JP2006077860A - 流体軸受装置および流体軸受装置用のシール部材の製造方法 - Google Patents

流体軸受装置および流体軸受装置用のシール部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 この種の流体軸受装置におけるシール部材の製造コストを低減するとともに、シール部材の射出成形時に発生するバリを容易に取り除く。
【解決手段】 シール部材9を、液晶ポリマー(LCP)をベース樹脂とする樹脂組成物で射出成形し、このシール部材9をハウジング7の開口部7c内周に固定面9dを介して固定して流体軸受装置1を構成した状態では、シール部材9の内周に形成されたテーパ面9aと軸部材2の軸部2aの外周面2a1との間にシール空間Sを形成し、かつ、上側端面9cの外周角部に、ゲート跡9gを除去加工することにより形成された円環状の面取り部9eが現れ、かつ面取り部9eと固定面9dとの間に、面取り部9eの外径側端部に発生したバリCを含む領域を無機繊維で研磨することにより形成された研磨面9fが現れるようにした。
【選択図】図7

Description

本発明は、ラジアル軸受隙間に生じる流体の潤滑膜によって軸部材を非接触支持する流体軸受装置および流体軸受装置用のシール部材の製造方法に関するものである。この軸受装置は、情報機器、例えばHDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、その他の小型モータ用として好適である。
上記各種モータには、高回転精度の他、高速化、低コスト化、低騒音化等が求められている。これらの要求性能を決定づける構成要素の1つに当該モータのスピンドルを支持する軸受があり、近年では、上記要求性能に優れた特性を有する流体軸受の使用が検討され、あるいは実際に使用されている。
この種の流体軸受は、軸受隙間内の潤滑油に動圧を発生させる動圧発生手段を備えた動圧軸受と、動圧発生手段を備えていない、いわゆる真円軸受(軸受面が真円形状である軸受)とに大別される。
例えば、HDD等のディスク駆動装置のスピンドルモータに組込まれる流体軸受装置では、軸部材をラジアル方向に回転自在に非接触支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向に回転自在に非接触支持するスラスト軸受部とが設けられ、ラジアル軸受部として、軸受スリーブの内周面または軸部材の外周面に動圧発生用の溝(動圧溝)を設けた軸受(動圧軸受)が用いられる。スラスト軸受部としては、例えば、軸部材のフランジ部の両端面、あるいは、これに対向する面(軸受スリーブの端面や、ハウジングに固定されるスラスト部材の端面、あるいはハウジングの底部の内底面等)に動圧溝を設けた動圧軸受が用いられる(例えば、特許文献1参照)。あるいは、スラスト軸受部として、軸部材の一端面をスラスト部材によって接触支持する構造の軸受(いわゆるピボット軸受)が用いられる場合もある(例えば、特許文献2参照)。
通常、軸受スリーブはハウジング内部の所定位置に固定される。また、ハウジングの内部空間に充満した流体(例えば潤滑油)が外部に漏れるのを防止するために、ハウジングの開口部にシール部材を配設することがある(特許文献3)。
この種の流体軸受装置は、ハウジング、軸受スリーブ、軸部材、およびシール部材といった部品で構成され、情報機器の益々の高性能化に伴って必要とされる高い軸受性能を確保すべく、各部品の加工精度や組立精度を高める努力がなされている。その一方で、情報機器の低価格化の傾向に伴い、この種の流体軸受装置に対するコスト低減の要求も益々厳しくなっている。
特開2002−61641号公報 特開平11−191943号公報 特開2002−61637号公報
この種の流体軸受装置の低コスト化を図る一手段として、シール部材を樹脂材料で成形(射出成形)することが考えられる。一般に、樹脂の射出成形では、成形金型のキャビティーに溶融状態の樹脂を充填するためのゲートが設けられ、成形品が、ゲート内に形成されたゲート樹脂部とつながった状態で成形される。このゲート樹脂部は、成形金型の型開きにより、自動的に切断されるが、この際、ゲート樹脂部の一部がゲート跡として成形品側に残る。そのため、成形後に、例えば切削加工を行い、ゲート跡を成形品から取り除くようにしている。
ところが、ゲート跡の除去後、除去跡となる面取り部の端部にバリが発生することがある。この種のバリは、例えばゲート跡の形成箇所によっては、シール部材の外周に設けられた固定面よりも外径側に飛び出した形で形成されるため、シール部材のハウジング開口部への圧入固定を妨げるおそれがある。あるいは、バリがシール部材から離脱して、コンタミとして軸受内部に充満した潤滑油に混入するおそれがある。そのため、ゲート樹脂部の除去加工後に、バリを取るための加工が必要となるが、通常のバリ取り加工、例えばスチールブラシでこする等した程度ではバリを取ることが難しい。特に、シール部材の成形用材料として液晶ポリマー(LCP)を採用する場合には、より一層バリ取りが困難なものとなる。
本発明の課題は、この種の流体軸受装置におけるシール部材の製造コストを低減するとともに、シール部材の成形加工時に発生するバリを取り除くことである。
前記課題を解決するため、本発明に係る流体軸受装置は、軸部材と、内周面が軸部材の外周面との間でシール空間を形成し、外周に他部材に固定するための固定面が形成された環状のシール部材と、軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で軸部材を非接触支持する軸受部とを備えた流体軸受装置において、シール部材は、樹脂組成物の射出成形品であって、その外周角部の全周に、ゲート跡の除去による面取り部が形成されると共に、面取り部と固定面との間に研磨面が形成されていることを特徴とする。
上述のように、シール部材を、樹脂組成物で射出成形で形成することにより、旋削等の機械加工を要する金属製シール部材に比べて低コストで製造することができる。また、本発明は、シール部材の外周角部の全周に、ゲート跡の除去による面取り部を形成すると共に、面取り部と、シール部材の外周に形成される他部材への固定面との間に研磨面を形成したことを特徴とするものである。面取り部と固定面との間に位置する研磨面は、面取り部の端部(例えば隣接する固定面との境界部)を研磨することにより形成されるものであり、面取り部は、ゲート樹脂部の切断により、シール部材側に残ったゲート跡を取り除くことにより形成されるものである。このように、ゲート跡を例えば切削除去した後、除去跡として残る面取り部の端部に研磨加工を施すことで、面取り部の端部に発生するバリを容易に取り除くことができ、これにより、バリがコンタミとして軸受内部に充満した油に混入するのを抑えることができる。
上記シール部材を形成する樹脂組成物のベース樹脂として、例えば液晶ポリマー(LCP)を使用することができる。射出可能な樹脂の中でも、液晶ポリマー(LCP)は、主に固化時のアウトガス発生量が少なく、かつ低吸水性や、高い耐熱性、および耐油性を兼ね備えた材料であるため、これをベース樹脂として射出すれば、バリを容易に除去しつつ、寸法安定性や、軸受内部の清浄度を高レベルに保ち得るシール部材を成形することが可能となる。また、液晶ポリマー(LCP)のように射出時の流動性に優れた(成形性に優れた)材料でシール部材を成形することで、成形加工にかかるコストをさらに低く抑えることができる。
面取り部は、シール部材の開放側の端面に形成されているのが好ましく、これによれば、シール部材のハウジングへの固定時、軸受スリーブの外周や、軸受スリーブとシール部材との間に形成される油の循環路の側に面取り部が面するのを避けることができる。そのため、仮に面取り部から充填材等がコンタミとして脱落しても、これが油中に混入するのを防ぐことができる。
また、本発明は、軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で軸部材を非接触支持する軸受部を備えた流体軸受装置に装備され、内周面が軸部材の外周面との間でシール空間を形成し、外周に他部材に固定するための固定面が形成された環状のシール部材を製造するにあたり、シール部材をフィルムゲートにより樹脂組成物で射出した後、その外周角部全周に形成されたゲート跡を除去して面取り部を形成し、面取り部と固定面との間を研磨することを特徴とする。ここで、「フィルムゲート」とは、ゲート幅の小さい環状のゲートであり、成形金型の、シール部材の一方の端面の外周角部に対応する位置に設けられる。そのため、成形後のシール部材は、その一方の端面の外周角部にフィルム状のゲート樹脂部が環状につながった形態となる。このゲート樹脂部は、成形金型の型開動作によって自動的に切断され、その一部が、ゲート跡として成形品であるシール部材の外周角部に環状に残る。
これによれば、面取り部の端部に形成されるバリを、面取り部のバリを含む領域ごと研磨することにより取り除くことができる。これにより、研磨加工による研磨面が、面取り部と固定面との間に、かつ両面と隣接して形成される。また、フィルムゲートによりシール部材を射出成形することで、ゲート跡がシール部材の外周側に形成されるので、例えば樹脂組成物に配合された充填材が、面取り部からコンタミとして脱落しても、そのコンタミは、シール部材の内周面の側に形成されるシール空間に落ち込み難くなる。
バリを取り除くための研磨加工としては、例えば砥粒を付着させたフィルム(ラップフィルム)や砥石で研磨する方法などが考えられるが、この種の方法では、例えば砥粒が研磨中にフィルムや砥石から脱落し、コンタミとしてシール部材に付着する可能性がある。そのため、本発明では、研磨加工を、無機繊維を結着材で結着してなる研磨治具(研磨材)で行うこととした。
この加工方法によれば、繊維で被研磨領域(主にバリ)を削り取ることができるので、砥粒が不要となり、砥粒の脱落が避けられる。また、無機繊維は有機繊維と比べて剛性や硬さに優る場合が多いため、研磨中も折れにくく研磨用の繊維として好ましい。その中でも、特に研磨に好適な材料として、例えばアルミナ繊維を挙げることができる。また、繊維径の小さいものを研磨材として使用することで、より確実にバリの除去を行うことができる。また、研磨面を高精度に仕上げることができ、研磨面からの充填材の脱落を抑えることができる。さらには、繊維同士を結着材で互いに結着させているので、繊維の脱落をより一層抑えることができる。
上記流体軸受装置は、流体軸受装置と、ロータマグネットと、ステータコイルとを備えたモータとして提供することも可能である。
本発明によれば、この種の流体軸受装置におけるシール部材の製造コストを低減することができる。また、シール部材の成形加工時に発生するバリを容易に取り除くことができ、軸受装置内部の清浄度を高レベルに保つことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る流体軸受装置(動圧軸受装置)1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。この情報機器用スピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に非接触支持する流体軸受装置1と、軸部材2に取付けられたディスクハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、ブラケット6とを備えている。ステータコイル4はブラケット6の外周に取付けられ、ロータマグネット5は、ディスクハブ3の内周に取付けられる。また、ブラケット6は、その内周に流体軸受装置1を装着している。ディスクハブ3は、その外周に磁気ディスク等のディスク状情報記録媒体(以下、単にディスクという。)Dを一枚または複数枚保持している。このように構成された情報機器用スピンドルモータにおいて、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間の磁力でロータマグネット5が回転し、これに伴って、ディスクハブ3およびディスクハブ3に保持されたディスクDが軸部材2と一体に回転する。
図2は、流体軸受装置1を示している。この流体軸受装置1は、一端に底部7bを有するハウジング7と、ハウジング7に固定された軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8の内周に挿入された軸部材2と、シール部材9とを構成部品として構成される。なお、説明の便宜上、ハウジング7の底部7bの側を下側、底部7bと反対の側(開口部7cの側)を上側として以下説明を行う。
ハウジング7は、例えば液晶ポリマー(LCP)やポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂材料で射出成形される。このハウジング7は、図2に示すように、円筒状の側部7aと、側部7aの下端に一体に設けられた底部7bと、側部7aの上端に位置する開口部7cとを備えている。底部7bの上側端面7b1の、スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間に面する領域には、図示は省略するが、例えばスパイラル形状やヘリングボーン形状の動圧溝が形成される。上側端面7b1から軸方向上方に所定寸法だけ離れた位置には、段部7dが側部7aと一体に形成されている。なお、底部7bは、この実施形態では側部7aと一体に樹脂材料で射出成形されるが、例えば金属材料で側部7aとは別体に形成し、側部7aの下端内周に後付けで固定しても構わない。
軸部材2は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料で形成され、軸部2aと、軸部2aの下端に一体または別体に設けられたフランジ部2bを備えている。
軸受スリーブ8は、例えば、焼結金属からなる多孔質体、特に銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成され、ハウジング7の内周面7eの所定位置に固定される。
軸受スリーブ8の内周面8aには、第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2のラジアル軸受隙間に面する上下2つの領域が軸方向に離隔して設けられ、この2つの領域には、例えば図3に示すようなへリングボーン形状の動圧溝8a1、8a2がそれぞれ形成される。上側の動圧溝8a1の形成領域では、動圧溝8a1が、軸方向中心m(上下の傾斜溝間領域の軸方向中央)に対して軸方向非対称に形成されており、軸方向中心mより上側領域の軸方向寸法X1が下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなっている。従って、軸部材2の回転時には、非対称形状を成す動圧溝8a1によってラジアル軸受隙間の潤滑油が下方に押込まれる。なお、上記ラジアル軸受隙間に面する領域は、これ以外にも、多円弧状やステップ状等の形状を採ることができる。
軸受スリーブ8の外周面8bには、1本又は複数本の軸方向溝8b1が軸方向全長に亘って形成されている。この実施形態では、3本の軸方向溝8b1を円周方向等間隔に形成している。
軸受スリーブ8の下側端面8cの、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間に面する領域には、図示は省略するが、例えばスパイラル形状やヘリングボーン形状の動圧溝が形成される。
軸受スリーブ8の上側端面8dの、径方向の略中央部には、図3に示すように、V字断面の円周溝8d1が全周に亘って形成されている。円周溝8d1によって区画された上側端面8dの内径側領域には、一又は複数本の半径方向溝8d2(図3中破線部)が形成される。この半径方向溝8d2は、後述するシール部材9を軸受スリーブ8の上端側に配した状態では、円周溝8d1と、軸受スリーブ8の内周面8a上端との間を連通する。
シール部材9は、例えば液晶ポリマー(LCP)をベース樹脂とする樹脂組成物を射出することで環状に成形される。シール部材9の内周には、下側端面9b側から上側端面9c側に向けて漸次拡径するテーパ面9aが形成され、外周には、シール部材9をハウジング7の開口部7c内周に固定するための固定面9dが形成される。シール部材9を例えばハウジング7の開口部7c内周に固定面9dを介して固定した状態では、テーパ面9aと、軸部材2の軸部2aの外周面2a1との間に、ハウジング7の開口部7c側から底部7b側に向けて半径方向寸法が漸次縮小する環状のシール空間Sが形成される。このシール空間Sは、毛細管力や回転に伴う遠心力によりシール空間S内の潤滑油を下方(軸受内部)に引き込もうとする作用を発揮する。
シール部材9の下側端面9bは、段差を以って内径側領域9b1と外径側領域9b2とに区画される。このうち内径側領域9b1は、シール部材9をハウジング7の開口部7c内周に固定した状態において、軸受スリーブ8の上側端面8dと当接し、外径側領域9b2は、軸受スリーブ8の上側端面8dから離隔して上側端面8dとの間にヌスミ空間Qを形成する。
シール部材9の上側端面9cの外周角部には、上側端面9cと隣接し、軸方向下方に向けて漸次拡径する第1テーパ面(面取り部)9eが形成される。第1テーパ面9eのさらに外径側には、第1テーパ面9eと固定面9dの間に位置し、軸線に対する傾斜を第1テーパ面9eよりも小さく抑えた第2テーパ面(研磨面)9fが形成される。この実施形態では、第2テーパ面9fはその最外径部で固定面9dとつながっている。
シール部材9を構成する上記樹脂組成物には、例えば、ガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカ状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボン繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル、各種金属粉等の繊維状または粉末状の導電性充填材を、目的に応じて適量配合することができる。
上記シール部材9は、例えば以下に示す工程、射出成形工程(A)、およびゲート跡除去工程(B)を経て製造される。
(A)射出成形工程
図5は、上記シール部材9の成形工程を概念的に示している。固定型と可動型とで構成される成形金型には、ランナー10a、フィルムゲート10b、およびキャビティー10cが設けられる。フィルムゲート10bは、成形金型の、シール部材9の上側端面9cの外周角部に対応する位置に環状に形成され、そのゲート幅δは、溶融樹脂(この例では液晶ポリマー(LCP))の溶融時の粘度や射出速度を考慮して適正な間隔に設定される。
図示されていない射出成形機のノズルから射出された溶融樹脂Pは、成形金型のランナー10a、フィルムゲート10bを通ってキャビティー10c内に充填される。このように、シール部材9の上側端面9cの外周角部に対応する位置に設けた環状のフィルムゲート10bからキャビティー10c内に溶融樹脂Pを充填することにより、溶融樹脂Pがキャビティー10cの円周方向および軸方向に均一に充填され、成形寸法精度が高く、かつウェルドのない均質なシール部材9が得られる。
キャビティー10c内に充填された溶融樹脂Pが冷却されて固化した後、可動型を移動させて成形金型を型開きする。フィルムゲート10bをシール部材9の上側端面9cの外周縁部に対応する位置に設けているため、型開き前の成形品は、図5に示すように、シール部材9の上側端面9cの外周角部にフィルム状のゲート樹脂部(ランナー10aおよびフィルムゲート10bに対応した領域)が環状につながった形態になる。このゲート樹脂部は、例えば成形金型の型開動作によって自動的に切断され、成形品を成形金型から取り出した状態では、例えば図7(a)に示すように、シール部材9の上側端面9cの外周角部に、ゲート樹脂部の切り残し部分がゲート跡9gとして残る。
(B)ゲート跡除去工程
次に、上記ゲート跡9gの除去加工を行う。この除去加工は、例えば図6に示すように、成形品としてのシール部材9をコレットチャック11で回転可能に把持し、コレットチャック11と共にシール部材9を回転させた状態で、回転軸に対して直交する方向(同図中矢印1の方向)から切削バイト12をシール部材9の上側端面9cの外周角部に押し当てることで行われる。この際、切削バイト12を、その切削面が図7(a)に示すX線に沿うように、ゲート跡9gに押し当てることで、シール部材9の上側端面9cの外周角部に、ゲート跡9gを取り除いた跡としての面取り部(完成品としてのシール部材9の第1テーパ面に対応)9eが形成される。また、面取り部9eの外径側端部には、その円周方向に亘ってバリCが、例えば図7(b)に示すように、シール部材9の固定面9dよりも外径側に飛び出した状態で残る。
ゲート跡9gの除去後、シール部材9をコレットチャック11に把持した状態で、例えば切削バイト12の押し当て方向とは異なる方向(図6中矢印2の方向)から、無機繊維を結着材で結着してなる研磨治具13をシール部材9に押し当てる。この際、研磨治具13の研磨面を、図7(b)に示すY線に沿うように、バリCに押し当てることで、バリCが取り除かれ、バリCを取り除いた跡としての研磨面(完成品としてのシール部材9の第2テーパ面に対応)9fが、面取り部9eと固定面9dとの間に形成される。
このように、面取り部9eの外径側端部に形成されたバリCを含む領域を、砥粒を含まない研磨材、例えばアルミナ繊維等の無機繊維を結着材で結着させたもので研磨することにより、コンタミの原因となる砥粒の脱落を避け、かつ繊維の脱落や折れを抑えてバリCを容易に取り除くことができる。また、研磨材に使用する繊維径を小さく、かつ一定に揃えたものを研磨用の繊維に用いることで、バリCを確実に取り除くだけでなく、研磨面9fの高精度仕上げが可能となり、研磨面9fからの充填材の脱落が抑えられる。
上述の如く製造したシール部材9のハウジング7への固定は、段部7dにより軸方向の位置決めを行った軸受スリーブ8をハウジング7の内周に固定した上で行われる。まず、シール部材9の下側端面9bの内径側領域9b1と軸受スリーブ8の上側端面8dとを当接させた状態で、シール部材9をハウジング7の開口部7c内周に装着する。そして、この状態から、超音波溶着などの溶着、あるいは接着(圧入接着を含む)などの固定手段によりシール部材9の固定面9dをハウジング7の内周面7eに固定する。その後、ハウジング7の内部空間に潤滑油を充満させることで、流体軸受装置1の組立が完了する。このとき、シール部材9で密封されたハウジング7の内部空間に充満した潤滑油の油面は、シール空間Sの範囲内に維持される。上述のように、シール部材9の面取り部9e端部に形成されたバリCは、研磨により取り除かれるため、固定面9dよりも外径側に飛び出した部分はない。そのため、シール部材9のハウジング7への装着時、シール部材9の外径側に飛び出した部分(例えばバリ)が脱落し、流体軸受装置1内部に落ち込むのを避けることができる。あるいは、研磨面を高精度に仕上げることで、研磨面からの充填材の脱落を抑え、流体軸受装置1の内部および周辺の清浄度を高く保つことができる。
上述のように構成された流体軸受装置1において、軸部材2を回転させると、軸受スリーブ内周面8aの動圧溝8a1、8a2の形成領域(上下2箇所)と、これら動圧溝8a1、8a2の形成領域にそれぞれ対向する軸部2aの外周面2a1との間のラジアル軸受隙間に、潤滑油の動圧作用による圧力が発生し、軸部材2の軸部2aがラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが形成される。また、軸受スリーブ8の下側端面8cに形成される動圧溝領域と、この動圧溝領域に対向するフランジ部2bの上側端面2b1との間のスラスト軸受隙間、および底部7bの上側端面7b1に形成される動圧溝領域と、この動圧溝領域と対向するフランジ部2bの下側端面2b2との間のスラスト軸受隙間に、潤滑油の動圧作用による圧力がそれぞれ発生し、軸部材2のフランジ部2bが両スラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をスラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とが形成される。
また、上述のように、第1ラジアル軸受部R1の動圧溝8a1は、軸方向中心mに対して軸方向非対称(X1>X2)に形成されているため(図3参照)、軸部材2の回転時、動圧溝8a1による潤滑油の引き込み力(ポンピング力)は上側領域が下側領域に比べて相対的に大きくなる。そして、この引き込み力の差圧によって、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部2aの外周面2a1との間の隙間に満たされた潤滑油が下方に流動し、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間→軸方向溝8b1→ヌスミ空間Q(図4参照)→円周溝8d1→半径方向溝8d2という経路を循環して、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部2aの外周面2a1との間の隙間に戻り、第1ラジアル軸受部R1のラジアル軸受隙間に再び引き込まれる。このように、潤滑油がハウジング7の内部空間を流動循環するように構成することで、軸受内部空間の潤滑油の圧力が局部的に負圧になる現象を防止して、負圧発生に伴う気泡の生成、気泡の生成に起因する潤滑油の漏れや振動の発生等の問題を解消することができる。また、この実施形態では、シール部材9の上側端面9cの外径側に、面取り部9eおよび研磨面9fが位置するように射出成形時のゲート位置(図5参照)を設定したので、これら加工面が上記潤滑油の循環路に面するのを避け、潤滑油中への充填材の混入を防ぐことができ、流体軸受装置1の清浄度をより一層高く保つことができる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
以上の実施形態では、面取り部9eの外径側端部に発生したバリCを研磨することで、研磨面9fが面取り部9eの外径側および固定面9dの上端側に隣接して形成される場合を説明したが、研磨面9fは、バリCの発生箇所によって変動し、例えば、面取り部9eの内径側端部にバリCが発生した場合には、バリCの除去に伴う研磨面9fを、面取り部9eと上側端面9cとの間に形成することができる。
また、以上の実施形態では、バリCを研磨するための研磨治具13として、例えば無機繊維を結着材で結着したものを使用し、これを切削バイト12の押込み方向(図6中矢印1の方向)とは異なる方向(同図中矢印2の方向)から押し当てる場合を説明したが、例えば研磨治具13を切削バイト12と同方向(シール部材9の軸線に直交する方向)から押し当てることも可能である。その場合、例えば図示は省略するが、研磨治具13のうち、無機繊維で構成される押し当て部分を、研磨面9fの傾斜角(図6(b)に示すY線が軸線に対して成す角)に合わせて加工し、切削バイト12と同方向から押し当てることで、上述の研磨が可能となる。この場合には、切削バイト12と研磨治具13を同一の移動機構で移動(シール部材9の軸線方向に直交する方向に移動)させることが可能となるので、斯かる構成を一部共通化して、設備を簡略化することができる。
また、以上の実施形態では、テーパ面9aを、シール部材9の内周面の一部に形成する場合を説明したが、これ以外にも、例えば内周面の軸方向全長に亘って形成することもできる。あるいは、シール部材9の内周面を軸方向に径一定とし、この面と対向する軸部材2の軸部2aの外周面2a1に、上方に向けて漸次縮径するテーパ面を設けるようにしてもよい。
また、以上の実施形態では、流体軸受装置1の内部に充満し、軸受スリーブ8と軸部材2との間のラジアル軸受隙間、あるいは軸受スリーブ8およびハウジング7と軸部材2との間のスラスト軸受隙間に、軸部材をラジアル支持、あるいはスラスト支持するための潤滑膜を発生する流体として、潤滑油を例示したが、特にこの流体に限定されるものではない。各軸受隙間に潤滑膜を生じ得る限り、例えば空気等の気体、あるいは、流動性を有する潤滑剤等を使用することもできる。
また、以上の実施形態では、各軸受隙間を形成する面の何れかに潤滑油の動圧作用を生じるための動圧溝を形成した例を説明したが、本発明は、スラスト軸受部として、いわゆるピボット軸受を採用した流体軸受装置や、ラジアル軸受部として、いわゆる真円軸受を採用した流体軸受装置にも同様に適用することができる。
本発明の一実施形態に係る流体軸受装置を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの断面図である。 流体軸受装置の断面図である。 軸受スリーブの断面図である。 流体軸受装置のシール部材周辺における拡大断面図である。 シール部材の成形工程を概念的に示す断面図である。 ゲート跡の除去工程を概念的に示す断面図である。 (a)は成形後のシール部材のゲート跡周辺における拡大断面図、(b)はゲート跡除去後のシール部材の面取り部周辺における拡大断面図である。
符号の説明
1 流体軸受装置
2 軸部材
3 ディスクハブ
4 モータステータ
5 モータロータ
7 ハウジング
7a 側部
7b 底部
7c 開口部
8 軸受スリーブ
8a 内周面
8a1、8a2 動圧溝
8b 外周面
8b1 軸方向溝
8d 上側端面
8d1 円周溝
8d2 半径方向溝
9 シール部材
9a テーパ面
9b 下側端面
9c 上側端面
9d 固定面
9e 面取り部(第1テーパ面)
9f 研磨面(第2テーパ面)
9g ゲート跡
10a ランナー
10b フィルムゲート
10c キャビティー
C バリ
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部

Claims (6)

  1. 軸部材と、内周面が軸部材の外周面との間でシール空間を形成し、外周に他部材に固定するための固定面が形成された環状のシール部材と、軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で軸部材を非接触支持する軸受部とを備えた流体軸受装置において、
    シール部材は、樹脂組成物の射出成形品であって、その外周角部の全周に、ゲート跡の除去による面取り部が形成されると共に、面取り部と固定面との間に研磨面が形成されていることを特徴とする流体軸受装置。
  2. シール部材を形成する樹脂組成物のベース樹脂が、液晶ポリマー(LCP)である請求項1記載の流体軸受装置。
  3. 面取り部がシール部材の開放側の端面に形成されている請求項1記載の流体軸受装置。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載した流体軸受装置と、ロータマグネットと、ステータコイルとを有するモータ。
  5. 軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で軸部材を非接触支持する軸受部を備えた流体軸受装置に装備され、内周面が軸部材の外周面との間でシール空間を形成し、外周に他部材に固定するための固定面が形成された環状のシール部材を製造するにあたり、
    シール部材をフィルムゲートにより樹脂組成物で射出した後、その外周角部全周に形成されたゲート跡を除去して面取り部を形成し、面取り部と固定面との間を研磨することを特徴とする流体軸受装置用のシール部材の製造方法。
  6. 面取り部と固定面との間の研磨を、無機繊維を結着材で結着してなる研磨治具で行う流体軸受装置用のシール部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011163516A (ja) * 2010-02-15 2011-08-25 Ntn Corp 流体動圧軸受装置及びその製造方法
US9512878B2 (en) 2009-12-24 2016-12-06 Ntn Corporation Method of injection molding a sealing member for a fluid dynamic bearing

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