きさで、左右均等に形成することができる。さらにこれらエッチング残り部は、音叉型水晶片の又部側面のほぼ中央に形成することができる。本発明では、このようにエッチング残り部が形成される位置が、従来と大きく異なっている点がおおきな特徴である。
従来の水晶デバイスに用いられていた水晶片では、一方の振動脚の付け根にだけエッチング残り部が形成され、さらにそのエッチング残り部は、水晶片の側面を一方の主面から他方の主面に向けて斜めに尾根状に形成されていた。そのため一方の振動脚のつけ根付近に斜めに梁をいれたような状態になり、左右の振動脚の振動バランスを崩していた。
しかしながら、本発明では、水晶片の又部形状をM字形状にするだけで、上述のように左右の振動脚の付け根の側面中央にエッチング残り部を形成することができ、その結果、左右の振動脚の振動バランスを崩すことなく、安定した振動をさせることができるようになった。
なお本発明の音叉型の水晶デバイスは、水晶振動子、水晶発振器など多種の水晶デバイスに利用可能であるが、特に水晶ジャイロに利用した場合に効果的であり、従来よりも高い検出感度を有する高精度の水晶ジャイロを得ることができる。
通常、水晶ジャイロにおいて、検出しようとする角速度の方向は、振動脚の振動方向に垂直な方向であり、振動脚の振動が安定していないと、正確な角速度の検出ができない。しかしながら本発明の水晶デバイスによる水晶ジャイロでは、左右の振動脚の振動が設計通りに安定しているため、振動方向に垂直な角速度を正確に検出することができるのである。
本発明の目的は、高精度で信頼性の高い音叉型の水晶デバイスとその製造方法を提供することであり、さらには、正確な角速度の検出が可能な高精度で信頼性の高い水晶ジャイロとその製造方法を提供することにある。
本発明の水晶デバイスによれば、音叉型の水晶片の振動を安定化させることができ、その結果、高い信頼性と高い精度を有する水晶デバイスが得られた。
また本発明の水晶デバイスによれば、従来は振動特性安定化のため必要とされていたエッチング工程後の加工工程を簡略化もしくは省略することができるようになり、その結果
、従来に比べて生産性が良好な水晶デバイスが得られた。
また本発明の水晶デバイスを水晶ジャイロとして利用することによって、振動を安定化させることができ、正確な角速度の検出が可能となったため、検出感度の高い高精度を有する水晶ジャイロが得られた。
本発明の水晶デバイスの製造方法によれば、安定した振動が得られる水晶片を形成でき、その結果、高い信頼性と高い精度を有する水晶デバイスを製造できるようになった。
また本発明の水晶デバイスの製造方法によれば、従来は振動特性安定化のため必要とされていたエッチング工程後の加工工程を簡略化もしくは省略することができ、生産性が向上した。
(第1の実施形態)
図1は本発明の水晶デバイスを示した図である。図3は本発明の水晶デバイスの主面側から見た平面図である。本発明の水晶デバイス1は水晶からなる水晶片10と電極500及び電極510とを有した構成になっている。水晶片10は基部1aとその基部1aから突出して形成されている複数の振動脚1bとで構成され、音叉型の形状をなしている。また電極500と電極510は電気的に分離されており、互いに異なる電圧を与えることによって、水晶片10の内部に電界を生じさせることができる。なお水晶片10は水晶からなっており圧電材料であるので、内部に生じる電界の方向に応じて伸縮し、この伸縮運動によって振動脚1bを振動させることが可能である。図1に示す本実施形態において、電極500、510に電圧が加わると2本の振動脚1bはX軸に沿った振動W0を発生させることができた。なお図1において、振動脚1bは先端から基部1aの方向に向かって延びる外形線の最初の屈曲部までを言い、この屈曲部以降の部分を基部1aとする。また、本明細書では基部1aと振動脚1bとの境界部をつけ根と定義する。
図1に示す本発明の水晶デバイス1において、図10に示す従来の水晶デバイス3と異なる点は、水晶片10の基部1aと振動脚1bとが一平面上にある二つの主面210、220の形状にある。特に、本発明では、これら主面210、220の2本の振動脚1bに挟まれた部分、すなわち一方の振動脚1bの先端からつけ根を通って、他方の振動脚1bの付け根に向かい、さらに他方の振動脚1bの先端へと結ばれる部分(以降、本明細書ではこの部分を又部と記す。)の形状が従来とは異なっている。
本発明の音叉型の水晶デバイス1では、図3に示すように、主面210、220の又部が、一方の振動脚1bの長手方向の線分103、線分103の振動脚1bのつけ根側の端部で接続される線分104、他方の振動脚1bの長手方向の線分106、線分106の振動脚1bのつけ根側の端部で接続される線分105とで構成されている。これら4本の線分103、104、105、106で構成される又部において、振動脚1bの線分103とそれに接続される線分104とが鋭角な角度θ1をなして形成されており、さらに振動脚1bの線分106とそれに接続される線分105とが鋭角な角度θ2をなして形成されている。さらに、これら2つの角度θ1とθ2はほぼ同じ大きさの角度であり、よって本発明の音叉型の水晶デバイス1の又部の形状はM字形状をしている。なお本実施形態ではθ1、θ2を約60°の角度で形成した。
本発明のように振動脚1bのつけ根を鋭角に屈曲させた形状、すなわち又部形状をM字形状すると、その鋭角な屈曲部分にエッチング残り部110が必ず形成される。その結果、本発明では、水晶片10の又部のエッチング残り部110を、2本の振動脚1bのつけ根に左右ほぼ均等に形成することができた。これにより、2本の振動脚1bを振動させた
ときの振動バランスが安定し、図1の振動W0のような安定した振動特性を得ることができた。
図2は本発明の水晶デバイスの音叉の又部近傍の拡大図と側面図である。なお図2(b)は図2(a)におけるB方向から見た側面形状を示している。図2(a)及び図2(b)に示すように、本発明の水晶デバイス1に備わるエッチング残り部110は、水晶片10の又部の側面に、二つの主面210、220とほぼ平行な稜線を有する尾根状の突起形状で形成される。従来のように二つの主面の間を横切って斜めに稜線が形成されるような形状にはなっていない。さらに左右の振動脚1bのつけ根にほぼ同じ大きさでエッチング残り部110を形成することができた。
以上のように本発明では、水晶片10の又部の側面に形成されるエッチング残り部110は二つの主面210、220とほぼ平行な稜線になるような突起形状で形成されるため、振動脚のつけ根付近での不自由な突っ張りがなく、振動脚は設計通りにX軸に沿った安定した振動W0を発生させることができた。
以上に示した本発明の音叉型の水晶デバイス1は、下記のような製造方法によって製造することが可能である。図4は本発明の水晶デバイスの製造に用いたマスクパターンの形状を示した図である。図11は一般的な水晶デバイスの製造方法の前半の工程を示した図である。図12は一般的な水晶デバイスの製造方法の後半の工程を示した図である。
まず、図11(a)に示すように、表裏の平面に、水晶のエッチングに対して耐食性を有するマスク層21、22と、感光性材料からなるレジスト層31、32を積層して形成した水晶基板15を用意する。なお本発明で使われる水晶基板15は水晶の結晶方向のZ軸に対してほぼ垂直な面(Z軸に対して85度〜95度の角度をなす面)を平面とした基板であり、一般にZ板と呼ばれる基板である。
なお本実施形態ではマスク層21、22として水晶基板15上に0.05μmの厚みで成膜したクロム(Cr)膜とそのCr膜上に0.15μmの厚みで成膜した金(Au)膜とからなる積層膜を使用した。またレジスト層31、32として東京応化(株)製のポジ型レジストOFPR−800を使用した。
そして、この水晶基板15の表裏両方の平面をマスクパターン41が描画されたマスク40によって、それぞれ所定の波長の紫外線UVで露光した。
このとき本発明の水晶デバイスの製造方法では、マスクパターン41として、図4に示すマスクパターン41Aの形状を用いた。図4に示すようにマスクパターン41Aは、基部1aを形成するための基部1aの外形をかたどった基部領域411と振動脚1bを形成するための振動脚1bの外形をかたどった2つの振動脚領域412とで構成されている。さらに、一方の振動脚領域412の線分413とその一端で接続される線分414は約60°の角度をなして形成されており、他方の振動脚領域412の線分416とその一端で接続される線分415も約60°の角度をなして形成されている。
次に図11(b)に示すようにレジスト層31、32を現像し、レジスト層パターン131、132を形成する。この時、レジスト層パターン131、132は、マスク40のマスクパターン41と同じ形状、すなわち図4に示すマスクパターン41Aの形状で形成される。なお本実施形態ではOFPR−800専用の現像液を用いて現像を行った。
さらに図11(c)に示すように、レジスト層パターン131、132をマスクとして使用してマスク層21、22をエッチングし、マスク層パターン121、122を形成す
る。この時、マスク層パターン121、122はレジスト層パターン131、132と同様にマスク40のマスクパターン41と同じ形状、すなわち図4に示すマスクパターン41Aの形状で形成される。なお本実施形態では王水によってAu膜をエッチングし、硝酸系のエッチング液によってCr膜をエッチングし、マスク層パターン121、122を形成した。
次に図12(d)に示すように、レジスト層パターン131、132を除去する。本実施形態でレジスト層パターン131、132に用いられたOFPR−800はアセトンによって容易に除去することができた。
その後図12(e)に示すように、水晶基板15をエッチングして水晶片13の外形を形成する。この時、水晶片13のエッチングされない面はマスク層パターン121、122とほぼ同じ形状で形成される。よってマスク40のマスクパターン41と同じ形状、すなわち図4に示すマスクパターン41Aの形状で形成されることになる。このエッチングされなかった面が本発明の音叉型の水晶デバイス1の主面210、220になる。なお、本実施形態では、70℃のフッ酸水溶液によって、4時間のエッチング処理を行い、水晶片13の外形形状を形成した。
最後に、図12(f)に示すように、マスク層パターン121、122を除去し、所望の外形形状を有する水晶片13が完成する。
さらにその後、電極501、511を形成して、図1に示す音叉型の水晶デバイス1を完成させた。
以上のようにして製造された水晶片10には、2本の振動脚1bのつけ根にエッチング残り部110が必ず形成される。これは、水晶の結晶方位によってエッチング速度が異なるという、一般に異方性エッチング特性と呼ばれる、水晶特有のエッチング特性によるものである。
本発明のように、水晶片10の主面210、220に形成される又部の形状をM字形状にすると、水晶特有の異方性エッチング特性の作用により、M字形状をした又部の鋭角な屈曲部分に一定の大きさでエッチング残り部110が形成される。
本発明は、エッチング残り部110を無くしたり小さくしたりするのではなく、水晶特有の異方性エッチング特性を利用し、2本の振動脚1bの両方のつけ根にほぼ同じ大きさのエッチング残り部110を形成することによって、2本の振動脚1bの振動バランスを均等化させた点が大きな特徴である。本発明では、このようにして2本の振動脚1bの振動バランスを均等化することができたため、安定した振動特性が得られるようになった。
またこのようにして、従来よりも安定した振動特性が得られるようになったため、従来振動安定化のため行われていたエッチング工程後の加工工程を省略することができるようになった。その結果、水晶デバイスの生産性を向上させることができた。
なお、本発明の音叉型の水晶デバイス1において、M字型の又部の角度θ1、θ2(図3)の大きさを変えてみたところ、θ1、θ2の角度が70°より大きくなると、振動脚1bのつけ根に形成されるエッチング残り部110の大きさが、左右で大きく異なってしまい、振動脚1bの振動バランスが大きく崩れてしまうことがわかった。
一方、逆にθ1、θ2の角度が30°よりも小さくなると、振動脚1bのつけ根に亀裂が入ってしまうという問題が発生した。
以上の理由から、本発明の水晶デバイスの又部に形成されるM字型形状の鋭角な角度θ1、θ2は30°〜70°の範囲に設定するのが望ましい。
なお本実施形態では、2本の振動脚を備えた音叉型の水晶デバイスを例に挙げたが、3本以上の振動脚を備えた音叉型の水晶デバイスであっても、又部形状をM字形状にすることで同様の効果が得ることができる。
(第2の実施形態)
図5は本発明の又部の形状が異なった水晶デバイスを示した図である。本発明の水晶デバイス2は水晶からなる水晶片12と電極500及び電極510とを有した構成になっている。水晶片12は基部2aとその基部2aから突出して形成されている複数の振動脚2bとで構成され、音叉型の形状をなしている。また電極500と電極510は電気的に分離されており、互いに異なる電圧を与えることによって、水晶片12の内部に電界を生じさせることができる。なお水晶片12は水晶からなっており圧電材料であるので、内部に生じる電界の方向に応じて伸縮し、この伸縮運動によって振動脚2bを振動させることが可能である。
本実施形態の水晶デバイス2では、図10に示す従来の水晶デバイス3とは異なり、2本の振動脚2bのつけ根に左右ほぼ均等にエッチング残り部112を形成することができた。これにより、2本の振動脚2bを振動させたときの振動バランスが安定し、X軸に沿った振動W0を発生させることができた。
本発明の水晶デバイス2は、下記に示す製造方法によって製造することが可能である。図11は一般的な水晶デバイスの製造方法の前半の工程を示した図である。図12は一般的な水晶デバイスの製造方法の後半の工程を示した図である。
まず、図11(a)に示すように、表裏の平面に、水晶のエッチングに対して耐食性を有するマスク層21、22と、感光性材料からなるレジスト層31、32を積層して形成した水晶基板15を用意する。
なお本実施形態では、マスク層21、22として水晶基板15上に0.05μmの厚みで成膜したクロム(Cr)膜とそのCr膜上に0.15μmの厚みで成膜した金(Au)膜とからなる積層膜を使用した。またレジスト層31、32として東京応化(株)製のポジ型レジストOFPR−800を使用した。
次に、この水晶基板15の両方の平面を2枚のマスクを使ってそれぞれ所望の形状で露光する。図7は本発明で使用したマスクとそのマスクパターンの形状を示した図である。本実施形態では、水晶基板15の一方の平面(図11において上側の面)は図7に示すマスクパターン41Aが形成されたマスク40aを使用して露光し、水晶基板15の他方の平面(図11において下側の面)は図7に示すマスクパターン41Cが形成されたマスク40cを使用して露光した。
図7に示すように、マスクパターン41Aは、基部2aの外形と2本の振動脚2bの外形をかたどった形状で形成されており、さらに2本の振動脚2bに挟まれた又部はM字型の形状をしている。一方、マスクパターン41Cは、基部2aの外形と2本の振動脚2bの外形をかたどった形状で形成されているが、2本の振動脚2bに挟まれた又部がコの字型の形状をしている。すなわち本実施形態では、水晶基板15の一方の平面(図11において上側の面)と他方の平面(図11において下側の面)とで、又部の形状がそれぞれ異なった形状で露光されることとなる。
次に図11(b)に示すようにレジスト層31、32を現像し、レジスト層パターン131、132を形成する。この時、レジスト層パターン131はマスクパターン41Aの形状で形成され、レジスト層パターン132はマスクパターン41Cの形状で形成される。なお本実施形態ではOFPR−800専用の現像液を用いて現像を行った。
さらに図11(c)に示すように、レジスト層パターン131、132をマスクとして使用してマスク層21、22をエッチングし、マスク層パターン121、122を形成する。この時、マスク層パターン121はマスクパターン41Aの形状で形成され、マスク層パターン122はマスクパターン41Cの形状で形成される。なお本実施形態では王水によってAu膜をエッチングし、硝酸系のエッチング液によってCr膜をエッチングし、マスク層パターン121、122を形成した。
次に図12(d)に示すように、レジスト層パターン131、132を除去する。本実施形態でレジスト層パターン131、132に用いられたOFPR−800はアセトンによって容易に除去することができた。
その後図12(e)に示すように、水晶基板15をエッチングして水晶片13の外形を形成する。
図6は本発明の又部の形状が異なった水晶デバイスの水晶エッチング工程直後の構成を示した図である(形状をわかりやすくするためそれぞれの構成を分離して描いてある。)。水晶片12の上側の主面210を覆っていたマスク層パターン21A(図12におけるマスク層パターン121)と水晶片12の下側の主面220を覆っていたマスク層パターン22C(図12におけるマスク層パターン122)は又部の形状が異なっている。
マスク層パターン21A、マスク層パターン22Cをマスクとして水晶エッチングを行った本実施形態の水晶片12では、2本の振動脚2bの付け根に同等の大きさのエッチング残り部112を均等に形成することができた。これにより、2本の振動脚2bの振動バランスを安定化させることができた。
なお本実施形態の水晶片12では、主面210の形状とマスク層パターン21Aとが異なった形状で形成された。これは図5におけるY軸方向にエッチングが進んだためであるが、これにより水晶デバイス1の又部にあった不要な凸部をなくすことができた。
以上のような本実施形態の水晶デバイスは、水晶振動子、水晶発振器など多くの応用製品に利用可能であるが、特に水晶ジャイロに利用すると非常に効果的である。
水晶ジャイロにおいて、振動脚の不安定な振動は、検出しようとする角速度の検出感度を悪化させる大きな要因になる。ところが、本発明を水晶ジャイロに利用すると、振動脚の振動が安定するため、検出感度を向上させることができる。その結果、信頼性の高い水晶ジャイロが得られるようになった。
本発明の水晶デバイスを示した斜視図である。 本発明の水晶デバイスの音叉の又部近傍の拡大図と側面図である。 本発明の水晶デバイスの主面側から見た平面図である。 本発明の水晶デバイスの製造に用いたマスクパターンの形状を示した図である。 本発明の又部の形状が異なった水晶デバイスを示した図である。 本発明の又部の形状が異なった水晶デバイスの水晶エッチング工程直後の構成を示した図である。 本発明で使用したマスクとそのマスクパターンの形状を示した図である。 従来の水晶デバイスの音叉の又部近傍の拡大図と側面図である。 従来の水晶デバイスの製造に用いられるマスクパターンの形状を示した図である。 従来の水晶デバイスを示した斜視図である。 一般的な水晶デバイスの製造方法の前半の工程を示した図である。 一般的な水晶デバイスの製造方法の後半の工程を示した図である。
符号の説明
1、2、3 水晶デバイス
1a、2a、3a 基部
1b、2b、3b 振動脚
10、11、12、13 水晶片
15 水晶基板
21、21A、22、22C マスク層
31、32 レジスト層
40、40a、40c マスク
41、41A、41B、41C マスクパターン
103、104、105、106 線分
110、111、112 エッチング残り部
121、122 マスク層パターン
131、132 レジスト層パターン
210、211、220、221 主面
411、1411 基部領域
412、1412 振動脚領域
413、414、415、416 線分
500、501、510、511 電極
1415、1416 線分

Claims (6)

  1. 基部と該基部から突出して形成される複数の振動脚とを備えた水晶片を有する水晶デバイスであって、
    前記水晶片には前記基部と前記複数の振動脚とを一平面に有する主面が構成されており、該主面には、振動脚の先端からつけ根を通って、他の振動脚の付け根に向かい、該振動脚の先端へと結ばれる複数の線分からなる又部を有しており、該又部の一方の振動脚の付け根と接続される線分が、一方の振動脚と鋭角な角度をなして接続されており、該又部の他方の振動脚の付け根と接続される線分が、他方の振動脚と鋭角な角度をなして接続されている水晶デバイス。
  2. 前記又部がM字型をしていることを特徴とする請求項1に記載の水晶デバイス。
  3. 前記振動脚の付け根と接続される線分は、前記振動脚の長手方向に対して30〜70度の角度をなして該振動脚と接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水晶デバイス。
  4. 基部と該基部から突出して形成される複数の振動脚とを備え、該基部と該複数の振動脚とを一平面に有する主面を備えた水晶片を有する水晶デバイスの製造方法であって、
    水晶基板の平面上に感光性材料からなるレジスト層と水晶のエッチングに対して耐食性を有するマスク層を形成し、所定の形状からなるマスクパターンが描画されたマスクを介して露光する工程と、前記レジスト層を現像しレジストパターンを形成する工程と、前記マスク層をエッチングしマスク層パターンを形成する工程と、前記水晶基板をエッチングし所定の形状からなる主面を備えた水晶片を形成する工程とを有しており、
    前記マスクパターンは、前記基部を形成するための基部領域と、複数の前記振動脚を形成するための複数の振動脚領域とを有しており、前記一方の振動脚領域の先端からつけ根を通って、他の振動脚領域の付け根に向かい、該振動脚領域の先端へと結ばれる複数の線分からなる形状を有しており、
    該一方の振動脚領域の付け根と接続される線分が、一方の振動脚と鋭角な角度をなして接続され、該他方の振動脚の付け根と接続される線分が、他方の振動脚と鋭角な角度をなして接続された形状をしている水晶デバイスの製造方法。
  5. 前記一方の振動脚領域の先端からつけ根を通って、他の振動脚領域の付け根に向かい、該振動脚領域の先端へと結ばれる複数の線分がM字型をしていることを特徴とする請求項4に記載の水晶デバイスの製造方法。
  6. 前記振動脚領域の付け根と接続される線分は、前記振動脚領域の長手方向に対して30〜70度の角度をなして該振動脚領域と接続されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の水晶デバイスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015115752A (ja) * 2013-12-11 2015-06-22 京セラクリスタルデバイス株式会社 水晶振動素子及びその製造方法

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