JP2006076301A - 位置決め機構、及び位置決め治具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 雄ねじ部と、前記雄ねじ部と連続して一体に形成された位置決め部とを有し、第一の部材と第二の部材の各々には位置決め穴が形成され、第二の部材の位置決め穴は貫通孔にされ、貫通孔内側には雄ねじ部と螺合する雌ねじ部が設けられており、位置決め部が位置決め穴に嵌合された状態で、雄ねじ部が雌ねじ部に案内されて回転可能な螺合関係となるように雄ねじ部が雌ねじ部に対してアンダーサイズに加工されてなることを特徴とする。これにより、雄ねじ部の回転駆動力によって位置決め部が貫通孔内を直進して第一の部材の位置決め穴に嵌合し、第一の部材と第二の部材とを位置決めを行うことができる。
【選択図】 図2
Description
(1)パーツAとパーツBのそれぞれに、複数個の位置決め穴91a、91bが設けられている。また、パーツAには螺設穴92が、パーツBには螺設孔93が設けられている。
(2)図11(a)に示すように、一方のパーツBの少なくとも二の位置決め穴91bに位置決めピン94を挿入する。
(3)他方のパーツAの位置決め穴91aにパーツBに挿入された位置決めピン94が嵌合されるように、パーツAをパーツB上に配置し、パーツAとパーツB相互を位置決めする。
(4)図11(b)に示すように、パーツAとパーツBを位置決めした後、締結ボルト95をパーツBの螺設孔93と、パーツAの螺設穴92の双方に螺合させ双方のパーツを固定する。
位置決めピン94の表面は高精度に研磨されており、位置決めピン94の表面と、位置決め穴91a、91bとの嵌め合い公差、つまり両者のクリアランスは通常JISB0401−2に規定のH7g6(例えば、M14において35μm)程度であり非常に小さい。したがって、パーツAの位置決め穴91aとパーツBの位置決め穴91bが高精度に位置合わせされ、パーツAとパーツBが高精度に位置決めされる。
パーツAの位置決め穴91aにパーツBに挿入された位置決めピン94を嵌合させるためには、パーツAを位置決めピン94の軸方向と平行な方向に移動させなければならない。
しかし、位置決めピン94とパーツAの位置決め穴91aのクリアランスは非常に小さいため、この嵌合作業は、極めて面倒であり、かなりの熟練者でも多くの時間を要し、作業効率は決して良いものではなかった。
また、パーツAとパーツBのどちらか一方の修理や再加工を行う場合にも、パーツAとパーツBの取外し作業が行われる。
パーツAを位置決めピン94から取外す場合も、パーツAを位置決めピン94の軸方向と平行な方向に移動させなければならない。しかし、位置決めピン94と位置決め穴パーツAの位置決め穴91aのクリアランスが非常に小さいため、この作業は、嵌合作業と同様に極めて面倒であり、かなりの熟練者でも多くの時間を要し、作業効率は決して良いものではなかった。
そのため、成型品の品質を維持するためには、定期的にピンの保守、点検、及び交換を行わなければならず、生産効率の低下及び位置決めピンの交換によるコストの増加にもつながっていた。
特に、部材が大型重量物である場合には、従来のように部材をホイスト等を用いて吊り上げることによって位置決め及び分離を行う必要がなく、位置決め治具を回転させるのみで、ねじの回転駆動力によって容易に二の部材の位置決め及び分離を行うことができる。
つまり、本発明は、雄ねじ部全体を回転可能となるように雌ねじ部に対してアンダーサイズに加工し、雄ねじと雌ねじの接触する面積を減少させ、ねじの締結力を減少させている。このように本発明は、雄ねじ部が回転可能となるように、あえてねじの締結力を減少させている。
しかし、位置決め部の寸法は、二の部材を位置決めできる寸法で十分であり、位置決め治具の寸法に合せて長くする必要はない。そこで、位置決め部と雄ねじ部との間に位置決め穴と接触しない逃がし部を設けることによって、部材の寸法が大きい場合でも、それに合せて逃がし部の寸法を大きくすることによって、位置決め部の寸法を大きくする必要がなく、位置決め部と位置決め穴の嵌合を容易に行うことができる。
また、本発明に係る位置決め治具は、位置決め機能を有する位置決め部とともに雄ねじ部を有し、位置決め部が位置決め穴に嵌合された状態でも雄ねじ部は回転可能なように構成されている。したがって、本発明によれば、雄ねじ部の回転駆動力によって、位置決め部を位置決め穴に嵌合させることや、位置決め穴から位置決め部を抜出すことを容易に行うことができる。
このように、位置決め治具を回転させるのみで容易に二の部材の位置決め及び分離を行うことができる。特に、位置決めする部材が大型重量物の場合であっても、従来の方法のように大型重量物をホイスト等によって移動させ位置決めさせる必要がなく、位置決め治具を回転させるのみで、雄ねじ部の回転駆動力によって容易に大型重量物の位置決め及び分離を行うことができる。
(実施の形態1)
図1を参照して本発明に係る実施の形態1である位置決め機構について説明する。
図1(a)は、部材を位置決めする前の状態を表す概念図であり、図1(b)は、部材を位置決めした状態を表す概念図である。
本発明に係る実施の形態1は、第一の部材51と第二の部材52を位置決めする位置決め機構であり、第一の部材51の接触面51aと第二の部材52の接触面52aとが接触して位置決めされる。
本実施の形態1に係る位置決め機構は、第一の部材51に形成された位置決め穴53と、第二の部材52を貫通して形成された位置決め穴である貫通孔54と、位置決め治具50と、接触面52aとは逆側の貫通孔54内側に形成されたガイド部55とを有する。
なお、位置決め穴53と貫通孔54の内径は実質的に同一であり、また、位置決め部57の外径と、位置決め穴53及び貫通孔54の内径とは略同一である。
駆動部56は、ガイド部55に案内される形態であれば、どのような形態でもよく、例えば雄ねじとして形成される。
位置決め部57は、表面が高精度に研磨された研磨面であり、貫通孔54と位置決め穴53に高精度に嵌合することによって、第一の部材51と第二の部材52を位置決めする機能を有するものである。
位置決め部57が貫通孔54及び位置決め穴53に高精度に嵌合された状態での、雄ねじの回転可否は、位置決め部57と、貫通孔54及び位置決め穴53とのクリアランスで決定される。
雄ねじの回転中心と軸心のずれである回転偏心量が、位置決め部57と、貫通孔54及び位置決め穴53とのクリアランスよりも大きい場合には、雄ねじの回転が位置決め部57によって拘束されるため、雄ねじは回転することができない。
つまり、雄ねじと雌ねじの回転可能な螺合関係とは、雄ねじの回転偏心量が位置決め部57と、貫通孔54及び位置決め穴53とのクリアランス以下となるような螺合関係であり、雄ねじと雌ねじとの間に、雄ねじが位置決め部57に拘束されずに回転可能となる遊びが存在していることをいう。
雄ねじと雌ねじが回転可能な螺合関係を有することによって、位置決め部57が貫通孔54及び位置決め穴53に高精度に嵌合された状態でも、雄ねじは回転することによって直進力、すなわち回転駆動力を発揮することができる。
(1)第二の部材52の接触面52aとは逆側の貫通孔54開口部から、位置決め治具50を挿入する。位置決め治具50の挿入させる向きは位置決め部57を先頭として挿入する。
(2)駆動部56は、貫通孔54内側に形成されたガイド部55に案内されて回転することによって直進力を生じる。
(3)駆動部56の直進方向に駆動部56と連続して形成された位置決め部57は、駆動部56の回転駆動力によって貫通孔54内を直進する。
(4)位置決め部57は、貫通孔54を貫通した後、第一の部材51の位置決め穴53に嵌合する。
(5)位置決め部57が貫通孔54及び位置決め穴53の双方に嵌合することによって、貫通孔54と位置決め穴53の位置合せが行われ、第一の部材51と第二の部材52の位置決めが行われる。
位置決め部57の外径と、貫通孔54及び位置決め穴53の内径とは略同一であるため、位置決め部57は、貫通孔54及び位置決め穴53と高精度に嵌合される。つまり、位置決め部57と、貫通孔54及び位置決め穴53とのクリアランスは非常に小さい。
しかし、この場合でも、位置決め部57と一体に形成された駆動部56は、ガイド部55に案内され回転することができるため、駆動部56の回転駆動力によって位置決め部57は、貫通孔54及び位置決め穴53内を直進することができる。
なお、位置決め部57の先端にテーパ部58を設ければ、位置決め部57が位置決め穴53に嵌合し易い。
図2、図3、及び表1〜3を参照して本発明に係る実施の形態2である位置決め治具100について説明する。
図2(a)は、位置決め治具100の斜視図であり、図2(b)は、位置決め治具100の平面図である。
位置決め治具100は、二の部材を高精度に位置決めする治具であり、脚部11と、脚部11に比較して径が大きい頭部12を有している。
脚部11は、頭部12と連続している雄ねじ部13と、雄ねじ部13と連続して一体に形成された位置決め部14とを有する。
雄ねじ部13は、位置決めする部材に設けられたガイド部としての雌ねじ部と螺合し、回転することによって直進力を生じる駆動部である。
位置決め部14は、部材に設けられた位置決め穴と嵌合し二の部材を位置決めする機能を有するものであり、雄ねじ部13の外径と比較して径が小さい。
頭部12の頂面には、六角レンチ等の工具を嵌合させ位置決め治具100を回転させるための六角溝16が設けられている。なお、位置決め治具100は、頭部12を設けず脚部11のみで構成し、六角溝16を直接雄ねじ部13の頂面に設ける構成でもよい。
第一位置決め部14aの位置決め治具軸方向の寸法をxとすると、xが長いほど、第一位置決め部14aを部材の位置決め穴に嵌合させる作業は困難となる。そこで、xは部材を位置決めできる長さで十分であり、位置決め部14の外径(D)の半分(0.5D)程度の長さが望ましい。
図3は、雄ねじ部13のねじ山の模式図であり、表1は、メートル並目ねじM6〜M24の範囲におけるJISで規定されている各部寸法であり、表2は、位置決め治具100における雄ねじ部13の各部寸法である。
まず、表1、表2中の各値について説明する。表1、表2における基準有効径d2とは、JISB0205−4に規定されている基準となる有効径であり、つまり理想的な有効径である。また、表1における最大寸法許容差tMaxとは、JISB0209−1で規定されている基準有効径d2との許容寸法差のうち最大の値(公差位置e)である。また、表1におけるJIS規定最小有効径d2Minとは、基準有効径d2と最大寸法許容差tMaxとの差であり、つまりJISで規定されている最小の許容有効径である。また、表1における寸法差割合とは、基準有効径d2に対する最大寸法許容差tMaxの割合である。
表2には、表1と対応するように位置決め治具100における雄ねじ部13の有効径d2(100)、基準有効径d2と有効径d2(100)の寸法差t、及び基準有効径d2に対する寸法差tの寸法差割合を示した。
雄ねじ部13の有効径d2(100)は、位置決め部14が位置決め穴と高精度に嵌合されている場合でも、雄ねじ部13が雌ねじに案内されて回転可能な螺合関係となるように、雄ねじ部13が雌ねじ部に対してアンダーサイズに設定されている。
具体的には、雄ねじ部13の有効径d2(100)は、基準有効径d2に対する寸法差tの寸法差割合が下式Iを充足する範囲で設定される。
1.5≦(d2−d2(100))/d2×100≦4.0 ・・・・(I)
つまり、基準有効径d2に対する寸法差tの割合が1.5%未満の場合には、位置決め部14が位置決め穴と高精度に嵌合されている状態では、雄ねじ部13は回転することができない。したがって、表1からわかるように、JIS規定の雄ねじは、基準有効径d2に対する寸法差tの割合は全て1.5%未満であるため、JIS規定の雄ねじの寸法を雄ねじ部13に適用しても、雄ねじ部13は回転不可能となる。
以上のように、位置決め治具100は、雄ねじ部13のねじ全体を従来のねじの寸法よりも小さく加工し、雄ねじ部13と雌ねじ部との遊びを多くし、ねじの締結力を積極的に減少させている。
なお、参考として、外径、有効径、及び谷の径の基準寸法(JISB0205−4)と、位置決め治具100における雄ねじ部13の各部寸法とを表3に示す。
ねじは単独で回転するものではなく、雄ねじと雌ねじが螺合することによって、雄ねじが雌ねじに案内されて回転するものである。したがって、雄ねじと雌ねじの螺合によるねじの偏心は避けられるものではなく、通常、雄ねじは、回転中心が軸心から100〜150μm程度偏心して回転する(図2(b)においては偏心量「ε」)。
これに対して、位置決め治具100における位置決め部14は、表面が高精度に研磨され、部材に形成された位置決め穴と高精度に嵌め合いされ、両者のクリアランスはH7g6クラス程度であり非常に小さい。
したがって、位置決め部100のように、雄ねじ部13と位置決め部14とが一体に形成されている場合において、雄ねじ部13の回転偏心量が、位置決め部14と位置決め穴のクリアランスよりも大きい場合には、雄ねじ部13の回転が位置決め部14によって拘束されるため、雄ねじ部13は回転することができない。
特に、雄ねじ部13の有効径寸法d2(100)と基準寸法d2との寸法差が小さい場合には、雄ねじと雌ねじの間に遊びが少なく、雄ねじと雌ねじの接触面積が大きくなるため、ねじの偏心は避けられない。したがって、位置決め部14と位置決め穴のクリアランスがH7g6クラス程度しかない場合には、雄ねじ部13の寸法をJISで規定された範囲内で設定しても雄ねじ部13は回転することができない。
雄ねじ部13を回転させることができれば、雄ねじ部13の回転駆動力によって、雄ねじ部に連続して形成された位置決め部14は、回転して直進し位置決め穴に容易に嵌合される。これにより、二の部材の位置決めを容易に行うことが可能となる。
なお、雄ねじ部13をよりスムーズに回転させるためには、雄ねじ部13の寸法差割合を2.5%以上とするのが望ましい。
また、雄ねじ部13の寸法差割合が4.0%を超える場合には、雄ねじ部13は回転することは可能であっても、雄ねじと雌ねじの間の遊びが多すぎ、雄ねじ部13の回転駆動力が十分に発揮されない。
(1)まず、最初にSCM435材を旋盤により荒加工する。
(2)荒加工後、真空雰囲気における焼き入れ処理によって、表面硬度をHRC50〜53に調整する。
(3)位置決め部14をチャックし、旋盤にて雄ねじ部13と頭部12を所定の寸法に加工する。ここで、雄ねじ部13は、表3の寸法となるように加工する。
(4)頭部12をチャックし、位置決め部14を円筒研磨機にて研磨する。位置決め部14の仕上げ面粗さは、1.6μm以下であり、位置決め部14の外径の寸法公差は、−0.01〜−0.015mmであり、位置決め部14と雄ねじ部13の傾き精度は、0.1°以内である。
なお、位置決め部14の一部を切り欠くことによって潤滑用のグリース溝を設けてもよい。
図4は、パーツAとパーツBを位置決めする前の断面図であり、図5及び図6は、位置決め治具100を用いてパーツAとパーツBを位置決めする過程を表す断面図であり、図7は、パーツAとパーツBが位置決めされた状態を表す断面図である。
パーツAには、内面が滑らかな曲面からなる複数の位置決め穴31と、複数の螺設穴32とが設けられている。位置決め穴31及び螺設穴32は、接触面36に対して垂直方向に、かつ接触面36に開口を有するように形成されている。
パーツBには、複数の貫通孔33と、複数の螺設孔34とが設けられている。貫通孔33及び螺設孔34は、接触面37に対して垂直方向にパーツBを貫通して形成されている。貫通孔33は、雌ねじ部33aと、雌ねじ部24aよりも径が小さく、かつ内面が滑らかな曲面からなる位置決め孔33bとを有する。雌ねじ部33aは、接触面37とは逆側の貫通孔33内側に設けられている。
位置決め穴31と位置決め孔33bの内径は実質的に同一であり、螺設穴32と螺設孔34の径も実質的に同一である。パーツAとパーツBのそれぞれの接触面36、37が接触し、パーツAとパーツBが位置決めされた状態では、位置決め穴31と位置決め孔33bは、同軸上に連通されて配置された状態となる。
(1)パーツBの下部、すなわち接触面37とは逆側の貫通孔33開口部から位置決め治具100を挿入し、位置決め治具100の雄ねじ部13を、貫通孔33の雌ねじ部33aに螺合させる(図5(a))。
このとき、位置決め治具100の雄ねじ部13と第一位置決め部14aの寸法には、x<yの関係があるため、位置決め治具100の雄ねじ部13が雌ねじ部33aと螺合を開始した時点では、第一位置決め部14aの先端は、まだパーツBの位置決め孔33bを貫通しない。
(2)位置決め治具100を回転させ、位置決め治具100のテーパ部15が、パーツBの位置決め孔33bから出た状態で位置決め治具100の挿入を止める(図5(b))。
この状態において、位置決め治具100の雄ねじ部13とパーツBの雌ねじ部33aは螺合しているため、位置決め治具100が脱落することはない。
(3)パーツAの位置決め穴31とパーツBの位置決め孔33bとが概ね一致するようにパーツAをパーツB上に配置する。つまり、パーツBの位置決め孔33bから出たテーパ部15がパーツAの位置決め穴31内に収まるようにパーツAを配置する。この場合、パーツAの配置は目視によるものであるため、パーツAとパーツBは、位置決め穴31と位置決め孔33bが若干のずれ(L)を生じた状態で配置される(図6(a))。
(4)この状態で、六角溝16に六角レンチ等の工具を嵌合させ、工具を用いて位置決め治具100を回転させ締め込むと、テーパ部15が位置決め穴31の入口部に当接する。
(5)さらに、位置決め治具100を締め込むことによって、位置決め治具100の第一位置決め部14aは、回転しながらパーツAの位置決め穴31内に嵌合される。
このように、第一位置決め部14aとパーツAの位置決め穴31のクリアランスが小さく、両者が高精度に嵌合される場合でも、雄ねじ部13は回転可能なように加工されているため、雄ねじ部13は雌ねじ部33aに案内され、回転して直進することが可能となる。したがって、雄ねじ部13の回転駆動力によって第一位置決め部14aは、パーツAの位置決め穴31内を直進し、容易に位置決め穴31内に嵌合される。
(6)テーパ部15がパーツAに当接した状態で、位置決め治具100を締め込むことによって、位置決め治具100の雄ねじ部13の回転駆動力とパーツAの重量による下方向荷重との作用により、パーツAはテーパ部15を介してLだけ移動する。これにより、パーツAの位置決め穴31とパーツBの位置決め孔33bの位置合せが行われる。(図6(b))。
このように、位置決め治具100は回転可能な雄ねじ部13を有するため、パーツAが大型重量物であって、パーツAがパーツB上に多少のずれを有して配置された場合でも、雄ねじ部13は雌ねじ部33aにガイドされて駆動することができるため、雄ねじ部13の回転駆動力によって容易にパーツAとパーツBの位置決めを行うことができる。
(1)〜(6)の工程を繰り返し、最低二組の位置決め穴31と位置決め孔33bの位置合せを行うことによってパーツとパーツBの位置決めを行うことができる。
(7)最後に、パーツAとパーツBを位置決めした後、締結ボルト35を螺設穴32及び螺設孔34に螺合させ、パーツAとパーツBを固定する(図7)。
しかし、位置決め穴と位置決めピンのクリアランスは非常に小さいため、位置決め穴と位置決めピンを嵌合させるには、位置決めする部材を位置決めピンの軸方向と平行な方向に移動させなければならず、その作業は極めて困難であった。
特に、位置決めする部材が大型重量物の場合には、部材を移動させるためにホイスト等を利用しなければならず、位置決め作業はさらに困難であった。
これに対して、本発明に係る位置決め治具100を用いれば、位置決め治具は位置決め機能を有する位置決め部とともに回転駆動力を生じる雄ねじ部が設けられているため、部材を移動させる必要はなく、位置決め治具を回転させるのみで容易に二の部材の位置決めを行うことができる。
図8は、位置決めされたパーツAとパーツBを分離する各過程を表す断面図である。
(1)図7で示した締結ボルト35を取外す。
(2)六角溝16に六角レンチ等の工具を嵌合させ、位置決め治具100を取外す方向に回転させる。
第一位置決め部14aとパーツAの位置決め穴31のクリアランスが小さく、両者が高精度に嵌合されている場合でも、雄ねじ部13は回転可能なように加工されているため、雄ねじ部13は雌ねじ部33aに案内され、回転して後退することが可能となる。したがって、雄ねじ部13の回転駆動力によって第一位置決め部14aはパーツAの位置決め穴31内を後退し、容易に位置決め穴31内から抜出される。
(3)第一位置決め部14aをパーツAの位置決め穴31から抜出し、テーパ部15のみがパーツBの位置決め孔33bから出た状態とする(図8(a))。
この状態において、位置決め治具100の寸法には、x<yの関係があるため、位置決め治具100の雄ねじ部13は、雌ねじ部33aと依然として螺合しており、位置決め治具100はパーツBとの係合を維持する。したがって、位置決め治具100はパーツBから脱落することはない。
(4)全ての位置決め治具100の第一位置決め部14aを位置決め穴31から抜出すことによって、パーツAはパーツBから分離される(図8(b))。
しかし、部材の位置決め穴と位置決めピンは高精度に嵌合されているため、部材を位置決めピンから取外すには、分離する部材を位置決めピンの軸方向と平行な方向に移動させなければならず、その作業は極めて困難であった。
特に、部材が大型重量物の場合には、部材を移動させるためにホイスト等を利用しなければならず、分離作業はさらに困難であった。
これに対して、本発明に係る位置決め治具100を用いれば、位置決め治具は位置決め機能を有する位置決め部とともに回転駆動力を生じる雄ねじ部が設けられているため、部材を移動させる必要はなく、位置決め治具を回転させ位置決め治具を取外すのみで容易に二の部材の分離を行うことができる。
(実施の形態3)
図9は、本発明に係る実施の形態3である位置決め治具200の斜視図である。
位置決め治具200と実施の形態1における位置決め治具100との違いは、位置決め治具200には位置決め部14に空気抜き部61が設けられている点である。空気抜き部61は、位置決め部14の一部を削り取ることによって形成される。
位置決め部14と位置決め穴は高精度に嵌合されるため、位置決め部14を位置決め穴に嵌合させる際、位置決め穴内の空気が圧縮され、位置決め部14を位置決め穴に嵌合させ難い場合がある。しかし、位置決め治具200によれば、空気抜き部61を有するため、位置決め穴内の空気の圧縮が防止される。
また、位置決め部14に空気抜き部を設ける他に、位置決め治具の軸方向に貫通孔を設けることによっても位置決め穴内の空気を抜くことが可能となる。
なお、一方の部材と嵌合する第一位置決め部14aの軸方向の寸法が位置決め治具100のように0.5D程度であれば、位置決め穴14内の空気が圧縮され、位置決め部14を位置決め穴に嵌合させ難いということはない。したがって、この場合には、空気抜きのための構成は設ける必要がない。
図10は、本発明に係る実施の形態4である位置決め治具300の斜視図である。
位置決め治具300と実施の形態1における位置決め治具100との違いは、位置決め治具300には、位置決め部14と雄ねじ部13との間に逃がし部71が設けられている点である。逃がし部71は、位置決め部14及び雄ねじ部13と比較して径が小さいため、逃がし部71が部材に形成された位置決め穴と接触することはない。
大きい部材を位置決めする場合(例えば図4のパーツBが大きい場合)、位置決め治具全体の軸方向の寸法も長くする必要がある。その場合、それに合せて位置決め部14の寸法を長くすると、位置決め部14と位置決め穴とのクリアランスは非常に小さいため、位置決め部14を位置決め穴に嵌合させるのは困難となる。
しかし、位置決め部の寸法は、二の部材を位置決めできる寸法で十分であり、位置決め治具の寸法に合せて長くする必要はない。そこで、位置決め治具300によれば、位置決め部14と雄ねじ部13との間に位置決め穴と接触しない逃がし部71を有するため、位置決めする部材の寸法が大きい場合でも、それに合せて逃がし部71の寸法を大きくすることによって、位置決め部14の寸法を大きく設定する必要がなく、位置決め部14と位置決め穴の嵌合を容易に行うことができる。
Claims (10)
- 相互に接触面を有する第一の部材及び第二の部材と、
前記第一の部材と前記第二の部材の各々に前記接触面に開口を有して形成された実質的に同一径の位置決め穴と、
前記位置決め穴に嵌合する位置決め治具とを有し、
前記第二の部材の前記位置決め穴が貫通孔にされ、
前記貫通孔内側にはガイド部が設けられ、
前記位置決め治具は、前記ガイド部に案内されて回転することによって直進力を生じる駆動部と、前記駆動部の直進方向に前記駆動部と連続して形成された位置決め部とを有し、
前記接触面とは逆側の前記貫通孔開口部から前記位置決め治具を前記貫通孔に挿入させ、
前記駆動部が回転することによって生じる直進力によって前記位置決め部が前記貫通孔内を直進して前記第一の部材の位置決め穴に嵌合することにより前記第一の部材と前記第二の部材とを位置決めすることを特徴とする位置決め機構。 - 前記ガイド部が雌ねじとして形成され、
前記駆動部が前記雌ねじに螺合する雄ねじとして形成され、
前記位置決め部が前記位置決め穴に嵌合した状態で前記雄ねじが前記雌ねじに案内されて回転可能な螺合関係を前記雄ねじ及び前記雌ねじが有することを特徴とする請求項1に記載の位置決め機構。 - 前記ガイド部が前記位置決め部の直進方向に等間隔に配置された突起部として形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の位置決め機構。
- 第一の部材と第二の部材とを位置決めするための位置決め治具であって、
雄ねじ部と、前記雄ねじ部と連続して一体に形成された位置決め部とを有し、
前記第一の部材と前記第二の部材の各々には位置決め穴が形成され、前記第二の部材の位置決め穴は貫通孔にされ、
前記貫通孔内側には前記雄ねじ部と螺合する雌ねじ部が設けられ、
前記雄ねじ部が回転することによって生じる直進力によって前記位置決め部が前記貫通孔内を直進して前記第一の部材の位置決め穴に嵌合することにより前記第一の部材と前記第二の部材とを位置決めすることを特徴とする位置決め治具。 - 前記位置決め部の外径と、前記位置決め穴の内径とは略同一であり、前記位置決め部が前記位置決め穴に嵌合された状態で、前記雄ねじ部が前記雌ねじ部に案内されて回転可能な螺合関係となるように当該雄ねじ部が前記雌ねじ部に対してアンダーサイズに加工されてなることを特徴とする請求項4に記載の位置決め治具。
- 前記雄ねじ部の回転偏心量が、前記位置決め部と前記位置決め穴とのクリアランス値以下であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の位置決め治具。
- 前記雄ねじ部の有効径の寸法をd2(100)、基準有効径寸法をd2とした場合、前記雄ねじ部の有効径が1.5≦(d2−d2(100))/d2×100≦4.0の範囲で設定されてなることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか一に記載の位置決め治具。
- 前記位置決め部は、前記第一の部材に形成された位置決め穴と嵌合する第一位置決め部と、前記第二の部材に形成された位置決め穴と嵌合する第二位置決め部とを有し、
前記第一位置決め部の位置決め治具軸方向の寸法をx、前記雄ねじ部の位置決め治具軸方向の寸法をyとした場合にx<yの関係があることを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれか一に記載の位置決め治具。 - 前記位置決め部の先端にテーパ部が設けられてなることを特徴とする請求項4乃至請求項8のいずれか一に記載の位置決め治具。
- 前記位置決め部と前記雄ねじ部との間に前記位置決め部と比較して径が小さい逃がし部が設けられてなることを特徴とする請求項4乃至請求項9のいずれか一に記載の位置決め治具。
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