JP2006077186A - 水性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】紙加工用として使用されてきた酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂系エマルジョンなどには、生分解性が不十分であるため、新たな生分解性のある樹脂をベースとする接着剤、バインダーの開発をし、造膜性、初期接着力などを備え、更に生分解性を付与することである。
【解決手段】生分解性樹脂エマルジョンと生分解性可塑剤とが配合されていること、ベース生分解性樹脂の水系分散液の存在下において酢酸ビニルがシード重合されて調製された生分解性樹脂エマルジョンが配合されていること、生分解性樹脂が酢酸ビニルに溶解された溶液を、乳化剤を含む水溶液中に滴下しながら乳化重合するか、生分解性樹脂が酢酸ビニルに溶解された溶液の乳化液を乳化剤を含む水溶液若しくは水中に滴下しながら乳化重合して得られる生分解性樹脂エマルジョンが配合されていることを特徴とする水性樹脂組成物。
【選択図】なし。
【解決手段】生分解性樹脂エマルジョンと生分解性可塑剤とが配合されていること、ベース生分解性樹脂の水系分散液の存在下において酢酸ビニルがシード重合されて調製された生分解性樹脂エマルジョンが配合されていること、生分解性樹脂が酢酸ビニルに溶解された溶液を、乳化剤を含む水溶液中に滴下しながら乳化重合するか、生分解性樹脂が酢酸ビニルに溶解された溶液の乳化液を乳化剤を含む水溶液若しくは水中に滴下しながら乳化重合して得られる生分解性樹脂エマルジョンが配合されていることを特徴とする水性樹脂組成物。
【選択図】なし。
Description
本発明は生分解性のある水性樹脂組成物に関するものであり、詳しくは生分解性樹脂エマルジョンと生分解性可塑剤とが配合されたものからなる水性樹脂組成物に関するものである。
従来から、合紙、封筒、製袋、包装材、容器、園芸用資材、紙おむつ、生理用品などの用途には、各種の紙を使用して接着加工されもの、或いは紙を一部に使用して接着加工若しくは成型加工されたものが使用されている。
これらの接着加工、成型加工などには、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂系エマルジョン、澱粉、などの接着剤やバインダーなどが使用されてきたが、耐水性、外観仕上がり、強度などのレベル向上の要請から、これらの用途にも樹脂フィルム、不織布、複合資材などが使用されるようになっている。
これらの接着加工、成型加工などには、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂系エマルジョン、澱粉、などの接着剤やバインダーなどが使用されてきたが、耐水性、外観仕上がり、強度などのレベル向上の要請から、これらの用途にも樹脂フィルム、不織布、複合資材などが使用されるようになっている。
ところが、近年、環境問題がクローズアップされるにともない、これらの用途分野において生分解性のある樹脂フィルム、不織布、糸など生分解性の素材が盛んに使用されるようになっている。 このような動きに対応して、合紙、封筒、製袋、包装材、容器、園芸資材、紙おむつ、生理用品などの接着加工、成型加工にも生分解性のある接着剤やバインダーが求められるようになっている。
例えば、特開2003−165181号では、紙層を生分解性樹脂からなるホットメルト接着剤により積層した生分解性紙コップが提案されているが、周知の通りホットメルト接着剤は専用アプリケーターが必要になることから、大掛かりな設備が必要になり、小ロットの加工には適さないという問題がある。
また、特開平9−249868号や特開平11−60716号では、脂肪酸エステルを主成分とする生分解性接着剤が開示されているが、これも同様にホットメルト接着剤、若しくは溶剤型接着剤として使用を前提としたものである。
更に、特開2003−48964号では、紙、天然繊維織布、天然繊維不織布などを乳酸系の生分解性ポリエステルで積層加工した生分解性積層体が提案されているが、やはり溶剤に溶解させた接着剤として利用されている。
また、特開平9−249868号や特開平11−60716号では、脂肪酸エステルを主成分とする生分解性接着剤が開示されているが、これも同様にホットメルト接着剤、若しくは溶剤型接着剤として使用を前提としたものである。
更に、特開2003−48964号では、紙、天然繊維織布、天然繊維不織布などを乳酸系の生分解性ポリエステルで積層加工した生分解性積層体が提案されているが、やはり溶剤に溶解させた接着剤として利用されている。
一方、特開2000−342073号には、天然コルク樹皮を粉砕したコルク粒にデンプン、カゼインなど天産品からなる生分解性接着剤を混合し、成型した植木鉢が開示されているが、このような生分解性接着剤は、初期接着力に不足するため、乾燥ラインが必要になる、低温の造膜性が悪く、冬季の作業には適さない、などの問題がある。
一方、従来から紙加工用として使用されてきた酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂系エマルジョンなどには、生分解性が不十分であるため、新たな生分解性のある樹脂をベースとする接着剤、バインダーの開発が検討されているが、造膜性、初期接着力などを備え、更に生分解性を付与することは困難視されている。
本発明は、前記のような課題、即ち、生分解性が求められる合紙、封筒、製袋、包装材、容器などの用途に適用できる生分解性の水性樹脂組成物を実現しようとするものである。
本発明では、前記のような状況に鑑み、生分解性が求められる合紙、封筒、製袋、包装材、容器などの用途に適用できる生分解性の水性樹脂組成物を実現しようとするものであつて、生分解性樹脂エマルジョンと生分解性可塑剤とが配合されたものからなる水性樹脂組成物により、課題を解決するものである。
本発明になる水性樹脂組成物は、生分解性樹脂エマルジョンと生分解性可塑剤とが配合されたものからなるものであるため、生分解性が求められる合紙、封筒、製袋、包装材、容器、園芸資材、タバコフィルター、紙おむつ、生理用品などの接着加工、成型加工などの用途に有効利用できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の水性樹脂組成物は、生分解性樹脂エマルジョンと生分解性可塑剤とが配合されたものからなり、以下に詳細に説明する。
本発明の水性樹脂組成物は、生分解性樹脂エマルジョンと生分解性可塑剤とが配合されたものからなり、以下に詳細に説明する。
該生分解性樹脂エマルジョンは、例えば、(1)ベース生分解性樹脂の水系分散液の存在下において酢酸ビニル(以下VAcと略称)をシード重合させる、或いは(2)生分解性樹脂をVAcに溶解させたものを乳化したのち、乳化剤を溶解させた水溶液中に滴下しながら乳化重合せしめて得られる。
前記(1)のベース生分解性樹脂の水系分散液には、ジオールジカルボン酸系の脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂、ポリカプロラクトン系生分解性樹脂、ポリ乳酸系分解性樹脂、並びにこれらの生分解性樹脂とその他の樹脂との複合物、などが乳化調製されたものが使用される。
前記(1)ベース生分解性樹脂の水系分散液の存在下においてVAcをシード重合させて得られる生分解性樹脂エマルジョンの合成方法の例を示せば、例えばポリエチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリホキサメチレンアジペート、ポリエチレンオキザレート、ポリエチレンセバケート、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトンブチレンサクシネート、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートテレフタレートなどの芳香族ポリエステル、或いは若しくはポリアスパラギン酸、ポリγ−グルタミン酸、ポリ(ε−リジン)などのポリアミノ酸や、キチン、キトサン、カゼインコラーゲン、大豆タンパクなどの生分解性樹脂から調整されたベース生分解性樹脂の水系分散液、好ましくはガラス転移点が0℃以下の脂肪族ポリエステルから調製されたベース生分解性樹脂の水系分散液、あるいはガラス転移点が0℃以下になるように変性された脂肪族ポリエステルから調整されたベース生分解性樹脂の水系分散液の存在下において、以下に述べるような方法によりシード重合する方法により調製される。
前記(1)による方法では、反応容器に水と乳化剤となるポリビニルアルコール(以下PVAと略称)などを配合、溶解させ、ベース生分解性樹脂の水系分散液を入れ、重合開始剤を用いてVAcを添加しながら進めることができる。
この場合、VAcの一部若しくは全部を重合開始剤と水及びベース生分解性樹脂の水系分散液と一緒に重合用容器に添加するか、或いはVAcの一部あるいは全量を重合中に連続的若しくは断続的に添加しながら進めることができる。
この合成方法により得られる生分解性樹脂エマルジョンの生分解性は、ベース生分解性樹脂の水系分散液の全体中に占める比率により決まるため、配合に関しては求められる生分解度、乳化重合時及び合成された生分解性樹脂エマルジョンの安定性、コスト並びに低温造膜性などを勘案して決めることができる。
生分解度についてはJIS K6950に規定されているもので、一般的に易分解性の目安となる60%以上が求められる。このような生分解度と併せて低温造膜性を確保するためには、ベース生分解性樹脂の水系分散液の固形分が生分解性樹脂エマルジョン全体の固形分100重量部に対して10重量%以上が求められる。10重量部以下では十分な生分解性と低温造膜性が得られない。
この場合、VAcの一部若しくは全部を重合開始剤と水及びベース生分解性樹脂の水系分散液と一緒に重合用容器に添加するか、或いはVAcの一部あるいは全量を重合中に連続的若しくは断続的に添加しながら進めることができる。
この合成方法により得られる生分解性樹脂エマルジョンの生分解性は、ベース生分解性樹脂の水系分散液の全体中に占める比率により決まるため、配合に関しては求められる生分解度、乳化重合時及び合成された生分解性樹脂エマルジョンの安定性、コスト並びに低温造膜性などを勘案して決めることができる。
生分解度についてはJIS K6950に規定されているもので、一般的に易分解性の目安となる60%以上が求められる。このような生分解度と併せて低温造膜性を確保するためには、ベース生分解性樹脂の水系分散液の固形分が生分解性樹脂エマルジョン全体の固形分100重量部に対して10重量%以上が求められる。10重量部以下では十分な生分解性と低温造膜性が得られない。
通常、ベース生分解性樹脂の水系分散液はポリマーが結晶性をもつため融点が存在しており、この融点以上の温度でなければ造膜しない。このためベース生分解性樹脂の水系分散液と酢酸ビニル樹脂エマルジョンとを単に混合しただけでは生分解性樹脂エマルジョンに低温造膜性を付与することはできない。しかしながら前記(1)による方法によれば、ベース生分解性樹脂と酢酸ビニル樹脂とが相互貫入型高分子を形成し、分子レベルで複合化した状態に仕上られ、ベース生分解性樹脂の結晶性が消失して融点が無くなるため、生分解性樹脂エマルジョンに低温造膜性が付与されることが示差走査熱量測定により確認されている。
前記(2)による方法には、前記のポリカプロラクトン(以下PCLと略称)などの生分解性樹脂をVAcに溶解したものを、乳化剤を含む水溶液中に添加し撹拌して乳化物を調製しておき、乳化剤を含み加熱された水溶液中、若しくは乳化剤を含まない加熱された水中に、攪拌しながら滴下して乳化重合を進めて調製する方法、或いは前記のPCLなどの生分解性樹脂をVAcに溶解させた溶液を、乳化剤を含み加熱された水中に攪拌しながら滴下して乳化重合を進めて調製する方法、などが採用される。
この方法により得られる生分解性樹脂組成物の生分解性は、全体に占める生分解性樹脂の比率により決まるため、配合に関してはVAcに対する生分解性樹脂の溶解度、コスト並びに低温造膜性などを勘案して決めることができる。
生分解度については前記と同様にJIS K6950に規定されるもので、一般的に易分解性の目安となる60%が求められる。
なお、生分解性樹脂の配合割合は、VAc及び生分解性樹脂の合計100重量部に対して15重量部以上が生分解性の点から好ましい。これ以下の配合割合では生分解性が十分ではないため適さない。
この方法により得られる生分解性樹脂組成物の生分解性は、全体に占める生分解性樹脂の比率により決まるため、配合に関してはVAcに対する生分解性樹脂の溶解度、コスト並びに低温造膜性などを勘案して決めることができる。
生分解度については前記と同様にJIS K6950に規定されるもので、一般的に易分解性の目安となる60%が求められる。
なお、生分解性樹脂の配合割合は、VAc及び生分解性樹脂の合計100重量部に対して15重量部以上が生分解性の点から好ましい。これ以下の配合割合では生分解性が十分ではないため適さない。
なお、前記(2)による方法において生分解性樹脂としてPCLを選定した場合は、それ自体では−60℃というガラス転移点をもつものの、結晶性があり60℃という融点を示すため単に酢酸ビニル樹脂と混合されただけでは酢酸ビニル樹脂に柔軟性を付与する効果は期待できない。しかしPCLがVAcに溶解された状態で乳化重合するとPCLと酢酸ビニル樹脂とが相互貫入型高分子を形成して、分子レベルでの複合化が進みPCLの結晶性が失われることからPCLの持つガラス転移点−60℃という特徴が発現して、酢酸ビニル樹脂に柔軟性が付与され、可塑剤の配合なくして低温造膜性が得られるようになる。
このような作用により低温造膜性が得られるが、低温造膜性の点からも生分解性樹脂のVAcと生分解性樹脂の合計100重量部に対する配合割合は、生分解性と同様に15重量部以上が好ましい。
このような作用により低温造膜性が得られるが、低温造膜性の点からも生分解性樹脂のVAcと生分解性樹脂の合計100重量部に対する配合割合は、生分解性と同様に15重量部以上が好ましい。
前記(1)、(2)による方法において使用される重合開始剤には公知な過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤、過硫酸塩系重合開始剤などが挙げられる。
乳化剤として使用されるPVAにはケン化度86〜90モル%、重合度400〜4000のものが重合安定性、低温造膜性、構造粘性、耐水性などのバランスに優れるため、単独ないし併用される。なお、乳化剤としてはPVA以外に界面活性剤、水性高分子などが使用されてもよい。
また、VAcの単独使用のほか、VAcと(メタ)アクリル酸エステル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、(メタ)アクリル酸等のコモノマーとを共重合させることもできる。
乳化剤として使用されるPVAにはケン化度86〜90モル%、重合度400〜4000のものが重合安定性、低温造膜性、構造粘性、耐水性などのバランスに優れるため、単独ないし併用される。なお、乳化剤としてはPVA以外に界面活性剤、水性高分子などが使用されてもよい。
また、VAcの単独使用のほか、VAcと(メタ)アクリル酸エステル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、(メタ)アクリル酸等のコモノマーとを共重合させることもできる。
生分解性樹脂エマルジョンは最低造膜温度が20℃以下であることが求められる。20℃以下でないと粘結性が不十分になり各種の接着加工、成型加工などの用途には使用できない。
なお、これら生分解性樹脂エマルジョンは粉末化しておき、使用時に水を加えてエマルジョン化した上で使用することも可能であって、粉末化に際しては、最低造膜温度が20℃以下の生分解性樹脂エマルジョンを噴霧乾燥すると生分解性樹脂粒子同士が粘結してブロック化してしまい粉末状態にならないため、シリカ、炭酸カルシウム、珪酸アルミニウムなどの無機微粒子からなる抗粘結剤を適量配合することが好ましい。
なお、これら生分解性樹脂エマルジョンは粉末化しておき、使用時に水を加えてエマルジョン化した上で使用することも可能であって、粉末化に際しては、最低造膜温度が20℃以下の生分解性樹脂エマルジョンを噴霧乾燥すると生分解性樹脂粒子同士が粘結してブロック化してしまい粉末状態にならないため、シリカ、炭酸カルシウム、珪酸アルミニウムなどの無機微粒子からなる抗粘結剤を適量配合することが好ましい。
該生分解性樹脂エマルジョンとともに配合される生分解性可塑剤には、具体例として、フタル酸エステル(フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルなど)、芳香族カルボン酸エステル(トリメリット酸トリオクチル、ジエチレングリコールベンゾエート、オキシ安息香酸オクチルなど)、脂肪族二塩基酸エステル(アジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、オレイン酸ジブチルなど)、脂肪族エステル誘導体(トリアセン、トリプロピオン、ジアセチレングリセリン、アセチルクエン酸トリエチルなど)、リン酸エステル(リン酸トリブチル、リン酸トリフェニルなど)などのほか、アセチルトリブチルクエン酸、ジブチルセバケート、トリエチレングリコールジアセテート、ポリアルキレングレコール、多価アルコール、ポリエステル系可塑剤、グリセリンジアセトモノラウリレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンモノアセトステアレート、などが挙げられる。これらは単独で使用されるか、或いは2種類以上を混合して使用することができる。
なお、脂肪族エステル誘導体であるアジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチルの混合体がデュポン社から商品名「DBE」として市販されており使用に好都合である。
なお、脂肪族エステル誘導体であるアジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチルの混合体がデュポン社から商品名「DBE」として市販されており使用に好都合である。
該生分解性樹脂エマルジョンと該生分解性可塑剤の適正な配合割合は、前者の固形分100重量部に対して、後者を5〜30重量部配合したものが適正配合であり、後者が30重量部を超えた配合では、接着剤としての凝集力が低下する、低温保存性が悪くなるなどの問題があり好ましくない。一方、5重量部未満では初期接着性が低下するため適さない。
生分解性樹脂エマルジョンAの合成例
攪拌機、温度調節器、還流冷却管、温度計を備えた反応容器に水282部、PVA(平均重合度500、ケン化度88モル%)24.5部を加え、80℃まで加熱して溶解させたのち、べース生分解性樹脂の水系分散液として、PVAを乳化剤として調製されたポリブチレンサクシネートアジペート樹脂エマルジョン(昭和高分子株式会社製、ビオノーレエマルジョンEM−530 固形分53%、23℃における粘度3Pa・s、ガラス転移点−55℃)を85部添加した。系内温度を80℃に保ったまま攪拌しながら水10部に35%過酸化水素水1部を溶解させた水溶液とVAc165部を3時間かけて滴下して80℃においてシード重合を進めた。得られた生分解性樹脂エマルジョンの固形分41.5%、最低造膜温度0℃、23℃における粘度4Pa・sであつた。
攪拌機、温度調節器、還流冷却管、温度計を備えた反応容器に水282部、PVA(平均重合度500、ケン化度88モル%)24.5部を加え、80℃まで加熱して溶解させたのち、べース生分解性樹脂の水系分散液として、PVAを乳化剤として調製されたポリブチレンサクシネートアジペート樹脂エマルジョン(昭和高分子株式会社製、ビオノーレエマルジョンEM−530 固形分53%、23℃における粘度3Pa・s、ガラス転移点−55℃)を85部添加した。系内温度を80℃に保ったまま攪拌しながら水10部に35%過酸化水素水1部を溶解させた水溶液とVAc165部を3時間かけて滴下して80℃においてシード重合を進めた。得られた生分解性樹脂エマルジョンの固形分41.5%、最低造膜温度0℃、23℃における粘度4Pa・sであつた。
生分解性樹脂エマルジョンBの合成例
生分解性樹脂エマルジョン1の合成例に使用したと同一の反応容器に水130部、乳化剤として平均重合度500、ケン化度88モル%のPVA8.0部を加え、80℃まで加温してPVAを溶解させたものを分散媒体として、生分解性樹脂であるPCL「セルグリーンPH−5」(ダイセル化学工業株式会社製、GPC法による測定で数平均分子量6.4万)31.3部をVAc137部に溶解させたものを前記と同一のPVAの15%水溶液78部中に添加し、水60部を加えたものを1000RPMで強制攪拌して乳化液として、該乳化液と過硫酸アンモニウム1部を水10部に溶解したものを80℃に加熱され攪拌された該分散媒体中に3時間かけて滴下しながら乳化重合を進めて生分解性樹脂エマルジョンCを調製した。
得られた生分解性樹脂エマルジョンの固形分41.4%、最低造膜温度0℃、23℃における粘度3Pa・sであつた。
生分解性樹脂エマルジョン1の合成例に使用したと同一の反応容器に水130部、乳化剤として平均重合度500、ケン化度88モル%のPVA8.0部を加え、80℃まで加温してPVAを溶解させたものを分散媒体として、生分解性樹脂であるPCL「セルグリーンPH−5」(ダイセル化学工業株式会社製、GPC法による測定で数平均分子量6.4万)31.3部をVAc137部に溶解させたものを前記と同一のPVAの15%水溶液78部中に添加し、水60部を加えたものを1000RPMで強制攪拌して乳化液として、該乳化液と過硫酸アンモニウム1部を水10部に溶解したものを80℃に加熱され攪拌された該分散媒体中に3時間かけて滴下しながら乳化重合を進めて生分解性樹脂エマルジョンCを調製した。
得られた生分解性樹脂エマルジョンの固形分41.4%、最低造膜温度0℃、23℃における粘度3Pa・sであつた。
酢酸ビニル樹脂エマルジョンCの合成例
生分解性樹脂エマルジョン1の合成に使用したと同一の反応容器に、水256部、平均重合度500、ケン化度88モル%のPVA16部を80℃に加温して溶解させたのち、同温度で攪拌しながらVAc161部と過硫酸アンモニウム1部を水10部に溶解させたものを3時間かけて滴下しながら乳化重合を進め、滴下終了後、冷却して酢酸ビニル樹脂エマルジョンEを調製した。23℃における粘度5Pa・s、最低造膜温度2℃、固形分41.0%であつた。
生分解性樹脂エマルジョン1の合成に使用したと同一の反応容器に、水256部、平均重合度500、ケン化度88モル%のPVA16部を80℃に加温して溶解させたのち、同温度で攪拌しながらVAc161部と過硫酸アンモニウム1部を水10部に溶解させたものを3時間かけて滴下しながら乳化重合を進め、滴下終了後、冷却して酢酸ビニル樹脂エマルジョンEを調製した。23℃における粘度5Pa・s、最低造膜温度2℃、固形分41.0%であつた。
エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョンDとして、AE156(アイカ工業株式会社製、エチレン含有率16重量%、樹脂固形分56重量%、粘度4Pa・s/23℃)を使用した。
実施例・比較例
実施例・比較例
以下、実施例、比較例により本発明を詳細に説明する。なお、表1の配合数値は重量部を表す。
実施例1〜4、比較例1〜6
前記の生分解性樹脂エマルジョンA及びB、酢酸ビニル樹脂エマルジョンC、エチレン酢酸ビニル共重合エマルジョンD、生分解性可塑剤としてグルタル酸ジメチル(以下、GDMと略称する)を表1の配合割合で配合した実施例、比較例の接着剤組成物を調製し、生分解性、最低造膜温度、初期接着性ならびに低温保存性を試験評価した結果は表の通りであった。
実施例1〜4、比較例1〜6
前記の生分解性樹脂エマルジョンA及びB、酢酸ビニル樹脂エマルジョンC、エチレン酢酸ビニル共重合エマルジョンD、生分解性可塑剤としてグルタル酸ジメチル(以下、GDMと略称する)を表1の配合割合で配合した実施例、比較例の接着剤組成物を調製し、生分解性、最低造膜温度、初期接着性ならびに低温保存性を試験評価した結果は表の通りであった。
試験・評価方法
イ.生分解度
生分解性樹脂エマルジョンはテフロン(登録商標)樹脂板上に125μmの厚みで塗布し、室温で乾燥しフィルム化したものを所定の大きさにカットしサンプルとし、生分解性樹脂粉末、樹脂粉末の場合はそのまま使用した。JISK6950の生分解性試験方法にて行った。植種源には名古屋市下水処理場の返送汚泥を使用し、消費された酸素量から45日後の生分解度を求めた。
ロ.最低造膜温度
低温造膜性/JISK6804(1994年版)「酢酸ビニル樹脂エマルジョン木材接着剤」の7.6に規定の最低造膜温度により測定した。
ハ.初期接着性
各接着剤をJISP3902(1995年版)のライナー紙(坪量160g/m2)の表面に30g/尺2塗布した後、直ちに同一ライナー紙を重ね、鉄製ハンドローラー2回通しで圧締したのち、10秒後に重ねたライナー紙を剥離した際の紙破率を測定・評価した。◎:100〜90%、○:90〜80%、×:80%以下
ニ、低温保存性
BM型粘度計を用いて、ローターナンバー3を使用し、23℃で12回転で測定した粘度に対する5℃の粘度の割合を評価した。尚、5℃の粘度は30日間保存した後に測定した。○:3倍以内、×3倍以上
イ.生分解度
生分解性樹脂エマルジョンはテフロン(登録商標)樹脂板上に125μmの厚みで塗布し、室温で乾燥しフィルム化したものを所定の大きさにカットしサンプルとし、生分解性樹脂粉末、樹脂粉末の場合はそのまま使用した。JISK6950の生分解性試験方法にて行った。植種源には名古屋市下水処理場の返送汚泥を使用し、消費された酸素量から45日後の生分解度を求めた。
ロ.最低造膜温度
低温造膜性/JISK6804(1994年版)「酢酸ビニル樹脂エマルジョン木材接着剤」の7.6に規定の最低造膜温度により測定した。
ハ.初期接着性
各接着剤をJISP3902(1995年版)のライナー紙(坪量160g/m2)の表面に30g/尺2塗布した後、直ちに同一ライナー紙を重ね、鉄製ハンドローラー2回通しで圧締したのち、10秒後に重ねたライナー紙を剥離した際の紙破率を測定・評価した。◎:100〜90%、○:90〜80%、×:80%以下
ニ、低温保存性
BM型粘度計を用いて、ローターナンバー3を使用し、23℃で12回転で測定した粘度に対する5℃の粘度の割合を評価した。尚、5℃の粘度は30日間保存した後に測定した。○:3倍以内、×3倍以上
本発明になる水性樹脂組成物は、初期接着力、接着作業性、低温造膜性、低温保存性などに優れるため、合紙、封筒、製袋、包装材、容器、園芸資材、タバコフィルター、紙おむつ、生理用品などの接着加工、成型加工などの用途に好適であり、しかも生分解性に優れるため、たとえ廃棄されても環境汚染を引き起こさないため、安心して使用できる。
Claims (3)
- 生分解性樹脂エマルジョンと生分解性可塑剤とが配合されていることを特徴とする水性樹脂組成物。
- ベース生分解性樹脂の水系分散液の存在下において酢酸ビニルがシード重合されて調製された生分解性樹脂エマルジョンが配合されていることを特徴とする請求項1記載の水性樹脂組成物。
- 生分解性樹脂が酢酸ビニルに溶解された溶液を、乳化剤を含む水溶液中に滴下しながら乳化重合するか、生分解性樹脂が酢酸ビニルに溶解された溶液の乳化液を乳化剤を含む水溶液若しくは水中に滴下しながら乳化重合して得られる生分解性樹脂エマルジョンが配合されていることを特徴とする請求項1記載の水性樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004264868A JP2006077186A (ja) | 2004-09-13 | 2004-09-13 | 水性樹脂組成物 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2004-09-13 JP JP2004264868A patent/JP2006077186A/ja active Pending
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