JP2006078411A - 転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 アキシアル荷重Fyの測定値に対する、ラジアル荷重Fzや前後方向荷重Fxの影響をより少なくして、外輪3aとハブ1aとの間に作用するアキシアル荷重Fyを高精度で求められる構造を実現する。
【解決手段】 加速度センサや両列の転動体8a、8bの公転速度の差等に応じて、上記アキシアル荷重Fyの作用方向を特定する。そして、このアキシアル荷重Fyを支承する列の転動体8a、8a(又は8b、8b)の公転速度と上記ハブ1aの回転速度との比に基づいて、上記アキシアル荷重Fyを算出する。上記アキシアル荷重Fyを支承する列の転動体8a、8a(又は8b、8b)の公転速度は、上記ラジアル荷重Fzや前後方向荷重Fxにより変動しにくい為、上記課題を解決できる。
【選択図】 図2
【解決手段】 加速度センサや両列の転動体8a、8bの公転速度の差等に応じて、上記アキシアル荷重Fyの作用方向を特定する。そして、このアキシアル荷重Fyを支承する列の転動体8a、8a(又は8b、8b)の公転速度と上記ハブ1aの回転速度との比に基づいて、上記アキシアル荷重Fyを算出する。上記アキシアル荷重Fyを支承する列の転動体8a、8a(又は8b、8b)の公転速度は、上記ラジアル荷重Fzや前後方向荷重Fxにより変動しにくい為、上記課題を解決できる。
【選択図】 図2
Description
この発明に係る転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置は、例えば自動車、鉄道車両、各種搬送車等の移動体の車輪を支持する、或は、工作機械や各種産業機械の回転軸を支持する為の転がり軸受ユニットの改良に関する。具体的には、この転がり軸受ユニットに負荷されるアキシアル荷重を測定し、上記移動体の運行、或は、上記工作機械や各種産業機械の運転の安定性確保を図る為に利用する。
例えば自動車の車輪は懸架装置に対し、複列アンギュラ型の転がり軸受ユニットにより回転自在に支持する。又、自動車の走行安定性を確保する為に、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)が広く使用されている。更には、例えば非特許文献1に記載されている様な、ビークルスタビリティコントロールシステム(VSC)等の車両用走行安定化装置も、近年普及し始めている。この様な各種車両用走行安定化装置を制御する為には、車輪の回転速度、車体に加わる各方向の加速度等の信号が必要になる。そして、より高度の制御を行なう為には、車輪を介して上記転がり軸受ユニットに加わるアキシアル荷重の大きさを知る事が好ましい場合がある。
この様な事情に鑑みて、特許文献1には、アキシアル荷重を測定自在な、アキシアル荷重測定装置付転がり軸受ユニットが記載されている。この従来構造の場合、図1に示す様に回転輪であるハブ1の外端部外周面に、車輪を支持する為の回転側フランジ2を固設している。又、静止輪である外輪3の外周面に、この外輪3を懸架装置を構成するナックル4に支持固定する為の、固定側フランジ5を固設している。そして、上記外輪3の内周面に形成した、それぞれが静止側軌道である複列の外輪軌道6、6と、上記ハブ1の外周面に形成した、それぞれが回転側軌道である複列の内輪軌道7、7との間に、それぞれ複数個ずつの転動体8、8を転動自在に設ける事により、上記外輪3の内径側に上記ハブ1を回転自在に支持している。
更に、上記固定側フランジ5の内側面複数個所で、この固定側フランジ5を上記ナックル4に結合する為のボルト9を螺合する為のねじ孔10を囲む部分に、それぞれ荷重センサ11を添設している。上記外輪3を上記ナックル4に支持固定した状態でこれら各荷重センサ11は、このナックル4の外側面と上記固定側フランジ5の内側面との間で挟持される。
この様な従来の転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置の場合、図示しない車輪と上記ナックル4との間にアキシアル荷重が加わると、上記ナックル4の外側面と上記固定側フランジ5の内側面とが、上記各荷重センサ11を、軸方向両面から強く押し付け合う。従って、これら各荷重センサ11の測定値を合計する事により、上記車輪と上記ナックル4との間に加わるアキシアル荷重を求める事ができる。又、図示はしないが、特許文献2には、一部の剛性を低くした外輪相当部材の振動周波数から転動体の公転速度を求め、更に、転がり軸受に加わるアキシアル荷重を測定する方法が記載されている。
上述の図1に示した従来構造の場合、ナックル4に対し外輪3を支持固定する為のボルト9と同数だけ、荷重センサ11を設ける必要がある。この為、この荷重センサ11自体が高価である事と相まって、転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置全体としてのコストが相当に嵩む事が避けられない。又、特許文献2に記載された方法は、外輪相当部材の一部の剛性を低くする必要があり、この外輪相当部材の耐久性確保が難しくなる可能性がある。又、この外輪相当部材の振動周波数から転動体の公転速度を求める為、この公転速度を正確に測定できないと言った問題もある。
この様な事情に鑑みて本発明者等は先に、複列アンギュラ型玉軸受である転がり軸受ユニットを構成する1対の列の転動体(玉)の公転速度に基づいて、この転がり軸受ユニットに加わるアキシアル荷重を測定する、転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置に関する発明を行なった(特願2004−7655号)。図2は、この先発明の転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置を示している。この先発明に係る構造の場合、静止輪である外輪3aの軸方向中間部で複列の外輪軌道6a、6bの間部分に形成した取付孔12にセンサユニット13を、上記外輪3aの外径側から内径側に向けて挿通し、このセンサユニット13の先端部14を、上記外輪3aの内周面から突出させている。この先端部14には、1対の公転速度検出用センサ15a、15bと、1個の回転速度検出用センサ16とを設けている。
そして、このうちの各公転速度検出用センサ15a、15bの検出部を、複列に配置された各転動体8a、8bを回転自在に保持した各保持器17a、17bに設けた、公転速度検出用エンコーダ18a、18bの被検出面(互いに対向する軸方向側面)に近接対向させて、各転動体8a、8bの公転速度を検出自在としている。又、上記回転速度検出用センサ16の検出部を、回転輪であるハブ1aの中間部に外嵌固定した回転速度検出用エンコーダ19の被検出面(外周面)に近接対向させて、上記ハブ1aの回転速度を検出自在としている。この様な構成を有する先発明に係る転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置によれば、上記外輪3aと上記ハブ1aとの間に加わるアキシアル荷重を求められる。
即ち、上述の様な先発明に係る転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置の場合、図示しない演算器が、上記各センサ15a、15b、16から送り込まれる検出信号に基づいて、上記外輪3aと上記ハブ1aとの間に加わるアキシアル荷重を算出する。例えば、このアキシアル荷重は、上記各公転速度検出用センサ15a、15bが検出する各列の転動体8a、8bの公転速度の差を求め、この差と、上記回転速度検出用センサ16が検出する上記ハブ1aの回転速度との比に基づいて算出する。この点に就いて、図3〜4を参照しつつ説明する。尚、以下の説明は、アキシアル荷重Fyが加わらない状態での、上記各列の転動体8a、8bの接触角αa 、αb が互いに同じであるとして行なう。
図3は、上述の図2に示した車輪支持用の転がり軸受ユニットを模式化し、荷重の作用状態を示したものである。複列の内輪軌道7a、7bと複列の外輪軌道6a、6bとの間に複列に配置された転動体8a、8bには予圧F0 、F0 を付与している。又、使用時に上記転がり軸受ユニットには、車体の重量等に対する反作用として路面側から、ラジアル荷重Fzが加わる。更に、旋回走行時に加わる遠心力等により、アキシアル荷重Fyが加わる。これら予圧F0 、F0 、ラジアル荷重Fz、アキシアル荷重Fyは、何れも上記各転動体8a、8bの接触角α(αa 、αb )に影響を及ぼす。そして、この接触角αa 、αb が変化すると、これら各転動体8a、8bの公転速度nc が変化する。これら各転動体8a、8bのピッチ円直径をDとし、これら各転動体8a、8bの直径をdとし、上記各内輪軌道7a、7bを設けたハブ1aの回転速度をni とし、上記各外輪軌道6a、6bを設けた外輪3aの回転速度をno とすると、上記公転速度nc は、次の(1)式で表される。
nc ={1−(d・cos α/D)・(ni /2)}+{1+(d・cos α/D)・(no /2)} −−− (1)
nc ={1−(d・cos α/D)・(ni /2)}+{1+(d・cos α/D)・(no /2)} −−− (1)
この(1)式から明らかな通り、上記各転動体8a、8bの公転速度nc は、これら各転動体8a、8bの接触角α(αa 、αb )の変化に応じて変化するが、上述した様にこの接触角αa 、αb は、上記ラジアル荷重Fz及び上記アキシアル荷重Fyに応じて変化する。従って上記公転速度nc は、これらラジアル荷重Fz及びアキシアル荷重Fyに応じて変化する。図2〜3に示した構造の場合、上記ハブ1aが回転し、上記外輪3aが回転しない為、具体的には、上記アキシアル荷重Fyに関しては、図4に示す様に、このアキシアル荷重Fyを支承する列の転動体8a、8bの公転速度が速くなり(図4の破線イ参照)、このアキシアル荷重Fyを支承しない列の転動体8a、8bの公転速度が遅くなる(図4の実線ロ参照)。従って、上記各列の転動体8a、8bの公転速度nc に基づいて、上記アキシアル荷重Fyを求められる事になる。
但し、上記公転速度nc の変化に結び付く上記接触角αは、上記ラジアル荷重Fzと上記アキシアル荷重Fyとが互いに関連しつつ変化するだけでなく、上記予圧F0 、F0 によっても変化する。又、上記公転速度nc は、上記ハブ1aの回転速度ni に比例して変化する。この為、これらラジアル荷重Fz、アキシアル荷重Fy、予圧F0 、F0 、ハブ1aの回転速度ni を総て関連させて考えなければ、このうちのアキシアル荷重Fyを上記公転速度nc に基づいて正確に求める事はできない。上記公転速度nc に影響する上記各要素のうちの予圧F0 、F0 は、運転状態に応じて変化するものではないので、初期設定等によりその影響を排除する事は容易である。これに対して上記ラジアル荷重Fz及びハブ1aの回転速度ni は、運転状態に応じて絶えず変化するので、初期設定等によりその影響を排除する事はできない。
この様な事情に鑑みて先発明の場合には、前述した様に、上記アキシアル荷重Fyを求める場合には、上記各列の転動体8a、8bの公転速度の差を求める事により、上記ラジアル荷重Fzの影響を少なくしている。更に、この公転速度の差と、前記回転速度検出用センサ16が検出する上記ハブ1aの回転速度ni との比に基づいて上記アキシアル荷重Fyを算出する事により、上記ハブ1aの回転速度ni の影響を排除している。但し、上記アキシアル荷重Fyを、上記各列の転動体8a、8bの公転速度の比に基づいて算出する場合には、上記ハブ1aの回転速度ni は、必ずしも必要ではない。
尚、上記各公転速度検出用センサ15a、15bの信号に基づいて上記アキシアル荷重Fyを算出する方法は、他にも各種存在するが、この様な方法に就いては、前述の特願2004−7655号に詳しく説明されているし、本発明の要旨とも関係しないので、詳しい説明は省略する。
又、図2に示した構造は、上記各公転速度検出用センサ15a、15bと上記回転速度検出用センサ16とを、単一のセンサユニット13の先端部14に保持した構造であるが、これら各センサ15a、15b、16は、別々に設置しても良い。又、例えば、図5に示す様に、1対の公転速度検出用センサ15a、15bを、センサユニット13aの先端部14aに保持し、回転速度検出用センサ16aを、外輪3aの内端部に嵌合固定したカバー20に保持しても良い。この場合、回転速度検出用エンコーダ19aは、ハブ1aの内端部に嵌合固定する。
又、図2に示した構造は、上記各公転速度検出用センサ15a、15bと上記回転速度検出用センサ16とを、単一のセンサユニット13の先端部14に保持した構造であるが、これら各センサ15a、15b、16は、別々に設置しても良い。又、例えば、図5に示す様に、1対の公転速度検出用センサ15a、15bを、センサユニット13aの先端部14aに保持し、回転速度検出用センサ16aを、外輪3aの内端部に嵌合固定したカバー20に保持しても良い。この場合、回転速度検出用エンコーダ19aは、ハブ1aの内端部に嵌合固定する。
何れにしても、上述の様な転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置により測定したアキシアル荷重は、路面と車輪(タイヤ)との接触面で生じている荷重と等価である。従って、この測定したアキシアル荷重に基づいて車両の走行状態を安定化させる為の制御を行なえば、車両の姿勢が不安定になる事を予防できてフィードフォワード制御が可能になる等、車両の走行安定性確保の為の高度な制御が可能になる。
上述の様な先発明に係る転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置を実施する場合、高度なフィードフォワード制御を行なうべく、上記アキシアル荷重を精度良く求める為には、次の様な点を考慮する必要がある。即ち、自動車の車輪を支持する為の転がり軸受ユニットの場合には、回転側フランジ2に固定した車輪からハブ1aに加わるアキシアル荷重Fyは、図3から明らかな通り、このハブ1aの中心軸から径方向外方に外れた(オフセットした)位置、具体的にはタイヤと路面との当接面の中心に加わる。又、ラジアル荷重Fzにしても、複列に配置された転動体8a、8bの丁度中央位置に加わるとは限らず、何れかの列に偏った(オフセットした)位置に加わる場合が多いし、路面状況やアキシアル荷重の作用に伴うタイヤの変形等に基づくずれが加わる場合もある。更に、加速時や減速時には上記ハブ1aに、車輪から上記回転側フランジ2を介して、進行方向(前後方向)の荷重Fxも加わる。この前後方向荷重Fxにしても、上記ハブ1aの中心からずれた(オフセットした)位置に作用する。
前述の特願2004−7655号に記載した先発明の様に、複列に配置された転動体8a、8bの公転速度の差と上記ハブ1aの回転速度ni との比に基づいて、或は両列の転動体8a、8bの公転速度の比に基づいて、それぞれ上記アキシアル荷重Fyを算出すれば、上記ラジアル荷重Fzや上記前後方向荷重Fxの影響(クロストーク)を低く抑えられる。そして、一般的には、上記アキシアル荷重Fyの測定精度を、走行安定性確保の為の制御を行なう為に必要なレベルに保てる。但し、上記各荷重Fx、Fy、Fzのオフセット量が大きくなったり、或は、車両の走行安定性確保の為の制御をより高度に行なう場合には、上記ラジアル荷重Fzや上記前後方向荷重Fxの、上記アキシアル荷重Fyの測定値に対する影響を無視できなくなる可能性がある。
本発明は、上述の様な事情に鑑み、アキシアル荷重Fyの測定値に対するラジアル荷重Fzや前後方向荷重Fxの影響をより少なくして、静止輪と回転輪との間に作用するアキシアル荷重Fyをより高精度で求められる転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置を実現すべく発明したものである。
本発明の転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置は、静止輪と、回転輪と、複数個の転動体と、1対の公転速度測定手段と、荷重作用方向特定手段と、演算器とを備える。
このうちの静止輪は、使用時にも回転しない。
又、上記回転輪は、上記静止輪と同心に配置されて使用時に回転する。
又、上記各転動体は、これら静止輪と回転輪との互いに対向する部分にそれぞれ2列ずつ形成された静止側軌道と回転側軌道との間に、それぞれ複数個ずつ、これら両列同士の間で接触角の方向を互いに逆にして、転動自在に設けられている。
又、上記両公転速度測定手段は、上記両列の転動体の公転速度を測定する為のものである。
又、上記荷重作用方向特定手段は、上記静止輪と上記回転輪との間に加わるアキシアル荷重の作用方向を特定する為のものである。
更に、上記演算器は、上記荷重作用方向特定手段から上記アキシアル荷重の作用方向を表す信号を、上記両公転速度測定手段から上記両列の転動体の公転速度を表す信号を、それぞれ送り込まれる。
そして、上記演算器は、上記荷重作用方向特定手段により特定される上記アキシアル荷重の作用方向に応じて、上記両列の転動体の公転速度のうちでこのアキシアル荷重を支承する側の列の公転速度を利用し、このアキシアル荷重を支承しない側の列の公転速度を利用せずに上記アキシアル荷重を算出する。
このうちの静止輪は、使用時にも回転しない。
又、上記回転輪は、上記静止輪と同心に配置されて使用時に回転する。
又、上記各転動体は、これら静止輪と回転輪との互いに対向する部分にそれぞれ2列ずつ形成された静止側軌道と回転側軌道との間に、それぞれ複数個ずつ、これら両列同士の間で接触角の方向を互いに逆にして、転動自在に設けられている。
又、上記両公転速度測定手段は、上記両列の転動体の公転速度を測定する為のものである。
又、上記荷重作用方向特定手段は、上記静止輪と上記回転輪との間に加わるアキシアル荷重の作用方向を特定する為のものである。
更に、上記演算器は、上記荷重作用方向特定手段から上記アキシアル荷重の作用方向を表す信号を、上記両公転速度測定手段から上記両列の転動体の公転速度を表す信号を、それぞれ送り込まれる。
そして、上記演算器は、上記荷重作用方向特定手段により特定される上記アキシアル荷重の作用方向に応じて、上記両列の転動体の公転速度のうちでこのアキシアル荷重を支承する側の列の公転速度を利用し、このアキシアル荷重を支承しない側の列の公転速度を利用せずに上記アキシアル荷重を算出する。
上述の様に構成する本発明の転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置によれば、ラジアル荷重や前後方向荷重、更には予圧変動等の、アキシアル荷重の測定値に対する影響を少なく抑えて、このアキシアル荷重を高精度で求められる。この理由は、アキシアル荷重を支承している列に関しては剛性が高く、この列を構成する転動体の接触角に関して、ラジアル荷重や前後方向荷重の影響を受けにくい(これらラジアル荷重や前後方向荷重の変動が接触角の変化に結び付きにくい)為である。
本発明を実施する場合に例えば、請求項2に記載した様に、荷重作用方向特定手段として加速度センサ(Gセンサ)を使用する。
本発明の転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置は、車両(自動車)の走行安定性を確保する為の姿勢制御装置に組み込んで使用する事が考えられるが、この様な姿勢制御装置には、従来から車体の幅方向(横方向)に作用する力を測定する為の加速度センサを組み込んでいる。従って、上記荷重作用方向特定手段として加速度センサを使用すれば、従来からあるセンサを使用してアキシアル荷重の作用方向を求め、アキシアル荷重を支承する側の列の特定を行なえる。
本発明の転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置は、車両(自動車)の走行安定性を確保する為の姿勢制御装置に組み込んで使用する事が考えられるが、この様な姿勢制御装置には、従来から車体の幅方向(横方向)に作用する力を測定する為の加速度センサを組み込んでいる。従って、上記荷重作用方向特定手段として加速度センサを使用すれば、従来からあるセンサを使用してアキシアル荷重の作用方向を求め、アキシアル荷重を支承する側の列の特定を行なえる。
又、本発明を実施する場合に例えば、請求項3に記載した様に、荷重作用方向特定手段として、両列の転動体の公転速度を、互いに又は基準値と比較する比較器を含んで構成したものを使用する。
この場合に好ましくは、請求項4に記載した様に、アキシアル荷重が作用しない状態で、両列の転動体の接触角を互いに同じとし、比較器は、これら両列の転動体の公転速度を互いに比較して、公転速度が速い列の転動体がアキシアル荷重を支承する方向にこのアキシアル荷重が作用していると、このアキシアル荷重の作用方向を特定する。例えば、上記両列の転動体に背面組み合わせ型の接触角が付与されている場合には、公転速度が速い列の側から同じく遅い列の側に向けてアキシアル荷重が作用している(正面組み合わせ型の場合には逆方向に作用している)と、このアキシアル荷重の作用方向を特定する。そして、演算器は、速い側の公転速度を利用して、静止輪と回転輪との間に加わるアキシアル荷重を算出する。この場合には、公転速度が速い列を特定する事と、このアキシアル荷重の作用方向を特定する事とは同義である。
前述した図4から明らかな通り、アンギュラ型の複列転がり軸受ユニットにアキシアル荷重が作用すると、アキシアル荷重を支承する列の公転速度が速くなり、支承しない側の列の公転速度が遅くなる。そこで、上記両列の公転速度を比較すれば、上記アキシアル荷重を支承している列を特定できる。
この場合に好ましくは、請求項4に記載した様に、アキシアル荷重が作用しない状態で、両列の転動体の接触角を互いに同じとし、比較器は、これら両列の転動体の公転速度を互いに比較して、公転速度が速い列の転動体がアキシアル荷重を支承する方向にこのアキシアル荷重が作用していると、このアキシアル荷重の作用方向を特定する。例えば、上記両列の転動体に背面組み合わせ型の接触角が付与されている場合には、公転速度が速い列の側から同じく遅い列の側に向けてアキシアル荷重が作用している(正面組み合わせ型の場合には逆方向に作用している)と、このアキシアル荷重の作用方向を特定する。そして、演算器は、速い側の公転速度を利用して、静止輪と回転輪との間に加わるアキシアル荷重を算出する。この場合には、公転速度が速い列を特定する事と、このアキシアル荷重の作用方向を特定する事とは同義である。
前述した図4から明らかな通り、アンギュラ型の複列転がり軸受ユニットにアキシアル荷重が作用すると、アキシアル荷重を支承する列の公転速度が速くなり、支承しない側の列の公転速度が遅くなる。そこで、上記両列の公転速度を比較すれば、上記アキシアル荷重を支承している列を特定できる。
或は、請求項3に記載した発明を実施する場合に、請求項5に記載した様に、アキシアル荷重が作用しない状態で、両列の転動体の接触角を互いに異ならせる。そして、上記比較器は、これら両列の転動体の公転速度を、上記アキシアル荷重が作用しない状態での公転速度である基準値と比較する。尚、この基準値は、別途設けた回転速度用センサが検出する回転輪の回転速度に基づき、前述した(1)式を利用して求める。そして、この基準値よりも公転速度が速くなっている列の転動体がアキシアル荷重を支承する方向にこのアキシアル荷重が作用していると、このアキシアル荷重の作用方向を特定する。更に、演算器は、上記基準値よりも速くなっている側の公転速度を利用して、静止輪と回転輪との間に加わる上記アキシアル荷重を算出する。
或は、請求項3に記載した発明を実施する場合に、請求項6に記載した様に、アキシアル荷重が作用しない状態で、両列の転動体の接触角を互いに異ならせる。又、荷重作用方向特定手段は、この状態での接触角の相違に基づくこれら両列の転動体の公転速度の相違を補正して大小の比較可能な換算値とする換算器を備えたものとする。そして、比較器は、この換算器から出力される上記両列の転動体の公転速度に関する換算値同士を比較する事で、この換算値が大きい列の転動体がアキシアル荷重を支承する方向にこのアキシアル荷重が作用していると、このアキシアル荷重の作用方向を特定する。更に、演算器は、上記換算値が大きい側の公転速度を利用して、静止輪と回転輪との間に加わる上記アキシアル荷重を算出する。
何れにしても、両列の公転速度の変動に基づいて上記アキシアル荷重の作用方向を特定すれば、この作用方向の特定を、時間的後れを殆ど生じる事なく行なえる。即ち、前述した請求項2に記載した様に、荷重作用方向特定手段として加速度センサを使用する場合で、この加速度センサを車体側に設置した場合には、懸架装置に組み込んだばねの存在に基づき、転がり軸受ユニットにアキシアル荷重が作用した瞬間から上記加速度センサがこのアキシアル荷重に対応する加速度を検知する迄の間に時間的後れを生じる。この加速度センサを転がり軸受ユニットに組み付ければ、この時間的後れをなくせるが、転がり軸受ユニットの数だけ加速度センサを設置する事になり、コストが嵩む他、場合によっては設置スペースの確保が難しくなる場合もある。
これに対して、上記両列の転動体の公転速度は、アキシアル荷重の作用に伴って瞬間的に変化するので、これら両列の公転速度の差に基づいて上記アキシアル荷重の作用方向を特定すれば、この作用方向の特定を、時間的後れを殆ど生じる事なく行なえる。
これに対して、上記両列の転動体の公転速度は、アキシアル荷重の作用に伴って瞬間的に変化するので、これら両列の公転速度の差に基づいて上記アキシアル荷重の作用方向を特定すれば、この作用方向の特定を、時間的後れを殆ど生じる事なく行なえる。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項7に記載した様に、回転輪の回転速度を測定する為の回転速度測定手段を備える。そして、演算器は、この回転速度測定手段が検出する上記回転輪の回転速度と、一方の列の公転速度との比に基づいて、この回転輪と静止輪との間に加わるアキシアル荷重を算出する。
この様に構成すれば、回転輪の回転速度が変化する場合でも、上記アキシアル荷重を正確に算出できる。即ち、前記両列の転動体の公転速度は、上記回転輪の回転速度に比例して変化する。従って、工作機械の主軸、或は、圧延機等の各種産業機械の回転軸等の様に、回転速度が一定の状態で運転される場合はともかく、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットの様に、回転速度が常に変化する状態で使用される転がり軸受ユニットの場合には、上記回転輪の回転速度の変動に就いて考慮しない限り、一方の列の公転速度のみから上記アキシアル荷重を求める事はできない。これに対して、上記請求項7に記載した発明の様に、上記回転輪の回転速度と上記一方の列の公転速度との比に基づいて上記アキシアル荷重を算出すれば、この回転速度の変動に拘らず、このアキシアル荷重を正確に求められる。
この様な請求項7に記載した構造は、請求項8に記載した様に、回転輪が、自動車の車輪を固定した状態でこの車輪と共に回転するハブである場合に有効である。
この様に構成すれば、回転輪の回転速度が変化する場合でも、上記アキシアル荷重を正確に算出できる。即ち、前記両列の転動体の公転速度は、上記回転輪の回転速度に比例して変化する。従って、工作機械の主軸、或は、圧延機等の各種産業機械の回転軸等の様に、回転速度が一定の状態で運転される場合はともかく、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットの様に、回転速度が常に変化する状態で使用される転がり軸受ユニットの場合には、上記回転輪の回転速度の変動に就いて考慮しない限り、一方の列の公転速度のみから上記アキシアル荷重を求める事はできない。これに対して、上記請求項7に記載した発明の様に、上記回転輪の回転速度と上記一方の列の公転速度との比に基づいて上記アキシアル荷重を算出すれば、この回転速度の変動に拘らず、このアキシアル荷重を正確に求められる。
この様な請求項7に記載した構造は、請求項8に記載した様に、回転輪が、自動車の車輪を固定した状態でこの車輪と共に回転するハブである場合に有効である。
本発明を完成するに至る過程で行なったシミュレーションの結果に就いて説明した後、本発明の実施例に就いて説明する。このシミュレーションは、前述の図2、5に示した、先発明に係るアキシアル荷重測定装置を組み込んだ、背面組み合わせである、複列アンギュラ型の転がり軸受ユニットに関して行なった。ラジアル荷重に関しては、車体重量に見合う荷重のみが作用している状態を標準状態とし、前後方向荷重に関しては、定速走行状態で作用する荷重を標準状態とした。又、アキシアル荷重Fyに関しては、車輪を車体の幅方向内方に押圧する方向(図2、5の右方向)に作用する場合を正(+)とし、逆方向(図2、5の左方向)に作用する場合を負(−)とした。尚、何れの荷重に就いても、その入力点は、車輪と路面との接触部に存在するとした。
この様な条件下で、先ず、ラジアル荷重Fzと前後方向荷重Fxとの変動が、アキシアル荷重Fyと、両列の転動体8a、8bの公転速度nca、ncb同士の比nca/ncbとの関係に及ぼす影響を、コンピュータシミュレーションにより求めた。この結果を、図6、7に示す。
この様な条件下で、先ず、ラジアル荷重Fzと前後方向荷重Fxとの変動が、アキシアル荷重Fyと、両列の転動体8a、8bの公転速度nca、ncb同士の比nca/ncbとの関係に及ぼす影響を、コンピュータシミュレーションにより求めた。この結果を、図6、7に示す。
このうちの図6は、ラジアル荷重Fzの変動が、上記アキシアル荷重Fyと、上記両列の転動体8a、8bの公転速度nca、ncb同士の比(公転比)nca/ncbとの関係に及ぼす影響に就いて示している。又、上記図6中の実線は、ハブ1aと外輪3a(図2参照)との間に車体重量に見合うラジアル荷重Fzが加わっている標準状態を、同じく破線はこの標準状態よりも小さなラジアル荷重Fzが加わっている場合を、同じく鎖線はこの標準状態よりも大きなラジアル荷重Fzが加わっている場合を、それぞれ示している。この様な図6から明らかな通り、上記両列の転動体8a、8bの公転速度nca、ncb同士の比nca/ncbはアキシアル荷重Fyの大きさに応じて変化するが、その変化の程度(ゲイン)は、ラジアル荷重Fzの影響を受ける。
又、図7は、前後方向荷重Fxの変動が、上記アキシアル荷重Fyと、上記両列の転動体8a、8bの公転速度nca、ncb同士の比(公転比)nca/ncbとの関係に及ぼす影響に就いて示している。又、上記図7中の実線は、ハブ1aと外輪3aとの間に定速走行状態で作用する標準的な前後方向荷重Fxが加わっている場合を、同じく破線はこの標準状態よりも小さな前後方向荷重Fxが加わっている場合を、同じく鎖線はこの標準状態よりも大きな前後方向荷重Fxが加わっている場合を、それぞれ示している。この様な図7から明らかな通り、上記両列の転動体8a、8bの公転速度nca、ncb同士の比nca/ncbはアキシアル荷重Fyの大きさに応じて変化するが、その変化の程度(ゲイン)は、前後方向荷重Fxの影響を受ける。
図6、7に示したシミュレーションの結果から明らかな通り、上記両列の転動体8a、8bの公転速度nca、ncb同士の比(公転比)nca/ncbと上記アキシアル荷重Fyの大きさとの関係は、ラジアル荷重Fz及び前後方向荷重Fxによる影響を受ける。言い換えれば、これらラジアル荷重Fz及び前後方向荷重Fxが、上記両列の転動体8a、8bの公転速度nca、ncbに基づいて上記アキシアル荷重Fyを求める事に関してクロストークとなる。従って、単に上記両列の転動体8a、8bの公転速度nca、ncb(更に上記ハブ1aの回転速度ni )を求めただけでは、上記アキシアル荷重Fyを正確に求める事が難しい場合がある。
又、本発明者は、上記ラジアル荷重Fz及び上記前後方向荷重Fxが、上記両列の転動体8a、8bの公転速度nca、ncbに、それぞれどの様に影響するかを知る為のシミュレーションを行なった。その結果を図8〜11に示す。
このうちの図8は、外側(図2、5の左側)の列の転動体8a、8aの公転速度ncaとハブ1aの回転速度ni との比nca/ni に対する、アキシアル荷重Fy及びラジアル荷重Fzの大きさが及ぼす影響に就いて示している。又、図9は、内側(図2、5の右側)の列の転動体8b、8bの公転速度ncbとハブ1aの回転速度ni との比ncb/ni に対する、アキシアル荷重Fy及びラジアル荷重Fzの大きさが及ぼす影響に就いて示している。実線、破線、鎖線の表す意味は、それぞれ図6の場合と同様である。
又、図10は、外側の列の転動体8a、8aの公転速度ncaとハブ1aの回転速度ni との比nca/ni に対する、アキシアル荷重Fy及び前後方向荷重Fxの大きさが及ぼす影響に就いて示している。又、図11は、内側の列の転動体8b、8bの公転速度ncbとハブ1aの回転速度ni との比ncb/ni に対する、アキシアル荷重Fy及び前後方向荷重Fxの大きさが及ぼす影響に就いて示している。実線、破線、鎖線の表す意味は、それぞれ図7の場合と同様である。
このうちの図8は、外側(図2、5の左側)の列の転動体8a、8aの公転速度ncaとハブ1aの回転速度ni との比nca/ni に対する、アキシアル荷重Fy及びラジアル荷重Fzの大きさが及ぼす影響に就いて示している。又、図9は、内側(図2、5の右側)の列の転動体8b、8bの公転速度ncbとハブ1aの回転速度ni との比ncb/ni に対する、アキシアル荷重Fy及びラジアル荷重Fzの大きさが及ぼす影響に就いて示している。実線、破線、鎖線の表す意味は、それぞれ図6の場合と同様である。
又、図10は、外側の列の転動体8a、8aの公転速度ncaとハブ1aの回転速度ni との比nca/ni に対する、アキシアル荷重Fy及び前後方向荷重Fxの大きさが及ぼす影響に就いて示している。又、図11は、内側の列の転動体8b、8bの公転速度ncbとハブ1aの回転速度ni との比ncb/ni に対する、アキシアル荷重Fy及び前後方向荷重Fxの大きさが及ぼす影響に就いて示している。実線、破線、鎖線の表す意味は、それぞれ図7の場合と同様である。
上述の様な図8〜11から明らかな通り、上記両列の転動体8a、8bのうち、上記アキシアル荷重Fyを支承しない列の転動体、即ち、このアキシアル荷重Fyが正の場合には内側の列の転動体8b、8bの、同じく負の場合には外側の列の転動体8a、8aの公転速度nca、ncbは、上記ラジアル荷重Fz及び前後方向荷重Fxの変動の影響を大きく受ける。これに対して、上記アキシアル荷重Fyを支承する列の転動体、即ち、このアキシアル荷重Fyが正の場合には外側の列の転動体8a、8aの、同じく負の場合には内側の列の転動体8b、8bの公転速度nca、ncbは、上記ラジアル荷重Fz及び前後方向荷重Fxの変動の影響を殆ど受けない。
以上の事を考慮すれば、上記アキシアル荷重Fyを支承する列の転動体の公転速度を利用して、このアキシアル荷重Fyを算出すれば、上記ラジアル荷重Fz及び前後方向荷重Fxの変動の影響を殆ど受けずに、上記アキシアル荷重Fyを正確に求められる事が分かる。図12、13は、この様な事情に鑑みて求めた、このアキシアル荷重Fyを支承する列の転動体の公転速度(公転速度nc とハブ1aの回転速度ni との比nc /ni )と、アキシアル荷重Fyと、上記ラジアル荷重Fz又は前後方向荷重Fxとの関係を示している。
図12は、このうちの、公転速度とアキシアル荷重Fyとの関係が、ラジアル荷重Fzの大きさにより変動する状況を示している。この様な図12は、前記図8の中間部乃至右寄り部分(横軸の値が正の部分)と、前記図9の左寄り部分(横軸の値が負の部分)とを繋ぎ合わせたものである。実線、破線、鎖線の表す意味は、図6、8、9の場合と同様である。
又、図13は、公転速度とアキシアル荷重Fyとの関係が、前後方向荷重Fxの大きさにより変動する状況を示している。この様な図13は、前記図10の中間部乃至右寄り部分(横軸の値が正の部分)と、前記図11の左寄り部分(横軸の値が負の部分)とを繋ぎ合わせたものである。実線、破線、鎖線の表す意味は、図7、10、11の場合と同様である。
又、図13は、公転速度とアキシアル荷重Fyとの関係が、前後方向荷重Fxの大きさにより変動する状況を示している。この様な図13は、前記図10の中間部乃至右寄り部分(横軸の値が正の部分)と、前記図11の左寄り部分(横軸の値が負の部分)とを繋ぎ合わせたものである。実線、破線、鎖線の表す意味は、図7、10、11の場合と同様である。
この様な図12、13から明らかな通り、アキシアル荷重Fyを支承する列の転動体の公転速度nca、ncbは、上記ラジアル荷重Fz及び前後方向荷重Fxの変動の影響を殆ど受けない。この理由は、上記アキシアル荷重Fyを支承している列に関しては転がり接触部の剛性が高く、この列を構成する転動体8a、8a(8b、8b)の接触角αa (αb )に関して、ラジアル荷重Fzや前後方向荷重Fxの影響を受けにくい、言い換えれば、これらラジアル荷重Fzや前後方向荷重Fxの変動が、接触角αa (αb )の変化に結び付きにくい為である。そこで、両列の転動体8a、8bのうち、上記アキシアル荷重Fyを支承する列を特定し、当該列の転動体の公転速度に基づいてこのアキシアル荷重Fyを求めれば、上記ラジアル荷重Fz及び前後方向荷重Fxの影響を僅少に抑えて、このアキシアル荷重Fyを正確に求められる。
上記アキシアル荷重Fyの作用方向は、前述した通り、車体(或は、外輪3aやこの外輪3aに嵌合固定したカバー20等、転がり軸受ユニットを構成する非回転部材)に設置した加速度センサにより特定できる他、上記両列の転動体の公転速度の大小によっても特定できる。そこで本実施例の場合には、上記加速度センサ、或はこれら両列の転動体の公転速度の大小を特定する比較器により上記アキシアル荷重Fyの作用方向を特定する為の荷重作用方向特定手段を構成する。そして、この荷重作用方向特定手段により特定した上記アキシアル荷重Fyの作用方向に応じ、上記両列の転動体8a、8a(8b、8b)のうちの何れか一方の(上記アキシアル荷重Fyを支承する)列の公転速度(公転速度nc とハブ1aの回転速度ni との比nc /ni )に基づいて、ハブ1aと外輪3aとの間に作用するアキシアル荷重Fyを求める。
この様にして、上記比nc /ni からこのアキシアル荷重Fyを求めるのは、図12又は図13の実線(図12の実線と図13の実線とは同じ)に基づいて行なう。即ち、上記アキシアル荷重Fyの作用方向を特定し、更にこのアキシアル荷重Fyを支承する列の転動体の公転速度とハブ1aの回転速度との比nc /ni を求めたならば、上記図12又は図13の縦軸にこの比を当て嵌め、上記実線から上記アキシアル荷重Fyを求める。図2に示す様な背面組み合わせ型の接触角を有する車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、上記荷重作用方向特定手段が正方向の(車両の幅方向内側に向いた)アキシアル荷重が加わっていると判定した場合には、上記図12又は図13の横軸が正の値に存在する実線を基に、上記アキシアル荷重Fyを求める。これに対して、負方向の(車両の幅方向外側に向いた)アキシアル荷重が加わっていると判定した場合には、上記図12又は図13の横軸が負の値に存在する実線を基に、上記アキシアル荷重Fyを求める。
1、1a ハブ
2 回転側フランジ
3、3a 外輪
4 ナックル
5 固定側フランジ
6、6a、6b 外輪軌道
7、7a、7b 内輪軌道
8、8a、8b 転動体
9 ボルト
10 ねじ孔
11 荷重センサ
12 取付孔
13、13a センサユニット
14、14a 先端部
15a、15b 公転速度検出用センサ
16、16a 回転速度検出用センサ
17a、17b 保持器
18a、18b 公転速度検出用エンコーダ
19、19a 回転速度検出用エンコーダ
20 カバー
2 回転側フランジ
3、3a 外輪
4 ナックル
5 固定側フランジ
6、6a、6b 外輪軌道
7、7a、7b 内輪軌道
8、8a、8b 転動体
9 ボルト
10 ねじ孔
11 荷重センサ
12 取付孔
13、13a センサユニット
14、14a 先端部
15a、15b 公転速度検出用センサ
16、16a 回転速度検出用センサ
17a、17b 保持器
18a、18b 公転速度検出用エンコーダ
19、19a 回転速度検出用エンコーダ
20 カバー
Claims (8)
- 使用時にも回転しない静止輪と、この静止輪と同心に配置されて使用時に回転する回転輪と、これら静止輪と回転輪との互いに対向する部分にそれぞれ2列ずつ形成された静止側軌道と回転側軌道との間にそれぞれ複数個ずつ、これら両列同士の間で接触角の方向を互いに逆にして転動自在に設けられた転動体と、これら両列の転動体の公転速度を測定する為の1対の公転速度測定手段と、上記静止輪と上記回転輪との間に加わるアキシアル荷重の作用方向を特定する為の荷重作用方向特定手段と、この荷重作用方向特定手段から上記アキシアル荷重の作用方向を表す信号を、上記両公転速度測定手段から上記両列の転動体の公転速度を表す信号を、それぞれ送り込まれる演算器とを備え、この演算器は、上記荷重作用方向特定手段により特定される上記アキシアル荷重の作用方向に応じて、上記両列の転動体の公転速度のうちでこのアキシアル荷重を支承する側の列の公転速度を利用し、このアキシアル荷重を支承しない側の列の公転速度を利用せずに上記アキシアル荷重を算出する転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置。
- 荷重作用方向特定手段が加速度センサである、請求項1に記載した転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置。
- 荷重作用方向特定手段が、両列の転動体の公転速度を、互いに又は基準値と比較する比較器を含んで構成されたものである、請求項1に記載した転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置。
- アキシアル荷重が作用しない状態で、両列の転動体の接触角が互いに同じであり、比較器は、これら両列の転動体の公転速度を互いに比較して、公転速度が速い列の転動体がアキシアル荷重を支承する方向にこのアキシアル荷重が作用していると、このアキシアル荷重の作用方向を特定し、演算器は、速い側の公転速度を利用して、静止輪と回転輪との間に加わる上記アキシアル荷重を算出する、請求項3に記載した転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置。
- アキシアル荷重が作用しない状態で、両列の転動体の接触角が互いに異なり、比較器は、これら両列の転動体の公転速度を、上記アキシアル荷重が作用しない状態での公転速度である基準値と比較するものであり、この基準値よりも公転速度が速くなっている列の転動体がアキシアル荷重を支承する方向にこのアキシアル荷重が作用していると、このアキシアル荷重の作用方向を特定し、演算器は、上記基準値よりも速くなっている側の公転速度を利用して、静止輪と回転輪との間に加わる上記アキシアル荷重を算出する、請求項3に記載した転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置。
- アキシアル荷重が作用しない状態で、両列の転動体の接触角が互いに異なり、荷重作用方向特定手段が、この状態での接触角の相違に基づくこれら両列の転動体の公転速度の相違を補正して大小の比較可能な換算値とする換算器を備え、比較器は、この換算器から出力される上記両列の転動体の公転速度に関する換算値同士を比較するものであり、この換算値が大きい列の転動体がアキシアル荷重を支承する方向にこのアキシアル荷重が作用していると、このアキシアル荷重の作用方向を特定し、演算器は、上記換算値が大きい側の公転速度を利用して、静止輪と回転輪との間に加わる上記アキシアル荷重を算出する、請求項3に記載した転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置。
- 回転輪の回転速度を測定する為の回転速度測定手段を備え、演算器は、この回転速度測定手段が検出する上記回転輪の回転速度と、一方の列の公転速度との比に基づいて、この回転輪と静止輪との間に加わるアキシアル荷重を算出する、請求項1〜6の何れかに記載した転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置。
- 回転輪が、自動車の車輪を固定した状態でこの車輪と共に回転するハブである、請求項1〜7の何れかに記載した転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004264816A JP2006078411A (ja) | 2004-09-13 | 2004-09-13 | 転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004264816A JP2006078411A (ja) | 2004-09-13 | 2004-09-13 | 転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006078411A true JP2006078411A (ja) | 2006-03-23 |
Family
ID=36157995
Family Applications (1)
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JP2004264816A Withdrawn JP2006078411A (ja) | 2004-09-13 | 2004-09-13 | 転がり軸受ユニットのアキシアル荷重測定装置 |
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Country | Link |
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-
2004
- 2004-09-13 JP JP2004264816A patent/JP2006078411A/ja not_active Withdrawn
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