JP2006076285A - 射出成形用金型及び射出成形装置、並びに射出成形方法 - Google Patents

射出成形用金型及び射出成形装置、並びに射出成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 キャビティ内を確実に真空状態に保持できると共に、成形後に成型品に対する追加作業が発生せず、低コストで成型品を成形することが可能な射出成形装置を提供する。
【解決手段】 固定側金型31と可動側金型32とを有する金型30と、金型30を型締め可能な型締め手段80と、金型30に溶融樹脂を注入するための射出手段10と、真空引きするための真空排気手段90と、を備えた射出成形装置Sであって、金型30のスプルー31fに設けられた金型真空バルブ40(140)は、固定側金型31と可動側金型32によって形成されるキャビティ30aと真空排気手段90とを金型30のゲート31dを介して連通させる開放位置と、連通させない閉鎖位置と、に切り替え可能に形成された弁体(弁体47,ピストンロッド143)を有している。
【選択図】 図4

Description

本発明は、射出成形用金型及び射出成形装置、並びに射出成形方法に係り、特に、キャビティおよび樹脂材料を真空状態に保持した状態で射出成形が可能な射出成形用金型及び射出成形装置、並びに射出成形方法に関する。
従来から、金型を型締めした後、キャビティ内を真空引きすることが可能な真空成形用の金型が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の金型には、固定側金型と可動側金型との接合面に真空引き用の開口部であるベント部が設けられている。ベント部は、固定側金型と可動側金型によって形成されるキャビティに開口しており、可動側金型に穿設された排気通路を介して真空装置に連通されている。
特許文献1の金型は、上記構成により型締めした後に、真空装置によって、ベント部及び排気通路を介してキャビティ内の空気を吸引して、キャビティ内を真空状態に保持することができる。
特開2000−225096号公報(第3頁、図1)
しかしながら、特許文献1に記載の金型は、キャビティにベント部が開口しているため、キャビティ内に溶融樹脂を注入したときに、ベント部に溶融樹脂が入り込んでしまうおそれがあった。また、成型品においては、ベント部によって形成される部分の加工が必要となり、作業工数が増加してしまうという不都合があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、キャビティ内を確実に真空状態に保持できる射出成形用金型及び射出成形装置、並びに射出成形方法を提供することにある。また、他の目的は、成形後に成型品に対する追加作業が発生せず、低コストで成型品を成形することが可能な射出成形用金型及び射出成形装置、並びに射出成形方法を提供することにある。
前記課題は、本発明によれば、固定側金型と可動側金型とによって形成されるキャビティを有する射出成形用金型であって、前記固定側金型は前記キャビティを真空引きするための真空排気手段に連通される排気部を有し、該排気部に設けられた切替弁は、真空排気手段と前記キャビティとを該キャビティ内に溶融樹脂を注入するためのゲート部を介して連通させる開放位置と、連通させない閉鎖位置と、に切替え可能に形成されたことにより解決される。
このように、本発明の射出成形用金型には、固定側金型と可動側金型によって形成されるキャビティを真空引きするための排気部が配設されている。そして、この排気部は、キャビティ内に溶融樹脂を注入するためのゲート部を介して、キャビティを真空排気手段に連通可能な切替弁を有している。このような構成により、本発明の射出成形用金型では、キャビティ内の空気を、ゲート部から排気することができる。
このように、溶融樹脂を注入するためのゲート部を介して排気すると、ゲート部とは別の位置で排気部をキャビティに接続する必要がない。従って、成型品の端部や表面に排気部によって美観を損ねるような跡が残ることがなく、成形後に成型品の加工が不要となる。
また、ゲート部とは別の位置でキャビティと排気部と連通させる必要がないために、成型品の形状に依存することなく、標準的に射出成形用金型に排気部を装備することが可能であると共に、キャビティ内を確実に真空状態に排気することが可能である。
また、本発明では、前記切替弁は、前記固定側金型に設けられたスプルーに排気孔を介して連通されかつ真空排気手段に連通された作動空間と、該作動空間の内部を進退動して前記開放位置と前記閉鎖位置とに切替え可能な弁体と、を備え、前記弁体の先端には、前記排気孔を閉塞する閉塞部が設けられ、前記切替弁は、前記閉鎖位置において前記閉塞部により前記排気孔を閉塞し、かつ、前記開放位置において前記閉塞部を前記排気孔から離間させることにより、前記作動空間を介して前記スプルーと真空排気手段とを連通させるように構成することができる。
このように、作動空間が固定側金型のスプルーと真空排気手段とに連通されているので、作動空間及びスプルーを介してゲート部側からキャビティと真空排気手段とを連通させ、ゲート部からキャビティ内の空気を排気することができる。従って、ゲート部とは別の位置で排気部をキャビティに接続する必要がない。このため、成型品の端部や表面に排気部によって美観を損ねるような跡が残ることがない。また、成型品の形状に依存することなく、標準的に射出成形用金型に排気部を装備することが可能である。
また、本発明では、作動空間の内部を進退動する弁体の先端に閉塞部を設け、この閉塞部が弁体と共に進退動することに基づき、閉鎖位置では排気孔を閉塞し、開放位置では排気孔から離間してスプルーと真空排気手段とが作動空間を介して連通されるように構成されている。このように、弁体を進退動させるという簡易な動作に基づき、スプルーを真空排気手段に連通させる状態と連通させない状態とを切替えることができる。
また、本発明では、前記切替弁は、前記固定側金型に設けられたスプルーと交差して形成された作動空間と、該作動空間の内部を気密的に進退動して前記開放位置と前記閉鎖位置とに切替え可能な弁体と、を備え、前記弁体には、前記閉鎖位置において前記スプルーの一部を構成する第1の孔と、前記開放位置において一端が前記スプルーを介して前記ゲート部に連通され他端が真空排気手段に連通される第2の孔と、が形成されてなるように構成することができる。
このように、作動空間の内部を気密的に進退動する弁体に、閉鎖位置においてスプルーの一部を構成する第1の孔を設けたことにより、閉鎖位置ではスプルーを介して射出成形用金型への樹脂の注入が可能とされている。また、前記弁体には、開放位置においてスプルーを介してゲート部と真空排気手段とを連通させる第2の孔が設けられているので、開放位置において、樹脂を注入するためのゲート部から排気することができる。従って、ゲート部とは別の位置で排気部をキャビティに接続する必要がない。このため、成型品の端部や表面に排気部によって美観を損ねるような跡が残ることがない。また、成型品の形状に依存することなく、標準的に射出成形用金型に排気部を装備することが可能である。
また、本発明では、スプルーと交差する作動空間の内部を弁体が進退動し、弁体の位置に応じて第1の孔又は第2の孔にスプルーが連通されるように構成されている。このように、弁体を進退動させるという簡易な動作に基づき、スプルーを真空排気手段に連通させる状態と連通させない状態とを切替えることができる。
そして、前記課題は、本発明の射出成形装置によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の射出成形用金型と、該射出成形用金型を型締め可能な型締め手段と、前記射出成形用金型に溶融樹脂を注入するための射出手段と、真空引きするための真空排気手段と、を備えたことにより解決される。
このように構成すると、請求項1乃至請求項3に記載された射出成形用金型を備えることにより、キャビティ内の空気を、ゲート部から排気することが可能な射出成形装置を提供することが可能となる。
また、前記課題は、本発明の射出成形方法によれば、固定側金型と可動側金型とを有する金型と、該金型を型締め可能な型締め手段と、前記金型に溶融樹脂を注入するための射出手段と、真空引きするための真空排気手段と、を備え、前記金型には、前記固定側金型と前記可動側金型によって形成されるキャビティと前記真空排気手段とを前記金型のゲートを介して連通させる開放位置と、連通させない閉鎖位置と、に切替え可能な切替弁を有する排気部が設けられた射出成形装置において、前記キャビティ内に溶融樹脂を注入して成型品を成形する射出成形方法であって、前記金型が型締めされかつ前記切替弁を前記開放位置に切替えた状態で前記真空排気手段を作動させ、前記金型のゲート部を介して前記キャビティを真空引きするステップ、前記切替弁を前記閉鎖位置に切替えかつ前記キャビティを真空下に保持した状態で、前記キャビティに溶融樹脂を注入するステップ、を行うことにより解決される。
このように、本発明の射出成形方法によれば、射出成形用金型を型締めした状態で、樹脂を注入するためのゲート部を介してキャビティ内の空気を排気してキャビティ内を減圧し、キャビティを真空引きするステップと、キャビティを真空下に保持した状態で溶融樹脂を注入するステップとを行う。すなわち、溶融樹脂を注入するためのゲート部を真空排気手段に連通させ、ゲート部から排気してキャビティ内を真空状態とし、その後ゲート部をスプルーを介して射出手段に連通させるように切替弁を切り替えて溶融樹脂を真空状態のキャビティに注入する。
従って、本発明では、ゲート部とは別の位置で排気部をキャビティに接続する必要がないので、成型品の端部や表面に排気部によって美観を損ねるような跡が残ることがなく、成形後に成型品の加工が不要となる。また、成型品の形状に依存することなく、標準的に金型に排気部を装備することが可能であると共に、キャビティ内を確実に真空状態に排気することが可能である。
本発明の射出成形用金型、射出成型装置、及び射出成型方法によれば、溶融樹脂を注入するためのゲート部を介してキャビティ内を排気するので、ゲート部とは別の位置で排気部をキャビティに接続する必要がない。従って、成型品の端部や表面に排気部の跡が残ることがなく、成型品の美観を損なうことがない。
また、スプルー部分に排気部を接続することにより、成型品の形状にかかわらず、標準的に金型に排気部を装備することができる。従って、成型品の形状にかかわらず、成形後に成型品の加工が不要となり、コストが低減化される。
また、真空排気手段によりキャビティ内を確実に真空状態に排気することが可能であり、溶融樹脂注入時には排気部はキャビティに連通されていないので、キャビティ内を確実に真空状態に保持できる。従って、小さい注入圧力でキャビティ内の隅々まで溶融樹脂をすばやく且つ均一に行き渡らせることができる。
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
図1〜図8は本発明の一実施形態に係るものであり、図1は射出成形装置の説明図、図2は金型の説明図、図3は制御手段の説明図、図4〜図6は金型真空バルブの説明図、図7は材料供給部の説明図、図8は金型真空バルブのタイミングチャートである。
また、図9〜図11は、本発明の他の実施形態に係る金型真空バルブの説明図である。
まず、本実施形態の射出成形装置Sの全体構成について説明する。
図1は、本発明の射出成形装置Sの断面説明図である。図1に示すように、射出成形装置Sは、射出手段10,金型30,型締め手段80,真空排気手段90,制御手段100を主要構成要素として構成されている。射出手段10,型締め手段80は、架台1上に取り付けられ、金型30は、型締め手段80に取り付けられている。
本例の射出手段10は、スクリュ・イン・ライン式の射出機であり、シリンダ11と、ノズル13と、駆動部14と、樹脂材料をシリンダ11内へ供給するための材料供給部20を備えて構成されている。シリンダ11,ノズル13,駆動部14は、射出部に相当する。
駆動部14は、シリンダ11内のスクリュー12を回転させるモータ及び減速機構からなる回転駆動部14a、スクリュー12を押し出してシリンダ11内部の溶融樹脂を金型30内へ注入させる射出シリンダ装置14b、シリンダ11を左右方向へ移動させてノズル13をスプルー31fに当接させたり後退させたりするシフトシリンダを備えている。
本例のシリンダ11には、材料供給部20とシリンダ11とを連通する開口よりも後方位置(図中右側)に、真空シール11aが配設され、この真空シール11a内にスクリュー12が挿通され摺動可能となっている。この真空シール11aによって、シリンダ11内部と駆動部14との間がシールされている。
シリンダ11は、バンドヒータ15によってヒーティングされている。樹脂材料は、材料供給部20を介して、シリンダ11内へ供給され、回転駆動部14aによって回転駆動されるスクリュー12により可塑化混練され、前方へ押し出される。この状態で、射出シリンダ装置14bが作動すると、スクリュー12が金型30側へ押し出され、シリンダ11内の前方の溶融樹脂がノズル13を介して金型30内のキャビティ30aへ注入される。
金型30は、図1及び図2に示すように、固定側取付板33Aと、固定側取付板33Aに取り付けられた固定側金型31と、固定側金型31に相対して配設された可動側金型32と、可動側金型32を背面から支持する背板34と、スペーサブロックを介して背板34に連結された可動側取付板37Aと、背板34と可動側取付板37Aの間に移動可能に配設されたエジェクタプレート35と、エジェクタプレート35に基部が固定されたエジェクタピン36Aとを主要構成要素としている。そして、固定側金型31と可動側金型32を型締めすることにより、成型品を成形するためのキャビティ30aが形成される。
固定側金型31には、後述する排気部としての金型真空バルブ40,50が組み込まれている。固定側金型31には、固定側取付板33Aと当接する側面に凹部31eが設けられており、この凹部31eに、本発明の排気部としての金型真空バルブ40が取り付けられている。この金型真空バルブ40は、固定側金型31のゲート31dをノズル13側に連通させるか、真空排気手段90側へ連通させるかを切り換えることができるように構成されている。また、金型真空バルブ50は、可動側金型32に形成された凹部32eおよび凹部32fに配設され、キャビティ30aを真空排気手段90側へ連通させるか否かを切り換えることができるように構成されている。
さらに、金型真空バルブ40,50から真空排気手段90の真空タンク92側へ延びる配管59には、電磁弁59bが配設されており、電磁弁59bは、金型真空バルブ40,50と真空排気手段90との間を連通または閉塞することができる。電磁弁59bと金型真空バルブ40,50との間の配管59には、真空センサ59aとデジタル式の真空メータ59cが配設され、配管59内および配管59に連通されたキャビティ30aの気圧を測定している。真空センサ59aは、表示部により、内部の気圧を表示している。真空メータ59cは、制御手段100へ内部の気圧値をあらわす検出信号を送出し、制御手段100は、この検出信号を制御および表示に用いている。
型締め手段80は、タイバー83の端部に固定された固定側ダイプレート81と、型締め機構86と、型締め機構86によって固定側ダイプレート81に対して進退動可能な可動側ダイプレート82と、型締め機構86等を駆動する駆動部87とを備えて構成されている。
固定側ダイプレート81は固定側取付板33Aを支持し、可動側ダイプレート82は可動側取付板37Aを支持している。
型締め機構86は、リンク機構等により構成されており、駆動部87によって駆動されることにより、可動側金型32の位置調整ができるように構成されている。
型締め手段80には、可動側金型32の位置を検出する位置検出スイッチ88が配設されており、位置検出スイッチ88は、可動側金型32が型締め位置にあることを検出して、制御手段100に位置検出信号を送出している。
また、駆動部87は、可動側金型32側に向けてエジェクタプレート35を進退動可能である。型開き後、駆動部87が駆動して、エジェクタプレート35が可動側金型32側へ前進すると、エジェクタピン36Aによって可動側金型32の型面から成型品が取り外される。
真空排気手段90は、金型30のキャビティ30aおよび材料供給部20の内部を真空引きするためのものであり、真空ポンプ91,真空タンク92を主要構成要素として構成されている。
真空タンク92からの配管は、途中で電磁弁28aと電磁弁59bへ向かう2つの配管(28,59)に分岐する。この真空タンク92,電磁弁28aおよび電磁弁59bの間の配管に、真空センサ90aとデジタル式の真空メータ90bが取り付けられている。真空センサ90aは、内部の気圧を表示部により表示する。真空メータ90bは、内部の気圧を測定した検出信号を制御手段100へ送出している。制御手段100は、この検出信号を制御および表示に用いている。
真空ポンプ91は、常時、真空タンク92内を所定の真空度に維持するように排気している。つまり、制御手段100は、真空メータ90bから受けとる検出信号によって、真空タンク92内の真空度をモニターしており、真空タンク92が所定の気圧値より大きくなったと判断した場合には、真空ポンプ91を作動させて、真空タンク92内を所定の真空度まで排気する。
また、制御手段100は、所定のタイミングでキャビティ30aおよび材料供給部20の内部を排気するように、電磁弁28a,28b,59bを制御している。
制御手段100は、図3に示すように、制御部101と、表示部102と、操作部103を主要構成要素としている。制御部101は、制御プログラムを記憶しており、操作部103からの操作信号や、電磁弁,センサ,リミットスイッチ,真空メータ等からの位置信号,検出信号等を受けて、電磁弁,駆動部等に作動信号を送出している。表示部102には、各電磁弁の開閉状況、真空メータにより測定された気圧値等の装置の作動状況が表示されている。
本例の可動側金型32には、シリコンゴムからなる凸条の金型シール部材がキャビティ30aを囲むように配設されており、固定側金型31には、型締め時に金型シール部材が嵌入する金型シール溝が形成されている。本例の金型30は、型締めすると、上記金型シール部材と金型シール溝とが係合し、キャビティ30aをシールすることができるように構成されている。
可動側金型32には、キャビティ30aと外部(背板34)側とを連通するように、摺動孔(貫通孔)が形成されており、摺動孔には、摺動部材としてのエジェクタピン36Aが進退自在に摺動可能となっている。そして、この摺動孔にもキャビティ30aと外部との間をシールするシール部材が配設されている。エジェクタピン36Aは、このシール部材と摺動する。
(キャビティの真空排気構造)
次に、図4に基づいて、本例の金型真空バルブ40について説明する。
図4は、金型真空バルブ40をノズル13側から見た断面説明図である。
本例の金型真空バルブ40は、本体部40aと、本体部40a内で摺動する弁体47と、弁体47を付勢するための付勢手段としてのコイルスプリング48と、本体部40aに連結された作動用ホース43aおよび排気用ホース44aと、作動用ホース43aおよび排気用ホース44aの端部に連結された連結部42とを備えている。連結部42は、作動用ホース43aおよび排気用ホース44aに連通しており、外部側には、配管59が連結されている。
本体部40aには、本体部40aを貫通するようにスプルー41が形成されている。スプルー31fは、スプルー41を含んで、ノズル13からゲート31dまで溶融樹脂の注入通路を形成している。また、本体部40aの側面からスプルー41と略直交する方向に、有底の作動用孔43が形成されている。作動用孔43は、スプルー41の側面に形成された排気孔41aを介してスプルー41と連通している。作動用孔43には、作動用ホース43aが連結されている。
また、本体部40aには、作動用孔43と平行して、有底の排気用孔44が形成されており、排気用孔44と作動用孔43とは、連通孔45によって連通している。連通孔45は、スプルー41に近い側(すなわち、底部に近い側)に形成されている。排気用孔44には、排気用ホース44aが連結されている。排気用孔44は、作動用孔43よりも小径に形成されている。
弁体47は、作動用孔43に配設されており、円盤部47bと、円盤部47bを貫通するように形成された円柱状のキャップ部47aと、キャップ部47aの後側からキャップ部47aの長さ方向に延出するように形成された摺動部47cを有している。
なお、本例の金型真空バルブ40が本発明の切替弁に相当し、本例の弁体47が本発明の弁体に相当し、本例の作動用孔43が本発明の作動空間に相当する。
キャップ部47aは、排気孔41aを塞ぐための部材である。作動用孔43は、排気孔41aに連通する部分が、テーパー形状となっており、このテーパー部43cに合わせて、キャップ部47aの先端部分47aaも先細りにテーパーされている。キャップ部47aは排気孔41a側に付勢されており、テーパーされた先端部分47aaが、排気孔41a側のテーパー部43cに入り込んで、作動用孔43を気密的に閉塞することができる。
作動用孔43は、スプルー41側は断面円形に形成され、さらにスプルー41と直交する方向に沿って、作動用孔43を拡張するように2箇所に溝43bが設けてある。円盤部47bは、作動用孔43の内径と略同一の外径を有する円形部材であり、さらに、作動用孔43に形成された2箇所の溝43bと略同形状であって、溝43bと係合する係合片47baが径方向に延出するように形成されている。
なお、本例のキャップ部47aが本発明の閉塞部に相当し、本例の排気孔41aが本発明の排気孔に相当する。
円盤部47bは、係合片47baを溝43bに係合させた状態で、作動用孔43の長さ方向に進退動可能に配設されている。
作動用孔43には、摺動部47cを摺動自在に保持する支持部46が作動用孔43を塞ぐように固定されている。支持部46には、摺動方向に貫通し、空気の移動を許容する複数の貫通孔46aが形成されている。
また、コイルスプリング48が、円盤部47bの後面と支持部46との間に配設されている。コイルスプリング48は、弁体47の後側からキャップ部47aに挿入されている。コイルスプリング48は、弁体47をスプルー41側へ付勢している。
弁体47がコイルスプリング48によって付勢され、キャップ部47aの先端部が排気孔41aを塞いでいるとき(閉塞位置)には、円盤部47bの側面によって、連通孔45が塞がれるようになっている。
次に、金型真空バルブ40の動作について説明する。
図4(A)に示すように、電磁弁59bが閉状態で、金型真空バルブ40が真空排気手段90に連通していないときには、コイルスプリング48によって、弁体47は、スプルー41側に付勢され、排気孔41aはキャップ部47aの先端部によって閉塞された状態となっている(閉塞位置)。
一方、制御手段100から電磁弁59bに開信号が送出されると、電磁弁59bが開状態となり、金型真空バルブ40が真空排気手段90に連通する。これにより、図4(B)に示すように、作動用孔43および排気用孔44内の空気は、真空排気手段90によって排気される。
このとき、排気用孔44よりも作動用孔43の方が大径であるので、円盤部47bには、大きな吸引力が働き、弁体47が付勢力に抗してスプルー41から離れる方向へ摺動する。弁体47は、キャビティ30a内の空気を排気中、スプルー41から離れた位置(排気位置)に保持される。
弁体47が、排気位置に保持されると、排気孔41aが開口すると共に、連通孔45も開口し、スプルー41と排気用孔44とが連通孔45を介して連通した状態となる。
スプルー41が排気用孔44と連通することによって、キャビティ30aが、金型真空バルブ40を介して、真空排気手段90と連通した状態となり、キャビティ30aが真空排気手段90によって、真空状態に排気される。
制御手段100は、キャビティ30aが真空状態となった所定時間後に、電磁弁59bへ閉信号を送出し閉状態とする。弁体47は、キャビティ30aと配管59内の気圧が略同一となったり、電磁弁59bが閉状態となったりして、キャビティ30aからの空気の流れがなくなると、コイルスプリング48の付勢力により、閉塞位置に戻り、キャップ部47aによって排気孔41aを閉塞する。
以上のようにして、本例の金型真空バルブ40は、電磁弁59bの開閉によって、スプルー41を介して、ゲート31dからキャビティ30aを排気することができる。
このように、本例では、弁体47は、排気位置と閉塞位置とに切り替え可能とされている。そして、排気位置において、ゲート31dを介して排気孔41aからキャビティ30a内を排気することができる。
また、本例では、閉塞位置において排気孔41aが閉塞されているので、キャビティ30a内を真空状態に保持することができる。また、溶融樹脂を注入する際に排気孔41aから金型真空バルブ40内に溶融樹脂が入り込んでしまうことがない。
次に、図5,図6に基づいて、本例の金型真空バルブ50について説明する。
図5は、金型真空バルブ50を金型30の側面側から見た断面説明図である。
本例の金型真空バルブ50は、図2に示すように、可動側金型32の製品形成面32aの端部から、固定側金型31と可動側金型32との当接面にかけて形成された凹部32eおよび、凹部32eと可動側金型32の側部の間を連通する凹部32fに配設されている。
本例の金型真空バルブ50は、本体部50aと、本体部50a内で摺動する弁体57と、弁体57を付勢するための付勢手段としてのコイルスプリング58と、本体部50aに連結された作動用ホース53aおよび排気用ホース54aと、作動用ホース53aおよび排気用ホース54aの端部に連結された連結部52とを備えている。連結部52は、配管59に連結されており、作動用ホース53aおよび排気用ホース54aに連通している。
本体部50aは、固定側金型31側の側面50cが、当接面32bと面一となるように、凹部32e内に固定されている。作動用ホース53aおよび排気用ホース54aは、凹部32fを介して本体部50aに連結されている。
本体部50aには、作動用ホース53aが連結される作動用孔53と、作動用孔53と平行して作動用孔53よりも小径な排気用孔54が形成されている。
図6に示すように、本体部50aの側面50cには、製品形成面32a側の端部を一部切り欠いたような凹部50bが形成されており、凹部50bに作動用孔53が連通している。
また、凹部50bと排気用孔54とは、連通孔55によって連通している。
弁体57は、凹部50b内に配設されており、凹部50b内で型締め方向と直交する方向に摺動する閉塞部材57aと、閉塞部材57aに端部が取り付けられ摺動方向に延出する摺動部57cを有している。
閉塞部材57aは、キャビティ30a側の側面57aaが、当接面32bおよび側面50cと面一な状態で、摺動可能となっている。側面57aaの摺動方向の厚さは、キャビティ30aの端部30eの幅(成型品の端部の厚さ)よりも大きく設定されている。図6のうち、製品形成面32aの端部の曲線Xと略平行な曲線Yは、型締めしたときの固定側金型31の製品形成面31aの端部の曲線である。すなわち、曲線Xと曲線Yの間が、キャビティ30aの端部30eとなる。
図5(A)および図6のように、閉塞部材57aが、付勢されて凹部32eの製品形成面32a側の側面と当接しているときには、側面57aaによって、キャビティ30aの端部30eから凹部50bへ連通する開口30fを閉塞することができる。
作動用孔53には、摺動部57cを摺動自在に保持する支持部56が作動用孔53を塞ぐように固定されている。支持部56には、摺動方向に貫通し、空気の移動を許容する複数の貫通孔56aが形成されている。
また、コイルスプリング58が、閉塞部材57aの後面と支持部56との間に配設されている。コイルスプリング58は、弁体57の後側から摺動部57cに挿入されている。コイルスプリング58は、弁体57を可動側金型32の中央側へ付勢している。
弁体57がコイルスプリング58に付勢され、閉塞部材57aの側面57aaが、キャビティ30aの端部30eの開口30fを塞いでいるとき(閉塞位置)には、閉塞部材57aの側面57aaと対向する側面57abによって、連通孔55が塞がれるようになっている。
次に、金型真空バルブ50の動作について説明する。
図5(A)に示すように、電磁弁59bが閉状態で、金型真空バルブ50が真空排気手段90に連通していないときには、コイルスプリング58によって、弁体57は、可動側金型32の中央側へ付勢され、開口30fが閉塞部材57aの側面57aaによって閉塞された状態となる(閉塞位置)。
一方、制御手段100から電磁弁59bに開信号が送出されると、電磁弁59bが開状態となり、金型真空バルブ50が真空排気手段90に連通する。これにより、図5(B)に示すように、作動用孔53および排気用孔54内の空気は、真空排気手段90によって排気される。
このとき、排気用孔54よりも作動用孔53の方が大径であるので、閉塞部材57aには、大きな吸引力が働き、弁体57が付勢力に抗して可動側金型32の側面側へ摺動する。弁体57は、キャビティ30a内の空気を排気中、可動側金型32の側面側へ移動した位置(排気位置)に保持される。
弁体57が、排気位置に保持されると、開口30fが開口すると共に、連通孔55も開口する。また、閉塞部材57aと凹部32eの側面との間に流路が形成される。キャビティ30aは、この流路および連通孔55を介して、排気用孔54と連通した状態となる。
これにより、キャビティ30aは、金型真空バルブ50を介して、真空排気手段90と連通した状態となり、キャビティ30aが真空排気手段90によって、真空状態に排気される。
制御手段100は、キャビティ30aが真空状態となった所定時間後に、電磁弁59bへ閉信号を送出し閉状態とする。弁体57は、電磁弁59bが閉状態となるか、キャビティ30aからの空気の流れがなくなると、コイルスプリング58の付勢力により、閉塞位置に戻り、閉塞部材57aによって開口30fを閉塞する。
以上のようにして、本例の金型真空バルブ50は、電磁弁59bの開閉によって、キャビティ30aを排気することができる。
本例の金型真空バルブ50は、可動側金型32に凹部32e,32fを形成し、凹部32e,32f内に固定するだけなので、取り付けが容易である。また、本例の金型真空バルブ50は、配管59を接続し、配管59内を減圧するだけで流路の切り替えを行うことができるので、制御が容易である。
(ホッパの真空排気・樹脂材料供給構造)
次に、図7に基づいて、本例の材料供給部20について説明する。本例の材料供給部20は、シリンダ11に供給する材料供給タンク25を真空状態に維持することができるように構成されている。
材料供給部20は、ホッパ21と、ホッパ21の下部に連結された第1供給弁23と、第1供給弁23を介してホッパ21と連結された円筒状の材料供給タンク25と、材料供給タンク25の下部に連結された第2供給弁26と、第2供給弁26を介して材料供給タンク25と連結された円筒形状の材料保持部27を主要構成要素として構成されている。
ホッパ21には、ホッパ21内の所定量の樹脂材料の有無を検出するセンサ21aが配設されている。また、ホッパ21の上部には、吸引ポンプ22が配設されている。吸引ポンプ22には、ホース22aが連結されており、ホース22aの先端部は、粒状の樹脂材料が貯蔵された外部タンク3内に挿入されている。
吸引ポンプ22は、制御手段100からの駆動信号を受けることによって作動する。吸引ポンプ22が作動すると、空気と共に、外部タンク3内の樹脂材料が吸引され、樹脂材料はホース22aを通って、ホッパ21内に運搬される。
第1供給弁23は、気密的に内部通路を開閉するバルブを有するバルブ本体23aと、圧縮空気供給源4からの圧縮空気のホースが連結されたバルブスイッチ23bとを備えている。バルブスイッチ23bは、制御手段100からの駆動信号に基づいて、圧縮空気をバルブ本体23aに供給してバルブの開閉を行うと共に、バルブの開閉状態を検出して開閉位置信号を制御手段100へ送出する。
材料供給タンク25は、略円筒状に形成されており、側面中央に配管28が連結されている。また、材料供給タンク25の外部には、材料供給タンク25内の気圧を測定する真空センサ25aとデジタル式の真空メータ25cが取り付けられている。真空メータ25cは、内部の気圧を測定した検出信号を制御手段100へ送出し、制御手段100は、この検出信号を制御および表示に用いている。
配管28は、途中にフィルタ28eが連結されており、フィルタ28eの下流側では、2方向へ分岐している。分岐した一方には、電磁弁28aを介して真空タンク92が連結されており、他方には、大気へ開放するための電磁弁28bとサイレンサ28fが連結されている。配管28には、電磁弁28aと真空タンク92との間で配管59が合流している。
真空タンク92と電磁弁28aとの間には、ハンドバルブ28cが連結されており、作業者はハンドバルブ28cによって、真空タンク92と電磁弁28aとの間を開閉することができる。ハンドバルブ28cは、常時には、開状態となっている。また、配管28は、ハンドバルブ28cの下流側で、さらに2方向へ分岐しており、一方には、真空タンク92が連結されており、他方には、ハンドバルブ28dが連結されている。ハンドバルブ28dは、常時には、閉状態となっており、開状態とすると、真空タンク92が大気へ開放される。
電磁弁28a,28bは、制御手段100からの駆動信号を受けて、開閉されるものであり、開閉位置信号を制御手段100へ送出している。ハンドバルブ28c,28dは、作業者が手動で開閉することができるものである。
また、材料供給タンク25の側面には、配管18が連結されている。配管18は、ノズル13側に延出しており、電磁弁19を介して、シリンダ11に設けられたヒートカバー16に連結されている。電磁弁19は、制御手段100からの駆動信号によって開閉し、開閉位置信号を制御手段100に送出している。
シリンダ11の外周には、バンドヒータ15を覆うようにヒートカバー16が配設されている。ヒートカバー16には、吸入口16aと排出口16bが設けられており、排出口16bには、配管18が連結されている。また、排出口16b付近には、ヒートカバー16内の空気を材料供給部20側へ送り出すためのファン17が配設されている。
材料供給タンク25の下部に連結された第2供給弁26は、第1供給弁23と構成は同じであり、バルブ本体26a及びバルブスイッチ26bを備えている。
材料保持部27には、センサ27aが配設されており、このセンサ27aは、材料保持部27に所定量の樹脂材料が保持されているか否かを検出して、制御手段100へ検出信号を送出している。
センサ27aは、樹脂材料を検出しているときは、所定量の樹脂材料が貯留されている旨の信号(充填信号)を制御手段100に送出し、樹脂材料を検出していないときは、所定量の樹脂材料が貯留されていない旨の信号(未充填検知信号)を制御手段100に送出する。
また、材料保持部27の下部には、配管29が2箇所に連結されており、一方はハンドバルブ29bを介して大気中に開放されており、他方はハンドバルブ29cを介して吸引ポンプ29aに連結されている。ハンドバルブ29b,29cは、常時は、閉状態に保持されている。
吸引ポンプ29aの下流側には、ハンドバルブ29dが連結されており、さらにハンドバルブ29dの下流側は、電磁弁28bとフィルタ28eの間の配管28に連結されている。吸引ポンプ29aは、樹脂材料の入替え時等に、材料保持部27等から、樹脂材料を外部へ排出するためのものである。
本例の射出成形装置Sでは、成形中、材料保持部27は常に真空状態に保持される。これにより、シリンダ11内部も真空状態に保持され、真空下で、樹脂材料を溶融化することができる。
すなわち、制御手段100は、材料保持部27へ樹脂材料を供給する際には、まず、電磁弁28bへ開信号を送出して開状態とし、材料供給タンク25を大気へ開放した状態で、ホッパ21内に吸い上げた樹脂材料を、材料供給タンク25内に落下させて貯留する。
そして、電磁弁19,28bに開信号を送出して閉状態とし、また、電磁弁28aに開信号を送出して開状態とする。そして、材料供給タンク25を真空タンク92によって真空状態まで排気させる。
真空メータ25cからの検出信号により、材料供給タンク25が所定の真空度まで排気されたことを検出すると、制御手段100は、第2供給弁26に開信号を送出し開状態とし、材料供給タンク25と材料保持部27とが連通させて材料供給タンク25から所定量の樹脂材料を材料保持部27へ落下させる。以上のようにして、材料保持部27を常に真空状態に保持することができる。
(射出成形の手順)
次に、図8に基づいて、本例の射出成形装置Sの動作について説明する。図8は、タイミングチャートをあらわしている。
なお、材料供給部20における樹脂材料の供給動作については省略する。本例の射出成形装置Sでは、以下に示すキャビティ30a内への溶融樹脂の注入動作と、材料保持部27への樹脂材料の供給動作を独立して行うことができる。
これにより、溶融樹脂注入動作のいずれの段階で、材料保持部27内の樹脂材料の不足が発生しても、溶融樹脂注入動作を途切れさせることなく、連続して成型品を形成することができる。
作業者は、予め、操作部103から射出手段10、型締め手段80の設定を行う。
制御手段100は、型締め手段80に作動信号を送出し、可動側金型32と固定側金型31とを所定の型締め圧で型締めさせる。
型締めされると、位置検出スイッチ88から検出信号が制御手段100へ送出される(図8のA)。
制御手段100は、検出信号を受け取ると、電磁弁59bへ開信号を送出し開状態とする(図8のB)。これにより、金型真空バルブ40,50が開状態となり、キャビティ30aが所定の真空度まで排気される。
制御手段100は、真空メータ59cからの検出信号により、キャビティ30aが所定の真空度まで排気されたことを検出すると、所定時間後、電磁弁59bへ閉信号を送出し閉状態とする(図8のC)。
制御手段100から駆動部14へ作動信号が送出され、スクリュー12が回転し、この回転によって、材料供給部20からシリンダ11内へ供給された樹脂材料がシリンダ11の前方に送出され、溶融樹脂がシリンダ11の前方に蓄積される。
樹脂材料は、上述のように真空下で可塑化混練されるので、樹脂材料が溶融して発生するガスや水分は除去される。
この状態で、制御手段100は、射出手段10の駆動部14へ作動信号を送出して、スクリュー12を前方へ移動させ、ノズル13から所定量の溶融樹脂をキャビティ30a内へ注入させる(図8のD)。
溶融樹脂を注入後、所定の冷却時間経過後、制御手段100は、射出手段10に作動信号を送出し、射出手段10は、スクリュー12を後方へ移動させる(図8のE)。
スクリューバックすると、制御手段100は、型締め手段80へ作動信号を送出して、可動側金型32を後退させ、型開きする(図8のF)。このとき、位置検出スイッチ88から型開きした旨をあらわす検出信号が制御手段100へ送出される。
そして、エジェクタピン36Aを作動させ、成型品を型から取り出す(図8のG)。
射出成形装置Sは、再び、型締め工程、真空引き工程、射出工程、冷却工程、型開き工程等の処理を繰り返して、連続的に成型品を形成する。
なお、シリンダ11が成形ごとに、前後方向にシフトして、金型30にノズルタッチをする場合には、型締め後に、ノズルタッチさせてキャビティ30aを排気し、スクリューバックするときに、シリンダ11を後退させるようにすることができる。
本例の射出成形装置Sでは、射出時にキャビティ30aを真空状態に保持することができるので、成形時の空気抵抗がほとんどなく、小さい注入圧力でキャビティ30aの隅々まで溶融樹脂をすばやく且つ均一に行き渡らせることができる。
したがって、成型品に色むら、ワレ、ヒケ、ヤケ、ウェルドライン、ショート等が発生しない。例えば、成型品が補強リブ等の長い深物や、目の細かいメッシュ(格子)であっても、充填不足が発生することがない。
また、本例の射出成形装置Sでは、上述のように溶融樹脂がすばやく、且つ、均一に充填されるので、内部応力の極めて小さい成型品を成形することができる。
(キャビティの真空排気構造:他の実施例)
次に、図9〜図11に基づいて、他の実施例に係る金型真空バルブ140について説明する。図9及び図10は、金型30及び金型真空バルブ140を側部から見た断面説明図であり、図10は金型真空バルブ140をノズル13側から見た断面説明図である。
本例の金型真空バルブ140は、固定側金型31の凹部31eに取り付けられており、シリンダチューブ141と、シリンダチューブ141の軸方向の端部に気密的に連結されたバルブ摺動部142と、シリンダチューブ141の軸方向に沿って進退動するピストンロッド143と、ピストンロッド143を進退動させるための圧縮空気を供給するエアホース145a,145bと、エアホース145a,145bの端部が連結される電磁切替弁140Aと、電磁切替弁140Aと圧縮空気供給源4を連結するエアホース145cと、ピストンロッド143の端部と真空排気手段90とを連結するエアホース147を主要構成要素としている。
本例の金型真空バルブ140は、ピストンロッド143が伸びた位置(図中、右側に移動した状態)では、ノズル13側とキャビティ30aが連通され、ピストンロッド143が縮んだ位置(図中、左側へ移動した状態)では、キャビティ30aと真空排気手段90側が連通されるように構成されている。
本例のピストンロッド143には、軸方向の一方の端部(図中、右側端部)から軸方向の所定の深さまで排気通路143aが穿設されている。また、ピストンロッド143には、軸方向に対して略垂直な方向に貫通孔143bが形成されている。この貫通孔143bは、排気通路143aの底部付近で排気通路143aと交差するように形成されている。
また、ピストンロッド143には、貫通孔143bと略平行にピストンロッド143を貫通する注入孔143cが形成されている。この注入孔143cは、排気通路143aと連通しないように、ピストンロッド143の他方の端部(図中、左側端部)付近に形成されている。
シリンダチューブ141は、ピストンロッド143を左右方向に進退動可能に保持している。電磁切替弁140Aは、制御手段100からの制御信号によって、内部流路を切り替えてエアホース145a,145bのいずれか一方に圧縮空気を供給する。シリンダチューブ141の左右両端部付近には、エアホース145b,145aが連結されており、電磁切替弁140Aがエアホース145a側に切り替えられたときには、ピストンロッド143は左側へ移動し、電磁切替弁140Aがエアホース145b側に切り替えられたときには、ピストンロッド143は右側へ移動する。
バルブ摺動部142は、内部にピストンロッド143と気密的に摺動する内部空間が形成されている。また、バルブ摺動部142には、ピストンロッド143の軸方向に対して略垂直な方向に貫通する樹脂注入孔142aが形成されている。この樹脂注入孔142aは、金型真空バルブ140が固定側金型31のゲート31dをノズル13側に連通させるように切り換えられた状態において、スプルー31fの一部を構成する。
バルブ摺動部142のノズル13側には、スプルー31fが穿設されたスプルーブッシュ31gが設けられている。本例の金型真空バルブ140は、図11に示すように、スプルーブッシュ31gがバルブ摺動部142に取り付けられ、あるいはバルブ摺動部142と一体化されて形成されている。
本例では、金型真空バルブ140を固定側金型31の凹部31eに取り付ける際には、固定側取付板33Aに設けられたロケートリング31hに所定の厚みをもったスプルーブッシュ31gが内接し、これによりノズル13に対してスプルー31fが位置決めされる。
このように、バルブ摺動部142のノズル13側に所定の厚みをもったスプルーブッシュ31gが設けられていると、樹脂注入圧が加えられてもバルブ摺動部142に歪みが生じることがなく、バルブ摺動部142の内部をピストンロッド143がスムーズかつ気密的に摺動される。
また、本例のシリンダチューブ141及びバルブ摺動部142は、ピストンロッド143を気密摺動させるために、ピストンロッド143と内接する摺動面に、円環状のシール部材144が配設されている。
シール部材144は、例えば弾性を有するシリコンゴム製とすることができる。シリコンゴムは弾性によりピストンロッド143が摺動してもその表面に密着されるので、シリンダチューブ141及びバルブ摺動部142におけるシール性を確保することができる。従って、シリンダチューブ141から圧縮空気が外にもれず、ピストンロッド143を確実に進退動させることができる。
なお、本例の金型真空バルブ140が本発明の切替弁に相当し、本例のピストンロッド143が本発明の弁体に相当し、本例のシリンダチューブ141が本発明の作動空間に相当する。また、本例の注入孔143cが本発明の第1の孔に相当し、本例の貫通孔143b及び排気通路143aが本発明の第2の孔に相当する。
次に、本例の金型真空バルブ140の動作について説明する。
本例の金型真空バルブ140は、常時は、図11(B)のようにピストンロッド143が伸びた位置(右側へ移動した状態)に保持されている。
そして、金型30が型締めされると、所定時間後(図8のBに相当)に、制御手段100から電磁切替弁140Aへ内部流路を切り替えるための制御信号が送出される。これにより、図11(A)に示すように、電磁切替弁140Aを介してエアホース145aとエアホース145cとが連通され、ピストンロッド143は左側へ移動した状態に保持される。
このとき、ピストンロッド143の貫通孔143bは、バルブ摺動部142の樹脂注入孔142aと連通する位置に保持される。したがって、スプルーブッシュ31gおよび固定側金型31のスプルー31fは、樹脂注入孔142aおよび貫通孔143bを介して、ピストンロッド143の排気通路143aと連通した状態となる。これにより、スプルー31f内及びキャビティ30a内の空気は、排気通路143aおよびエアホース147を介して、真空排気手段90に吸引され、スプルー31fおよびキャビティ30a内は真空状態となる。
次に、キャビティ30a内が真空状態になった所定時間後(図8のBとCの間に相当)に、制御手段100から電磁切替弁140Aへ内部流路を切り替えるための制御信号が送出される。これにより、図11(B)に示すように、電磁切替弁140Aがエアホース145bとエアホース145cを連通させるように切り換わり、ピストンロッド143は伸びた状態、すなわち右側へ移動した状態に保持される。ピストンロッド143が右側へ移動した状態においても、キャビティ30aは真空状態に保持されている。
このとき、ピストンロッド143の注入孔143cは、バルブ摺動部142の樹脂注入孔142aと連通する位置に保持される。したがって、このときスプルーブッシュ31gおよび固定側金型31のスプルー31fと、注入孔143cおよび樹脂注入孔142aが連通した状態となる。なお、注入孔143cおよび樹脂注入孔142aは、キャビティ30a側が拡開したように形成されており、スプルーブッシュ31gおよび固定側金型31のスプルー31fと、注入孔143cおよび樹脂注入孔142aとが、連通した状態となったときには、全体としてキャビティ30a側が拡開した樹脂注入通路が形成される。
このようにして形成された樹脂注入通路を介して、ノズル13から真空状態のキャビティ30a内へ、溶融樹脂を注入することができる(図8のDに相当)。
そして、溶融樹脂を注入後、スクリューバック(図8のEに相当)させ、型開きし(図8のFに相当)、成型品が型から取り出される(図8のGに相当)。この間、ピストンロッド143は、伸びた状態(右側へ移動した状態)に保持される。
なお、本例では、金型真空バルブ140に直接、真空排気手段90が連結されていたが、電磁弁59bを介して連結するように構成してもよい。
本発明の一実施形態に係る射出成形装置の説明図である。 本発明の一実施形態に係る金型の説明図である。 本発明の一実施形態に係る制御手段の説明図である。 本発明の一実施形態に係る金型真空バルブの説明図である。 本発明の一実施形態に係る金型真空バルブの説明図である。 本発明の一実施形態に係る金型真空バルブの説明図である。 本発明の一実施形態に係る材料供給部の説明図である。 本発明の一実施形態に係る金型真空バルブのタイミングチャートである。 他の実施形態に係る金型真空バルブの説明図である。 他の実施形態に係る金型真空バルブの説明図である。 他の実施形態に係る金型真空バルブの説明図である。
符号の説明
1‥‥‥架台、3‥外部タンク
10‥‥射出手段
11‥‥シリンダ、12‥スクリュー、13‥ノズル
14‥‥駆動部、15‥バンドヒータ
18‥‥配管、19‥電磁弁
20‥‥材料供給部
21‥‥ホッパ
22‥‥吸引ポンプ
25‥‥材料供給タンク
27‥‥材料保持部
28‥‥配管、28a,28b‥電磁弁
29‥‥配管、29a‥吸引ポンプ
30‥‥金型、30a‥キャビティ
31‥‥固定側金型
31f‥スプルー、31g‥スプルーブッシュ、31h‥ロケートリング
32‥‥可動側金型
33A‥固定側取付板
35‥‥エジェクタプレート
36A‥エジェクタピン
37A‥可動側取付板
40‥‥金型真空バルブ、40a‥本体部
41‥‥スプルー、41a‥排気孔
42‥‥連結部
43‥‥作動用孔、43a‥作動用ホース、43b‥溝、43c‥テーパー部
44‥‥排気用孔、44a‥排気用ホース、45‥連通孔
46‥‥支持部、46a‥貫通孔
47‥‥弁体、47a‥キャップ部、47aa‥先端部分、
47b‥円盤部、47ba‥係合片、47c‥摺動部
48‥‥コイルスプリング
50‥‥金型真空バルブ
52‥‥連結部、53‥作動用孔、54‥排気用孔、56‥支持部
57‥‥弁体、58‥コイルスプリング、59‥配管
80‥‥型締め手段
90‥‥真空排気手段
91‥‥真空ポンプ、92‥真空タンク
100‥制御手段、101‥制御部、102‥表示部、103‥操作部
140‥金型真空バルブ、140A‥電磁切替弁
141‥シリンダチューブ、142‥バルブ摺動部、142a‥樹脂注入孔
143‥ピストンロッド、143a‥排気通路、143b‥貫通孔、143c‥注入孔
144‥シール部材
145a,145b,145c‥エアホース、147‥エアホース
S‥‥‥射出成形装置
X,Y‥曲線

Claims (5)

  1. 固定側金型と可動側金型とによって形成されるキャビティを有する射出成形用金型であって、
    前記固定側金型は前記キャビティを真空引きするための真空排気手段に連通される排気部を有し、該排気部に設けられた切替弁は、真空排気手段と前記キャビティとを該キャビティ内に溶融樹脂を注入するためのゲート部を介して連通させる開放位置と、連通させない閉鎖位置と、に切替え可能に形成されたことを特徴とする射出成形用金型。
  2. 前記切替弁は、前記固定側金型に設けられたスプルーに排気孔を介して連通されかつ真空排気手段に連通された作動空間と、該作動空間の内部を進退動して前記開放位置と前記閉鎖位置とに切替え可能な弁体と、を備え、
    前記弁体の先端には、前記排気孔を閉塞する閉塞部が設けられ、
    前記切替弁は、前記閉鎖位置において前記閉塞部により前記排気孔を閉塞し、かつ、前記開放位置において前記閉塞部を前記排気孔から離間させることにより、前記作動空間を介して前記スプルーと真空排気手段とを連通させることを特徴とする請求項1に記載の射出成形用金型。
  3. 前記切替弁は、前記固定側金型に設けられたスプルーと交差して形成された作動空間と、該作動空間の内部を気密的に進退動して前記開放位置と前記閉鎖位置とに切替え可能な弁体と、を備え、
    前記弁体には、前記閉鎖位置において前記スプルーの一部を構成する第1の孔と、前記開放位置において一端が前記スプルーを介して前記ゲート部に連通され他端が真空排気手段に連通される第2の孔と、が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の射出成形用金型。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の射出成形用金型と、該射出成形用金型を型締め可能な型締め手段と、前記射出成形用金型に溶融樹脂を注入するための射出手段と、真空引きするための真空排気手段と、を備えたことを特徴とする射出成形装置。
  5. 固定側金型と可動側金型とを有する金型と、該金型を型締め可能な型締め手段と、前記金型に溶融樹脂を注入するための射出手段と、真空引きするための真空排気手段と、を備え、前記金型には、前記固定側金型と前記可動側金型によって形成されるキャビティと前記真空排気手段とを前記金型のゲートを介して連通させる開放位置と、連通させない閉鎖位置と、に切替え可能な切替弁を有する排気部が設けられた射出成形装置において、前記キャビティ内に溶融樹脂を注入して成型品を成形する射出成形方法であって、
    前記金型が型締めされかつ前記切替弁を前記開放位置に切替えた状態で前記真空排気手段を作動させ、前記金型のゲート部を介して前記キャビティを真空引きするステップ、
    前記切替弁を前記閉鎖位置に切替えかつ前記キャビティを真空下に保持した状態で、前記キャビティに溶融樹脂を注入するステップ、を行うことを特徴とする射出成形方法。
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JP2010156779A (ja) * 2008-12-26 2010-07-15 Alps Electric Co Ltd 光導波路の製造方法及び光導波路形成用鋳型
JP2010162798A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 Konica Minolta Opto Inc 射出成形装置及び方法

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